「あーあ、本日は晴天なり、本日は晴天なり…。よし、マイクOK!」
チームシェイドの宿舎の前にある広場の発表台でマイクのテストを済ませた伊織はカンニングペーパーを見た後で、広場に集まるシェイドのメンバーに目を向ける。
「えー、それではー、チームシェイドのコモンズ3割統一とわれらのリーダーである翔太君の初戦突破を祝いまして…これから、パーティーをしようと思ってまーーす!!」
「おおおーーーー!!!」
パーティーという言葉を聞いたメンバーが一斉に盛り上がる。
「なぁ、いきなりパーティーって言われてもな…金は大丈夫だったのか?」
「ええもちろん!しっかりみんなの取り分からパーティーの予算を分けてもらったから!!」
「柚子…あんた、悪い顔になっとるで…?」
「あーーー、そこそこ!お静かにー!ですので、まずはこれから始めましょー!フィールド魔法《アスレチック・サーカス》ー!」
伊織が指を鳴らすと同時に広場の周辺に設置された球体型の機械が起動し、広場がまるでサーカスの舞台のような光景へと変わっていく。
これは伊織達がコモンズで手に入れた、ゴミとなっている大量の旧型デュエルディスクからまだ生きているリアルソリッドビジョンシステムをリサイクルして作りだしたものだ。
あくまで非正規の物であり、鬼柳手作りであることから若干荒い部分があるものの、それでも《クロス・オーバー》や《スピード・ワールド・A》以外のアクションフィールドを知らないシンクロ次元出身の面々を興奮させるには十分だ。
広場の外では屋台が設置されており、シェイドが手に入れた工場で働いているメンバーの多くがあるときは客として、またある時は店員としてそれを利用している。
コモンズではさほど縁のないこの規模のパーティーのことを聞きつけた近所の子供たちは前日まで仕事の手伝いや鉄くず集めをして金を作り、この日を楽しみに待っていた。
「この《アスレチック・サーカス》では気になる相手を見つけたらその場で即デュエルをしてもよし!でも、乱入はダメだぞー!?」
「よーし、なら俺とデュエルしよーぜー!」
「だれかー、僕とデュエルしないかー!?」
「アクションデュエル、楽しみだーー!」
さっそく、参加者たちは自分のデュエル相手を指名し始める。
ある人は知人と、ある人は偶然今となりにいる見知らぬ参加者と。
「漁介ぇ!ウチとデュエルやぁ!」
「あんたとか!?まぁ…久々じゃし、ええが…」
「じゃあ、ジョンソン。TDCでのリベンジいいか?」
「構わない。相方のロットンがいないのが残念だがな」
そして、漁介や鬼柳らも思い思いに相手を見つけ、デュエルをする。
今日だけは、ただ純粋にこの瞬間を楽しむために。
「「デュエル!!」」
漁介
手札5
ライフ4000
里香
手札5
ライフ4000
「俺のターン!俺は手札から《セイバー・シャーク》を召喚じゃ!」
セイバー・シャーク レベル4 攻撃1600
「そして、こいつは俺のフィールド上に水属性モンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《サイレント・アングラー》を特殊召喚じゃ!」
サイレント・アングラー レベル4 攻撃800
「俺はレベル4の《セイバー・シャーク》と《サイレント・アングラー》でオーバーレイ!未知なる轟と共に、水の戦士たちを統べよ!エクシーズ召喚!ランク4!《バハムート・シャーク》!!」
バハムート・シャーク ランク4 攻撃2600
「いきなりエースの登場…マジになっとるなぁ、漁介ぇ!」
棒付きキャンディーを口にした里香が嬉しそうに《バハムート・シャーク》を見る。
「更に、俺は《バハムート・シャーク》の効果を発動じゃ!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、エクストラデッキからランク3以下の水属性エクシーズモンスター1体を特殊召喚する!海の王者の叫び、ゴッド・ソウルじゃぁ!!」
《バハムート・シャーク》が空に向けて激しく咆哮すると、餅のように真っ白で柔らかな体のカエルが自分と同じだが小さな体のカエルを背負い、更にその上にみかんを乗せた状態でゆっくりと歩いてくる。
到着すると同時に、疲れ果てたのか、その場で座り込んで一休みを始めた。
餅カエル ランク2 攻撃2200
取り除かれたオーバーレイユニット
・セイバー・シャーク
「うげぇ…カエル…。ウチ、カエルが苦手なん知っとるやろ!?」
鏡餅のような姿をしている《餅カエル》を見て、顔を真っ青にする里香。
