「うわあああ!!」
「くっそぉ!?」
殴り飛ばされたメンバーが壁にめり込む、または地面に倒れて意識を失う。
気絶していないメンバーのデュエルディスクは破損していて、デュエルをすることができなくなっている。
「どうなってんだ…こいつ、デュエルせずに俺たちを…??」
立ち上がろうとするが、殴られた際に左腕が骨折したため、激痛が襲う。
「鬼柳、あの機械はデュエルをしていないようだな…」
立ち上がり、現場まで歩いているジョンソンが鬼柳と会話する。
「ああ…モハメドからの情報を整理すると、デカブツの方はここに来るまで一度もデュエルをしていない。気絶させるか、デュエルディスクを破壊するかで済ましている」
「奇妙だな…」
「鬼柳さん、ジョンソンさん!!」
2人のそばに車が止まり、そこから柚子が出てきた。
車は負傷者を収容するために、すぐに発進した。
「柊か、どうした?」
「新しく出てきた、3体のロボットのことを…」
「ああ、わかっている。だが…今ここにきている1機はかなり妙だ」
「妙?」
「来たぞーーー!!」
ほかのメンバーを逃がそうと大声を知らせた男だが、ロボットが投げた石を頭に受けて気を失ってしまう。
ヘルメットを着けていたおかげか、命に別状はなかった。
ロボットは3人に目を向け、唯一視認できる左目で解析を始める。
「デュエルロイドASNo.3ホセ…目標と考えられるデュエリストを捕捉。デュエル…開始」
腹部の装甲が開き、そこからデュエルディスクとデッキが出てくる。
そして、柚子と鬼柳、ジョンソンのデュエルディスクが勝手に起動する。
「デュエルディスクが…!?」
「まさかだが…俺たちだけを狙っている、というわけではないだろうな?」
「くそ…デュエルモードになってしまっては、柊だけを逃がすことができない!」
彼女がやられるような事態になっては…と不安になる2人を後目に、柚子はカードを引く。
「大丈夫です、そのことをこのデュエルで証明します!」
巨大なロボットがじっと柚子を威圧するように見る。
普通の人間なら怖がって逃げ出してしまうのだろうが、なぜか柚子の心にはひとかけらも恐怖がなかった。
(なんだか不思議…あのユーリって人の時はあんなに怖かったのに…)
「ふん…だったら、俺を満足させるほどの力を見せてくれよ。ジョンソン、腹をくくれ!」
「仕方がないな…。私のデッキはそれほどタッグデュエルに適した出来ではないが」
鬼柳とジョンソンもデュエルの準備を整える。
「「デュエル!!」」
鬼柳
手札5
ライフ4000
ホセ
手札5
ライフ12000
柚子
手札5
ライフ4000
ジョンソン
手札5
ライフ4000
3人一斉に相手をすることからか、ホセのライフが12000となっている。
「俺のターン、俺は手札から永続魔法《虚無の煉獄》を発動。そして、手札から《インフェルニティ・ネクロマンサー》を召喚」
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
「このカードは召喚に成功したとき、守備表示になる。さらにカードを1枚伏せ、《虚無の煉獄》の効果発動。このカードをフィールドから墓地へ送ることで、俺は手札を全て墓地へ送ることができる」
《虚無の煉獄》のソリッドビジョンがブラックホールに変わり、鬼柳の手札すべてを吸い込んでいく。
そして、そのブラックホールに向けて《インフェルニティ・ネクロマンサー》が祈祷を始める。
手札から墓地へ送られたカード
・インフェルニティ・デーモン
・ブレイクスルー・スキル
「《インフェルニティ・ネクロマンサー》は1ターンに1度、手札が0枚の時、墓地からインフェルニティモンスター1体を特殊召喚できる。《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚」
祈祷にこたえるかのように、《インフェルニティ・デーモン》がブラックホールから飛び出してくる。
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
「《インフェルニティ・デーモン》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功したとき、手札が0枚の場合、デッキからインフェルニティカード1枚を手札に加えることができる。俺はデッキから《インフェルニティ・バリア》を手札に加える。そして、カードを1枚伏せてターンエンド」
鬼柳
手札5→0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
伏せカード2
ホセ
手札5
ライフ12000
場 なし
柚子
手札5
ライフ4000
場 なし
ジョンソン
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン、私は手札から《グランド・コア》を召喚」
グランド・コア レベル1 攻撃0
