遊矢と227がデュエルをしているのと同じ時間の大門区消防署前…。
柚子の手を借りて起き上がった伊織はホセに指をさす。
「おおー、まさかこんなところに立っているとは思わなかったよー。さっすがロボット!策士だねー」
(ただ単に伊織の前方不注意なだけじゃ…)
「しかーし!私たちシェイド…もとい、遊勝塾の美少女タッグの相手ではなーーい!わかったら、回れ右をして、引き下がり給えーー!」
「…」
人間であれば、ツッコミを入れるか何を言っているなどと何かを言葉にするのだが、ロボットであるホセはプログラムされた言葉以外を口にすることはない。
プログラムにないようなものに対して、できるのは沈黙だけだ。
彼はデュエルディスクを展開し、じっと2人を見る。
「ああー、引き下がってくれない…。ごめんね、柚子ちゃん!」
「大丈夫、期待してなかったから」
「うう…ちょっとは期待していてほしかったなー」
半分涙目になった伊織も柚子と一緒にデュエルディスクを展開し、一緒にバック転で後ろに下がる。
「もう隠す必要もないし…やろっか、柚子ちゃん!!フィールド魔法《クロス・オーバー》発動!!」
伊織の宣言と共に、3人の周囲にプリズム状の浮いた足場とアクションカードが展開されていく。
デュエルディスクに内蔵されているソリッドビジョンシステムはスタンダード次元のデュエルリングに設置されているものと比較すると、出力も容量も低いため、使えるフィールドはこれしかない。
しかし、アクションカードという特殊ルールに慣れている伊織たちにとってはありがたいフィールドであることに変わりはない。
「じゃあ、久々にあのセリフを…。コホン!戦いの殿堂に集いしデュエリストたちが!」
「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞ、デュエルの最強進化形、アクション…」
「「デュエル!!」」
柚子&伊織
手札
柚子5
伊織5
ライフ4000
ホセ
手札5
ライフ4000
「あたしの先攻!あたしはモンスターを裏守備表示で召喚。更に、手札から魔法カード《天空の宝札》を発動!手札の天使族・光属性モンスター1体を除外して、デッキからカードを2枚ドローするわ!」
手札から除外されたカード
・幻奏の音女アリア
「そして、カードを2枚伏せて、ターンエンド」
柚子&伊織
手札
柚子5→2
伊織5
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
伏せカード2
ホセ
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン、ドロー」
ホセ
手札5→6
「私は手札から《グランド・コア》を召喚」
グランド・コア レベル1 攻撃0
「そして、手札から魔法カード《ボム・ブラスト》を発動。このターン、戦闘を行っていない私のフィールド上の機械族モンスターを3体まで破壊し、破壊したモンスター1体につき400のダメージを与える」
「いきなりコアを破壊した…ってことは!?」
《グランド・コア》が柚子と伊織の目の前まで接近し、自爆する。
爆風によって、2人が吹き飛ばされている間にコアの中に収納されていた5つのパーツが飛び出してくる。
「《グランド・コア》がカード効果によって破壊されたとき、私のフィールド上に存在するすべてのモンスターを破壊することで、手札・デッキ・墓地から《機皇帝グランエル∞》、《グランエルT》、《グランエルA》、《グランエルG》、《グランエルC》を特殊召喚する」
柚子&伊織
ライフ4000→3600
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃0
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
「そして、《グランエル》の効果発動。このカードが《グランド・コア》の効果で特殊召喚に成功した場合、その攻撃力は私のライフと同じになる」
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃0→4000
「いきなり攻撃力4000の《グランエル》が…!」
まるで積み込みをしているかのように、最初のターンから《機皇帝グランエル∞》とパーツが現れた。
以前までの偽装用のシンクロデッキを使っていたなら、もちろん刺さっていたかもしれないが、今回の2人のデッキは普段使っている融合デッキであるため、ダメージは相対的に少なくなっている。
しかし、それでも様々なサポート効果を持つパーツとライフに連動して攻撃力を高めることができる《機皇帝グランエル》の脅威に変化はない。
