「《ペイルライダー・ムーンレイス》で相手フィールド上のモンスターすべてを攻撃!」
《魔装騎士ペイルライダー・ムーンレイス》の全身の火器が一斉発射し、オベリスクフォースの古代の機械モンスター達を焼き尽くしていく。
「「ぐおおおお!?!?」」
オベリクスフォースA
ライフ1200→0
オベリスクフォースB
ライフ2100→0
オベリスクフォースC
ライフ200→0
倒されたオベリスクフォースが気を失い、デュエルディスクで自動的に融合次元へ転送される。
「奴らにリンチ戦法を許すな!なんとしても1VS1に持ち込め!」
次々と現れるオベリスクフォースを撃破しつつ、翔太はシェイドのメンバーたちに指示を出す。
オベリスクフォースが襲来してから既に1時間。
翔太1人ですでに10人以上のオベリスクフォースを撃破しており、周囲に敵がいない間に翔太は自身の状況をリセットする。
これでまた手札5・ライフ4000からデュエルを開始できる。
「モハメド、状況はどうなってる?」
「ああ。基地に空中から接近してきた奴らは遊撃部隊が倒している。だが、やはり相手の数は俺たちよりも多い。信号がロストした味方の数は4だ」
モハメドからの通信を受けた翔太は沈黙する。
翔太は指揮をモハメドに任せ、最前線でオベリスクフォースを狩り続けている。
しかし、どうしても撃ち漏らしてしまう敵もあり、さらに別方面からの部隊の存在もあり、いくら連戦連勝を重ねたとしても味方に犠牲が出てしまう。
あとどれだけ戦えば、相手が撤退するのかわからない。
「ついでに報告だ。セキュリティの奴らは融合次元の兵士たちと交戦している。うまくいけば、奴らがつぶしあって数を減らしてくれ…る、か…」
急に通信機に砂嵐の音が鳴り始める。
プラシドの時のような、ジャミングが近くで発生しているのか、ほかの味方に通信をつなげようとしてもつながらない。
「ちっ…」
通信をあきらめた翔太はジャミングを起こしている犯人を捜そうと立ち上がる。
翔太の左右を挟み撃ちするかのように、2機のディアボロが近づいている。
さらに、前方からは3人のオベリスクフォースが近づいてきている。
(奴らにかませ犬になってもらうか)
立ち上がるのをやめた翔太は匍匐状態になり、がれきの中に身を隠して、遭遇したディアボロとオベリスクフォースのデュエルを観戦する。
「ヘッ、ただの機械の俺たちオベリスクフォースが負けるはずがないだろう!」
2機のディアボロがモンスターを裏守備表示で召喚した後、3人のオベリスクフォースは常套手段として、《古代の機械猟犬》による連続効果ダメージでディアボロ2機にダメージを与える。
だが、笑っていられたのは最初のターンだけだった。
「私は《ヒキャ-Q》の効果で相手フィールド上に特殊召喚した《超重武者ビッグベン-K》にレベル2の《タマ-C》をチューニング。シンクロ召喚。レベル10。《超重荒神スサノ-O》!」
「こいつは…!」
ディアボロがシンクロ召喚した《超重武者スサノ-O》の姿、そして即座に装備された《超重武者装留ダブル・ホーン》と《超重武者装留イワトオシ》を見た翔太は驚きを見せた。
その戦略は最近全く姿を見ていない権現坂の戦術のそのものだったからだ。
ディアボロが治安維持局の兵器であるなら、おそらくフレンドシップカップで出場者たちのデュエルデータを入手し、彼らの戦術とデッキをコピーしたのだろう。
貫通効果を得た上に、2回攻撃できるようになった《超重武者スサノ-O》は相手フィールド上の《超重武者ツヅ-3》を撃破し、オベリスクフォースの1人を1ショットキルで仕留める。
さらに、《超重武者ツヅ-3》の効果で復活した《超重武者ビッグベン-K》と《超重武者スサノ-O》による攻撃でさらにもう1人も葬られる。
最後に残った1人は怖気づいて、逃げ出そうとするがもう1人のディアボロが見逃すはずもなく、ペンデュラム召喚した《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《EMスライハント・マジシャン》による連続攻撃によって倒された。
「おいおい、遊矢と権現坂の両方が相手かよ?」
バトルロワイヤルルールでのデュエルであるため、遊矢のデータを持つディアボロが魔法・罠カードを使っても、権現坂のデータを持つディアボロには影響はない。
手加減して勝てる相手ではない2人のデータを持つディアボロがセンサーによって周囲を捜索しはじめ、翔太を見つける。
