遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第71話 滅びの黒炎

「ん、ん、んんん…!」

下着姿で目を覚ました翔太はベッドから降り、床に乱暴に投げおいた自分の服を着る。

風呂に入っている間に、このホテルの作業員によってアイロンをかけられていたのか、何日も着ていて(もちろん、女性陣が「汚いから」という理由で最低限洗濯してくれてはいたが)しわだらけになっていた服がきれいになっていた。

起きてすぐにドアが開き、ボーイが食事を持ってきた。

「おい、2回戦の第1試合はいつから始まるんだ?」

カートに置かれている自分の分の朝食が乗ったお盆を受け取りながら、ボーイに尋ねる。

ええっと、と言った後で、彼は懐からスマホを出して調べ始めた。

そして、調べ終えるとそれをポケットにしまって翔太に目を向ける。

「今から2時間後です。出番が来ましたら、こちらから迎えに来ます」

「ああ…。最後の朝食からもしねーからな」

お辞儀をし、部屋を後にするボーイを見送ると、翔太は皿の上に置かれているバゲットをパンナイフで切らずにそのまま食いちぎる。

高級なホテルに似つかわしくない、きわめて野蛮な食べ方だが、今それをとがめる人間は1人もいない。

「にしても、問題なのはあいつだな…」

食べながら、翔太の脳裏に浮かんだのはあのセルゲイというデュエリストだ。

彼はギリギリまで自分のライフを減らし、最終的にはそれまでためていたうっぷんを爆発させるかのように、相手を一撃で撃破した。

その時の彼の行動は全く分からず、中継をしていたメリッサ自身も困惑するほどだった。

「ま…あいつのライフを中途半端に減らすなってことだな。あとは奴の動きが分かれば…」

「キュイー!」

「な…ビャッコ!?お前、今までどこへ!?」

急にベッドの下から、かわいらしい鳴き声をしながら出てきたビャッコに驚きを隠せない。

徳松とのデュエルの時、なぜか頭の上に乗っかってヘルメットをみたらし団子の三つでべとべとにしたのは記憶に新しい。

スタッフも当初はソリッドビジョンによるただの演出かと思ったらしく、試合後にヘルメットを受け取ったときに本当にベトベトになっているのを知ってびっくりしたというのはまた別の話。

そんな驚く翔太にビャッコはランドセルから出した、外付けのハードディスクを差し出す。

黒いソ○ー製で、容量は3TBらしい。

ついでに、テレビにつけるためのケーブルも延長ケーブル込で持っている。

「キュイキュイ!」

「これをテレビにつけろ…か??」

「キュイ!」

肯定するように首を縦に振るビャッコ。

幸い、備え付けのテレビには接続口が左側面についている。

そこにハードディスクを接続して、テレビをリモコンで操作する。

そして、ハードディスクに録画されている動画のリストが表示される。

「ああ…なるほどな。そういうことか…!」

 

(シティは1つ!みんな友達ー!今日からフレンドシップカップ2回戦が始まりまーす!!)

午前9時になると同時に、スタジアムが歓声に包まれる。

平日であるにもかかわらず、老若男女問わず、満席になるほど人が集まっている。

なお、黒咲とデニスのデュエルの影響で破損した個所はブルーシートで隠されている。

(えー、昨日はとあるアクシデントでスタジアム内のコースは使用不可能になりましたー…。ですので、今回はシティのデュエルレーンを使用することになり、同時にアクションカードの入手についても、若干ルールが変更されます!!コースについてはUターンしない限りはどのコースを自由に通っても構いません。そして、コース上に設置されているカードが描かれたパネルを通過することで、ランダムにアクションカードが出現し、通過したプレイヤーの手札に加わります!)

メリッサの実況と同時に、スタジアムのソリッドビジョンに説明された光景が表示される。

赤いDホイールと青いDホイールのデュエリストがデュエルをしていて、赤いプレイヤーは最初の分岐点を左に、青いプレイヤーは右に向かう。

そして、赤いプレイヤーがカードが描かれたパネルを通過と同時に、左腕のホルダーに自動的に生み出されたアクションカードが収納される。

手にしたアクションカード、《エクストリーム・ソード》の効果を受けた《ツイン・ブレイカー》が青いプレイヤーのフィールドにいる《デッド・ガードナー》を攻撃しようとする。

しかし、別々のコースを通ったことで距離が離れたため、《ツイン・ブレイカー》は接近するために何度もコースを飛び越える。

その間に青いプレイヤーもカードのパネルを通過し、《回避》を獲得。

それを発動して、攻撃を回避した。

(どのようなコースを選択するか、そして攻撃の際にはどれだけ相手に近づいて、アクションカード入手のチャンスを奪うかが勝負のポイント!なお、アクションカードによるスピードカウンターの増減及び手にすることができる回数が1ターンに1度のみという制約はそのままでーす!)

「パネル通過でアクションカード…?マ○オカートかよ」

Dホイールからメリッサの放送と映像を視聴した翔太はそう言いつつ、スタッフからくすねた缶コーラを飲み干し、ごみ箱に向けて投げ捨てる。

(そして、この2回戦第1試合に出場する選手は…秋山翔太選手とセルゲイ・ヴォルコフ選手!!)

