遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第46話 正義も金次第

カラカラカラ…。

「21です。払い戻しは…」

「JとKのツーペアー」

「ははは、悪いな。8が2枚とAが3枚。フルハウスだ!」

「くっそーー!!こいつを賭けてもう1度勝負だ!!」

赤い絨毯と黒い蝶ネクタイとスーツ姿のディーラー達。

胸の谷間を大きく露出させた色とりどりのスーツを着たバニーガールが勝利の酒の敗北の不味い酒をお盆に乗せて運ぶ。

「ここは…あれだな?」

「なんじゃあここは??」

鬼柳はここの場所の意味をすぐに理解したが、漁介は何もわからずきょろきょろしている。

「カジノか。ま、それが法に触れているかは知らねえけどな」

翔太の眼は部屋の隅に向き、そこでは無一文となった男がトランクス1枚だけの無残な姿をさらしている。

シンクロ次元の法律を知らない翔太達にはカジノが合法なのかわからないものの、こうして一見少し前に放棄されたばかりの倉庫かと思われる建物をカモフラージュに経営していることから、違法の物なのかもしれない。

客として訪れているのはボロボロな服や安物でカジュアルなそれを着ている人間がほとんどだが、ごく一部に燕尾服とシルクハット、そして黒いステッキを持った紳士風の男性や金ぴかのスーツを着て、サングラスで目を隠すこわもての男もいる。

なお、翔太たちが尾行した男は一番奥のテーブルでバカラを楽しんでいる。

そして、着崩した治安維持局の公安組織であるセキュリティの制服を着た男が彼とポーカーで勝負を始める。

互いに2枚の白いコインをテーブルに置いてから。

「まあカジノじゃあ、安定して金を得ることはできねえな」

「ん…?あいつ変なことしとるなぁ」

「はあ?」

変なことと言う言葉に違和感を感じた翔太は漁介の指さす方向に目を向ける。

審判であり、セキュリティシールを破って開けた箱の中にあるトランプをシャッフルして配布するディーラーにその男はカードを渡されると同時に足で何かを蹴って、それをディーラーの足に接触させる。

配り終えたディーラーがトランプをケースに入れなおすと、少し背をかがめて2人に見えないようにそれを手にとる。

それはツギハギのある、ボロボロな財布だ。

「落し物ですが、どなたのものでしょうか?」

「さあな。それはあんたのものか?」

「いや、こんな小汚い財布を俺が持つものか」

「みたいだな、じゃ、さっさと始めようぜ」

2人は5枚のカードを手にし、相手に見えないように確認した後でセキュリティは3枚、男は2枚カードを裏向きにしつつ、コイン1枚と共にディーラーに渡すと、彼はそれと同じ枚数だけふたたび配る。

「さあてっと…まずはさっきかけた白2枚に加えて更にコインを白3枚レイズするぞ」

「ふん、コールだ」

「フォールドしなくていいのか?」

「ふん…どうだろうな?ならば俺は更に白3枚レイズしておこうか」

「コール」

これで、お互いに賭けるコインの数が9枚になる。

ちなみにそれらはすべて白いコインで、1枚に付き2000イェーガーかかる。

「なあ、コールやらレイズやら言うとるが、どういう意味なんじゃ?」

賭け事の知識のない漁介は2人の男の言う言葉が理解できずにいて、仕方なく鬼柳が解説する。

「あの大男が言っていたレイズというのは他の奴がかけた金額をさらに吊り上げる行為で、コールは他のプレイヤーの賭けに乗り、同額のコインを賭ける行為だ。ちなみに、フォールドは今回の賭けを降りて、今賭けているコインを勝者に明け渡すことを言う」

