遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

84 / 145
第78話 侵略の足音

「…!はぁ、はぁ…!!はぁ…」

ユーゴのデュエルが終わるとほぼ同時に、遊矢の目が元に戻る。

息を整えつつ、ゆっくりと立ち上がる。

なぜか、あの光景を見るまでの間に感じていたひどい疲労感は嘘みたいに消えていた。

「オッドアイズ…さっきの光景は?」

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》のカードを手に取り、彼に答えを求める。

だが、こちらから話すそうが話すまいが、勝手に何らかの反応を返すはずのオッドアイズが返事をしない。

「知ってるんだろう!?あの光の中にいるデュエリストのこと!お前が見せたんだから!!ダーク・リベリオン!お前だって!!」

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》のカードも手に取るが、2人からは一向に返事が帰ってこない。

「答えろよ!あのデュエリストとお前たちに何か関係があるんだろう!?英知のカードについても!」

(…。今の私たちには、それにこたえることができません)

「何!?答えられないって…」

(そのような些末なことよりも、ほかに気にするべきことがあるだろう)

「些末な事…って!?」

オッドアイズの言い方に腹を立てる遊矢だが、急に眠気に襲われる。

「一体…何を…?」

(次の試合まで眠っていろ、小僧)

オッドアイズに言い返すことができないまま、遊矢は意識を失っていった。

 

「よーし、ここのバリケードの準備はOKだ!」

「次は警報装置のテストだ!」

「ちょっと待ってくれよ、配線の整備が終わってねーんだぞ!」

「10分前に終わらせたんじゃなかったのかよ!?」

シェイドのメンバー達の声が響く中、アジトではアカデミア、及びアカデミアと共に動き出すであろうチームオーファンに備えて、防衛の準備が進められていた。

廃材を使ったバリケードづくりやセキュリティシステムの整備、警備の割り当てや訓練など、やることは様々で、翔太たちもそれの手伝いに追われている。

「そういえば、アカデミアがいつ頃進行してくるんか、素良は知っとるんか?」

発電機の組み立てをしている素良にバリケード用に廃材を運んでいる里香が尋ねる。

「急いだほうがいい。デニスが報告して、部隊の編成をしたうえでの転送だから…遅くでも明日の早朝、早くて今夜としか答えられない」

「今夜やって!?なんや…働きもんばっかやのぉ、アカデミアは…」

「素良、頼まれていた部品だ。これくらいしかないが…」

「充分だよ。これで、発電機の組み立てができる」

Dホイールで廃材を持ってきた鬼柳から渡された部品を手にした素良は数えた後で鬼柳に礼を言い、発電機の組み立てを一気に完了するところまで持ち込んでいく。

あとはテストをして、電気がどれだけできるかを確認するだけだ。

発電量によって、セキュリティシステムの動きが左右される。

「…あ、ちょっとキャンディ舐めたいから、テストはお願いできる?」

「キャンディだと…?ここで食べればいいだろう?」

「こんな埃っぽいところで食べてもおいしくないよ。じゃ!」

そういって、キャンディを手にした素良は宿舎へと走っていく。

勝手なことを、と思いながらも、今は1分1秒たりとも時間が惜しいため、やむなく鬼柳が発電機のテストを始めることとなった。

 

「ふうう…はぁ、はぁ…」

宿舎の誰もいない部屋に入った素良は胸を抑え、発作に耐えながら懐から注射器を出す。

首筋にそれを打つと、徐々に発作が収まっていく。

「まったく…ドクターも…もっと長く効くナノマシンを用意してくれたら…よかったのに…」

中身が空になった注射器を懐に入れ、キャンディーを舐め始める。

幸い、誰かが近づいてくる気配はなく、ここでナノマシンを注射したことはだれにも知られていない。

素良にとって、問題は自分のことよりもフレンドシップカップに出場しているメンバーのことだった。

セレナが敗北したという情報は既につかんでおり、気になるのはそのあとの彼女の消息だ。

普通であれば、地下の終了所へ送られるのだが、あのロジェが彼女に関してはそんなことをするはずがない。

確実に自分の見える範囲で捕獲して置き、アカデミアとの交渉材料として使用するはずだ。

なお、彼女を含めたランサーズの救出については素良がジョンソンと鬼柳とチームを組んで行うことが決まっている。

「きっと、これが最後の1つになるかも…」

そうであれば、時間が許す限り味わっておこうと思い、素良はいつも以上にゆっくりとキャンディを舐め続けた。

 