「始まるか…」

手袋をつけ、デッキを左手首のホルダーにセットする。

自動的にデッキをシャッフルする音が聞こえ、その間翔太はDホイールに乗ったまま目を閉じる。

 

「ああ…いきなり翔太君のデュエル!?」

部屋を掃除していた伊織が箒を投げ捨て、テレビにかじりつく。

テレビにはスタートラインへとDホイールを進める翔太とセルゲイの姿があった。

「セルゲイ・ヴォルコフが出るのか…」

ちょうどトイレから戻ってきたモハメドが部屋に入ってきて、そのあとで柚子や里香らシェイドのメンバーが集まってくる。

テレビを見るモハメドは若干苦い表情を浮かべる。

「まさか、あいつがな…」

「このセルゲイってやつと何かあるのか?」

「ああ…。俺はこいつの捕縛チームの隊長を務めていた。奴はプロ、アマチュア問わず、デュエリストを再起不能になるまで叩きのめすのが趣味のサディストだ。捕縛の際には3人死んで、5人は後遺症が残るほどの重傷。2人はPTSDを発症して再起不能になった。そして、収容所でも死人が出るくらい暴れまわったって聞いた」

「そんな人がどうして…?」

あまりの出来事に両手で口を覆った柚子が恐る恐る尋ねる。

「俺も詳しいことはわからない。更正の余地なしとして、死刑判決が下り、比較的すぐに執行した…。俺が知っているのはそれだけだ」

モハメドの話が正しければ、セルゲイは何らかの手段で表向きでは死亡扱いとなり、これまで闇の中で生きてきたということになる。

ギャングの間で話題になっていないということは、治安維持局か評議会が1枚かんでいる可能性も考えられる。

「翔太君…」

「キュイー」

「ビャッコちゃん…」

いつの間に自分の膝の上に現れたビャッコの頭をやさしくなでる。

そして、最悪最低なデュエリストと戦うことになる翔太の身を伊織は案じた。

 

「おい、お前…デュエリスト・クラッシャーって話だよな?」

「…」

「ま…俺が言えた義理じゃあないけどな…お前につぶされたデュエリストへの情けとして、お前を叩き潰してやるよ」

「…」

翔太に声をかけられているにもかかわらず、セルゲイは無視を続ける。

しかし、客席に目を向けるようなこともせず、ただじっと橋へと続く出入り口のある真正面のゲートをじっと見るだけだった。

「ったく、少しくらい返事をしてもいいだろ…」

(さーあ、いよいよライディングデュエルの始まりです!!フィールド魔法《スピード・ワールド・A》発動!!)

発動と同時に、目の前にソリッドビジョンの信号が出現する。

そして、2人のDホイールのエンジンが動き出す。

(ライディングデュエルー…アクセラレーション!!)

信号が赤から青に変わると同時に、両者のDホイールが同時に発進し、スタジアムを飛び出す。

2台はまっすぐ進んでいき、やがて第1コーナーの代わりとなる左右への分岐点に差し掛かる。

「この分岐点を最初に通過したほうが先攻か…!」

アクセルを思いっきり踏み込み、スピードを引き上げていく。

だが、セルゲイは一般のDホイールと変わらないスピードで走り続け、やがて翔太は左に曲がった。

(あえて後攻をとったか…。ま、俺はどっちでもいいけどな)

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

セルゲイ

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻。へっ…!」

最初の行動をとろうとて手札に触れる直前に、アクションカードパネルを通過する。

そして、それによって手札のホルダーにソリッドビジョンで構築されたアクションカードが加わる。

 

翔太

SPC0→1

 

「俺はモンスターを裏守備表示で召喚。そして、カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札5→3(アクションカード1)

ライフ4000

SPC1

場 裏守備モンスター1

  伏せカード1

 

セルゲイ

手札5

ライフ4000

SPC0

場 なし

 

「俺のターン…ドロー」

 

セルゲイ

手札5→6

SPC0→2

 

翔太

SPC1→3

 

「俺は《茨の囚人-ヴァン》を召還…」

片方だけ折れている2本角の人型悪魔が現れると同時に、コース上から飛び出してきた茨に拘束されていく。

それと同時に、セルゲイ自身の体も茨で縛られた。

「ぐう、うう…ふふ…」

ブスブスと肌に刺さる茨の感触に魅了されているのか、無表情だったセルゲイが笑みを浮かべ始める。

それをDホイールの映像で見ている翔太、そして観客やMCであるメリッサ自身も気味の悪さを感じた。

「なんだよこいつ…ドMかよ…」

 

茨の囚人-ヴァン レベル1 攻撃0

 

「さらに俺は手札から《Sp-カウントアップ》を発動。俺のスピードカウンターが2つ以上あるとき、手札を任意の枚数墓地へ送り、墓地へ送ったカード1枚につき2つ、スピードカウンターが増える…。俺は3枚手札を墓地へ送る」

手札と引き換えに、一気にセルゲイのDホイールのスピードが増す。

次の分岐点を左に曲がり、翔太が通っているコースに接近していく。

 

セルゲイ

SPC2→8

 

手札から墓地へ送られたカード

・茨の囚人-アブト

・ネクロ・ガードナー

・ヘルウェイ・パトロール

 

「そして、俺は…」

「おい、ドMデュエリスト。一つ…宣言してやる」

突然、セルゲイのDホイールの画面の勝田の姿が映る。

「…」

突然画面が変化したにもかかわらず、笑みを浮かべたまま反応を見せないセルゲイを見つつ、右手人差し指を伸ばす。

「1回だ。俺はこれからお前に攻撃するのは1回だけ。それだけで…おまえを倒す」

(おっとーー!!翔太選手、ここで突然とんでもない宣言をしたー!で、でも…本当にできるのぉ??)