「なんじゃい、勝負の前に降参するのはシャクじゃのお…」

「そうとも言い切れないな。手持ちのカードの役に不釣り合いな枚数のコインを賭けて損するよりはマシだということだ」

ポーカーは本来は1度だけカードを交換し、その役の強さを競うというシンプルなルールのカードゲームだ。

しかし、このような賭けの魅力、レイズやコール、フォールドという行為が加わることで心理戦という側面が生まれることになる。

その間、コールとレイズが繰り返され、最終的には白コイン30枚で固定する。

「よし、ショーダウンだ!まずは俺のカードだ」

セキュリティが手持ちのカードを見せる。

スペードの3、ハートの3、ダイヤの9、ダイヤの3、クラブの3という組み合わせだ。

「3のフォーカードだと!!?」

見物している客がセキュリティが出した役に驚きを隠せずにいる。

「な、なんじゃ…そのフォーカードって役はそんなにすごいことか?」

「当たり前だろ?フォーカードは同じ数のカードが4枚手札になきゃならない。で、その組み合わせになる確率は4000分の1だ」

「はあ…!!?」

たった0.4%の確率の役だと知り、そのとんでもなさにびっくりする。

「け、けど翔太…なんでお前そんなこと知っとる?」

「以前、賭けを題材にした漫画を古本屋で立ち読みした」

カ○ジという5年前からとある雑誌で連載している漫画で、怠け者で賭博中毒、やつあたり症というダメ人間の権化ともいえる主人公が賭博で成り上がるという物語だ。

翔太は1巻だけ漫画で読んだのだが、なぜか1巻発売から5年たっても2巻が発売されていない。

「ってことは…もうあの大男の敗北決定ってことか??」

「どうだろうな。あいつ、余裕みたいだぜ?」

翔太は大男を見るが、彼はフォーカードに少し驚いただけですぐに自分の役を見せる。

ジョーカー、スペードの10、スペードのキング、スペードのクイーン、スペードのジャック。

「ロイヤルストレートフラッシュ、俺の勝ちだ」

ロイヤルストレートフラッシュ!!

この役ができる確率はわずか650000分の1!!

「なんだとぉ!?」

驚くセキュリティをよそに、ディーラーが賭けられていたコインをすべて大男に渡す。

「悪いな、こんなにもらっちまって」

「だまれぇ!ならもう1度だぁ!」

きれたセキュリティの挑戦を受ける大男、やはりポーカーでの勝負だ。

「8と9のツーペア!!」

「9と10のツーペアだ」

「1から5のストレート!」

「6が2枚、キングが3枚のフルハウス」

しかし、何度やっても大男の下へセキュリティのコインが流れていく。

「こいつ…イカサマしてんじゃあねえだろうな!?」

拳を震わせながら、男をじっと見る。

「おいおい、イカサマなんてひでえな。何か証拠でもあるのか??」

その言葉にセキュリティが口ごもる。

彼にはイカサマを証明する術がないのだ。

「ったく、イカサマ呼ばわりされて傷つくぜ。傷口が広がる前に換金を…」

「この野郎がぁぁ!!」

腹立ち紛れにそばにあった灰皿を手にとり、大男を殴ろうとする。

しかし、彼の目の前まで走ってきた翔太がその腕をつかむ。

「な…!?」

「おいおい、負けた腹いせに暴力沙汰はねえよな」

「きっさまぁ!!俺たちセキュリティに逆らうのか!?」

「知らねえな、どうせそういうセリフはくんだから下っ端だろ?」

翔太が挑発する中、鬼柳が彼から灰皿を取り上げる。

セキュリティの大声が聞こえたのか、近くにいる客や従業員が翔太たちに注目する。

「くそぅ!!こうなりゃあこのカジノを…」

放置されている左手で無線機を取り出し、電源を入れようとするが、鬼柳はそれをすでに見破っていた。

ここまで警察は堕ちることができるのかと思いつつ、無線機を奪い、足で踏みつぶす。

「ああ…」

「なあ、1つ提案があるぜ。ここは穏便にデュエルで決着をつけようぜ」

「な、何…?」

腕を離されたセキュリティは驚きながら翔太の提案を聞く。

「勝ったら別にここは好きにしていいぜ。ついでに俺の持ち金とデッキを持って行ってもいい。だが、負けたら迷惑料として今財布の中にある金をもらうぞ。安心しろ、お前がカジノに通っていたことは少なくともこの段階ではお前のお仲間にはばれない」