「そして、手札から魔法カード《ナイト・ショット》を発動。相手フィールド上の伏せカード1枚を破壊する。私は鬼柳一真のフィールドの右側の伏せカードを破壊する」
「ちっ…」
破壊されたカードを見て、鬼柳は舌打ちする。
そのカードは《インフェルニティ・デーモン》の効果で手札に加えた《インフェルニティ・バリア》で、インフェルニティデッキにとってはかなり強力なカウンター罠だからだ。
「さらに手札から魔法カード《カオス・ブラスト》を発動。デッキからレベル1の機械族モンスター3体を墓地へ送り、フィールド上に存在するレベル4以下のモンスター1体を破壊する。私は《グランド・コア》を破壊する」
《カオス・ブラスト》のソリッドビジョンが《グランド・コア》と重なる。
そして、そのオレンジ色の卵が孵り、5体の機械パーツが出現する。
デッキから墓地へ送られたカード
・グランエルA
・グランエルT
・グランエルC
カオス・ブラスト
通常魔法カード
(1):自分のデッキに存在するレベル1・機械族モンスター3体を墓地へ送ることで発動できる。フィールド上に存在するレベル4以下のモンスター1体を破壊する。
「《グランド・コア》がカード効果で破壊されたとき、私のフィールド上に存在するモンスターを全て破壊し、デッキ・手札・墓地から《機皇帝グランエル∞》、《グランエルT》、《グランエルA》、《グランエルG》、《グランエルC》を特殊召喚する」
5体のパーツが合体していき、オレンジ色だが、大きさが翔太と戦った同じ人型である《機皇帝ワイゼル∞》より倍近くで、細見だったそれとは正反対にずんぐりとしたデザインとなっている。
また、足はついておらず、その部分は大型のブースターが搭載されており、それが火を噴かせていることでこの機体は空に浮かんでいられる。
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃0
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
「《グランエル》の効果発動。このカードが《グランド・コア》の効果で特殊召喚された場合、攻撃力は私のライフと同じになる」
「今のあのロボットのライフは12000。ということは攻撃力は…!!」
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃0→12000
3vs1という変則な条件でのデュエルであるため、必然的にホセのライフは3人のライフの合計である12000からスタートとなる。
最も、通常ルールであったとしても、最初のターンであれば、攻撃力4000となるため、厄介なことには変わりない。
「私はカードを1枚伏せ、手札から魔法カード《オーロラ・ドロー》を発動。私のフィールド上に機皇帝が存在し、手札がこのカードのみの場合、デッキからカードを2枚ドローする。私はこれでターンエンド」
鬼柳
手札0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
伏せカード1
ホセ
手札5→2
ライフ12000
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃12000
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード1
柚子
手札5
ライフ4000
場 なし
ジョンソン
手札5
ライフ4000
場 なし
「機皇帝…」
柚子はデュエルディスクを操作し、相手フィールド上のモンスターを確認する。
「相手のシンクロモンスターを装備して、攻撃力をアップさせる!?」
「まずいな…本来の私や柊のデッキであればとにかく、今のデッキは…」
偽装のために用意したシンクロモンスター限定コンセプトのデッキが今回は結果的に仇となる格好となってしまう。
「(とにかく、シンクロモンスターを極力使わないで勝負を決めないと)あたしのターン!あたしは手札から《闇竜星―ジョクト》を召喚!」
闇竜星―ジョクト レベル2 攻撃0(チューナー)
「《ジョクト》の効果発動!あたしのフィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しない場合、手札の竜星カード2枚を墓地へ送ることで、デッキから攻撃力0と守備力0の竜星モンスターを1体ずつ特殊召喚できる!あたしはデッキから《地竜星―ヘイカン》と《水竜星―ビシキ》を特殊召喚!」
《闇竜星―ジョクト》が口から吐き出した土と水の塊からそれぞれ幻竜が1体ずつ生まれる。
地竜星―ヘイカン レベル3 攻撃1600
水竜星―ビシキ レベル2 守備2000
手札から墓地へ送られたカード
・竜星の具象化
・光竜星―リフン
「レベル3の《ヘイカン》とレベル2の《ビシキ》にレベル2の《ジョクト》をチューニング!闘争の音色奏でし時、光射す道が巨竜を導く!シンクロ召喚!戦場を彷徨う幻、レベル7!《邪竜星―ガイザー》!!」
