地下の独房の扉が開き、その中に気を失った遊矢が放り込まれる。
手当てされた形跡がなく、腹部からの血が遊矢のライディングスーツを濡らす。
ロジェの人形と化した隊員は中を確認することなく、扉を閉めてその場を後にした。
「遊矢殿…」
天井についている、それと同じ色柄の布が外れ、そこから月影が下りてくる。
意識を失ったままの遊矢をあおむけにし、傷口を確認する。
「すまぬ、遊矢殿…。今、おぬしを助けることができぬ。せめて、傷の治療はさせてもらう」
月影を初めてする風魔デュエル塾の塾生は忍者修行の一環として、簡単な治療技術も学んでいる。
幸い、ここに侵入する前にヒイロが調達した治療用の道具や薬をいくつか受け取っており、この場でひそかに治療することが可能となっている。
「死んではならぬぞ、まだ遊矢殿は何も成し遂げていないのだから…」
(それでは、舞網チャンピオンシップ2回戦第3試合を行いたいと思います!!対戦カードは…1回戦最終試合を圧倒的な大逆転で飾った黒咲選手、盟友シンジ・ウェーバーの無念を晴らすことができるのか!?黒い旋風、クロウ・ホーガン!!)
遊矢とシンジのデュエルが終わり、それから十分もたたないうちに次の試合が開始される。
お昼時であるためか、観客の中には弁当やサンドイッチを食べる人がおり、トップスの客に対してはステーキやフカヒレスープといった極上のランチがもてなされる。
「頼むぞ、クロウ・ホーガン!!」
「コモンズの意地を見せてやれーーー!!」
シンジが敗北したことで、コモンズの観客たちには落ち込みが見受けられた。
だが、彼らは最後の1人となったクロウに思いを託し、必死に応援をする。
彼なら敗北した3人のコモンズの思いをつなげてくれる。
トップスに一泡吹かせてくれると。
「クロウ・ホーガン…」
先にスタート地点に到着していた黒咲はじっとクロウを見る。
2人は収容所から脱走するときに初めて顔を合わせただけで、互いにデュエルをしたことがなければ、会話もしたことがない。
共通点があるとしたら、遊矢と翔太に面識があるという程度だ。
だが、このフレンドシップカップのルールの存在から、この対戦カードは自分たちにとって都合がよかった。
あまり相手について知らない者同士であるため、お互いに気兼ねなく、本気で倒しに行くことができる。
「悪いが、このデュエル…俺が勝たせてもらう。俺自身の目的のために…!」
「それは俺のセリフだぜ!遊矢には悪いが、俺にも負けられねえ理由がある!」
愛機であるブラックバードのハンドルを握りしめつつ、コモンズの自宅で待つ子供たちに思いをはせる。
クロウはシンジと同じく孤児で、ギャングには彼に誘われる形で入った。
殺人をしたことはないが、窃盗や強盗、密輸、トップスからのぼったくりに手を貸したことがあり、生きるためにやれることはなんでもやった。
デュエルについても、シンジに匹敵する高い実力があり、当時所属していたギャングからも一目置かれていた。
そんな彼に転機が訪れたのはフランク、タナー、アマンダとの出会いだ。
ある雨の日、いつものようにトップスへの強盗に成功し、分け前を受け取った後で自宅へ戻ったとき、3人はその家のそばで雨宿りをしていた。
幼い子供がこうしているのはコモンズではよくある光景で、たいていは屑鉄拾いや乞食で糊口をしのいでいる。
3人も同じで、物心ついてからずっと3人一緒で、両親については分からないという。
当初はいつものことだからと無視をし続けていたが、日がたつにつれてだんだん放っておけなくなり、やがて彼らの面倒を見るようになった。
彼らを養うために、ギャングの仕事にも精を出してきたが、次第に犯罪に手を染める自分に対して疑問を抱くようになる。
汚れた金や物でフランク達を食べさせていって、本当に良いのか。
彼らに対して、今の自分を胸張って見せることができるのか。
できるならば、まっとうな生き方で彼らの面倒を見たい。
そう思ったクロウはギャングを抜け、彼らと共に屑鉄拾いや日雇い労働をしながら生活するようになった。
そのことから、クロウを逃げたギャングと影口をたたく人間もいたが、シンジのように理解してくれる人物もいて、ギャング時代と比べて収入が激減したクロウを心配して、食糧などの物資を持ってきてくれる仲間もいる。
「ならば…何も言わん。来い、クロウ!!」
「同感だ。全力で行くぜ、黒咲!!」
(おおーーー!!両者気合十分、テンションMAX!これは熱いデュエルを見ることができるかもーーー!ではさっそく、フィールド魔法《スピード・ワールド・A》を発動!!」
フィールド魔法が発動し、両者のDホイールのエンジンが起動する。
もう2人は相手を見ていない。
見ているのは目の前に見える出口。
次にここへ戻ってくるときには、明暗がはっきり分かれている。
(ライディングデュエル…アクセラレーション!!)