その言葉を聞き、セキュリティが黙り込み、考え始める。

確かに表向きでは法の番人であるセキュリティがこんなことをしていたとなれば、事実をもみ消すことは可能だろうが少なくとも自分の未来がなくなってしまう。

セキュリティを総括する治安維持局長官に気付かれればなおさらそうだ。

「いいだろう!!その要求飲んでやる!!」

「ああ、それからデュエルをするのは俺じゃあないぞ。デュエルをするのはこいつな」

「な…なんじゃと!?俺がデュエルするだとぉ??」

指を指された漁介はびっくりしながら翔太を見る。

そして鬼柳はここまでの賭けを漁介に任せるという翔太のある意味では度胸に感心する。

「試運転が必要だろ?それに、この程度のザコなら実験台になる。それに、俺がこう言ってしまった以上はもう引き返せないしな」

「…ああ!!どうなっても俺は知らん!」

断っても無駄だと分かっているためか、漁介は腹をくくってデュエルディスクを展開する。

負けても自分自身にリスクが発生することはないが翔太のデッキや有り金を奪われるという事態になると伊織が黙っていない。

何よりも戦力の乏しい現段階で1人でもデュエルができない状態になったらこの先のギャングとの戦いが厳しくなる。

セキュリティもデュエルディスクを展開していた。

「よーし、これでセキュリティのデュエルをしっかり見ることができるぜ」

「お前…漁介をだしに使ったな?」

「どうだろうな。ま、新しいデッキを使うってことだがこんなザコに負けるあいつじゃあねえだろ」

 

カジノ中央の設置されたダンス用のステージにて、漁介とセキュリティが対峙する。

そして、その周囲には従業員や客、翔太達が見守る。

「セキュリティを馬鹿にした罪、償ってもらうぞ!!」

「翔太の奴…里香の言うとおり性悪じゃ。まあ、その方がこれから先いいかもしれんけど…」

半分恨み、半分頼もしく思う漁介。

ただ、もう2度と翔太に頼まれてデュエルはしたくないと思うようになった。

「「デュエル!!」」

 

セキュリティ

手札5

ライフ4000

 

漁介

手札5

ライフ4000

 

「先攻は私だ!モンスターを裏守備表示で召喚。そして、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

セキュリティ

手札5→2

ライフ4000

場 裏守備モンスター1

  伏せカード2

 

漁介

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン、ドロー!」

 

漁介

手札5→6

 

「俺は手札から魔法カード《おろかな埋葬》を発動!デッキからモンスター1体を墓地へ送る!」

 

デッキから墓地へ送られたカード

・ドラグニティ―ブランディストック

 

「そして手札から《ドラグニティ―ドゥクス》を召喚!」

真っ白な采配を持ち、戦国時代の僧兵の袈裟を連想させる白い服を身に着けた鳥人が現れる。

白い翼の小雨部分は鋼鉄製の刃となっており、緑色の目以外頭部は平な鍋のようなヘルメットがついた白い頭巾に隠れている。

 

ドラグニティ―ドゥクス レベル4 攻撃1500

 

「このカードの召喚に成功した時、墓地に存在するレベル3以下のドラグニティと名のつくドラゴン族モンスター1体を装着できるんじゃ!俺は墓地の《ブランディストック》を装着させる!さあ、漁の始まりじゃあ!!」

銀色の鎧と槍の穂先のような太い棘を1本つけた兜を装備した紫色で小型の翼竜が装備している鎧と兜を外す。

すると、それらは合体して左手を肘まで覆うスパイクシールドに代わり、竜の軍師の左手へと飛んでいった。

「更に《ドゥクス》は俺のフィールド上に存在するドラグニティモンスター1体につき、200ポイント攻撃力がアップする!」

 

ドラグニティ―ドゥクス レベル4 攻撃1500→1900

 

「ふん!たかが攻撃力1900か。その程度ならば、簡単に倒すことができる」

「分かってないのぉ。《ブランディストック》のスパイクシールドを得た《ドゥクス》は1度のバトルフェイズ中に2度攻撃できる!魚群を見つけたら、できる限り獲らんとなぁ!!」

《ドラグニティ―ドゥクス》が飛翔すると、采配の持ち手部分の後ろ側から刃が飛び出す。

獲物である裏守備モンスターを見定めると、一気に急降下してその刃を獲物に深々と突き刺した。

 

裏守備モンスター

アサルト・ガンドッグ  レベル4 守備600

 

