「《クリアウィング・ファスト・ドラゴン》…?」
沢渡とユーゴのデュエルを見ていた翔太がコーラが入ったコップを机の上に置き、ユーゴが召喚したあの白い竜のことを考える。
スタンダード次元でユーゴとデュエルをした際には、そのようなカードを持っているようには見えなかった。
しかも、ペンデュラムシンクロモンスターだということも想定外だ。
「遊矢と顔立ちが似ていることが関係しているのか…?」
敗北した沢渡が観客の声援を受ける中、緑色の作業服を着た大男2人に両腕を拘束され、そのまま連行されていく。
いかに良いデュエルをしたとしても、いかにその過程で努力してきたとしても、勝利と敗北しかないこの次元のデュエルでは意味がない。
敗北したら、地下送りとなり、何らかの機会を得ない限りは地下で死ぬことになる。
「沢渡…いや、サワガニ…生きてろよ」
なぜか間違った呼び方に訂正した翔太はベッドで横になりながら、次のデュエルを見ることにした。
だが、そのデュエルは翔太を含め、観戦者たちを困惑させた。
「おい…いったい何があったんだ??」
「さあ?煙が出てきて、そのあとはすぐに…」
そのデュエルを見ていた観客たちは自分たちが今見ているこの光景が現実のものとは思えずにいる。
勝者として、スタートラインに戻ってきた緑と黒を基調とし、両肩の部分に赤いラインのあるライディングスーツを着た、身長が2メートル以上もある白い肌の大男だ。
ヘルメットのバイザーのせいで鼻から上は見えないものの、あごのあたりに見えるマーカーから、何らかの理由で収容所に送られた男の1人だと思われる。
スタジアムに設置されているオーロラビジョンには彼のライフが50となっている。
一方、敗北したのはシンジとクロウの仲間であるデイモンで、路上でうつぶせになって倒れている。
また、彼が乗っていたDホイールは粉々に砕け散っていた。
MCであるメリッサ自身も、自分が見ている光景が現実のものとは思えず、沈黙していたが、本業のことを思い出すと、すぐにしゃべり始める。
「しょ、しょ、勝者はデュエリストクラッシャー、セルゲイ・ヴォロコフ…」
勝者の名前をメリッサが告げてから数秒後、熱狂的な歓声が上がる。
「うおおーーー!!すげえぞ、セルゲイ!!」
「かっこいい!!」
「次も徹底的にやってくれよーー!!」
大男たちが気絶しているデイモンをタンカに乗せて運んでいるのをよそに、観客はセルゲイの殺人的な破壊に熱狂した。
「デュエリストクラッシャー、セルゲイ・ヴォロコフ…」
観客席と出入り口をつなぐゲートの近くで、ヒイロはセルゲイをじっと見ている。
右手にはスマホが握られていて、そこにはセルゲイに関する記事が表示されている。
セルゲイはシンクロ次元の犯罪史に名を残すほどの犯罪者で、プロアマ問わず、相手を再起不能になるまで徹底的に叩き潰す非道さから、デュエリストクラッシャーという異名を得た。
そして、こうして叩き潰したデュエリストの中には死亡した人もいるという。
最終的に、20名のデュエルチェイサーが総出で彼を取り押さえたものの、セルゲイの激しい抵抗により10名が重傷を負い、3名が殉職。
それでも暴れたりないのか、収容所でも暴れまくり、30名の囚人を再起不能にしたために、更生の余地なしと判断され、地下の強制労働施設に送られた。
そこでも暴れまくったことから死刑となり、それが執行されたという記事を最後に、セルゲイ・ヴォロコフの名前がマスコミで出てくることはなかった。
そんな彼が今、こうして再び表舞台に姿を見せて、デュエルをした。
これは治安維持局もしくは評議会が関与していることが考えられる。
「奴がどちらの回し者か…見極める必要があるかもな…」
(さあ、続いてのデュエルがフレンドシップカップ第1回戦の最終戦となります!!その対戦カードは…)
タンカで搬送されたデイモンの安否を知らせることなく、次の試合の開始が宣言される。
観客たちも早く次のデュエルが見たいとうずうずしていて、だれも彼を気遣わない。
(あいつら、オベリスク・フォースにカード化されりゃあいいのに…)
ハンバーガーを食べながら、観客たちに対して悪態をつく翔太。
テーブルにはハンバーガーやフライドポテト、サラダとコーラが置かれており、これらは翔太がホテルのボーイに注文したものだ。
(黒咲隼VSデニス・マックフィールドーー!!)
「ランサーズ同士か…。ここまでの組み合わせから見ると、異質だな」
ここまでのデュエルはシンクロ次元出身者同士の組み合わせもあったものの、基本的にはランサーズVSシンクロ次元出身者という組み合わせがスタンダードだ。
人数を考えても、この1回戦はすべての試合をスタンダードな組み合わせで済ますこともできるはず。
そんなことを翔太が考えている間に、黒咲とデニスが入場し、スタートラインに立つ。
「黒咲ー!勝てよーー!!」
「もう1度、あのエクシーズ召喚を見せてくれーー!!」
「デニス様ー!!」
コモンズやトップスの底辺に位置する人々が黒咲とデニスに声援を送る。
実を言うと、彼ら(といっても、デニスはそれ以前に権現坂と共にヒーローショーで旅費を稼ぎつつ、情報収集をしていて、それを最初から徹底的にやっていたのは黒咲1人だけだが)はシンクロ次元に到着した後、地下デュエル場で強力なデュエリストを探していた。
また、地下デュエル場ではある程度連勝を重ねると、ジャックとデュエルができる可能性のあるフレンドシップカップへの参加権を得ることができる。
実を言うと、フレンドシップカップに参加するためにはかなり厳重な書類選考が行われており、本来はコモンズのデュエリストはほとんど参加できず、この書類選考で切られる。
今回、クロウやシンジといったコモンズのデュエリストが参加できたのは、一重に評議会の運営側への口添えによるものが大きい。
その地下デュエル場で、黒咲とデニスがデュエルをしている最中にセキュリティが突入し、彼らは収容所送りとなった。
なお、地下デュエルでコモンズに紛れて賭けに精を出していたトップスはどうなったかは言うまでもないだろう。
「まさか、こんな形でこの前の続きができるなんて。でも、デュエルはデュエル。本気でやらせてもらうよ。黒咲」
「ふん」
デニスの言葉を無視した黒咲はマシンブルーファルコンの直前チェックを行う。
(召喚エネルギー貯蔵量良し、CPU及びエンジン出力制御良し、《スピード・ワールド・A》インストール済み)
「それでは始めましょう!フィールド魔法《スピード・ワールド・A》!!」
2人のDホイールに内蔵されている《スピード・ワールド・A》が起動し、目前には信号が出現する。
「ライディングデュエル…アクセラレーション!!」
信号が赤から青に変わり、2人が一斉に発進する。
黒咲の注文により、リミッターが引き上げられたマシンブルーファルコンが一気にデニスのDホイールを突き放していく。
「おおー、さすがレオコーポレーション製の黒咲専用のDホイール…。これは追いつけないな」
困った顔をしながら笑っている間に、黒咲が第1コーナーを取る。
黒咲
手札5
ライフ4000
デニス
手札5
ライフ4000
「俺の先攻。俺は手札からスケール1の《RR-ライトニング・イーグル》とスケール5の《RR-ボミング・レイニアス》でペンデュラムスケールをセッティング!」
(なんと黒咲選手、いきなりペンデュラム召喚の準備を整えたー!)