彼女は昔からカエルやミミズなどが苦手で、デュエル中にもそういうタイプのモンスターが召喚されると真っ青になってしまう。
「なんじゃぁ。まーだあのときのトラウマが治っとらんのかぁ」
「やかましいわ!!さっさとデュエルを進めろや、ドアホォ!!」
「ドアホって…傷つくじゃろ、そんなこと言われちゃあ…。俺は手札から魔法カード《ジェネレーション・フォース》を発動じゃ!俺のフィールド上にエクシーズモンスターが存在するとき、デッキからエクシーズと名の付くカードを1枚手札に加えることができるんじゃ。俺はデッキから《エクシーズ・トレジャー》を手札に加え、発動!フィールド上に存在するエクシーズモンスターの数だけ、俺はカードをドローする!さらに俺は手札から魔法カード《二重召喚》を発動!これで俺はもう1度だけ通常召喚が可能になる!俺は手札から《ダブルフィン・シャーク》を召喚!」
ダブルフィン・シャーク レベル4 攻撃1000
「こいつの召喚に成功したとき、墓地からレベル3か4の魚族・水属性モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる!もう1度出番じゃ、《セイバー・シャーク》!!」
《ダブルフィン・シャーク》が上空に向けて飛び跳ねると、再び現れた《セイバー・シャーク》と正面から激突する。
セイバー・シャーク レベル4 守備1200
「俺はレベル4の《ダブルフィン・シャーク》と《セイバー・シャーク》でオーバーレイ!!」
ぶつかり合ったことで互いに争いあっているサメがオーバーレイネットワークに吸収されていく。
「エクシーズ召喚!もう1体の《バハムート・シャーク》!!」
バハムート・シャーク ランク4 攻撃2600
「《バハムート・シャーク》の効果発動!今度は《エアロ・シャーク》をゴッド・ソウルで呼び出すんじゃ!!」
2体目のサメの方向を聞きつけ、《アスレチック・サーカス》に置かれている水槽から《潜航母艦エアロ・シャーク》が飛び出す。
潜航母艦エアロ・シャーク ランク3 攻撃1900
取り除かれたオーバーレイユニット
・ダブルフィン・シャーク
「更に、俺は《エアロ・シャーク》でオーバーレイネットワークを再構築!!アーマード・エクシーズチェンジ!!鎧纏いし漆黒の槍士、獲物を串刺しにしてやるんじゃ!ランク4!《FA-ブラック・レイ・ランサー》!!そして、《ブラック・レイ・ランサー》は自分のオーバーレイユニット1つにつき、200アップする」
FA-ブラック・レイ・ランサー ランク4 攻撃2100→2300
「くうう…!どんどんエクシーズ召喚しとるで…」
「まだまだじゃ!俺は手札から魔法カード《エクシーズ・ギフト》を発動!俺のフィールド上にエクシーズモンスターが2体以上存在するとき、俺のオーバーレイユニットを2つ取り除くことで、デッキからカードを2枚ドローできる!」
取り除かれたオーバーレイユニット
・サイレント・アングラー
・セイバー・シャーク
「そして、俺は手札から永続魔法《アームズ・バリア》を発動じゃ!これで、俺のFAと名の付くエクシーズモンスターは1ターンに1度、戦闘及びカード効果では破壊されん!さらに俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドじゃ!」
漁介
手札5→1
ライフ4000
場 バハムート・シャーク×2 ランク4 攻撃2600
餅カエル ランク2 攻撃2200
FA-ブラック・レイ・ランサー(オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃2300
アームズ・バリア(永続魔法)
伏せカード1
里香
手札5
ライフ4000
場 なし
いきなり1ターン目からエクシーズモンスター4体と飛ばした漁介。
特に《餅カエル》の存在が里香を精神的にも戦略的にも圧迫している。
(《餅カエル》は1ターンに1度、手札・フィールド上の水族モンスター1体をリリースすることで、相手のカード効果を無効にし、破壊する効果がある…。問題は漁介の手札や…)
漁介のフィールドに存在する《バハムート・シャーク》は海竜族で、《FA-ブラック・レイ・ランサー》は獣戦士族で、水族ではない。
漁介のたった1枚の手札が水族モンスターの場合、むやみに儀式魔法を発動すると返り討ちにされるのが関の山だ。
「…ああーーー!!あかんあかん!!考えとってもしゃあない!」