信号が赤から青に変わり、互いにいきなり100キロオーバーのスピードをたたき出してスタジアムを飛び出す。
「ぐう…ううう!!!」
先手を取るためとはいえ、いきなりの大幅な加速は2人の体に負担をかけている。
「へ…この程度、昔と比べたら…大したこと、ねえんだよぉ!!」
気迫を見せつけながら、クロウはさらに加速していく。
そして、並走していた黒咲を追い越し、先に分岐点を左へ曲がる。
黒咲は2秒程度遅れて、右へと向かった。
クロウ
手札5
ライフ4000
黒咲
手札5
ライフ4000
「はあはあ…先攻は俺がもらうぜ。俺は手札からチューナーモンスター、《BF-上弦のピナーカ》を召喚!」
ターバンと弓矢を持った、デフォルメされた烏のようなモンスターが現れる。
BF-上弦のピナーカ レベル3 攻撃1200(チューナー)
「そしてこいつは俺のフィールド上にBFが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《BF-砂塵のハルマッタン》を特殊召喚!」
《BF-上弦のピナーカ》が上空に向けて矢を放つと、その矢を中心に砂嵐が発生する。
そして、その中から黒を基調とした色をした鶴のような鳥が現れる。
BF-砂塵のハルマッタン レベル2 攻撃800
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、俺のフィールド上のBF1体のレベル分、こいつのレベルを上げることができる!俺は《ハルマッタン》のレベル分、2つ上昇させる!」
砂嵐が2つのチューニングリングへと変わり、《BF-砂塵のハルマッタン》もその姿をチューニングリングへと変えていく。
「俺はレベル4の《ハルマッタン》にレベル3の《ピナーカ》をチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!降り注げ、《ABF-驟雨のライキリ》!!」
《BF-上弦のピナーカ》がくぐるチューニングリングに向けて落雷が発生する。
その落雷を切り裂いて、《ABF-驟雨のライキリ》が姿を現す。
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)
「そして、俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド!ここで《ピナーカ》の効果発動!このカードがフィールドから墓地へ送られたターン終了時、デッキからBFを1枚手札に加えることができる。俺はデッキから《BF-残夜のクリス》を手札に加える!」
クロウ
手札5→1(《BF-残夜のクリス》)
SPC0
ライフ4000
場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)
伏せカード3
黒咲
手札5
SPC0
ライフ4000
場 なし
(いきなりエースカードを召喚したクロウ選手!黒咲隼、この稲妻を宿した剣士にどう立ち向かうのか!?)
「俺の…ターン!」
黒咲
手札5→6
SPC0→2
クロウ
SPC0→2
互いに違うルートを進んでいるため、たとえアクションカードパネルを見つけたとしても、互いに邪魔をしあうことはない。
だが、相手と距離があればあるほど、攻撃に際して相手に時間を与えることになる。
次の分岐点に到達した黒咲は迷わず左へ向かい、クロウへの接近を図る。
「俺は手札から《RR-ラスト・ストリクス》を召喚!」
RR-ラスト・ストリクス レベル1 攻撃100
「このカードをリリースすることで、エクストラデッキからRRエクシーズモンスター1体を守備表示で特殊召喚することができる。ラストワンの叫びを聞きつけ、今こそ現れろ!《RR-デビル・イーグル》!!」
RR-デビル・イーグル ランク3 守備0
「ただし、この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効となり、ターン終了時にデッキに戻る。そして、このターン、相手に与える戦闘ダメージは0となる」
「そんなデケエデメリットを負ってまで、《デビル・イーグル》を…?」
仮にクロウが黒咲ならば、その前に何らかの手段でスピードカウンターを増やし、《RR-デビル・イーグル》以上のランクのエクシーズモンスターを特殊召喚する。
そして、増えたスピードカウンターを利用してランクアップマジックを発動し、《RR-サテライト・キャノン・ファルコン》のような高いランクのエクシーズモンスターへと変化させる。
だが、今の黒咲はランクの低い《RR-デビル・イーグル》を召喚し、スピードカウンターを増やす気配がない。
スピードカウンターが2つ以下で発動できるようなランクアップマジックをデニスとのデュエルでは見たことがない。
そんな不可解なプレイの答えを示すように、黒咲はエクストラデッキから1枚のカードを手に取る。
「このカードは手札のランクアップマジック1枚を墓地へ捨て、俺のフィールド上に存在するランク5以下のRRエクシーズモンスター1体をエクシーズ素材とすることで、エクシーズ召喚することができる!」
「何!?発動するんじゃなくて、捨ててランクアップするのかよ!?」
黒咲のデッキはランクアップ主体であるため、スピードカウンターを確保しておかなければ、高ランクのエクシーズモンスターを召喚できないという弱点がある。
スピードカウンターを増やすカードやダメージの回避といった対策と共に、黒咲はもう1つのランクアップの可能性を手に入れた。
エクシーズ・アームズシリーズによって、フルアーマードエクシーズの可能性を広げた漁介のように。
「俺は手札の《Sp-ソウル・シェイブ・ランクアップ》を墓地へ送り、《RR-デビル・イーグル》でオーバーレイネットワークを再構築!《ソウル・シェイブ・ランクアップ》はルール上、《RUM-ソウル・シェイブ・フォース》としても扱う!」
上空に出現した雷雲の中に《RR-デビル・イーグル》が飛び込んでいく。
雷雲から紫色の稲妻が走る。
「誇り高きハヤブサよ。愚鈍なる力を払うため、灼熱の雨を降らせ!ランクアップ・エクシーズチェンジ!現れろ、ランク6!《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》!!」
稲妻走る雲の中からミサイルポッドを展開させた《RR-レヴォリューション・ファルコン》が下りてくる。
その眼はクロウを守る《ABF-驟雨のライキリ》にすでに向けられている。
RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド ランク6 攻撃2000
「《レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》の効果発動!このカードのエクシーズ召喚に成功したとき、相手フィールド上のモンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「何!?」
《RR-ラスト・ストリクス》の効果の代償として、戦闘ダメージを与えることができないが、効果ダメージであれば問題はない。
エースを倒せる上に、特大なダメージでスピードカウンターを減らすこともできる。
「いけ、《エアレイド》!!」
《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》がスラスターを利かせ、一気にクロウの真上まで飛んでいく。
そして、高度修正を行った後で、収納されていたすべての爆弾を落としていく。
「アクションカード!こいつなら…!」
爆弾をかわしながら、アクションカードパネルを通過し、手にしたカードを見る。
「(こいつじゃねえ!だったら…!)俺は罠カード《メタル・コート》を発動し、こいつを《ライキリ》に装備!これで、装備モンスターはカード効果では破壊されない!」
《メタル・コート》のソリッドビジョンから銀色のオーラを受けた《ABF-驟雨のライキリ》が刀を天に掲げ、雷雲を召喚する。
「防がれるか…戻れ、《エアレイド》!!」
落雷を浴びるとどうなるかわからない。
そう考えた黒咲は《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》を自分のそばまで下がらせる。
その前にデッドウェイトとなったポッドをパージし、クロウのそばに落下させたうえで。
「うおお!?リアリストかよ、あいつは!!」
なんとか避けたものの、モンスターの特性をこういう形で使う黒咲に舌を巻く。
降り注ぐ爆弾の雨は《ABF-驟雨のライキリ》がすべて切り裂いていた。
「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
クロウ
手札1(《BF-残夜のクリス》アクションカード1)
SPC2→3
ライフ4000
場 ABF-驟雨のライキリ(《メタル・コート》装備) レベル7 攻撃2600(チューナー)
メタル・コート(通常罠)
伏せカード2
黒咲
手札6→2
SPC2
ライフ4000
場 RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド(オーバーレイユニット1) ランク6 攻撃2000
伏せカード2
「《ライキリ》の刀は雷鳴を操る!距離があっても、雷雲で攻撃できるぜ!!俺のターン!」
クロウ
手札1→2
SPC3→5
黒咲
SPC2→4
「俺は《BF-残夜のクリス》を召喚!」
BF-残夜のクリス レベル4 攻撃1900
「そして、《驟雨のライキリ》の効果を発動!こいつは1ターンに1度、こいつ以外の俺のBFの数だけ相手フィールド上のカードを破壊する!BF-ライトニング・ソニック!!」
《ABF-驟雨のライキリ》が刀を天に掲げると、黒咲の頭上に雷雲が生まれる。
雷雲ができてから、落雷が発生するまでには若干のタイムラグがあるため、黒咲はアクションカードパネルを探す。
だが、このタイムラグの中で行ける場所にはなかった。
落雷が発生し、雷を受けた《RR-レヴォリューション・ファルコン-エアレイド》が爆散し、黄色い粒子と化す。
その粒子はそのまま霧散すると思われたが、再び集結し、その姿を《RR-レヴォリューション・ファルコン》へと変える。
RR-レヴォリューション・ファルコン ランク6 攻撃2000(オーバーレイユニット1)
「何!?なんでオーバーレイユニットを持った《レヴォリューション・ファルコン》がいんだよ!?まさか…!」
「そうだ。革命の炎は一度消えたとしても、再び燃え上がる。《エアレイド》は相手によって破壊されたとき、エクストラデッキから《レヴォリューション・ファルコン》を特殊召喚し、自らをオーバーレイユニットとすることができる!」
(クロウ選手が装備カードでエースを守ったのに対して、黒咲選手は相手の効果を利用して、新たなモンスターを呼び出したー!この一進一退の攻防を制するのはどちらかーー!!)
「やれー!黒咲ーー!!」
「もっと激しい攻防を見せてくれよ、クロウ!!」
互いのカードの応酬を見た観客たちが歓声を上げ、両者を応援する声にスタジアムが包まれていく。
シンジの時のような、憎しみのこもった声援はそこにはなかった。
「へ…やるじゃねえか、黒咲!《驟雨のライキリ》の力を利用してくれやがってよぉ!お前とは、別の形でデュエルがしたかったぜ」
面白いデュエリストとデュエルができることを感謝しながらも、その機会がフレンドシップカップで訪れてしまったことを悔やむ。
どちらが勝利したとしても、敗者が地下送りとなり、死ぬまで強制労働となる以上、2度とこの面白いデュエルをすることができなくなる。
「ならば、この1戦を全力で戦うぞ。お互いに悔いが残らんようにな!」
「そのつもりだぜ、黒咲!俺は手札からアクション魔法《ポッポちゃん参上!》を発動!デッキの上から3枚カードを確認し、その中にある通常魔法カード1枚を手札に加える。俺は《Sp-エンジェル・バトン》を手札に加え、残り2枚をデッキの一番上に置く!更に、手札から《Sp-エンジェル・バトン》を発動!スピードカウンターを4つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローし、手札1枚を墓地へ送る!」
クロウ
SPC5→1
手札から墓地へ送られたカード
・BF-隠れ蓑のスチーム
「そしてこいつは自分フィールド上のBF1体をリリースすることで、1度だけ墓地から特殊召喚できる。俺は《驟雨のライキリ》をリリースし、《BF-隠れ蓑のスチーム》を特殊召喚!」
《ABF-驟雨のライキリ》が煙の中にその姿をくらまし、その中から忍装束を身にまとった、デフォルメされた烏型モンスターが現れる。
BF-隠れ蓑のスチーム レベル3 攻撃800(チューナー)
「《残夜のクリス》と《隠れ蓑のスチーム》のレベルの合計は7。また、《驟雨のライキリ》をシンクロ召喚するつもりか!?」