「あいつ…本当にやる気かよ!?」

「まさかぁ、ハッタリに決まってる!」

「でも、ハッタリでこんなに堂々できるもんかよ!?」

客席は翔太の宣言に驚き、騒然する。

「うわ…翔太君、大口たたいちゃってる…」

「それにドMデュエリストって…ちゃんと名前でよべや!!」

「…面白そうなことを言っているな」

テレビの前での庵たちの反応は様々だ。

だが、セルゲイは何も反応を見せず、茨が与える快感に酔うだけだ。

「信じるも信じないもお前しだいだ。M野郎。付け焼刃だが、この1発が俺のエンタメだ」

「…俺は手札から《Sp-シフト・ダウン》を発動。俺のスピードカウンターを6つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローする。そして、カードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札3(アクションカード1)

ライフ4000

SPC3

場 裏守備モンスター1

  伏せカード1

 

セルゲイ

手札6→1

ライフ4000

SPC8→2

場 茨の囚人-ヴァン レベル1 攻撃0

  伏せカード1

 

「俺のターン」

 

翔太

手札3→4

SPC3→5

 

セルゲイ

SPC2→4

 

「俺は裏守備の《魔装霊レブナント》を反転召喚」

 

魔装霊レブナント レベル2 攻撃600(チューナー)

 

「《レブナント》のリバース効果発動。俺はデッキから魔装モンスター、《魔装鳥ガルーダ》を手札に加え、そのまま召喚」

《魔装霊レブナント》のマントの中から《魔装鳥ガルーダ》が飛び出し、2体の五芒星が光りだす。

 

魔装鳥ガルーダ レベル3 攻撃1200

 

「そして、俺はフィールド上の《レブナント》と《ガルーダ》をリリースし、融合。無念ゆえによみがえりし亡霊よ!炎の怪鳥よ!魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!王家の獣、《魔装鳥獣グリフォン》!」

 

魔装鳥獣グリフォン レベル6 攻撃2400

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札4→2(アクションカード1)

ライフ4000

SPC5

場 魔装鳥獣グリフォン レベル6 攻撃2400

  伏せカード2

 

セルゲイ

手札1

ライフ4000

SPC4

場 茨の囚人-ヴァン レベル1 攻撃0

  伏せカード1

 

(翔太選手、宣言通り攻撃力2400のモンスターを召喚したにもかかわらず、攻撃をしません!宣言通り、本当に一撃でとどめを刺そうとしているのかーーー!?)

「…」

ちょうど翔太とセルゲイが走るコースが合流し、2人が並走する。

そして、セルゲイがじっと翔太を睨むように見ながら、カードをドローする。

 

セルゲイ

手札1→2

SPC4→6

 

翔太

SPC5→7

 

「…。俺は手札から《茨の囚人-ダーリ》を召喚」

今度は黄土色の車輪に茨で縛り付けられた青い髪の女性型悪魔が現れ、同時にセルゲイの体を縛るいばらの量が増えていく。

 

茨の囚人-ダーリ レベル1 攻撃0(チューナー)

 

「チューナーモンスター…?」

「レベル1の《茨の囚人-ヴァン》にレベル1の《茨の囚人-ダーリ》をチューニング。歪曲した煩悩を曝け出し、茨に肉塊を委ねよ!シンクロ召喚!現れよ、レベル2!《茨の戒人-ズーマ》! 」

《茨の囚人-ダーリ》が変化したチューニングリングを《茨の囚人-ヴァン》が通った瞬間、その姿が全身を茨で拘束され、それだけでなく片足には鉄球、首と片腕には拘束具をつけられた悪魔が現れ、同時に上空を飛んでいる《魔装鳥獣グリフォン》の体も茨で覆われる。

痛みが発生するのか、若干ぐらつきはしたものの、飛行不能になるほどのダメージではないらしく、そのまま飛び続けた。

 

茨の戒人-ズーマ レベル2 攻撃0

 

茨の囚人(ソーン・プリズナー)-ヴァン(アニメオリカ)

レベル1 攻撃0 守備0 効果 闇属性 悪魔族

(1):このカードが攻撃対象に選択された場合、手札の「茨の囚人」モンスター1体を相手に見せ、400LP払って発動できる。 その攻撃で自分が受ける戦闘ダメージを0にする。 その後のダメージステップ終了時、墓地からこのカードと、手札からこのカードの発動時に相手に見せた「茨の囚人」モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。

 

茨の囚人-ダーリ(アニメオリカ)

レベル1 攻撃0 守備0 チューナー 闇属性 悪魔族

(1):このカード以外の「茨の囚人」モンスターが自分フィールドに存在する場合、相手バトルフェイズに1度、相手モンスターの攻撃宣言時に400LPを払って発動できる。 その攻撃を無効にする。

 

「《グリフォン》に茨を…!?グゥ…!!」

《魔装鳥獣グリフォン》にばかり目を向けていた翔太の体もセルゲイと同じように茨が現れ、しばりつける。

肌に突き刺さる冷たい感触に耐えながら、翔太はセルゲイに目を向ける。

「てめえ…どういうつもりだ…!?」

「《ズーマ》はシンクロ召喚に成功したとき、フィールド上に存在するすべてのモンスターに茨カウンターを1つずつ乗せる。そして、それにチェーンして俺は手札の《茨の囚人-ユオン》の効果を発動。俺のフィールド上に茨と名の付く闇属性・悪魔族モンスターが特殊召喚されたとき、ライフを400支払うことで、手札から特殊召喚できる。グフフ…」