シンクロ召喚の光が急に黒く変化し、そこから紫と金の飾りを肩やひじにつけた黒い飛竜が出現する。
戦場の血を浴びたかのようなその赤い瞳はシンクロキラーである《機皇帝グランエル》を臆さずに見ていた。
邪竜星―ガイザー レベル7 攻撃2600
「このカードは相手の効果の対象にならない!だから、《グランエル》の効果は受けないわ!」
「よし…だが、攻撃力では《グランエル》の12000には遠く及ばないぞ?」
「あたしは手札から魔法カード《竜星の輝跡》を発動!墓地の竜星モンスター3体をデッキに戻し、デッキからカードを2枚ドローする!」
墓地からデッキに戻ったカード
・地竜星―ヘイカン
・水竜星―ビシキ
・闇竜星―ジョクト
「そして、手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!この効果であたしは墓地から《光竜星―リフン》を特殊召喚する」
光竜星―リフン レベル1 攻撃0
「更に《ガイザー》の効果発動!1ターンに1度、あたしの竜星モンスター1体と相手フィールド上のカード1枚を破壊できる!」
《邪竜星―ガイザー》の口の中に《光竜星―リフン》が白い光の球体となって入っていく。
口から放たれるブレスを想定しているのか《機皇帝グランエル》は左腕のビームシールドを構え、警戒を始める。
「(攻撃力がいくら高くても、効果破壊なら…!)ダーク・プレッシャー!」
狙いを定めた闇の幻竜が口から白い炎を放つ。
すると、左腕パーツから4つのカサガイに似た茶色いビットが射出され、それが《機皇帝グランエル》を緑色のバリアフィールドで包み込む。
炎はそのバリアを貫通することができず、その周囲を焼く程度にとどまった。
「なんで、《グランエル》を破壊できないの!?」
「《グランエルG》の効果発動。1ターンに1度、機皇帝のカード効果による破壊を無効にする」
「ええ…!?」
これが柚子自身のミスがあった。
《機皇帝グランエル∞》のみの効果に目が行ってしまったせいで、ほかのパーツの効果を見ていなかったのだ。
制限カードである《死者蘇生》を使ってまでの一撃を回避された影響は大きい。
自分の失態を悔やむ柚子だが、ここから巻き返さなければならない。
「《リフン》の効果発動!このカードが戦闘か効果によって破壊され墓地へ送られたとき、デッキから《リフン》以外の竜星モンスター1体を特殊召喚する。あたしはデッキから《魔竜星―トウテツ》を特殊召喚!」
《邪竜星―ガイザー》が口から黒い霧を放ち、それが自身と同じような姿であるが、若干大きさが小さめとなっている飛竜を形成していく。
同じような姿ではあるが、6本足のうちの4本が地についている。
2本足で立つ邪悪な幻竜とは違い、ケンタウロスを連想させる。
魔竜星―トウテツ レベル5 守備0
新たな竜星モンスターを呼び出すまではいいが、《機皇帝グランエル》の驚異を退けることができたわけではない。
バトルロイヤルルールにより、全員最初のターンに攻撃もドローも行えないことから、あとできることはほんのわずかしかない。
「あたしはカードを1枚伏せ、ターンエンド!」
鬼柳
手札0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
伏せカード1
ホセ
手札2
ライフ12000
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃12000
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード1
柚子
手札5→2
ライフ4000
場 邪竜星―ガイザー レベル7 攻撃2600
魔竜星―トウテツ レベル5 守備0
伏せカード1
ジョンソン
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン。私は《カラクリ小町弐弐四》を召喚」
カラクリ小町弐弐四 レベル3 攻撃0
「このカードがフィールド上に存在する限り、私は通常召喚に加えてもう1度だけカラクリモンスターを召喚できる。私は《カラクリ兵弐参六》を召喚」
カラクリ兵弐参六 レベル4 攻撃1400
「レベル4の《弐参六》にレベル3の《弐弐四》をチューニング。大地の加護の元に暮らす新緑の亀、静寂を取り戻すため、その力を奮わん。シンクロ召喚。レベル7。《ナチュル・ランドオルス》」
ナチュル・ランドオルス レベル7 守備1600
「そして私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
鬼柳
手札0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
伏せカード1
ホセ
手札2
ライフ12000
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃12000
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード1
