「おめでとう、これで君もランサーズだよ」
喜ぶ遊矢と柚子の元に侑斗とウィンダが近づいてくる。
「剣崎さん!ウィンダさん!」
「スティーラー、今回はありがとうございます」
「いいさ、これもヴァプラ隊の任務の一環」
柔和な笑みを浮かべて謙遜し、スティーラーは静かにデュエルフィールドから出て行った。
(この声は…やっぱり)
侑斗の声を聞いた遊矢は少し違和感を覚える。
その声が素良とのデュエルの際に自分を正気に戻してくれたあの声とあまりにもそっくりだからだ。
そんな彼の元へ侑斗が近づく。
「遊矢君、《シルバームーン・アーマー》はうまく使いこなせているみたいだね」
「え!?なんでそのカードのことを??」
「なんでって…それは僕が君にそのカードを提供したからだよ」
その言葉に遊矢と柚子は驚く。
実を言うと、翔太は侑斗が《PCM-シルバームーン・アーマー》を渡したということを言っていなかったのだ。
「遊矢君、君はペンデュラム召喚の先を見つけた。だけど、その力を完全にものにするには君の心がまだまだ幼い」
「俺の心が…?」
「そう、その心のままで力を解放させ続けたら自分や自分が守るべきものをも破壊してしまう災いとなってしまう」
災いの意味は今の遊矢には理解できている。
それは《覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》を得たときの暴走だ。
その時の罪悪感は居間も自分の心にのしかかっている。
「だから、安全装置を取り付けたんだ。その月の鎧を。このカードが君の精神の成長を越えるほどの過剰な力の解放を抑制する」
「力の抑制…」
遊矢はデッキから《MLX-オッドアイズ・月下・ドラゴン》を出す。
その重装な鎧に包まれた自身の相棒の姿。
ペンデュラムモンスターではなく、純粋なエクシーズモンスターであるのも何か理由があるのだろうか。
そして、そもそもなぜ彼がこのようなカードを持っているのか。
そんな疑問が次々と浮かぶ中、ウィンダが遊矢に3枚のカードとデュエルディスクに外付け可能なカードリーダーを渡す。
「これは…??」
突然渡されたもので遊矢の浮かんでいた疑問が吹き飛んでしまった。
マシンレッドクラウンが描かれた通常モンスターカードと緑色のバッタを模したロボットが描かれた効果モンスターカード、そして水色のトンボを模したロボットが描かれた効果モンスターカードの3枚が今遊矢の手にある。
「君はユーゴっていうシンクロ次元のデュエリストのデュエルを見たことがあるよね?確か、素良君が消えたとき、公園で…」
「あ、ああ…」
あの白いDホイールに乗っていた(この小説を読んでいる人は翔太がTDCのビークルデュエルに関する説明があった日の前夜に見た夢の中にいたあのバナナのような形の黄色い前髪の少年と言ったらわかるだろうが)がシンクロ次元のデュエリスト、ユーゴだ。
その時、その場所では翔太の夢と同じような事態が発生していた。
そして、そのデュエルに敗北したユートは消滅し、魂は遊矢の中に宿った。
「シンクロ次元に関しては情報が少なすぎて、敵か味方かはっきりしない。唯一分かっているのは…」
「ライディングデュエルをしてるってこと!さあ、ついてきて!!」
ウィンダが先頭に立ち、遊矢、柚子、侑斗の順番で一列になって選手入場口まで移動する。
「ライディングデュエル…?」
聞いたことのないデュエルの名前に2人が疑問を持つ。
それに侑斗が答える。
「ライディングデュエルはDホイールというバイクに乗ってやるデュエルだよ。Dホイールに乗っているデュエリスト同士がサーキットやコースを走りながらデュエルをする。そのデュエルでは従来の魔法カードの代わりにSpという魔法カードとフィールド魔法《スピード・ワールド3》が生み出すスピードカウンターを利用してデュエルをするんだ」
「《スピード・ワールド3》…?ということは、3番目のええっと…《スピード・ワールド》ということですか?」
「そう、何度かカードを変えることでルールバランスの変更が行われた結果なんだ。もちろん、ペンデュラムモンスターはいつも通り発動できるよ」
柚子の質問に答えていると、彼らの後ろから黒咲が歩いてくる。
彼の手には遊矢が受け取った物とは異なるものの、3枚のカードが握られていて、デュエルディスクにもカードリーダーが装着されている。
更にいうと、耳部分に鏡写しのRを象った形のシンボルが双方についている、水色のシールドのある青いフリップアップ式ヘルメットをつけている。
「黒咲…」
「剣崎さん。本当に榊遊矢とこれからライディングデュエルをしろというのか??」
どうも納得がいかないと言いたげな目で侑斗を見る。
しかし、黒咲は侑斗に救われ、力を貸してもらえた恩義と信頼からそのことが言うことができない。
侑斗はそんな彼を見て、少し困った顔でまあ、ちょっと聞いてとだけ言うと遊矢にヘルメットを渡す。
緑色のシールドで赤い模様の無いフリップアップ式ヘルメットだ。
「ちょっと待ってください!?遊矢はバイクに乗ったことがないですし、私たちはまだ…」
「大丈夫、Dホイールはここでだけ走らせればいいし、遊矢君のDホイールにはオートパイロットシステムがある。それから…」
遊矢のデッキケースと同じ大きさのカードケースを遊矢に渡す。
「さっき言っていたSpのカードだよ。これでライディングデュエル用のデッキを組んで。時間は…まあ、1時間かな?」
「けど…なんで俺が!?バイクに乗るなら…」
遊矢の言うことはもっともだ。
確かに免許のことを考えなければ、遊矢以外にバイクに乗るのに適した人物はランサーズの中にいる。
遊矢はなぜ自分が選ばれたのかの理由がわからずにいる。
「君に渡すDホイールにはペンデュラムエクシーズやペンデュラム融合が生み出す、君自身を暴走させてしまう可能性のあるエネルギーを吸収する機能を特別につけているんだ。それを利用すれば、少なくともライディングデュエル中は暴走することはないよ。じゃあ、準備お願いね」
「…さっさとやれ」
侑斗とウィンダ、黒咲が遊矢達を置いてフィールドへ向かう。
その際、ウィンダは2人に向けて小さく手を振っていた。
