遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

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第83話 絶対王者の心

「はああ!!」

治安維持局の中で、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と《覚醒の魔導剣士》、《EMハンマーマンモ》が3人のセキュリティを吹き飛ばす。

遊矢の周囲には倒されたセキュリティの面々が横たわっているが、ロジェの人形となっているセキュリティは何も動揺を見せることなく、遊矢に襲い掛かる。

「どけよ…」

遊矢の口から彼の物ともユートのものとも思えない低い声が出る。

それを気にすることなく、セキュリティは《ゴヨウ・エンペラー》を融合召喚し、更に《ゴヨウ・キング》をシンクロ召喚する。

「どけ、と言ったはずだ。どかなければ、この力で貴様らを排除する!」

遊矢の体がファントムライトと同じ赤い召喚エネルギーの嵐に包まれ、ペンデュラムの色も赤く染まる。

そして、フィールド上の《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と手札のモンスターを素材に《オッドアイズ・ボルテックス・ドラゴン》を融合召喚した。

 

「《ペイルライダー》、奴を消し飛ばせ!!」

旧不動区に着地し、拠点である研究所に入った翔太たちを出迎えたディアボロ達を《魔装騎士ペイルライダー》がマシンガンで薙ぎ払う。

この攻撃で3体のディアボロを撃破したものの、それでもまだ数えきれないほどのディアボロが研究所内にいて、侵入してきた翔太と伊織を倒そうと動き出す。

「ぐう…こんなに、敵がいるなんてー…」

「本拠地なんだ…数が多くて、当然だろ!?」

そういう翔太も、シェイドと全面戦争を開始している以上、ある程度ディアボロは出払っていると思っていた。

だが、大量生産のシステムがずっと前からすでにできていたかのように、数多くのディアボロが配備されており、こうしている間にも外にいるディアボロが中に入ってくる。

「翔太君!この階段を使えば…!」

「ああ…だったら、こいつらが邪魔だな!」

扉を守るように、2機のディアボロが立っている。

翔太と伊織はデュエルディスクの状況をリセットし、2機と対峙する。

 

ディアボロA&B

手札

A5

B5

ライフ4000

 

翔太&伊織

手札

翔太5

伊織5

ライフ4000

 

「私のターン…。私は手札から永続魔法《黒い旋風》を発動。そして、手札から《BF-蒼炎のシュラ》を召喚」

 

BF-蒼炎のシュラ レベル4 攻撃1800

 

「《黒い旋風》の効果発動。デッキから《蒼炎のシュラ》以下の攻撃力を持つBF、《BF-疾風のゲイル》を手札に加える。《疾風のゲイル》は自分フィールド上にBFが存在するとき、手札から特殊召喚できる」

 

BF-疾風のゲイル レベル3 攻撃1300(チューナー)

 

「更に、手札から《BF-残夜のクリス》を特殊召喚。このカードは自分フィールド上にBFが存在するとき、手札から特殊召喚できる」

 

BF-残夜のクリス レベル4 攻撃1900

 

「《BF-突風のオロシ》も同様の効果で特殊召喚」

 

BF-突風のオロシ レベル1 攻撃400(チューナー)

 

「こいつ…あのトゲトゲMデコのデッキをコピーしている…!」

「レベル4の《蒼炎のシュラ》にレベル3の《疾風のゲイル》をチューニング。レベル4の《残夜のクリス》にレベル1の《突風のオロシ》をチューニング」

直立した4体のモンスターが必要最低限の動きでシンクロ召喚の体勢に入る。

「うわ…まったくモンスターに動きがない…」

「やっぱり機械にはモンスターが動く面白さがわからないみたいだな」

「お…?あの翔太君が面白さについて話をするなんてー」

「んだよ…?」

面白そうに笑う伊織を不愉快に思ったのか、彼女に目を合わせないようにする。

「ダブルシンクロ召喚。《ABF-驟雨のライキリ》、《ABF-五月雨のソハヤ》」

やはり2体のシンクロモンスターも直立したまま天井に現れたチューニングリングから降りてくる。

クロウが召喚したときは雷雲が発生するなど、とても派手な演出が繰り広げられていたのを考えると、何かむなしいものがある。

 

ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)

ABF-五月雨のソハヤ レベル5 守備2000(チューナー)

 

「更に、手札から《BF-砂塵のハルマッタン》を特殊召喚。このカードも《疾風のゲイル》と同じ効果で特殊召喚できる」

 

BF-砂塵のハルマッタン レベル2 攻撃800

 

「レベル2の《砂塵のハルマッタン》にレベル5の《五月雨のソハヤ》をチューニング。シンクロ召喚。《ABF-涙雨のチドリ》」

 

ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃2600

 

「《涙雨のチドリ》は墓地のBFの数×300攻撃力がアップ」

 

ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃2600→4400(チューナー)

 

「これで、ターンエンド」

 