黒咲の左に両翼部分に稲妻を模したイラストが描かれている魚雷を2つずつ取り付けた鷹型の機械と《RR-ライトニング・イーグル》とは異なり、両翼に爆弾を取り付けたモズ型の機械が現れ、青い光の柱を生み出す。
「戦場を舞い、戦火に身を焦がす鳥たちよ、揺れ動く戦況を空より見極めよ。ペンデュラム召喚!!現れろ、俺のモンスター!!《聖鳥クレイン》!《RR-ミミクリー・レイニアス》!!」
ペンデュラム召喚のエネルギーが生み出す青い渦の中から《RR-ミミクリー・レイニアス》と大きな鶴を模したモンスターが出現する。
聖鳥クレイン レベル4 攻撃1600
RR-ミミクリー・レイニアス レベル4 攻撃1100
「《聖鳥クレイン》の効果発動。このカードの特殊召喚に成功したとき、デッキからカードを1枚ドローする。そして俺はレベル4の《聖鳥クレイン》と《ミミクリー・レイニアス》でオーバーレイ!!」
コース上にあらわれた黒い渦の中に2匹の鳥が飛び込んでいく。
「冥府の猛禽よ、闇の眼力で真実をあばき、鋭き鉤爪で栄光をもぎ取れ!エクシーズ召喚!飛来せよ!ランク4!《RR-フォース・ストリクス》!」
額にRRのしるしがついている、青い耳のあるフクロウを模した機械が黒い渦の中から飛び出してくる。
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000
「さらに、《ライトニング・イーグル》のペンデュラム効果発動。俺がRRのエクシーズ召喚に成功したとき、このカードがペンデュラムゾーンに表側表示で存在する限り、1度だけ墓地からRUM1枚を手札に加えることができる。俺がデッキから手札に加えるのは《Sp-スキップ・ランクアップ》。このカードはルール上、名前を《RUM-スキップ・フォース》としても扱う」
《RR-ライトニング・イーグル》が黒咲に向けて魚雷を発射する。
その魚雷を《RR-フォース・ストリクス》が口から音波を出して破壊すると、上空に《Sp-スキップ・ランクアップ》のカードが出現し、黒咲はそのカードを見ないまま手にして手札に加える。
RR-ライトニング・イーグル
レベル3 攻撃1400 守備1000 闇属性 鳥獣族
【Pスケール:青1/赤1】
「RR-ライトニング・イーグル」のP効果はこのカードがPゾーンに存在する限り、1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に「RR」XモンスターがX召喚されたターンのメインフェイズ時に発動できる。デッキから「RUM」魔法カード1枚を手札に加える。
【モンスター効果】
「RR-ライトニング・イーグル」の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):相手モンスターの攻撃によってこのカードが戦闘を行い、自分が戦闘ダメージを受けたときに発動できる。自分はその時受けたダメージの数値以下の攻撃力を持つ「RR」モンスター1体をデッキから手札に加える。
「更に、《フォース・ストリクス》の効果発動。1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、デッキから闇属性・鳥獣族・レベル4モンスター1体を手札に加える。俺がデッキから《バニシング・レイニアス》を手札に加える」
《RR-フォース・ストリクス》がオーバーレイユニットを吸収すると同時に上空でさえずる。
そして、デッキから《RR-フォース・ストリクス》が自動排出され、黒咲はそれをホルダーに取り付ける。
取り除かれたオーバーレイユニット
・RR-ミミクリー・レイニアス
「そして、俺はさらに《RR-バニシング・レイニアス》を召喚!」
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時に1度、手札からレベル4以下のRR1体を特殊召喚できる。俺はさらに手札から《RR-インペイル・レイニアス》を特殊召喚!」
胴体の下部に2つの蟹のはさみのような武器が取り付けられた、赤いモズ型の機械が《RR-バニシング・レイニアス》の鳴き声に応じて飛び出す。
RR-インペイル・レイニアス レベル4 守備1000
「このカードが召喚・特殊召喚に成功したターンの俺のメインフェイズに1度だけ、フィールド上の攻撃表示モンスター1体を守備表示に変更させることができる。俺は《バニシング・レイニアス》を守備表示に変更する!」
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300→守備1600
「そして俺はレベル4の《インペイル・レイニアス》と《バニシング・レイニアス》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、《RR-フォース・ストリクス》!」
RR-フォース・ストリクス レベル4 守備2000
「もう1体の《フォース・ストリクス》の効果発動。オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキから《RR-ブースター・レイニアス》を手札に加える。そして、墓地の《ミミクリー・レイニアス》の効果発動。このカードが墓地へ送られたターンのメインフェイズ時、墓地のこのカードを除外することで、デッキからRRカード1枚を手札に加える。俺は墓地から《RR-レディネス》を手札に加える。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
取り除かれたオーバーレイユニット
・RR-インペイル・レイニアス
黒咲
手札5→2(《RR-ブースター・レイニアス》《Sp-スキップ・ランクアップ》
ライフ4000
SPC0
場 RRフォース・ストリクス(オーバーレイユニット1)×2 守備2000
伏せカード2
RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1
RR-ボミング・レイニアス(赤) ペンデュラムスケール5
デニス
手札5
ライフ4000
APC0
場 なし
(黒咲選手、1ターン目からペンデュラム召喚のあとはエクシーズ召喚を2連発!!さあ、対するデニス選手はどんな手で来るのかーーー!?)
