遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

85 / 145
第79話 砕ける夜

「榊遊矢、出ろ」

独房の扉が開き、セキュリティの隊員がその中で座っている遊矢に声をかける。

「出るって…まさか、次の試合に俺を出そうと?」

「今の貴様は質問できる立場にはない。さっさとついてこい」

従わないのなら、強引に連れていくまでと言わんばかりに、暴徒鎮圧用のスタンガンをちらつかせる。

人間らしからぬ、抑揚のないしゃべり方から、彼もまたロジェの人形だろう。

この施設の中には、彼のような人形がまだ何十人もおり、遊矢にはここの中の構造は頭に入っていない。

ここで彼を倒して脱出したとしても、残り何十人の人形に捕まえられるのがオチだ。

遊矢は黙って彼についていくしかなかった。

 

「やっぱり、ここにもいない…」

小川を倒したばかりの翔太はチームブレイドのアジトの中を走り回る。

ここにいるかもしれないエリクに問いただすためだ。

小川がロボットだったことについて、彼が使用した融合召喚について、そしてエリク自身の目的について。

だが、いくら探してもエリクの姿ばかりか、ほかの構成員の姿も確認できない。

「どうなっているんだ?…ぐぅ…!?」

急に例の頭痛が翔太に襲い掛かる。

壁にもたれて頭を抑える。

「おい…こんな時間差で来るなんて…聞いてないぞ!?それに、カードの波動を感じる力には反応してなかった…ぞ…」

前に翔太は眠りの中で、『彼』から記憶に関係するカードの波動を感知する能力が与えられている。

だが、与えられてから今日まで何も感知しておらず、おまけに今回は何も反応のないモンスターと戦ったことで、この頭痛が発生している。

「くっそ…だんまりか…よ…」

どんどん視界が白く染まっていき、その光景が真っ暗なとある場内の一室に変化する。

そこにはオレンジ色の髪の少年が母親と一緒に病床の父親と話をしている。

だが、なぜか彼らの声は一切翔太の耳に届かない。

父親のほうが怒りの形相を見せており、ゆっくりと起き上がろうとしているのを見ると、3人は口論しているということがわかる。

最終的には父親のほうが何を考えたのか息子を殺そうと剣を取り、彼の胸を貫こうとする。

だが、その前に母親が息子をかばって剣を受けて絶命し、それと同時に父親のほうも急に苦しみだして、そのまま死んでしまった。

病床にいたことを考えると、既に死にかけの状態だったのかもしれない。

「こいつは…強烈だな。だが、それと俺に何の関係が…」

再び視界が白くぼやけていき、光景が元に戻っていく。

(ちっ…5枚目を見つけやがった)

「ようやく声を出したか。ま…悔しがる声で何よりだ。…で、お前がよこした力の接触不良、どう説明するんだ?」

(あーあー、お察しの通り、渡してなかったんだよ。てめーの困る顔が見たくてなぁ!)

今回は負けを認めたのか、『彼』が投げやりになりながらも真実を話す。

いつもは上から笑ってばかりの彼を悔しがらせることができたことを嬉しく思ったのか、翔太は笑みを浮かべる。

「じゃあ、よこせよ。その力を」

(ちっ…勝手にしろ。記憶のカードを持つデュエリストを感知したら、左手の痣の色が赤に変わる)

声が聞こえなくなると同時に、左手に一瞬違和感を覚える。

だが、それは一瞬で収まった。

「今度は不良品じゃないことを祈るぞ…ん?」

デュエルディスクの電話機能が起動したが、見たことのない番号が表示されたことで翔太は首をかしげる。

ゆっくりと受話器ボタンを押す。

(無事な帰還、おめでとうございます。翔太さん)

「エリク…」

(わかりますよ。あなたが聞きたいことは…)

「ああ…小川そっくりなロボット、融合召喚、伊織のこと、そしてあんた自身のことだ。耳をそろえて答えてもらおうか?」

(残念ですが…今の私はそれにこたえることができません。今は答えるタイミングではありませんので。ですので…代わりに情報を提供しましょう)

エリクの急な提案に思わず「はぁ?」と答えてしまう。

今、話の主導権を握っているのはいつの間にかエリクのほうになっていた。

(沈黙は肯定として扱わせていただきます。ご心配なく。決してあなたや伊織さんに不利益にはならない情報です)

「不利益にならない?お前、どの口が…」

(これから襲ってくるであろうオベリスクフォース、そして懲罰部隊についてです)

エリクの言葉を聞いた翔太は沈黙する。

素良からも今夜あたりに融合次元がシンクロ次元に攻撃を仕掛けることは聞いていたが、その詳しい規模や時間までの精密な情報をつかむことができなかった。

仮にその情報を手に入れることができれば、よりシンクロ次元と柚子、そしてセレナの防衛がしやすくなる。

(これから、そちらのデュエルディスクにデータを送ります。そのデータをどう使うか、それはあなた次第です。では…)

データが送られてくると同時に、電話が切れてしまう。

「何勝手に切っているんだ…!?」

エリクの行動に怒りを覚えた翔太は着信履歴からもう一度電話をかけなおす。

(おまけになった電話番号は現在使われておりません。間違った番号を入力している恐れが…)

「ちっ…」

電話を切った翔太は舌打ちをしながら、送られてきたデータを確認し始めた。

 

(みなさん、お待たせいたしました!これより、本日の最終試合である準決勝を開始したいと思います!!)