「く…だが、《アサルト・ガンドッグ》は戦闘で破壊され墓地へ送られた時、デッキから《アサルト・ガンドック》を任意の枚数特殊召喚できる!出番だぁ!」

1匹目を倒した《ドラグニティ―ドゥクス》に緑色の防弾チョッキと銀色のアタッシュケース状の弾薬庫を背負ったドーベルマン、2匹目の《アサルト・ガンドッグ》が上から飛びつく。

身動きが封じられた軍師に同胞の無念を晴らすべき、両サイドに装着されている2丁のアサルトライフルで彼をハチの巣にしようとした。

 

アサルト・ガンドッグ×2 レベル4 守備800

 

「おっと、命あっての物種。漁師は腹空かせて待っている家族のためにも、必ず生きて帰らなきゃならんのじゃ!」

銃を撃とうとするドーベルマンの腹部を銀色のスパイクシールドの棘が貫く。

遅れて登場した3体目の《アサルト・ガンドッグ》が銃で攻撃するが、無力化した2匹目をどかしてからバックステップし、無事に漁介のフィールドへと戻っていく。

(とはいったものの…あいつのフィールドにシンクロ素材となりうるモンスターを残してしもうたのお…)

仮の次のターンにセキュリティがチューナーモンスターを召喚した場合、すぐにシンクロ召喚が可能な状態だ。

攻撃力1900の《ドラグニティ―ドゥクス》が次のターン、生き延びることができるかわからない。

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

セキュリティ

手札2

ライフ4000

場 アサルト・ガンドッグ レベル4 守備600

  伏せカード2

 

漁介

手札6→3

ライフ4000

場 ドラグニティ―ドゥクス(《ドラグニティ―ブランディストック》装備) レベル4 攻撃1900

  伏せカード1

 

「私のターン、ドロー!」

 

セキュリティ

手札2→3

 

「私は手札から《ジュッテ・ナイト》を召喚!」

背中に提灯を背負った、江戸時代の岡っ引きをモチーフとした黄色い着物を身に着け、ちょんまげと丸メガネ姿の小人が十手を持って現れる。

 

ジュッテ・ナイト レベル2 攻撃700(チューナー)

 

「レベル4の《アサルト・ガンドッグ》にレベル2の《ジュッテ・ナイト》をチューニング!」

《ジュッテ・ナイト》の提灯に火がともり、『御用』という墨塗りの大きな文字が目立ち始める。

そして、そのモンスターが2つのチューニングリングとなり、《アサルト・ガンドッグ》をそれをくぐる。

「荒ぶる獣の牙もて捕獲せよ!シンクロ召喚!レベル6!《ゴヨウ・プレデター》!」

服装は紫色の帯がいくつも付いた、歌舞伎役者を連想させる緑色の衣装型のアーマー姿で顔を紫色の鬼の仮面で隠した、巨大な山猿のようなモンスター。

なまはげをモチーフをしていると思われるモンスターが殉職者を2匹出した鳥人を捕えるため、手に持っている小刀つきのロープが後ろについた十手を握る。

 

ゴヨウ・プレデター レベル6 攻撃2400

 

「バトルだ!《ゴヨウ・プレデター》で《ドゥクス》を攻撃!」

十手の紐を振り回し、《ドラグニティ―ドゥクス》を捕縛する。

紐を切断するためにスパイクシールドで攻撃しようとするが、先に《ゴヨウ・プレデター》が一気に接近し、十手を左腕の骨をへし折ってそれを封じる。

「《ゴヨウ・プレデター》は1ターンに1度、戦闘で破壊した相手モンスターを渡しのフィールドに特殊召喚することができる」

「何じゃと!!?」

縄で縛られた《ドラグニティ―ドゥクス》がセキュリティへ連行される。

その際に、反撃される可能性を少しでも減らすために左腕のスパイクシールドが破壊される。

 

ドラグニティ―ドゥクス レベル4 攻撃1500→1700

 

漁介

ライフ4000→3500

 

「ただし、この効果で連行したモンスターがプレイヤーに与える戦闘ダメージは半分となる。追撃しろ!!」

《ゴヨウ・プレデター》が縛り付けた《ドラグニティ―ドゥクス》をまるでハンマー投げのように振り回して漁介に振り下ろす。

「ぐうう!!痛たた…」

頭部に攻撃が命中し、痛そうに頭をさする。

 

漁介

ライフ3500→2650

 

