遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第53話 金の力

「んん…ふああ…」

まだ太陽の光が差し込んでいない午前4時。

柚子はまだ眠っているほかのメンバーに迷惑がかからないよう、外で折り畳み机と椅子を置いて経理の勉強を始める。

こうしていると、お金の計算をしていつも頭を抱えていた修造のことを思い出す。

(お父さん…タツヤ君、アユちゃん、フトシ君…おばさん)

彼らは今スタンダード次元で何をしているのだろうか。

融合次元からの攻撃はヴァプラ隊が防いでくれているとのことだが、それがいつまで持つのだろうか。

情報が入ってこない分、不安が増していく。

スタンダード次元のことも、遊矢のことも。

「なーに難しい顔をしてんだ?」

「あ…」

トレーラーのドアが開くと同時に翔太の声が聞こえる。

ほとんどの場合一番最後に伊織にたたき起こされる彼がなぜこの時間にと思ってしまう。

「経理の仕事か?めんどくせぇな」

柚子のノートを見ながら、げんなりとした表情を見せる。

「だったら代わってくれる?」

「誰がそんな仕事をするかよ。俺たちの手中にある工場や店、更に俺たちが何か手に入れると全部記録しなきゃいけないんだろ?やってられるか」

「そのやってられない仕事をあたしがしているのよ?全く、遊矢ならありがとうくらい言うはずよ…」

「俺とお前の未来の夫を比べるな。ったく…もう1度寝る」

頭を書きながら、懐から缶コーヒーを取り出して柚子の机の上に置く。

そして、そのままトレーラーの中へ戻る。

「翔太さん…私、コーヒー苦手なんだけど…」

きっと、早起きした自分のために置いてくれたのだろう。

気持ちはうれしいが、コーヒーが苦手な人にとっては有難迷惑だ。

更にいうと、無糖というおまけつき。

「はぁ…」

苦味で眠気が飛ぶならいいかと思い、柚子は缶コーヒーを一気飲みした。

 

そして、時間は経過して昼…。

モハメドに誘われた翔太はトレーラーのことを漁介達に任せ、港へ足を運んだ。

「へぇ…さすがに仕事が早いな。それに…」

港近くにある大きな広場では元ホイールズのメンバーが訓練をしていて、雇ったコモンズの労働者たちが係留している船から荷物を降ろしている。

荷物チェックをしている人間の中にはチームブレイドのメンバーもいる。

「で、港の見学のために俺をここまで連れてきたのか?」

「それだけじゃない。お前に少し、人事について勉強してもらおうと思ってな」

「人事?めんどくせぇ…」

「そう言うな。シティは広い。仮にシェイドの勢力をひろげたとしても、1人ですべての地区を管理できるというわけではない。だから、地区ごとに各分野の担当者を配置するんだ。とりあえず、今は元ホエールズの奴らを配置しておいたぞ」

「各分野…1人だけじゃないのかよ?」

「そうだ。まずは今ここで訓練させている奴らがいるだろ?」

モハメドは訓練を受けているギャング達の前で指導している男を見る。

シェイドには制服がないため、区別のために服の左胸部分にシェイドのエンブレムがついたシールが貼られている。

「こいつが教官だ。地区にいる他のメンバーを鍛えている。そして、抗争になった時や他の地区に工作を行う際は指揮官になる」

「工作…?たとえばなんだ?」

「Dホイールの破壊や資源の奪取、デマのばら撒きや内通者及び裏切り者の仕立て…そんな感じだ」

「なるほどな。遊矢達には絶対できないことだな」

ある意味では汚れ仕事である工作活動。

これについては離さなければならなくなる時が来るまで伊織達には言わないようにしようと心に決めた。

「次は交渉人だ。こいつはギャングメンバーの募集や他のギャングとの交渉が仕事だ。チームブレイドと行ったような同盟や小規模なチームに対する降伏勧告、戦った敵チームとの和平交渉と交渉といってもいろいろある」

「和平…?」

ギャング同士の戦いはどちらか一方のリーダーがやられるまで終わらないものと思っていた翔太は首をかしげる。

そんな翔太の疑問が分かっているかのように、モハメドが発言する。

「俺たちには何年も時間があるわけじゃない。戦って力の差を見せつけたうえで和平交渉で相手の縄張りを一部手にするという選択肢もあるということだ。まぁ、難しいことはその交渉人に任せるといい。あと交渉人はメンバー募集する必要があるから、遠い地区での交渉に呼び出すのは無しだぞ」

「はぁ。リーダーってのは大変だな」

なし崩しでリーダーとなった翔太にとっては酷な話だろう。

委員会や部活とは規模がまるで違い、そもそも記憶喪失の彼にはリーダーの経験がまるでない。

だが、なったからにはやるしかない。

「もう1つは情報屋だな。シェイドがコモンズから支持されるにはとにかく経済的な発展と縄張りにいる人々の生活の向上が肝心だ。投資可能な商店や工場を見つけ出したり、ニーズがある、もしくは高値で取引できる商品を探し出してくれる。まあ、今すぐ全部覚えろとは言わん。必要な場合は俺がサポートする」

「おーーい!!他の地区の奴らが今再建中のチーズ工場で労働者に暴行を働いている!!」

「ちっ…嫌がらせかよ」

モハメドの言うとおり、縄張りを発展させることはコモンズからの支持を得るのに有効な手段だ。

特に将来ランサーズとして一緒に戦ってくれるデュエリストを得るには。

ただし、他のギャングにとってはあまり面白くない話。

今回のように、邪魔をしようと動くのは目に見えている。

「翔太、大抵の嫌がらせはここにいるメンバーがなんとかするだろう。だが、それだけでは解決できない事案も存在する。その時はお前が直接解決することになる」

「ふぅ…大体分かった」

めんどくさいと思いつつ、翔太はマシンキャバルリーに乗る。

ディスプレイにマップを表示すると、自動的に騒ぎが起こっている場所が赤い点で強調される。

「小川とのデュエルが中断したんだ、お前らでその埋め合わせをしてもらうぜ?」

 