「バトル。私は《グランエル》で裏守備モンスターを攻撃。グランエル・スローター・キャノン」
《機皇帝グランエル∞》の右腕に装着されているキャノン砲からオレンジ色の大出力の光線が発射される。
裏守備となっていた、黄色いターバンで焦げ茶色とオレンジの服を重ね着した小さな笛吹きが慌てた表情を浮かべながら光線に飲み込まれていく。
裏守備モンスター
見習い魔笛使い レベル2 守備1500
「《見習い魔笛使い》のリバース効果発動!手札からモンスター1体を特殊召喚できる。あたしは手札から《幻奏の歌姫ソプラノ》を特殊召喚!」
《見習い魔笛使い》が光りの中で、手に持っている笛を吹き始める。
すると、それに合わせて歌を歌いながら《幻奏の歌姫ソプラノ》が姿を現す。
幻奏の歌姫ソプラノ レベル4 守備1400
《幻奏の歌姫ソプラノ》が歌い終わると同時に、《見習い魔笛使い》が力尽きる。
しかし、一度吹かれた笛の魔力はそう簡単に消えるものではなく、その音色が伊織の手を借りて起き上がって柚子の目の前で魔法陣に代わる。
「更に、《見習い魔笛使い》が戦闘・効果によって破壊されたとき、手札からモンスターを特殊召喚できる。あたしは《幻奏の音女タムタム》を特殊召喚!」
ドラの音と一緒にオレンジ色の音符模様と胸当てがついている、緑色の中国風の着物を装備した黒髪の少女が現れる。
右手には先端部分に赤い大きなふくらみがついていて、持ち手が茶色い木製となっているバチがあり、左手の近くには赤いドラが浮かんでいる。
幻奏の音女タムタム レベル4 守備2000
「《タムタム》の効果発動!あたしのフィールド上に幻奏モンスターが存在する状態で特殊召喚に成功したとき、デッキ・墓地から《融合》を1枚手札に加えることができるわ」
ドラの音によって生じた波紋が柚子のデュエルディスクにまで及び、それと同時に《融合》のカードがデッキから自動排出される。
「《グランエルA》の効果発動。∞と名の付くモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、続けてもう1度だけ攻撃することができる。《幻奏の歌姫ソプラノ》に攻撃。グランエル・スローター・キャノン・セカンド」
《グランエルA》が発射前に温存していたエネルギーをキャノン砲に回し、更に外側に外付けされている煙突型の強制冷却材を注入して再発射可能にする。
そして、照準を《幻奏の歌姫ソプラノ》に向けると、再び大出力の光線を発射する。
しかし、急に歌姫の前に現れた《幻奏の音女アリア》が彼女に合わせてデュエットをはじめ、その歌声が光線を拡散させていく。
「コンサートはそう簡単に終わらないわ!あたしは永続罠《奇跡の降臨》を発動するわ。このカードはゲームから除外されているあたしの天使族モンスター1体を特殊召喚できる。そして、特殊召喚された《アリア》がフィールド上に存在する限り、あたしの幻奏モンスターは効果の対象にならず、戦闘では破壊されない!」
「おおーー!さっすが柚子ちゃん。やっるー!」
《幻奏の音女アリア》は先ほどの《天空の宝札》の効果で除外したモンスターだ。
《機皇帝グランエル》による追加攻撃をも回避し、その上3体ものモンスターに破壊耐性をつけた柚子の技量に舌を巻く。
(あたしも…遊矢とみんなのために強くなるって決めたから…!)
幻奏の音女アリア レベル4 守備1200
「私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
柚子&伊織
手札
柚子2→1(《融合》)
伊織5
ライフ3600
場 幻奏の歌姫ソプラノ レベル4 守備1400
幻奏の音女タムタム レベル4 守備2000
幻奏の音女アリア(《奇跡の降臨》の影響下) レベル4 守備1200
奇跡の降臨(永続罠)
伏せカード1
ホセ
手札6→2
ライフ4000
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃4000
グランエルT レベル1 攻撃500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード2
「えー、それでは…コホン!歌姫によるコンサートのあとは、ヒーローによる華麗な変身ショーをご披露いたしまーす!私のターン、ドロー!」
わざとらしい咳払いの後で、まるでオペラのように《幻奏の音女タムタム》のドラの音と合わせて歌いながらドローする。
伊織
手札5→6
「柚子ちゃん、《タムタム》の力を借りるよー?」
「ええ。使って、伊織!」