「仕方ないな…こいつを通すわけにはいかないからな…!」
起き上がった翔太は状況をリセットした2機のディアボロと対峙する。
「おい、ポンコツロボットども!この前の奴と同じように、スクラップにしてやる!」
「対象を発見。速やかに、対象を拘束し、柊柚子の情報を手に入れる」
「並びに、不足データの回収も行う。アクションフィールド、《クロス・オーバー》発動」
「俺のデータがほしいか…?だったら、いくらでもくれてやるよ」
周囲に透明の足場とアクションカードがいくつも生み出される中で、2機のディアボロが横並びになって翔太と対峙する。
周囲ではディアボロとセキュリティの連合とオベリスクフォースがつぶしあいを演じている。
「「デュエル!!」」
翔太
手札5
ライフ4000
ディアボロ(遊矢)
手札5
ライフ4000
ディアボロ(権現坂)
手札5
ライフ4000
「俺の先攻。俺はモンスターを裏守備表示で召喚。ターンエンド」
翔太
手札5→4
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
ディアボロ(遊矢)
手札5
ライフ4000
場 なし
ディアボロ(権現坂)
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン。私はスケール1の《EMユーゴーレム》とスケール8の《EMオッドアイズ・ユニコーン》でペンデュラムスケールをセッティング」
2つのU字がたでクリーム色のレンガでできた煙突をくっつけたように石人形と《EMオッドアイズ・ユニコーン》が青い光の柱を生み出す。
「ペンデュラム召喚。現れろ、《EMオッドアイズ・ライトフェニックス》、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》」
青いゲートの中から《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と同じ目でシルクハットをつけたオレンジ色の鳥獣と《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》が飛び出してくる。
機械が召喚したモンスターのせいか、咆哮することなく、ただ光の中から出てきただけだ。
EMオッドアイズ・ライトフェニックス レベル5 攻撃2000
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
「私はこれでターンエンド」
翔太
手札4
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
ディアボロ(遊矢)
手札5→1
ライフ4000
場 EMドアイズ・ライトフェニックス レベル5 攻撃2000
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
EMユーゴーレム(青) Pスケール1
EMオッドアイズ・ユニコーン(赤) Pスケール8
ディアボロ(権現坂)
手札5
ライフ4000
場 なし
「私のターン、私は手札より《超重武者カゲボウ-C》を召喚」
超重武者カゲボウ-C レベル3 攻撃500
「このカードをリリースすることで、手札から超重武者モンスター1体を特殊召喚できる。私は手札から《超重武者ビッグベン-K》を守備表示で特殊召喚。これでターンエンド」
翔太
手札4
ライフ4000
場 裏守備モンスター1
ディアボロ(遊矢)
手札1
ライフ4000
場 EMオッドアイズ・ライトフェニックス レベル5 攻撃2000
オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500
EMユーゴーレム(青) Pスケール1
EMオッドアイズ・ユニコーン(赤) Pスケール8
ディアボロ(権現坂)
手札5→3
ライフ4000
場 超重武者ビッグベン-K レベル8 守備3500
「俺のターン!」
翔太
手札4→5
「俺はセットしている《魔装霊レブナント》を反転召喚し、リバース効果を発動!デッキから《魔装騎士ペイルライダー》を手札に加える」
魔装霊レブナント レベル2 攻撃600(チューナー)