夜になり、もうこれ以上試合がないだろうと帰り支度をしていた観客たちが試合開始の知らせを聞いて歓声を上げる。

だが、こうして実況をするメリッサ自身もこの予定前倒しには疑問を覚えていた。

普段のスケジュールでは、フレンドシップカップの1回戦は2日かけて行い、2回戦・準決勝は1日ずつ、そして決勝戦と優勝者とキングによるデュエルを1日の合計5日かけて行う形になっている。

天候などの問題でそれが変更されるのはよくある話ではあるが、メリッサの認識している範囲ではそのような知らせや報道は一切ない。

また、行方不明になった翔太についての行方も分からない。

何も報告がなければ、ユーゴについてはこのままシードということで自動的に決勝へ上ることになる。

スクリーンにはその試合を行う2人の顔写真が表示される。

(同じ闇属性・鳥獣族デッキとの激戦を制したクロウ・ホーガン選手と、完全アウェーの中で見事勝利をもぎ取った榊遊矢選手です!それでは両者、入場してください!)

メリッサが言い終わると同時に、2台のDホイールがスタジアムに出てくる。

「クロウ、やっちまえーー!!」

「前みたいなあっと驚く展開を見せてくれーー!」

2人に対して、観客たちはこの状況を理解することなく声援を送り続ける。

(小僧、薬はいいのか?)

「大丈夫…。さっきうっておいたから」

「おい、遊矢…。いくら相手がお前だとしても、負ける気はねーからな」

スタートラインに立ったクロウが遊矢に声をかける。

遊矢にとって、クロウはシンクロ次元で初めて世話になった人物で、あるアクシデントで収容所に入ることになった際も、失敗したものの協力して脱獄しようとしたこともある。

お互いに倒すのを躊躇してしまうような関係だが、倒さなければジャックにたどり着くことができない。

だが、遊矢の今の目的はそれではない。

「クロウ…。俺は負ける」

「はぁ…?負けるって、どういうことだよ」

シンジや227を倒してまでここまで登ってきた相手の言葉に思えず、クロウは首をかしげる。

「今の俺のやるべきことは…負けることでしか達成できない」

「…八百長でもするつもりかよ?」

「そんなことはしない。俺が行くのは…」

ひときわ歓声が強まる中、遊矢は小さい声でもクロウに聞こえるよう、今度はDホイールの通信で彼と会話する。

遊矢の話を聞いたクロウは驚くも、笑みを浮かべて首を縦に振る。

「そうか…ならいいぜ。だがよ、それまで俺に負けなければの話だぜ」

「ああ…」

通信を切ると、気合を入れなおすために自分の両頬を叩く。

だが、それと同時に急に自分の中に疑問が浮かぶ。

(なんでだ…?なんで俺、セレナが負けたってことを知ってるんだ?)

遊矢はここまでに起こった2つの試合の結果について何も知らされていない。

クロウがいるため、彼と当たった可能性のある黒咲かユーゴ、セレナが敗れた可能性がある。

だが、なぜピンポイントでセレナが敗れたということが分かったのか、どうしても遊矢にはわからなかった。

クロウ自身は遊矢は部屋のテレビで試合を見たから、分かっているのだと思っているため、特におかしいとは思っていない。

その疑問がぬぐえないまま、信号機が現れ、《スピード・ワールド・A》が発動する。

(それでは、準決勝戦開始です!ライディングデュエル…アクセラレーション!!)

2台のDホイールが同時に発進し、同時にクロウのブラックバードが遊矢のマシンレッドクラウンを引き離していく。

そして、差が縮まらないまま両者はスタジアムを出て、直進のコースを進んだ。

 

クロウ

手札5

ライフ4000

 

遊矢

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻!俺は手札から《BF-蒼炎のシュラ》を召喚!」

 

BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

 

「そして、カードを3枚伏せてターンエンド!」

 

クロウ

手札5→1

SPC0

ライフ4000

場 BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

  伏せカード3

 

遊矢

手札5

SPC0

ライフ4000

場 なし

 

(頼むぞ、クロウ…。ほんの少しだけ時間を稼げばいいんだ…)

マシンレッドクラウンのディスプレイを操作し、ここから先のコースを調べ始める。

次の分岐点を右へ向かい、そしてそのまま30キロ走れば、治安維持局へと続くメインストリートに差し掛かる。

そこから飛行可能なモンスターを使って飛び降りることができれば、このままセレナを救出しに向かうことができる。

たとえ運悪く、飛行可能なモンスターがいない状態になったとしても、このDホイールのシルエットの1つである、トンボ型シルエットシステムのドラゴンフライを使えば飛行が可能となる。

とにかく、それまでの間デュエルが続いていれば遊矢にとっては勝利。

あとはクロウが決勝へ進み、遊矢はセレナの救出へ向かう。

運が良ければ、月影か零児と合流して一緒に進むこともできるだろう。

「俺のターン、ドロー!」

 

遊矢

手札5→6

SPC0→2

 

クロウ

SPC0→2

 

「俺は手札から《EMシルバー・クロウ》を召喚!」

 

EMシルバー・クロウ レベル4 攻撃1800

 

「バトルだ!《シルバー・クロウ》で《蒼炎のシュラ》を攻撃!」

(なんと同じ攻撃力のモンスターを攻撃!?相討ち狙いなのでしょうか!?)

「《シルバー・クロウ》は攻撃宣言時、俺のフィールド上に存在するEMモンスターの攻撃力をバトルフェイズ終了まで300アップさせる!」

アスファルトの道を走る狼が青いオーラに一瞬包まれ、爪が若干長くなる。

 

EMシルバー・クロウ レベル4 攻撃1800→2100

 

「させるかよ!!」

ブラックバードを加速させ、クロウは目の前にあるアクションカードパネルを通過する。

「俺はアクション魔法《奇跡》を発動!《蒼炎のシュラ》は戦闘では破壊されず、受ける戦闘ダメージも半分になる!」

自らの身を引き裂こうとする狼の爪を《BF蒼炎のシュラ》は右手の鉤爪で受け止める。

だが、わずかに攻撃に余波が発生しており、それがクロウを襲う。

 

クロウ

ライフ4000→3700

SPC2→3

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド!」

 

クロウ

手札1

SPC3

ライフ3700

場 BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

  伏せカード3

 

遊矢

手札6→4

SPC2

ライフ4000

場 EMシルバー・クロウ レベル4 攻撃2100→1800

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

クロウ

手札1→2

SPC3→5

 

遊矢

SPC2→4

 

「俺は手札から《Sp-エンジェル・バトン》を発動!スピードカウンターを4つ取り除き、デッキからカードを2枚ドローし、手札1枚を墓地に捨てる。俺は手札の《BF-精鋭のゼピュロス》を墓地へ捨てる!そして…!」

再びクロウがアクションカードパネルを通過し、分岐点を右に曲がる。

遊矢もクロウが通ったそれの隣にあるアクションカードパネルを通過した。

「「俺はアクション魔法《緊急召喚》を発動!」」

(なんと2人とも同じアクションカードを持っていました!こんな偶然があるなんて…だからアクションライディングデュエルは面白い!)