「残念だが、それはできねえ。コモンズの俺たちはレアカードを複数枚手に入れられるほどの金はねえ。《驟雨のライキリ》は3カ月必死に働いてようやく手に入れられたカード」
「ならばどうするという!?レベル7の別のシンクロモンスターを召喚するのか!?」
「いや、遊矢の言葉を借りる用で悪いけどよぉ…お楽しみはこれからだぜ!俺は罠カード《レベル・リチューナー》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体のレベルを2つまで低下させる。俺は《残夜のクリス》のレベルを4から2に低下させる!」
BF-残夜のクリス レベル4→2 攻撃1900
「そして、俺はレベル2の《クリス》にレベル3の《スチーム》をチューニング!黒き烈風よ、絆を紡ぐ追い風となれ!シンクロ召喚!飛び立て、《ABF-五月雨のソハヤ》!」
再び雷鳴がチューニングリングに向けて降り注ぎ、そこから《ABF-驟雨のライキリ》とは違い、色彩が青が基調となっている、一部の体が機械化された、烏と人が融合したモンスターが刀を手にして現れる。
現れると上空が雷雲から雨雲へ変わり、コース上に雨が降り始める。
ABF-五月雨のソハヤ レベル5 攻撃1500(チューナー)
「雷の次は雨か…。だが!!」
「俺は《隠れ蓑のスチーム》と《五月雨のソハヤ》の効果を発動!《隠れ蓑のスチーム》はフィールドから離れたとき、《スチームトークン》1体を特殊召喚できる。更に《五月雨のソハヤ》はBFを素材にシンクロ召喚したとき、チューナーとなる!また、シンクロ召喚に成功したとき、墓地からABF1体を特殊召喚できる!再び雷光の斬撃を放て!《ABF-驟雨のライキリ》!!」
雨雲を突然、紫色の稲妻が切り裂く。
そして、その裂け目から《ABF-驟雨のライキリ》が水蒸気で作られた《BF-隠れ蓑のスチーム》の分身と共に舞い降りる。
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600
スチームトークン レベル1 守備100
「今度こそ破壊するぜ!《驟雨のライキリ》の効果を発動!1ターンに1度、このカード以外のBFの数まで、相手フィールド上のカードを破壊できる!BF-ライトニング・ソニック・セカンド!」
クロウが走るコースの1つ隣のコースを走り始めた黒咲に向け、《ABF-驟雨のライキリ》が接近する。
そして、雷鳴を宿した刀で今度こそ《RR-レヴォリューション・ファルコン》を切り裂こうとする。
だが、刀を振るう直前に黒咲はアクションカードパネルを通過した。
「俺はアクション魔法《ミラー・バリア》を発動!カード効果による破壊を無効にする!」
鏡を模したバリアに刀が弾かれ、バリアが消えると同時に《RR-レヴォリューション・ファルコン》が口からビームを放つ。
ビームをかわしつつ、《ABF-驟雨のライキリ》はクロウの元へ戻った。
黒咲
SPC4→5
「まだだ!!俺はレベル7の《驟雨のライキリ》にレベル5の《五月雨のソハヤ》をチューニング!」
「更にここでシンクロだと!?」
「そうだ!まだまだ止まらねーぞ!!漆黒の翼よ!雷の力宿して鮮烈にとどろけ!シンクロ召喚!切り裂け!《ABF-神立のオニマル》!」
2体の刀を持ったモンスターが雨雲の中へ飛び込んでいく。
雨雲が稲妻を宿し、黒咲達が触れる雨水に電気が宿る。
やがて雲が灰色から黒へと変わると、その雲の中から黒い稲妻を模した刃を持つ刀を握る、刃のような6本の羽根のついた黒い鎧を装備した武者が飛び降りてくる。
コース上に着地すると同時に刀を横に一閃した。
ABF-神立のオニマル レベル12 攻撃3000(チューナー)
(クロウ選手!ここでレベル12の特大シンクロモンスターを召喚!1度や2度阻まれたとしても、あきらめない闘志を見たーーー!!)
「《神立のオニマル》はカード効果では破壊されない!そして、こいつがシンクロモンスターのみを素材にシンクロ召喚に成功した場合、1度だけダメージステップ時のみ、攻撃力が3000アップする!」
「無駄だ!《レヴォリューション・ファルコン》は特殊召喚されたモンスターと戦闘を行うとき、そのモンスターの攻撃力・守備力を0にする。どれほど攻撃力や守備力が高くとも、それは変わらん!」
「だったらこいつだ!俺は罠カード《戦線復帰》を発動!俺の墓地のモンスター1体を守備表示で特殊召喚する!《驟雨のライキリ》を特殊召喚!」
《ABF-神立のオニマル》が生み出した漆黒の雲の中から再び《ABF-驟雨のライキリ》が現れる。
もう3度目の登場であるためか、若干息切れをしているかのように見える。
ABF-驟雨のライキリ レベル7 守備2000
「三度目の正直だ!《驟雨のライキリ》の効果発動!BF-ライトニング・ソニック・トライ!!」
「く…!」
3度目の稲妻の刃が黒咲のフィールドを襲う。
このターン、もうアクションカードを手にすることができない黒咲はほかに回避の手立てがないのか、《RR-レヴォリューション・ファルコン》が破壊されるのを黙ってみていることしかできなかった。
「やっと…やっと《レヴォリューション・ファルコン》を破壊できたぜ…」
何度もよみがえった強敵の撃破に安心したのか、一気に疲れを見せるクロウ。
だが、デュエルが終わったわけではないため、すぐに気持ちを切り替えた。
「バトルだ!《神立のオニマル》でダイレクトアタック!同時に効果を発動し、攻撃力は3000アップだ!!」
雲から降ってきた黒い稲妻を受け止めた刀が青く光りはじめる。
そして、無防備となった黒咲に向けて刀を振るう。
この一撃で、主のワンショットキルを達成させるため。
「俺は罠カード《ハーフ・アンブレイク》を発動!フィールド上のモンスター1体はこのターン、戦闘では破壊されず、戦闘で発生する俺へのダメージが半分になる!」
「何!?」
「ぐおおおお!!」
《ハーフ・アンブレイク》から発生する泡により、刀に宿った稲妻が吸収され、力が弱まったものの、黒咲が受けた一撃はすさまじく、大きくスピンし始める。
「まだ…まだだぁ!!」
このままスピンを続ければ、壁に激突するところだったが、どうにか立て直し、デュエルを続行させることに成功する。
黒咲
ライフ4000→1000
SPC5→1
(黒咲選手!どうにか敗北は免れましたが、ライフはわずかに1000!更にスピードカウンターが1つとなってしまったーーー!ここからどう巻き返すのでしょうかーー!?それとも、このままクロウ選手が勝ってしまうのかー!?)
