フアア…。
んー、よく眠ったなー。
「スースー…」
あ、伊織はまだ寝てる。
オイラはそっと肉球を伊織のほっぺにあてる。
「おはよ、伊織」
あ…今これは別の小説だと思って戻ろうとした人、ちょっと待って。
オイラだよ、オイラ。
隣のベッドで寝てるご主人様、秋山翔太の精霊のビャッコだよ。
作者さんが強権を発動して、みんなにだけオイラの言葉がわかるようにしてるんだ。
そういえば、セラフィムはどこにいるのかな?
窓が開いてるから、そこからトレーラーを飛び出そっと。
午前6時だから、ちょっと暗いなー。
「キュイキュイーー!(おーい、セラフィムー!)」
外に出たオイラは空を飛んでるセラフィムに声をかける。
「あ…ビャッコさん、おはようございます」
わざわざ空から降りてきて、オイラを持ち上げて同じ目の高さにしてから挨拶…。
こういう礼儀をご主人様もわかればいいのに。
あ、そうだ!!
「キュイー!(セラフィム、お団子食べよ!)」
「わぁ…みたらし団子!いつもありがとうございます」
ランドセルから出したみたらし団子をセラフィムがおいしそうに食べてくれる。
ん…?オイラのランドセルの中がどうなってるかって?
それは…まだまだ秘密!
「ああ、そうだ。ビャッコさん。ちょっとお手伝いしていただけますか?」
お手伝い?
何をするんだろう?
「ええっと、昨日翔太さんが入手した2台のDホイールのうち1台は解体して、モーメントだけ売却して、もう1台の方には修理をするからそのパーツの不足部分の購入費用は…」
あ、柚子がまた外で経理の勉強をしてる。
いつも頑張ってるなー、応援してるから、頑張ってね。
「ビャッコさん、これを」
セラフィムと一緒にキッチンに入り、指を指したのは小さなお皿。
なーるほど、セラフィムがやりたいことは…。
それが分かったオイラは戸棚を開けて、小さなお皿を出した。
そしてランドセルからみたらし団子を出して…。
うーん、早くコモンズにみたらし団子屋さんできないかなー?
「ビャッコさん、今の内に持っていきましょう。ほら…」
柚子が居眠りしてる…。
そういえば、いっつも経理の勉強と実践をしてるからほとんど寝てないんだっけ?
ちょっと心配だなぁ。
「キュイー…(柚子、これを食べて疲れをとって)」
「んん…遊矢…」
寝言で遊矢の名前…。
すっごく心配してるんだ。
こうなったら早く遊矢と合流できるようにオイラも頑張らないと。
「お金…」
あ、あれ??二言目の寝言はお金!?
き…聞き間違い、聞き間違いだよね?
きっと…もしかしたら、多分…。
それから少し時間がたって、朝ご飯を食べた後、ご主人様たちがトレーラーから荷物を出し始めた。
ええっと、確か昨日ある程度完成した宿舎に移るんだっけ?
トレーラーの前線基地としての機能は残したままで。
これで伊織達、ゆっくり休めるかなぁ?
トレーラーの中だとカーテンで仕切らないといけないから、漁介のいびきがうるさくてうるさくて。
ちなみにオイラは天井でセラフィムと話してるよ。
「それにしても、伊織様はもうちょっとなんというか、デリカシーがないと…。今朝は寝ぼけてパジャマのボタンが4つくらい外れた状態でベッドから出て、翔太さん達を起こそうとしてましたし…」
こうして、セラフィムの愚痴を聞くのがオイラの日常。
それにしても、セラフィムってオイラの言葉分かってるのかな?
ええっと…。
「キュイー…(ちょっと暑いなー…)」
「確かに暑いですよね。そういえば、舞網チャンピオンシップが始まったころは夏休みに入ってましたし…ってビャッコさん!!」
ありがとう、セラフィム!!
オイラの言葉を分かってくれたー!
オイラは嬉しくなってセラフィムに抱きつく。
「あ…ビャッコさんを抱いてると暖かい…。うーー、モフモフしたくなるーー!」
うーん、伊織にも何度か抱かれてるけど、ちょっと硬い感じがする。
やっぱり伊織と比べてセラフィムは胸が小さ…。
「…?ビャッコさん、どうかしましたか?」
あ…これ以上言うのはやめて方がいいかも。
だって、友達を傷つけたくないし。
「まぁ、いいや。…そーれモフモフーー!」
セラフィムがオイラのお腹に顔をうずめたり、なでたりして楽しみだした。
楽しんでくれるのは嬉しいけど、オイラに向けてくしゃみするのだけは勘弁してね。
引っ越し作業が終わると、みんなギャングとしての仕事を始めた。
ご主人様たち男性陣は昨日手に入れたDホイールの修理状況を見に行った。
伊織達女性陣はお買いもの。
今アジトにいるのは柚子とジョンソンだけ。
セラフィムは伊織についていっちゃったから、オイラは町でお散歩中。
今どの地区にいるかはわからないけど、帰り道は分かるから大丈夫!
「キュイキュイー…(何か面白いものがないかなー?)」
ランドセルから出した三度笠をかぶって歩いていると、道路の端を歩いている野良猫を見つけた。
その猫の体毛は灰色で、ちょっと太ってるかな?
