遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第6話 苦い痛み

「ふう…」

勝利を収めた翔太が観客席に戻ってくる。

「よくやった翔太!まずは一勝だな!」

「翔太君すごい!!」

遊矢と伊織が駆け寄り、彼を称賛する。

「あれ…?翔太、どうしたんだよ?」

「どうしたって…何がだ?」

「勝ったのに、あまり嬉しそうじゃないから…」

「まあ、そうだな。期待外れだったのが大きいな」

敗北し、日美香から説教を受ける北斗を見る。

(奴の《セイクリッド・プレアデス》は記憶の鍵じゃなかった…)

「…」

遊矢たちが喜ぶ中、柚子はなぜか不安な表情を見せている。

(柚子…)

「あ…」

急に彼女の耳に幻聴が聞こえる。

遊矢と似ているが、若干彼よりも低い声だ。

そして、遊矢の姿が黒いマントとマスク、青い髪をした遊矢そっくりの少年とダブって見えてしまう。

彼こそが昨日、沢渡とデュエルをした少年で、その実力は圧倒的だった。

そんな彼を見て、今回の事件、そして自分の中に芽生えてしまった遊矢への疑念。

それらが彼女の集中力を鈍らせ、不安を呼び起こす。

「柚子…!」

「な…何!?遊矢」

「次はお前の番だ、頼んだぞ」

「う…うん」

真剣な表情となり、デュエルフィールドへ向かう。

そこにはすでに黒い髪の少女が待機していた。

「私は融合コース所属の光津真澄」

「へー、あのお姉ちゃん融合使いなんだ」

(遊矢の無実を証明するためにも…絶対に負けられない。でも…)

急に彼女の頭にあの少年がよぎる。

「ふふふ…」

そんな柚子を見て、真澄は見下した目で髪をはらう。

一方、修造はフィールドの選択を行っていた。

「うちの娘が戦うのにふさわしいフィールドは…よし、これだ!!アクションフィールド、オン!フィールド魔法《クリスタル・コリドー》発動!」

フィールドがクリスタルや宝石によって彩られた教会となる。

「柚子--!!煌めくお前の可愛さに似合うフィールドを選んだぞ!ここで存分輝いてこーい!」

「ちょっと…お父さん!」

修造にとっては娘である柚子への最大限のエールのつもりだったようだが、彼女の取っ手は有難迷惑だった。

「ふふふ…あなたのような子が輝いて見えるなんて…とんだ親バカね」

「なんですって!?」

「あなたの目…くすんでるわ」

「な…なによ!?いきなり」

「私のパパは宝石商なの。私も子供のころからたくさんの宝石を見てきたわ。本物の輝きを持つ、本物の宝石をね。だから、私にはわかるの。今のあなたには輝きがない。心に迷いがある証拠よ」

「…!!」

完全に見抜かれていた。

絶対的な自信を持つ真澄と迷いで集中力を失っている柚子。

精神状態は雲泥の差だ。

そして、真澄は柚子ではなく、観客席の翔太と遊矢を見る。

(秋山翔太…榊遊矢、あなた達なら思う存分にデュエルができたかもしれないわね…)

そんな中、遊矢と権現坂、そして年少3人組がデュエル開始を宣言する。

「戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ」

「これぞ」

「デュエルの最強進化形!

「「「アクション…」」」

「「デュエル!!」」

 

真澄

手札5

ライフ4000

 

柚子

手札5

ライフ4000

 

「先攻は私よ。私は手札から魔法カード《ジェムナイト・フュージョン》を発動。このカードはジェムナイト専用の融合魔法よ」

「なんですって!?」

(いきなり融合か…)

柚子は驚いているものの、翔太は全く驚いていない。

伊織とのデュエルで何度も融合召喚を見てきたため、普通にしか見えなかったのだ。

もっとも、伊織の場合は1ターンに何度も融合召喚や変身召喚するのだが。

「私が融合素材とするのは《ジェムナイト・ルマリン》と《ジェムナイト・エメラル》!雷帯びし秘石よ!幸運を呼ぶ緑の輝きよ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!勝利の探求者《ジェムナイト・パーズ》!」