「おい…約束通り来てやったぞ。こうして無事に帰ってきたことくらい祝ってくれてもいいだろ?」

シェイドが作業をしている中、翔太は1人でチームブレイドのアジトに来ていた。

手元にはエリク直筆の手紙が握られており、内容は今後の打ち合わせのため、指定された時刻にアジトへ来てほしいというものだった。

翔太は約束通りの時間、そして約束通りの場所に来たものの、中にはだれもおらず、警備しているであろうブレイドのメンバーの姿も見えない。

「…どういうつもりだ?」

「いやぁ、お待ちしてましたよ。翔太さん。本当にめでたい話だ、チームシェイドのリーダー無事の帰還。ここまでの軌跡を脚本にして映画にしたら、どれだけ稼げるかな…?」

「お前は…」

エレベーターが開き、小川がデュエルディスクをつけた状態で出てくる。

警戒する翔太を見て、にやけ顔をして見せる。

「小川純。いやぁ、あんまりひねった名前じゃないから、もう忘れたか」

「お前らのボスと会う約束をした。通してもらう」

「それは…できない相談だな。こっちも君がフレンドシップカップを楽しんている間、いろいろあってね」

エレベーターから降りると同時に、小川はデュエルディスクを操作する。

(フィールド魔法《クロス・オーバー》発動)

デュエルディスクから音声が流れると同時に周囲に浮いた透明な足場が出現する。

「お前…」

「デュエルの前に頼みたいことがあるのさ。…永瀬伊織って女の子、こっちに渡してくれないか?」

「…はぁ?」

なぜここで伊織の名前が出てくるのか、翔太には理解できなかった。

素良の話で、彼女の出生が関係しているのは融合次元のアカデミア。

シンクロ次元のギャングの一勢力に過ぎないチームブレイドとは何も関係がないはず。

「重要機密だから、理由は言えない。素直に渡せば…」

「ふざけるんじゃねえよ。なんで秘密主義の野郎に仲間を渡さないといけねえんだ?」

「さぁ…?ボスにあまり信用されてねえってことじゃないの?おたくが」

「お前…!!」

小川の挑発に乗った翔太はデュエルディスクを展開する。

両者がデュエルディスクを展開したということは、デュエルをすると言う意味になる。

これこそ、彼が望んでいることだ。

「この前はボスにお預け食らってしまったが…これで最後までやりあえる。俺さ…あんたのひねくれてるけどわかりやすいところ、嫌いじゃないのさ」

「下らねえことしゃべってねーで始めるぞ。俺にはあまり時間がない」

「さて…ゲームの始まりだ!」

「「デュエル!!」」

 

小川

手札5

ライフ4000

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻。俺は手札から《TGラッシュ・ライノ》を召喚。カードを1枚伏せて、ターンエンド」

 

小川

手札5→3

ライフ4000

場 TGラッシュ・ライノ レベル4 攻撃1600

  伏せカード1

 

翔太

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング!来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!来い、《魔装獣ユニコーン》!《魔装銃士マゴイチ》!《魔装騎士ペイルライダー》!」

 

魔装獣ユニコーン レベル4 攻撃1600

魔装銃士マゴイチ レベル4 攻撃1600

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

「《ユニコーン》の効果発動。このカードは1ターンに1度、装備カードとなって魔装騎士に装備することができる。このカードを装備したモンスターの攻撃力は800ポイントアップする」

初めてのデュエルでもやった、シンプルながら強力な2体の連携。

これで、《魔装騎士ペイルライダー》で《TGラッシュ・ライノ》を戦闘破壊し、そしてそのあとすぐに《魔装銃士マゴイチ》の直接攻撃を決めれば、1ターンキル確定だ。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→3300

 

「バトルだ。《ペイルライダー》で《ラッシュ・ライノ》を攻撃!クアトロ・デスブレイク!」

《魔装獣ユニコーン》に乗った《魔装騎士ペイルライダー》が愛馬を走らせながら右手の銃を連射する。

銃から放たれるビームを次々と浴びた《TGラッシュ・ライノ》は消滅し、攻撃の余波が小川を襲う。

「う…ぐううう!!」

 

小川

ライフ4000→2300

 

「まだだ!《ユニコーン》を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送ったとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える!」

《魔装騎士ペイルライダー》の銃がミサイルランチャーに変化し、小川に向けて一斉射する。

ミサイルの爆発を何度も間近で受けながらも、小川は表情を崩さず、吹き飛ばされることもないまま攻撃を受けきる。

 

小川

ライフ2300→700

 

「更に、《タダカツ》のペンデュラム効果発動!俺のペンデュラムモンスターが戦闘で相手モンスターを攻撃したとき、続けてもう1度だけ攻撃できる!さっさとどけ!!」

ミサイルランチャーを投げ捨て、腰のビームサーベルを引き抜いた《魔装騎士ペイルライダー》が小川に向けて突撃する。

「俺は手札の《速攻のかかし》の効果発動!こいつを手札から墓地に捨てることで、その攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。更に俺は罠カード《ショック・ドロー》を発動。このターン、俺が受けたダメージ1000ポイントごとに1枚、デッキからカードをドローする。俺が受けたダメージは3300。よって、3枚ドローだ」