「私はこれでターンエンド。《ゴヨウ・プレデター》によって貴様のモンスターは次々と私のものになる」

 

セキュリティ

手札2

ライフ4000

場 ゴヨウ・プレデター レベル6 攻撃2400

  ドラグニティ―ドゥクス(《ゴヨウ・プレデター》の影響下) レベル4 攻撃1700

  伏せカード2

 

漁介

手札3

ライフ2650

場 伏せカード1

 

「俺のターン、ドロー!」

 

漁介

 

手札3→4

 

「俺は手札から《ドラグニティ―ファランクス》を召喚!」

 

ドラグニティ―ファランクス レベル2 攻撃500(チューナー)

 

「更にこのカードは俺のフィールドに存在するドラグニティモンスター1体を墓地へ送ることで、手札から特殊召喚できる!《ドラグニティアームズ―ミスティル》を特殊召喚!」

《ドラグニティ―ファランクス》が鎧と兜を外し、それを二又の槍に変えてから戦場を離脱する。

そして、黄色い鎧を装着した黒い翼と手足のついたヘビのような体の竜人がオレンジ色の宝石が先端に埋め込まれたサーベルを右手に出現し、左手にその槍を持つ。

「このカードは召喚・特殊召喚に成功した時、墓地のドラグニティモンスター1体を装着できる!」

 

ドラグニティアームズ―ミスティル レベル6 攻撃2100

 

「それがどうした?攻撃力はわずか2100!この程度ならば、《ゴヨウ・プレデター》で捕縛できる!」

確かに《ドラグニティアームズ―ミスティル》の攻撃力は《ゴヨウ・プレデター》には及ばない。

しかし、見落としてはいけないものを彼は見落としている。

「《ファランクス》の効果発動!1ターンに1度、装備カードとなっているこのカードを俺のフィールドに特殊召喚できる!」

「何!?」

《ドラグニティアームズ―ミスティル》が上空に向けて槍を投擲する。

すると、槍は再び元の鎧と兜に分離し、持ち主である竜が上空でそれらを装着する。

 

ドラグニティ―ファランクス レベル2 守備1000(チューナー)

 

「更に手札から速攻魔法《地獄の暴走召喚》を発動!相手フィールド上にモンスターが表側表示で存在し、俺のフィールド上に攻撃力1500以下のモンスターが特殊召喚された時、そいつと同じ名前のモンスターを手札・デッキ・墓地から攻撃表示で特殊召喚する!」

《ドラグニティ―ファランクス》が口笛を吹くと、同じ姿の仲間が2体、それに応えるようにカジノの天井を突き破って中に入ってくる。

ちなみにあくまで演出のためか、屋根を突き破ったエフェクトはソリッドビジョンで見せているだけでもちろん現実ではない。

 

ドラグニティ―ファランクス×2 レベル2 攻撃500(チューナー)

 

「《地獄の暴走召喚》はその代償として相手も自分のフィールドに存在するモンスターと同じ名前のモンスターを手札・デッキ・墓地から特殊召喚させてしまうが…」

「《ゴヨウ・プレデター》はエクストラデッキから召喚されたモンスター、そして《ドゥクス》はパクっただけ。当然同じ名前のモンスターはデッキにいないな」

鬼柳と翔太の言うとおり、セキュリティは悔しそうに新たに登場した2体の《ドラグニティ―ファランクス》を見るしかなかった。

「そして俺は罠カード《シンクロ・マテリアル》を発動!このターンのバトルフェイズを放棄する代わりに相手フィールド上に存在するモンスター1体をシンクロ素材にすることができる!俺はレベル6の《ゴヨウ・プレデター》にレベル2の《ファランクス》をチューニング!」

「何!?」

《ドラグニティ―ファランクス》の姿が2つのチューニングリングへと変化していき、仲間を捕えている《ゴヨウ・プレデター》の肉体を拘束、強引にチューニングし始める。

「バカな!?捕縛する《ゴヨウ・プレデター》がこのようなザコモンスターに捕縛されるとは…!?」

「皮肉だな、この展開は」

「くず鉄を束ねし破壊の竜よ、大地の埋もれし機械の夢をその体に宿せ!シンクロ召喚!レベル8!《スクラップ・ドラゴン》!」

 

スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800

 

「更に手札から魔法カード《精神操作》を発動!ターン終了時まで相手フィールド上のモンスター1体のコントロールを奪う!俺は奪われた《ドゥクス》を取り戻す!」

シンクロ召喚された《スクラップ・ドラゴン》が爪でロープを切断する。

これにより自由になった《ドラグニティ―ドゥクス》が漁介のフィールドへ戻っていく。

「そして俺はレベル4の《ドゥクス》にレベル2の《ファランクス》をチューニング!魔力を打ち消す槍で大物をしとめろ!シンクロ召喚!レベル6!《ドラグニティナイト―ガジャルグ》!」

 

ドラグニティナイト―ガジャルグ レベル6 攻撃2400

 

「《ガジャルグ》の効果発動!1ターンに1度、デッキからレベル4以下のドラゴン族か鳥獣族モンスター1体を手札に加え、その後で手札からドラゴン族か鳥獣族モンスター1体を墓地へ送ることができる。俺はデッキから《BF-精鋭のゼピュロス》を手札に加え、そいつをそのまま墓地へ送る!」

《ドラグニティナイト―ガジャルグ》の効果はサーチから墓地肥やしと応用性にとんだ効果を持ったモンスターで、ドラグニティデッキには貴重なカードだ。

シンクロ次元にいるとはいえ、表立った行動ができないヒイロはどのようにしてこれらのカードを調達したのだろうか?

それが翔太にとっては疑問だ。

「俺は《スクラップ・ドラゴン》の効果を発動!1ターンに1度、俺とお前のフィールドに存在するカードを1枚ずつ破壊するんじゃ!いけぇ!!」

《スクラップ・ドラゴン》の口に緑色のエネルギー体に変化した《ドラグニティ―ファランクス》が吸収される。

そして、のどのあたりに設置されたファンの回転数を通常の2倍以上に増やし、口から緑色の竜巻を放つ。

それによってセキュリティのフィールドに伏せられていた伏せカードが細切れにされていく。

 

破壊された伏せカード

・シンクロン・リフレクト

 

「このままとどめをさしたいところだが、《シンクロ・マテリアル》の代償としてバトルフェイズは行えない。獲物に目がくらみ、嵐の海に身を投じるわけにはいかんからな!俺はこれでターンエンド!」

 

セキュリティ

手札2

ライフ4000

場 伏せカード1

 

漁介

手札4→0

ライフ2650

場 ドラグニティナイト―ガジャルグ レベル6 攻撃2400

  スクラップ・ドラゴン レベル8 攻撃2800

 

ライフに変動はなかったが、漁介のフィールドに2体のシンクロモンスターが現れ、セキュリティのモンスターが全滅した。

これは形勢逆転と言ってもいいかもしれないものの、彼の手札はまだ2枚。

油断はできない。

「私のターン、ドロー!」

 

セキュリティ

手札2→3

 

「罠カード《ロスト・スター・ディセント》を発動!墓地のシンクロモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、レベルが1つ下がり、守備力が0となる」

《ロスト・スター・ディセント》のソリッドビジョンの中から《ゴヨウ・プレデター》が飛び出してくる。

 

ゴヨウ・プレデター レベル6→5 守備1200→0

 

「更に手札から《トップ・ランナー》を召喚!」

 

トップ・ランナー レベル4 攻撃1100(チューナー)

 

「レベル5の《ゴヨウ・プレデター》にレベル4の《トップ・ランナー》をチューニング!戒めの鎧と共に再び群がる悪鬼を捕縛せよ!シンクロ召喚!レベル9!《ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ》!」

姿は《ゴヨウ・ガーディアン》そのものだが、右腕や左目が機械化していて、上半身が厚手で重量感のある鋼鉄製の大鎧へと交換されているモンスターが現れる。

これはおそらく、禁止カードとなってしまったことへの戒めのためなのだろう。

 

ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ レベル9 攻撃2800

 

「《ゴヨウ・ガーディアンMk-Ⅱ》は戦闘で破壊し墓地へ送った相手モンスターを私のフィールドに守備表示で特殊召喚することができる!《ガジャルグ》を捕縛しろ!」

《ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ》の左目が《ドラグニティナイト―ガジャルグ》の距離と質量などを計算したうえで武器である縄付き十手の最適な動きを脳に電気信号で伝える。