 

ジェムナイト・パース レベル6 攻撃1800

 

「まさか1ターン目から融合召喚を使ってくるなんて…」

「あなたの輝きのない眼でも、手札融合のすごさがわかったようね」

「だ…だけど、手札融合をしてまで呼び出したモンスターの攻撃力は1800。倒せないモンスターではないわ」

「侮らないことね、このモンスターへの対処であなたの運命が変わるのよ。私はカードを2枚伏せて、ターンエンドよ」

 

真澄

手札5→0

ライフ4000

場 ジェムナイト・パーズ レベル6 攻撃1800

  伏せカード2

 

柚子

手札5

ライフ4000

場 なし

 

柚子の心に真澄の言葉が引っ掛かる。

《ジェムナイト・パーズ》への対処…。

どの言葉の意味を柚子はどう理解するのか?

「あたしのターン、ドロー!」

 

柚子

手札5→6

 

「あたしは手札から魔法カード《独奏の第1楽章》を発動!あたしのフィールドにモンスターが存在しないとき、手札・デッキからレベル4以下の幻奏モンスター1体を特殊召喚するさあ、出番よ!あたしはデッキから《幻奏の音女アリア》を特殊召喚!」

音符をもした飾りが体の各部分についていて、背中にはハープがある紫髪の歌手が歌いながら現れる。

 

幻奏の音女アリア レベル4 攻撃1600

 

「更に、このカードはあたしのフィールドに幻奏モンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《幻奏の音女ソナタ》を特殊召喚!」

今度は《幻奏の音女アリア》と似ているが、彼女とは異なり長髪で、青を基調とした歌手が現れる。

 

幻奏の音女ソナタ レベル3 攻撃1200

 

「特殊召喚された《ソナタ》がフィールドに存在する限り、私の天使族モンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップするわ!さらに特殊召喚された《アリア》が存在する限り、私の幻奏モンスターはカード効果の対象にならず、戦闘では破壊されない!さあ…コンサートの始まりよ!!」

2体の女性歌手がデュエットを始め、互いの能力を高め合う。

 

幻奏の音女アリア レベル4 攻撃1600→2100

幻奏の音女ソナタ レベル3 攻撃1200→1700

 

「まだよ!更にあたしは手札からもう1体の《ソナタ》を特殊召喚!」

更に柚子のフィールドに《幻奏の音女ソナタ》が現れ、コンサートに加わる。

 

幻奏の音女アリア レベル4 攻撃2100→2600

幻奏の音女ソナタ×2 レベル3 攻撃1700→2200

 

「ふうん…。たった1ターンで3体のモンスターを特殊召喚しつつ、強化させるなんてね。くすんだ輝きなのに、やるわね」

「まだよ!あたしはまだ通常召喚を行っていないわ!あたしは手札から《幻奏の音女セレナ》を召喚!」

ピンク色の髪で、黄色と赤の豪華なドレスを身に着け、ハープのような片翼がある歌手が現れ、コンサートがカルテットとなる。

 

幻奏の音女セレナ レベル4 攻撃400→1400

 

「バトルよ!《幻奏の音女アリア》で《ジェムナイト・パーズ》を攻撃!シャープネス・ヴォイス!!」

《幻奏の音女セレナ》の口から強烈な音波が放たれる。

すると、真澄はすぐに周囲を見渡し、長椅子の陰に隠れていたアクションカードを回収する。

「私はアクション魔法《クリスタル・コート》を発動!私のレベル5以上のモンスターへの攻撃を無効にし、ライフを800回復する!」

《ジェムナイト・パーズ》がクリスタルでできた鎧をまとい、音波をはじく。

 

真澄

ライフ4000→4800

 

クリスタル・コート

アクション魔法カード

(1):自分フィールド上に表側表示で存在するレベル5以上のモンスターが攻撃対象となったときに発動できる。その攻撃を無効にし、自分のライフを800回復する。

 