あ…このままの姿だと不味いかも。
「キュイ!!(変身!!)」
葉っぱを頭に乗せて一回転!
オイラの姿は一瞬で白猫に。
「ニャーニャー(ねえねえ!)」
「ニャー?(ん?なんだよお前。見ない顔だなー?)」
野良猫がオイラの下へ近づいてくる。
「ニャニャーン(最近この町に来たばかりなんだ)」
「ニャオン?(なるほどな、で、名前は?)」
「ニャオニャオー(オイラの名前はビャッコだよ)」
「ニャー(ビャッコ?白い狐か。変わった名前だなぁー。俺の名前はズブ。この町で野良猫暮らしを始めて早3年ってところだな)」
3年も生活しているということは、もしかしたらここについていろいろ知ってるかも!
ちょっと情報集めしてみようかなー?
あ…子供たちが来る!
「うわぁー猫が2匹いるぞー!」
紫色のシャツと茶色いベスト、青いズボンを穿いた緑色の髪の男の子がオイラ達のことを仲間の2人の子供に伝えてる。
すると、今度は赤いお団子が両サイドに2つついているような髪型で赤いドレスを着た女の子と白いボンボンがついた黄色い、小学生が付ける学生帽のような帽子をつけた、青い服の男の子が走ってくる。
背丈だけを見ると、最初に着たあの男の子が一番高くて、もしかしたらこの子が3人の中ではリーダーなのかな?
3人とも腰から磁石を引きずっていて、磁石にはクギやDホイールの破片といった鉄くずがついてる。
「可愛いー」
「ねえねえ、この子達にエサをあげない?」
「今ある鉄くずなら…そうだな!ミルクなら買える!」
磁石についた鉄くずを袋に入れ、女の子がオイラの頭をなでる。
気持ちいいなぁー、まるで伊織に撫でられてるみたいだなぁー。
「私はアマンダ。あの緑色の髪の男の子がフランクで、黄色い帽子の男の子がタナーよ。よろしくね」
「ニャーン(ミルクかぁー。いいのかなー?)」
よく見ると、アマンダの服、いくつがツギハギがある。
ご主人様たちの話によると、コモンズって貧しい人たちがいっぱいいるんだったっけ?
モハメドおじさんや仲間になってくれたギャングの人たちが集めた情報をもとに、抗争や商売で手に入ったお金を工場やお店とかに投資してるけど、この子達がスタンダード次元の施設にいるあの子達みたいな暮らしができるようになるのはいつになるんだろう…?
「ニャーオ(難しい顔をしているな、ビャッコ)」
あ…ズブがタナーに高い高いされてる。
「ニャオニャー(いいんだよ。俺たちとこうして触れ合う、それだけでもこいつらにとって救いになる。辛い日々の暮らしを忘れられるんだ)」
「ニャー…(ズブ…)」
「2匹とも可愛いなー。早くミルク買いに行こうよー。フランク、アマンダ」
「ああ!だったら、旧レクス区の市場で買おうぜ!この辺の闇市よりも安くミルクが買えるし、鉄くずももしかしたら高く買い取ってくれるかもしれない」
「行きましょう、旧レクス区へ!」
アマンダがズブ、タナーがビャッコを抱え、フランクは3人分の鉄くず入りの袋を手にする。
「重…!!はぁ…ここから旧レクス区の市場まで20分くらい…。はぁ…」
「おお…玉石混交の鉄くずを合計20キロか…待ってろ」
スキンヘッドで180センチくらいの大きさのおじさんがフランク達のくず鉄を持って行って、見積もりを始めてる。
それにしても、旧レクス区の修理中の工場には初めて来たなぁー。
ご主人様とモハメドおじさんが話してたけど、ここは将来車を作る工場になるんだって。
できたら、見てみたいなー!
あ…見積もりが終わって戻ってきた。
「御苦労さん。また集まったら持ってきてくれよ」
渡されたお金は約200イェーガー。
そういえば、スクラップ込の鉄くずの相場は1キロ5円だったっけ?
円とイェーガーは同じ価値だから…。
「うーん、これだけだとこいつらのミルク、あんまり買えないな…」
「どうしよう…」
今、旧レクス区の200mlの瓶牛乳の値段が1本140イェーガー。
この程度のお金だとそれが限度。
「こうなったら、もう1度トップスへ行って、いろいろ盗んで…」
「ん…?フランク、アマンダ、タナーか!?」
今度は紫に近い青色での髪でピアスをつけたお兄さんがびっくりしながらオイラ達のところに来た。
青いライディングスーツ姿だけど、手には少しほころびがある軍手をつけてる。
「シンジ兄ちゃん!!」
3人とも、あのお兄さんに駆け寄った。
あの人と知り合いなのかなぁ?