「オラァ、金だせって言ってんだよぉ!!」

「ひぃぃ…許して、許して…」

工場前の広場で、黒いシャツとジャケットを着た、青い髪で右の頬にマーカーがついている日焼けした肌の男が倒れている壮年の男性の腹を蹴っている。

そのそばには緑色のスーツと黒いサングラスの男と紫のYシャツとネクタイの男が取り巻き、一緒に他の労働者が見張っている。

彼らの腰には銃があり、そのためか他の労働者は助けに行きたくても行けない。

「シーシシシ!!早くお前らも金を出さないとあのおっさんみたいななるぜー?」

「ちょっとでも抵抗したら…ズドン!!だぜ?瓜生さん、怖いかななぁー」

「ったく、これだけしかねえのかよ」

瓜生と呼ばれた青い髪の男は壮年の男が持っている茶色いツギハギの多い財布を奪い、その中身を見ながら文句を言う。

小銭を含めると、持ち金は4351イェーガーだ。

「た、頼む…返してくれ…。これがないと、女房と娘が…」

「うるせぇな!!」

銃を引き抜き、持ち手の部分で壮年の男の顔面を殴る。

殴られた男はそのまま意識を失う。

「お前らはやく金よこせよ。でないと次の賭けデュエルに遅れちまう」

「こそ泥にやる金はねーよ」

「あん?」

声が聞こえた方向に振り向くと、そこにはマシンキャバルリーに乗った翔太がいた。

賭けデュエルと言う言葉を聞いた翔太はにやりとする。

「こいつらからよりも、俺から金をたかった方が数倍も得だぜ。これくらいで足りるか?」

懐から15万イェーガーを取り出し、瓜生に見せる。

コモンズでは見たことのない大金に瓜生達は驚きと共に、欲望を膨らませていく。

「ま、タダでやるつもりはないけどな。俺とライディングデュエルをするのはどうだ?」

「ライディングデュエルだと…?」

「表に置いてあるDホイール、お前らのだろ?お前が勝ったら15万渡してやる。悪くない条件だろ?」

そう言いつつ、左腕のホルダーにデッキと手札をセットする。

勝てば大金、膨らんだ欲望が瓜生の思考を鈍らせる。

「乗ったぜ、そのデュエル…。トップス育ちの俺がお前らコモンズに負けるはずがねえからな!」

「そうだそうだ!!瓜生さんはトップスのプロデュエリスト候補生だった人だ!お前らクズとは核が違う!!」

瓜生達の自慢話を聞き、翔太が心の中で失笑する。

この馬鹿め、と。

(マーカー付きってことは、ヘマして落ちてきたんだろ?お前らには更に下の地獄が似合いだよ)

マーカーについてはモハメドからある程度聞いている。

犯罪者、もしくはトップスの住民に危害を加えるなどをしたコモンズの住民の顔に脱獄もしくは再犯阻止のためという名目でつけられる刻印。

マーカーをつけられた人物は常に居場所をセキュリティに把握される。

強制収容所で一定期間働き、罪を償うことで消すことができるのだが、それは建前で原則としてマーカーを消すことは許されない。

消すだけでも重い罪に問われるのだ。

そういう理由のためか、マーカー付きのコモンズ出身者をトップスの住民はもはや人として認識することがないという。

そんな話を思い出している間に、取り巻きの2人が瓜生のDホイールを持ってくる。

パトライトが外され、塗装が緑色となっているが、デュエルチェイサーズのDホイールを鹵獲したものなのは確かだ。

(盗品を使うのか…まぁ、俺らも同じような物だけどな)

(確かあいつは秋山翔太…シェイドのリーダーだったな)

翔太の顔を見た瓜生がにやりと笑う。

そして、先日会った白い仮面をつけた男からの依頼を思い出す。

(最近現れたギャング、シェイドのリーダーを連行すれば200万イェーガーをくれると言ってたな。とんだボーナスが入ったもんだ!こいつを賄賂にして、うまくいけばマーカーを消してトップスへ戻ることができる!!それに…)

Dホイールに乗り、手札とデッキをホルダーに装着した後でエクストラデッキを見る。

(前金としてもらったあのカード、こいつさえあれば…勝てる!)

 

2台のDホイールは工場前の道路に並列する。

「さあ…始めようぜ。俺らの賭けデュエルをな…!」

「負けても恨むんじゃないぜ?」

「お前がなぁ、いくぜ…ライデュングデュエルアクセラレーション!!」

2台のDホイールが同時に発進する。

 

瓜生

手札5

SPC0

ライフ4000

 

翔太

手札5

SPC0

ライフ4000

 

「瓜生さん、やっちゃってくださーい!」

「シーシシシ!!」

「俺のターン、俺は手札から《電動刃虫》を召喚!」

ハサミ部分がチェーンソーとなっている青と銀のクワガタムシが現れる。

現れると同時に背中に羽を広げ、瓜生に追随する形で飛行する。

「いきなり攻撃力2400のモンスター!?」

「最初のターンからプレッシャーをかけてきてるぞ…!」

レベル4であるにもかかわらず破格の攻撃力を持つ《電動刃虫》の登場に、修理されたブラウン管テレビで観戦する労働者たちが動揺する。

丁度、休憩時間に入っているため彼らをしかる人物はいない。

「そして俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!」

 