「ライディングデュエル…かぁ。けど、俺のDホイールって言ってもどこにあるんだ??」
「遊矢…」
柚子が心配そうに遊矢を見つめる。
バイクに乗ってデュエルをし、その際にどれだけのスピードを出すのかわからない。
いきなり予行練習も無しにライディングデュエルを行う遊矢が心配で仕方がない。
「はぁー…柚子、デッキ組むの手伝ってくれるか?」
「ええ。ええっと…」
手伝うことに同意したものの、Spは従来の魔法カードを変化させたものに加えて改めてつくられた、今まで見たことのないカードがある。
幸い、カードケースの中には《スピード・ワールド3》のカードも入っていたため、そのルールを見ることでSpの特性を理解することはできた。
問題はどのSpを入れるかだ。
いつでも発動できるようにスピードカウンターの要求量の少ないSpを中心とすべきか、スピードカウンターの要求量が多いものの破格の効果を持つ《Sp-ジ・エンド・ストーム》のようなカードを入れるべきか。
2人で相談し、四苦八苦しながら一応の完成を見ると、もう約束の時間の3分前になっていた。
約束の時間になると、サーキットのスタート地点には遊矢達が集まっていた。
遊矢は赤を基調とし、緑のラインが縦に2本あるライディングスーツを着ている。
「いきなりの頼んじゃってごめんね。けど、ライディングデュエルを覚えることはシンクロ次元のデュエルに適応するには必ず必要なんだ」
「それは分かってるけど…肝心のDホイールは…?」
遊矢と柚子は周囲を見渡すものの、バイクの姿がどこにもない。
黒咲のDホイールの姿も見えない。
「ふん…」
「黒咲君、ちょっとDホイールを出してみて」
「へ…?」
なんのことか分からない遊矢たちをよそに黒咲が青いDホイールが描かれたカードをカードリーダーに通し、そのカードを手から離す。
すると、カードが一瞬虹色に光った後で形を変化させながら大きくなっていき、最終的にはマシンブルーファルコンに変形してしまった。
まさかのことに遊矢は声を出すことができず、不意にそのDホイールに触れる。
カードが変形してできたにもかかわらず、手からは冷たいバイク特有の硬い感触が伝わる。
「これが…Dホイール??」
「そう、シンクロ次元にはないけれど、レオコーポレーションの人たちが頑張ってくれたおかげでこういう機能ができたんだ。じゃあ、遊矢君もやってみて」
遊矢のデュエルディスクにつけられたカードリーダーを指さしながら、お願いするように言う。
恐る恐る赤いDホイールのカードを通すと、先ほどと同じプロセスでそれがマシンレッドクラウンに変形した。
「遊矢君のDホイールがマシンレッドクラウン、黒咲君のがマシンブルーファルコン。まだまだ試作段階だけど、性能面ではなかなかいい感じになってるよ」
「あ、柚子ちゃん。こっちに来て、ここだと危ないから」
侑斗とウィンダがサーキットの内側にあるピットクルー席に座り、彼女が柚子を手招きする。
何が何だかわからない柚子はウィンダの言うとおりにすることしかできなかった。
「榊遊矢…なぜお前がユートのカードを持っているのかはわからん。このデュエルでお前の真意を聞く!」
「黒咲…」
遊矢と黒咲はバトルロワイヤルの時に1度顔を合わせている。
黒咲はユートと連絡が取れず、なぜ遊矢が彼のカードを持っているのかを問いただそうとしたが、その前にデュエルが発生したこととオベリスクフォースの登場によって聞けずじまいになっていた。
遊矢もしっかりと黒咲に説明したいと思っている。
もちろん、自分がわかっている範囲限定だが。
遊矢はディスプレイに表示されているナビゲーションの文字を黙読する。
「ええっと…このボタンを…?」
ディスプレイの前に備え付けられている円盤状のデュエルディスクの右上部分にあるボタンを押す。
すると、ディスプレイには《スピード・ワールド3》という虹色の路上を走る2台のバイクがイラストのカードが表示される。
そして、無機質な男性の低い音声が流れる。
(《スピード・ワールド3》セット、オートパイロットスタンバイ)
音声終了と同時にデュエルディスクが展開される。
黒咲から渡されたデッキ・手札ホルダーを左腕に装着し、デッキをセットする。
彼もすでに《スピード・ワールド3》を発動している。
「大体の操縦に関してはこいつがやってくれるのか…」
「本当なら第1コーナーを最初に通過したほうが先攻になるけど、黒咲君はバイクの操縦に慣れていて、遊矢君は初めてだから、今回は申し訳ないけど…」
「ああ、榊遊矢が先攻でいい」
黒咲の言葉に侑斗は安堵する。
文句を言われるかもとかすかに思っていて、杞憂だったためだ。
遊矢と黒咲の頭上から少し前の距離にある信号が赤から青に変わろうとする。
「じゃあ、ライディングデュエルを楽しんで。ライディングデュエル!!」
「アクセラレーション!!」
「え…?」
初めて聞くデュエル開始の声に驚いていると、先に黒咲が発進する。
「ああ、ちょっと待ってくれよー!」
遊矢はアクセルを踏むと、マシンレッドクラウンも走り始めた。
遊矢
手札5
ライフ4000
黒咲
手札5
ライフ4000
「これが…ライディングデュエルのスピード…」
今は時速40キロあたりであるものの、初めて生身の状態で体験していることと、感じる風にわずかに恐怖感を感じる。
恐る恐る右手を離し、手札ホルダーのカードを手に取る。
「俺は手札から《EMドラミング・コング》を召喚。このカードは互いのフィールド上にモンスターが存在しないとき、リリースなしで召喚でき、その場合レベルを1つ低下させる」
黒いシルクハットと赤い蝶ネクタイ、そしてバーテン服姿のゴリラが現れ、遊矢の隣で走り始める。
両腕はオレンジ色のバチになっていて、胸には太鼓が左右に2つ、両肩にシャンバルがついていて、おそらく酒場の音楽家をイメージとしているのだろう。
EMドラミング・コング レベル5→4 攻撃1600