「こいつは手札のレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる!俺は手札から《BF-銀盾のミストラル》を特殊召喚!」

「俺は手札から《EMセカンドンキー》を特殊召喚!」

2人同時にデュエルディスクにカードを置いたためか、上空から《EMセカンドンキー》をつかんだ状態で《BF-銀盾のミストラル》が現れる。

地上に到着すると、《EMシルバー・クロウ》に大きな宅配便の伝票のようなものを見せた。

それにハンコ代わりに肉球の痕をつけてもらうと、急いでクロウのフィールドへ向かった。

なお、伝票にある宅配便の名前は『ブラックバード・デリバリー』というが、現実にそのような企業は存在しない。

 

BF-銀盾のミストラル レベル2 守備1800(チューナー)

EMセカンドンキー レベル4 守備2000

 

クロウ

SPC5→1→2

 

遊矢

SPC4→5

 

「なんだよあれ!?」

「モンスターがモンスターを配達!?そんな演出があるのかー…」

ヘンテコな演出を見た観客たちは苦笑しながら2匹のモンスターをモニターから見ている。

なお、さすがに重たかったのか、《BF-銀盾のミストラル》はハアハアと息を整えている。

「なんだか変な光景だったけど…。俺は《セカンドンキー》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキから《セカンドンキー》以外のEM1体を墓地へ送ることができる。俺はデッキから《EMロングフォーン・ブル》を墓地へ送る!」

「だったら俺は罠カード《BF-フェスティバル》を発動!俺のフィールド上にBFが存在し、相手がモンスターの特殊召喚に成功したとき、《BFトークン》3体を特殊召喚する!ほらほら、せっかくこんなにモンスターがいるんだ!歌えや踊れぇ!」

《BF-フェスティバル》のソリッドビジョンから出てくる3匹の口がラッパとなっている烏3匹の演奏と共に、フィールド上のモンスターたちが踊り始める。

(コラーー!2人とも、デュエルに集中しなさーい!!)

メリッサの声を無視するかのようなモンスターたちは踊り続け、観客たちはモンスターたちのカーニバルを見て楽しそうに笑っていた。

 

BFトークン×3 レベル1 守備0

 

BF-フェスティバル(アニメオリカ)

通常罠カード

(1):自分フィールドに「BF」モンスターが存在し、相手フィールドにモンスターが特殊召喚された場合に発動できる。自分フィールドに「BFトークン」(鳥獣族・闇・星1・攻/守0)3体を特殊召喚する。

 

BFトークン

レベル1 攻撃0 守備0 トークン 闇属性 鳥獣族

「BF-フェスティバル」の効果で特殊召喚される。

 

(あと10キロ…!これを…!)

遊矢はドラゴンフライのカードを手にし、いつでもコースから飛び出せるように準備をする。

《BF-蒼炎のシュラ》も踊りながら飛び降りる地点へ向かい、そこで遊矢を待つ。

「俺はこれでターンエンド!」

 

クロウ

手札2→1

SPC2

ライフ3700

場 BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

  BF-銀盾のミストラル レベル2 守備1800(チューナー)

  BFトークン×3 レベル1 守備0

  伏せカード2

 

遊矢

手札4→3

SPC5

ライフ4000

場 EMシルバー・クロウ レベル4 攻撃1800

  EMセカンドンキー レベル4 守備2000

  伏せカード1

 

「俺のターン!」

 

遊矢

手札4→5

SPC5→7

 

クロウ

SPC2→4

 

(いけ、遊矢…!できることなら、地下にいる仲間たちのことも…!)

あと十数秒で例のポイントまで到達するところまできた。

最後は遊矢がコースから飛び降りれば、こちらの役目が終わる。

 

「ふむ…榊遊矢、君がそうすることはお見通しですよ」

オペレータールームの長官席から遊矢とクロウのデュエルを見ていたロジェは不敵な笑みを浮かべながら遊矢を見る。

「コード・Zero H入力」

「了解。コード・Zero H入力」

ロジェの命令に従ったオペレーターがコンソールにコードを打ち込んだ。

 

「う…!?」

コードが入力されたと同時に、遊矢の脳に電気が直接流されたかのようなしびれが発生する。

「なんだ、今の…!?あ、ああ…」

電圧が徐々に強くなっていき、より強い刺激が直接遊矢の脳に襲い掛かる。

同時に遊矢の目が赤と黒のオッドアイに変わり、周囲の思念を感じ始める。

「う、ああ、あ…!!」

電気のせいか、その力が暴走し、クロウだけでなくより広範囲の周囲の人々の思念が入ってきて、遊矢の脳に容赦なく浸透していく。

「おい、遊矢!?どうしたんだよ!?」

急に苦しみ始めた遊矢を心配したクロウは急いで彼のそばに並走する。

その状態で飛び降りるはずのポイントを通過してしまった。

「来るな…来るな、来ないでくれーーーー!!」

「しっかりしろ、いったい何があったんだ!?」

ゴーグルのせいで、遊矢の目が変わったこと、そしてオッドアイになったときの遊矢の感応能力を知らないクロウは必死に遊矢に声をかける。

「あああああああーーーー!!!ク…クロウ…クロウ・ホーガン…」

「な…!?」

「離れ…ろ。遊矢から、離れ…ろ!!」

徐々に声が遊矢のものからユートの物へと変わっていき、声の変化にクロウは驚きを見せる。

同時に、マシンレッドクラウンのファントムライトシステムが起動し、遊矢とDホイールが赤い光に包まれていく。

「この機能は…!?」

「うわあああああ!!!」

黒い眼の色が徐々に赤く染まったいき、遊矢は一気にマシンレッドクラウンを加速させていく。

「お、おい!?待てよ遊矢!!」

先ほどまでとはかけ離れたスピードで走るマシンレッドクラウンを追いかけるため、アクセルを踏み込む。

「ぐう、う…ダーク・リベリオン…力を貸せ…!俺はレベル4の《セカンドンキー》と《シルバー・クロウ》でオーバーレイ!漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500