瓜生

手札5→2

SPC0

ライフ4000

場 電動刃虫 レベル4 攻撃2400

  伏せカード2

 

翔太

手札5

SPC0

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

SPC0→1

 

瓜生

SPC0→1

 

「相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。《六武衆のご隠居》を特殊召喚」

 

六武衆のご隠居 レベル3 攻撃400

 

「更に俺は《六武衆の九ノ一》を召喚」

 

六武衆の九ノ一 レベル3 攻撃1200(チューナー)

 

「レベル3の《ご隠居》にレベル3の《九ノ一》をチューニング。シンクロ召喚!現れろ、《ゴヨウ・プレデター》!」

 

ゴヨウ・プレデター レベル6 攻撃2400

 

「へっ!レベル6のシンクロモンスターを召喚したのはいいけどな、攻撃力は《電動刃虫》と同じじゃ話にならねえよ!」

瓜生の笑い声を無視し、翔太はデュエルを進める、

「《九ノ一》の効果発動。このカードを素材に戦士族シンクロモンスターのシンクロ召喚に成功した時、デッキから六武と名のつく魔法・罠カード1枚を手札に加えることができる。俺はデッキから《六武流剣術―真空斬》を手札に加える。そして、俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

瓜生

手札2

SPC1

ライフ4000

場 電動刃虫 レベル4 攻撃2400

  伏せカード2

 

翔太

手札6→3

SPC1

ライフ4000

場 ゴヨウ・プレデター レベル6 攻撃2400

  伏せカード2

 

伏せカードもしくは手札のいずれかは《六武流剣術―真空斬》

 

「このままどんどんやらせてもらうぜ?俺のターン、ドロー!!」

 

瓜生

手札2→3

SPC1→2

 

翔太

SPC1→2

 

「俺は手札から《代打バッター》を召喚!」

 

代打バッター レベル4 攻撃1000

 

「厄介なモンスターが出やがったな…」

瓜生の隣で飛ぶ《代打バッター》に苦い表情を浮かべる。

昆虫族デッキに欠かせない強力な召喚補助モンスターの登場だ。

「そして、このカードは俺のフィールドにバッターモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《スイッチバッター》を特殊召喚!」

《代打バッター》と同じ容姿ではあるが、茶色い皮となっているバッタ型モンスターが飛び出す。

 

スイッチバッター レベル3 攻撃600(チューナー)

 

「《スイッチバッター》は特殊召喚に成功した時、俺のフィールド上に存在する昆虫族モンスター1体を破壊する。俺は《代打バッター》を破壊する!」

破戒対象となった《代打バッター》の背中にひびが入る。

「《代打バッター》はフィールドから墓地へ送られた時、手札から昆虫族モンスター1体を特殊召喚できる。俺は手札から《鉄鋼装甲虫》を特殊召喚!」

背中にできたひびがどんどん大きくなっていき、その中から赤い本体を鋼でできた殻を覆い隠している、亀に近い容姿の昆虫が現れる。

 

鉄鋼装甲虫 レベル8 攻撃2800

 

スイッチバッター

レベル3 攻撃600 守備500 チューナー 地属性 昆虫族

(1):自分フィールド上に「バッター」モンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。

(2):このカードの特殊召喚に成功した時、自分フィールド上に存在する昆虫族モンスター1体を対象に発動する。そのモンスターを破壊する。

 

「更に俺は永続罠《リビングデッドの呼び声》を発動!その効果で墓地から《代打バッター》を特殊召喚!」

地面に落ちた《代打バッター》の抜け殻が土に還る。

そして、《リビングデッドの呼び声》のソリッドビジョンから新たな《代打バッター》が飛び出す。

 

代打バッター レベル4 攻撃1000

 

「レベル4の《代打バッター》にレベル3の《スイッチバッター》をチューニング!シンクロ召喚!現れろ、レベル7!《ネプチューン・ビートル》!」

瓜生の背後のアスファルトが急に隆起し、そこから水柱が発生する。

そして、その中から青くて2メートル近い大きさのネプチューンオオカブトをもした昆虫族モンスターが飛び出してくる。

 

ネプチューン・ビートル レベル7 攻撃2300

 

「《ネプチューン・ビートル》の効果発動!このカードのシンクロ召喚に成功した時、俺はデッキから昆虫族モンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《デビルドーザー》を手札に加える!更に、《デビルドーザー》は墓地の昆虫族モンスター2体を除外することで、手札から特殊召喚できる!」

「何…!?」

急に翔太の背後のアスファルトに大きな穴が開き、そこから赤い4メートル以上の長さを誇るムカデを模したモンスターが出てきて、頭上から翔太を捕食しようとにらんでくる。

 

デビルドーザー レベル8 攻撃2800

 

ゲームから除外されたカード

・代打バッター

・スイッチバッター

 

「さっすが瓜生さん!たった1ターンで3体も上級モンスターを召喚したーー!!」

「シーシシシ!!」

「みたか!?これがトップス出身、プロデュエリスト候補生の瓜生一角のパワーインセクトデッキの本領だーー!」

得意げに自分のデッキの強さを自慢する瓜生に翔太は冷ややかな目を見せる。

「御託はいい。さっさとデュエルを進めろよ」

「へっ!攻撃力2400程度の《ゴヨウ・プレデター》しかいないお前に何ができる?バトル…」

「罠発動、《威嚇する咆哮》。これでお前はこのターン、攻撃宣言できない」

捕食する機会を失った《デビルドーザー》が時を待つため、再びその身を地中へと隠していく。

1ターンキルが防がれたことで、観戦している労働者たちは安堵する。

「へっ…1ターン生き延びただけだ!それに、このままなら次のターンに負けるのは目に見えてる。俺はこれでターンエンド!」

 