自分の頬を叩いた里香は自分のデッキを見る。
考えるよりも動くという自分のスタイルを崩しては、勝てるものにも勝てなくなる。
それを大事にしてきたから、今シェイドのメンバーとしてここにいるんだという自負がある。
「ウチのターン!!」
里香
手札5→6
「罠発動!《貪欲な瓶》!!墓地のカードを5枚デッキに加え、デッキからカードを1枚ドローじゃ!」
墓地からデッキに戻ったカード
・エクシーズ・トレジャー
・ダブルフィン・シャーク
・サイレント・アングラー
・二重召喚
・ジェネレーション・フォース
漁介の動きを気にせず、里香はドローしたカードを見る。
「いきなりええカードや!ウチは手札から《月読命》を召喚!」
「な…《月読命》!?」
水色が買った白の着物をまとった、紫色でみずらという飛鳥時代の身分の高い男性がよくしていた髪形をしているやや黒い肌の男が現れる。
男の体は紫色の光に包まれており、それが自身がスピリットモンスターであることを示している。
月読命 レベル4 攻撃1100
「《月読命》の効果発動や!このカードを召喚・リバースしたとき、フィールド上のモンスター1体を売ら守備表示に変更する。ウチはもちろん、《餅カエル》を裏守備表示にするで?さあ…どないするんや、漁介ぇ!」
《ライオウ》や《大天使クリスティア》への対策のために入れていたカードがこのタイミングで役に立った。
《月読命》と同じオーラを宿してしまった《餅カエル》が裏守備表示となり、フィールドに出現した裏返ったカードの下に隠れてしまう。
「これで心置きなく発動できるで…。ウチは手札から《影霊衣の降魔鏡》を発動や!手札の《サイバー・エンジェル-弁天-》をリリースし、《ブリューナクの影霊衣》を儀式召喚や!」
赤いラインのある青いゴム製のフィギュアスケートスーツを着て、赤い扇を両手に1つずつ握っている女性型モンスターが上空にあらわれた鏡に映し出される。
そして、その鏡が砕けると、その中から《ブリューナクの影霊衣》が飛び出し、里香の目の前に降りてくる。
ブリューナクの影霊衣 レベル6 攻撃2300
「げげっ!ここで《ブリューナク》じゃと!?それに、《弁天》をリリースって…」
「せや、《弁天》はリリースされたときも効果を発揮するカードや。デッキから光属性・天使族モンスター1体を手札に加えるで。ウチはデッキから《マンジュ・ゴッド》を手札に加える。そして、《ブリューナク》の効果発動や!1ターンに1度、エクストラデッキから特殊召喚されたフィールド上のモンスターを2体までデッキに戻す!これでまずはエースに退場してもらうで!」
《ブリューナクの影霊衣》が鏡がついた片手剣を振ると、フィールドに吹雪が発生し、それによって2体の《バハムート・シャーク》が徐々に氷漬けになっていく。
そして、2体が氷漬けになると、鏡が一瞬だけ光を放ち、それと同時にそのモンスターたちは姿を消した。
「ぐうう…せっかく召喚したエースを…。やってくれる!!」
一気に戦局がひっくり返されたにもかかわらず、漁介は笑っている。
尾道の漁師の子として生まれた漁介は8歳の時にその父親を事故で失った。
父方の祖父母がすでに病死していたこともあり、彼は母方の実家である大阪へ移り住んだ。
里香とは転向した小学校でできた初めての友達で、デュエルは彼女から学んだ。
そして、このデッキはいつか父親を越える漁師になるという夢をこめて作ったデッキで、何度も改良を重ねてこれまで戦ってきた。
だから、今はこの状況であっても、必ず逆転できると信じている。
「バトルや!《ブリューナク》で裏守備になっとるカエルを攻撃や!!」
《ブリューナクの影霊衣》が一太刀でカードの裏に隠れている《餅カエル》を真っ二つに切り裂いた。
《餅カエル》は黄色い粒子となって消滅し、その場にはいくつかの鏡餅が残った。
「くぅ…。《餅カエル》は墓地へ送られたとき、墓地に存在する水属性モンスター1体を回収する効果があるんじゃが、《貪欲な瓶》で水属性モンスターを全部デッキに送ったせいで、発動できん…」
「先走って発動したんが失敗やったな、漁介!!ウチはカードを1枚伏せ、ターンエンドや!それと同時に、フィールド上の《月読命》は手札に戻るで」
漁介
手札1→2
ライフ4000
場 FA-ブラック・レイ・ランサー(オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃2300
アームズ・バリア(永続魔法)
里香