「まさか、ペンデュラム召喚を君が使ってくるなんて…。予想外だったよ。剣崎さんの頼みなら…ってことかい?」
「ふん。貴様には手加減する必要がない。そう思ったから使ったまでだ。さあ、早くデュエルを進めろ!!そして、貴様の正体を暴く!」
「正体を暴くだって?なーに言ってんのかなー?僕のターン、ドロー」
ドローしたカードを見たデニスはそのカードを凝視する。
デニス
手札5→6
SPC0→2
黒咲
SPC0→2
(うーん、まだこのカード使えないんだよねー)
ドローしたカードをホルダーに取り付け、デニスはバイクに乗ったまま直立する。
「それでは、観客の皆様にお見せしましょう!デニス・マックフィールドの華麗なるデュエルを!!まず私はスケール3の《Emミラー・コンダクター》とスケール7の《魔装戦士ドラゴノックス》でペンデュラムスケールをセッティング!」
デニスの両サイドにも、黒咲と同じように2本の青い光の柱が生まれる。
その柱の中には笑い顔が移る青い手鏡にマントと両腕がついたようなモンスターと右側だけ翼がついている、黒い竜を模した鎧を着た戦士がいる。
「ペンデュラム召喚!さあ、現れろ、僕の奇術師たち!!《Emトリック・クラウン》!《Emハットトリッカー》!」
デニスの手元にデフォルメされた五芒星がいくつも描かれている紫色の帽子が現れる。
彼がそれを上空に向けて投げると、帽子の中から小さなボールが飛び出してきて、その次にクエスチョンマークを模した杖を持った、紫色のマントのピエロが飛び出してきて、ボールの上で片手のまま逆立ちを始める。
そして、帽子からは真っ白な手袋とオレンジ色のメガネ、そして緑色のマントが出てきて、帽子のそばで浮遊した。
Emハットトリッカー レベル4 攻撃1100
Emトリック・クラウン レベル4 攻撃1600
「これでおぜん立ては終了。次はショーの主役を召還だ!僕はレベル4の《ハットトリッカー》と《トリック・クラウン》でオーバーレイ!」
上空に黒い渦が生まれ、その中に2体の奇術師が飛び込んでいく。
そして、そこから紫色の空中ブランコの持ち手が下りてくる。
「ショーマストゴーオン!!天空の奇術師よ 華やかに舞台を駆け巡れ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《Emトラピーズ・マジシャン》!」
デニスの口上と同時に、白いスーツと紫のマント、デフォルメされた五芒星がいくつもついている白いとんがり帽子を身に着けた道化師が持ちてを持ち、それから発せられる2本の光の縄を利用して空中ブランコを披露する。
「おおお!!」
「まさかリアルソリッドビジョンでこんなのが見れるなんてなぁ」
「榊遊矢のもいいが、これもなかなか…」
Emトラピーズ・マジシャン ランク4 攻撃2500
「さあ、《トラピーズ・マジシャン》!これから一緒に盛り上げていこう!!」
「悪いが、そんなことに付き合う気はない!永続罠《RR-ターゲット・フラッグ》を発動!」
発動と同時に、《Emトラピーズ・マジシャン》が顔につけている紫色の仮面の左目部分にRRの紋章が刻まれる。
「…なんのつもりだい?」
「このカードは相手フィールド上のモンスター1体を対象に発動でき、俺はデッキからカードを1枚ドローして、それをお互いに確認する」
デニスの質問を無視するかのように、発動したカードについて説明した黒咲はカードをドローする。
「俺がドローしたカードは《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》。そして、対象となったモンスターがフィールドから離れたとき、《RR-ターゲット・フラッグ》は破壊され、俺は貴様の手札を確認する。確認したカードの中に、俺がドローしたカードと同じ種類のものがある場合、それらをすべて破壊し、墓地へ送る!」
RR-ターゲット・フラッグ(アニメオリカ)
永続罠カード
(1):相手フィールドのモンスター1体を対象として発動する。自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。その対象のモンスターがフィールドを離れた時、このカードを破壊し、相手の手札を確認する。確認したカードの中にこのカードの効果でドローしたカードと同じ種類のカード(モンスター・魔法・罠)がある場合、 その全てを破壊し墓地へ送る。
「ふーん、そんなに僕のカードが見たいの?そんな回りくどいカードを使ってまでさー。見たかったら、僕に直接言えばいいのに…」
「そのようなことをすれば、俺が見たいカードを見せようとしないはずだ」
「君が見たいようなカード…僕のデッキにはないよ」
「どうだろうな?だったら、今すぐ俺に見せてそれを証明するか?」
(う、うわあ…なんでしょう?すっごくピリピリしています…)
黒咲の挑発を受け、デニスは表情に見せてはいないものの、若干声のトーンを落として黒咲に言っている。
見えない稲妻が互いにぶつかり合っているように。
「ん?どうしたのかな?」
《Emトラピーズ・マジシャン》に耳打ちされたデニスはじっとコースの左端に目を向ける。
そして、そこに浮かんでいるアクションカードを手にする。
「おおー。《トラピーズ・マジシャン》も楽しみたくて仕方がないみたいだ…」
デニス
SPC2→3
(スピードカウンターが増えた。アクション魔法か!)