「首の皮一枚つなげるなんて…さすがだぜ、黒咲!俺はこれでターンエンド!
クロウ
手札2→1
SPC1
ライフ4000
場 ABF-神立のオニキリ レベル12 攻撃3000(チューナー)
ABF-驟雨のライキリ レベル7 守備2000
スチームトークン レベル1 守備100
伏せカード1
黒咲
手札2
SPC1
ライフ1000
場 伏せカード1
「痛た…っ!」
「ごめん、しみた??」
「ちょっとだけ…」
アジトで、柚子に傷の手当てをしてもらっている素良。
手加減なしで翔太に殴られ、殴られた頬は赤く腫れている。
「でも、よかった…。また素良に会えて…」
「といって、柚子も僕を殴りたかったんじゃないの?みんなを騙してたわけだしさ」
「そうね。最新のハリセンで思いっきり、あなたをたたきたかったわ」
「うわ、即答…」
その時に見せた柚子の笑顔が、なぜか怖く感じられた。
これは翔太に殴られてチャラにしてもらって正解だったかもしれない。
そう思っていたら、アジトへフランク達がやってくる。
「あれ…?あなたたちは確か…」
「あのさ、いきなりで悪いんだけど、テレビを貸してくれない?」
「私たち、クロウの応援がしたくて、もうデュエルが始まってるの!」
「クロウの…」
クロウ、という名前を聞いて柚子はようやく思い出す。
彼らはクロウの下で世話になっている孤児だということを。
また、クロウは前にシェイドが管理する工場で起こったトラブルを解決してくれたことがある。
そんな彼に世話になっている子供たちの願いを無下にできない。
「わかったわ、こっちへ来て」
「わあ…ありがとう!!」
柚子に案内される形で、3人はアジトへ入っていく。
素良はそんな彼らの後姿をじっと見ていた。
「…一緒に見たいのなら、ついていけばどうだ?」
見張りをしているジョンソンがその場を動かない素良に声をかける。
彼のそばには修理されたラジオが置かれていて、フレンドシップカップのデュエルはそれを使って観戦している。
「前の僕なら、ついていこうって思っちゃうけど、今はそうもいかないよ」
寂しげな笑みを浮かべ、棒付きキャンディーを口にする。
「そういえば、翔太は今どうしてる?」
「あいつはカード化された仲間の解放をした後で休んでいる。あれはだいぶ体力を使うみたいだからな」
「ふーん…」
「このチャンネルで…よし!!」
柚子がリモコンで操作したテレビにクロウと黒咲がデュエルをする姿が映し出される。
状況はクロウの圧倒的有利で、あと一押しで黒咲を倒せるところまで来ている。
「いっけーーー!クロウ兄ちゃん!!」
「このまま押し切れー!」
フレンドシップカップにおける敗者の末路を知らない3人は無邪気にクロウを応援する。
「黒咲…」
そんな3人を見た柚子は複雑な表情を浮かべながら、黒咲を心配する。
デュエルが始まった以上、もうどうしようもないことはわかっているが、それでも黒咲とクロウの無事を願うしかなかった。
「俺の…ターン!」
黒咲
手札2→3
SPC1→3
クロウ
SPC1→3
「俺は手札から《RR-トリビュート・レイニアス》を召喚!」
RR-トリビュート・レイニアス レベル4 攻撃1800
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時、デッキからRRカード1枚を墓地へ送ることができる。俺はデッキから《RR-レディネス》を墓地へ送る。そして、このカードは俺のフィールド上のRRが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《RR-ファジー・レイニアス》を特殊召喚!」
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
「俺はレベル4の《トリビュート・レイニアス》と《ファジー・レイニアス》でオーバーレイ!!」
2体のRRが螺旋を描きながら、上空へ向かって飛んでいく。
雲を突き破り、その先に生まれたオーバーレイネットワークに飛び込む。
「灼熱のハヤブサよ、渇望の翼を燃やし我が魂を照らせ!!エクシーズ召喚!!《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》!!!」
オーバーレイネットワークが爆発し、その余波で雲が吹き飛んでいく。
そして、上空にはRRのマークが描かれた鉄の胸当てを装備した、緑と赤が基調のハヤブサが、刃のような翼に炎を宿して飛んでいる。
RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃1000
「攻撃力がたったの1000!?そんなモンスターじゃあ、《オニキリ》も《ライキリ》も…」
「いや、《ブレード・バーナー・ファルコン》は背水の陣の時にこそ真価を発揮する。絶体絶命の状況を燃やし尽くす!《ブレード・バーナー・ファルコン》の効果発動!このカードのエクシーズ召喚に成功したとき、相手のライフが俺よりも3000以上上回っている場合、このカードの攻撃力は3000アップする」
「何ぃーーー!?!?」
「燃え上がれ、《ブレード・バーナー・ファルコン》!!」
全身に炎を宿した《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》が空に向けて咆哮する。
RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃1000→4000
「攻撃力4000!?」
(ピンチの主を見て、底力を見せるのか、《ブレード・バーナー・ファルコン》が一気にパワーアップー!!!ここから黒咲選手の逆襲が始まります!!)