鉛でできた十字架に茨で拘束された悪魔が現れ、セルゲイの両手首を拘束する茨が強く締まっていく。

あまりの締まりのせいか、セルゲイの両手首から血が流れているが、それを見る彼の眼はとてもうれしそうだった。

 

セルゲイ

ライフ4000→3600

 

茨の囚人-ユオン レベル1 守備0(茨カウンター0→1)

茨の戒人-ズーマ レベル1 攻撃0(茨カウンター0→1)

魔装鳥獣グリフォン レベル6 攻撃2400(茨カウンター0→1)

 

「俺は俺はカードを1枚伏せ…ターンエンド…」

 

翔太

手札2(アクションカード1)

ライフ4000

SPC7

場 魔装鳥獣グリフォン(茨カウンター1) レベル6 攻撃2400

  伏せカード2

 

セルゲイ

手札0

ライフ4000

SPC4

場 茨の囚人-ユオン(茨カウンター1) レベル1 守備0

  茨の戒人-ズーマ(茨カウンター1) レベル1 攻撃0

  伏せカード2

 

「俺のターン…ぐぅ…!?」

急に茨が刺さっている個所から激痛が走る。

そのせいでDホイールがぐらつき、危うく壁に激突しそうになるが、何とか立て直す。

「《ズーマ》のモンスター効果…。お互いのターンのスタンバイフェイズ時、それぞれのフィールド上に存在する茨カウンターの乗っているモンスターの数×400のダメージをプレイヤーは受ける」

「ちぃ…!たった400でここまで肉体にダメージが…」

 

翔太

ライフ4000→3600

手札2→3

SPC7→9

 

セルゲイ

SPC4→6

 

「俺は《スピード・ワールド・A》の効果発動!スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする」

 

翔太

手札3→4

SPC9→2

 

「そして、俺はモンスターを裏守備表示で召喚」

「俺は《ユオン》の効果を発動…」

翔太が裏守備で召喚したモンスターに向けて、《茨の囚人-ユオン》の十字架についている茨が襲い掛かる。

裏守備となっていた《魔装学者エヴェレット》がそのまま縛り上げられて、表側守備表示に代わる。

「また茨カウンターを…!」

「《ユオン》は相手ターンに1度、400ライフを支払うことでセットされたモンスターを表側守備表示に変更し、茨カウンターを1つのせる…ぐおお…お…おお!!」

《茨の囚人-ユオン》の力によってか、セルゲイの体を縛る茨の締め付けが強くなる。

「うおおおお…ウハ、ウヘハ…」

肉体にダメージが発生するほどの痛みを受けて、笑みを浮かべるセルゲイにさすがのメリッサも沈黙し、観客はドン引きする。

 

魔装学者エヴェレット レベル3 守備0(茨カウンター0→1)

 

「なら俺は《エヴェレット》の効果を発動!このカードをゲームから除外し、俺のフィールド上に存在する魔装モンスター1体の攻撃力を1000アップさせる。俺が選ぶのは《グリフォン》!」

《魔装学者エヴェレット》は自らが持ち出した大きな世界地図に包まれてその姿を消し、それと同時に平行世界の《魔装鳥獣グリフォン》が現れる。

 

魔装鳥獣グリフォン レベル6 攻撃2400→3600

 

(仲間のモンスターの力を受け、《グリフォン》が攻撃力アップー!そして、このカードは1ターンに2度攻撃できる!あとは貫通効果を与え…)

「さらに俺は手札からアクション魔法《リリース&ブースト》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、そのレベルの数値分スピードカウンターを上昇させる。俺は《グリフォン》をリリースする!」

並行世界の自分自身とともに黄色い粒子となって、《魔装鳥獣グリフォン》が姿を消す。

そして、その粒子を吸収した翔太のDホイールが加速する。

 

翔太

SPC2→8

 

リリース&ブースト

アクション魔法カード

(1):自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、そのモンスターのレベルの数値分、スピードカウンターを乗せる。

 

(なんと翔太選手、せっかくパワーアップさせたモンスターをリリース!これで、フィールド上からモンスターがいなくなってしまいましたー!!)

「俺はドMな奴を中途半端にいたぶるのは嫌いだからな。徹底的に痛めつけて、塩を塗り込んでやる」

(うわ…どっちも悪役…)

「そして、俺はもう1度《スピード・ワールド・A》の効果を発動。スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする。これでターンエンドだ」

 

翔太

手札4

ライフ3600

SPC8→1

場 伏せカード2

 

セルゲイ

手札0

ライフ3600

SPC6

場 茨の囚人-ユオン(茨カウンター1) レベル1 守備0

  茨の戒人-ズーマ(茨カウンター1) レベル1 攻撃0

  伏せカード2

 

「翔太のフィールドがこれでがら空きに…!?」

「心配いらない。セルゲイのフィールドに存在するモンスターはすべて攻撃力0。それに、これであいつのフィールドから茨カウンターが消えた。ダメージを受けることはなくなる。だが…」

モハメドはテレビからじっとセルゲイを見つめる。

ここまでの彼のデュエルを見続けたモハメドは彼に大きな違和感を感じた。

(逮捕されるまでの奴のデッキは攻撃力・破壊力重視のパワーデッキ。それに、あんなにおとなしくしているはずがない。この大会までの間に一体何が起こった…?)