「了かーい!私は手札から速攻魔法《マスク・チェンジ・セカンド》を発動!手札1枚を捨て、私のフィールド上に存在するモンスター1体を同じ属性のM・HEROに変身させる!さあ、《タムタム》!変身のお時間だよ!」
金色のマスクを手にした《幻奏の音女タムタム》がそれをかぶる。
すると、マスクから金色の光が発生し、その中で彼女の衣類が一瞬だけ消え、そのあとで金色のアーマーが装着される。
二の腕と二の足が露出しており、そこは下にきている白いゴム状のスーツが見えている。
「魂の響きよ!今こそ牙の力を宿し、新たなヒーローに進化せよ!変身召喚!《M・HERO光牙》!!」
変身を終えた《幻奏の音女タムタム》改め、《M・HERO光牙》は伊織を睨む。
「ああー、そんなに怒らないでねー?」
M・HERO光牙 レベル8 攻撃2500
手札から墓地へ送られたカード
・E・HEROネクロ・ダークマン
「《光牙》の効果!このカードの攻撃力は相手フィールド上に存在するモンスターの数×500アップ!」
もはや説明するまでのことではないが、機皇帝は5体のモンスターによって構成されているモンスターだ。
そのため、1対多数での戦いに闘志を燃やすこの光の牙にとって、まさに絶好の獲物となる。
M・HERO光牙 レベル8 攻撃2500→5000
「攻撃力5000!これなら、攻撃力4000の《グランエル》を攻撃できるけど…」
攻撃力では上回っているものの、柚子は《グランエルC》の効果を思い出す。
このカードは自分フィールド上のモンスター1体の戦闘破壊を1ターンに1度だけ防ぐ効果を持つ。
更に、《グランエルG》のせいで、1ターンに1度、カード効果による破壊を防がれてしまう。
ダメージを与えることができたとしても、破壊をすることができない。
攻防一体の、まさに権現坂が目指す不動の構えというものかもしれない。
しかし、今のホセのフィールドには攻撃力500の《グランエルT》がいる。
このカードを攻撃し、通れば1ショットキルで勝利できる。
「(じゃあ、せめて戦闘ダメージだけでも!!)私は《光牙》で《グランエルT》を攻撃!!」
勝負を決めるため、《M・HERO光牙》が突撃する。
両腕のアーマーに光が集まり、それが光の刃へと変化する。
「罠発動、《機皇換装》。フィールド上の機皇帝パーツを手札・墓地に存在するパーツに換装する。《グランエルT》を手札の《グランエルT5》に換装」
上空に出現した蟹を模した茶色い機械が口の部分から光線を放ち、《M・HERO光牙》の攻撃を妨害する。
そして、腕部を頭頂部に動かし、口部を開いて《機皇帝グランエル》の頭部に変形すると、姿を消した《グランエルT》の新しい頭になる。
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
「《グランエルT》がいなくなった…!?じゃあ、《グランエルA》に攻撃対象を変更!!」
伊織の指示を聞き、うなずいた《M・HERO光牙》が今度は《グランエルA》に刃を向ける。
「罠発動、《ドレインシールド》。相手モンスター1体の攻撃を無効にし、その攻撃力分ライフを回復する」
「ええ!?」
光の刃をパーツを切り離そうとしたが、その攻撃を《ドレインシールド》のソリッドビジョンが阻む。
そして、吸収したエネルギーをホセと《機皇帝グランエル》のコアパーツに与えていく。
ホセ
ライフ4000→9000
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃4000→9000
「攻撃力9000!?」
増幅したホセの力を得て、さらに力を増す《機皇帝グランエル》。
さらなる力を得たせいで、2人はさらにこの巨人を倒すことが困難になってしまった。
「けど、どうして《機皇換装》をわざわざ…」
柚子が気になったのは彼が最初に発動した《機皇換装》だ。
《ドレインシールド》で力を奪うだけなら、わざわざそのカードを発動することはない。
そして、その効果で特殊召喚された《グランエルT5》は初めて見るカードで、どのような効果があるのかわからない。
「伊織、あたしの伏せカードを使って!」
「うん!私は罠カード《針虫の巣窟》を発動!その効果で、デッキから5枚のカードを墓地へ送る!」
デッキから墓地へ送られたカード
・クリボーマン
・ネクロ・ガードナー
・聖なるバリア―ミラーフォース
・E・HEROセラフィム
・ホープ・オブ・フィフス
(うう…私は墓地行ですかぁ??)
伊織の後ろに現れたセラフィムがしょんぼりしながら彼女を見つめる。
「その、ごめんね?セラフィム」
(クリクリー)
そんな彼女を見かねたクリボーマンがセラフィムにほおずりする。
(ううー、クリボーマンさーん!!わかってくれるのはあなたとビャッコさんだけですー!!)