「いけーー!黒咲ーー!!」
「このターンで決めてしまえーー!!」
いきなりの圧倒的な攻撃力を誇る《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》の登場にスタジアムが盛り上がる。
今、黒咲の手に残っているカード、そして次のアクションカードで勝敗が左右する。
クロウのいるコースに入った黒咲は限界まで加速していき、クロウを追い抜く。
「バトルだ!《ブレード・バーナー・ファルコン》で《神立のオニキリ》を攻撃!火炎の一撃、バーニング・ストライク!!」
自らの体に宿る炎をさらに燃え上がらせた《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》が上空で一回転してから、《ABF-神立のオニキリ》に向けて突撃する。
「ぐおおおおお!!」
敵モンスターの攻撃に目をくれることなく、クロウはリミッターを解除し、加速していく。
一気に加速し、更にピーキーな性能となったじゃじゃ馬、というよりもじゃじゃ烏の暴れっぷりに思わず苦笑してしまう。
「黒咲!ここまで俺を燃えさせてくれたのは…お前が初めてだぜ!!何が何でも…お前に勝ちたくなっちまう!!」
「ふん…(すまない、瑠璃。お前を取り戻すと約束したが…今だけはわがままを許してくれ)」
クロウに応えるように、黒咲もリミッターを解除する。
スピードカウンターがお互いに3つしかないにもかかわらず、200キロを超えるスピードでのデッドヒートを演じる。
その間に、《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》の突撃が直撃し、《ABF-神立のオニキリ》が灰となる。
クロウ
ライフ4000→3000
SPC3→2
「更に、《ブレード・バーナー・ファルコン》の効果発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、オーバーレイユニットを任意の数だけ取り除くことで、取り除いた数だけ相手のモンスターを破壊する!俺はすべて取り除き、《スチーム・トークン》と《驟雨のライキリ》を破壊する!」
灰となった《ABF-神立のオニキリ》に向け、急旋回した《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》が2つのオーバーレイユニットを発射する。
オーバーレイユニットと灰がぶつかり合ったことで大爆発が発生し、それに巻き込まれた2体のモンスターが消滅する。
(ここでクロウ選手のモンスターが全滅!これで黒咲選手の攻撃は終わるのでしょうか!?)
「まだだ!《ファジー・レイニアス》は墓地へ送られたとき、デッキから《ファジー・レイニアス》を手札に加える。そして、俺は罠カード《かっとビング・チャレンジ》を発動!俺のターンに攻撃を行った俺のエクシーズモンスター1体はこのターン、もう1度だけ攻撃できる!更に、そのモンスターが攻撃するとき、相手は魔法・罠・モンスター効果を発動できない!」
《かっとビング・チャレンジ》発動と同時に、《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》が再び突撃するためにその身に炎を宿す。
「うおおおおおお!!!」
曲線を描く壁を利用し、強引に加速させたクロウは黒咲を追い抜き、アクションカードパネルを通過する。
「俺はアクション魔法《フルカウル》を発動!このターン、1度だけ発生する戦闘または効果ダメージを半分にする!」
黒咲が攻撃宣言する一歩手前で、アクションカードの発動に成功する。
この効果でなら、《かっとビング・チャレンジ》の妨害を受けることはない。
「構うものか!いけ、《ブレード・バーナー・ファルコン》!!バーニング・ストライク・セカンド!!」
《フルカウル》の発動により、逆風が発生するものの、炎のハヤブサはそれを恐れず、ただ一直線にクロウに突撃した。
「ぐおおおおお!!!」
クロウ
ライフ3000→1000
SPC2→3→1
フルカウル(漫画オリカ・調整)
アクション魔法カード
(1):このカードを発動したターン、1度だけ発生する戦闘または効果ダメージを半分にする。
(なんとか敗北は免れましたが、黒咲選手とクロウ選手のライフは並びました!しかし、クロウ選手のモンスターは全滅、更にスピードカウンターはたったの1つ!どうする!?クロウ・ホーガン!!)