手札6→3(うち2枚《マンジュ・ゴッド》《月読命》)
ライフ4000
場 ブリューナクの影霊衣 レベル6 攻撃2300
伏せカード1
「俺のターン、ドローじゃぁ!!」
漁介
手札2→3
「俺は手札から《レスキュー・ラビット》を召喚じゃ!」
レスキュー・ラビット レベル4 攻撃300
「フィールド上のこのカードを除外することで、デッキからレベル4以下で、同じ名前の通常モンスター2体を特殊召喚できるんじゃ!俺は《暗黒の海竜兵》2体を特殊召喚じゃ!」
《レスキュー・ラビット》が笛を鳴らしてから姿を消すと、漁介の目の前に水槽が現れ、そこから青い線がいくつも描かれている紫色の体のウミヘビが現れる。
シーザリオン×2 レベル4 攻撃1800
「俺はレベル4の《シーザリオン》2体でオーバーレイ!エクシーズ召喚!もう1度出番じゃ!!《バハムート・シャーク》!!」
バハムート・シャーク ランク4 攻撃2600
「また性懲りもなく《バハムート・シャーク》か。せやったら、ウチは永続罠《デモンズ・チェーン》を発動や!」
発動された《デモンズ・チェーン》のソリッドビジョンから放たれた鎖によって、現れたばかりの《バハムート・シャーク》が縛り付けられ、地上に転落する。
「これで、《バハムート・シャーク》の効果と攻撃は封じられたで?」
「そんなもんで止められるほど、サメは甘くないんじゃ!!俺は装備魔法《エクシーズ・アームズ-VN》を《バハムート・シャーク》に装備じゃ!」
《バハムート・シャーク》の左腕に青い装甲で、爪や関節部分に水色の金属が露出している3本指の腕を模したガントレッドが装着される。
「このカードを発動したとき、フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを1枚破壊じゃぁ!」
装着された爪を見た《バハムート・シャーク》はそれで拘束している鎖を砕く。
「なんやってぇ!?」
「そして、装備モンスターの攻撃力は俺のフィールド上に存在するFAエクシーズモンスターを1体につき、攻撃力が500アップする!」
バハムート・シャーク ランク4 攻撃2600→3600
「攻撃力3600!?せやけど、《バハムート・シャーク》は…ってことは、その装備カードの効果やな?!」
「そうじゃ。エクシーズ・アームズシリーズを装備したエクシーズモンスターはFAモンスターとして扱われるんじゃ!」
エクシーズ・アームズはレオコーポレーションから提供された、漁介の新たなカードだ。
装備モンスターを《FA-ブラック・レイ・ランサー》や《FA-クリスタル・ゼロ・ランサー》のようにFAモンスターへと変える。
そして、そのモンスターに対応するカードを発動することで、さらなるコンボへと昇華していく。
(黒咲がランクアップを使うのなら、俺は武器じゃ!獲物をしとめるための銛が俺の新しい可能性!!」
エクシーズ・アームズ-VN(ヴァリアブル・ネイル)
装備魔法カード
このカードはXモンスターのみ装備可能。
(1):装備モンスターはルール上、「FA(フルアーマード)」モンスターとしても扱う。
(2):このカードを発動したとき、フィールド上に表側表示で存在する魔法・罠カードを1枚破壊する。その後、装備モンスターの攻撃力は自分フィールド上に存在する「FA」Xモンスター1体につき、500アップする。
「《VN》を装備した《バハムート・シャーク》は当然、《アームズ・バリア》によって守られる。バトルじゃ!俺は《バハムート・シャーク》で《ブリューナクの影霊衣》を攻撃じゃあ!ゴッド・ボイス・クロウ!!」
《バハムート・シャーク》の方向と共に左腕のガントレッドが激しく振動する。
そして、その振動を維持したままその爪で《ブリューナクの影霊衣》を守りのために構えた片手剣もろとも切り裂いた。
「きゃあああ!!」
里香
ライフ4000→2700
「まだじゃぁ!!俺は《ブラック・レイ・ランサー》でダイレクトアタック!!ブラック・スピア!!」
《ブラック・レイ・ランサー》が壁モンスターのいない里香に向けて槍を投擲する。
「うかつやで、漁介!!ウチは罠カード《影霊衣の水盾》を発動!ウチのフィールド上にモンスターが存在しない状態でダイレクトアタックを受けるとき、墓地の影霊衣儀式モンスター1体を召喚条件を無視して特殊召喚し、デッキからカードを1枚ドローや!!」
里香の目の前に現れた《影霊衣の水盾》から《ブリューナクの影霊衣》が飛び出し、剣で投げ槍を弾く。