「ニャーゴ(あいつか?あいつはシンジ・ウェーバー。こいつらの知人だ)」
「ニャ??(え?ズブ、知ってるの?)」
「ニャーオ(ああ)ニャニャオニャーゴ(仲間の野良猫から聞いた話によるとな、こいつはたまに菓子を持ってこいつらのところまで行くみたいだ)ニャーニャ(前まではほかの地区の闇市でくすねてたみてえだが、最近はここで働き始めて、その給料で買うようになったみたいだ)」
「ニャニャー…(へぇ…ねえねえ、ズブってどうやって仲間と情報交換してるの?)」
「ニャー…ンニャーオ(いつもは鷹栖区に集まるが、最近はこの旧レクス区の公園に集まるようになってる。お前もよかったら来ねえか?新参者なら、ちゃんとここの野良たちにあいさつするってのが筋だぜ)」
野良猫たちからの情報集めかぁ…。
もしかしたら、オイラ達の知らない情報が手に入るかも。
ここにきて、まだ長いわけじゃないから、シンクロ次元の情報を一杯手に入れなきゃ。
そしてら、伊織達のためになって…。
「ニャゴー(どうすんだ?集まりに来るか?)」
「ニャー!(うん!紹介はお願いね!)」
「おーい、ミルク買いに行くよー!」
タナー達が出口でオイラ達を待ってる。
シンジってお兄ちゃんが一緒だから、もしかしたらこの人がミルク代を出してくれるのかな?
「はいよ、瓶牛乳2つ。280イェーガーだ」
「ありがとな。ほら」
代金を支払い、真っ白な髭でいっぱいな顔のおじいちゃんから牛乳を買ったシンジがフランク達の牛乳を渡した。
工場の中に購買があって良かったー。
すると、アマンダが行きがけで拾って、水で洗ったお皿に牛乳を入れてオイラ達の前に置いてくれた。
「ニャーン…(ありがとう、フランク、アマンダー、タナー)」
オイラ、人間の言葉は話せないから、こうして鳴き声でしかお礼を言うことができない。
けど、3人とも嬉しそうにしていて、タナーがオイラの頭をなでてくれた。
「ニャフー…(頭をなでてもらえると気持ちいいなぁー…)」
「ニャーオ(ふう、ミルクを飲んだことだし、俺はここで失礼させてもらうぜ)」
自分の文のミルクを飲み終えたズブがここを出ようとする。
すると、急にオイラに目を向けてこういったんだ。
「フニャー(今度は本当の姿で俺に会ってくれよ、狐さんよ)」
あ…オイラの正体が狐(正確に言うと狐の姿をした精霊なんだけど)だってこと、ばれてた?
「オラァ!!」
ガシャーンっていう大きな音と一緒に男の人の大声が聞こえた。
もしかして、また嫌がらせかな?
「くっそ…!また嫌がらせの奴らかよ!」
シンジが舌打ちをして、フランク達を工場の奥へ避難させてる。
それにしても、またって言ってたけど、これって珍しい事じゃないということなのかな?
ちょっと確かめないと!!
「おいてめぇら…さっさとここをやめちまえ!!」
「そうだ!!そうしねえと…これみたいになっちまうぜ?」
左腕に蝙蝠の入れ墨をつけたスキンヘッドのおじさん2人が鉄パイプで叩き壊した機械の一部を投げる。
この2人だけじゃなくて、警備をしていた人たちの話によると今8人近くのギャングが工場の外にいる。
そして、10人近い人数での嫌がらせは今回が初めてとか…。
工場で働いている人たちはおびえてるけど、1人だけあのギャングのおじさんの前に出てるお兄さんがいる。
オレンジ色のトゲトゲ頭で、おでこにMって文字のような形をしたマーカーを中心に顔中にマーカーがいくつもついている人で、茶色い袖なしジャケットと黄色いシャツ、それに緑色のズボンを着てるんだ。
「おいおい、あんたらチームオーファンにつぶされたチームの生き残りじゃねえか?」
「あん??そういうお前はギャングから夜逃げした腰抜けの一匹狼、クロウ・ホーガンじゃねえか!」
腰抜け?一匹狼??
うーん、この人そんなふうには見えないけど…一匹狼を除いて。
ただ、あのクロウってお兄ちゃんは特に反論せずに睨んでるだけ。
「反論できねえってことは…噂通りなんだな!さっさとここの労働者もろとも失せ…」
コツンとおじさんの頭に小石が当たる。
もしかして…ああ、やっぱり!!
「や、やめろぉ!!」
「クロウ兄ちゃんは腰抜けじゃない!」
フランクとタナーだ。
まずい…まずい!!
「フランク、タナー!!」
「お前ら、勝手に出ていきやがって…!」
アマンダとシンジも…。
うわわわ、おじさん達が怒ってる!
「おい小僧…この石の落とし前、どうすんだ?」
2人が投げた小石を手にとって、近づいてきてる。
「フランク、タナー逃げて!」
「嫌だ!」
「あいつはクロウ兄ちゃんをバカにしたんだ!えい!!」
タナーがまた石を!!
そういえば、クロウもフランク達の知り合いだったんだ。
「おい…なめんじゃねえぞコラァ!!」
あ!!おじさんが石を投げた!
急いで助けないと!!
おいしいミルクの恩返しを…あ!!
「クロウ…!?」
「クロウ兄ちゃん…!?」
3人をかばったクロウの額から血が出てる…。
そのせいが左目が赤くなってるけど、目つきが変わってる。
「てめえ、俺のことはいくらでも馬鹿にしてもいいけどよぉ…ガキどもに手え出すんじゃねえよ!!」
わあ、クロウの右ストレートがおじさんの頬に直撃!!
倒れたおじさん、鼻血出てるけど大丈夫かな?
あ…それよりも…。
「ニャー!(クロウ、これ!)」
「ん?なんだぁ、この猫?絆創膏持ってんのかよ???」
鞄から出した絆創膏を不思議そうに見てる。
けど、この絆創膏はただの絆創膏じゃなくって…オイラ特製のもの!