涙目になったセラフィムがクリボーマンをモフモフし始める。
そんな1人と1匹を見て、苦笑いした伊織はターンを進める。
「私はカードを3枚伏せて、ターンエンド!」
柚子&伊織
手札
柚子1(《融合》)
伊織6→1
ライフ3600
場 幻奏の歌姫ソプラノ レベル4 守備1400
M・HERO光牙 レベル8 攻撃5000
幻奏の音女アリア(《奇跡の降臨》の影響下) レベル4 守備1200
奇跡の降臨(永続罠)
伏せカード3
ホセ
手札2→1
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃9000
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
「私のターン、ドロー」
ホセ
手札1→2
「《グランエル∞》の効果発動。1ターンに1度、相手フィールド上のシンクロモンスター1体を捕獲する」
「ええ…!?」
「でも、あたしたちのフィールドにはシンクロモンスターは…」
《機皇帝グランエル》のコアパーツが展開し、シンクロモンスター捕獲の準備を始める。
それと同時に、《グランエルT5》から鋏部分が分離し、伊織たちにフィールドをオレンジ色の薄いビームフィールドを展開する。
「何?!このフィールドは…!」
「《グランエルT5》の効果。このカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上に存在するモンスターは私のターンの間のみ、シンクロモンスターとなる」
「そ…んな!!」
「私はシンクロモンスターと化した《光牙》を捕獲する」
展開されたフィールドが狭まっていき、《M・HERO光牙》だけが囚われる。
そして、コアパーツから緑色の光の縄が複数はなたれ、そのモンスターを捕獲し、コアパーツに収納する。
役目を終えた鋏は再び《グランエルT5》に戻る。
「《グランエル》は捕獲したシンクロモンスターの元々の攻撃力分、攻撃力がアップする」
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃9000→11500
グランエルT5
レベル5 攻撃1500 守備2000 効果 地属性 機械族
このカードは自分フィールド・墓地に「グランエルT3」が存在しない場合、通常召喚できない。
(1):このカードは自分フィールド上に存在する「グランエルT3」1体をリリースし、手札から特殊召喚する事ができる。
(2):このカードは攻撃できない。
(3):このカードはフィールド上に存在する限り、攻撃表示となる。
(4):自分フィールド上に「機皇帝」と名のつくモンスターが存在しない場合、このカードは破壊される。
(5):自分フィールド上に存在する「機皇帝」モンスターが攻撃する時、ダメージステップ終了時まで相手フィールド上に存在するSモンスターの効果は無効化される。
(6):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分のターンの間のみ、相手フィールド上に存在するモンスターはSモンスターとして扱う。
「更に、私は墓地に存在する《機皇換装》の効果を発動。私のフィールド上に∞と名の付くモンスターを含む機械族モンスターが5体存在するとき、このカードを墓地から除外することで、デッキからカードを1枚ドローする。そして、手札から装備魔法《メテオストライク》を《グランエル》に装備。このカードを装備したモンスターが守備モンスターを攻撃したとき、貫通ダメージを与える」
「攻撃力11500で貫通ダメージ!?」
驚きの声を上げる伊織を無視するかのように、ホセはターンを進める。
「バトル。《グランエル》で《幻奏の音女アリア》を攻撃。この瞬間、《グランエルT5》の効果発動。シンクロモンスターと化した《アリア》の攻撃をダメージステップ終了時まで無効にする」
頭部パーツによって、《幻奏の音女アリア》がレーザーによって解析され、それと同時に持っている効果を無力化されてしまう。
そして、キャノン砲から白い大出力の光線が発射される。
「この攻撃は通さない!罠発動!!《攻撃の無敵化》!!この効果で、私たちはこのターン受ける戦闘ダメージを0にする!」
能力を奪われたことで歌うことのできなくなった《幻奏の音女アリア》が蒸発するが、2人の前に《攻撃の無敵化》のソリッドビジョンが配置され、それが障壁となって攻撃を防ぐ。
「《グランエルA》の効果発動。機皇帝が戦闘で相手モンスターを破壊した場合、続けてもう1度だけ攻撃することができる。次は《ソプラノ》を攻撃。グランエル・スローター・キャノン・セカンド」
「私は墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動!このカードを墓地から除外することで、相手モンスターの攻撃を無効にする!」
強制冷却によって生じる、数秒のタイムラグの間に《ネクロ・ガードナー》の幻影が現れ、冷却官僚と同時に発射された大出力の光線を受け止める。
光線が消えると同時に、その幻影も消滅した。
「私はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
柚子&伊織
手札
柚子1(《融合》)
伊織1
ライフ3600
場 幻奏の歌姫ソプラノ レベル4 守備1400
伏せカード2
ホセ
手札2→0
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞(《メテオストライク》《M・HERO光牙》装備) レベル1 攻撃11500