ブリューナクの影霊衣 レベル6 攻撃2300
「じゃったら、そのまま《ブリューナクの影霊衣》を攻撃じゃぁ!!」
槍を失った《FA-ブラック・レイ・ランサー》は装着されているブースターで加速し、《ブリューナクの影霊衣》に殴りかかる。
「本来なら相打ちや…せやけど…」
「そうじゃ!《アームズ・バリア》によって、破壊は免れる!!」
殴られた《ブリューナクの影霊衣》が剣で心臓を貫こうとするが、《FA-ブラック・レイ・ランサー》の周囲に展開された青いオーラによって剣が砕け散った。
「そして、俺はバトルフェイズ終了後に《バハムート・シャーク》の効果を発動!エクストラデッキから《トライエッジ・リヴァイア》を特殊召喚する。ゴッド・ソウル!!」
三又の槍を持ち、青い魚を模した鎧を身に着けた戦士が《バハムート・シャーク》の咆哮に応えて現れる。
トライエッジ・リヴァイア ランク3 攻撃1800
取り除かれたオーバーレイユニット
・シーザリオン
「更に俺は装備魔法《エクシーズ・アームズ-SR》を《トライエッジ・リヴァイア》を装備じゃ!」
赤い塗装が施された水中銃を《トライエッジ・リヴァイア》が槍を地面に突き刺して手にする。
「このカードを装備したモンスターの攻撃力・守備力は600アップする!」
トライエッジ・リヴァイア ランク3 攻撃1800→2400 守備1500→2100
「更に、装備モンスターは1度だけ墓地のそのモンスターと同じ属性もモンスター1体を自分のオーバーレイユニットにする!そして当然、このカードを装備したモンスターもFAモンスターになる!」
水中銃を地面に向けて発射し、発射された銛が刺さった場所から水が噴き出る。
それと同時に墓地の《シーザリオン》が飛び出してきて、水色の球体となって《トライエッジ・リヴァイア》の周囲を飛び回る。
「FAモンスターが増えたことで、《バハムート・シャーク》の攻撃力もアップじゃ!」
バハムート・シャーク ランク4 攻撃3600→4100
エクシーズ・アームズ-SR(ショットランサー)
装備魔法カード
このカードはXモンスターのみ装備可能。
「エクシーズ・アームズ-BR」の(2)の効果はこのカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、1度だけ発動できる。
(1):装備モンスターはルール上、「FA(フルアーマード)」モンスターとしても扱う。
(2):自分の墓地に存在する装備モンスターと同じ属性のXモンスター以外のモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを装備モンスターの下に重ね、X素材とする。
(3):装備モンスターの攻撃力・守備力は600アップする。
「俺はターンエンドじゃ!」
漁介
手札3→1
ライフ4000
場 FA-ブラック・レイ・ランサー(オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃2300
バハムート・シャーク(《エクシーズ・アームズ-VN》装備 オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃4100
トライエッジ・リヴァイア(《エクシーズ・アームズ-SR》装備 オーバーレイユニット1) ランク3 攻撃2400
アームズ・バリア(永続魔法)
里香
手札3→4(うち2枚《マンジュ・ゴッド》《月読命》)
ライフ2700
場 なし
「ウチのターン!!」
里香
手札4→5
「…よし!!」
ようやく見つけたアクションカードを手にした漁介は即座にそれを発動する。
「アクション魔法《的中》を発動!カード名を1つ宣言し、お互いに手札を確認する。そして、宣言したのと同じ名前のカード1枚を破壊する!宣言するカード名は《月読命》じゃあ!!」
「くぅ…!」
里香は悔し気に手札を漁介に公開する。
《的中》の一番怖いところは互いの手札を公開することで、手札の多いプレイヤーにとって不利になってしまうカードだ。
漁介の手札
・EMプラスタートル
里香
・マンジュ・ゴッド
・月読命
・カタストルの影霊衣
・影霊衣の術士シュリット
・儀式の準備
「ぐぇ…!?《カタストルの影霊衣》と《儀式の準備》!?」
「あーあー、漁介。見いひんかったらよかったの」
フッフッフッと黒い笑みを浮かべながら、里香は《月読命》を墓地へ送る。
的中
アクション魔法カード