「そして、僕は《Emダブル・ジャグラー》を召喚!」
黄色い五芒星が描かれた、緑色のゴムボールを持った、青いシルクハットとスーツを着た奇術師が、《Emトラピーズ・マジシャン》が上空に投げた持ち手を足場にして上空に現れる。
Emダブル・ジャグラー レベル4 攻撃1200
「《ダブル・ジャグラー》の効果発動。このカードをフィールドから除外することで、僕のフィールド上に存在する魔法使い族エクシーズモンスター1体に力を与える。力を得たエクシーズモンスターはフィールド上に存在する限り、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃ができる!さらに、この効果の対象になったのがEmだった場合、僕はデッキからカードを1枚ドローすることができる」
《Emダブル・ジャグラー》がボールを投げてフィールドから姿を消す。
2つのボールは《Emトラピーズ・マジシャン》に吸収され、スーツの色が白から紫に代わっていく。
Emダブル・ジャグラー
レベル4 攻撃1200 守備1000 闇属性 魔法使い族
【Pスケール:青6:赤6】
(1):1ターンに1度、自分にダメージを与える魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、自分フィールド上に存在する魔法使い族Xモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはこのターン、一度のバトルフェイズ中に2回攻撃することができる。
【モンスター効果】
このカードは手札からP召喚できない。
(1):自分のメインフェイズ1にこのカードをゲームから除外し、自分フィールド上に存在する魔法使い族Xモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはフィールド上に表側表示で存在する限り、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃することができる。この効果を発動してから2回の目の自分のターンのスタンバイフェイズ時、この効果を発動するために除外したこのカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。
(2):(1)の効果を発動したとき、対象となったモンスターが「Em」モンスターだった場合、自分はデッキからカードを1枚ドローすることができる。
「さらに僕は手札から《Sp-スピンアタック》を発動。僕のスピードカウンターが2つ以上あるとき、僕のフィールド上に存在するモンスター1体に貫通効果を与える。当然、その効果を得るのは《トラピーズ・マジシャン》!」
再び空中ブランコを始めた《Emトラピーズ・マジシャン》の持ち手の両端に回転するボールが出現する。
「さあ、残念だけど梟さんにはご退場願おうかな?《トラピーズ・マジシャン》で《フォース・ストリクス》を攻撃!マジックボール・ショット!!」
《Emトラピーズ・マジシャン》が持ち手についているボールを一つはずし、持ち手をキューのように利用してボールを打つ。
縦に回転を始めたそのボールはスピードを上げながら《RR-フォース・ストリクス》に向けて突っ込んでいく。
「俺は手札の《RR-ブースター・ストリクス》の効果を発動!RRが攻撃対象となったとき、手札のこのカードを除外することで、攻撃モンスターを破壊することができる!」
《RR-フォース・ストリクス》のブースターが分離し、質量弾となって着地した《Emトラピーズ・マジシャン》を破壊しようとする。
「そうはさせない!僕はアクション魔法《ミラー・バリア》を発動!これで、《トラピーズ・マジシャン》を効果による破壊から守る!」
「ちっ!」
ブースターが直撃する前に、複数の鏡によって構築されたバリアが《Emトラピーズ・マジシャン》を包み込む。
ブースターとバリアが相殺し、生き残った奇術師は再び空中ブランコをはじめ、その間にボールはブースターを失った《RR-フォース・ストリクス》を貫く。
攻撃を受け、《RR-フォース・ストリクス》が爆発し、爆風が黒咲を襲う。
「ぐううう…!」
黒咲
ライフ4000→3500
「まだまだだよ、今度はもう1体の《フォース・ストリクス》を攻撃!マジックボール・ショット・セカンド!」
もう1つのボールが発射され、もう1体の《RR-フォース・ストリクス》も破壊されてしまう。
「く…。だが、ダメージは500。スピードカウンターが低下することはない!」
黒咲
ライフ3500→3000
Sp-スピンアタック
通常魔法カード
(1):自分のスピードカウンターが2つ以上あるとき、自分フィールド上に存在するモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターが守備表示モンスターを攻撃した時にその守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手に戦闘ダメージを与える。
ミラー・バリア(アニメオリカ)
アクション魔法カード
(1):フィールド上のモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはカード効果では破壊されない。
「そして、俺は《RR-ボミング・レイニアス》のペンデュラム効果を発動!俺のフィールド上に存在するRRエクシーズモンスターが破壊されたとき、ペンデュラムゾーンに存在するこのカードを俺のフィールド上に特殊召喚する!」
青い光の柱を消した《RR-ボミング・レイニアス》がフィールドに出て、黒咲をかばうように《Emトラピーズ・マジシャン》と対峙する。
RR-ボミング・レイニアス レベル4 攻撃1700
「ふーん、主の危機に現れるモズ…。健気なモンスターだね。僕はこれでターンエンド。ターン終了と同時に《トラピーズ・マジシャン》に宿っている《スピンアタック》の効果は失われるよ」
黒咲
手札2(《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》《Sp-スキップ・ランクアップ》
ライフ3000
SPC2
場 RR-ボミング・レイニアス レベル4 攻撃1700
RR-ターゲット・フラッグ(永続罠)
RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1
伏せカード1
デニス
手札6→1
ライフ4000
SPC3
場 Emトラピーズ・マジシャン(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃2500
Emミラー・コンダクター(青) ペンデュラムスケール3
魔装戦士ドラゴノックス(赤) ペンデュラムスケール7
(デニス選手の《トラピーズ・マジシャン》の華麗な攻撃によって、黒咲選手のモンスターは全滅!!しかし、黒咲選手も負けじとペンデュラム効果で《ボミング・レイニアス》を特殊召喚!!ここからどう反撃していくのかーーー!?)
(あいつ…なんで《RR-レディネス》を発動しなかった…?)
攻撃し、2体の《RR-フォース・ストリクス》を倒しはしたものの、黒咲の行動に違和感を感じる。
せっかくサーチして伏せた《RR-レディネス》をなぜ発動しないのか。
《RR-レディネス》はターン終了時までRRを先頭による破壊から守る効果がある。
それを使えば、その2体は破壊されることなく、次のターンもサーチ効果が使える。
そして、そこから次々とエクシーズ召喚を繰り返すことで、自分を倒すことができるかもしれないはず。
(さっきの《ターゲット・フラッグ》といい、回りくどいカードを…。やっぱり、あいつは…)
「俺の…ターン!!」
黒咲
手札2→3
SPC2→4
デニス
SPC3→5
「俺はフィールド上の《ボミング・レイニアス》の効果を発動!俺のフィールド上に存在するモンスターがこのカードのみで、相手フィールド上にモンスターが存在するとき、1ターンに1度、レベル4のRR1体を効果を無効にして特殊召喚する」
《RR-ボミング・レイニアス》が上空から装着されている爆弾を4つ落とす。
4つの爆弾が一斉に爆発し、爆風の中から《RR-バニシング・レイニアス》が飛び出してくる。