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード2
「ごっめーん、柚子ちゃん。まさかシンクロモンスターに変えられちゃうなんて思わなくて…」
シンクロモンスターを使用しない、本来のデッキであれば、機皇帝に十分対抗できると考えていた自分の浅はかさを恥じる。
《グランエルT5》を急いで除去しなければ、いつまでも自分たちのモンスターがシンクロモンスターとして扱われ、《機皇帝グランエル》の独壇場になってしまう。
「ううん、でも…そうなったからといって、あたしたちの負けになったわけじゃないわ!」
あきらめず、じっとホセを見る柚子だが、今の彼女の手札にあるのは《融合》のみ。
フィールドには伏せカード1枚と《幻奏の歌姫ソプラノ》だけ。
これだけでは《機皇帝グランエル》を倒すことができない。
「あたしのターン、ドロー!」
柚子
手札1→2
ドローしたカードを見ると、柚子はすぐに行動に出る。
「あたしは手札から《クリスタル・ローズ》を召喚!」
クリスタル・ローズ レベル2 攻撃500
「このカードは1ターンに1度、手札・デッキのジェムナイトか幻奏モンスターを墓地へ送ることで、ターン終了時までそのモンスターに変身できる。あたしはデッキから《幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト》を墓地へ送る!」
《クリスタル・ローズ》が《幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト》の姿へ変化していく。
「そして、手札から魔法カード《融合》を発動!」
「罠発動、《ゴースト・コンバート》。墓地の機皇帝パーツを除外することで、相手の魔法・罠・モンスター効果の発動を無効にし、破壊する」
「そうはさせないわ!カウンター罠《魔宮の賄賂》を発動!相手の魔法・罠カードの発動を無効にし、破壊する!そして、相手はデッキからカードを1枚ドローする!」
以前、機皇帝使いが使用した《ゴースト・コンバート》の一番恐ろしい点は墓地にパーツがある限り、1ターンに1度という制約があるが、繰り返し使うことができるというところだ。
だから、こうして早い段階で排除することで、相手の妨害を排除することができる。
《ギャクタン》でもノーコストで無効にできるものの、無効にしたカードをデッキに戻してしまうため、再び使用される可能性があり、罠カードの墓地からの再利用が難しい分、《魔宮の賄賂》で妨害するのが良い手段だ。
「あたしが融合素材にするのは、《プロディジー・モーツァルト》となった《クリスタル・ローズ》と《ソプラノ》!騎士より託されし薔薇よ!天使のさえずりよ!タクトの導きにより力重ねよ!融合召喚!今こそ舞台に勝利の歌を!《幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ》!」
巨人の相手に似つかわしくない、小さく可憐な少女がフィールドに現れる。
《機皇帝グランエル》はゆっくりと銃口をそのモンスターに向け、彼女はわずかにおびえながら柚子を見つめる。
幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ レベル6 攻撃1000
「でたー!《ブルーム・ディーヴァ》!!」
柚子のエースカードの出現に伊織は歓喜する。
(《ブルーム・ディーヴァ》は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージ計算時に、互いの元々の攻撃力の差分ダメージを与えて、相手モンスターを破壊する効果がある。これなら、《グランエル》を倒せるわ…」
圧倒的な攻撃力を誇る《機皇帝グランエル》の弱点は攻撃力がライフに依存すること、そしてこのモンスターは《魔法の筒》のような高い攻撃力を逆手に取るカードに弱いことだ。
《幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ》は後者のほうだ。
「バトルよ、《ブルーム・ディーヴァ》で《グランエル》を攻撃!リフレクト・シャウト!!」
《幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ》が歌を歌いはじめ、《機皇帝グランエル》が迎撃のために放つ大出力光線は歌によって彼女の前に生まれた障壁に弾き返される。
「《グランエルG》の効果発動。1ターンに1度、私のモンスターはカード効果では破壊されない」
「けど、効果ダメージ10900は受けてもらうわ!!」
跳ね返された光線が《グランエルG》のビームシールドを貫き、ホセに迫る。
「私はカウンター罠《ダメージ・ポラリライザー》を発動。ダメージを与えるカード効果の発動と効果を無効にし、デッキからカードを1枚ドローする」
「え…!?」
《ダメージ・ポラリライザー》のカードを見て、柚子の頭が真っ白になる。
そのカードの効果で、《幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ》が破壊されることはないが、効果が無効にされる。
よって、彼女は攻撃力1000の通常モンスターとして、攻撃力11900の《機皇帝グランエル》と戦うということになるのだ。
《機皇帝グランエル》の胸部が展開され、跳ね返された光線が軌道を変えて、その中に吸収されていく。
そして、そのエネルギーを供給された砲台から光線が再び発射される。
リフレクト・シャウトで一度強力な光線を受け止めた彼女は疲れ果てていたため、直ぐに発動できず、そのまま光の中で消えていく。
それでも光線は容赦なく柚子に襲い掛かる。
(やられる…!!)