「俺はこれで、ターンエンド!」
クロウ
手札1
SPC1
ライフ1000
場 伏せカード1
黒咲
手札3→2(うち1枚《RR-ファジー・レイニアス》)
SPC3
ライフ1000
場 RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃4000
「負けるなー、クロウ兄ちゃん!!」
「まだライフは残ってるの!」
「まだ、まだチャンスはある!!」
テレビの前で子供たちがクロウの勝利を信じ、必死な声援を送る。
「黒咲…笑ってる?」
3人と一緒にテレビを見ていた柚子は黒咲が笑みを浮かべているように見えた。
遠巻きになったり、プレイヤーの目の前に急にきたりと大忙しに映像が変わるため、確証はないのだが。
「クロウ!これで貴様のモンスターは全滅した!これがお前のラストターンだ!」
「へっ…!この程度の逆境には慣れっこだ!俺とBFの底力を見せてやる!俺のターン!!」
クロウ
手札1→2
SPC2→3
黒咲
SPC3→5
「俺は手札から《BF-蒼炎のシュラ》を召喚!」
BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800
「そして、こいつは自分フィールド上にBFが存在するとき、手札から特殊召喚できる!《BF-疾風のゲイル》を特殊召喚!」
BF-疾風のゲイル レベル3 攻撃1300(チューナー)
「《疾風のゲイル》の効果発動!1ターンに1度、相手フィールド上のモンスター1体の攻撃力・守備力を半分にする!」
召喚されたばかりの《BF-疾風のゲイル》が突風を起こし、それに飲み込まれた《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》の体に宿る炎が吹き飛ばされていく。
RR-ブレード・バーナー・ファルコン ランク4 攻撃4000→2000
「ちぃ…!」
「俺はレベル4の《シュラ》にレベル3の《ゲイル》をチューニング!黒き翼をもつ鳥の指揮者よ、その強き意思と速き翼を束ね、フィールドに嵐を巻き起こせ!シンクロ召喚!吹き荒さべ、《BFT-漆黒のホーク・ジョー》!!」
右手に鳥の足を模したガントレッドを装着した、金色の鎧と赤い羽根の衣を着ている黒い翼の戦士がクロウのもとに現れる。
BFT-漆黒のホーク・ジョー レベル7 攻撃2600
「《ホーク・ジョー》の効果発動!1ターンに1度、墓地に存在するレベル5以上の鳥獣族モンスター1体を特殊召喚できる!さあ来い、《ABF-驟雨のライキリ》!!」
《BFT-漆黒のホーク・ジョー》が口笛を吹くと、雨雲が発生して、雨と共に《ABF-驟雨のライキリ》が舞い降りる。
だが、何度も墓地へ行ったり特殊召喚されたりと忙しかったせいで、登場するとすぐにコース上に降りて、体力を回復させる。
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600
(クロウ選手、再びエースを呼び戻したーー!!けど、すっかりバテバテ!クロウ、さっさとデュエルを終わらせて休ませたほうが…)
「んなこと言われなくても分かってる!最後の一仕事、頼むぜ《ライキリ》!!《驟雨のライキリ》の効果発動!BF-ライトニング・ソニック!!」
ほんの少しだけだが、体力が回復した《ABF-驟雨のライキリ》が跳躍し、《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》の頭上に着地する。
振り下ろそうと《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》は体を揺らすが、《ABF-驟雨のライキリ》はそれに耐え、刀を突き立てる。
動力部を刀を貫かれた炎のハヤブサは《ABF-驟雨のライキリ》が離れると、大爆発した。
「く…!」
「バトルだ!《驟雨のライキリ》でダイレクトアタック!!」
《ABF-驟雨のライキリ》が無防備の黒咲に向けて突撃するが、急に発生した突風で吹き飛ばされる。
「何!?」
「俺は墓地に存在する罠カード《RR-レディネス》を発動した!その効果で、このターン俺が受けるダメージは0となる!」
「《トリビュート・レイニアス》の効果で墓地へ送っていたカード…やってくれるぜ!!俺はこれでターンエンド!」
クロウ
手札2→0
SPC3
ライフ1000
場 BFT-漆黒のホーク・ジョー レベル7 攻撃2600
ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600
伏せカード1
黒咲
手札2(うち1枚《RR-ファジー・レイニアス》)
SPC5
ライフ1000
場 なし
「俺の…ターン!!」
黒咲
手札2→3
SPC5→7
クロウ
SOC3→5
「俺は《スピード・ワールド・A》の効果を発動!スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!そして、手札から《RR-バニシング・レイニアス》を召喚!」
RR-バニシング・レイニアス レベル4 攻撃1300
「このカードの召喚・特殊召喚に成功したターンのメインフェイズ時に1度、手札のレベル4以下のRR1体を特殊召喚できる!俺は手札から《RR-インペイル・レイニアス》を特殊召喚!」
RR-インペイル・レイニアス レベル4 攻撃1700
「更に、このカードは俺のフィールド上にほかのRRが存在するとき、手札から特殊召喚できる。《RR-ファジー・レイニアス》を特殊召喚!」
RR-ファジー・レイニアス レベル4 攻撃500
(黒咲選手、ここで怒涛の召喚ラッシュ!フィールドが空っぽになったとしても、決してあきらめない!!)
「俺はレベル4の《バニシング・レイニアス》、《インペイル・レイニアス》、《ファジー・レイニアス》でオーバーレイ!雌伏のハヤブサよ。逆境の中で研ぎ澄まされし爪を挙げ、反逆の翼翻せ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《RR-ライズ・ファルコン》!」
絶体絶命の状況下、それを何度も覆してきたエースが再び覆すべくフィールドへ飛んでくる。
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100
「《ライズ・ファルコン》の効果!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールド上に特殊召喚されているモンスター1体の攻撃力を得る!」
《RR-ライズ・ファルコン》のオーバーレイユニットが砕け、その体が《RR-ブレード・バーナー・ファルコン》の時のように炎に包まれていく。
RR-ライズ・ファルコン ランク4 攻撃100→2700
取り除いたオーバーレイユニット
・RR-ファジー・レイニアス
「《ファジー・レイニアス》の効果発動!デッキから《ファジー・レイニアス》を手札に加える。そして、俺はペンデュラムゾーンにスケール8の《RR-ランチャー・ストリクス》をセッティング!」
黒咲の右側にRRのマークがついたミサイルポッドを後ろ側に装着した、青いフクロウ型のモンスターが光の柱を生み出す。
「バトルだ!俺は《RR-ライズ・ファルコン》で《漆黒のホーク・ジョー》と《驟雨のライキリ》を攻撃!ブレイブクロー・レボシューション!!」
炎を宿した《RR-ライズ・ファルコン》がクロウのフィールドめがけて突撃する。
2体のBFをすれ違いざまに鉤爪で切り裂き、一撃で撃破していく。
「更に、《ランチャー・ストリクス》のペンデュラム効果発動!俺のフィールド上に存在する、エクシーズ召喚されたRRが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、1度だけ続けて攻撃することができる!これで俺の勝ちだ、クロウ!!」
《RR-ランチャー・ストリクス》に装備されているミサイルがすべて発射され、クロウを襲い掛かる。
(この攻撃が通れば、黒咲選手の勝利だーーー!!)