瓜生

手札3→0

SPC2

ライフ4000

場 電動刃虫 レベル4 攻撃2400

  デビルドーザー レベル8 攻撃2800

  ネプチューン・ビートル レベル7 攻撃2300

  鉄鋼装甲虫 レベル8 攻撃2800

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札3

SPC2

ライフ4000

場 ゴヨウ・プレデター レベル6 攻撃2400

  伏せカード1

 

伏せカードもしくは手札のいずれかは《六武流剣術―真空斬》

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札3→4

SPC2→3

 

瓜生

SPC2→3

 

ドローしたカードを見た翔太は即座に行動に出る。

「相手フィールド上にモンスターが存在し、俺のフィールド上に存在するモンスターが戦士族のみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。《紫炎の記録者》を特殊召喚!」

右腕を露出させた大鎧を身に着けた銀杏髷の若者が現れる。

左手には弓が握られていて、腰には筆と墨汁が入ったひょうたん、そしてメモ用の和紙の巻物がかけられている。

 

紫炎の記録者 レベル1 攻撃300

 

紫炎の記録者

レベル1 攻撃400 守備400 効果 闇属性 戦士族

「紫炎の記録者」は1ターンに1度しか(1)の方法で特殊召喚できない。

(1):相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上に存在するモンスターが戦士族モンスターのみの場合、このカードは手札から特殊召喚できる。

 

「そして、《六武衆の影武者》を召喚」

 

六武衆の影武者 レベル2 攻撃400(チューナー)

 

「レベル1の《記録者》とレベル6の《ゴヨウ・プレデター》にレベル2の《影武者》をチューニング。シンクロ召喚!現れろ、《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》!」

 

ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ レベル9 攻撃2800

 

「《ゴヨウ・ガーディアンMk-Ⅱ》だと!?あの野郎、そんなカードまで…」

ゴヨウモンスターはセキュリティにに支給される専用のカードで、《ゴヨウ・ガーディアンMk-Ⅱ》や《ゴヨウ・キング》に関しては更に選抜された人材で構成された特殊追跡部隊デュエルチェイサーズのエース、もしくは捕縛隊という収容所脱走者追跡部隊に回される特別なカードだ。

ギャングのような非合法(トップスにとっては)の組織がそのカードを持つということはそれほどのレベルの相手を倒して奪ったということを意味する。

もしくは拾ったか…。

「そして、俺は手札から《Sp-ハーフ・シーズ》を発動。スピードカウンターが3つ以上あるとき、相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を半分にし、その数値分俺のライフを回復させる」

《Sp-ハーフ・シーズ》のソリッドビジョンから放たれた緑色の光が《鉄鋼装甲虫》を包んでいく。

そして、その光は翔太の体に吸収されて生命力へと変わっていく。

 

鉄鋼装甲虫 レベル8 攻撃2800→1400

 

翔太

ライフ4000→5400

 

「バトルだ。俺は《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》で《鉄鋼装甲虫》を攻撃!」

《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》が投げた縄付き十手で、生命力を奪われてその場に倒れている《鉄鋼装甲虫》を拘束する。

「こいつは戦闘で破壊し墓地へ送った相手モンスターを俺のフィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる」

 

瓜生

ライフ4000→2600

SPC3→2

 

鉄鋼装甲虫 レベル8 守備1500

 

「あの瓜生さんが先制された!?」

「シシシー…」

先制と同時に瓜生のスピードカウンターが低下したことで、取り巻き達がトーンダウンする。

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

瓜生

手札0

SPC2

ライフ2600

場 電動刃虫 レベル4 攻撃2400

  デビルドーザー レベル8 攻撃2800

  ネプチューン・ビートル レベル7 攻撃2300

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札4→0

SPC3

ライフ5400

場 ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ レベル9 攻撃2800

  鉄鋼装甲虫 レベル8 守備1500

  伏せカード2(うち1枚《六武流剣術―真空斬》)

 

「あんの野郎…コモンズのクズのくせに…」

先制され、低下したスピードカウンターを見て瓜生がイライラし始める。

そんな自分を落ち着かせたいのか、フウウと息をする。

「俺のターン、ドロー!」

 

瓜生

手札0→1

APC2→3

 

翔太

SPC3→4

 

「俺は《電動刃虫》と《ネプチューン・ビートル》を守備表示に変更」

 

電動刃虫 レベル4 攻撃2400→守備0

ネプチューン・ビートル レベル8 攻撃2300→守備2200

 

「バトルだ!《デビルドーザー》で《鉄鋼装甲虫》を攻撃!!」

再び地中から姿を現した《デビルドーザー》が口で《鉄鋼装甲虫》を捕縛し、そのまま地中へもぐろうとする。

縄で拘束したままだった《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》はやむなく縄を斬って、巻き込まれるのを阻止する。

「俺はこれでターンエンド!」

 

瓜生

手札1

SPC3

ライフ2600

場 電動刃虫 レベル4 守備0

  デビルドーザー レベル8 攻撃2800

  ネプチューン・ビートル レベル7 守備2200

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札0

SPC4

ライフ5400

場 ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ レベル9 攻撃2800

  伏せカード2(うち1枚《六武流剣術―真空斬》)

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札0→1

SPC4→5

 

瓜生

SPC3→4

 