 

フィールドに現れたダーク・リベリオンが黒いオーラを発生させ、遊矢の赤く染まりつつあった目を黒へと戻していく。

(急いでください…ユート。長くはもちません)

「ああ…わかっている!!クロウ・ホーガン、聞こえるか!!」

マシンレッドクラウンの通信機能をブラックバードにつなげ、遊矢、いやユートがクロウに話しかける。

「遊矢!?でも…声が違うぞ!?」

「俺はユート。わけあって、今は遊矢の中にいる」

「はぁ!?それってどういう…」

「今は説明している場合ではない!クロウ・ホーガン、おそらくこれから遊矢は暴走する…」

「暴走…??」

ユートの言葉が信じられないクロウだが、今の遊矢の様子がおかしいということ、そしてこのまま放置するわけにはいかないということだけは理解できた。

「そうだ…。そして、彼はそのもととなるかもしれないドラゴンを召喚する。そのドラゴンを倒すことができれば…ぐうう!?」

「おい遊矢…じゃねえ、ユート!?」

「すまない…今の俺には遊矢を止める力はない…」

ダーク・リベリオンの力を借りても、遊矢は現在進行形で暴走に陥りつつある。

黒い眼が徐々にまた赤く染まっていくにつれて、表層に出てきたユートの精神がまた押し込まれていく。

「頼む、遊矢を止めてくれ!彼を悪魔にしな…うおおおおおおお!!!!」

完全に両目が赤く染まり、再びユートの精神が遊矢の中へ閉じ込められていく。

それと同時に、激しく咆哮しつつ、1枚のカードを手に取る。

「俺は《スピード・ワールド・A》の効果を発動!スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!そして、スケール3の《相克の魔術師》とスケール8の《相生の魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!これで俺はレベル4から7のモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、我がしもべのモンスター!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!」

遊矢らしからぬドスの利いた声。

一度も聞いたことのないその声でクロウは遊矢がユートの言う通り、悪魔になりかけているのだろうと確認する。

その証拠に、遊矢から強いプレッシャーが放たれており、それが針のように次々と肌に刺されるような感覚を引き起こされている。

 

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500

 

「《相生の魔術師》のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、俺のフィールド上に存在するエクシーズモンスター1体のランクを俺のフィールド上に存在するレベル5以上のモンスター1体のレベルの数値と同じにする!」

《相生の魔術師》から放たれた2本の矢が《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》に刺さり、両者が赤いオーラに包まれていく。

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4→7 攻撃2500

 

「更に、《相克の魔術師》のペンデュラム効果発動!1ターンに1度、俺のフィールド上に存在するエクシーズモンスター1体をターン終了時までそのランクと同じ数値のレベルのモンスターに擬態させる!」

《相克の魔術師》が武器を上空に投げると、そこに赤く染まったオーバーレイネットワークが生まれていく。

「俺はレベル7の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》とランク7の《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》でオーバーレイ!!」

赤いオーラに包まれた2体の竜の目が赤く染まり、オーバーレイネットワークに向けて飛んでいく。

その中で《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》が赤い粒子となって消滅し、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に吸収されていく。

「二色の眼の竜よ。深き闇より蘇り、怒りの炎で地上の全てを焼き払え!エクシーズ召喚!いでよ、ランク7!」

赤いオーバーレイネットワークと共に黒竜を吸収した《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が方向とともに爆発し、その爆発と共に激しい揺れがシティ中を襲う。

「うわあああ!?なんだよ、こいつは!?」

激しい揺れによりコースにひびが入り、更にコース内の電子回路にも深刻なダメージが発生する。

 

「何…!?」

遊矢のとんでもない状態を見て驚きを見せるロジェ。

同時に揺れの影響で停電が発生した。

「すぐに非常電源に切り替えなさい!!」

「りょ、了解です!」

この施設で一度も停電を体験したことのないオペレーターは動揺するものの、すぐにマニュアルに従ってコンソールを動かし、非常電源が起動する。

同時に一部の隊員が電源装置の修理のために地下へと向かう。

「おのれ…奴はセルゲイ以上の獣、ということか…!だが、今はそれでいい…」

セルゲイのノートパソコンには評議会内部の光景が映し出されており、そこにはロジェの人形たちに包囲された零児の姿があった。

 

「私は《DDD運命王ゼロ・ラプラス》で《ゴヨウ・エンペラー》を攻撃!」

骨によって構成された玉座のような形の悪魔が手に握る紫色の球体から同じ色のビームを発射し、《ゴヨウ・エンペラー》を焼き尽くしていく。

「《ゼロ・ラプラス》の攻撃力はダメージステップ終了時まで戦闘する相手モンスターの元々の攻撃力の倍となる。よって、攻撃力は6600」

「グオオオオ!!」

 

セキュリティ

ライフ2900→0

 

倒れたセキュリティに見向きもせず、零児はさらに現れるセキュリティに目を向ける。

戦っているのは零児1人。

だが、椅子に座っている5人の人物は一向に戦おうとしなければ、避難しようともしない。

「私はフィールド上の《ゴヨウ・ガーディアンMkⅡ》と《ゴヨウ・チェイサー》を融合!融合召喚!現れろ、《ゴヨウ・エンペラー》!!」

 