(1):カード名を1つ宣言し、互いに手札を公開する。その中で宣言したカード名と同じ名前のカード1枚を破壊する。
「ウチは手札から魔法カード《儀式の準備》を発動。デッキからレベル7以下の儀式モンスター1体を手札に加える。ウチはでっきから《グングニールの影霊衣》を手札に加えるで。さらに、墓地から《影霊衣の降魔鏡》を手札に加える。そして、ウチは手札から儀式魔法《影霊衣の降魔鏡》を発動や。手札の《シュリット》をリリースし、《グングニールの影霊衣》を儀式召喚するで!」
鏡に《氷結界の龍グングニール》を模した鎧と鏡がついた杖を持つ赤い長髪の女性の姿が映り、鏡が砕けると同時にその女性がフィールドに飛び出す。
グングニールの影霊衣 レベル7 攻撃2500
「《シュリット》はたった1枚で影霊衣の儀式召喚に必要なレベルを満たすことができるんや。そして、このカードが効果によってリリースされたとき、デッキから戦士族の影霊衣1体を手札に加えることができる。ウチは《影霊衣の戦士エグザ》を手札に加えるで。そして、手札から《マンジュ・ゴッド》を召喚や!」
マンジュ・ゴッド レベル4 攻撃1400
「このカードの召喚・反転召喚に成功したとき、デッキから儀式モンスターもしくは儀式魔法を1枚手札に加えるで。ウチはデッキから《影霊衣の万華鏡》を手札に加え、発動や!手札・フィールド・エクストラデッキに存在するモンスター1体をリリースし、手札の影霊衣モンスターを、レベルの合計がリリースしたモンスターのレベルと同じになるように特殊召喚できる。ウチは手札の《影霊衣の戦士エグザ》をリリースし、《カタストルの影霊衣》を儀式召喚や!」
再び里香のフィールドにあらわれた鏡に今度は《A・O・Jカタストル》と同じ色合いのガントレッドを両腕に装着した筋肉質の魚人が映し出され、鏡を自らの拳で砕いて飛び出してくる。
カタストルの影霊衣 レベル5 攻撃2200
「更に、《エグザ》は効果によってリリースされたとき、デッキからドラゴン族の影霊衣儀式モンスター1体を手札に加えることができる。ウチはデッキから《カタストルの影霊衣》を手札に加えるで。そして、《カタストルの影霊衣》の効果発動!このカードを手札から捨てることで、墓地の影霊衣モンスター1体を特殊召喚するで。ウチは墓地の《影霊衣の戦士エグザ》を特殊召喚や!」
影霊衣の戦士エグザ レベル5 攻撃2000
「レベル5のモンスターが2体…まさか!?」
「エクシーズ召喚は漁介だけができる思うたら大間違いやで!ウチはレベル5の《エグザ》と《カタストルの影霊衣》でオーバーレイ!エクシーズ召喚!来いや、ランク5!《終焉の守護者アドレウス》!!」
真っ黒な翼をはやし、右手には赤い短剣を持っている黒衣の女性がゆっくりと里香のフィールドに降りてくる。
終焉の守護者アドレウス ランク5 攻撃2600
「《アドレウス》の効果発動や!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を破壊する!ウチは《アームズ・バリア》を破壊するで!!」
オーバーレイユニットが《終焉の守護者アドレウス》が持っているものと同じものに変化し、それが漁介のフィールド上の《アームズ・バリア》に向けて発射される。
「くぅ…!」
里香が動いている間に新しく手に入れたアクションカードを悔しそうに見る。
(こいつは俺のモンスターをカード効果による破壊から守る《ミラー・バリア》。じゃけども、魔法・罠カードには対応できん…!)
短剣で貫かれた《アームズ・バリア》が消滅し、3体のFAエクシーズモンスターを包むオーラが消えていく。
「く…じゃが、破壊された《アームズ・バリア》の効果発動じゃ!このカードが相手のカード効果で破壊され墓地へ送られたとき、デッキから新たなエクシーズ・アームズを手札に加える!俺はデッキから《エクシーズ・アームズ-DA》を手札に加える!!」
取り除かれたオーバーレイユニット
・影霊衣の戦士エグザ
アームズ・バリア
永続魔法カード
「アームズ・バリア」は自分フィールド上に1枚しか存在できない。
(1):このカードが魔法・罠ゾーンに存在する限り、自分フィールド上のすべての「FA」Xモンスターは1ターンに1度、戦闘・効果では破壊されない。
(2):自分フィールド上に存在するこのカードが相手の効果によって破壊されたとき、デッキに存在する「エクシーズ・アームズ」装備魔法カード1枚を対象に発動する。そのカードを手札に加える。