「なら…《幻奏の音女ソナタ》で《ジェムナイト・パース》を攻撃!」

《幻奏の音女アリア》が後方にさがり、《幻奏の音女ソナタ》が前に出て音波を放つ。

1度は音波をはじいた《クリスタル・コート》も2度目は耐えきれずに《ジェムナイト・パーズ》もろとも砕け散る。

「く…!!」

 

真澄

ライフ4800→4400

 

「まだ攻撃が残ってるわ!もう1体の《ソナタ》と《セレナ》でダイレクトアタック!!」

《幻奏の音女ソナタ》と《幻奏の音女セレナ》が手を取り合い、デュエットを始める。

その歌は柚子にとっては心地よいものだが、真澄にはなぜかひどいノイズにしか聞こえなかった。

 

真澄

ライフ4400→2200→800

 

「やったー!一気に4000ポイントのダメージ!」

「なぁんだ、大したことないじゃん」

タツヤとフトシが余裕な表情を浮かべる。

しかし、ライフが残り800になったにもかかわらず真澄も余裕な表情を浮かべている。

「惜しかったわね、あと一歩だったのに」

「な…何?」

「私は罠カード《ショック・ドロー》を発動!このターン、私が受けたダメージ1000ポイントごとに1枚渡しはカードを1枚ドローする。私がこのターン受けたダメージは4000。よって、私は4枚のカードをドローする!」

 

真澄

手札0→4

 

「一気に4枚のカードが手札に…」

融合主体のデッキにとって、手札増強やサーチは生命線と言える存在だ。

逆に、大量の手札を所持しているとエクストラデッキに存在する融合モンスターによってはかなり多彩な動きができる。

そして、今の柚子には追撃の手段がない。

「あたしは…これでターンエンド」

 

真澄

手札4

ライフ800

場 伏せカード1

 

柚子

手札6→2

ライフ4000

場 幻奏の音女アリア レベル4 攻撃2600

  幻奏の音女ソナタ×2 レベル3 攻撃2200

  幻奏の音女セレナ レベル4 攻撃1400

 

「やったぜ、これで次のターンがくれば柚子の…」

「いや遊矢、よく見ろ。柚子の今の対処は失敗だ!」

「何!?」

《ジェムナイト・パース》が破壊され、大幅にライフを削られたにもかかわらず、真澄は不敵な笑みを浮かべている。

「少しはやるようね。けど…これで勝ったと思わないことね。私のターン!」

 

真澄

手札4→5

 

「私は手札から《ジェムナイト・アレキサンド》を召喚!」

アレキサンドライトを体の各部に装飾している白銀の宝石騎士が現れる。

 

ジェムナイト・アレキサンド レベル4 攻撃1800

 

「このカードをリリースすることで、私はデッキからジェムナイトと名のつく通常モンスター1体を特殊召喚できる。《ジェムナイト・クリスタ》を特殊召喚!」

《ジェムナイト・アレキサンド》の外装が砕け散り、その中から《ジェムナイト・クリスタ》が姿を見せる。

 

ジェムナイト・クリスタ レベル7 攻撃2450

 

「攻撃力2450?」

「まだよ。まだ攻撃力は《アリア》の方が上。それに、《アリア》の効果であたしの幻奏モンスターは戦闘では破壊されないわ」

「ふふ…。私は罠カード《廃石融合》を発動!墓地のジェムナイトを融合させる!私は《ジェムナイト・アレキサンド》、《ルマリン》、《エメラル》を融合!昼と夜の顔を持つ魔石よ!雷帯びし秘石よ!幸運を呼ぶ緑の輝きよ!光渦巻きて新たな輝きと共に一つとならん!融合召喚!現れよ!全てを照らす至上の輝き!《ジェムナイトマスター・ダイヤ》!」

 

ジェムナイトマスター・ダイヤ レベル9 攻撃2900

 