「クロウ兄ちゃんーーーー!!」
テレビの前で敗北寸前のクロウに向けて3人が力の限り叫ぶ。
「まだ終われるかよーーーー!!罠カード《シャドー・インパルス》発動!」
「何!?」
「俺のフィールド上に存在するシンクロモンスターが戦闘・効果で破壊されたとき、エクストラデッキからそのモンスターと同じレベルと種族で名前の異なるシンクロモンスター1体を特殊召喚する!俺が特殊召喚するのは、《ABF-涙雨のチドリ》!!」
発動と同時に、コース上に土砂降りの雨が降り始める。
それを降らせる分厚い雨雲の中から、見た目は《ABF-驟雨のライキリ》と同じであるものの、色彩が青を中心としているBFが下りてくる。
大雨の濡れた《RR-ライズ・ファルコン》の炎は若干勢いを弱めた。
ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃2600
「このカードの攻撃力は…俺の墓地のBFの数×300アップする。俺の墓地に存在するBFは11体!よって、《涙雨のチドリ》の攻撃力は3300アップする!」
《ABF-涙雨のチドリ》がコースに降りると、その場で剣舞を始める。
剣舞をする彼の周りに11体のBFの魂が集まり、彼に力を与えていく。
ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃2600→5900
RR-ランチャー・ストリクス
レベル1 攻撃100 守備200 闇属性 鳥獣族
【Pスケール:青8/赤8】
「RR-ランチャー・ストリクス」のP効果ははこのカードがPゾーンに存在する限り、1度しか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在するX召喚された「RR」モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したときに発動できる。そのモンスターは続けてもう1度攻撃することができる。
【モンスター効果】
「RR-ランチャー・ストリクス」の効果は1ターンに1度しか発動できない。
(1):EXデッキに表向きで存在するこのカードをデッキの一番下へ置き、自分フィールド上に存在する「RR」モンスター1体を対象に発動できる。自分フィールド上の「RR」モンスターのレベルはそのモンスターと同じになる。この効果を発動したターン、自分は「RR」以外のモンスターを特殊召喚できない。
クロウの最後の逆転の一手、《シャドー・インパルス》によって現れた《ABF-涙雨のチドリ》。
この瞬間をずっと、1ターン目から待ち続けてきたのだろう。
黒咲にはもはや《ABF-涙雨のチドリ》を倒す手がない。
だが、彼の表情はデニスの時とは対照的で、満たされていた。
「俺は…《ライズ・ファルコン》の攻撃を放棄。これでターンエンドだ」
クロウ
手札0
SPC5
ライフ1000→800
場 ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃5900
黒咲
手札4→1(《RR-ファジー・レイニアス》)
SPC7→0
ライフ1000
場 RR-ライズ・ファルコン(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃2700
「俺の…ターン!!」
クロウ
手札0→1
SPC5→7
黒咲
SPC0→2
「行くぜ…黒咲ぃ!!」
「来い、クロウ!!」
「《涙雨のチドリ》で、《ライズ・ファルコン》を攻撃!!雷鳴の一撃、ライトニング・スラッシュ!!」
雨雲の中から落ちてくる青い落雷を受け止めた《ABF-涙雨のチドリ》が《RR-ライズ・ファルコン》に向けて突撃する。
「迎え撃て、《ライズ・ファルコン》!!」
黒咲の命令を受け、《RR-ライズ・ファルコン》が《ABF-涙雨のチドリ》に向けて突撃する。
互いによけようとせず、ただ一直線にぶつかり、そしてすれ違う。
コースに降りた《ABF-涙雨のチドリ》は刀の切っ先を空に向け、持ち手を額に当てる。
そして、《RR-ライズ・ファルコン》の炎は消え、地表へと転落した。
《ABF-涙雨のチドリ》の全身が雨にぬれ、その顔はまるで涙を流しているかのように見えた。
黒咲
ライフ1000→0
「やったーーー!!クロウ兄ちゃんが勝ったー!!」
クロウの勝利が決まり、3人はまるで我が事のようにそれを喜ぶ。
「黒咲…」
一方、柚子は敗北した黒咲の身を案じていた。
(決まったーーーー!!闇属性・鳥獣族使い同士の激しいぶつかり合い!手に汗握るデッドヒートを勝利したのは…クロウ・ホーガンだーーーー!!)
勝者が決まり、雨が止むと同時に2人がスタジアムに戻ってくる。
「はあ、はあ、はあ…黒咲…」
デュエルが終わり、気が抜けたのか、疲れでフラフラになりながらクロウはブラックバードを降り、ヘルメットを取る。
「クロウ…」
黒咲も同じなのか、マシンブルーファルコンを降りた彼の足はフラフラで、お互いにその場にあおむけで倒れてしまう。
「久しぶりだ…負けたのに、こんなに気持ちいいとは…」
アカデミアによってエクシーズ次元が蹂躙された日から、黒咲達に敗北が許されなくなった。
敗北=カード化、もしくは死と同義であったためだ。
シンクロ次元でも敗北は許されない点では変わりないが、なぜかそんなことが気にならないくらい、今の黒咲は満たされていた。
「黒咲…俺はこれからも戦い続ける。俺なりのやり方で、ガキどもの幸せのために…」
「俺もこのままで終わるつもりはない。地下に落とされようが、必ず這い上がって見せる」
倒れたまま、2人は拳をぶつけ合う。
「負けるなよ、クロウ」
「お前も、負けんじゃねえぞ、黒咲」