 

「俺のターン…」

 

セルゲイ

手札0→1

SPC6→8

 

翔太

SPC1→3

 

「スタンバイフェイズ時に、《ズーマ》の効果発動。俺は合計800のダメージを受ける…!ぐうう…!!!」

体中を縛る茨が容赦なくセルゲイの体を穴だらけにしようと深々ととげを差し込んでいく。

額から流れる血がセルゲイの目を赤く汚し、刻まれた黄色いマーカーを塗りつぶす。

 

セルゲイ

ライフ3600→2800

SPC8→7

 

そんな中、今度は3方向に分かれた分岐点に差し掛かる。

前に出ていた翔太がまっすぐ進むと、そんな彼についていくように、セルゲイもまたまっすぐ進んでいく。

全身に伝わる幻想ではない、現実の痛みを感じながら。

「…美しい」

ポツリと、誰にも聞こえないくらいの小さな声でセルゲイはささやく。

(思えば1回戦で戦ったあの男…侮ってばかりで、美しさがみじんも感じられなかった。だが…)

セルゲイの目が翔太へと向かい、両目が赤く発光する。

「(だが…秋山翔太、こいつは最初から俺に勝つ気でいる。しかも、たった1発だけの攻撃で俺に勝つと宣言している…。奴の魂の黒い輝き…ぶっこわしたい…)俺はフィールド上に存在する《ユオン》の効果を発動!このカードをリリースすることで、墓地から茨の囚人を2体まで表側守備表示で特殊召喚する!俺が特殊召喚するのは《ヴァン》、そして《ダーリ》!!」

十字架にかけられた囚人の胸部を鋭利な2本の茨が回転しながら貫く。

心臓を失ったことで、その囚人は力尽きるが、その穴の中から《茨の囚人-ヴァン》と《茨の囚人-ダーリ》が這うように出てくる。

 

茨の囚人-ヴァン レベル1 守備0

茨の囚人-ダーリ レベル1 守備0

 

「そして、この効果で特殊召喚したモンスター1体につき、400ライフを失う…!ぐおお!?」

囚人を死に至らしめた2本の茨が鞭となって、何度もセルゲイの体を打ち始める。

誰もがその光景を見て顔を青く染めるが、当の本人は狂気の笑みを浮かべながら受け止めている。

 

セルゲイ

ライフ2800→2000

 

茨の囚人-ユオン

レベル1 攻撃0 守備0 効果 闇属性 悪魔族

「茨の囚人-ユオン」の(1)(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):相手のターンのメインフェイズ1に1度、400LPを支払い、相手フィールド上に裏側守備表示で存在するモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターを表側攻撃表示に変更する(そのとき、リバース効果は発動しない)。その後、そのカードに茨カウンターを1つ乗せる。

(2):自分のターンのメインフェイズ1に、自分フィールド上に存在するこのカードをリリースし、墓地に存在する「茨の囚人」モンスターを2体まで対象にして発動できる。そのモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。その後、この効果で特殊召喚したモンスター1体につき、400LPを失う。

 

「長官!セルゲイ・ヴォルコフの制御システムが危険信号を発しています!!」

治安維持局の男性オペレーターが冷や汗をたっぷり流しながらロジェに訴える。

「なに!?セルゲイめ…!制御装置は完ぺきだったはずでは…!!」

ロジェの脳裏にセルゲイを「献上品」として引き渡した、小判状のグラサンで派手なスーツの男のにやけ面と研究員の色素の薄い笑みが浮かび、怒りを覚える。

実を言うと、セルゲイは確かに死刑判決を受けていた。

しかし、彼のデュエルの力量を見たロジェによって極秘裏に人体改造を施されたことでロジェの私兵となった。

デュエリスト・クラッシャーであった頃の激しく狂気に満ちた姿は失われ、ロジェに従順で寡黙な犬となったのだ。

また、その狂気を封じ込めるために彼の体のは厳重な制御装置が埋め込まれており、それによって彼を完璧にコントロールできるとロジェは確信していた。

だが、現実として今、現在進行形でロジェの狂気が制御できないくらいに目覚めており、今爆発しようとしている。

「制御レベルを最大にしろ!!なんとしてでもセルゲイを止めるのだ!!」

「もうやっています!!ですが…止まりません!!!」

「ぐぅぅ…今、セルゲイを暴走させるわけにはいかんのだ…!!」

頭を抱えるロジェは必死にセルゲイを止める方法を模索し始めた。

彼が暴走するという最悪のシナリオが彼の脳裏から抜け落ちていた。

 

「さらに俺は墓地に存在する《茨の囚人-アブト》の効果発動!!このカードが墓地に存在するとき、ライフを400支払うことで、デッキから融合またはフュージョンと名の付く魔法カード1枚を手札に加える。俺が手札に加えるのは《Sp-ミラクルシンクロフュージョン》だ!!」

柱に逆さづりにされている赤い衣の悪魔が悲鳴を上げると同時に、その悪魔を拘束する茨の棘がセルゲイに向けて発射される。

棘を受け、傷口が開いているのを気にせず、彼はデッキから《Sp-ミラクルシンクロフュージョン》を手札に加える。

 

セルゲイ

ライフ2000→1600

 

「そして、永続罠《リミット・リバース》を発動!その効果で墓地から《アブト》を攻撃表示で特殊召喚する!さあ…もっとだ!!罠カード《破壊指輪》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体を破壊し、お互いに1000のダメージを受ける!!そして、《アブト》はカード効果によって破壊されるとき、俺はライフを400支払うことでデッキからカードを1枚ドローできる!!」

《リミット・リバース》によってフィールドによみがえった逆さづりの悪魔の指にはめられた《破壊指輪》が爆発し、爆風が翔太とセルゲイを襲う。

「く…俺が攻撃しないから、しびれを切らせたか!?」

 