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
RR-ボミング・レイニアス
レベル4 攻撃1700 守備1000 闇属性 鳥獣族
【Pスケール:青5/赤5】
「RR-ボミング・レイニアス」のP効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在する「RR」Xモンスターが戦闘で破壊され墓地へ送られたときに発動できる。Pゾーンに存在するこのカードを自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する。
【モンスター効果】
(1):1ターンに1度、相手フィールド上にモンスターが存在し、自分フィールド上にこのカード以外のモンスターが存在しない場合に発動できる。墓地からレベル4の「RR」モンスター1体を特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
「俺はレベル4の《ボミング・レイニアス》と《バニシング・レイニアス》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!現れろ、3体目の《RR-フォース・ストリクス》!!」
RR-フォース・ストリクス ランク4 守備2000
「えー?またまたフクロウさん?いい加減見飽きたよ。ねー、《トラピーズ・マジシャン》」
まるで自分のモンスターに語り掛けるように、代わり映えのない黒咲のプレイを非難する。
だが、黒咲が意味もなくこういうプレイをするはずがないということも、地下デュエル場で彼とデュエルをしていたデニス自身が理解している。
「《フォース・ストリクス》の効果発動。オーバーレイユニットを1つ取り除き、デッキからもう1枚の《RR-ボミング・レイニアス》を手札に加える。そして、俺は手札から《Sp-スキップ・ランクアップ》を発動!俺のスピードカウンターが4つ以上あるとき、俺のフィールド上に存在するRRを素材に、そのモンスターよりもランクが2つ高いRRにランクアップさせる!俺は《フォース・ストリクス》でオーバーレイ!」
上空にあらわれた黒い渦の中に飛び込む《RR-フォース・ストリクス》。
その中で一度すべての装甲が強制排除され、新しく赤い隼を模した装甲に換装されていく。
また、足りないフレームについてもその場で取り付けられていく。
「誇り高きハヤブサよ。英雄の血潮に染まる翼翻し 革命の道を突き進め!ランクアップ・エクシーズ・チェンジ!現れろ!ランク6!《RR-レヴォリューション・ファルコン》
黒い渦が赤い爆発を起こし、炎の中から《RR-レヴォリューション・ファルコン》が飛翔する。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000
Sp-スキップ・ランクアップ
このカードのカード名はルール上、「RUM-スキップ・フォース」としても扱う。
(1):自分のスピードカウンターが4つ以上あるとき、自分フィールドの「RR」Xモンスター1体を対象とて発動できる。そのモンスターよりランクが2つ高い「RR」モンスター1体を、対象の自分のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
(2):自分の墓地からこのカードと「RR」モンスター1体を除外し、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「このカードは特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うダメージステップ開始時、そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする!」
「ホワッツ!?でも、この効果は受けるよね?《トラピーズ・マジシャン》の効果発動!自分か相手のターンのメインフェイズ1に1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、モンスター1体にこのターン、2回攻撃する権利を与える。でも…その権利を得たモンスターはバトルフェイズ終了と同時に破壊されてしまうんだ」
「革命の炎が、貴様の化けの皮をはがす!!バトルだ!《レヴォリューション・ファルコン》で《トラピーズ・マジシャン》を攻撃!レヴォリューショナル・エアレイド!!」
デニスの真上を旋回する《RR-レヴォリューション・ファルコン》が《Emトラピーズ・マジシャン》に向けて爆弾を投下していく。
しかし、青い光の柱から《魔装戦士ドラゴノックス》が飛び出し、黄色い粒子となって消滅する。
上空にとどまった粒子に触れた爆弾は次々と爆発し、《Emトラピーズ・マジシャン》はその粒子の傘の下に隠れてほっと一息ついている。
「何!?」
「ざんねーん、これは《ドラゴノックス》のペンデュラム効果さ。相手の攻撃宣言時、このカードを破壊することでバトルフェイズを終了させるのさ。そして、《トラピーズ・マジシャン》の効果で…うん??」
バトルフェイズ終了と同時に、爆発するはずの《RR-レヴォリューション・ファルコン》がいまだに自分の真上で飛び続けていることにデニスと《Emトラピーズ・マジシャン》が首をかしげる。
「まさか…アクションカードを!?」
黒咲のスピードカウンターを確認すると、案の定、1つ増えていた。
黒咲
SPC4→5
「悪いが俺も発動させてもらった。《ミラーバリア》を。これで《レヴォリューション・ファルコン》が貴様のピエロに破壊されることはない。そして、《レヴォリューション・ファルコン》の効果を発動!1ターンに1度、このカードがRRエクシーズモンスターをオーバーレイユニットとしているとき、相手モンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを貴様に与える!」
「ぐっ…!!」
「革命の炎に焼かれ、散れ!!」
黄色い粒子が消え、再び爆弾が投下される。
爆弾の雨の中をデニスは必死にDホイールの軌道を変化させ、回避していく。
しかし、そのような行動を何度も繰り返したことで集中力が切れてしまったのか、直撃コースを通ってしまう。
「しま…!?」
しかし、そんな彼を《Emトラピーズ・マジシャン》がかばい、爆弾を受ける。
「《トラピーズ・マジシャン》!!」
爆風の中へ消えていく《Emトラピーズ・マジシャン》に向けて手を伸ばすデニス。
そんな彼に笑みを浮かべた奇術師は最後の力を振り絞り、アクションカードを投げ渡す。
「く…アクション魔法《加速》!!僕が受ける効果ダメージを0にする!《トラピーズ・マジシャン》…ありがとう…」
発動と同時にDホイールのスピードが上がり、《RR-レヴォリューション・ファルコン》の攻撃範囲から無傷で抜け出すことに成功した。
デニス
SPC4→5
加速(アニメオリカ)
アクション魔法カード
(1):自分にダメージを与える効果が発動した場合に発動できる。 その効果で自分が受けるダメージを0にする。
「《トラピーズ・マジシャン》が破壊されたことで、《ターゲット・フラッグ》も破壊される!さあ、見せろ!!貴様の正体を!!」
「…そんなに見たかったのかい?このカードを…」
デニスはにらみつけるように黒咲を見ながら、手札のカードを公開する。
デニスが最初のターンにドローしたカード、《Sp-ディストピア・フュージョン》を。
「やはり…貴様はアカデミアの??」
「…。ああ、そうさ。プロフェッサーの命令で、君たちランサーズの行動を監視し、柊柚子とセレナの拘束を命令されたスパイさ。ばれた以上は仕方がない…。こうなったら、実力行使で君を叩き潰し、2人を連れていく!!《トラピーズ・マジシャン》の効果発動!このカードが破壊されたとき、デッキから新しいEm1体を特殊召喚できる。僕はデッキから《Emディメンション・イーター》を特殊召喚!」
特殊召喚された、両掌と腹部に大きな口がある、黄色いとんがり帽子とピンクの服のピエロが黒咲のフィールドの伏せカードを3枚に切り刻み、1つずつ口に放り込む。
グチャリ、グチャリと咀嚼する音がスタジアムを包んでいく。
Emディメンション・イーター レベル4 攻撃1600
(うわあ…なんて気持ち悪い音。もしかして…エースが倒されたことで、怒ってるの??)