柚子
手札2
ライフ4000
場 邪竜星―ガイザー レベル7 攻撃2600
魔竜星―トウテツ レベル5 守備0
伏せカード1
ジョンソン
手札5→1
ライフ4000
場 ナチュル・ランドオルス レベル7 守備1600
伏せカード2
やはり攻撃力12000の《機皇帝グランエル》の前では、攻撃力2350の《ナチュル・ランドオルス》は守備表示で出すしかない。
しかし、このカードを出したことである程度ホセを警戒させることができるようになった。
(《ナチュル・ランドオルス》は手札の魔法カードを墓地へ送ることで、モンスター効果の発動を無効にし、破壊することができる。柊のフィールドには竜星がいる。彼女が《ガイザー》の効果を発動したら、《グランエルG》の効果が発動する。それを《ナチュル・ランドオルス》の効果で妨害すればいい。最も、手札に魔法カードを温存し続けることができれば…の話だが)
「俺のターン、ドロー」
鬼柳
手札0→1
「俺は手札から《インフェルニティ・ビートル》を召喚」
インフェルニティ・ビートル レベル2 攻撃1200(チューナー)
「このカードは手札が0枚の時、リリースすることでデッキから《インフェルニティ・ビートル》を特殊召喚できる」
《インフェルニティ・ビートル》がさなぎに戻り、それが砕けると2匹の《インフェルニティ・ビートル》が飛び出す。
インフェルニティ・ビートル×2 レベル2 攻撃1200(チューナー)
「レベル4の《インフェルニティ・デーモン》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。シンクロ召喚。《グラヴィティ・ウォリアー》!」
グラヴィティ・ウォリアー レベル6 攻撃2100
「《グラヴィティ・ウォリアー》はシンクロ召喚に成功したとき、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき300アップする。蛮勇引力!」
《機皇帝グランエル》という5体のモンスターの存在が《グラヴィティ・ウォリアー》の血をたぎらせ、激しく咆哮させる。
グラヴィティ・ウォリアー レベル6 攻撃2100→3600
しかし、今の鬼柳にとって《グラヴィティ・ウォリアー》は通過点でしかない。
「さらに俺はレベル6の《グラヴィティ・ウォリアー》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。死者と生者、ゼロにて交わりしとき、永劫の檻より魔の竜は放たれる!シンクロ召喚!いでよ、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》!!」
インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
「更に、《インフェルニティ・ネクロマンサー》の効果発動。《インフェルニティ・デーモン》を特殊召喚する」
再び祈祷する《インフェルニティ・ネクロマンサー》とそれを応援するかのように咆哮する《インフェルニティ・デス・ドラゴン》。
その2体にこたえるかのように、《インフェルニティ・デーモン》が黄泉の世界から再び姿を現した。
インフェルニティ・デーモン レベル4 攻撃1800
「《インフェルニティ・デーモン》の効果発動。デッキから《インフェルニティ・ガン》を手札に加える。そして、手札から永続魔法《インフェルニティ・ガン》を発動。手札が0枚の時、このカードをフィールドから墓地へ送ることで、墓地からインフェルニティモンスター2体を特殊召喚する。俺は《インフェルニティ・ビートル》2体を特殊召喚する」
《インフェルニティ・ガン》のソリッドビジョンが紫色の霧に変わっていき、その中から2体の《インフェルニティ・ビートル》が出てくる。
インフェルニティ・ビートル×2 レベル2 攻撃1200(チューナー)
「レベル3の《ネクロマンサー》にレベル2の《ビートル》をチューニング。死神の刃、今こそ現世に降臨し、咎人を狩れ。シンクロ召喚!《インフェルニティ・デス》!!」
インフェルニティ・デス レベル5 攻撃2200
「《インフェルニティ・デス》の効果発動。は手札が0枚の時、1ターンに1度相手フィールド上のこのカードの攻撃力以下のモンスター1体を墓地へ送り、相手に1000ポイントのダメージを与える。死神の鎌よ、《グランエルG》を切り裂け」
《インフェルニティ・デス》の大鎌の刃が左腕パーツを両断しようとする。
バリアフィールドを形成しているビットは《インフェルニティ・デス・ドラゴン》がブレスで焼き払う。
そして、最後の守りの要としてビームシールドを展開したが、それ毎真っ二つに切り裂かれた。
切り裂かれたパーツの破片はホセの体に刺さる。
ホセ
ライフ12000→11000
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃12000→11000