「ちっ…だが、これでお前のライフは残り700だ。次のターンで勝てばいい。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

「ここで俺は《ラッシュ・ライノ》の効果を発動。フィールド上に存在するこいつが破壊され墓地へ送られたターン終了時、デッキから《ラッシュ・ライノ》以外のTG1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《TGストライカー》を手札に加える」

 

小川

手札3→6(うち1枚《TGストライカー》)

ライフ700

場 なし

 

翔太

手札6→0

ライフ4000

場 魔装騎士ペイルライダー(《魔装獣ユニコーン》装備) レベル7 攻撃3300

  魔装銃士マゴイチ レベル4 攻撃1600

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  魔装剣士ムネシゲ(赤) Pスケール9

  伏せカード1

 

「ハハハ、容赦のない攻撃だ。だが…これでOKだ!!俺のターン!」

 

小川

手札6→7

 

「相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、このカードは手札から特殊召喚できる。《TGストライカー》を特殊召喚!」

 

TGストライカー レベル2 攻撃800(チューナー)

 

「更にこいつはレベル4以下のモンスターが特殊召喚されたとき、手札から特殊召喚できる。《TGワーウルフ》を特殊召喚!」

 

TGワーウルフ レベル3 攻撃1200

 

「レベル3の《ワーウルフ》にレベル2の《ストライカー》をチューニング。古今東西のデータを管理する頭脳が俺の手札を潤す!シンクロ召喚!レベル5!《TGハイパー・ライブラリアン》!」

 

TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃2400

 

「まだだ!俺は手札から《TGミラージュ・ワイバーン》を召喚!」

 

TGミラージュ・ワイバーン レベル3 攻撃1400

 

「レベル5の《ハイパー・ライブラリアン》にレベル3の《ミラージュ・ワイバーン》をチューニング!未来に住まう機械仕掛けの騎士よ、時間を越えて戦場へ走れ!シンクロ召喚!レベル8!《NTGライジング・ベルセルク》!」

「ちっ…1ターン目からそのモンスターか!?」

初めてのデュエルの時にも召喚された、銀髪のサイボーグ戦士の登場に翔太は舌打ちする。

このモンスターが現れた以上、翔太はこれ以上小川にシンクロモンスターを召喚させるわけにはいかなくなった。

 

NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃2200

 

「こいつは俺のフィールド上に存在するTGシンクロモンスターの攻撃力を600アップさせる。おまけに《ミラージュ・ワイバーン》は自らをシンクロ素材として墓地へ送ったとき、デッキからカードを1枚ドローする」

 

NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃2200→2800

 

「だが、攻撃力2800じゃあ、俺の《ペイルライダー》は倒せない!そして《ムネシゲ》は1ターンに1度、ペンデュラムモンスターを破壊から守ることができる」

「だろうな…。だが、こうすればどうだろうな?俺のフィールド上にTGシンクロモンスターが存在するとき、このカードは1度だけ手札・墓地から特殊召喚できる。《TGシンセベーサー》を特殊召喚!」

頭部の上半分を覆ったゴーグルと緑色の回路でできたスーツを着た男がベースを弾きながら現れる。

 

TGシンセベーサー レベル2 攻撃1000(チューナー)

 

「こいつがフィールド上に存在する限り、TGシンクロモンスターの攻撃力は1000アップする。おまけにTGモンスターがフィールド上に存在する限り、相手はこいつを攻撃対象とすることができない!」

《TGシンセベーサー》の奏でる音に反応したのか、《NTGライジング・ベルセルク》の義眼が赤く光る。

 

NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃2800→3800

 

TGシンセベーサー

レベル2 攻撃1200 守備500 チューナー 地属性 サイバース族

「TGシンセベーサー」は自分フィールド上に1枚しか存在できず、(1)の効果はデュエル中1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に「TG」Sモンスターが存在するときに発動できる。手札・墓地に存在するこのカードを特殊召喚する。

(2):このカードがフィールド上に存在する限り、自分フィールド上に存在する「TG」Sモンスターの攻撃力は1000アップする。

(3):自分フィールド上にほかの「TG」モンスターが存在するとき、相手はこのカードを攻撃対象とすることができない。

 

「バトルだ!《ライジング・ベルセルク》でペイルライダーを攻撃!」

高圧電流が流れる大剣を手に、《NTGライジング・ベルセルク》がゆっくりと《魔装騎士ペイルライダー》に向けて接近する。

「ダメージは受けるだろうが、《ムネシゲ》のペンデュラム効果で《ペイルライダー》を破壊から守る!」

《魔装剣士ムネシゲ》の盾から生み出される青い光の障壁が《魔装騎士ペイルライダー》を包む。

「だったら、こいつを使う。アクション魔法《肉弾戦》!俺のモンスターが攻撃している間、ダメージステップ終了時まで攻撃モンスター以外のカード効果を無効にする!」

「アクションカードだと!?」

「ああ。お前のモンスターが起こした攻撃の余波で飛んできてくれたのさ」

《NTGライジング・ベルセルク》が大剣を真上から振り下ろす。

《魔装騎士ペイルライダー》を包んでいたバリアをそのまま大剣で力任せに打ち砕き、そのまま愛馬もろとも死の騎士を真っ二つに切り裂いた。

「くうう…!」

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃3300→2500

 