「このカードがEmの効果で特殊召喚に成功したとき、相手フィールド上の伏せカード1枚を除外できる!これで、《RR-レディネス》は使えない!!」
「ふん。正体を知られたことでやけになったか?エンターテイナーが聞いてあきれる。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」
黒咲
手札3(《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》《RR-ボミング・レイニアス》)
ライフ3000
SPC5
場 RR-レヴォリューション・ファルコン(オーバーレイユニット2) ランク6 攻撃2000
RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1
伏せカード1
デニス
手札6→1
ライフ4000
SPC5
場 Emディメンション・イーター レベル4 攻撃1600
Emミラー・コンダクター(青) ペンデュラムスケール3
Emディメンション・イーター
レベル4 攻撃1600 守備200 効果 闇属性 魔法使い族
「Emディメンション・イーター」の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):このカードの特殊召喚に成功したとき、フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を対象に発動する。そのカードを破壊する。
(2):「Em」カードの効果により、このカードの特殊召喚に成功したとき、相手フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を対象に。(1)の代わりに発動できる。そのカードを除外する。
「君には僕の正体をばらしてくれたお礼をしないとね…黒咲。僕のターン、ドロー!!」
デニス
手札1→2
SPC5→6
黒咲
SPC5→7
「僕はフィールド上の《ディメンション・イーター》をリリースし、《Sp-ディストピア・フュージョン》を発動!!僕のスピードカウンターが6つ以上あるとき、エクストラデッキに存在する融合モンスター1体を選び、その融合素材となるモンスターと同じ数だけ、墓地からモンスターを除外する!!僕が墓地から除外するのは《ディメンション・イーター》、《トリック・クラウン》、《ハット・トリッカー》、《トラピーズ・マジシャン》!!」
デニスが選んだ4体のモンスターが上空にあらわれた紫色の渦の中に吸い込まれていく。
「そして、デッキから融合素材となるモンスターを墓地へ送り、融合する!!僕が融合素材にするのは《古代の機械猟犬》、《古代の機械兵士》、《古代の機械巨人》、《古代の機械守護者》!!」
渦がさらに大きくなり、それと共に強風が発生する。
「うわあああ!?」
「なんだ!?何が起こってるんだ!?」
(嘘…。リアルソリッドビジョンって、ここまで実体化しちゃうの…?)
客席から空き缶やカバンなどが飛んでいき、コースの壁にひびが入ったりして、メリッサはこれを現実とは認識できずに呆然とする。
そして、渦の中からゆっくりと6つの《古代の機械猟犬》の頭部を模した腕や膝当て、肩パットを装着した黒い巨人が下りてくる。
「奴は…!?」
そのモンスターの姿を見た黒咲の表情が険しくなる。
そして、そのモンスターを召喚したデニスをにらむ。
もはや彼は仲間ではない、アカデミアに所属する敵だと認識する。
「いにしえの魂受け継ぎし機械仕掛けの猟犬どもよ!その10の首混じり合わせ混沌にして絶大なる力とならん!融合召喚!現れろ!レベル10!《古代の機械混沌巨人》!」
古代の機械混沌巨人 レベル10 攻撃4500
「黒咲…。見覚えがあるだろう?このモンスターに…」
「ああ。忘れたことはない、俺たちの故郷、ハートランドを…。エクシーズ次元を踏みつぶした、忌むべき巨人だ」
怒りの表情を見せながら、黒咲は思い出す。
故郷を蹂躙する《古代の機械混沌巨人》とその前で何もできなかった無力な自分自身を。
「それにしても、君たち兄弟は本当に僕にとって邪魔な存在だったよ…」
「邪魔…?」
「そうさ。僕がこれからエンターテイナーとして生きていたいと思ったときにあらわれて、そしてその時に限って現れて、僕に諭す。僕はアカデミアの人間なんだってことを…」
まるで恨み言を言うように、低い声で黒咲に言う。
黒崎から見ると、色付きのバイザーがあるためにデニスの表情をうかがうことはできない。
しかし、自分に対して憎しみを秘めているということは分かる。
「デニス・マックフィールド。貴様は妹と…瑠璃と会ったといったな」
「ああ…。僕はアカデミアに命令されて、3年前にエクシーズ次元に潜入した。そして、僕は大道芸をしながら潜伏を続けたんだ」
3年前、生まれて初めて別次元の、アカデミアの外に出たデニスにとって、そこはあまりにも新鮮だった。
デュエルがアカデミアでは戦争の道具なのに対し、ここではデュエルを人々を笑顔にするため、みんなで楽しむためにやっている。
そんな彼らに感銘を受けたデニスは自分なりにエンタメを追及し、大道芸やデュエルでみんなを楽しませた。
兵士としての生しか約束されていなかった彼にとって、それはとても幸福な日々だった。
だが、ある日、いつものように大道芸をしている中、観客の中にいる瑠璃を見つけてしまった。
アカデミアからは瑠璃を見つけた場合は、可能な限り早くそのことをアカデミアに伝えることが命令されている。
「僕は…ハンティングゲームのスタートボタンを押さなければならなかった…」
そして、命令通りにそれを伝えてから1時間程度でアカデミアによる攻撃が始まった。
平和で戦争とは遠い世界に生きてきたエクシーズ次元の人々に抵抗する手立てはなく、数時間でその次元の大部分を占領した。
そして、デニスは廃墟と化したハートランドで瑠璃を改めて見つけ、ユーリに居場所を伝えた。
その結果、瑠璃はアカデミアに連れていかれてしまったのだ。
「そうか…貴様が瑠璃を…」
「驚いたぁ?僕が瑠璃をさらった実行犯の一人だったのさ」
「瑠璃はどこへやった…答えろ…」
ゆっくりと怒りを抑えた黒咲は小さな声でデニスに質問する。
通信機能が起動しているため、ヘルメットについているマイクとスピーカーで声は聞こえるようになっている。
「さあね。それからのことは何も知らないなぁ。っていうかさ、こんなところでお遊びをしてないで、急いで融合次元へ行かないと…」
「ああ…そういうことか。安心した。お前はアカデミアじゃない」
「…はぁ?」
いうことが理解できなかったデニスは困惑する。
しかし、黒咲はデニスのことをお構いなしに言葉をつなげていく。
「そして、お前はエンターテイナーでもない。貴様は…何も貫き通せない、状況に流されることしかできない、ただの半端者だ!!」
「半端者…だと…?」
「貴様の今持つデッキが何よりもその証拠だ!!アカデミアの兵士として、古代の機械を持つくせにエンターテイナーとしての自分を捨てきれずにそのようなチャラチャラしたカードも入れている!!どっちつかずで卑怯な蝙蝠、それが今の貴様だ!!」
黒咲の言葉を聞いたデニスのアクセルを握る手に力が入る。
「僕は…僕は半端者じゃない!!バカにするな、黒咲ぃ!!」
強く歯をかみしめた彼は激高する。
「ここで貴様を倒す!!少なくとも、アカデミアの一兵卒として再起不能となれるだけでもありがたいと思え!!」
「黙れぇぇぇ!!!!」
怒りを爆発させたデニスはこのターンで決着をつけるためのカードを手にする。
「僕は手札から《Sp-ペンデュラム・ネクロ》を発動!スピードカウンターが5つ以上あるとき、僕のペンデュラムゾーンに存在するカード1枚を破壊し、相手の墓地からモンスターを2体まで効果を無効にし、特殊召喚できる!僕が特殊召喚するのは《RR-フォース・ストリクス》2体!!」
《Emミラー・コンダクター》が砕け散り、その破片が集まって丸いゲートができる。
ゲートの中には黒い渦が存在し、その中から《RR-フォース・ストリクス》が2体飛び出してくる。
「表示形式を決めるのは貴様だ!黒咲!!」
「ならば、俺はどちらも守備表示にする」
RR-フォース・ストリクス×2 ランク4 守備2000
Sp-ペンデュラム・ネクロ
通常魔法カード
「Sp-ペンデュラム・ネクロ」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分のスピードカウンターが5つ以上あるとき、自分Pゾーンに存在するPカード1枚を破壊して発動できる。相手の墓地に存在するモンスターを2体まで相手フィールド上に特殊召喚する(表示形式は相手が決める)。その効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。
(デニス選手、相手モンスターを2体も復活させたー!あれ…?でもそれってどんな意味が??)