「ライフが下がったことで、《グランエル》の攻撃力が下がったか…」
「攻撃表示になっているパーツを攻撃して、ライフを減らしていけば…!!」
まだ逆転の余地があることを柚子は喜ぶ。
ただ、問題はホセが伏せている伏せカードだが。
「俺はレベル5の《インフェルニティ・デス》にレベル2の《インフェルニティ・ビートル》をチューニング。奈落の底より這い上がりし死霊の騎士よ、煉獄の炎を纏って今こそ降臨せよ。シンクロ召喚!現れろ、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の体から燃え上がる煉獄の炎が周囲を包み込んでいく。
晴れた廃墟の街が一瞬で戦場のような光景に変わってしまう。
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃2100
「《インフェルニティ・ボーンナイト》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功したとき、手札が0枚の場合、このカードの攻撃力は相手フィールド上に存在するモンスター1体につき500アップする」
全身から炎を吹き出す煉獄の騎士に対して、《機皇帝グランエル》はじっとカメラを向けるだけで何も行動を起こさない。
生物の本能に突きつける恐怖は機械にとってはただの対処可能なノイズでしかない。
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃2100→4600
「バトルだ。《インフェルニティ・ボーンナイト》で《グランエルA》を攻撃」
燃え上がる両手剣を手に、騎士は飛び上がる。
ビームシールドが使えない《機皇帝グランエル》はエネルギー源のある胸部パーツを守るべく、右腕のキャノンを盾代わりに受け止める。
「《グランエルC》の効果発動。1ターンに1度、私のフィールド上に存在するモンスターの戦闘による破壊を無効にする」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の大剣を破壊すべく、《機皇帝グランエル》の頭部のカメラが開く。
そこには隠し武器として小型のビーム砲が内蔵されており、騎士の右腕に向けて光線を発射する。
それを回避するため、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》は剣を引き抜いてその場を後にする。
ホセ
ライフ11000→7700
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃11000→7700
「まだだ…《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果発動。1ターンに1度、手札が0枚の時、相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える。インフェルニティ・デス・ブレス!!」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》が近くの4回建てのビルの屋上に立つと、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》は《機皇帝グランエル∞》に向けて紫色の火球を放つ。
それを脚部パーツに受け、推進剤に燃え移って他のパーツに誘爆することを避けるべく、それが強制排除され、穴の開いた右腕パーツでゲートボールのように《インフェルニティ・デス・ドラゴン》に向けてそれを打つ。
爆発に巻き込まれるのを避けるため、死の竜は口から先ほどよりもさらに高温なブレスを放ち、自分のもとに爆風が届かないギリギリの距離でそれを爆発させた。
ホセ
ライフ7700→7350
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃7700→7350
「よし…一気に攻撃力を下げることができた…」
「罠発動。《インフィニティ・シルエット》。私のフィールド上に存在するワイゼル、スキエル、グランエルのいずれかの名の付くモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたターンのバトルフェイズ終了時に、デッキからレベル4以下のワイゼル、スキエル、グランエルのいずれかの名の付くモンスター2体を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。私はデッキから《スキエルC3》と《ワイゼルG3》を特殊召喚する」
上空からカニのハサミのような青い脚部パーツと《ワイゼルG3》が落ちてきて、それが《機皇帝グランエル》に装着される。
ワイゼルG3 レベル3 守備2000→0
スキエルC3 レベル3 攻撃600→0
インフィニティ・シルエット
通常罠カード