「これを俺にくれるってのか?」
「ニャン!(うん!)」
「ああ、ありがとな。猫助」
勝手に名前つけられちゃったけど、猫助ってストレートな…。
それにしても、1つだけでちゃんと止血できた。
ちょっと大きめな絆創膏で良かった。
「お前ら、ギャングでもデュエリストだろ?だったら、俺とデュエルしろ!!2人まとめて相手になってやる!」
「はぁ?デュエルだと?」
「そうだ!お前らが勝ったら、何でもいうことを聞いてやる!だが、俺が勝ったらここを出て行ってもらう!」
え、えええええ!!?
警備の人たちは外での対応で手に負えないし…うう、ご主人様急いできてーーー!!
「へっ…いいぜ。この工場はできればこのままそっくり金にしてえからな…。お前が負けたら、工場をもらう。これでいいならデュエルをしてやってもいいぜ?」
ちょっとちょっと!!
そんな勝手に決めたらだめだよーー!
クロウ、断…。
「いいぜ、その条件で受けて立ってやる!」
応じちゃったよー!
こうなったら、早くご主人様を迎えに行かなきゃ!
オイラは工場を出て、急いでアジトへ戻った。
(ここからは元の文章に戻ります)
デュエルの準備を終えたクロウと2人のスキンヘッドが対峙する。
「クロウ。俺は参加しなくていいのか?」
「これは俺が買った喧嘩だ。それに…」
じっと工場にいる人たちと中にある、修理を終えたばかりの設備の数々を見る。
「(仮に負けたとしても、その責任は俺1人で背負うことができる。かなりのケジメをつけさせられるかもしれねえがな…)2人まとめて相手すんだ。俺はライフ8000からいかせてもらうぜ」
「別にかまわねえよ。さあ、始めようぜ?お前にとっての…人生最後のデュエルをな」
(人生最後のデュエルだと?どういうことか知らねえが、ガキどもに手を出そうとして、工場で騒ぎを起こした落とし前をつけさせてやるぜ!)
「「デュエル!!」」
クロウ
手札5
ライフ8000
スキンヘッドA&B
手札
A5
B5
ライフ4000
「俺が先攻だ!俺は手札から永続魔法《黒い旋風》を発動。俺のフィールド上にBFが召喚された時、デッキからそのモンスターよりも攻撃力の低いBF1体を手札に加えることができる!そして、俺は手札から《BF-精鋭のゼピュロス》を召喚!」
BF-精鋭のゼピュロス レベル4 攻撃1600
「そして、《黒い旋風》の効果により俺はデッキから《BF-疾風のゲイル》を手札に加える。そしてこいつは俺のフィールド上に《ゲイル》以外のBFが存在するとき、手札から特殊召喚できる!」
《BF-精鋭のゼピュロス》が背中の黒い翼を大きく羽ばたかせる。
すると、彼の目の前に黒く染まった旋風が発生し、その中から《BF-疾風のゲイル》が飛び出す。
BF-疾風のゲイル レベル3 攻撃1300(チューナー)
「レベル4の《精鋭のゼピュロス》にレベル3の《疾風のゲイル》をチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!降り注げ、《ABF-驟雨のライキリ》!!」
《ABF-驟雨のライキリ》のカードがエクストラデッキから排出され、デュエルディスクに置かれると同時に工場の上空に雷雲が発生する。
そして、《BF-精鋭のゼピュロス》と緑色の光を放つ《BF-疾風のゲイル》が天井を突き破ってその雲の中に突入した。
「雷雲?今日の天気は晴れじゃなかったのかよ?」
ビャッコに呼ばれ、マシンキャバルリーに乗って現場へ急ぐ翔太の目にも雷雲が映っていた。
背中にはリュックサックがあり、その中にビャッコがいる。
「キュイキュイーーー!!」
「うるせえな、急いでいるから団子喰って待ってろ」
「キュイ!」
リュックサックの中で頷いたビャッコはランドセルから出したみたらし団子を食べ始めた。
雷雲の中、《BF-疾風のゲイル》が3つの緑色のリングとなり、その中をくぐった《BF-精鋭のゼピュロス》が4つの白い星となる。
一瞬、それが強い光を放った後で雷雲が真っ二つに切り裂かれる。
切り裂かれた雷雲の中から飛び出したのは左の翼は先ほどのBF同様に烏を模した黒い翼だが、右の翼が機械化していて、紫色の烏を模した鎧とヘルメットを装備した人型モンスターだ。
右手に握られている太刀と上半身の左半分、そして両腕と右足を包む紫色の鎧はこれまでのBFと異なる新たな姿であることを示している。
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)
「いきなり《驟雨のライキリ》だと!?」
《ABF-驟雨のライキリ》の登場にシンジと3人の子供以外の周囲が騒然とする。
珍しいカードであるということがあるのかもしれないが、それ以上にある程度名の知れているカードであることもその理由かもしれない。
「こいつはBFを素材にシンクロ召喚した場合、チューナーとして扱われる。そして俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
クロウ
手札5→2
ライフ8000
場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)
黒い旋風(永続魔法)
伏せカード1
スキンヘッドA&B