翔太

ライフ4000→2700

 

肉弾戦

アクション魔法カード

(1):自分フィールド上に存在するモンスターが攻撃するときに発動できる。ダメージステップ終了時まで、攻撃モンスター以外のカードの効果を無効にする。

 

「せっかく破壊したが、《ペイルライダー》はペンデュラムモンスター。ペンデュラムスケールさえ整えば、何度でも復活する!」

「だろうな。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

小川

手札7→1

ライフ700

場 NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃3800

  TGシンサベーサー レベル2 攻撃1200(チューナー)

  伏せカード2

 

翔太

手札0

ライフ2700

場 装銃士マゴイチ レベル4 攻撃1600

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  魔装剣士ムネシゲ(赤) Pスケール9

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札0→1

 

「ここで俺は罠カード《砂塵の大竜巻》を発動。これで《魔装剣士ムネシゲ》を破壊する!」

「ちぃ…!」

砂漠の砂を含んだ竜巻に巻き込まれた《魔装剣士ムネシゲ》が消滅する。

「俺は手札から《魔装軍師オリヴィエ》を召喚!」

 

魔装軍師オリヴィエ レベル4 攻撃800(チューナー)

 

「このカードの召喚に成功したとき、エクストラデッキに表向きで存在する魔装剣士1体を効果を無効にして特殊召喚できる。俺は《魔装剣士ムネシゲ》を特殊召喚する!」

 

魔装剣士ムネシゲ レベル3 守備2000

 

「俺はこれでターンエンド!」

ターン終了と同時に、翔太はアクションカードを探すために走り出す。

 

小川

手札1

ライフ700

場 NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃3800

  TGシンサベーサー レベル2 攻撃1200(チューナー)

  伏せカード2

 

翔太

手札1→0

ライフ2700

場 装銃士マゴイチ レベル4 攻撃1600

  魔装剣士ムネシゲ レベル3 守備2000

  魔装軍師オリヴィエ レベル4 攻撃800(チューナー)

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  伏せカード1

 

「俺のターン、ドロー!」

 

小川

手札1→2

 

「バトル!俺は《ライジング・ベルセルク》で《オリヴィエ》を攻撃!」

《NTGライジング・ベルセルク》が大剣を手にゆっくりと《魔装軍師オリヴィエ》に向けて歩いて接近していく。

サイボーグ化によって肉体は強化されているものの、それでも重量のあるその武器で素早く動くのは難しいようだ。

その間に翔太は足場を何度も飛び移り、アクションカードを手にする。

「俺はアクション魔法《身代わり》を発動!攻撃対象を別のモンスターに変更させる!」

追い詰められた《魔装軍師オリヴィエ》の前に立った《魔装剣士ムネシゲ》がニヤリと笑いながら、盾で振り下ろされた大剣を受け止める。

軍師が退避を済ませた後で、彼は笑みを浮かべたまま真っ二つに切り裂かれ、消滅する。

 

身代わり

アクション魔法カード

(1):相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。攻撃対象を自分フィールド上に存在するモンスター1体に変更する。

 

「そして、《ムネシゲ》が破壊されたとき、デッキから魔装ペンデュラムモンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《魔装鍛冶クルダレゴン》を手札に加える」

「なら、俺は《TGシンサベーサー》で《オリヴィエ》を攻撃!」

《TGシンサベーサー》がベースを弾くと同時に、衝撃波が《魔装軍師オリヴィエ》を襲う。

それを受けた軍師が消滅し、余波が翔太を襲う。

「く…!!」

 

翔太

ライフ2700→2300

 

「さらに俺はここで罠カード《TGX-SX1》を発動!俺のTGが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送ったとき、墓地からTGシンクロモンスター1体を特殊召喚できる。俺は墓地から《TGハイパー・ライブラリアン》を特殊召喚!《ライジング・ベルセルク》と《シンサベーサー》の効果で、攻撃力は1600アップする!」

 

TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃2400→3400→4000

 

「このまま《マゴイチ》を攻撃…!といきたいところだが、そいつには破壊されたとき、デッキから魔装モンスターをサーチする効果がある。迂闊に破壊するわけにはいかないなっと…。俺はこれでターンエンドだ」

 

小川

手札2

ライフ700

場 NTGライジング・ベルセルク レベル8 攻撃3800

  TGシンサベーサー レベル2 攻撃1200(チューナー)

  TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃4000

 

翔太

手札0→1(《魔装鍛冶クルダレゴン》)

ライフ2300

場 魔装銃士マゴイチ レベル4 守備1600

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札1→2

 

「俺は罠カード《アレスの誓約》を発動。俺のフィールド上に魔装モンスターが存在し、相手フィールド上にエクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキから魔装モンスター1体を墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。俺はデッキから《魔装獣バステト》を墓地へ送る。そして、手札から魔法カード《魔装の杯-ナルタモンガ》を発動。俺のフィールド上に存在する魔装モンスターのレベルもしくはランクと同じ数値のレベルの魔装モンスター1体をデッキから表側守備表示で特殊召喚する。俺はデッキからレベル4の《魔装竜ファーブニル》を特殊召喚する」

翔太のフィールドに出現した杯の中から出てきた黄金が集まり、《魔装竜ファーブニル》が姿を見せる。

 

魔装竜ファーブニル レベル4 守備1200

 

アレスの誓約

通常罠カード

「アレスの誓約」は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に「魔装」モンスターが存在し、相手フィールド上にEXデッキから特殊召喚されたモンスターが存在するときに発動できる。デッキから「魔装」モンスター1体を墓地へ送り、デッキからカードを1枚ドローする。

 

「さらに、《ナルタモンガ》を発動したとき、俺の墓地に魔装モンスターが3種類以上存在する場合、次の俺のターンのドローフェイズ時に追加でデッキからカードを1枚ドローする。そして、俺はスケール8の《クルダレゴン》をセッティング。これで俺はレベル3から7のモンスターを同時に召喚可能。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!来い、《魔装騎士ペイルライダー》、《魔装剣士ムネシゲ》!」

2体のペンデュラムモンスターが生み出すゲートから、2体のモンスターが下りてくる。

エクストラデッキで十分に休んでいたためか、2体ともすぐに動ける態勢に入っていた。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

魔装剣士ムネシゲ レベル3 守備2000

 

「さらに、《クルダレゴン》のペンデュラム効果発動。1ターンに1度、俺が魔装モンスターのペンデュラム償還に成功したとき、墓地から魔装モンスター1体を手札に加えることができる。俺は墓地から《魔装軍師オリヴィエ》を手札に加える。そして、俺は手札に加えた《魔装軍師オリヴィエ》を召喚」

 

魔装軍師オリヴィエ レベル4 攻撃800(チューナー)

 

「そして、俺は手札から魔法カード《魔装融合》を発動!魔装モンスター専用の融合カードだ!俺はフィールド上の《ムネシゲ》、《オリヴィエ》、《マゴイチ》を融合する。義理を守りし剣士よ、友愛に殉した軍師よ、時代に抗いし銃士よ、魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!真紅の騎士、《魔装騎士レッドライダー》!!」

 

魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000

 

「へええ…《ペイルライダー》に《レッドライダー》。黙示録とはベタなテーマのカードだねえ。それに、あんたとよっぽど深いつながりがあると見える」

小川は驚かずに変化した翔太の目を見る。

「…俺も詳しいことはよくわからないがな」

「だ、ろうな…」

「《レッドライダー》はモンスターの特殊召喚に成功した俺のターンのバトルフェイズ中だけ、攻撃力が1000アップする。そして、戦闘で相手モンスターの破壊に成功したとき、続けてもう1度だけ攻撃することができる」

「おっと、こいつはまずい…」

《ペイルライダー》も《魔装槍士タダカツ》のペンデュラム効果により、条件付きで2回連続攻撃が可能になっている。

さすがにこのまま受けるのはまずいと考えた小川はアクションカードを探し始める。

「バトルだ!《レッドライダー》で《ライジング・ベルセルク》を攻撃!必殺真剣!」

これまでの仲間が受けた攻撃のお返しと言わんばかりに、《魔装騎士レッドライダー》は大剣を手にして《NTGライジング・ベルセルク》に向けて走っていく。

《NTGライジング・ベルセルク》も大剣を手にし、2体の刃がぶつかり合う。

だが、わずかに攻撃力が上回った《魔装騎士レッドライダー》が競り勝ち、《NTGライジング・ベルセルク》が吹き飛ばされる。

そして、壁に激突すると同時に機能を停止させた。

 

魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000→4000

 

小川

ライフ700→500

 

TGハイパー・ライブラリアン レベル5 攻撃4000→3400

 

「《レッドライダー》の効果発動!今度は《ハイパー・ライブラリアン》を攻撃する!」

撃破した《NTGライジング・ベルセルク》から今度は《TGハイパー・ライブラリアン》に視線を変えた赤い騎士が彼を切り裂くために接近する。

だが、その前に足場の裏に張り付いていたアクションカードを小川が手にする。

「俺は手札からアクション魔法《鉄壁》を発動!このターン、俺が戦闘で受けるダメージは0になる!」

《TGハイパー・ライブラリアン》が《魔装騎士レッドライダー》に真っ二つに切り裂かれるが、攻撃の余波は周囲に展開された灰色のバリアによって防ぐことに成功する。

これで、翔太はこのターンに小川を倒すことが不可能となった。

 