「インフィニティ・シルエット」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在する「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたターンのバトルフェイズ終了時に発動できる。デッキからレベル4以下の「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスター2体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの攻撃力・守備力は0となる。
「《ワイゼルG3》は攻撃対象を自身へ変更させるだけでなく、1ターンに1度戦闘では破壊されなくなる。さらに《スキエルC3》は1ターンに1度、自分のモンスターの戦闘による破壊を無効にする」
「攻撃力が減ったと思ったら、守りを固めてきたか…!」
《ワイゼルG3》と《スキエルC3》により、少なくとも4回攻撃しなければ《機皇帝グランエル∞》を破壊できなくなってしまった。
幸い、カード効果による破壊の体制は失われているのが救いかもしれない。
「俺はこれでターンエンド」
鬼柳
手札1→0
ライフ4000
場 インフェルニティ・デス・ドラゴン レベル8 攻撃3000
煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト レベル7 攻撃4600
伏せカード1
ホセ
手札2
ライフ7350
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃7350
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
ワイゼルG3 レベル3 守備0
スキエルC3 レベル3 攻撃0
柚子
手札2
ライフ4000
場 邪竜星―ガイザー レベル7 攻撃2600
魔竜星―トウテツ レベル5 守備0
伏せカード1
ジョンソン
手札1
ライフ4000
場 ナチュル・ランドオルス レベル7 守備1600
伏せカード2
「私のターン、ドロー」
ホセ
手札2→3
「私は手札から魔法カード《インフィニティ・パラドックス》を発動。私のフィールド上に存在するパーツ1体をリリースすることで、このターン私のワイゼル、スキエル、グランエルモンスターの効果の発動に対し、相手は罠・モンスター効果を発動できない」
「何!?」
発動と同時に、フィールドに変化が生じ、道路やがれき、廃墟が七色のガラス状の物体へと変質していく。
そして、そのガラスには数多くのシンクロモンスターの姿が映っている。
リリースしたモンスター
・グランエルT
インフィニティ・パラドックス
通常魔法カード
「インフィニティ・パラドックス」は自分のターンのメインフェイズ開始時にしか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在する「機皇帝」モンスター以外の「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスター1体をリリースして発動する。このターン、自分フィールド上に存在する「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスターの効果の発動に対して、相手は罠・モンスター効果を発動できない。
「く…《ナチュル・ランドオルス》の効果対策か…!」
「更に私は手札から魔法カード《オーロラ・ドロー》を発動。私のフィールド上に機皇帝が存在し、手札がこのカードのみの場合、デッキからカードを2枚ドローする。そして、私は《グランエルT3》を召喚。このカードは私のフィールド・墓地に《グランエルT》が存在しなければ召喚できない」
オレンジ色のウツボのような姿の機械が現れると、それが頭を中心にバームクーヘンのように丸まり、球体状の頭部パーツとなる。
そして、《機皇帝グランエル》の新しい頭部パーツとなった。
グランエルT3 レベル3 攻撃800
「《グランエルT3》の効果発動。1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体の効果をターン終了時までこのカードにコピーすることができる」
「ええ!!?」
《グランエルT3》が分離し、再びウツボのような姿に戻ると、《インフェルニティ・デス・ドラゴン》にとりつく。
そして、口元らしき部分についている牙でかみついた。
《インフェルニティ・デス・ドラゴン》にとっては傷にも入らない程度の小さなものだが、牙に付着した体液からDNAを調べ上げ、そのモンスターの特性と効果について知った《グランエルT3》は戻っていき、再び頭部パーツとしての役割を始めた。
グランエルT3
レベル3 攻撃800 守備0 効果 地属性 機械族
このカードは自分フィールド・墓地に「グランエルT」が存在しない場合、通常召喚できない。