ゴヨウ・エンペラー レベル10 攻撃3300

 

「更に私は手札から速攻魔法《トラップ・ブースター》を発動!手札1枚を墓地へ捨て、手札から罠カード《デモンズ・チェーン》を発動!」

セキュリティが発動した《デモンズ・チェーン》に縛られた《DDD運命王ゼロ・ラプラス》が動きを止める。

「これで貴様の《ゼロ・ラプラス》の効果と攻撃は封じられる!さあ、お縄につくがいい!!」

《ゴヨウ・エンペラー》の口から炎が放たれ、骸骨の悪魔を焼き尽くそうとする。

「アクション魔法《奇跡》を発動!」

急に何者かが発動した《奇跡》によって、《DDD運命王ゼロ・ラプラス》がバリアに包まれ、炎から守られる。

「乱入ペナルティ、2000…」

セキュリティたちの前に立ち、内部にいる彼らを零児と挟み撃ちにするような形となる。

「ヒイロ・リオニス…」

眼鏡を直した零児は自分を救った男の名前を呼ぶ。

 

ヒイロ

ライフ4000→2000

 

「加勢する。だが…奴らは戦わないのか?」

ヒイロの目が5人の男女に向けられる。

「なぜ、私たちが戦わねばならないのです?」

青い服を着た中年女性のアスールがヒイロの『戦え』というニュアンスの言葉に異議を唱える。

「我々はこの君たちの言うシンクロ次元、つまりこのシティを管理する立場にある」

「その立場の私たちが前に出て戦うと、だれもシティの指揮を執る人間がいなくなってしまう。ですな?代表」

「その通り。あなたがたランサーズは融合次元の多次元への侵略の阻止と対抗している組織。そして、ロジェはその融合次元の侵略者。よって、あなた方が彼を倒すことに何も問題はないでしょう」

オレンジと灰色の服の小男、グレイとオレンジ色の服の男、ボルドーの言葉を肯定するように、白い服を着た白髪の老人、ホワイト・タキ代表が笑みを浮かべたまま、まるで自分たちが守られることが当然だと言わんばかりの言動を見せる。

「零児、やはり奴らは…」

「そうです。ロジェがアカデミアの人間だということを知っていました。そして…」

「これ以上言う必要はない。なら…」

「ええ。この次元の事態が収束した後は…任せます」

「わかっている。こういう仕事はお前たちよりも、俺向きだからな」

 

「うう…遊、矢…」

シティの一画で、月影に背負われる形でセキュリティの追跡を逃れていたセレナのブレスレッドが光り始める。

彼女は敗北後、身柄確保のために何らかの薬が注射されており、現在はデュエルができないほど衰弱してしまっている。

このまま連行されそうになったところを零児の命令で彼のもとから離れていた零羅に救出され、そのあとで合流した月影とこうして逃避行を続けている。

「遊矢殿に何かあった…とでも?」

「わからない…だが、胸騒ぎがする…」

「了解した。しかし、まずはセレナ殿をシェイドへ…」

「月影!?あれ…!!」

零羅が驚きながら上空を指さす。

「これは…!」

彼が指さす方向に目を向けた月影は自分の予測以上に進んだ事態を感じる。

夜空にはスカイグライダーやオスプレイのような形のヘリコプターがいくつも舞っている。

双眼鏡を手にした月影はスカイグライダーを操る人物を見る。

「アカデミアか…!」

 

「…!遊矢!?」

突然の揺れで発電機が故障し、真っ暗となったアジト周辺をたき火で明るくしている中、柚子はブレスレッドの光と共に遊矢に危険が迫っていることを感じた。

「柚子!?何しとるんや!急いでこっちに火をもってこんか!」

「ご、ごめんなさい!!里香!」

柚子は急いでライターを里香のもとへもっていく。

「しっかしなんやったんや、あの揺れは。おかげで停電しとるし発電機もおしゃか。ふんだりけったりや!」

先ほどの揺れは短時間の地震だと思った里香はプリプリ怒りながら集めた薪や可燃ごみの塊に火をつける。

今は全員が防衛の準備をしているため、だれもフレンドシップカップを見ている人はいない。

録画はしているというものの、この停電で録画することもテレビを見ることもできない。

「遊矢…」

柚子はこの揺れと遊矢の危機が関係していると思わずにはいられなかった。

このブレスレッドの光は揺れと同時に発していて、その時に同時に遊矢のことが頭に浮かんだからだ。

「オベリスク・フォースが来るぞ!懲罰部隊込みの二個中隊だ!もう来ているぞ!!」

マシンキャバルリーに乗ったまま戻ってきた翔太が準備をするメンバー全員に向けて叫ぶ。

「来ている…じゃと!?」

「狙いは柚子とセレナだ…。柚子はアジトの中に隠れるんだ!」

「え…素良!?」

素良に腕をつかまれた柚子がそのまま彼に引っ張られる形でアジトへ連れていかれる。

望遠鏡を使って警戒していたメンバーも月影と同じものを見たのか、警報音替わりに鐘を鳴らす。

「翔太君、どうして二個中隊だってことが…」

「チームブレイドからの情報だ。詳しいことは後で説明するから、お前も準備しろ!」

「う、うん!!急ごう、ビャッコ!」

「キュイー!」

伊織はなぜかそばにいたビャッコと共にアジトのそばへ行く。

彼女と素良が最終防衛ラインで、3段構えの布陣と漁介、里香、鬼柳、ジョンソンの遊撃部隊でアジトに近づくアカデミアを撃破していくという算段だ。

(チームブレイド…信頼していいんだな…?)