「アクション魔法《ソウル・バーニング》!!このターン、私たちが受けるダメージは1度だけ0になる!」
伊織が柚子を守るため、このターンの間に見つけたアクションカードを発動する。
それと同時に、柚子と伊織の体が炎に包まれ、それが2人を守る障壁となる。
「はあああ…」
攻撃が終わると同時に、気が抜けた柚子がヘナヘナとその場で腰を抜かす。
「柚子ちゃん、アクションカードを忘れてた?アクションデュエルはこれがある限り、何が起こるかわからないよ?」
発動し終えた《ソウル・バーニング》を墓地へ送りながら、伊織がニコニコと言葉をかける。
先ほどまで、柚子は伊織と一緒に開始宣言までしたにもかかわらず、これがアクションデュエルだということをすっかり忘れていた。
彼女の言う通り、手札・フィールド・墓地に置いて万策が尽きたとしても、アクションデュエルでは最後にカードを取らない限り、負けではない。
「伊織…ありがとう」
「ああ、そうそう!《ダメージ・ポラリライザー》の効果も忘れないでね!」
「ええ。ドロー!!」
伊織と一緒に、柚子もカードを引く。
「あたしは…カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
柚子&伊織
手札
柚子2→0
伊織1→2
ライフ3600
場 伏せカード2
ホセ
手札0→2
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞(《メテオストライク》《M・HERO光牙》装備) レベル1 攻撃11500
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
「私のターン、ドロー」
ホセ
手札2→3
「バトルだ。私は《グランエル》でプレイヤーにダイレクトアタック。グランエル・スローター・キャノン」
《機皇帝グランエル》の砲身は変わらず2人に向いており、攻撃のために冷却を続けている。
「速攻魔法《異次元からの埋葬》を発動!除外されているモンスターを3体まで墓地に戻す!《ネクロ・ガードナー》、戻って来て!」
上空に現れた次元の裂け目から青い棺が降りてきて、地面に置かれると同時に扉が開く。
中には《ネクロ・ガードナー》がいて、そのカードは伊織の墓地へ戻っていく。
その間に冷却を終えた《機皇帝グランエル》が大出力光線を発射する。
しかし、その光線を恐れる理由は今の2人には無かった。
「私は墓地の《ネクロ・ガードナー》を除外して、その攻撃を無効にするよ!」
再び《ネクロ・ガードナー》の幻影が現れて、2人を敗北の危機から救い出す。
「私はカードを1枚伏せ、ターンエンド」
柚子&伊織
手札
柚子0
伊織2
ライフ3600
場 伏せカード1
ホセ
手札3→2
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞(《メテオストライク》《M・HERO光牙》装備) レベル1 攻撃11500
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード1
「私のターン、ドロー!」
伊織
手札2→3
「私はモンスターを裏守備表示で召喚!そして、カードを2枚伏せてターンエンド!」
柚子&伊織
手札
柚子0
伊織2
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
伏せカード3
ホセ
手札3→2
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞(《メテオストライク》《M・HERO光牙》装備) レベル1 攻撃11500
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG レベル1 守備1000
グランエルC レベル1 攻撃700
伏せカード1
「私のターン、ドロー」
ホセ
手札2→3
「バトル。《グランエル》で裏守備モンスターを攻撃。グランエル・スローター・キャノン」
《機皇帝グランエル》が何度も阻止された攻撃を今度こそ成功させんといわんばかりに、更に出力を上げて光線を発射する。
「罠発動!《和睦の使者》!!これでこのターン、私たちのモンスターは戦闘では破壊されず、私たちが受ける戦闘ダメージも0になる!」
「カウンター罠《ギャクタン》。相手の罠カードの発動を無効にし、そのカードをデッキに戻す」
「じゃあ、こっちもカウンター罠《ギャクタン》を発動!!」
《ギャクタン》のソリッドビジョンが互いにぶつかり合い、相殺される。
そして、裏守備となっていたモンスターは攻撃の成立により表側守備表示となるが、《和睦の使者》によって守られる。
裏守備モンスター
E・HEROフォレストマン レベル4 守備2000
「私はフィールド上の《グランエルG》をリリースし、手札より《グランエルG3》を特殊召喚する」
《グランエルG3》が分離し、その場で消滅すると、地中からオウム貝を模したパーツが出現し、出現と同時に装甲が展開し、三本指のマニピュレーターを持つ左腕パーツとなって装着される。
グランエルG3 レベル3 守備2000
「私はこれで、ターンエンド」
柚子&伊織
手札
柚子0
伊織2
ライフ3600
場 E・HEROフォレストマン レベル4 守備2000
伏せカード1
ホセ
手札3→2
ライフ9000
場 機皇帝グランエル∞(《メテオストライク》《M・HERO光牙》装備) レベル1 攻撃11500
グランエルT5 レベル5 攻撃1500
グランエルA レベル1 攻撃1300
グランエルG3 レベル3 守備2000
グランエルC レベル1 攻撃700
「さあ、柚子ちゃん!とどめはお願いね!!」
「ええ…!?」
手札が0枚で、決め手などないにもかかわらず、とんでもない無茶ぶりを去れて困り果てる。
といっても、このまま自分がこのターンでとどめを刺すことができなければ、もうホセの攻撃から身を守るすべがないため、敗北が決まってしまう。
「ふぅーー…」
深呼吸をし、ゆっくりとデッキトップに指をかける。
「あたしのターン…ドローーー!!」
柚子