「罠カードで融合だと!?」

大抵の場合、融合召喚の引き金となるのは魔法カード。

罠カードによる融合召喚はあまりにも珍しく、遊矢たちにとっては大きな驚きだ。

「これこそが、私の真のエースモンスター!私はさらに、《ジェムナイトマスター・ダイヤ》の効果を発動!1ターンに1度、墓地のジェムナイトと名のつくレベル7以下の融合モンスター1体を除外し、そのモンスターの効果をエンドフェイズまで得る。私は墓地の《ジェムナイト・パーズ》を除外!」

《ジェムナイト・パーズ》が消滅すると、《ジェムナイトマスター・ダイヤ》の大剣が双剣へと姿を変える。

「《ジェムナイト・パース》は1ターンに2度攻撃でき、そして戦闘で破壊した相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える」

「で…でも私の幻奏モンスターは《アリア》の効果で…」

「柚子--!!油断するな!!」

柚子の耳に遊矢の声が届き、その方向に目を向ける。

(何か仕掛けてくるぞ…)

目を向けた瞬間、遊矢の声と姿があの黒マスクの少年に変化してしまう。

集中力の欠落故の幻視と幻聴だ。

「よそ見しているとは余裕ね。私は手札から装備魔法《ジェムナイトの霊気》を発動!このカードはジェムナイトと名のつく融合モンスターにだけ装備でき、装備モンスターの攻撃で相手モンスターを破壊できなかったとき、戦った相手モンスターの攻撃力分のダメージをあなたに与えるわ」

「ええ…!?」

「このカードは《ショック・ドロー》の効果で手札に加わった…あなたが私にくれたカードよ」

《ジェムナイトマスター・ダイヤ》の双剣に紫色の霊気が纏う。

「バトルよ!《ジェムナイトマスター・ダイヤ》で《幻奏の音女アリア》を攻撃!」

《ジェムナイトマスター・ダイヤ》の双剣が《幻奏の音女アリア》に襲い掛かるが、不可視のバリアが攻撃を防ぐ。

しかし、そのバリアを霊気は貫通し、霊気を吸い込んでしまった《幻奏の音女アリア》は主である柚子に向けて音波攻撃を仕掛ける。

「ううう…!!」

 

柚子

ライフ4000→3700→1100

 

「柚子お姉ちゃんのライフが…!」

「…。お前の負けだ、柚子」

《ジェムナイトマスター・ダイヤ》、《ジェムナイト・パーズ》、そして《ジェムナイトの霊気》のコンボが成立した以上、もはや柚子の敗北は決定的となった。

「柚子---!燃えろーーー!!熱血だーーーー!!」

(ダメ…このままじゃ…あたし…)

焦りの色を隠せないまま周囲を見渡す。

すると、クリスタルの柱のそばにあるアクションカードを発見する。

(アクションカード!!一か八か…!!)

大急ぎでアクションカードを手にするために駆けだす。

その間にも、《ジェムナイトマスター・ダイヤ》の2回目の攻撃が《幻奏の音女アリア》を襲う。

(とった!!)

攻撃が届く寸前にアクションカードを手にしたと思われた。

しかし、触れたにもかかわらずその手に伝わるのは冷たい鉱石の感触。

よく見ると、アクションカードは彼女の背後の柱のそばにある。

柚子は柱に映ったアクションカードを取ろうとしていたのだ。

「そんな…」

「クリスタルの虚像に映ったアクションカードを取ろうとするなんて…あなたの目、相当に曇っているようね」

「ああ…」

呆然とする柚子を霊気を受けた《幻奏の音女アリア》の音波が襲う。

 

柚子

ライフ1100→800→0

 

ジェムナイトの霊気

装備魔法カード

このカードは「ジェムナイト」融合モンスターにのみ装備可能。

(1):このカードを装備したモンスターによる攻撃で相手モンスターを破壊できなかったとき、攻撃した相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える。

(2):このカードを装備したモンスターが戦闘で破壊されるとき、代わりにこのカードを破壊することができる。

 