情報提供者があまりにもうさんくさく、翔太は入手したデータを信頼していいのか迷っていた。

だが、データにある時間通りに兵士が上空からきており、それについては正確と言っていい。

問題はその送り込まれた兵士たちの中の1人についてだ。

「ユーリ…アカデミア最強の兵士ってやつか」

 

「災い呼ぶ烈火の竜、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》!」

遊矢の叫びと共に爆発したオーバーレイネットワークの中から《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と似た色彩であるものの、人型で悪魔に近い外見と背中に生えた炎の翼が印象的なまがまがしい竜が姿を現した。

そのモンスターのせいか、周囲の気温が上昇していき、クロウの手が汗でぬれる。

 

覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃3000

 

「なんだ…あのドラゴンは!?」

(よし、非常電源がついた!ええっと…榊遊矢選手、ペンデュラムモンスターとエクシーズモンスターを使ってエクシーズ召喚に成功!うわあ…なんだか熱いぃ…)

非常電源によってマイクとスピーカーが動くようになり、再び実況をするメリッサが温度計を見ると、実況席内の気温はすでに30度後半に入っている。

熱中症になるのを避けるべく、備え付けのスポーツドリンクを飲む。

(ええっと、あのドラゴンのせいでしょうか?一気に気温が上がっています。客席の皆さんも熱中症にご注意をー…)

「《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の効果発動!1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ取り除くことで、相手フィールド上に存在するすべてのカードを破壊する!更に、破壊したカード1枚につき、《レイジング・ドラゴン》の攻撃力はターン終了時まで200アップする!」

「何!?」

《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》がオーバーレイユニットを捕食すると同時に、高熱の熱風が発生する。

熱風によって5体のモンスターが伏せカードもろとも焼き尽くされていく。

「ぐおおおお!!くっそぉ、んだよ、この熱は…!」

全身が焼けるように熱くなったクロウはそれに耐えながら、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を見る。

 

破壊された伏せカード

・攻撃の無力化

・デルタ・クロウ-ブラック・アーツ

 

覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃3000→4400

 

取り除かれたオーバーレイユニット

・EMセカンドンキー

 

(なんてひどい効果!?相手フィールド上のカードを全滅させるだけでなく、自身のパワーアップ!?おまけに攻撃力4400!!一撃で相手プレイヤーを倒せる攻撃力だーーー!!)

「《相生の魔術師》は自分フィールド上に存在するカードの数が相手より多い場合、ペンデュラムスケールが4となる。バトルだ!《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》でダイレクトアタック!憤激のデストラクションバースト!!」

2色の瞳が光り、口から光の奔流のように次々と回転する炎を放っていく。

「させねえぜ!!《銀盾のミストラル》の効果発動!!」

《BF-銀盾のミストラル》の幻影がクロウの盾となって炎を防いでいく。

「こいつが破壊され墓地へ送られたターン、1度だけ俺が受ける戦闘ダメージを0にする!」

《BF-銀盾のミストラル》の力で敗北は免れたものの、クロウの周辺はあの怒りの竜の攻撃の爪跡が生々しく残っていた。

あまりの熱で溶解しかけた壁にコース上で燃え続ける炎。

おまけに近くのビルにも命中したようで、そこでは火災が発生している。

(まずいぜ…こいつを攻撃させるわけにはいかねえ!攻撃させると町が…!!)

クロウの脳裏にトップスもコモンズも問わず、焼き尽くされていく町の光景が浮かぶ。

そして、その炎の中に消えている3人の子供たちの姿も…。

「くっそお!!しっかりしやがれ、遊矢!お前はエンターテイナーになるんじゃなかったのかよ!?」

「《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》は1ターンに1度攻撃することができる!!」

「何!?」

遊矢からまるで死刑宣告を突き付けんばかりにクロウにもう1つの効果を宣言する。

再び目が光った《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》があの炎の奔流を放とうとしている。

「やめろーーーー!!!」

先ほどはコースや建物に被害が発生するだけで済んだ。

だが、そんな幸運は何度も続かない。

このような威力の炎を街中で放たれたら、多くの犠牲者が生まれてしまう。

クロウは目の前のアクションカードパネルを通過する。

「俺はアクション魔法《大脱出》を発動!バトルフェイズを強制終了させる!」

バトルフェイズが終わったことで、《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の口に宿った炎が消えていく。

根本的な対処とはならないが、これで1ターンは生き延びるチャンスを手に入れることができた。

 

クロウ

SPC4→5

 

「俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド!!」

 

 

クロウ

手札1

SPC5

ライフ3700

場 なし

 

遊矢

手札4→2

SPC7→0

ライフ4000

場 覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン(オーバーレイユニット3) ランク7 攻撃4400→3000

  伏せカード3

  相克の魔術師(青) Pスケール3

  相生の魔術師(赤) Pスケール8

 

「くっそぉ、遊矢…!」

なんとか《大脱出》のおかげで、攻撃を防ぐことができたものの、これ以上攻撃を許したらシティが崩壊してしまう。

トップスもコモンズも関係なく、あの炎に焼かれてしまう。

「シティを守るためにも、まずはそのドラゴンを倒してやるぜ!俺のターン!!」

 

クロウ

手札1→2

SPC5→7

 

遊矢

SPC0→2

 

「俺は《スピード・ワールド・A》の効果発動!スピードカウンターを7つ取り除き、デッキからカードを1枚ドローする!そして、俺は手札から《BF-極北のブリザード》を召喚!」

 

BF-極北のブリザード レベル2 攻撃1300(チューナー)

 

「このカードの召喚に成功したとき、墓地からレベル4以下のBF1体を特殊召喚できる!俺は墓地から《BF-蒼炎のシュラ》を特殊召喚!」

クロウのデュエルディスクの墓地が光り、その中から《BF-蒼炎のシュラ》が飛び出す。

 

BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

 

「俺はレベル4の《蒼炎のシュラ》にレベル2の《極北のブリザード》をチューニング!竜の心臓を貫きし剣よ、星空の元、黒き翼の手に現れろ!シンクロ召喚!吹きすさべ、《BF-星影のノートゥング》!!」