「そして俺はスケール4の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》でペンデュラムスケールをセッティング。そして、カードを1枚伏せてターンエンド!それと同時に《オッドアイズ》のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、俺のターン終了時にこのカードを破壊することで、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《EMペンデュラム・マジシャン》を手札に加える!」
遊矢がデッキホルダーからカードを回収し、震える手でフィールドにある《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をエクストラデッキへ入れようとする。
「うわっと!!」
カードが風で飛ばされそうになり、何とか抑えようとしたためにバランスを崩しそうになる。
しかし、マシンレッドクラウンは自動的に調整を行う。
「ふうーー…」
遊矢
手札6→4(うち1枚《EMペンデュラム・マジシャン》)
SPC0
ライフ4000
場 EMドラミング・コング レベル4 攻撃1600
伏せカード1
黒咲
手札5
SPC0
ライフ4000
場 なし
「俺のターン!」
遊矢と違い、黒咲はバイクに乗り慣れているためか、操縦に集中しながらカードをドローすることができた。
黒咲
手札5→6
SPC0→1
遊矢
SPC0→1
「俺は手札から《RR-バニシング・レイミアス》を召喚!」
緑と青、灰のトリコロールが特徴のモズを模した機械鳥が現れる。
頭部には青いモノアイカメラがあり、羽は白い合計14本のパイプによって再現されている。
心臓部分には黒咲のヘルメットやマシンブルーファルコンに描かれているマークがついている。
RR(レイドラプターズ)…これが黒咲の魂の象徴たるモンスター達だ。
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターン、俺は1度だけ手札からレベル4以下のRR1体を特殊召喚できる。俺は手札から《RR-ミミクリー・レイニアス》を特殊召喚する!」
今度は先ほどのモンスターとは異なり、金、青、白のトリコロールのモズ型モンスターが現れる。
RR-ミミクリー・レイニアス レベル4 攻撃1100
「そして俺は手札から《Sp-オーバーブースト》を発動。俺のスピードカウンターを4つ増やし、ターン終了時に俺のスピードカウンターを1つにする」
一気にマシンブルーファルコンのスピードカウンターを象徴する青い羽根が5つとなり、スピードが90キロ近くまで上昇する。
「スピードカウンターが増えると…スピードまで上がってしまうのか」
サーキットを走る黒咲を見て、遊矢は驚きを隠せない。
黒咲
SPC1→5
「更にこのカードは俺のフィールド上に《RR-ファジー・レイニアス》以外のRRが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《RR-ファジー・レイニアス》を特殊召喚」
今度は濃い青が基調のモズ型モンスターが飛ぶ。
翼の部分には金色の球体が埋め込まれていて、羽はパイプではなく、板のような形になっている。
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
「《ミミクリー・レイニアス》の効果発動。このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズに1度、俺のフィールド上に存在するRRモンスターすべてのレベルを1つ上げることができる」
《RR-ミミクリー・レイニアス》の両翼部分にある丸い空洞から青色の波動が発生する。
すると、《RR-バニシング・レイニアス》のカメラの色が青から赤に変化し、《RR-ファジー・レイニアス》の胸にある水色の球体に黒いエネルギーが液体のように蓄積されていく。
RR-バニシング・レイニアス レベル4→5 攻撃1300
RR-ミミクリー・レイニアス レベル4→5 攻撃1100
RR-ファジー・レイニアス レベル4→5 攻撃500
「これでレベル5のモンスターが3体!」
「俺はレベル5の《RR-バニシング・レイニアス》、《ミミクリー・レイニアス》、《ファジー・レイニアス》でオーバーレイ!」
3体のモズが優雅に上空を舞い、現れた黒い雷雲の中へ消えていく。
「獰猛なるハヤブサよ。激戦を切り抜けしその翼翻し寄せ来る敵を打ち破れ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク5!《RR-ブレイズ・ファルコン》!」
雷雲が赤い炎に包まれ、1体の大型の隼を模したモンスターが急降下する。
赤が基調の走行と左右に3つずつ、三角形のような配置に金色の球体と増設されたパイプのある翼が体の少し下側にあり、首の喉仏あたりにRRのマークがある。
ツインアイのカメラはじっとオートパイロット任せの操縦となっている遊矢を睨んでいる。
RR-ブレイズ・ファルコン ランク5 攻撃1000
「ランク5のエクシーズモンスター!?」
「この程度で終わると思っていたか?俺は更に手札から《Sp-スピード・ランクアップ》を発動!俺のスピードカウンターが4つ以上あるとき、俺のフィールド上に存在するエクシーズモンスター1体をランクの1つ高い同じ種族のエクシーズモンスターにランクアップさせる!」
「何!?もしかして…スピードカウンターを増やしたのはそのため…??」
遊矢の言葉に答えないまま、再び上空に現れた雷雲の中に《RR-ブレイズ・ファルコン》が消えていく。
「誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し革命の道を突き進め!ランクアップエクシーズチェンジ!現れろ!ランク6!《RR-レヴォリューション・ファルコン》!!」
雷雲が一瞬青く光ると、わずかに秒がすぎた後に霧散する。
そして、青と黒が基調の先ほどのエクシーズモンスターよりも大きな隼型モンスターが姿を現す。