手札0→1
「レディースアンドジェントルメーン!!これより、榊遊勝直伝のエンターテインメントを皆さまにお届けいたします!!」
まるで、遠くにいる遊勝塾のメンバー、そして遊矢に届けと言わんばかりに大きな声を出す。
「まず、あたしはスタンバイフェイズ時に《フォレストマン》の効果を発動!このカードはあたしのターンのスタンバイフェイズごとに、デッキ・墓地から《融合》を1枚手札に加えることができます!」
そういうと、まずは《E・HEROフォレストマン》が近くにある大きながれきを片手で持ち上げ、回転させる。
回転している間にそのがれきが徐々にバラバラになっていき、それは1枚のカードと同じ大きさの薄い石と化していく。
最後にそれを柚子に投げわたし、柚子がつかむと、その石が《融合》のカードに変わった。
「更に、あたしはフィールド上に存在する《フォレストマン》を墓地へ送り、罠カード《パニック・ウェーブ》を発動します!このカードはあたしたちのフィールド上に存在する永続魔法・永続罠・モンスター効果をターン終了時まで無効にするわ!」
役目を終えた《E・HEROフォレストマン》が両拳をぶつけた後で、右の拳を地面に叩きつけてから姿を消す。
すると、地面からとがった岩石が次々と隆起し、それが次々と《機皇帝グランエル》に命中、関節部分を損傷させて合体を解除させる。
「カード効果を失ったことで、《グランエル》の効果も失われます!」
機皇帝グランエル∞ レベル1 攻撃11500→0
グランエルG3(アニメオリカ・調整)
レベル3 攻撃800 守備2000 効果 地属性 機械族
このカードは自分フィールド・墓地に「グランエルG」が存在しない場合、通常召喚できない。
(1):このカードは自分フィールド上に存在する「グランエルG」1体をリリースし、手札から特殊召喚する事ができる。
(2):このカードは攻撃できない。
(3):このカードはフィールド上に存在する限り、守備表示となる。
(4):自分フィールド上に「機皇帝」と名のつくモンスターが存在しない場合、このカードは破壊される。
(5):1ターンに1度、自分フィールド上の「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスターがカード効果によって破壊されるときに発動できる。その破壊を無効にする。
(6):1ターンに1度、自分フィールド上の「ワイゼル」「スキエル」「グランエル」モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。攻撃モンスターを破壊する。
「そして、手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動です!あたしたちのフィールド上にモンスターがなく、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドローします!」
カードを手にし、柚子の中で勝利へのピースが埋まっていく。
次に注目したのは、自分の墓地のカードだ。
「更に、あたしは手札から魔法カード《終幕の光》を発動!ライフを1000支払い、墓地の光属性モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚します!さぁ、満を持して主役の登場です!みなさん、拍手でお出迎えください。《E・HEROセラフィム》を!!」
「え…わ、わたしですか!?」
隅っこでうずくまっていたセラフィムが柚子の言葉を聞き、急に立ち上がる。
そして、急いで手持ちの銃の手入れをしてからフィールドに現れる。
E・HEROセラフィム レベル6 攻撃2400
終幕の光(アニメオリカ・調整)
通常魔法カード
「終幕の光」は1ターンに1度しか発動できず、このカードを発動したターン、自分は光属性以外のモンスターを召喚・特殊召喚できない。
(1):自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、ライフを1000支払うことで発動できる。自分の墓地に存在する光属性モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターはこのターン、カード効果では破壊されない。
「そして、墓地に存在する《クリスタル・ローズ》の効果を発動です!このカードが墓地に存在する場合、自分の墓地に存在する融合モンスター1体を除外することで、このカードを守備表示で特殊召喚できます!」
2人の周囲にクリスタルのかけらが浮かび、それらが集まることで《クリスタル・ローズ》が復活する。
クリスタル・ローズ レベル2 守備500
除外されたカード
・幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ
「そして、手札から魔法カード《融合》を発動!あたしが融合素材にするのは《セラフィム》、《クリスタル・ローズ》、そして手札の《幻奏の音女エレジー》!」
フィールドに現れた《幻奏の音女エレジー》の詩に合わせて、《クリスタル・ローズ》が次第にその姿を翼に変えていき、セラフィムの背中に宿る。
(わあ…)
クリスタルの翼に見とれるセラフィムの衣類にも水晶を模した飾りがいくつか出現する。
「2丁の銃を操る乙女よ!騎士より托されし薔薇よ!悲しみの詩をいやすため、優しき翼の戦士へと進化せよ!融合召喚!今こそ戦場を癒す歌を!《E・HEROクリス・セラフィム》!!」
E・HEROクリス・セラフィム レベル10 攻撃2800
(あ、あれ…!?私の銃が…!?)
手に取った自分の銃がマイクに代わっていることにセラフィムがびっくりする。
(ままま、待ってください!!こ、これって私に歌えってことですか!?無理です無理です!!)
顔を真っ赤にし、涙目となった伊織に懇願する。
「えー?歌を披露できるなんて、セラフィムいいなー」
(伊織様ーーーー!!!!)
「キュイー!」
更にいつの間にか姿を見せたビャッコがランドセルから大きなCDプレイヤーを出して、音楽の準備を始める。
完全に伊織側だ。
(ビャッコさんまでーーー!?!?)