翔太

ライフ3600→2600

SPC3→2

 

セルゲイ

手札1→2

ライフ1600→200

SPC7→6

 

「ウワハハハハハ!!そうだ、この痛み…!この痛みが俺の心を響かせる…!!美しいお前を…壊せとぉ!!」

「壊れたな…いや、最初から壊れるか…」

 

茨の囚人アブト

レベル1 攻撃0 守備0 チューナー 闇属性 悪魔族

「茨の囚人-アブト」の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に存在するこのカードがカード効果によって破壊されたとき、400LPを支払うことで発動できる。自分はデッキからカードを1枚ドローする。

(2):このカードが墓地に存在するとき、400LPを支払うことで発動できる。デッキから「融合」「フュージョン」魔法カード1枚を手札に加える。この効果を発動したターン、自分は「茨」モンスター以外のモンスターを特殊召喚できない。

 

「俺は手札から《Sp-ミラクルシンクロフュージョン》を発動!!スピードカウンターが4つ以上あるとき、俺のフィールド・墓地のシンクロモンスターを含むモンスターを融合する!!俺が融合素材とするのは《ズーマ》、《ヴァン》、《ダーリ》!!辛苦、痛み、凡庸なる価値を骸とし、全て脱ぎ去り今!茨の道を越えよ!融合召喚!現れよ!《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》! 」

「シンクロ召喚!?ってことは…アカデミアの!!」

フィールドにいる3人の囚人の茨が絡み合い、うめき声をあげながら3人はそれに引っ張られていく。

やがて、3人が集められた場所の足元に3枚の刃のように鋭利なラフレシアの花びらが出現する。

 

茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ レベル8 攻撃0

 

茨の戒人(ソーン・オブザーバー)-ズーマ(アニメオリカ・調整)

レベル2 攻撃0 守備0 シンクロ 闇属性 悪魔族

チューナー+「茨の囚人」モンスター1体

(1):このカードがS召喚に成功した場合、フィールドの全てのモンスターに茨カウンターを1つ置く。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、茨カウンターが置かれたモンスターは攻撃できず、お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のスタンバイフェイズ毎に、それぞれのフィールドの茨カウンターの数×400ダメージを受ける。

(3):このカードが攻撃対象に選択された場合、 このカードのS召喚に使用したS素材モンスター一組が自分の墓地に揃っている場合、 400LPを払い、その素材モンスター一組を対象として発動できる。 その攻撃で自分が受ける戦闘ダメージを0にする。 その後のダメージステップ終了時、墓地からこのカードと対象のモンスターを攻撃表示で特殊召喚する。

 

「《ヴァン・ダーリ・ズーマ》の…ヒヒヒ、攻撃力は…ハハ、2500から俺のライフを引いた数値の倍…。俺のライフは200、よってこの《ヴァン・ダーリ・ズーマ》の攻撃力は4600ゥ!!」

 

茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ レベル8 攻撃0→4600

 

(なんということでしょう!?今までセルゲイ選手が自らライフを削り続けたのはまさにこのため!!切り札である《ヴァン・ダーリ・ズーマ》の破壊力を最大限まで引き出すためだったのです!!)

「攻撃力4600!?どうすんじゃ、翔太!?フィールドががら空きじゃぞ!?!?」

「自分のライフを極限まで削って…なんちゅう危険なデュエルなんや!?」

「何も対策せずにデュエルをしていたら…負けていたかも」

漁介や里香、柚子が口々にセルゲイのデュエルに恐れを抱きながら言う。

「これが…融合次元のデュエル…」

「フハハハハ!!一撃で俺を倒すといったなぁ、その自信に満ちた美しいお前を逆に一撃でたたきつぶしてやる!!」

「さすがに…やべえか…!!」

セルゲイの狂気の象徴ともいえる《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》の圧倒的な攻撃力に戦慄する。

そんな翔太の目の前にアクションカードパネルが見えてくる。

「こいつで…!!」

アクションカードを手にするため、スピードを上げていく。

(先に通過したアクションカードパネルは一定時間フィールドから消える!あいつにアクションカードを渡すわけには…!)

「バトルだ!!《ヴァン・ダーリ・ズーマ》でダイレクトアタックぅぅ!!」

攻撃命令を受けると同時に、今までうめき声しか挙げていなかった3人の囚人が強烈な悲鳴を上げ始める。

その悲鳴が超音波となり、真空波を引き起こしているのか、コースにひびが入り、両サイドの壁が砕け散る。

さらに、セルゲイ自身はDホイールのスピードを引き上げ、一気にカードを手にしようとする翔太の真横に来る。

そして、そのまま彼を…。

「…くれてやるよ」

「…!?」

弾き飛ばそうと一気に横に車体を動かすと同時に、翔太はDホイールに急ブレーキをかけ、減速させる。

そして、勢いに任せて車体を大きく横へ動かしてしまったセルゲイは翔太にぶつかることなく、そのまま壁へ向かっていく。

音波のせいで構造が弱まったこと、そしてあまりの勢いだったがために壁は簡単に砕け散り、セルゲイはそのままコース外に落下しそうになる。

だが、落下しそうになった彼の腕を何者かがつかみ、そのままコース上に戻す。

「何…!?」

巨体である自分をDホイールごと引き上げることは翔太でもできない。

なぜ助かったのかと思い、翔太のフィールドを見ると、そこには《魔装騎士ペイルライダー》の姿があった。

さらに、《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》は叫び声をやめている。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

「俺は罠カード《死を告げる風》を発動した。俺のフィールド上にモンスターが存在しない状態でダイレクトアタックを受けるとき、その攻撃を無効にする。そして、手札・デッキ・墓地から《魔装騎士ペイルライダー》を特殊召喚する」

 

死を告げる風

通常罠カード

(1)自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、相手の直接攻撃宣言時に発動できる。その攻撃を無効にする。その後、自分の手札・デッキ・墓地に存在する「魔装騎士ペイルライダー」1体を特殊召喚する。

 

(なんということでしょう!!攻撃力4600の《ヴァン・ダーリ・ズーマ》の一撃をかわし、自らのエースを呼び出した!!ここから逆襲が始まるのかーーー!?!?)