「バトル。俺は《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》で《電動刃虫》を攻撃」

《ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ》が十手を取り出すと、近くで落ちている鎖を拾ってそれに取り付ける。

そして、十手を投げて《電動刃虫》を捕縛する。

「《電動刃虫》の効果発動!このカードが戦闘を行ったダメージステップ終了時にお前はデッキからカードを1枚ドローする。さっさとドローしろ!」

「そんなことは分かってる。黙ってろ」

 

翔太

手札1→2

 

電動刃虫 レベル4 守備0

 

「ここで俺は永続罠《便乗》を発動!これで俺はこの後から相手がドローフェイズ以外にカードをドローする度にデッキからカードを2枚ドローする。《スピード・ワールド3》や《Sp-ダウン・シフト》の効果でドローしたら、俺もドローさせてもらうぜ?」

「だろうな…俺はモンスターを裏守備表示で召喚。これでターンエンドだ」

 

瓜生

手札1

SPC4

ライフ2600

場 デビルドーザー レベル8 攻撃2800

  ネプチューン・ビートル レベル7 守備2200

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  便乗(永続罠)

 

翔太

手札2→1

SPC5

ライフ5400

場 ゴヨウ・ガーディアンMK-Ⅱ レベル9 攻撃2800

  電動刃虫 レベル4 守備0

  裏守備モンスター1

  伏せカード2(うち1枚《六武流剣術―真空斬》)

 

「俺のターン、ドロー!」

 

瓜生

手札1→2

SPC4→5

 

翔太

SPC5→6

 

「ははは…これはいいカードを引いたぜ!俺は手札から《Sp-シルバー・コントレイル》を発動!スピードカウンターが5つ以上あるとき、俺のフィールド上のモンスター1体の攻撃力をバトルフェイズの間だけ1000アップする!」

《Sp-シルバー・コントレイル》のソリッドビジョンから放たれる銀色の光が地中に向けて放たれる。

すると、ずっとその中に隠れていた《デビルドーザー》が銀色の皮に変化しながら出てくる。

「そして、《ネプチューン・ビートル》を攻撃表示に変更!」

 

デビルドーザー レベル8 攻撃2800→3800(バトルフェイズ中のみ)

ネプチューン・ビートル レベル7 守備2200→攻撃2300

 

Sp-シルバー・コントレイル(アニメオリカ)

通常魔法カード

(1):自分用スピードカウンターが5つ以上ある場合に発動する事ができる。自分フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力をこのターンのバトルフェイズの間1000アップする。

 

「バトルだ!俺は《デビルドーザー》で《ゴヨウ・ガーディアンMk-Ⅱ》を攻撃!!」

銀色の光を放ちながら、《デビルドーザー》が機械化しているはずの《ゴヨウ・ガーディアンMk-Ⅱ》を丸呑みする。

「ちっ…!」

 

翔太

ライフ5400→4400

SPC6→5

 

「更に、《ネプチューン・ビートル》で《電動刃虫》を攻撃!」

巨大な《デビルドーザー》の後ろに隠れていた《ネプチューン・ビートル》が角を中心にして回転をしながら突撃する。

そして、《電動刃虫》を鎖から解き放ち、そのモンスターは《デビルドーザー》が作ったトンネルの中へ消えて行った。

「そして、《電動刃虫》の効果で俺はデッキからカードを1枚ドローするぞ。そして、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

瓜生

手札2→1

SPC5

ライフ2600

場 デビルドーザー レベル8 攻撃2800

  ネプチューン・ビートル レベル7 守備2200

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  便乗(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札1

SPC5

ライフ4400

場 裏守備モンスター1

  伏せカード2(うち1枚《六武流剣術―真空斬》)

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札1→2

SPC5→6

 

瓜生

SPC5→6

 

「俺は《六武衆の影武者》を反転召喚」

 

六武衆の影武者 レベル2 攻撃400(チューナー)

 

「そして、このカードは俺のフィールド上にほかの六武衆が存在するとき、手札から特殊召喚できる。《真六武衆―キザン》を特殊召喚!」

 

真六武衆―キザン レベル4 攻撃1700

 

「レベル4の《キザン》にレベル2の《影武者》をチューニング。シンクロ召喚!《六武将‐ザンジ》!」

オレンジ色の甲冑と2本角の兜を装備した、額に右斜めまっすぐな切傷の痕が残る武士が現れる。

甲冑は右腕が完全に露出した独特なものとなっており、右手に握られている薙刀の持ち手は白い包帯で包まれている。

 

六武将‐ザンジ レベル6 攻撃2100

 

「へっ…何かと思えば、攻撃力はたったの2100じゃねえか!」

新たなシンクロモンスターに驚いた瓜生だが、ステータスだけを見ると大したことがなかったことからにやりと笑う。

「このカードはルール上、六武衆モンスターとして扱われる。そして、俺は手札から《Sp-エナジー・チャージ》を発動。俺のスピードカウンターが4つ以上存在するとき、俺か相手の墓地からレベル4以下のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する。俺は墓地から《六武衆の影武者》を特殊召喚!」

 

六武衆の影武者 レベル2 守備1800(チューナー)

 

Sp-エナジー・チャージ

通常魔法カード

(1):自分のスピードカウンターが4つ以上存在するとき、墓地に存在するレベル4以下のモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚する。

 

「バトル。俺は《ザンジ》で《デビルドーザー》を攻撃!」

「何!?」

「《ザンジ》は攻撃力2500以上のモンスターと戦闘を行う時、ダメージステップ終了時まで攻撃力を俺のフィールド上に存在する六武衆モンスター1体につき、400アップさせる!」