「古代の機械混沌巨人は相手モンスターすべてに1回ずつ攻撃ができ、守備モンスターを攻撃した際、貫通ダメージを与える。バトルだ!《古代の機械混沌巨人》で《レヴォリューション・ファルコン》を攻撃!クラッシュ・オブ・ダークネス!!」
両手の《古代の機械猟犬》を模したガントレットが両サイドから《RR-レヴォリューション・ファルコン》を挟み込む。
両翼をその歯で固定し、そのまま真っ二つに引き裂こうとしている。
「《レヴォリューション・ファルコン》が特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする!」
「ざんねーん!《混沌巨人》はモンスターゾーンに存在する限り、魔法・罠の効果を受けず、更にバトルフェイズ中に相手はモンスター効果を発動できない!!」
「ならば、罠カード《RR-ユニティ》を発動!ターン終了時まで、俺のフィールド上に存在するRRの攻撃力・守備力は俺のRRのオーバーレイユニットの数×700アップする!」
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000→3400
RR-フォース・ストリクス×2 ランク4 守備2000→3400
RR-ユニティ
通常罠カード
(1):自分フィールド上にX素材がある「RR」Xモンスターが存在する場合にのみ発動できる。ターン終了時まで、自分フィールド上に存在する「RR」の攻撃力・守備力は自分フィールド上の「RR」XモンスターのX素材の数×700アップする。
「まだ足りないよ!?これじゃあ合計3300の戦闘ダメージでお前の負けだよ、黒咲ぃ!!」
《RR-レヴォリューション・ファルコン》を真っ二つに引き裂いた《古代の機械混沌巨人》が2つの残骸を黒咲に向けて投げつける。
2体の《RR-フォース・ストリクス》がミサイルを発射し、2つの残骸を破壊している間に黒咲はアクションカードを探す。
残骸を破壊するミサイルの余波により、コースや壁にひびが入り、通過する《古代の機械混沌巨人》が起こすソニックブームで崩壊を始める。
黒咲
ライフ3000→1900
SPC7→6
背部スラスターの冷却のため、一度巨人がコース上に着地する。
するとあまりの重みとミサイルによって脆弱となっているコースが砕け、破片が《RR-フォース・ストリクス》1体に直撃する。
修理を終えていない状況での出撃であったため、損傷を修復しきれなかったそのフクロウが爆発し、破片が黒咲のDホイールと接触する。
「ぐううう…!!」
黒咲
ライフ1900→800
SPC6→5
「さあさあ、3回目の攻撃だ!!カード化して、妹との再会を楽しみにしてるんだね!!」
再びスラスターをきかせて上昇した《古代の機械混沌巨人》が右こぶしを生き残っている《RR-フォース・ストリクス》に向けて振り下ろす。
(この攻撃が通れば、黒咲選手のライフは0!!さあ、これで勝負が決まってしまうのかーーー!?!?)
「くっ…!!」
上からの攻撃が成立するまでのライムラグを頭の中で計算しながらコースを走っていると、直線状の落ちているアクションカードを見つける。
「うおおおおおお!!」
マシンブルーファルコンを横に倒し、すべりながら黒咲はカードに向けて手を伸ばす。
カードを手にすると同時に《古代の機械混沌巨人》の拳が《RR-フォース・ストリクス》をつぶしていく。
そして、勢いを止めることなく拳は黒咲に襲い掛かる。
「終わりだぁぁぁぁ!!」
黒咲への攻撃が命中した瞬間、その場所で爆発が起こった。
爆発と共に、客席は静寂に包まれていく。
「はあ、はあ…僕の邪魔をするからだ…。僕の、邪魔を…」
「まだ終わっていないぞ」
「何!?」
爆炎の中からマシンブルーファルコンが飛び出す。
そして、黒咲は自らを救ったアクションカードを見せる。
「アクション魔法《エナジー・メイト》。俺のライフを500回復する!」
黒咲
ライフ800→1300→200
SPC5→6→5
(間一髪!アクションカードにより、首の皮がつながったーーー!!)