「はあああ…」

セルゲイの攻撃宣言時、思わずその場で立ち上がってしまった伊織が安心して、へなへなとその場に座り込む。

いきなりの絶体絶命を回避したことで、シェイドのメンバーも伊織ほどではないが、安どの表情を浮かべた。

(まさか、融合モンスターを…。ってことは、長官は…)

「さあ…お前のターンはまだ終わってねえ。どうするんだ…?」

「俺は…ターン、エンド…」

 

セルゲイ

手札2

ライフ200

SPC6

場 茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ レベル8 攻撃4600

 

翔太

手札4

ライフ2600

SPC2

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  伏せカード1

 

「ふうう…危なかった」

翔太は部屋で見た映像を思い出す。

それはまさにセルゲイとデイモンのデュエルの一部始終であり、なぜデイモンがたった1ターンで敗北したのかがわかるものだった。

「(今回はビャッコに感謝しねーとな…)俺のターン!」

 

翔太

手札4→5

SPC2→4

 

セルゲイ

SPC6→8

 

「こいつは…!?」

ドローしたカードを見た瞬間、急に翔太の視界が真っ暗になる。

そして、真っ黒に染まった空間がまるで宇宙空間のような光景へと変わっていき、いくつもの星が出現していく。

(なんだよ…こいつは…)

無数の星々が光る中、翔太の脳裏にある言葉が浮かぶ。

「進化の青、調和の紫、開拓の白、秩序の黒、克己の緑…なんだ…なんだよ、この言葉は…」

言葉の意味が分からず、戸惑う翔太の目の前に《魔装騎士ペイルライダー》が現れる」

「《ペイルライダー》…」

自らの名前を呼ばれた死の騎士はうなずくと、次第に景色が元に戻っていった。

「…。俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール7の《魔装砲士ボナパルド》でペンデュラムスケールをセッティング」

翔太の左側の《魔装槍士タダカツ》が、右側に白い軍服で五芒星が刻まれた大砲をそばに待機させたやや肥満体な男が現れ、青い光の柱を生み出す。

「ドM…これがファイナルターンだ!!」

(おっとー!ここで翔太選手、まさかの勝利宣言!!本当に…本当に一撃で終わらせるのでしょうかーーー!?)

「まず、俺は手札から《Sp-オーバー・アクセル》を発動。俺のスピードカウンターが4つ以上あるとき、ターン終了時まで相手は俺のモンスターの攻撃を無効化できない。更に、《ボナパルド》のペンデュラム効果を発動!俺のフィールド上に魔装騎士が存在するとき、1ターンに1度、相手フィールド上に存在するモンスター1体の効果をターン終了時まで発動できなくする!ネット弾発射!」

《魔装砲士ボナパルド》の号令と共に、大砲が自動的に砲弾を発射する。

「ぐうう…俺は《ヴァン・ダーリ・ズーマ》の効果を発動!1ターンに1度、ライフを100支払うことで、相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで100にする!!」

《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》を縛る茨が《魔装騎士ペイルライダー》を襲う。

光剣で何本かの茨を切り裂き、スラスターを利かせて上空へ向かって回避したものの、最後には足をつかまれ、そのままビルに向けて振り下ろされる。

リアルソリッドビジョンであるため、ぶつかると同時にガラスが砕け、仕事をしていたサラリーマンたちが驚きを見せる。

その間に弾丸が《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》に接触し、それと同時にネットが展開されてそのモンスターの未動きを封じていく。

 

セルゲイ

ライフ200→100

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→100

茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ レベル8 攻撃4600→4800

 

Sp-オーバー・アクセル

通常魔法カード

(1)自分のスピードカウンターが4つ以上あるときにのみ発動できる。このターン、自分のモンスターの攻撃は無効化されない。

 

「どうだぁ!?これでお前は…」

「更に俺は罠カード《魔装伝心》を発動!セッティングされている魔装ペンデュラムモンスターのスケールを1から10のいずれかの変更する。俺は《魔装槍士タダカツ》のペンデュラムスケールを2から7に変更する!」

 

魔装槍士タダカツ(赤) Pスケール2→7

 

魔装伝心

通常罠カード

「魔装伝心」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分のPゾーンに存在する「魔装」Pカード1枚を対象に発動できる。そのカードのPスケールを1~10のいずれかの数値に変更する。

 