 

BF-星影のノートゥング レベル6 攻撃2400

 

「《星影のノートゥング》の効果発動!1ターンに1度、このカードの特殊召喚に成功したとき、相手に800のダメージを与え、相手モンスター1体の攻撃力・守備力を800ダウンさせる!舞い戻る剣!!」

《BF-星影のノートゥング》が剣を投げる。

剣は召喚エネルギーに弾かれ、遊矢自身に命中しなかったものの、そのまま《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の胴体を傷つける。

自身にて傷を負わせた剣の持ち主を《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》はにらみつける。

 

遊矢

ライフ4000→3200

SPC9→8

 

覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃3000→2200

 

「更に俺は《星影のノートゥング》の効果を発動!こいつがフィールド上に存在する限り、俺は手札のBF1体を追加で通常召喚できる!俺は手札から《BF-竜巻のハリケーン》を召喚!」

 

BF-竜巻のハリケーン レベル1 攻撃0(チューナー)

 

「こいつは1ターンに1度、自身の攻撃力をターン終了時までフィールド上のシンクロモンスター1体と同じにすることができる!俺は《BF-星影のノートゥング》を選択!」

 

BF-竜巻のハリケーン レベル1 攻撃0→2400(チューナー)

「バトルだ!《星影のノートゥング》で《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を攻撃!!」

剣を手にした《BF-星影のノートゥング》が飛翔し、正面から《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を切り裂こうとする。

「俺は罠カード《ハーフ・アンブレイク》を発動!フィールド上に存在するモンスター1体はこのターン、戦闘では破壊されず、俺が受ける戦闘ダメージも半分になる!」

《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の羽根代わりに宿っている炎がバリアに変化し、怒りの竜を包んでいく。

龍殺しの剣と炎のバリアがぶつかり合い、攻撃の余波が遊矢を襲う。

 

遊矢

ライフ3200→3100

 

「だったら、可能な限り戦闘ダメージを与えてやるぜ!《竜巻のハリケーン》で攻撃だ!」

《BF-竜巻のハリケーン》の自分の体を回転させ、その名の通りハリケーンを発生させる。

ハリケーンをうけた《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》だが、やはり先ほどと同じように炎のバリアに防がれてしまう。

 

遊矢

ライフ3100→3000

 

「まだだ!俺はレベル6の《星影のノートゥング》にレベル1の《竜巻のハリケーン》をチューニング!漆黒の翼翻し、雷鳴と共に走れ!電光の斬撃!シンクロ召喚!降り注げ、《ABF-驟雨のライキリ》!!」

 

ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)

 

「そして、墓地の《デルタ・クロウ-ブラック・アーツ》の効果発動!俺が3回目のBFの特殊召喚に成功したとき、1度だけ墓地に存在するこのカードを俺のフィールド上にセットできる!そして、墓地の《精鋭のゼピュロス》の効果発動!俺のフィールド上に存在するカード1枚を手札に戻すことで、墓地から特殊召喚できる!」

墓地から戻ってきたばかりの《デルタ・クロウ-ブラック・アーツ》を手札に戻し、《BF-精鋭のゼピュロス》が墓地から飛び出してくる。

 

BF-精鋭のゼピュロス レベル4 守備1000

 

「そして、俺は400のダメージを受ける!!」

 

クロウ

ライフ3700→3300

 

「更に《驟雨のライキリ》の効果発動!1ターンに1度、俺のフィールド上に存在するこのカード以外のBFの数だけ、相手フィールド上に存在するカードを破壊する!今度こそ《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を破壊してやるぜ!!」

雷鳴を刀に宿した《ABF-驟雨のライキリ》がその刃で炎のバリアの中に身を隠す《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を切り裂こうとする。

「俺は罠カード《ペンデュラム・バリア》を発動!俺のフィールド上に存在するペンデュラムモンスター、またはペンデュラムカード1体を選択し、そのカードはこのターン、戦闘及びカード効果では破壊されない!」

「くっそぉ!また防がれるのかよ!?」

炎のバリアの上にさらにピンク色のバリアが発生し、二段構えのバリアで雷鳴の刃が受け止められる。

 

ペンデュラム・バリア

通常罠カード

(1):自分モンスターゾーンに存在するPモンスター、もしくはPゾーンに存在するPカード1枚を対象に発動できる。そのカードはターン終了時まで戦闘、及び効果によって破壊されない。

 

(ちっくしょお…これでも破壊できねえとしたら、あとはこいつだけか…)

クロウは先ほど手札に加えたカードをじっと見る。

そして、自分の前を走り続ける遊矢に目を向けた。

「…。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

クロウ

手札2→0

SPC7→0

ライフ3700

場 ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)

  BF-精鋭のゼピュロス レベル4 守備1000

  伏せカード2

 

遊矢

手札2

SPC2

ライフ3000

場 覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン(オーバーレイユニット3) ランク7 攻撃2200

  伏せカード1

  相克の魔術師(青) Pスケール3

  相生の魔術師(赤) Pスケール8

 

「俺の…ターン!!」

 

遊矢

手札2→3

SPC2→4

 

クロウ

SPC0→2

 

「罠発動!《ブレイクスルー・スキル》!!相手フィールド上のモンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!」

《ブレイクスルー・スキル》から放たれる白い本流を受けた《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の体に宿る炎が小さくなる。

これで、あの大量破壊・パワーアップ効果を発動できなくなった。

コースがダメージを負っているせいか、アクションカードパネルが消滅しており、もう2人はアクションカードを手にすることができない。

「俺は手札から罠カード《覇王激高》を発動。このカードは俺のフィールド上に存在するモンスターが覇王モンスター1体のみの場合、手札から発動できる」

「何ぃ!?」

「このカードは俺のフィールド上に存在する覇王モンスターの攻撃力をターン終了時まで1500アップさせる」

 

覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン ランク7 攻撃2200→3700

 

覇王激高

通常罠カード

自分フィールド上に存在するモンスターが「覇王」モンスター1体のみの場合、手札から発動できる。

(1):自分フィールド上に存在する「覇王」モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターの攻撃力をターン終了時まで1500アップする。

 

(なんと罠カードの効果で《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》の攻撃力がアップ!どうする?クロウ・ホーガンーーー!!)