手札を使い切った里香は走り始める。
「(漁介が使うたんなら、ウチもアクションカードを…!)バトルや!ウチは《グングニールの影霊衣》で《トライエッジ・リヴァイア》を攻撃!!」
「うかつじゃぁ!!俺は《トライエッジ・リヴァイア》の効果を発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、フィールド上のモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで800ダウンさせる!」
オーバーレイユニットを吸収した槍を左手で握った《トライエッジ・リヴァイア》はそれを攻撃を仕掛けている《グングニールの影霊衣》に向けて投げつける。
そして、里香はトランポリンで飛び上がり、上空に浮かんでいるバランスボールに張り付いているアクションカードを手にする。
「アクション魔法《炎の舞》を発動や!相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を1000ダウンさせる!ウチは《トライエッジ・リヴァイア》の攻撃力を1000ダウンさせる!」
《炎の舞》から放たれた炎に包まれた《トライエッジ・リヴァイア》の体が焦げていく。
そして、槍を受けた《グングニールの影霊衣》は腹部に刺さったそれを引き抜き、傷口を氷によってふさいでいく。
グングニールの影霊衣 レベル7 攻撃2500→1700
トライエッジ・リヴァイア ランク3 攻撃2400→1400
炎の舞
アクション魔法カード
(1):相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力を1000ダウンさせる。
「このままいったれやぁ、《グングニール》!!」
《グングニールの影霊衣》の杖から放たれる青い光線を受け、《トライエッジ・リヴァイア》が氷漬けになっていく。
氷漬けになった後は、彼女が杖をコツンと当てただけで砕けた。
漁介
ライフ4000→3700
攻撃完了と同時にもう1度トランポリンで飛び上がった里香は空中ブランコをつかみ、それを利用して浮いている足場に着地する。
そして、そこに貼り付いているアクションカードを手にする。
「まだまだいくで?ウチはもう1枚のアクション魔法《ポッポちゃん参上!》を発動や!デッキの上から3枚をめくり、その中にある通常魔法カードを1枚手札に加え、残り2枚を好きな順番でデッキの上に置く!!」
バンダナを首に巻き、ゴーグルを額につけている黄色い鳩が里香のデッキをつつくと、3枚のカードが飛び出す。
里香のデッキの上から3枚
・儀式の宝札
・深海のディーヴァ
・リチュア・チェイン
「ウチは《儀式の法札》を手札に加え、上から順番に《深海のディーヴァ》と《リチュア・チェイン》をデッキに戻すで。そして、《終焉の守護者アドレウス》で《ブラック・レイ・ランサー》を攻撃や!」
《終焉の守護者アドレウス》が投げたナイフが《FA-ブラック・レイ・ランサー》の鎧に当たる。
その場所から鎧にひびが入り、やがて砕け散る。
「無駄じゃ!!《FA-ブラック・レイ・ランサー》は破壊される場合、代わりに持っているすべてのオーバーレイユニットを取り除くことができる!ぐう…!!」
FA-ブラック・レイ・ランサー ランク4 攻撃2300→2100
取り除かれたオーバーレイユニット
・潜航母艦エアロ・シャーク
漁介
ライフ3700→3400
「そして、メインフェイズ2に《儀式の宝札》を発動や!2回以上、ウチが儀式召喚に成功したターンにだけ発動できて、ウチはデッキからカードを2枚ドローするで。ウチはこれでターンエンドや」
漁介
手札1→2(《エクシーズ・アームズ-DA》《EMプラスタートル》)
ライフ3400
場 FA-ブラック・レイ・ランサー ランク4 攻撃2100
バハムート・シャーク(《エクシーズ・アームズ-VN》装備 オーバーレイユニット1) ランク4 攻撃4100→3600
里香
手札5→2(《深海のディーヴァ》《リチュア・チェイン》)
ライフ2700
場 グングニールの影霊衣 レベル7 攻撃2500
終焉の守護者カドケウス(オーバーレイユニット1) ランク5 攻撃2600
儀式の宝札
通常魔法カード
「儀式の宝札」は1ターンに1度しか発動できない。
(1):自分が儀式召喚に2回以上成功したターンのメインフェイズ時にのみ発動できる。自分はデッキからカードを2枚ドローする。
ポッポちゃん参上!