鉄壁

アクション魔法カード

(1):このターン、自分が受ける銭湯ダメージは0となる。

 

「これで《シンサベーサー》を守るモンスターはいない!《ファーブニル》で《シンサベーサー》を攻撃!」

《魔装竜ファーブニル》が放つ金色のブレスによって、《TGシンサベーサー》が焼き尽くされていく。

「《ファーブニル》の効果。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、デッキからレベル4以下の魔装モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚できる。俺は《魔装妖ビャッコ》を特殊召喚する」

「キュイーー!」

いつの間にか一番高い足場に現れたビャッコがみたらし団子を食べながらのんびり休み始めた。

 

魔装妖ビャッコ レベル3 攻撃300

 

「そして、俺は墓地の《魔装獣バステト》の効果発動。俺のフィールド上に魔装モンスターが存在するとき、このカードは手札・墓地から特殊召喚できる」

「キュキュ!?キュイー!」

自分の隣に現れた《魔装獣バステト》にビャッコがみたらし団子を差し出す。

差し出されたみたらし団子を食べた砂漠の猫は嬉しそうに鳴き声を上げた。

 

魔装猫バステト レベル1 攻撃0(チューナー)

 

「さらにビャッコは魔装モンスターのシンクロ、エクシーズ素材となるとき、レベルを4として扱うことができる。レベル4の《ビャッコ》とレベル4の《ファーブニル》にレベル1の《バステト》をチューニング」

「キュイーーー!!」

食べ終えたみたらし団子の櫛をリュックサックに入れたビャッコが《魔装獣バステト》とともに飛び降りる。

そして、地上から飛んできた《魔装竜ファーブニル》とともにシンクロ償還の準備を整える。

「勝利と支配をもたらす第2の騎士よ、終戦を告げるその矢で敗者を鎮めよ!シンクロ召喚!《魔装騎士ホワイトライダー》!!」

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

 

「そして、《ビャッコ》が魔装モンスターのシンクロ素材、もしくはエクシーズ素材となったとき、デッキからカードを1枚ドローする。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

小川

手札2

ライフ500

場 なし

 

翔太

手札2→0

ライフ2300

場 魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000

  魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

  魔装槍士タダカツ(青) Pスケール2

  魔装鍛冶クルダレゴン(赤) Pスケール8

  伏せカード1

 

「さあ、これでお前ご自慢のモンスターは全滅だ。さっさとサレンダーしてもらうぞ」

「いいや…ここからさ」

「何?」

まるでお預けを食らったごちそうを出してもらった時のような嬉しそうな表情を小川が見せるのを翔太は奇妙に感じられた。

彼の言葉が正しければ、ここからが本当のデュエルということになる。

「俺のターン…ドロー!」

 

小川

手札2→3

 

「俺は手札から魔法カード《ミラクルシンクロフュージョン》を発動!」

「何!?《融合》だと!?まさか…!」

ロジェの関係者が融合召喚を使うことに対してはもう驚くまいと思っていた翔太だが、まさかチームブレイドが融合次元の関係者であるとは思いもよらなかった。

胡散臭い連中とは思っていたが…。

「ま…事実は小説よりも奇なりってやつさ。俺は墓地の《ライジング・ベルセルク》と《ハイパー・ライブラリアン》を除外し融合!稲妻宿りしサイボーグよ、電脳空間の司書よ、今こそ一つとなりて、新たなテクノロジーを生み出せ。融合召喚!現れろ、レベル10!《NTGデスペラード・ベルセルク》!」

2体のTGシンクロモンスターが融合し、その姿を真っ黒な装甲で覆われ、左目を眼帯で隠した銀髪のサイボーグが現れる。

持っている獲物も大剣ではなく、真っ黒な刀身で、稲妻が宿った刀となっている。

 

NTGデスペラード・ベルセルク レベル10 攻撃3500

 

「なんでお前が融合召喚を使えるんだ?」

「さあ?なんでだろうな。近づいてきた俺らはあんたらの味方ではなく、味方だったってことじゃあないか?」

おどけた口調でしゃべる小川が癪に障ったのか、翔太は拳を握りしめる。

「で、なんで伊織が必要なんだ?」

「答える義務がないな…」

「だったら…倒して吐かせる」

「ふーん…。でも、そんなことできるかな?」

《NTGデスペラード・ベルセルク》の右目が赤く光り、同時に突然発生した落雷がビルの天井を突き破っていく。

その雷を刀で受け止めた隻眼のサイボーグが赤いオーラに包まれていく。

 