(1):このカードは自分フィールド上に存在する「グランエルT」1体をリリースし、
手札から特殊召喚する事ができる。
(2):このカードは攻撃できない。
(3):このカードはフィールド上に存在する限り、攻撃表示となる。
(4):自分フィールド上に「機皇帝」と名のつくモンスターが存在しない場合、このカードは破壊される。
(5):自分フィールド上に存在する「機皇帝」モンスターが攻撃する時、ダメージステップ終了時まで相手フィールド上に存在するSモンスターの効果は無効化される。
(6):1ターンに1度、相手フィールド上に存在するSモンスター1体を対象に発動できる。ターン終了時までそのモンスターの効果を得る。
「《インフェルニティ・デス・ドラゴン》のDNAより解析した効果を発動。手札が0枚の時、1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与える。私は《ナチュル・ランドオルス》を破壊する」
《グランエルT3》の頭部カメラが展開し、そこから《インフェルニティ・デス・ドラゴン》が映像となって現れる。
そして、《ナチュル・ランドオルス》を口から吐き出した黒いブレスで焼き尽くしていった。
ジョンソン
ライフ4000→2775
「鬼柳一真、柊柚子、そしてジョンソンの戦術、破たん完了」
「そんな…読まれていたの!?」
3人は二段構えの攻撃で《機皇帝グランエル》を倒す算段を立てていた。
まずは鬼柳がインフェルニティモンスターを利用して機皇帝の防御パーツを破壊する。
その際に相手に行動が可能な限り悟られないように、ジョンソンには手札の魔法カードを温存させる。
それはホセが伏せてあるカードが分からない分、そしてたった1度しか現状では発動できない《ナチュル・ランドオルス》の効果を無効にされないようにするためだ。
そして、1ターン待つことである程度相手が伏せたカードが何かを知ることができる。
鬼柳が《インフェルニティ・デス》と《インフェルニティ・デス・ドラゴン》の効果発動に対して、ホセがその伏せカードを発動しなかったことで、そのカードがモンスター効果対策のものではないことが分かった。
ついでに、これで自分たちの目的を《機皇帝グランエル》の破壊ではなく、直接ライフを削ることにあると誤認させる。
実際、それは当たっていて、正体は先述の《インフェルニティ・シルエット》だった。
そして、柚子のターンになったら《邪竜星―ガイザー》の効果を使い、《機皇帝グランエル∞》の破壊を行う。
効果破壊無効に対しては《ナチュル・ランドオルス》で対処する。
しかし、《インフィニティ・パラドックス》と《グランエルT3》のせいでそれが破たんしてしまった。
「更に、《グランエル∞》の効果発動。1ターンに1度、相手シンクロモンスター1体を捕獲する」
追い打ちをかけるように、胸部から出てきた《機皇帝グランエル》のエネルギー源が《インフェルニティ・デス・ドラゴン》を取り込んでいく。
「《グランエル》は捕獲したシンクロモンスターの攻撃力分アップする」
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃7350→10350
「バトル。私は《グランエル》で《ガイザー》を攻撃。グランエル・スローター・キャノン」
《機皇帝グランエル》の頭部カメラが《邪竜星―ガイザー》との距離や破壊のために必要な出力、命中率を計算していく。
そして、計算が終了すると同時に右腕パーツの銃口から高濃度の粒子を圧縮したオレンジ色の光線を発射した。
伏せカードがそれ対策のものではないためか、柚子は焦りを見せる。
だが、《邪竜星―ガイザー》をかばうように、彼女の目の前に煉獄騎士が走る。
「何?」
「私は罠カード《シフトチェンジ》を発動した。この効果で、攻撃対象を《インフェルニティ・ボーンナイト》を攻撃」
ジョンソンが発動したカードにより、《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》が代わりに光線を受け止めるが、その光線によるダメージを煉獄の炎で全身を包むことで緩和している。
だが、それも長くは続かない。
光線の影響で、煉獄の炎を受けても溶けないはずの漆黒の鎧が溶け始めている。
「俺は罠カード《インフェルニティ・フォース》を発動。俺の手札が0枚で、俺のインフェルニティモンスターが攻撃対象となったとき、攻撃モンスターを破壊する!」
しのぎ切れないと判断した煉獄騎士は剣先を敵に向け、特攻を始める。
鎧と骨を焼きながら、彼の剣と肉体は《機皇帝グランエル》の胸部を貫く。
胸部を貫かれ、更に煉獄の炎によってエネルギー源が焼き尽くされたことで《機皇帝グランエル》が大爆発を起こし、消滅した。
「更に墓地からインフェルニティモンスター1体を特殊召喚する。《インフェルニティ・ネクロマンサー》を特殊召喚」