腰に折りたたんでつけられているもう1本の薙刀を左手に装備し、2刀流にスタイルを変化させる。

そして、2本の薙刀でアスファルトもろとも地中に潜む《デビルドーザー》を乱れ切りした。

 

六武将‐ザンジ レベル6 攻撃2100→2900(ダメージステップ終了時まで)

 

瓜生

ライフ2600→2500

 

六武将‐ザンジ

レベル6 攻撃2100 守備1800 シンクロ 光属性 戦士族

戦士族チューナー+チューナー以外の「六武衆」モンスター1体以上

このカードはルール上「六武衆」カードとしても扱う。

「六武将‐ザンジ」は自分フィールド上に1体しか存在できない。

(1):このカードが攻撃力2500以上のモンスターと戦闘を行う時、ダメージ計算開始前に発動する。ダメージステップ終了時までこのカードの攻撃力は自分フィールド上に存在する「六武衆」モンスターの数×400アップする。

(2):自分フィールド上に「六武将-ザンジ」「六武衆―ザンジ」以外の「六武衆」モンスター存在する場合、

このカードが相手モンスターを攻撃したダメージステップ終了時に発動する。そのモンスターを破壊する。

(3):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合に発動できる。代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」モンスター1体を破壊できる。

 

「くそぅ…!!」

《デビルドーザー》は破壊されたものの、まだ瓜生のフィールドには《ネプチューン・ビートル》が存在する。

《六武将-ザンジ》の攻撃力アップの効果は攻撃力2500以上のモンスターと戦う時にしか発動できない。

ただし、攻撃はできるものの更にフィールド上には《六武衆の影武者》が存在し、身代わりにされる可能性がある。

更にいうとこのカードはチューナー、ということは…。

「俺は更にレベル6の《ザンジ》にレベル2の《影武者》をチューニング。シンクロ召喚!現れろ、《六武将-ニサシ》!!」

《六武将-ザンジ》と入れ替わるように現れた新しい六武将。

容姿こそは《六武衆―ニサシ》とそっくりであるものの、露出していた腕は灰色に服で隠され、背中には船の櫂のような形の斧が新たに装備されている。

そして、顔についた複数の傷痕が多くの戦いを経験したことを連想させる。

 

六武将-ニサシ レベル8 攻撃1700

 

「このカードはシンクロ素材とした六武衆モンスター1体の攻撃力の半分を得る。《ザンジ》の攻撃力は2100。よって、1050アップだ!」

 

六武将-ニサシ レベル8 攻撃1700→2750

 

六武将-ニサシ

レベル8 攻撃1700 守備1000 シンクロ 風属性 戦士族

戦士族チューナー+チューナー以外の「六武衆」モンスター1体以上

このカードはルール上「六武衆」カードとしても扱う。

「六武将‐ニサシ」は自分フィールド上に1体しか存在できない。

(1):このカードがS召喚に成功した時、S素材となった「六武衆」モンスター1体を対象に発動できる。このカードの攻撃力はそのモンスターの元々の攻撃力の半分の数値分アップする。

(2):自分フィールド上に「六武将-ニサシ」「六武衆―ニサシ」以外の「六武衆」モンスターが存在する場合、

このカードは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる。

(3):フィールド上に表側表示で存在するこのカードが破壊される場合に発動できる。代わりにこのカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する「六武衆」モンスター1体を破壊できる。

 

「攻撃力2750の2回攻撃モンスターだと!?」

「俺はこれでターンエンド。どうした?この程度で元プロデュエリスト候補生のトップスかよ?笑わせてくれるぜ」

 

瓜生

手札1

SPC6

ライフ2500

場 ネプチューン・ビートル レベル7 守備2200

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  便乗(永続罠)

  伏せカード1

 

翔太

手札2→0

SPC6

ライフ4400

場 六武将-ニサシ レベル8 攻撃2750

  伏せカード2(うち1枚《六武流剣術―真空斬》)

 

(ふざけるなよ…この俺が…トップスがコモンズに負けるなんてありえねー…)

自分にとって、トップスとコモンズは絶対に覆すことのできないコインの表裏。

ただしそれは逆に言うと、コモンズ相手とのデュエルでは絶対に負けてはならないという重荷。

それが瓜生の心を迷走させていく。

「ふざけるなふざけるなふざけるなぁーーー!!俺のターン、ドロー!!」

 

瓜生

手札1→2

SPC6→7

 

翔太

SPC6→7

 

「俺は《ネプチューン・ビートル》をリリース!《ミレニアム・スコーピオン》をアドバンス召喚!」

背中部分に複数の目が縦線を描くようについていて、額部分には千年眼の模造品がついている黒い蠍が現れる。

 

ミレニアム・スコーピオン レベル5 攻撃2000

 

ネプチューン・ビートル

レベル7 攻撃2300 守備2200 シンクロ 水属性 昆虫族

(1):このカードのS召喚に成功した時に発動できる。デッキから昆虫族モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードが相手モンスターの攻撃によって破壊され墓地へ送られた時に発動する。自分はデッキから昆虫族モンスター1体を墓地へ送る。

 

「そして、俺は手札から《Sp-デッド・フュージョン》を発動!」

「融合召喚…だと!?」

再び現れた融合召喚に翔太が動揺する。

そんな彼を見て瓜生は笑い始める。

「ハハハハ!!驚いただろ?これがトップスの力、お前らには絶対に与えられねー力だ!!俺のスピードカウンターが7つ以上あるとき、俺のフィールド上にセットされているカード1枚を墓地へ送ることで発動!俺のフィールド・墓地に存在するモンスターを素材に融合召喚できる。そして、融合素材となったモンスターは除外される!俺が融合素材とするのは《電動刃虫》、《代打バッター》、《ネプチューン・ビートル》、《スイッチバッター》、《ネプチューン・ビートル》!!」