「さらに手札から魔法カード《魔装融合》を発動。手札の《ペイルライダー》と《ムネシゲ》、そしてフィールド上の《レブナント》を融合。第4の騎士よ、義理を守りし剣士よ、現世によみがえりし死者の魂よ、魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!真紅の騎士、《魔装騎士レッドライダー》!!」
魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000
「《レッドライダー》はモンスターの特殊召喚に成功した俺のターンのバトルフェイズ中だけ、攻撃力が1000アップする。そして、俺は手札から魔法カード《魔装天啓》を発動。墓地から《ペイルライダー》と《ムネシゲ》を手札に加える。そして、俺はスケール2の《魔装槍士タダカツ》とスケール9の《魔装剣士ムネシゲ》でペンデュラムスケールをセッティング。来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!来い、《魔装砲士ボナパルド》!」
魔装砲士ボナパルド レベル5 攻撃2100
「《ボナパルド》の効果発動。このカードを手札からペンデュラム召喚に成功したとき、相手フィールド上に存在するモンスターの数が俺よりも多いとき、デッキからカードを2枚ドローできる。さらに俺は《魔装壁ゴルゴー》を召喚!」
魔装壁ゴルゴー レベル2 攻撃0(チューナー)
「レベル5の《ボナパルド》にレベル2の《ゴルゴー》をチューニング。黄金の剛腕を持つ漆黒の戦士、その気高き力で道を拓け。シンクロ召喚!現れろ、《魔装剛毅クレイトス》!」
魔装剛毅クレイトス レベル7 攻撃2600
「《ゴルゴー》を素材にシンクロ召喚されたモンスターは相手のカード効果では破壊されない!」
準備を整えた翔太は足場を飛び移り、空中に浮かんでいるアクションカードを手にする。
「バトルだ。《レッドライダー》で《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を攻撃!必殺真剣!」
《魔装騎士レッドライダー》が大剣をふるい、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》を真っ二つに切り裂く。
切り裂かれたモンスターは特に何も反応を示さないまま消滅した。
魔装騎士レッドライダー レベル8 攻撃3000→4000(バトルフェイズ中のみ)
ディアボロ(遊矢)
ライフ4000→2500
「更に、《レッドライダー》の効果発動。このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、続けてもう1度だけ相手モンスターに攻撃することができる。今度は《ビッグベン-K》を攻撃!」
《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の消滅を見届けた《魔装騎士レッドライダー》の目が《超重武者ビッグベン-K》に向けられる。
大剣を手に、巨大な機械僧兵の前までひとっとびで接近し、横に両断した。
「さらに俺はアクション魔法《ワンダーチャンス》を発動。この効果で《レッドライダー》はもう1度攻撃できる。俺は《レッドライダー》で《オッドアイズ・ライトフェニックス》を攻撃!」
《魔装騎士レッドライダー》が上空でぷかぷか浮いたままの《EMオッドアイズ・ライトフェニックス》に向けて大剣を投げつける。
肉厚の刀身に貫かれた2色眼の不死鳥は消滅した。
ディアボロ(遊矢)
ライフ2500→500
「《クレイトス》で劣化遊矢を攻撃。ゴールデン・アッパー!」
《魔装剛毅クレイトス》の拳がディアボロ(遊矢)の腹部を貫き、手足と頭部をバラバラに吹き飛ばした。
ディアボロ(遊矢)
ライフ500→0
「さらに俺は手札から速攻魔法《ロンギヌスの槍》を発動。俺のフィールド上に存在する魔装と名の付くシンクロ、エクシーズ、融合モンスターはもう1度だけ攻撃できる。だが、この効果を受けたモンスターはバトルフェイズ終了時に破壊される。《レッドライダー》で権現坂モドキにダイレクトアタック!」
大剣が手元にない《魔装騎士レッドライダー》はディアボロ(権現坂)をつかむと、そのまま拳ごと壁に叩き込んだ。
大剣を獲物にしているだけあって、腕の力は4騎士の中でも一番である赤い騎士の一撃を受けたディアボロ(権現坂)は叩き込まれると同時にばらばらに吹き飛んでいった。