パイプの数はほぼ半減されているものの大型化していて、首の付け根部分にRRのマークがついている。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000
Sp(スピードスペル)-スピード・ランクアップ
通常魔法カード
このカードのカード名はルール上、「RUM-スピード・フォース」としても扱う。
(1):自分SPCが4つ以上存在するとき、自分フィールド上に存在するXモンスター1体を対象として発動できる。その自分のモンスターよりランクが1つ高く、同じ種族のXモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてエクストラデッキからX召喚する。
「1ターン目から《レヴォリューション・ファルコン》にランクアップ。本気だね…黒咲君」
強引にスピードカウンターを増幅させ、《Sp-スピード・ランクアップ》の発動を可能にした彼の動きに侑斗は舌を巻く。
手札は大幅に減らしているが、彼はエクシーズ次元で融合次元のデュエリストと戦ったデュエリスト。
アフターフォローをしないはずがない。
「俺は手札から更に《Sp-エクシーズ・チャージ》を発動!俺の手札がこのカードのみで、フィールド上に存在するカードがエクシーズモンスター1体のみの場合に、俺のスピードカウンターを5つ取り除くことで、俺のフィールド上に存在するオーバーレイユニットの数だけデッキからカードをドローする。《レヴォリューション・ファルコン》のオーバーレイユニットは4つ。よって、デッキから4枚カードをドローする!」
大幅にスピードを落としながら、黒咲は一気に4枚のカードをドローする。
これで黒咲の手札消費リスクが削減された。
黒咲
手札6→1→4
SPC5→0
Sp-エクシーズ・チャージ
通常魔法カード
「Sp-エクシーズ・チャージ」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分の手札に存在するカードがこれ1枚のみで、自分フィールド上に存在するカードがX素材を持つXモンスター1体のみの場合、スピードカウンターを5つ取り除くことで発動できる。自分フィールド上に存在するX素材の数だけ自分はデッキからカードをドローする。
「《レヴォリューション・ファルコン》の効果発動!このカードがRRエクシーズモンスターをオーバーレイユニットとしている場合、1ターンに1度、相手モンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与えることができる!」
「何!?」
「いけ、《レヴォリューション・ファルコン》!!」
《RR-レヴォリューション・ファルコン》がモズの鳴き声を出しながら遊矢の真上を飛行する。
そして、翼部の走行を展開するとそこから白い爆弾の雨が遊矢の周囲に降り注ぐ。
「うわ、うわわわ!!」
爆弾の軌道を事前に計算したマシンレッドクラウンはそのまま自動的に回避行動をとるものの、《EMドラミング・コング》は炎の中へ消えてしまった。
「《ドラミング・コング》!!」
遊矢
ライフ4000→3200
SPC1→0
「《スピード・ワールド3》の効果で、ダメージ800の倍数ごとのスピードカウンターが1つ減る。これで遊矢君はモンスターを失い、スピードカウンターも0になった」
「遊矢…」
柚子が遊矢を心配する中、侑斗は黒咲の行動を見る。
初めてのライディングデュエルであるにもかかわらず、ここまで大胆でハイスピードな動き。
やはり、実際の戦場にいた分、適応力が高いのかもしれない。
「バトルだ!俺は《レヴォリューション・ファルコン》で榊遊矢にダイレクトアタック!レヴォリューショナル・エアレイド!!」
《RR-レヴォリューション・ファルコン》の頭部のカメラが遊矢に狙いを定め、移動ポイントを予測する。
そして、そのポイントを中心に爆弾の投下を開始する。
「俺は罠カード《EMコール》を発動!相手のダイレクトアタックを無効にする!!うわあああああ!!!?」
《EMコール》発動と同時にマシンレッドクラウンが不規則で荒々しい動きをし始め、遊矢がまるでロデオをするカウボーイのようにその動きに振り回されている。
爆弾と投下が終わり、動きが元に戻った時の遊矢は目を回していて、デュエル続行には十数秒の時間が必要となった。
「うええ…気持ち悪い…。更に俺は《EMコール》の効果で…守備力の合計が攻撃モンスターの攻撃力以下になるように、デッキからEMモンスターを手札に加える…。ウプ…」
何とか吐くのを抑えつつ、遊矢はディスプレイに表示されたデッキ内のカードから必要な2枚に触れる。
「俺は《EMソード・フィッシュ》と《EMドクロバット・ジョーカー》を手札に加える。ただし、このカードの発動後、次の俺のターン終了時までエクストラデッキからモンスターを特殊召喚できない」
デッキから自動排出された2枚を手札ホルダーに差し込む。
2枚ものEMをサーチしたのはいいものの、その代償は肉体的にもデュエル面でも大きい。
「(奴のエースモンスターである《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》は《ドラミング・コング》と共にエクストラデッキの中にある。《EMコール》の代償として、そのモンスターたちは次のターン召喚することができない。特殊召喚したとしても、《レヴォリューション・ファルコン》の敵ではないが…)俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド。それと同時に《Sp-オーバーブースト》の効果により、俺のスピードカウンターは1となる」
スピードカウンターが既に0である黒咲にとって、このデメリットととれる効果はある意味うれしい特典だ。
スピードが上がり、マシンブルーファルコンが更に遊矢を引き離す。
遊矢
手札4→6(うち3枚《EMペンデュラム・マジシャン》《EMソード・フィッシュ》《EMドクロバット・ジョーカー》)
SPC0
ライフ3200
場 なし
黒咲
手札4→1
SPC0→1
ライフ4000