地中から出てきた5匹の昆虫族が上空に現れる融合の渦に溶け込まれていく。

「悪魔の名を与えられし蠅の王よ!その英知で愚民どもを導け!融合召喚!レベル10!《失楽魔虫ベルゼビュート》!!」

融合の渦から出てきたのは目や口から黒い炎を放ち、魔法陣が刻まれた羽を持つ巨大な蠅。

足の一本一本が鋭い刃となっており、血がこびりついている。

 

失楽魔虫ベルゼビュート レベル10 攻撃3200

 

墓地へ送られた伏せカード

・トラップ・スタン

 

Sp-デッド・フュージョン

通常魔法カード

(1):自分のスピードカウンターが7つ以上存在するとき、自分フィールド上にセットされているカード1枚を墓地へ送ることで発動できる。自分フィールド上・墓地から融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを除外し、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

「気持ち悪い蠅だ…」

フィールド上に出現した蠅の王に白い目を向ける翔太。

そんな彼に対し、瓜生はこの融合モンスターの効果を説明する。

「《ベルゼビュート》の効果!こいつは1ターンに2度攻撃することができる!」

「ちっ…こいつも《ニサシ》と同じ効果か…!」

「さあ、せっかく出てきた将軍には退場してもらうぜーーー!!」

《失楽魔虫ベルゼビュート》の口から黒い炎が放たれる。

「罠発動!《六武流剣術―真空斬》!六武衆への攻撃を無効にする!」

しかし、《六武将-ニサシ》は背中に刺していた斧を手にとり、大きく振るうことで風を起こしてその炎をかき消す。

「発動したな…今、魔法・罠カードを発動したなーーー!!《ベルゼビュート》の効果発動!相手が俺のターンの間に魔法・罠カードを発動した時、相手フィールド上に存在するカード1枚を破壊できる!この効果の発動に対して、相手はカード効果を発動できない!!」

「何!?」

《失楽魔虫ベルゼビュート》の羽の魔法陣が白い光を放ち、地面に揺れが発生する。

そして、わずか2,3秒もたたないうちに《六武将-ニサシ》の足元から火柱が発生する。

「ぐ、くう…(この暑さ…実体化しているのか!?)」

よく見ると、炎の影響で火柱の近くに放置されているガラスの破片が溶けている。

ガラスの溶ける温度は600度から700度程度。

仮にこの火柱の近くにいたら、焼け死ぬのは確実だ。

(あの炎をまともに受けるわけにはいかないな…!)

「忘れるなよ?《ベルゼビュート》は2回攻撃できるんだ!さあ、あの生意気なコモンズを焼いちまえーーー!!」

《失楽魔虫ベルゼビュート》の口から再び放たれる黒い炎。

その炎が翔太を飲み込んでいく。

「ぐおおおおお!!!」

 

翔太

ライフ4400→1200

SPC7→3

 

「ハハハハ…気持ちいいぜ。生意気な奴を焼くっていうのはなー!さあ、とどめを刺すぜ…《ミレニアム・スコーピオン》でダイレクトアタック!!」

黒い炎が消え、マシンキャバルリーが走っているのを瓜生が確認する。

車体にはダメージがないものの、翔太の体にはいくつか火傷がある。

「攻撃宣言の直前に、俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動する!こいつの効果で俺はこのターン受けたダメージ1000毎に1枚カードをドローする。よって、俺はカードを3枚ドローする!!」

生存の望みをかけ、3枚のカードをドローする。

そして、彼に対して天から蜘蛛の糸が降りる。

「そして、俺は《ミレニアム・スコーピオン》の攻撃に対し、手札から《紫炎の防人》の効果を発動する!こいつは俺のフィールド上にモンスターが存在せず、相手の直接攻撃宣言時に手札から墓地へ送ることで、俺の墓地に存在するレベル4以下の六武衆モンスター1体を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる!」

奈良時代の防人を彷彿させる白いダボダボな服の上に黒い銅丸をつけた、ポニーテールの若者が地面に向けて矢を放つ。

矢が刺さった場所に黒い魔法陣が生まれ、その中から《六武衆の九ノ一》が現れ、煙球を投げる。

煙によって視界を封じられた《ミレニアム・スコーピオン》は急いで瓜生のそばまで戻っていく。

 

六武衆の九ノ一 レベル3 攻撃1200(チューナー)

 

紫炎の防人

レベル1 攻撃300 守備400 効果 地属性 戦士族

「紫炎の防人」の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、相手の直接攻撃宣言時にこのカードを手札から墓地へ送ることで発動できる。自分の墓地に存在するレベル4以下の「六武衆」モンスター1体を特殊召喚し、バトルフェイズを終了させる。

 

「ふん!モンスター効果なら《ベルゼビュート》の効果は発動できない。俺はここで《スピード・ワールド3》の効果を発動!スピードカウンターを6つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする。俺はこれでターンエンドだ」

 

瓜生

手札1

SPC7→1

ライフ2500

場 ミレニアム・スコーピオン レベル5 攻撃2000

  失楽魔虫ベルゼビュート レベル10 攻撃3200

  リビングレッドの呼び声(永続罠)

  便乗(永続罠)

 

翔太

手札0→3→2

SPC3

ライフ1200

場 六武衆の九ノ一 レベル3 攻撃1200(チューナー)

 