NTGデスペラード・ベルセルク レベル10 攻撃3500→5300

 

「攻撃力が上がった!?」

「《デスペラード・ベルセルク》は融合召喚に成功したとき、相手のライフが俺を上回っている場合、その数値分攻撃力がアップする。バトル!《デスペラード・ベルセルク》で《ペイルライダー》を攻撃!」

赤いオーラのせいか、髪の毛も赤く染まった《NTGデスペラード・ベルセルク》が猛スピードで走り出し、《魔装騎士レッドライダー》に居合で切りかかる。

《魔装騎士レッドライダー》は大剣で応え、、鍔迫り合いを演じるが、徐々に両腕の力が鈍くなったのか、押し負けていく。。

「こいつは…!?」

「《デスペラード・ベルセルク》は相手のカード効果で破壊されねえ。おまけに戦闘するとき、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターの攻撃力を半分にし、効果も無効にしちまうのさ。ま、ターン終了と同時に元通りになるから、その点は安心しな」

「何!?」

特殊召喚主体の環境にとっては致命的となる効果を持つ《NTGデスペラード・ベルセルク》に戦慄する。

そんな中でも、アクションカードを探すために足場を飛び移り続ける。

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500→1250

魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000→1500

 

「く…よりによって!」

空中に浮かんでいるアクションカードを手にした翔太の表情がゆがむ。

「俺は手札からアクション罠《失踪》を発動!俺のフィールド上に存在するモンスター1体を破壊する。俺は《ペイルライダー》を破壊する!ぐうう…!!」

《魔装騎士ペイルライダー》が姿を消し、同時に《魔装騎士レッドライダー》が両断される。

両断された赤い騎士が消滅し、攻撃の余波が直撃した翔太は地面に落下する。

「ぐあああ!!てめえ…!!」

 

翔太

ライフ2300→300

 

「ハハハ!まともに食らってくれたな!」

「バカ言うなよ…まだまだ、デュエルはここからだ…」

「そういいたいみたいだがよ、それがここまでなのさ…。俺はカードを1枚伏せ、手札から速攻魔法《ダブル・サイクロン》を発動。お互いのフィールド上に存在する魔法・罠カードを1枚破壊する。俺はさっき伏せたカードと《魔装鍛冶クルダレゴン》を破壊する」

互いのそばに突然発生した竜巻が2枚のカードを吹き飛ばしていく。

だが、翔太の側の竜巻が役目を終えるとすぐに消えたにもかかわらず、小川の側のそれはそのままゆっくりと翔太のもとへ近づいていく。

「俺が破壊した伏せカードは《荒野の大竜巻》。こいつがセットされた状態で破壊されたとき、フィールド上で表側表示で存在するカード1枚を破壊する。俺が破壊するのは残ったペンデュラムモンスター、《魔装槍士タダカツ》だ!」

近づいてきた竜巻によって残った光の柱も消え去り、翔太のフィールドには伏せカード1枚と《魔装騎士ホワイトライダー》が残るのみとなった。

「で、こいつはおまけだ。手札からアクション魔法《クールダウン》を発動」

「まさか…《ダブル・サイクロン》の時に…!」

「ああ。俺のそばに飛んできてくれた。いやー、アクションデュエルだと、こういう演出も時には戦局に影響を与えるから、面白いんだよなー。次の相手ターンのバトルフェイズ時、フィールド上に存在するすべてのモンスターの攻撃力が元に戻る。たとえメインフェイズ時にパワーアップしても無駄ってこと。ちなみにこの効果はカード効果を受けない《ホワイトライダー》にも及ぶから、気をつけな。俺はこれでターンエンド」

 

小川

手札3→0

ライフ500

場 NTGデスペラード・ベルセルク レベル10 攻撃3500

 

翔太

手札0

ライフ300

場 魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100

  伏せカード1

 

クールダウン

アクション魔法カード

(1):次の相手ターンのバトルフェイズ開始時、お互いのフィールド上に存在するモンスターの攻撃力は元に戻る。この効果は「カードの効果を受けない」効果を持つモンスターも受ける。

 

「さぁ、どうする?お前の手札は0。頼みの綱は《ホワイトライダー》と伏せカード1枚。そして、次のターンにドローするカードだ。それでお前は《デスペラード・ベルセルク》を倒し、俺のライフを0にしなければならない。それから1つ言っておくが、《デスペラード・ベルセルク》は破壊され墓地へ送られたとき、墓地のシンクロモンスター以外のTGを2体特殊召喚できる効果がある。だから気をつけな」

つまり、仮に《NTGデスペラード・ベルセルク》を破壊しても小川のライフを0にできなかった場合、その2体のモンスターを利用して反撃されて負けるという結末が待っているということだろう。