場 RR-レヴォリューション・ファルコン(オーバーレイユニット4) ランク6 攻撃2000
伏せカード3
「遊矢君、どうするのかな?《レヴォリューション・ファルコン》は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時に、そのモンスターの攻撃力・守備力を0にしちゃうよ?」
「そして、オーバーレイユニットを1つ取り除けば、《レヴォリューション・ファルコン》は相手のすべてのモンスターに1回ずつ攻撃できる。それに、通常召喚したモンスターで戦おうにも、召喚したターンに倒せなかったら、3つ目の効果の餌食になる」
《RR-ブレイズ・ファルコン》の力を受けた《RR-レヴォリューション・ファルコン》は攻撃力の低さを問題としないほどの強さを手に入れてしまった。
ここから考えられることとしたら、先ほど手札に加えた《EMソード・フィッシュ》の効果を3回使って強引に攻撃力を引き下げること。
黒咲がそれを簡単に許すとは思えないが…。
「俺のターン、ドロー!!」
遊矢
手札6→7
SPC0→1
黒咲
SPC1→2
「俺は手札から《EMソード・フィッシュ》を召喚!」
EMソード・フィッシュ レベル2 攻撃600
「《ソード・フィッシュ》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のモンスターの攻撃力・守備力を600ダウンさせる!」
《EMソード・フィッシュ》が瞬時に6つの分身を生み出し、それらが《RR-レヴォリューション・ファルコン》に襲い掛かる。
魚であるにもかかわらず、剣と同じ鋭さと硬さを持つそのモンスターによってパイプがすべて切断されてしまう。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000→1400
「更に俺はスケール2の《EMペンデュラム・マジシャン》とスケール8の《EMドクロバット・ジョーカー》でペンデュラムスケールをセッティング!」
赤いシルクハットと灰色の袖と鉄の輪や3×3の列のような配置で中心の縦列だけ大き目になっている青い球体でできたボタンで装飾された赤いスーツとボタンと同じ球体がバックルとなっているベルトがついた黒いズボンをつけた紫色の髪の若い魔導士が右手に青い球体型の魔石を中心としてダイヤモンド状に精製された青い魔石がその真下についた、円の中に雪の結晶が入っているような形の鉄でできた振り子を持って現れる。
彼のボタンと振り子、ベルトにはところどころに金色の紐や宝石、ベルトループがついている。
黒とピンクの道化師風の服を着た金髪のグラサン男が水色の大きな蝶ネクタイを整え、緑色の布で修理された痕跡があるピンク色のカバを模した帽子をつけて《EMペンデュラム・マジシャン》と同時に姿を現す。
そして、《EMペンデュラム・マジシャン》は遊矢から見て右側へ、《EMドクロバット・ジョーカー》が左側へ浮上し、それぞれが青い光の柱を生み出す。
「これで俺はレベル3から7のモンスターを同時に召喚可能!揺れろ魂のペンデュラム!天空に描け光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ俺のモンスターたち!」
光の柱の間の青い光の渦が水平状に現れ、そこから遊矢のモンスターが飛び出す。
「《EMハンマーマンモ》、《EMプラスタートル》!!」
赤でオレンジ色の蝶ネクタイつきの星柄の赤い袖つきの黄色いスーツを着た、紫のリボン付きシルクハットの青いマンモスが《EMプラスタートル》と共に現れる。
鼻についている巨大なハンマーには星柄で様々な色の帯がついていて、表面にも巨大な星のマークがついていた。
EMプラスタートル レベル4 攻撃100
EMハンマーマンモ レベル6 攻撃2600
「出た!《ハンマーマンモ》!」
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に並ぶ遊矢のモンスターの重鎮の入場に柚子が喜ぶ。
《EMハンマーマンモ》はそのハンマーと怪力から相手フィールド上の魔法・罠カードを攻撃と共に吹き飛ばすことができる巨大なマンモス。
しかし、レベルに伴わない高いパワーの代償として攻撃には他のEMのサポートが求められる。
その役目を担うのが今フィールドにいる《EMソード・フィッシュ》と《EMプラスタートル》だ。
「《EMソード・フィッシュ》の効果発動!自分がモンスターの特殊召喚に成功した時、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力・守備力を600ダウンさせる!」
「ちっ…!」
再び襲い掛かる6本の魚の刃に黒咲が舌打ちする。
《RR-レヴォリューション・ファルコン》は特殊召喚モンスターには無類の力を発揮するものの、《EMソード・フィッシュ》のような通常召喚されたモンスターへの対処が少し難しい。
剣によって爆弾を格納していたコンテナが損傷し、やむなく強制分離されることとなった。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃1400→800
「《レヴォリューション・ファルコン》の攻撃力が800に!」
「そして、《EMペンデュラム・マジシャン》の効果は…」
ウィンダが攻撃力の下がった《RR-レヴォリューション・ファルコン》を、侑斗は《EMペンデュラム・マジシャン》を見る。
「《ペンデュラム・マジシャン》のペンデュラム効果発動!EMモンスターのペンデュラム召喚に成功した時、ターン終了時まで俺のEMの攻撃力を1000アップさせる!」
《EMペンデュラム・マジシャン》の振り子が揺れ、それによって発生する青い波紋によって3体のEMが同じ色のオーラに包まれる。
EMプラスタートル レベル4 攻撃100→1100
EMハンマーマンモ レベル6 攻撃2600→3600
EMソード・フィッシュ レベル2 攻撃600→1600
「これで遊矢が《ソード・フィッシュ》で《レヴォリューション・ファルコン》を攻撃して、《ハンマーマンモ》と《プラスタートル》で一斉攻撃すれば…!」