「バトルだ!《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》で《驟雨のライキリ》を攻撃!!」

攻撃宣言と同時に小さくなっていた炎が再び大きくなり、口には炎の奔流が宿る。

再びクロウをシティもろとも焼き尽くそうと、先ほど以上に力を口に集中させていく。

「させるかよぉーー!!俺は罠カード《デルタ・クロウ-ブラック・アーツ》を発動!!」

《ABF-驟雨のライキリ》が炎を放とうとする前に切り裂こうと飛翔、突撃していく。

(《驟雨のライキリ》、主を守るため、わが身を盾に飛び出していくーーー!!)

「俺のフィールド上に存在するBFシンクロモンスターが相手モンスターと戦闘を行うとき、ダメージステップ終了時まで、戦闘する相手モンスターの攻撃力分、攻撃力がアップする!!《ブレイクスルー・スキル》を防げなかった時点で《オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》!!てめーの敗北は確定していたんだよ!!」

「何!?」

目の前の羽虫を焼くため、口から炎の奔流を放つが、その炎は《ABF-驟雨のライキリ》が飛び散らした黒羽に触れた瞬間、電撃に変わって刀に吸収されていく。

 

ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600→6300

 

「いっけえええ、《驟雨のライキリ》!!」

膨大な電気を宿した刀を手に《ABF-驟雨のライキリ》が雲を突き破って上昇していく。

そして、空中で反転し、そのまま落下しながら《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》を真っ二つに切り裂いた。

切り裂かれた怒りの竜は悲鳴を上げながら爆発し、爆風が2人を襲う。

「うおおおおお!!」

「がああああ!!」

 

遊矢

ライフ3000→400

SPC4→1

 

クロウ

ライフ3700→1100

SPC2→0

 

「ぐうう…《デルタ・クロウ-ブラック・アーツ》の効果を受けた俺のモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、発生した戦闘ダメージと同じ数値分のダメージを受ける…!」

 

デルタ・クロウ-ブラック・アーツ

通常罠カード

「デルタ・クロウ-ブラック・アーツ」の(2)の効果はデュエル中1回しか発動できない。

(1):自分フィールド上に存在する「BF」Sモンスターが相手モンスターと戦闘を行うときに発動できる。ダメージステップ終了時まで、そのモンスターの攻撃力は戦闘を行う相手モンスターの攻撃力分アップする。その効果を受けたモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、発生した戦闘ダメージと同じ数値分、自分はダメージを受ける。

(2):自分が「BF」モンスターを3回特殊召喚に成功したターンに発動できる。墓地に存在するこのカードを自分の魔法・罠ゾーンにセットする。この効果でセットされたこのカードはそのターンに発動できる。

 

「目を覚ませ、遊矢!!」

《覇王烈竜オッドアイズ・レイジング・ドラゴン》が破壊されたためか、遊矢を包む召喚エネルギーが消えていき、むき出しになったマシンレッドクラウンのフレームの色が黒く変色していく。

「俺…は…罠カード…《ペンデュラム・ショック》を発動…。俺のフィールド上に存在する…ペンデュラムモンスターが破壊されたとき…そのモンスターの…元々の攻撃力分のダメージを…相手に、与える…」

意識がうつろになった状態で、遊矢は最後の罠カードを発動する。

「くそ…遊矢!道は開くぜーーー!!」

刀を投げ捨てた《ABF-驟雨のライキリ》がマシンレッドクラウンをつかむ。

そして、《ペンデュラム・ショック》からビームが発射されると同時に《ABF-驟雨のライキリ》はそれをコースの外へ投げ込んだ。

偶然、このコースは一番高さが低いコースであり、落下したとしてもライディングスーツが体を守ってくれる。

「クロ…ウ…」

「悪い、遊矢…!俺にできることはここまでだ…絶対にセレナを助けろーーー!!ぐあああああ!!」

《ペンデュラム・ショック》が直撃し、ブラックバードがボロボロのコース状をバウンドしたせいで、クロウの体が投げ出され、コース状を転げまわる。

「クロウーーーーー!!!」

ようやく意識が戻った遊矢は落下する中、必死にクロウに手を伸ばし続けた。

コース上でうつぶせに倒れるクロウの額や口元からは血が流れており、バイザーにも大きなひびが入っている。

「やってみせろ…よ…遊、矢…」

 

クロウ

ライフ1100→0

 

「クロウ…!うおおおお!!」

気持ちを切り替えた遊矢はトンボ型シルエット『ドラゴンフライ』を実体化し、マシンレッドクラウンと合体させる。

空中で姿勢を制御し、路上を低空飛行しながらそのシルエットを解除、そのまま着地した。

「くそぉ!!俺は…俺はまた!!」

ヘルメットを投げ捨てた遊矢はディスプレイに拳をたたきつける。

再び、舞網チャンピオンシップの時のような暴走を起こしてしまった。

それを抑えるカードを受け取っていたにもかかわらず。

遊矢の想像を上回るほど、その力は強くなってしまっているということか。

「くっ…今はそんなことを考えるよりも!」

もうすでにロジェはセキュリティを使ってセレナを探している。

ここに立ち止まる暇のない遊矢は後悔を振り払いながら、マシンレッドクラウンを走らせた。

 

「ふっ、もう時間稼ぎは十分です」

2人のデュエルを観戦していたロジェは通信を治安維持局の研究施設につなげる。

そこにも非常電源があり、既に起動しているおかげか、すぐにつながった。

「私です。調整は完了していますね?では…彼に柊柚子とセレナの確保を…」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。