敵を倒し、鬼柳のフィールドに戻ってきた《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》の前に《インフェルニティ・ネクロマンサー》が現れる。
そして、傷ついた骨を術によっていやした。
インフェルニティ・ネクロマンサー レベル3 守備2000
「鬼柳さん、ジョンソンさん…」
「ジョンソン、《インフェルニティ・フォース》がなかったら、俺はあの世行だったぜ?そうなったら、どうしてくれたんだ?」
「一種の賭けだ。それに、《インフェルニティ・フォース》をこの状況で伏せていないほど黄泉の浅いデュエリストではないと思っただけだ」
フッと笑みを浮かべるジョンソンに鬼柳は苦笑する。
(すごい…一回崩れたこの戦況をここまで立て直すなんて…もしかしたら、勝てるかもしれない)
ホセのターンは続いていて、最後の1枚が何かはわからないが、次に柚子のターンが来る。
そして、そのあとに続くジョンソンと鬼柳のターンを含めて猛攻を仕掛けることができれば勝てる。
「私は手札から速攻魔法《インフィニティ・コアリバース》を発動。私のフィールド上に存在する機皇帝が破壊されたターン、私のフィールド上にモンスターが存在しないときに発動でき、墓地からレベル1の機械族モンスター1体を特殊召喚できる。私は《グランド・コア》を特殊召喚する」
爆発によって発生した煙がはれ、ホセの背後には《機皇帝グランエル》の残骸がある。
それが結集し、ホセの前に移動して、新しい《グランド・コア》となる。
グランド・コア レベル1 守備0
「そして、このカードを発動したターンのバトルフェイズ終了時に、この効果で特殊召喚したモンスターは破壊される」
「破壊されるって…まさか!?」
「バトルフェイズ終了だ…」
ホセの宣言と同時に《グランド・コア》が粉々に砕け、そこから《機皇帝グランエル》が現れる。
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃7350
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
インフィニティ・コアリバース
速攻魔法カード
(1):自分フィールド上に存在する「∞」モンスターが破壊され墓地へ送られたターン、自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。墓地に存在するレベル1・機械族モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、このカードを発動したターンのバトルフェイズ終了時に破壊される。
「《グランエル∞》の効果発動。1ターンに1度、相手フィールド上に存在するシンクロモンスター1体を捕獲する。《インフェルニティ・ボーンナイト》を捕獲」
「何!?」
《煉獄騎士インフェルニティ・ボーンナイト》が取り込まれ、《機皇帝グランエル》のエネルギーに変えられていく。
そして、その力を得た機械は攻撃力を高める。
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃7350→9450
「まずいな…これは…!」
「くそ!!最後の最後で!!」
再び強大な力をもって復活した《機皇帝グランエル》に3人は戦慄する。
(落ち着いて…一度は力を合わせて倒すことができたモンスターよ。無敵ってわけじゃない!落ち着いて…)
何度も何度も自分の心に言い聞かせる柚子。
そんな中、急に《機皇帝グランエル∞》が消えていく。
そして、ホセはデュエルを中止して背を向ける。
「何…?」
「おい、何のつもりだ??おい!!」
何を言うことなく、去っていくホセに答えを求める。
しかし、機械であるホセに何を言っても無駄だ。
更に彼は懐からカード化したデュエリストをその場に置いて行ってしまった。
足音が遠くなるのを耳で知ったジョンソンは静かにこうつぶやく。
「撤退した…いや、撤退してくれたというべきか…?」
「よかった…!最終防衛ラインは傷ついてるが、無事みたいじゃ」
ホセが去った少しあとで最終防衛ラインまで戻ってきた漁介が周囲を見渡す。
ホセに物理的な攻撃をされたことで大けがをしたメンバーの治療を医療班が行っており、破損したデュエルディスクの回収を手伝っていた。
彼が実際にデュエルをしたのがジョンソンと柚子、鬼柳だけだということには驚いたものの。
「ん…?秘密連絡??」
デュエルディスクからブザー音が鳴り、通信機能を起動し、画面を見ると、そこには黒い二重線が表示されていた。
これはモハメドが翔太ら7人のデュエルディスクにだけ送る連絡番号で、これで知る情報はその7人以外には決して伝えてはいけないということになっている。
「おう、どうしたんじゃ、モハメドのおっちゃん」
「まずいことになった…ボスがセキュリティにさらわれた」
かなり強引ですが、翔太にはちょっととんでもない状況に陥っていただきました。
彼の身にこれから何が起こるのか?彼不在のシェイドはどうなってしまうのか…??