柚子の言うとおり、《EMペンデュラム・マジシャン》と《EMソード・フィッシュ》が開いた突破口によって1ターンキルが成立するところまで来ている。
ただし、黒咲は罠カードの扱いのうまいデュエリスト。
このまま簡単に突破させてくれるとは思えないが。
「バトルだ!俺は《ソード・フィッシュ》で《レヴォリューション・ファルコン》を攻撃!」
《EMソード・フィッシュ》が《RR-レヴォリューション・ファルコン》めがけて突撃する。
《RR-レヴォリューション・ファルコン》が迎撃のためか、急速に加速して突撃する。
「無駄だ!《RR-レヴォリューション・ファルコン》の効果は今の《ソード・フィッシュ》には通用しないぜ!」
「ふん…どこを見ている。こいつの狙いはその魚ではない」
「え…?」
遊矢が疑問を浮かべる中、《RR-レヴォリューション・ファルコン》は《EMソード・フィッシュ》をスルーしていく。
スルーされた青い魚は体中に青筋を作って激怒した。
「俺は罠カード《RR-マイン》を発動した。俺のRRが攻撃対象となった時、そのモンスターと相手フィールド上に存在する特殊召喚されたモンスター1体を破壊する」
「何!?」
《RR-レヴォリューション・ファルコン》が《EMハンマーマンモ》に突撃し、そのまま直進する。
マンモスは抵抗するために、鼻のハンマーで何度も装甲をたたいている。
「まさか…逃げろ、《マンモ》!!」
《RR-レヴォリューション・ファルコン》が目指しているのは強制排除したコンテナのある場所。
それに接触した瞬間、格納されていた爆弾が起動し、その場所が巨大な炎の花に包まれる。
花が散ると、そこには巨大なクレーターだけが残っていた。
「そして、俺はデッキ・墓地からRUMを1枚手札に戻す。《Sp-スピード・ランクアップ》はルール上、《RUM-スピード・フォース》としても扱う」
黒咲の墓地から《Sp-スピード・ランクアップ》が排出される。
遊矢にとっては予想外の展開だが、これで天敵である《RR-レヴォリューション・ファルコン》は葬られた。
RR-マイン
通常罠カード
(1):自分フィールド上に存在する「RR」モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。そのモンスターと相手フィールド上の特殊召喚されたモンスター1体を破壊する。その後、自分のデッキ・墓地から「RUM」魔法カード1枚を手札に加える。
「まだだ!!俺は《ソード・フィッシュ》と《プラスタートル》でダイレクトアタック!!」
先程攻撃しようとしたモンスターに対してご立腹の《EMソード・フィッシュ》が憂さ晴らしに黒咲のマシンブルーファルコンに体当たりをし、《EMプラスタートル》がため息をつきながら手に持っている判子で攻撃する。
「ぐう…!!」
黒咲
ライフ4000→2400→1300
「よし、これで黒咲のスピードカウンターは…」
「罠発動!《デス・アクセル》!俺が戦闘ダメージを受けたとき、そのダメージ500毎にスピードカウンターを1つ増やす!」
攻撃を受け、バランスを崩すもすぐに立ち直り、アクセルを全快にする。
黒咲
SPC2→5
「《ソード・フィッシュ》の攻撃の時に…?けど、《プラスタートル》の攻撃力は1100!それでも…」
「悪いが《デス・アクセル》を発動したターン、俺は《スピード・ワールド3》の効果でスピードカウンターが減ることはない」
時速100キロ近いスピードで走るマシンブルーファルコンが遊矢を1周遅れに刺せる。
デス・アクセル(アニメオリカ・調整)
通常罠カード
(1):自分が戦闘ダメージを受けたときに発動できる。このターン、自分は「スピード・ワールド」魔法カードの効果で自分のスピードカウンターは減らない。
(2):このカードを発動した時、自分が受けた戦闘ダメージが1000以上の場合、そのダメージ500毎に自分用スピードカウンターを1つ置く。
「くっそーー!またスピードカウンターを!?こうなったら俺もだ!俺は手札から《Sp-ペンデュラム・アクセラレーション》を発動!俺がペンデュラム召喚に成功したターン、ペンデュラム召喚したモンスターの数だけ俺のスピードカウンターを増やす!俺がペンデュラム召喚したモンスターは2体だ!」
遊矢の心に答えたのか、マシンレッドクラウンもスピードを上げる。
純粋なバイクであるマシンブルーファルコンとは違い、マシンレッドクラウンは追加機能が多く、その分性能が控えめになっているものの、それでも伊達にDホイールを名乗っていない。
時速60キロ近いスピードで走り続ける。
遊矢
SPC1→3
Sp-ペンデュラム・アクセラレーション
通常魔法カード
(1):自分がP召喚に成功したターンの自分メインフェイズ時に発動できる。P召喚に成功したモンスターの数だけ自分用スピードカウンターを増やす。
「更に俺は《スピード・ワールド3》の効果発動!俺のスピードカウンターを3つ取り除くことで、俺の手札をすべて見せ、存在するSp1枚に付き400ダメージを相手に与える!俺の手札に存在するSpは1枚!」
遊矢が最後の1枚である《Sp-ホイール・チェンジ》を見せる。
すると、黒咲の背後から時速200キロ近いスピードで転がるタイヤが現れる。
そのタイヤはマシンブルーファルコンに直撃した。
「く…!!」
黒咲
ライフ1300→900
遊矢
SPC3→0
「更に《ホイール・チェンジ》の効果発動!《スピード・ワールド3》の効果でこのカードを相手に見せたとき、手札から墓地へ送ることでデッキからカードを1枚ドローする!」
遊矢はドローしたカードを確認する。
「(よし…!このカードで!)俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
遊矢
手札7→0
SPC0
ライフ3200
場 EMソード・フィッシュ レベル2 攻撃1600→600
EMプラスタートル レベル4 攻撃1100→100
伏せカード1
EMペンデュラム・マジシャン(青) ペンデュラムスケール2