「あーあ、やっぱやられちゃったか」

他人事のようにデュエルを見ていた素良をよそに、遊矢は呆然と座り込む柚子に駆け寄る。

「柚子…!!しっかりしろよ柚子!!」

呆けた彼女の体を何度も揺らす。

目の前に遊矢がいるにもかかわらず、柚子には相変わらず黒マスクの少年と彼がダブって見えてしまう。

「柚子…おい、大丈夫か!?」

遊矢と一緒に立ち上がるが、ふらついて遊矢の胸の顔をうずめてしまう。

(あたし…何やってるんだろう?遊矢は今ここにいる。けど、目の前にいる遊矢の言葉を信じないで、一人で悩んじゃって…。あの子が言ってたように、虚像にとらわれていたようね…)

「ずいぶん見せつけてくれるじゃない?」

「あ…!!」

「うん?」

真澄の言葉で我に返った柚子は先ほどの行動を思い出し、顔を真っ赤にする。

「きゃあ!!」

「うわあ!!!」

急に柚子によって突き飛ばされ、遊矢は腰を強く打ってしまう。

「いきなり何するんだよ!?」

「ご…ごめんなさい!!」

「謝るくらいなら、最初から突き飛ばすな…」

 

遊矢と柚子のやりとりを他のメンバーが見ている中、翔太は真澄を見る。

(《ジェムナイトマスター・ダイヤ》…。あのカードが俺の記憶の鍵なのか?)

「翔太君…?」

「な…何だよ!?」

急に後ろから伊織が面白そうに声をかけてくる。

「あの真澄ちゃんって女の子を見ちゃって…。ふーん、翔太君はあーゆー女の子が好みなんだー」

「そういうわけじゃない!あの《ジェムナイトマスター・ダイヤ》が俺の記憶の鍵かもって思って…」

「まーまー、そんな言い訳しなくてもいいのに!」

「な…何だよそれ…?」

 

「遊矢…負けられないデュエルだったのに…私…私…」

「気にするなよ。次勝てばいいだけだから」

「遊矢…」

「次勝てばいいだと?ずいぶん気軽に言ってくれるじゃねえか」

すでにLDS側は3人目をデュエルフィールドに出していた。

「LDSシンクロコースの刀堂刃!さあ…俺の相手はどいつだ?」

 

「くぅーーー!!この男、権現坂!できれば俺が出て柚子の仇を討ちたいところだが、遊勝塾の命運をかけたこの勝負に置いて、権現坂道場跡取りである俺は部外者!いいか、素良!ここが正念場だぞ!必ず勝ってこい!!」

しかし、当の素良はデュエルの準備もせず、キャンディを舐めている。

「うーん…こういう暑苦しいの、僕苦手なんだよね。出たいんなら、権ちゃんがでてもいいよ」

「ご…権ちゃん!!?って、ええ!?俺が出ていいのか!?」

「うん。それに僕、あの人に向かない気がするんだー」

デュエルフィールドでは、刃は準備運動をしている。

1勝1敗、もはやどちらも敗北が許されない中、なんとも無責任な発言。

だが、なんとしてでも遊勝塾の力になりたい権現坂にとってはまさに幸運だ。

「頼むぜ、権現坂。親友であるお前にならこの勝負、託すことができる!」

「任せておけ!権現坂道場における不動のデュエルをもって、必ず勝利して見せる!!」

闘志を燃やしながら、権現坂はデュエルフィールドへ向かった。

「ぶーー…。私に交代してほしかったなー…」

不機嫌になり伊織を横目で見ながら、翔太は待機している刃に目を向ける。

(《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《魔装騎士ペイルライダー》が戦闘を行うまで、俺はそのモンスターがカギであることは分からなかった。ということは、こうしてみているだけでは無意味だというのか?)

「俺の相手はお前か。言っておくが、俺を今までのお行儀のよい連中だと思っていたら痛い目を見るぜ?なんせ俺は…あいつらと違って、本当に強いからな」

「刃の奴、まるで僕たちが弱いような言い方を…」

「確かにむかつくけど、負けたあなたはそう言われても仕方がないんじゃない?しかも、圧倒されていたし」

「グサーーー!!」

先程のデュエルでの見事な負けっぷりを思い出し、観客席の隅っこで体操座りする北斗だった。

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