そして、その通りに《ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ》は十手を投げ、後ろについている縄でそのモンスターを拘束する。

「くそぉ!!」

 

漁介

ライフ2650→2250

 

ドラグニティナイト―ガジャルグ レベル6 守備800

 

ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ

レベル9 攻撃2800 守備2000 シンクロ 地属性 戦士族

戦士族チューナー+Sモンスターを含む戦士族モンスター1体以上

(1):このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。

 

「更に私は罠カード《奈落からの捕縛》を発動。相手の墓地に存在するモンスターの特殊召喚に成功した時、フィールド上のカードを1枚破壊する。私は《スクラップ・ドラゴン》を破壊する!」

地中から現れた複数の錆びた剣が現れ、それらが的確に《スクラップ・ドラゴン》の関節部分を切断する。

そして、それによって転倒したくず鉄の竜をリンチするかのように剣が何度も攻撃して破壊した。

 

奈落からの捕縛

通常罠カード

(1):相手の墓地に存在するモンスターを自分フィールド上に特殊召喚した時に発動できる。フィールド上に存在するカード1枚を破壊する。

 

「また俺のモンスターが全滅じゃと!?」

《ゴヨウ・ガーディアン》をデチューンしたモンスターとはいえ、フィールドに現れた以上はほぼ同じ力鵜を持ったモンスター。

そのモンスターを排除しなければ、更に漁介の戦況が悪化していく。

「私はこれでターンエンド!」

 

セキュリティ

手札3→2

ライフ4000

場 ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ レベル9 攻撃2800

  ドラグニティナイト―ガジャルグ レベル6 守備800

 

漁介

手札0

ライフ2250

場 なし

 

「おいおい漁介、こんな奴に負けるのかよ?」

手札とフィールドにカードがなく、セキュリティのライフはまだ4000。

この状況からの逆転は非常に難しい。

セキュりティは勝利を確信したように笑みを浮かべる。

「さあ、サレンダーしろ!もう貴様に勝ち目はない!」

「何言っとるんじゃ?まだまだデュエルはこれからだ!俺のターン、ドロー!」

 

漁介

手札0→1

 

「俺は手札から《ドラグニティ―アンカー》を召喚!」

背中に銀色の鎖と黒いフックのアンカーを装着した緑色の瞳と紫色の体で4本脚の小さな西洋風の竜が現れる。

翼はなく、鎧は青一色で顔以外全身を覆うような構造になっている。

 

ドラグニティ―アンカー レベル2 攻撃100(チューナー)

 

「このカードの召喚に成功した時、俺のフィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しないとき、相手フィールド上に存在するモンスター1体とこのカードを素材にドラグニティシンクロモンスターをシンクロ召喚できる!戻ってくるんじゃ、《ガジャルグ》!!」

「何!?私のフィールド上のモンスターをまたシンクロ素材にするだと!?」

《ドラグニティ―アンカー》の背中から発射されたアンカーを掴んだ《ドラグニティナイト―ガジャルグ》が漁介のフィールドへ戻っていき、2体がシンクロ召喚の態勢に入る。

「幾千もの刃を束ねし騎兵の槍、今こそ大海の主を貫く銛になるんじゃ!シンクロ召喚!レベル8!《ドラグニティナイト―バルーチャ!!》!」

フィールドになぜか《ドラグニティ―ピルム》と《ドラグニティ―アングス》が姿を見せる。

そして、《ドラグニティ―ピルム》が急激に肉体を巨大化させ、その背中に《ドラグニティ―アングス》を乗せる。

 

ドラグニティナイト―バルーチャ レベル8 攻撃2000

 

ドラグニティ―アンカー

レベル2 攻撃100 守備100 チューナー 風属性 ドラゴン族

「ドラグニティ―アンカー」の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードの召喚・特殊召喚に成功した時、自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しない場合、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとこのカードをフィールドから墓地へ送る。その後、墓地へ送ったそのモンスター2体の元々のレベルの合計と同じレベルを持つ「ドラグニティ」Sモンスター1体をエクストラデッキからS召喚扱いで特殊召喚する。

 