EMドクロバット・ジョーカー(赤) ペンデュラムスケール8
黒咲
手札1→2(うち1枚《Sp-スピード・ランクアップ》)
SPC5
ライフ900
場 伏せカード2
Sp-ホイール・チェンジ
通常魔法カード
(1):自分のスピードカウンターが3つ以上存在する場合に発動できる。自分のスピードカウンターを1つ増やす。
(2):「スピード・ワールド」魔法カードの効果でこのカードを相手に見せたときに発動できる。このカードを手札から墓地へ送ることで、デッキからカードを1枚ドローする。
「スピードカウンターは黒咲の方が上だけど、ライフは遊矢が逆転したわ!」
手札は使いきっているが、エクストラデッキには2体のペンデュラムモンスターが出番を待っている。
2体とも今のスケールで召喚可能な状況。
更に《EMソード・フィッシュ》と《EMペンデュラム・マジシャン》の効果を応用すれば戦闘面で有利になれる。
柚子の表情は安心に満ちていた。
しかし、黒咲が黙って遊矢に勝利を許すはずがない。
「俺のターン!」
黒咲
手札2→3
SPC5→6
遊矢
SPC0→1
「俺は手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚!」
前のターンに召喚されたモズ型モンスターが再び登場する。
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
「更に俺は罠カード《ナイトメア・デーモンズ》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に《ナイトメア・デーモン・トークン》3体を攻撃表示で特殊召喚する」
「俺のフィールドにモンスターを!?」
《RR-バニシング・レイニアス》が黒い細身の四肢を持つ赤いコミカルな目と口と青い長髪の悪魔3体がヘラヘラ笑いながら遊矢のフィールドへ向かう。
ナイトメア・デーモン・トークン×3 レベル6 攻撃2000
「そして罠カード《エクシーズ・リボーン》を発動!このカードをオーバーレイユニットとして、墓地のエクシーズモンスター1体を特殊召喚する。再び現れろ、《RR-レヴォリューション・ファルコン》!!」
コンテナやパイプなどが完全に治った状態で《RR-レヴォリューション・ファルコン》が空を飛ぶ。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000
「罠発動!《EMペンデュラム・ボックス》!!」
反射的に発動した罠カードから出てきた赤い巨大なデフォルメされた五芒星が貼りつけられた赤い箱と同じ形で青い箱が現れる。
赤い箱が《RR-レヴォリューション・ファルコン》を閉じ込め、青い箱が《EMプラスタートル》を閉じ込め、2つの箱が猛スピードでぶつかり合う。
「相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、そのモンスターと俺のEM1体を破壊し、エクストラデッキからEM、魔術師、オッドアイズペンデュラムモンスター1体をペンデュラム召喚する!俺は《EMドラミング・コング》を特殊召喚!」
ぶつかり合った箱が砕け散り、そこから《EMドラミング・コング》が飛び出す。
EMドラミング・コング レベル5 攻撃1600
EMペンデュラム・ボックス
通常罠カード
「EMペンデュラム・ボックス」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手がモンスターの特殊召喚に成功した時、そのモンスター1体と自分フィールド上に存在する「EM」モンスター1体を対象に発動できる。それらのモンスターを破壊する。その後、エクストラデッキから「EM」「魔術師」「オッドアイズ」Pモンスター1体をP召喚扱いで特殊召喚する。
「そして、《ペンデュラム・マジシャン》の効果発動!俺のEM達がパワーアップする!」
《EMペンデュラム・マジシャン》の振り子の力で再びEM達が青いオーラを纏う。
EMソード・フィッシュ レベル2 攻撃600→1600
EMドラミング・コング レベル5 攻撃1600→2600
「俺の《エクシーズ・リボーン》を読んでいたのか…?」
青いオーラを纏う2体のモンスターを見ながら、黒咲が言う。
「ああ!そんな感じがしたのさ。お前なら、オーバーレイユニットを持った状態の《レヴォリューション・ファルコン》を特殊召喚するってな!」
(お前は罠カードをうまく扱うことができる。それを逆手に取られるな)
「ユート…?」
なぜか遊矢の姿がユートの姿に見えてしまう。
その言葉は初めて融合次元のデュエリストを倒したときにされた忠告だ。
(黒咲。まだ遊矢を…新しくできた仲間を信じることができないのか…?)
まるで、いまその場にいるかのようにユートが言葉をかけてくる。
なぜか、周囲が暗くなっていて、見えるのは自分と遊矢、そしてユートの幻影だけになっている。
「…俺にとっての仲間は、レジスタンスの戦友たち、そして…」
(俺だけ…か。まったく、不器用だということはわかっているが、ここまでくると笑えてしまう…)
仕方ないなと目を閉じて笑うユートが優しげに黒咲を見る。
そんな不器用だが、だれよりも正直で、誰よりも優しい親友にメッセージを送る。
(だったら、遊矢を信じる俺を信じてくれ。彼は俺に笑顔の大切さを教えてくれた。…俺の中に宿る『恐怖』に光を与えてくれた)
「『恐怖』…?」
(そうだ。俺の魂が彼の中にいるせいか、俺はお前以上に遊矢を知っている。彼の強さも…そして弱さも…)
「弱さ…?」
(本当なら、そんな彼を戦いに巻き込みたくなかった。そして、アカデミアとの戦いで、彼の中に目覚めてしまった…『憎しみ』)
言い終わらぬうちにユートが消え、視界が元に戻っていく。
「ユート!?」
「おい、どうしたんだよ??急に黙り込んで…」
(幻…だったのか…?)
遊矢の言葉が耳に入らぬ黒咲は幻の中でユートが言っていたことを思い出す。
(榊遊矢を信じる自分を信じろだと…?甘すぎる言葉だ。それに面倒ごとまで押し付けるつもりか??)