ディアボロ(権現坂)
ライフ4000→0
ロンギヌスの槍
速攻魔法
「ロンギヌスの槍」の(1)(2)の効果は1ターンに1度にいずれかしか発動できない。
(1):自分フィールド上に存在する「魔装」S・X・融合モンスター1体を対象に発動できる。そのモンスターはもう1度だけ攻撃できる。この効果を受けたモンスターはバトルフェイズ終了時に破壊される。
(2):自分フィールド上に存在する「魔装騎士」モンスターが戦闘で相手モンスターを破壊できなかったとき、墓地に存在するこのカードを除外することで発動できる。そのモンスターは続けてもう1度だけ攻撃することができる。その時、そのモンスターの攻撃力はダメージステップ終了時まで倍となる。
「楽に倒せたとはいえ、気分が悪いな…」
ばらばらになった2機のディアボロを見て、舌打ちした翔太はそれらの残骸からデュエルディスクを回収する。
しかし、墓地とエクストラデッキ、デッキにあるカードはすべて真っ白になっていた。
「機密保持のためか…あの機皇帝を使ってたやつと違って、レベルが低くて助かったぜ」
前に戦ったあのロボットは十分にテストと効率化を果たして投入されたおかげか、かなりの実力を持っていたが、今回は違った。
フレンドシップカップが開催中であり、テストをする時間があまりなかったのか、あっさりと1ターン2キルしてしまい、拍子抜けする。
(こいつらが学習を重ねたら、危ないだろうな…)
ピリリリ…と、デュエルディスクから音が鳴る。
「モハメドか」
(翔太、いったい何があった!?)
「前のロボットと同じジャミング付きと戦っていた」
(だから通信がつながらなかったのか…!?それが…柚子の嬢ちゃんがいなくなった!)
「はぁ!?伊織と素良が見ていただろ??」
(それが…素良が倒れて…)
「ちっ…居場所を教えろ!俺があのバカを連れ戻す!」
翔太のことがあったため、伊織たちのデュエルディスクには発信機がつけられており、いざというときには互いに場所が分かるようになっている。
なお、翔太もアジトに戻った際に同じ発信機をデュエルディスクに取り付けてもらっている。
「場所は…よし!全員に伝えろ、フレンドシップカップの出場者のデュエルデータとデッキを持ったロボットを治安維持局が使っているとな!」
通信を切ると、翔太は受信している信号に従い、柚子の捜索を始めた。
「はあ、はあ、はあ…ちょっとだけ、うつ量が足りてなかったかな…?」
「素良…何か病気でも…?」
伊織に介抱された素良は注射を打った後、伊織の質問に答えることなくキャンディを舐め始める。
「答えてよ、素良!」
「ごめん…今は何も聞かないでほしい。あと、さっきのことは誰にも言わないで。もう、大丈夫だから…!」
立ち上がった素良はデュエルディスクを展開し、宿舎を出ようと歩き出す。
「伊織は柚子を追いかけて。今は僕よりも君が動いた方がいい」
「素良…」
「頼んだよ、伊織」
伊織の目をじっと見ながらそういうと、素良は外へ出ていく。
伊織のそばには先ほど彼が使っていたからの注射器が残されていた。
(素良…)
伊織はデュエルディスクを操作し、柚子の居場所を特定する。
そして、モハメドに連絡をした後でアジトを飛び出していった。
「ったく、単独行動が2人って…どれだけ立て直しをすればいいんだ?」
胃薬を飲みたくなるような思いになりながら、モハメドはメンバーに指示を続ける。
(上空に複数のヘリが出現!!)
「ヘリだと…?映像を送れ!」
前線から入ってきた情報に驚きながらも、すぐに通信してきた兵士に指示を出す。
すると、手元の端末にすぐにその映像が送られてきた。
灰色の装甲で、横に緑色の羽根が左右についている白いライオンの頭部を模ったエンブレムがついている。
「これは…ヴァプラ隊だ。援軍を…?」
(続けて報告!チームオーファンのなわばりからロボットが!!)
「奴ら…やはり治安維持局と…!」
チームオーファンの戦力が治安維持局側に加わり、こちらにはヴァプラ隊が加わった。
だが、チームオーファンの戦力がコモンズの約半分を支配している分、数は相手の方が上なのは確実だ。
もうすぐ、時刻は午後11時になろうとしている。
夜が明けたとき、果たしてランサーズとロジェ、そしてアカデミア、その3者の中で誰が笑うのか、まだだれにもわからなかった。