「くっそぉ!!」
とどめを刺せなかったことを悔やむデニスは拳をディスプレイにたたきつける。
「どうした?まだ貴様のターンは終わっていないぞ」
「黙れ!!どうせ次のターンで勝てるんだ。このターンは譲ってやる!僕は《スピード・ワールド・A》の効果を発動!スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!ターンエンド!!」
黒咲
手札3(《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》《RR-ボミング・レイニアス》)
ライフ200
SPC5
場 RR-ライトニング・イーグル(青) ペンデュラムスケール1
デニス
手札2→1
ライフ4000
SPC7→0
場 古代の機械混沌巨人 レベル10 攻撃4000
「俺の…ターン!!!」
黒咲
手札3→4
SPC5→7
デニス
SPC0→2
「俺はスケール2の《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》をセッティング!」
頭部や両翼にフラッシュライトがついた、真っ白なハゲワシを模した機械が青い光の柱を生み出す。
「更に、俺は手札から《Sp-ソウル・シェイブ・ランクアップ》を発動!俺のスピードカウンターを6つ取り除き、墓地のRRエクシーズモンスター1体を特殊召喚する!甦れ、《RR-レヴォリューション・ファルコン》!!」
《Sp-ソウル・シェイブ・ランクアップ》のソリッドビジョンから《RR-レヴォリューション・ファルコン》が飛び出してくる。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000
「そして、そのモンスターよりもランクが2つ高いXモンスターにランクアップする!俺は《レヴォリューション・ファルコン》でオーバーレイ!」
「何!?復活してすぐにランクアップだと!?」
発動と同時に、衛星軌道上にどういうわけか人工衛星が出現し、その中にあるコンピュータに「RR-2000 acsess」と表示されると同時に、下部に搭載されたマイクロウェーブ発射装置からマイクロウェーブが発射される。
マイクロウェーブを受けた《RR-レヴォリューション・ファルコン》の胴体以外の骨組みと装甲、兵器がすべて強制排除され、上空から降りてくる、両翼に3つずつ砲台が搭載された、赤と白を基調としているほっそりとした武装が装着される。
そして、胴体部分の装甲の色がマイクロウェーブによって白へと変わっていく。
「勇猛果敢なるハヤブサよ。怒りの炎を巻き上げ、大地をも焼き尽くす閃光となれ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!飛翔しろ!ランク8、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》!」
RR-サテライト・キャノン・ファルコン ランク8 攻撃3000
黒咲
SPC7→1
Sp-ソウル・シェイブ・ランクアップ
通常魔法カード
このカードのカード名はルール上、「RUM-ソウル・シェイブ・フォース」としても扱う。
(1):自分のスピードカウンターを6つ取り除き、自分の墓地の「RR」Xモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚し、そのモンスターよりランクが2つ高いXモンスター1体を、対象のモンスターの上に重ねてX召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
「《サテライト・キャノン・ファルコン》はRRを素材にエクシーズ召喚に成功したとき、相手フィールド上の魔法・罠カードをすべて破壊する!」
「でも、僕のフィールドにはもう魔法・罠カードはない。《スピード・ワールド・A》はいかなる手段でも破壊できない!それに、攻撃力3000じゃあ、《古代の機械混沌巨人》は倒せないよ!!」
「俺は《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》のペンデュラム効果を発動!このカードが表側表示で存在するときに1度、俺のフィールド上に存在するRRエクシーズモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで1000アップさせる」
《RR-フラッシュ・ヴァルチャー》に装着されたライトが光りだし、その光を信号としてカメラで受け取った《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が白いオーラを纏う。
RR-サテライト・キャノン・ファルコン ランク8 攻撃3000→4000
RR-フラッシュ・ヴァルチャー
レベル4 攻撃1500 守備1200 闇属性 鳥獣族
【Pスケール:青2/赤2】
「RR-フラッシュ・ヴァルチャー」のP効果ははこのカードがPゾーンに存在する限り、1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在する「RR」Xモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで1000アップする。この効果は相手ターンでも発動できる。
【モンスター効果】
(1):このカードをX素材としてX召喚に成功した「RR」Xモンスターは以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードが戦闘で特殊召喚された相手モンスターを破壊し墓地へ送ったときに発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。
「さらに、《サテライト・キャノン・ファルコン》の効果発動!オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手モンスター1体の攻撃力を墓地のRR1体につき、800ダウンさせる!!」
「なに!?」
「これは…瑠璃とユート、そして倒れていった数多くの仲間たちの怒りの業火だ!!その炎で灰になれ、デニス・マックフィールド!!」
「ぐううう!!」
現在、黒咲の墓地にあるRRは《RR-フォース・ストリクス》3体と《RR-ミミクリー・レイニアス》、《RR-レヴォリューション・ファルコン》、《RR-バニシング・レイニアス》、《RR-ボミング・レイニアス》、《RR-インペイル・レイニアス》で合計8体。
そのため、《古代の機械混沌巨人》の攻撃力は一気に0になる。
デニスは状況を打開するため、アクションカードに手を伸ばす。
しかし、崩壊したコース上で安定してまっすぐDホイールを走行させるのは至難の業であり、さらに《古代の機械混沌巨人》が起こすソニックブームでさらにコースを崩壊させていく。
そのためか、あと少しで手が届くところでアクションカードが離れていく。
その間にも、墓地の仲間の力を得た《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が8門に増えた砲台から発射体制を整えていく。
しかし、デニスもまた鍛えられたデュエリスト。
なんとか走行を安定させることに成功し、アクションカードを手にする。
そのアクションカードの正体を見たデニスは目を大きく開く。
「《ノーアクション》…。くそっ!エンターテイナーであることを捨てた僕にはアクションカードに見放されたか!?」
相手のアクションカードの発動を無効にし、破壊するカードだが、今のデニスにとっては使えないカードだ。
デニス
SPC2→3
発射準備を整えた《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》が一斉射撃をする。
両腕の関節や胴体、頭部や右手などに次々と光線を受けた《古代の機械混沌巨人》は爆発を起こし、そのままコース上に転落する。
そして、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》は飛翔していき、高度50キロのところで止まり、ターゲットを動かなくなった《古代の機械混沌巨人》に固定する。
古代の機械混沌巨人 レベル10 攻撃4500→0
「あ、ああ…」
もはやアクションカードを手にすることは許されず、反撃の術を失ったデニスになすすべはない。
天から下される裁きの雷を受ける以外、彼には何もすることができない。
「《サテライト・キャノン・ファルコン》で《古代の機械混沌巨人》を攻撃!!」
再び衛星軌道上の人工衛星からマイクロウェーブが発射され、砲門が6つに戻った《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》にエネルギーを供給していく。
エネルギーの重点を終えたハヤブサの目は赤く光り、その目の前で6つの砲台から放出されるエネルギーを凝縮していく。
「エターナル・アベンジ!!!」
凝縮された光線が地上に向けて発射される。
《古代の機械混沌巨人》が生き残っている左手を盾に防ごうとするが、その光線に対しては無意味な抵抗で、それが放つ強烈な熱によって消滅していく。
そして、光線が命中した場所を中心に爆発が起こり、それにデニスが巻き込まれた。
「うわああああああ!!!」
デニス
ライフ4000→0
攻撃の余波のせいか、デニスのDホイールが爆発し、彼はコース上にうつぶせになって転落する。
黒咲はマシンブルーファルコンをデニスのそばに止め、彼の前に近づく。
「黒…咲…」
「…」
黒咲は腕に装着したデュエルディスクのボタンを押そうとする。
そのボタンを押せば、相手をカード化することができる。
しかし、指は確かにボタンに触れはするものの、どうしても押すことができない。
「…くそぉ!!」
ボタンから指を離した黒咲はデニスを思いっきり蹴飛ばした。
「ぐぉ…!?」
けりの痛みとデュエルでのダメージで気を失ったデニスの元へあの作業服の男たちがタンカをもってやってくる。
黒咲はデニスに背を向け、そのままコースを後にした。
あけましておめでとうございます!!
新年一発目の投稿です。
満足いただければ、幸いです。