手札
A5
B5
ライフ4000
場 なし
「ハッ!チューナーになったってだけで何だ!俺のターン、ドロー!」
スキンヘッドA
手札5→6
「俺は手札からフィールド魔法《脳開発研究所》を発動。こいつは通常召喚に加えてもう1度だけ手札のサイキック族モンスターを召喚できる。その時、このカードにはサイコカウンターが1つ乗る。更に俺がサイキック族モンスターの効果を発動するためにライフを支払う場合、代わりにこのカードにサイコカウンターを1つ乗せることができる!これで俺はライフコストを気にせずサイキック族モンスターの効果を使えるってわけだ!俺は手札から《強化人間サイコ》を召喚!」
強化人間サイコ レベル4 攻撃1500
「更に早速俺は《脳開発研究所》の効果を使わせてもらうぜ!」
彼の背後に現れた巨大な円柱型水槽の中に緑色の水が溜まり、更に中には人間の脳を模したカウンターが1つ入る。
「《サイコジャンパー》を召喚!」
肩の部分に銀色の棘が1つずつついた茶色いボタンが外れたコートを着た紫色でほっそりとした体の男が出てくる。
鼻よりも上は針が何本も付いたヤドカリのような形のヘルメットで隠されていて、常時電気を通している。
サイコジャンパー レベル2 攻撃100(チューナー)
脳開発研究所 サイコカウンター0→1
「何!?《サイコジャンパー》だと??」
《サイコジャンパー》の登場にクロウが動揺し、Aが笑う。
「こいつの効果はいいよなぁ?ライフを1000支払うことで相手モンスター1体と《サイコジャンパー》以外のサイキック族モンスター1体のコントロールを入れ替えることができる。それが《脳開発研究所》のおかげでサイコカウンターを1つ乗せるだけでライフコストは帳消し!さあ…お前のエースカードである《驟雨のライキリ》はいただくぜ?」
「野郎…!!」
水槽の中に新たなサイコカウンターが入れられる。
そして、《サイコジャンパー》のヘルメットに流れる電気が強くなり、それと同時に《ABF-驟雨のライキリ》が頭を抱えて苦しみ始める。
「《ライキリ》!!」
「バトルだ!《驟雨のライキリ》でお前のフィールドに移った《強化人間サイコ》を攻撃!」
左手で頭を抱えたまま、《ABF-驟雨のライキリ》が右手の刀を振り回す。
その刃はクロウのフィールドに移った《強化人間サイコ》に命中しようとしたが、その前にそのモンスターは姿をけし、クロウの肩をかすめる。
「くぅ…!」
クロウ
ライフ8000→6800
脳開発研究所 サイコカウンター1→2
「更に、《サイコジャンパー》でダイレクトアタック!」
身をかがめた《サイコジャンパー》がクロウの懐に飛び込み、腹部に頭突きをする。
流れている電気と更にそれについている棘がクロウを傷つける。
クロウ
ライフ6800→6700
「ハハハ!どうだよ、エースに逃げられた感想は?」
苦しみながら自身のフィールドに来た《ABF-驟雨のライキリ》を見つつ、クロウを馬鹿にする。
だが、クロウはじっと自身のエースを見る。
(《ライキリ》…お前は俺のエースだ。戻るまで耐えてくれ!)
「はっ!ショックで何も言うことができないってか?いいぜ。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
クロウ
手札2
ライフ6700
場 黒い旋風(永続魔法)
伏せカード1
スキンヘッドA&B
手札
A6→1
B5
ライフ4000
場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2700(チューナー)
サイコジャンパー レベル1 攻撃100(チューナー)
伏せカード2
脳開発研究所(サイコカウンター2)(フィールド魔法)
「俺のターン、ドロー!」
クロウ
手札2→3
「俺は手札から魔法カード《BF-蒼炎のシュラ》を召喚!」
BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800
「そして、《黒い旋風》の効果発動!その効果で俺は墓地から《BF-月影のカルート》を手札に加える。バトルだ!俺は《蒼炎のシュラ》で《サイコジャンパー》を攻撃!」
《BF-蒼炎のシュラ》は仲間を利用する《サイコジャンパー》に怒りをもやし、右の拳で腹部を貫こうとする。
「おいおい、弱いものいじめはいただけねえなあ!罠発動、《チューナーズ・バリア》!!」
発動と同時に透明なバリアが《サイコジャンパー》を包み込む。
そして、《BF-蒼炎のシュラ》の拳を見事に受け止める。
「何!?」
「こいつは俺のフィールド上に存在するチューナーモンスター1体を次のターン終了時まで戦闘やカード効果で破壊されなくするカードだ。残念だったな!」
「くそっ!」
バリアに包まれた《サイコジャンパー》に悪態をつく。
次のターンまで破壊されず、《脳開発研究所》が存在するということは次のターンに新たなサイキック族モンスターが現れた場合、今度は《BF-蒼炎のシュラ》のコントロールが奪われることになる。
「俺はこれで…ターンエンド…」
わずかにスキンヘッド達から目をそらしつつ、ターン終了を宣言する。
クロウ
手札3(うち1枚《BF-月影のカルート》)
ライフ6700