失楽魔虫ベルゼビュート

レベル10 攻撃3200 守備3000 融合 炎属性 昆虫族

昆虫族モンスター×5

このカードは融合召喚でのみ特殊召喚できる。

(1):このカードは1度のバトルフェイズ中に2度攻撃することができる。

(2):このカードは魔法・罠カードの効果では破壊されない。

(3):自分のターン、相手が魔法・罠カードを発動した時に相手フィールド上に存在するカード1枚を対象に発動できる。そのカードを破壊する。この効果の発動に対して、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない。

 

「ちっ…《ベルゼビュート》の攻撃で一気にスピードカウンターが…」

大ダメージが原因でスピードカウンターを4つも失ってしまった。

次のターンに増加するものを含めると、翔太のスピードカウンターは4つ。

これではドロー効果を発動することもできない。

「気持ち悪いことをしやがる…ま、できればあの融合モンスターと《融合》を奪っておきてえ…。俺のターン!」

 

翔太

手札2→3

SPC3→4

 

瓜生

SPC1→2

 

ドローしたカードをゆっくりと自分の目の前まで持っていく。

「(よし…!)俺は手札から《六武衆の師範代》を特殊召喚!こいつは俺のフィールド上に六武衆が存在するとき、手札から特殊召喚できる」

 

六武衆の師範代 レベル5 攻撃2100

 

「レベル5の《師範代》にレベル3の《九ノ一》をチューニング。シンクロ召喚!現れろ、《ギガンテック・ファイター》!」

 

ギガンテック・ファイター レベル8 攻撃2800

 

「このカードの攻撃力は俺とお前の墓地に存在する戦士族モンスター1体につき、100アップする。墓地に存在する戦士族モンスターは11体」

 

ギガンテック・ファイター レベル8 攻撃2800→3900

 

「攻撃力3900!?」

「更に俺は手札から《Sp-バーニング・エンジン》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体にターン終了時まで効果を与える。その効果は…戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!!」

「何!?」

《ギガンテック・ファイター》の背中に明々と燃え上がる大型のエンジンが取り付けられる。

それと同時にそのモンスターの体全体が炎に包まれていく。

「バトルだ!俺は《ギガンテック・ファイター》で《ベルゼビュート》を攻撃!!」

《ギガンテック・ファイター》が高く飛びあがり、右拳に力を込める。

そして、そのまま《失楽魔虫ベルゼビュート》の背中に拳を叩き込んだ。

拳から炎が蠅の王の肉体に移っていき、火だるまへと変えていく。

そして、王であったその火だるまは瓜生に向けて落下していく。

「バ…バカな!?俺が…こんな…うわあああああ!!!!」

 

瓜生

ライフ2500→1800→0

 

Sp-バーニング・エンジン

通常魔法カード

(1):自分のスピードカウンターが4つ以上存在するとき、自分フィールド上に存在するモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはターン終了時まで以下の効果を得る。

●このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

 

デュエル終了と同時に翔太はマシンキャバルリーを反転させ、Dホイールが強制停止した瓜生のそばまで行く。

そして、フィールドにとどまっている《失楽魔虫ベルゼビュート》を手にとり、彼のデッキを取る。

「ちっ…1枚…いや、3枚は手遅れだったか」

墓地にあった《Sp-デッド・フュージョン》とデッキにあると思われる《Sp-スピード・フュージョン》は白紙と化していた。

翔太の左手に握られている《失楽魔虫ベルゼビュート》は消滅せずに残っていた。

証拠となりうるカードを手に入れることができなかった翔太は悔しさをぶつけるかのように気絶している瓜生の顔面を殴る。

「グハァ!!何しやがる!!?」

殴られ、鼻血を出しながら瓜生が意識を取り戻す。

「このカード、どこで手に入れた?」

《失楽魔虫ベルゼビュート》だったカードを見せながら、瓜生に質問する。

「こ、答えられるかよ!?そんなの!!」

「答えないなら、お前のDホイールとデッキ、そして有り金をもらう!!」

「わ、分かった…。話す!話…!?」

空気を切るような音が聞こえ、それと同時に瓜生の頭に何かが刺さる音がする。

それと同時に彼の瞳孔が開き、そのまま唾をたらしながら首を倒した。

彼のこめかみにはクロスボウの矢が刺さっていた。

「ちっ…口封じかよ」

クロスボウが放たれたと思われる建物に目を向け、その中を探すが、既にもぬけの殻だった。

「チームブレイドの言い分が正しいとすると、おそらくは出所はチームオーファン…もしくはセキュリティ。ということは、そいつらの口車に乗せられて俺を倒しに…。だが、なぜ奴もろとも俺を殺さなかった…?」

瓜生ならば、この疑問に答えることができるかもしれないが、もう彼は死んでいる。

あとは工場にいる取り巻きの2人に当たる必要がある。

「…。とにかく、当分はギャングとして活動するしかないってことだな」

 

「そうか…瓜生の野郎はしくじったか…」

(はい、証拠となるものはすべて処分しました。また、瓜生及びその取り巻き2人の始末も完了しました)

「分かった、死体は俺が裏取引してセキュリティに献上する。改造でも何でも好きに使ってもらうってことで…な。じゃ」

真っ暗な部屋の中で電話を切り、机の上にあるろうそくに火をつける。

オレンジ色のメガネをかけた、茶色いソフトモヒカンで色黒な肌の男の姿が炎によって照らしだされる。

「秋山翔太…か。なるほど、あの野郎が興味を持つだけのことはある」

そう言いつつ、懐から1枚のカードを取り出す。

「だが…悪いがこの次元は渡さねえよ。お前にも…あの野郎にもな…」

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