ペンデュラムスケールはすでになく、この状態で新たなペンデュラムスケールをセッティングし、大量償還するのは至難の業だ。

おまけに特殊召喚されたモンスターは《NTGデスペラード・ベルセルク》の効果の餌食となる。

「俺の…ターン!《魔装の杯-ナルタモンガ》の効果により、俺は合計2枚カードをドローする」

 

翔太

手札0→2

 

「そして…俺は罠カード《戦線復帰》を発動。墓地の《魔装獣ユニコーン》を守備表示で特殊召喚する」

 

魔装獣ユニコーン レベル4 守備800

 

「そして、《魔装獣ユニコーン》の効果発動。こいつを《ホワイトライダー》に装備する!」

毛色が白く変わった《魔装獣ユニコーン》の背に《魔装騎士ホワイトライダー》が乗る。

そして、ゆっくりと矢を《NTGデスペラード・ベルセルク》に向ける。

 

魔装騎士ホワイトライダー レベル9 攻撃3100→3900

 

「無駄だよ。《クールダウン》によって、バトルフェイズ開始時には…」

「いいや、もうバトルフェイズはないぜ。お前にも…俺にもな」

「何!?」

「俺は手札から魔法カード《マジックコード:α》と《β》を発動!」

翔太のフィールドに現れる2つのマジックコード。

その2つの記号から力を受けた《魔装騎士ホワイトライダー》が弓を構える。

「その魔法カードは…!?」

「お前を敗北へ導くカードだ!《マジックコード:α》は魔装モンスターが存在するとき、ターン終了時まで相手モンスター1体の効果を無効にし、そして《β》は魔装モンスターの攻撃力以下の相手モンスター1体を破壊し、破壊したモンスターの元々の攻撃力分のダメージを与える…」

「…へっ、最後の最後に…気ぃ、抜いちまったか…」

ハハハと笑いつつ、翔太をじっと見る。

「なぁ…どうして彼女に肩入れする?俺がお前なら、はいどうぞって渡しちまうぜ…?」

「…仲間は売らねえ。それだけだ」

2つの力が込められた矢が放たれる。

矢は《NTGデスペラード・ベルセルク》を貫き、そのまま小川の胸に直撃する。

小川は胸を抱えつつ、フラフラとその場に座り込んだ。

 

小川

ライフ500→0

 

NTGデスペラード・ベルセルク

レベル10 攻撃3500 守備3300 融合 地属性 機械族

「NTG」Sモンスター+「TG」Sモンスター

このカードは融合召喚でのみ特殊召喚できる。

「NTGデスペラード・ベルセルク》の(2)の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードは相手の効果では破壊されない。

(2):このカードが戦闘を行うダメージステップ開始時に発動する。ターン終了時まで相手フィールド上に存在する特殊召喚されたモンスターの攻撃力を半分にし、効果を無効にする。

(3):このカードが破壊され墓地へ送られたとき、自分の墓地に存在するSモンスター以外の「TG」モンスター2体を対象に発動できる。そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「惜しかったな…小川…」

翔太にとってもこの2枚の登場は驚きだった。

こんな偶然は今までにはないことだ。

きっと、同じことをもう1度やれと言われても、不可能だろう。

「おい…どういう形であれ、俺が勝ったんだ…。しゃべってもらうぞ」

ゆっくりと小川に近づき、肩を叩くものの、彼からは何も反応が返ってこない。

「何してんだ。寝たってわけじゃ…!?」

顔を両手でつかみ、無理やり持ち上げようとするが、かなりの重量で、中々盛り上げることができない。

深呼吸しながら、思いっきり動かすと、バキリという音と同時に小川の頭がもげた。

「な…!?」

一瞬、本当に首をもぎ取ってしまったのかと思い、ブルっとしてしまった翔太だが、すぐに深呼吸をし、心を落ち着かせる。

そして、裂け目の部分をじっと見る。

「こいつは…ロボット!?」

裂け目にあったのは鉛色の機械部品や回路で、内蔵や血管、骨といった人間、いや生物を構成させる要素が何もなかった。

外側の皮膚も、合成繊維で作った精巧な偽物だ。

暖かさも触り心地も人間に肌と変わりないが、血は一滴も流れていない。

「偽物か…それとももともと…。ん?」

デュエルディスクの電話機能が起動し、送信者の顔写真と名前が表示される。

小川のロボットの頭部を投げ捨て、電話に出る。

「伊織か…?もしもし」

(翔太君大変!!チームオーファンが攻撃してきたの!急いで戻ってきて!!)

「ちっ…融合次元よりも先に奴らが…!わかった、今行く!!」

電話を切り、翔太はマシンキャバルリーに乗ってアジトへ急ぐ。

Dホイールを走らせながら、翔太はあのロボットについて考えていた。

(あのロボット、シンクロ次元でもスタンダード次元でも作れないできすぎな代物だ。もし、融合次元が作ったものだとしたら…!)

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。