場 BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800
黒い旋風(永続魔法)
伏せカード1
スキンヘッドA&B
手札
A1
B5
ライフ4000
場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2700(チューナー)
サイコジャンパー レベル1 攻撃100(チューナー)
伏せカード1
脳開発研究所(サイコカウンター2)(フィールド魔法)
「俺のターン、ドロー!」
スキンヘッドB
手札5→6
「俺は手札から《サイコ・コマンダー》を召喚!」
サイコ・コマンダー レベル3 攻撃1400
「更に《脳開発研究所》の効果を使い、手札から《強化人間サイコ》を召喚!」
強化人間サイコ レベル4 攻撃1500
脳開発研究所 サイコカウンター2→3
「そして、《サイコジャンパー》の効果を使い、今度は《サイコ・コマンダー》と《BF-蒼炎のシュラ》のコントロールを入れ替える!」
再び《サイコジャンパー》のヘルメットの電気が強くなる。
そして、それによって増幅した脳波を受けた《BF-蒼炎のシュラ》が激しい頭痛で苦しみながらスキンヘッドのフィールドへ向かい、そんなモンスターの姿をうれしそうに眺める《強化人間サイコ》がクロウのフィールドへ移動する。
脳開発研究所 サイコカウンター3→4
「なるほどな…《驟雨のライキリ》は1ターンに1度、こいつ以外の自分フィールド上に存在するBFの数だけ相手フィールド上に存在するカードを破壊できるか…。こいつは使わない手がないなぁ!!」
《サイコジャンパー》の脳波を再び受けた《ABF-驟雨のライキリ》が激しい頭痛のせいか悲鳴を上げる。
その悲鳴を合図に《強化人間サイコ》がフィールドから姿を消した。
「これでまたお前のフィールドからモンスターがいなくなった…。あとはとどめを刺すだけだなぁ。俺は手札から装備魔法《サイコ・ソード》を《サイコジャンパー》に装備!こいつは俺たちのライフが相手より下の場合、その数値だけ装備しているサイキック族モンスターの攻撃力をアップさせる!ま、マックスは2000までだけどな!」
サイコジャンパー レベル1 攻撃100→2100(チューナー)
「あああ!《サイコジャンパー》の攻撃力が2100に…!」
「《シュラ》の攻撃力が1800、《ライキリ》の攻撃力が2700、《サイコ・コマンダー》が1400で《サイコジャンパー》が2100。攻撃力の合計は8000。総攻撃を受けたらクロウは…負ける」
「クロウ兄ちゃん…」
2度もモンスターのコントロールを奪われたクロウ。
壁となるモンスターはなく、伏せカードも《ABF-驟雨のライキリ》と《サイコジャンパー》が攻撃した際に発動しなかったことを考えると、《攻撃の無力化》のような攻撃反応型の罠カードでも《威嚇する咆哮》のようなフリーチェーンの攻撃妨害のカードでもないと思われる。
「さあ、最後に言い残すことはないだろうな?」
「ここが逃げるチャンスじゃあねえか?腰抜けのクロウさんよ。逃げたらここは見逃してやるよ。まぁ、この工場とガキどもがどうなるかは知らねえけどな」
スキンヘッド達のせせら笑いをフランク達は怒りを込めて耐える。
これが力のない自分たちにできるせめてもの抵抗。
それがどんなに微力な抵抗であるかわかっている上での…。
「俺は逃げも隠れもしねえよ…来い!!」
「だったら望み通りやってやるよ!バトルだ!!まずは《サイコジャンパー》と《サイコジャンパー》でダイレクトアタック!」
《サイコジャンパー》の脳波を受け、意識がもうろうとしている《ABF-驟雨のライキリ》がクロウの前に立つ。
そして、その後に続くように苦労の目の前まで跳躍した《サイコジャンパー》が持つ《サイコ・ソード》と《ABF-驟雨のライキリ》が持つ刀がクロウを十字に切る。
「うわああ!!」
クロウ
ライフ6700→4600→1900
サイコジャンパー レベル1 攻撃2100→100
「更に《蒼炎のシュラ》でダイレクトアタック!」
同じく脳波で操られる《BF-蒼炎のシュラ》がクロウの頬に右拳を叩き込む。
「うわああああ!!」
拳を受けたクロウが吹き飛び、あおむけに倒れる。
クロウ
ライフ1900→100
「クロウ兄ちゃん!」
「とどめだ、《サイコ・コマンダー》!!」
他のモンスターが攻撃する中、エネルギー供給を完了した《サイコ・コマンダー》が砲口をクロウに向ける。
「グッバイ、腰抜けぇ!!」
《サイコ・コマンダー》の大砲から発射される青い光線がクロウを焼き尽くそうとする。
しかし、クロウの目の前に現れた黒い翼を持つ鳥がその身に熱をまといながら彼をかばう。
「何!?」
「《BF-熱風のギブリ》は相手の直接攻撃宣言時に手札から特殊召喚できる!!」
BF-熱風のギブリ レベル3 守備1600
「ちっ…!!《サイコ・コマンダー》の効果発動!相手モンスターと戦闘を行うダメージステップ時に1度だけ、ライフを100の倍数支払うことで、支払ったライフの数値分、攻撃対象のモンスターの攻撃力・守備力をターン終了時までダウンさせる!!俺はライフを300支払う!!」
スキンヘッドの体から発生する青い光が《サイコ・コマンダー》に吸収される。