「なんで!?そんなことをしたら、ペンデュラム召喚ができなくなる…!」

「翔太君…何をするの…?」

「俺はレベル7の《ペイルライダー》とスケール7の《タダカツ》、《ボナパルド》でオーバーレイ!」

2本の青い光の柱が消え、上空に青いオーバーレイネットワークが生まれる。

それと同時に、翔太のエクストラデッキが光り、《PX魔装騎士フェラーレ・カヴァリエーレ》が変化していく。

その中に3体のモンスターが取り込まれ、その中心となっている《魔装騎士ペイルライダー》の鎧にひびが入る。

「秩序の黒を纏いし炎の死神よ、さまよえる魂を焼き、眠りへ導け。ペンデュラムエクシーズチェンジ!現れろ、《魔装騎炎ブリュンヒルデ》!!」

鎧が砕け散り、その中から全身に黒い炎を宿し、赤黒い鎧と大鎌を装備した銀髪の女性がその姿を見せる。

(《HADES》の時は少年、《ブリュンヒルデ》では女…《ペイルライダー》…お前は何者なんだ…)

 

魔装騎炎ブリュンヒルデ ランク7 攻撃2800

 

魔装砲士ボナパルド

レベル5 攻撃2100 守備1000  地属性 戦士族

【Pスケール:青7/赤7】

「魔装砲士ボナパルド」の(2)のP効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。

(2):自分フィールド上に「魔装騎士」が存在する場合、相手フィールド上に存在するモンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはターン終了時まで効果を発動できない。この効果は相手ターンでも発動できる。

【チューナー:効果】

「魔装砲士ボナパルド」の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードを手札からP召喚に成功したとき、相手フィールド上に存在するモンスターの数が自分フィールド上に存在するモンスターの数よりも多い場合に発動できる。自分はデッキからカードを2枚ドローする。

 

茨の超越戒人(ソーン・オーバーザーバー)-ヴァン・ダーリ・ズーマ(アニメオリカ・調整)

レベル8 攻撃0 守備0 融合 闇属性 悪魔族

「茨の囚人-ヴァン」+「茨の囚人-ダーリ」+「茨の戒人-ズーマ」

(1):このカードの攻撃力は、2500から自分のLPの数値分を引いた数値の倍になる。

(2):1ターンに1度、100LPを払い、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの攻撃力はターン終了時まで100になる。この効果は相手ターンでも発動できる。

 

「あれ…??《ペイルライダー》って…女のひと??」

映像で翔太の新たな切り札を見た伊織が首をかしげる。

翔太にはすでに《魔装騎士HADES》を見せてはもらっていた分、この変化には驚きを隠せなかった。

「その姿には驚いたが、攻撃力2800だぞ。それで攻撃力4600の《ヴァン・ダーリ・ズーマ》をどうやって…」

「俺は《ブリュンヒルデ》の効果を発動。オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、俺たちの墓地に存在するカードを5枚まで除外できる。俺が除外するのはお前の墓地の《ヴァン》、《ダーリ》、《ズーマ》、《アブト》、《ネクロ・ガードナー》だ!!スピリット・パニッシュ!!」

オーバーレイユニットが鎌に宿った瞬間、翔太が宣言した5体のモンスターがセルゲイの墓地から飛び出してくる。

そして、その5体のモンスターが黒い球体となったのと同時に《魔装騎炎ブリュンヒルデ》の鎌で切り裂かれ、消滅した。

「そして、除外したカード1枚につき、攻撃力が400アップし、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力を300ダウンさせる!」

「何!?」

切り裂いた魂から力を得た美女は左手の黒い炎を放つ。

炎は《茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ》を茨ごと焼きつくしていき、その力を奪い取っていく。

 

魔装騎炎ブリュンヒルデ ランク7 攻撃2800→4800

茨の超越戒人-ヴァン・ダーリ・ズーマ レベル8 攻撃4600→3100

 

魔装騎炎ブリュンヒルデ

ランク7 攻撃2800 守備2500 エクシーズ 無属性 戦士族

【Pスケール:青3/赤3】

(1):1ターンに1度、自分のPゾーンに存在するこのカードを破壊することで発動できる。自分の手札・エクストラデッキに存在する「魔装騎士」モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。

(2):このカードはエクストラデッキへ送られるとき、裏向きとなる。

【モンスター効果】

「魔装騎士ペイルライダー」+Pゾーンに存在するPスケールが同じカード2枚

フィールド上に存在するこのカードはルール上、「魔装騎士」モンスターとして扱う。

レベル7がP召喚可能な場合にエクストラデッキの表側表示のこのカードはP召喚できる。

「魔装騎炎ブリュンヒルデ」の(1)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードのX素材を1つ取り除くことで発動できる。互いの墓地に存在するカードを5枚までゲームから除外する。その後、このカードの攻撃力は除外したカードの数×400アップし、相手フィールド上に存在するすべてのモンスターの攻撃力・守備力は除外したカードの数×300ダウンする。

(2):モンスターゾーンのこのカードが戦闘・効果によって破壊された場合に発動できる。自分のPゾーンに存在するカードをすべて破壊し、このカードを自分のPゾーンに置く。

 

「黒い炎の女…黒い…魂…」

「終わりだ…ドM。《ブリュンヒルデ》で《ヴァン・ダーリ・ズーマ》を攻撃!ヴァリキュリア・ブラックフレア!!」

《魔装騎炎ブリュンヒルデ》が地面に自分の鎌を突き刺し、目を閉じて呪文を唱える。

すると、鎌が次第に黒いマグマへと姿を変えていき、その場にエネルギーが集まっていく。

彼女が目を開き、両手を上空に掲げた瞬間、その場で黒い大爆発が起こり、翔太とセルゲイ、そしてそれぞれのモンスターがその爆発に巻き込まれていった。

「おおおおおおおおおおお!!!!!」

 

セルゲイ

ライフ100→0

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