アクション魔法カード
(1):自分のデッキの上から3枚カードを確認する。確認したカードの中に通常魔法カードがあった場合、その1枚を相手に見せて手札に加える。その後、確認したカードを好きな順番でデッキの一番上に戻す。
「アクションカードに助けられたとはいえ、《アームズ・バリア》と《トライエッジ・リヴァイア》を破壊するなんてなぁ!!こうなったら、もっと楽しまんゆけんなぁ!俺のターン、ドローじゃあ!」
漁介
手札2→3
「俺は手札から魔法カード《エクシーズ・トレジャー》を発動!」
「《エクシーズ・トレジャー》やってぇ!?」
漁介がドローしたカードに驚愕する。
《エクシーズ・トレジャー》は特にコストが要求されるわけでもないのに、大きな見返りをもたらすことから、《逆境の宝札》とともに制限カードとして認定されている。
なお、シンクロ次元ではそもそもエクシーズ召喚、という概念がこのフレンドシップカップで出てきたばかりであるため、《エクシーズ・トレジャー》というカード自体存在しないため、実質的には無制限だ。
しかし、漁介はそれだとアンフェアーだからといって、これまで通り《エクシーズ・トレジャー》の枚数は1枚にとどめている。
《貪欲な瓶》で戻して、また手札に加えたことから、彼の引きの強さを感じてしまう。
「効果は分かっとるんじゃのぉ。フィールド上に存在するエクシーズモンスターの数だけ、デッキからカードをドローする。俺は2枚ドローじゃ!さらに手札から魔法カード《強欲なウツボ》を発動!手札の水属性モンスター2体をデッキに戻し、デッキからカードを3枚ドローする。俺は手札の《エクシーズ・リモーラ》と《EMプラスタートル》をデッキに戻し、3枚ドローする!」
一気に手札に腐らせていたカードを交換し、これで彼がこれからどんな動きを見せてもおかしくなくなった。
唯一わかっているのは、《アームズ・バリア》で手札に加えた《エクシーズ・アームズ-DA》がまだ彼の手の中にあることだ。
「俺は手札から装備魔法《エクシーズ・アームズ-DA》を《バハムート・シャーク》に装備!こいつを装備したエクシーズモンスターは当然、FAモンスターになる。そして、装備モンスターはバトルフェイズ開始時にオーバーレイユニットを1つ取り除くことで、そのターンのみ2回攻撃できるんじゃ!」
目の前に現れた、鉛色の装甲でところどころに赤いフレームが見える2本の斧のうちの1本を《バハムート・シャーク》は手に取り、刃を里香に向ける。
エクシーズ・アームズ-DA(ダブルアックス)
装備魔法カード
このカードはXモンスターのみ装備可能。
(1):装備モンスターはルール上、「FA(フルアーマード)」モンスターとしても扱う。
(2):1ターンに1度、自分のターンのバトルフェイズ開始時に、装備モンスターのX素材を1つ取り除くことで発動できる。装備モンスターはこのターン、1度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
「さらに、手札から魔法カード《アクア・ジェット》を発動!フィールド上の水族・魚族・海竜族モンスター1体の攻撃力を1000アップじゃ!」
《バハムート・シャーク》の背中に2基のスケイルエンジンが装着され、上空をまるで水の中にいるかのように自由自在に飛び回る。
その間に左腕のガントレッドが展開し、斧の赤いフレームが光りだす。
バハムート・シャーク ランク4 攻撃3600→4600
「ぐうう…これは…」
悔し気に上空の《バハムート・シャーク》を見る里香。
周囲にはアクションカードはなく、このまま攻撃を受けるのを待つしかない。
「これで仕留める!《バハムート・シャーク》、大物2匹まとめて獲ったれえ!!」
上空から急速に降下した《バハムート・シャーク》が斧で《グングニールの影霊衣》を両断し、《終焉の守護者アドケウス》を左腕で握りつぶす。
そして、無防備になった里香に向けて咆哮した。
里香
ライフ2700→600→0
「ぐあああああ!!悔しい!あと1ターンで、勝てたのに…悔しいわぁ!!」
敗北した里香は悔しそうに拳を握り締める。
そして、キッと漁介をにらむ。
「もう1回や!!こうなったら、さっそくリベンジしたる!!」
「大歓迎じゃ!もう1度獲ったらぁ!!」
「ああ…うるせえなぁ」
第2ラウンドを始めた漁介と里香に対し、デュエルを終えた鬼柳とジョンソンはベンチに腰掛けて、屋台で勝ったたこ焼きを食べていた。
なお、ジョンソンは1人では食べれないため、鬼柳の助けを借りてでのことだが。
「今回はお前に軍配が上がったな…。《励輝士ヴェルズビュート》を使ってくるとはな」
「インフェルニティはシンクロ召喚だけが能ってわけじゃあねえのさ。そういえば、チームブレイドについて何か話は聞いてないか?」
「いや…。そういう話なら、モハメドに聞けば…」
「モハメドに聞いてもダメだった。どうも、最近のあいつら…」
鬼柳が気にしているのはチームブレイドのことだ。
同盟を組んだのはいいものの、どうにも彼らの行動が見えてこず、新黒字減についてある程度精通しているモハメドでも分からないとのことだ。
「このまま同盟関係を続けることができるか…」
「だが、決裂すればチームオーファンの餌食になるのは目に見えている。この同盟があるから、今は均衡しているが…」
「ああ。危うい均衡だな」
大っぴらに本来のデッキを使える状態になったことで、皮肉にも翔太が捕まった後から急激にシェイドは勢いを伸ばすことに成功した。
多くのデュエルギャングを撃破し、撃破には至らないものの従うことを表明するギャングもいる。
その結果、チームブレイドとともに動くという前提ではあるが、チームオーファンと対抗できるだけの力をつけることができた。
そのチームブレイドが何かを起こせば、それは天下分け目の戦いになるかもしれない。
「その前に、どうにかして翔太やほかのランサーズを救出できれば…」