「《バルーチャ》の効果発動!このカードのシンクロ召喚に成功した時、墓地に存在するドラグニティドラゴン族モンスターを可能な限りこのカードに装備させる!そして、このカードは装備しているドラグニティカード1枚につき、攻撃力が300アップするんじゃ!」

「何!?」

《ドラグニティ―アングス》が懐からほら貝をだし、それを吹くと、墓地から3体の《ドラグニティ―ファランクス》と《ドラグニティ―ブランディストック》、そして《ドラグニティ―アンカー》が現れ、それぞれが所持している防具を武器に変形させて投擲する。

5体の仲間に武器をそれぞれ分け合い、《ドラグニティ―アングス》の左腕にはスパイクシールド、右腕にはアンカーが装備させる。

そして、《ドラグニティ―ピルム》の右腕には3本の槍が爪のように装着された。

 

ドラグニティナイト―バルーチャ レベル8 攻撃2000→3500

 

「攻撃力3500!!?」

「そして分かってるよな!?《ブランディストック》の効果を!!こいつを装備したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2度攻撃できるんじゃ!いけーー、《バルーチャ》!!」

《ドラグニティ―ピルム》が咆哮しながら《ゴヨウ・ガーディアンMK‐Ⅱ》に突撃する。

突撃と同時に何本もの刃がその捕縛者の肉体を次々と貫き、ハチの巣へと変えていく。

「ぐおおおお!!」

 

セキュリティ

ライフ4000→3300

 

「さあ、こいつで仕留める!《バルーチャ》の2回目の攻撃!!」

《ドラグニティ―アングス》が《ドラグニティ―ピルム》から飛び降り、アンカーを発射する。

アンカーによってセキュリティの体を縛ると、そのままとびかかって左腕のスパイクシールドで腹部に想い一撃を加えた。

「ぬぐぅ…!!」

 

セキュリティ

ライフ3300→0

 

「よし、さっさとこいつをつまみ出すぞ!」

デュエルに敗北した影響か、気絶したセキュリティをディーラー達が運んでいく。

「あんまり大した奴じゃなかったな、こんな奴に押されるなんてな」

「じゃあ翔太がデュエルしたらよかったじゃろう!?」

勝利したとはいえ、いいように利用されたという気分がぬぐいきれない漁介が翔太に怒りをぶつける。

「俺なら楽勝だ、この程度。お前にとっていい練習台になっただろ?心地の良いプレッシャーもあってな」

「よお、いいデュエルだったじゃねえか」

漁介が反撃する前に、例の大男が翔太たちの前に姿を見せる。

「当然だ。で、贈り物の効果はどうなんだ?」

「贈り物?ああ、効果てきめんだ。あと、ありがとうな。ここはコモンズがトップスの腐った奴らに痛い目合わせるためのカジノだ。俺のせいでつぶれるようなことにされたら困るからな」

「どうもありがとうございます」

大男と話している間にディーラーの男が翔太たちの下へ封筒を持って歩いてくる。

「その封筒は何だ?」

「報酬でございます。どうか、お納めください」

鬼柳が翔太の代わりに封筒を取り、中身を見る。

「30万イェーガー…そんなにくれるのかよ?」

「ええ。もっとも大きな声では言えませんが、カモになるトップス連中が来るので、収益はかなりありますからね」

それだけ言うと、男はすぐに通常の営業へ戻る準備をするために戻っていった。

「…ま、まあ金が手に入ったんじゃからこれで闇市に行って…」

「ちょっと待ちな、この金のいい使い道を俺は知っているぜ?」

鬼柳から封筒を取ろうとした漁介よりも先に大男が封筒を取る。

「はぁ?いい使い道だ?」

「ああ、うまくいけば三方良しの関係をこの金で作ることができる。お前らのこれからの活動にも役に立つはずだ。シェイドさんよ」

大男の言葉に漁介と鬼柳が驚き、翔太は彼を怪しむように見る。

それもそのはず、現段階でシェイドという名前を知っているのはヒイロを除くと翔太達だけだ。

「お前らがどうしてここに来たのかは知っている。訳ありで、お前らと組みたいと思ってな」

「何者なんだよ…デクの棒」

翔太の暴言をにやっと笑って受け流した大男が自分の名前を口にする。

「俺の名前はモハメド。デッキとデュエルディスクを失った流れ者だ」

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