これによって、より高い出力となった光線は《BF-熱風のギブリ》を焼き尽くしていくはずだった。
「罠発動!《ハーフ・アンブレイク》!!こいつの効果を受けたモンスターはこのターン、戦闘では破壊されず、戦闘で発生する俺へのダメージが半分になる!」
「何!?《ハーフ・アンブレイク》…このタイミングで!?」
「お前のモンスターを守るようなことはしたくねえからな」
これ以上の照射は危険と判断した《サイコ・コマンダー》が攻撃を止める。
フィールドには泡を模したバリアに包まれた《BF-熱風のギブリ》が残っていた。
BF-熱風のギブリ レベル3 守備1600→1300
スキンヘッド
ライフ4000→3700
「(ちっ…!今俺が伏せているカードは罠カード《緊急同調》。バトルフェイズ中にシンクロ召喚を行うことができるが、今の俺のエクストラデッキには今の《ギブリ》を倒せるモンスターはいねえ…)だったら、お前のモンスターは最後まで利用させてもらうぜ?俺はレベル4の《シュラ》にレベル1の《サイコジャンパー》をチューニング!!」
「ああ…《蒼炎のシュラ》がシンクロ素材に!?」
《サイコジャンパー》の脳波を受け、強制的に《BF-蒼炎のシュラ》が4つの白い星に変わっていく。
そして、《サイコジャンパー》が変化した緑色のリングがそれを取り込んでいく。
「シンクロ召喚!レベル5!《マジカル・アンドロイド》!!」
マジカル・アンドロイド レベル5 攻撃2400
「俺はこれでターンエンドだ。それと同時に《マジカル・アンドロイド》の効果発動。俺のターン終了と同時に俺のフィールド上に存在するサイキック族モンスター1体に付き、600ライフを回復する」
クロウ
手札3(うち1枚《BF-月影のカルート》)
ライフ100
場 BF-熱風のギブリ レベル3 守備1300→1600
黒い旋風(永続魔法)
スキンヘッドA&B
手札
A1
B6→4
ライフ3700→4900
場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2700(チューナー)
マジカル・アンドロイド レベル5 攻撃2400
サイコ・コマンダー レベル3 攻撃1400(チューナー)
伏せカード1
脳開発研究所(サイコカウンター4)(フィールド魔法)
「何とか生き延びたが、クロウのライフは100。そして、《驟雨のライキリ》は奴のフィールドに…」
「クロウ兄ちゃん…」
心配そうにクロウを見つめる3人の子供。
そして、スキンヘッド達はニヤニヤ笑いながらクロウを侮辱する。
「ほらほらー早く逃げねーと大変なことになるぞー?」
「そうだよそうだよー。夜逃げした時みたいに逃げないと命とられるぞー?」
「はーん、で、誰の了解を得て俺たちシェイドの労働者と賭けデュエルをしてんだ?」
急に聞こえた第三者の声にスキンヘッドの動きが止まる。
聞こえたのは出入り口の方向で、そこには翔太の姿があった。
「よくもまぁ、俺たちの工場の中で好き勝手してくれてるよな?」
「ま、待てよ!?外にいる奴らは…??」
「あいつらならもう片付いてるぜ?」
工場に設置されているテレビをどこから持ってきたのかわからないリモコンで起動させる。
テレビにはデュエルで倒され、気を失ったスキンヘッドの仲間たちが山のように積まれていて、漁介がVサインをしている。
「そんな、馬鹿な…!?」
「さあてっと、Mデコ。このデュエルは俺が引き継ぐ。どいてろ」
マシンキャバルリーから取り外したデュエルディスクを装着し、翔太が出ようとするが、クロウが右手で静止する。
「Mデコ…」
「このデュエルは俺が勝手に始めたんだ…。最後までやらせてもらうぜ?お前らもいいよな!!?」
スキンヘッドを睨みつつ、クロウがゆっくりと一歩前に出る。
先程と違い、スキンヘッドはおびえている。
「俺が勝手に了解してやるんだから、文句ねえよな?オーナーさんよ」
「ふぅん、まあいいぜ。勝手にしろ」
そばにある椅子を逆向きに置いて座り、デュエルを観戦する。
「あとよぉ、俺の名前はクロウだ。断じて、Mデコって名前じゃねえからな?」
「ああ、分かった。じゃあさっさとあのザココンビを倒せよ?トゲトゲあた…」
言い終わらぬうちにクロウが翔太の胸ぐらをつかむ。
「クロウだ!俺の名前はクロウ・ホーガンだ!!Mデコでもトゲトゲ頭でもねー!!」
「ふーん、大体分かった。お前のターンだぞ?クロウ・ホーガン」
よっぽど変なあだ名をつけられるのが嫌なのか、青筋を立てている。
翔太を放した後、少し深呼吸をした後で再びスキンヘッドと対峙する。
「いくぜ、俺のターン!」
クロウ
手札3→4
「俺は手札から魔法カード《ナイト・ショット》を発動!相手フィールド上にセットされている魔法・罠カードを1枚破壊する!このカードの発動に対して、相手は対象のカードを発動できない!」
《ナイト・ショット》のソリッドビジョンから放たれる光線が伏せカードを貫き、破壊する。
破壊された伏せカード
レインボー・ライフ
「ちっ!《レインボー・ライフ》が!」
「そして俺は手札から魔法カード《所有者の刻印》を発動!こいつはフィールド上に存在するモンスターのコントロールを元に戻す!」
「何!?まさか…」