「ビャッコちゃん、今までどこに…?」
急にいなくなったり、こうして現れたりする小さなキツネに首をかしげる。
なお、ホセはこんなわけのわからない状況であるにもかかわらず、何もアクションを起こさない。
この点はしょせん、ただの機械というわけか。
「じゃあ、気を取り直して…。さあ、クリスタルの翼を得たセラフィムには心強い仲間の思いが宿っています!なぜなら、このカードは融合素材となった幻奏モンスターの元々の攻撃力の半分、攻撃力がアップするからです!」
E・HEROクリス・セラフィム レベル10 攻撃2800→3800
「更に、このカードは相手フィールド上に存在するすべてのモンスターに1回ずつ攻撃することができます!!さあ、デュエルのクライマックスを飾る一曲は、近藤加奈子さん作詞の『Love so Blue〜蒼の鼓動〜』です!!」
(ううーーー)
なんでこんなことに、といいたげに2人を見つめるセラフィム。
そして、ビャッコは既に柚子が注文した曲のCDを入れ、再生している。
「さあさあ、セラフィム。観客のみんなが待ってるよ?」
(うう…観客といっても、2人と2匹だけじゃないですかーー!もうやけくそです!!)
もう自分が歌わなければ、デュエルが進行しないことを悟ったセラフィムは深呼吸をした後で歌い始める。
歌と共にクリスタルの翼が輝きはじめ、そこから放たれる虹色の光が《機皇帝グランエル》とホセを包み込んでいく。
最初は嫌々だったセラフィムも、楽しくなってきたのかノリノリになって、アドリブで振り付けも見せる。
歌が終わると、虹色の光が消え、《機皇帝グランエル》がホセもろとも砂となって消滅する。
ホセ
ライフ9000→5200→2900→400→0
E・HEROクリス・セラフィム
レベル10 攻撃2800 守備2800 融合 光属性 戦士族
「E・HEROセラフィム」+「クリスタル・ローズ」+「幻奏」モンスター
「E・HEROクリス・セラフィム」は自分フィールド上に1体しか存在できない。
このカードは融合召喚でのみ特殊召喚できる。
(1):このカードの融合召喚に成功したとき、このカードの攻撃力は融合素材となった「幻奏」モンスターの元々の攻撃力の半分アップする。
(2):自分のターンのメインフェイズ1に発動できる。このカードはこのターンのバトルフェイズ時、相手フィールド上に存在するすべてのモンスターに1回ずつ攻撃できる。
(3):フィールド上に存在するこのカードが破壊され墓地へ送られたとき、墓地・エクストラデッキに表向きで存在する「E・HEROセラフィム」を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に召喚条件を無視して特殊召喚する。
(はあはあはあ…もう、なんてことするんですかーーー!!!)
元の姿にもどったセラフィムが顔を真っ赤にし、拳をぶんぶん降りまわりながら2人に抗議する(といっても、当然のことだが精霊は普通の人には見えないため、柚子には無意味)。
「まーまー、セラフィム。途中からノリノリだったじゃーん」
(うう…だってだって…)
「あのー、伊織??一体誰と話してるの??」
精霊の見えない柚子には伊織が何と話しているのか、全くわからずにいた。
なお、ホセとデュエルをしている間に、シェイドはこの地区の制圧に成功していた。
融合次元、アカデミア本部付近にある人工島、ファウスト島。
岩場で囲まれ、船が停泊できるのが南側のわずかなスペースのみ、そしてあるのは大型の研究施設1つだけの寂しげな島。
過去に、ここではアカデミアに関係する技術の開発が行われていたものの、現在はその役目をアカデミア本部が引き継いだこともあって放棄されている。
だが、放棄されているというのは表向きの話で、現在はある人物を幽閉するためだけに使われている。
「…」
研究施設の地下で、電子たばこを吸う一人の男がコンピュータと向き合っている。
白衣と茶色いシャツを重ね着し、青いカーゴパンツをはく、黒いボサボサの頭髪と丸いメガネが特徴的なこの男こそ、ファウスト島が今なお機能している理由だ。
両足には自立歩行ユニットが取り付けられており、関節をロックすることで椅子代わりとして利用できる。
「う、うう、う…」
彼の背後にあるベッドの上で眠っていた素良が苦し気に声をあげながら、ゆっくりと起き上がる。
「目が覚めたかな?紫雲院素良」
自立歩行ユニットを利用して起立した男がゆっくりと振り返り、じっと素良を見る。
「…はは、まさか目を覚まして初めて見る顔があなたとは思わなかったよ…」
不敵な笑みを浮かべつつ、懐にある愛用のキャンディーを口にしつつ、その男の名前を呼ぶ。
「ドクター…N…」
自分の名前を呼ばれたドクターNもまた、素良と同じように不敵な笑みを浮かべた。