親友の無理難題にあきれつつ、若干笑みを浮かべると、気持ちを切り替えて手札とフィールドを見る。
そして、ここから仕掛けるべき次の一手に出る。
「俺は手札から《Sp-クラッシュ・ダウン》を発動!俺のスピードカウンターが5つ以上の時、墓地のエクシーズモンスター1体を特殊召喚する!」
黒咲の右隣に現れた黒い魔法陣の中から《RR-ブレイズ・ファルコン》が飛び出す。
RR-ブレイズ・ファルコン ランク5 攻撃1000
「そして、そのモンスターよりもランクの1つ低い同じ種族のエクシーズモンスターにランクダウンさせる」
「ランクアップだけじゃなくて、ランクダウンまで!?」
《RR-ブレイズ・ファルコン》が上空に現れた雷雲に中へ消えていく。
そして、その姿を青を基調とした4枚羽の隼へと変化させていく。
首の部分に装着された3段式の2連速射砲と羽についている何十本ものパイプ、そして首の左付け根についているRRのマーク。
ランクは低くとも、RR主力であることを示しているのだ。
「雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!ランクダウンエクシーズチェンジ!現れろ!ランク4!《RR-ライズ・ファルコン》!」
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100
Sp-クラッシュ・ダウン
通常魔法カード
このカードはルール上、「RDM-クラッシュ・フォース」としても扱う。
(1):自分のスピードカウンターが5つ以上存在するとき、自分の墓地に存在するXモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが1つ低い同じ種族のXモンスター1体を対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「《ライズ・ファルコン》…!?」
黒咲3体目のRRエクシーズモンスターに戦慄する。
このモンスターの効果もおそらくは特殊召喚モンスターを破壊するための効果だ。
「《ライズ・ファルコン》の効果!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールド上に特殊召喚されているモンスター1体の攻撃力を得る!」
「何!?」
《RR-ライズ・ファルコン》のオーバーレイユニットが《EMドラミング・コング》の前で消滅する。
そして、雌伏の隼が灼熱の炎を纏う。
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100→2700
「攻撃力2700!?」
「そして、《ライズ・ファルコン》は相手フィールド上の特殊召喚されたモンスターに1回ずつ攻撃できる。いけ、《ライズ・ファルコン》!!」
《RR-ライズ・ファルコン》が天高く舞い上がり、スタジアムを一周する。
そして、そのまま遊矢のフィールドで踊っている《ナイトメア・デーモン・トークン》に向けて突撃する。
「ブレイブクロー・レボリューション!!」
一瞬で3体の悪魔が切り裂かれ、その炎で灰となっていく。
《RR-ドラミング・コング》は消えてしまった悪魔3体にびっくりしながらも、太鼓をたたいて炎の隼を睨む。
遊矢
ライフ3200→2500→1800
「けど…《ドラミング・コング》は俺のモンスターが相手モンスターと戦う時、そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで600アップさせる効果がある!それで…」
「いいや、お前はもう終わっている」
「え…!?こ、これは!!?」
遊矢の周囲に破壊されたはずの3体の《ナイトメア・デーモン・トークン》が炎を纏った状態で現れる。
「《ナイトメア・デーモン・トークン》は破壊された時、コントローラーに800ダメージを与える」
「そんな…!!うわあああ!!」
燃え上がる悪魔が笑いながら遊矢をモグラたたきのように叩きまくる。
デュエル終了と共に双方のDホイールが停止したころには、頭に何個もたんこぶができた遊矢が目を回していた。
遊矢
ライフ1800→1000→200→0
SPC1→0
「はは…お疲れ様、二人とも」
侑斗とウィンダがDホイールを止めた2人の元へ向かう。
黒咲は降りてヘルメットを取ると、目を回す遊矢のところへ向かう。
「榊遊矢」
「んん…黒咲…」
柚子に介抱され、なんとか治った遊矢が黒咲を見る。
彼はじっと遊矢の目を見ていた。
「お前がなぜユートのカードを持っているのかはもう聞かん。託されたという言葉…信じてやる」
「黒咲…」
「だが、それならば今度はそのカードで俺を倒せるぐらいに強くなれ。そうならなければ、《ダーク・リベリオン》は俺がもらう。忘れるな、”遊矢”」
そう言った後、黒咲はカードリーダーにあるスイッチを押す。
すると、マシンブルーファルコンが小さくなっていき、再び変形してカードに戻った。
黒咲は侑斗の左肩に手を置き、静かに「ありがとう」と言ってから出て行った。
その姿を見送りながら、遊矢は《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を手に取る。
「分かっているよ、黒咲。お前に勝てるくらいじゃないと…ユートからこのカードをもらった意味がないもんな…」
「ユートの『恐怖』…遊矢の『憎しみ』…」
黒咲1人しかいない控室の中で、自販機で買った缶コーラを口にしながら、彼はユートの言っていた言葉の意味を考える。
(《オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》…。そして、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》を召還した時の遊矢の暴走…。ユートのカードが原因だと赤馬零児と遊矢が予想していたが…)
遊矢が暴走した時の映像は零児から見せてもらっている。
その姿は恐怖というよりはむしろ憎しみ、破壊への愉悦と表現すべきものだ。
(まったく、厄介な話だ…)
スーツの中が汗でびっしょりになり、不快に感じた黒咲は空っぽになった缶をゴミ箱に投げ捨て、直接つながっていて、人のいない更衣室に入っていった。
Sp採用のライディングデュエルいかがでしたか?
久しぶりのライディングデュエルで、こんな描写やカード効果でいいのかと疑問を持ちながらでの執筆でした。
けれども、やっぱりライディングデュエルにはSpがないと!!