「ようやく助けることができるぜ…《ライキリ》!!」
長い間己を苦しめつづけた脳波が突然消え、解放された《ABF-驟雨のライキリ》がクロウのフィールドへ戻っていく。
「俺たちコモンズはエースモンスター級のカードはそんなに持ってねえ。だから、仮に奪われたとしても必ず取り戻す!!更に俺は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!《BF-蒼炎のシュラ》を特殊召喚!」
《死者蘇生》が生み出す緑色の魔法陣の中から飛び出す《BF-蒼炎のシュラ》。
その眼は怒りに満ちていて、早くスキンヘッドを殴りたくて仕方がないようだ。
BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800
「更に俺は手札から《BF-漆黒のエルフェン》を召喚!こいつは俺のフィールド上にBFが存在するとき、リリースなしで召喚できる!」
BF-漆黒のエルフェン レベル6 攻撃2200
「更に《黒い旋風》の効果発動!デッキから《BF-残夜のクリス》を手札に加える。そしてこいつは俺のフィールド上にこいつ以外のBFが存在するとき、1ターンに1度だけ手札から特殊召喚できる!」
烏を模した金色の仮面と赤いシャーマン風のローブを身に着けた人型の烏が現れる。
BF-残夜のクリス レベル4 攻撃1900
「さぁ…俺の仲間を利用したこと、おびえさせたこと、そしてガキどもに手を上げようとしたケジメをつけてもらうぜ?逃げんじゃねえぞ!!」
「う、ううう、うわあああああ!!!!」
スキンヘッドのうちの1人が悲鳴を上げ、もう1人は何も言わずガタガタ震える。
「《驟雨のライキリ》の効果発動!こいつは1ターンに1度、こいつ以外の俺のBFの数だけ相手フィールド上のカードを破壊する!BF-ライトニング・ソニック!!」
《ABF-驟雨のライキリ》の刀に稲妻と黒い羽根が集まっていく。
その刀は一振りで《脳開発研究所》の水槽と《マジカル・アンドロイド》、《サイコ・コマンダー》を切り裂いた。
切り裂かれた痕には稲妻が宿っていて、それが静電気となってスキンヘッドを刺激する。
「そ、そんな…一瞬で俺たちのフィールドががら空きに…!?」
「《脳開発研究所》のリスクを忘れんじゃねえぞ。こいつはフィールドから離れた時、乗っているサイコカウンター1つに付き、1000ダメージをお前らが受けるんだったよなぁ!?」
「うわああああ!!」
水槽が壊れ、外に飛び出したサイコカウンターが爆発を起こし、スキンヘッドがそれに飲まれる。
スキンヘッド
ライフ4900→900
「いけぇ!!俺のBF達!!」
4体のBFと手札にいた《BF-月影のカルート》が2人を包囲し、逃げ道をふさぐ。
そして、思い思いに彼らに集中攻撃した。
「うぎゃあああああああ!!!???」
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2700→4100(《BF-月影のカルート》の効果)
スキンヘッド
ライフ900→0
20分後、デュエルの影響が実体化したのか、包帯まみれとなった2人のスキンヘッドと残りの仲間たちが手錠をかけられたうえでこの地区にいるシェイドのメンバーに連行されていく。
彼らの所持していたデッキとデュエルディスクは没収したうえで。
「悪かったな、結果的にお前1人にあの2人の相手をさせることになってしまったよな」
「別にいいぜ、デュエル中にも言ったろ?俺が勝手にやったんだってよ」
連行される彼らを見ながら、翔太とクロウはみたらし団子を食べる。
「にしても、みたらし団子だっけか?これ?うまいな。どこで手に入れたんだ?トップスか??」
「機会があったら教えてやる。ほらよ」
懐からみたらし団子がたくさん入ったタッパーを出して、クロウに渡す。
それを見た彼は少しびっくりしていた。
「やる。お前が世話しているガキにでも食わせろ」
「あ、ありがとな…その…」
「翔太でいい。今度はエースカードを奪われないようにしろよ、Mデコ」
タッパーを自身のDホイールであるブラックバードの後ろ側に外付けされたトランクに入れた後、翔太の胸ぐらをつかむ。
「おい…二度と俺のことをMデコなんて呼ぶんじゃねえぞ…!?」
そして、数時間が立ち…。
家に着いたクロウとシンジ、そして3人の子供は机の上でタッパーを開ける。
「わあああ…」
「おいしそー!」
「コラ、タナー。先に手を洗わなきゃダメよ」
たくさんのみたらし団子を見て、3人とも反応は異なるが、うれしいと思っていることには変わりない。
「ん…?こいつは何だ??」
シンジが見つけたのは2つあるタッパーの蓋の1つ目の裏側についている茶色い封筒。
開けると、そこにはつたないひらがなで「みるくありがとう」と書かれていて、その右下に赤い肉球の痕がついている。
「ミルクありがとう…だってよ」
「もしかして…」
フランク達3人とシンジはその手紙を書いた人物に思い当たる節があるのか、びっくりすると同時に少し心温まる感じがした。
「あ、絆創膏外れちまった」
同時にクロウの額の絆創膏が床に落ちる。
貼りなおさないとと思い、絆創膏を拾い、患部に触れるとなぜかその傷はすでに消えていた。