ディアボロA&B

手札

A5→0

B5

ライフ4000

場 ABF-涙雨のチドリ レベル7 攻撃4400(チューナー)

  ABF-驟雨のライキリ レベル7 攻撃2600(チューナー)

  黒い旋風(永続魔法)

 

翔太&伊織

手札

翔太5

伊織5

ライフ4000

場 なし

 

「おいおい、劣化権現坂と同じパターンかよ…」

権現坂のデータを得たディアボロとデュエルをしたときのことを思い出す。

強力なモンスターを召喚しただけで、伏せカードもない。

《黒い旋風》以外に魔法・罠カードがなかったため、仕方がないかもしれないが、それでも何か本人たちとのデュエルよりも物足りなさを感じてしまう。

「ま…その方がやりやすいけど…な!俺のターン!」

 

翔太

手札5→6

 

「俺は手札の《魔装騎士ケントゥリア》の効果を発動。こいつは手札・墓地の魔装騎士1体を除外することで、手札・エクストラデッキから特殊召喚できる。俺は《ペイルライダー》を除外し、《ケントゥリア》を特殊召喚」

 

魔装騎士ケントゥリア レベル2 攻撃300(チューナー)

 

「更に俺はスケール4の《魔装斬鬼ロクベエ》とスケール8の《魔装鬼ストリゴイ》をペンデュラムスケールにセッティング。更に、《ロクベエ》のペンデュラム効果発動。このカードは俺のフィールド上に存在するモンスターが魔装騎士1体のみの場合、ペンデュラムゾーンから特殊召喚できる」

《魔装斬鬼ロクベエ》が自ら斬馬刀で青い光の柱を切り裂いて、フィールドへ飛び出してくる。

 

魔装斬鬼ロクベエ レベル4 攻撃1800

 

「そして、空いたペンデュラムゾーンにスケール4の《魔装弓士ロビン・フッド》をセッティング。そして、俺はペンデュラムゾーンに存在するレベル3の《ロビン・フッド》とレベル5の《ストリゴイ》にレベル2の《ケントゥリア》をチューニング!」

3体のモンスターが天井を突き破り、シンクロ召喚の体勢に入る。

そして、チューニングリングの中から現れた《魔装騎士ペイルライダー》の鎧にひびが入る。

「死者と生者を整理せし漆黒の力、今こそ惰生をむさぼりし魂を無へ落とせ!ペンデュラムシンクロ!現れろ、魂を無へ導く者、《魔装騎士HADES》!」

鎧が完全に砕け散り、その中から《魔装騎士HADES》が現れる。

「うわぁ、惰生をむさぼりし魂を無へ落とせって…すっごい物騒なセリフ…」

「放っておけ。遊矢の《オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン》よりはマシだ」

伊織と話しながら、翔太は自分の体の異常を確かめる。

初めてこのカードを召喚したときはとてつもない殺意によって暴走しかけたが、今回は何も影響がない。

 

魔装騎士HADES レベル10 攻撃3000

 

「《HADES》の効果発動!このカードがシンクロ召喚に成功したとき、フィールド上のカードを3枚まで破壊することができる!」

《魔装騎士HADES》が2本のナイフを2体のABFに向けて投げつける。

ナイフが刺さった瞬間、それがマグマに変化したそのモンスターを焼き尽くしていく。

自分の体が燃えているにもかかわらず、彼らは最後まで表情1つ変えず、動作することもなかった。

「《HADES》と《ロクベエ》でダイレクトアタック!」

《魔装騎士HADES》と《魔装斬鬼ロクベエ》が斬馬刀を手に、2機のディアボロを真っ二つに切り裂いた。

 

ディアボロA&B

ライフ4000→1000→0

 

2体の攻撃が余波によって、2機の背後のドアが砕け散る。

「翔太君!」

「ちっ…もうここまで…」

背後や左右からディアボロの集団がやってくる。

扉を壊してしまったことで、入った後で封鎖するというやり方が取れない。

「翔太君…ここは私が足止めする!だから…!」

「何言っている!?どれだけあのロボットがいるか…」

「だからこそ、だよ!!それに、翔太君が一番奥にいるチームオーファンのボスを倒せば勝ち!ここで2人一緒に戦い続けていたら、永遠に勝てないよ!」

伊織は翔太の背中を押し、扉の向こうまで飛ばす。

「おい!!」

「ちょっとくらい信頼してよ…。大丈夫だから」

そういいながら、翔太にニコリと笑顔を見せる。

なぜかその笑顔がいつも以上に魅力的に見えてしまい、一瞬翔太の心がドキリとする。

「ああ、分かったよ!!くたばるんじゃねえぞ!!」

翔太はそれだけ言い残すと、伊織に背を向けて走っていく。

「さーぁ、一騎当千のヒーローショーの始まりだよー!」

自分自身に喝を入れる用に、両頬を強くひっぱたいた後で、伊織はディアボロ達とデュエルを開始した。

 

「はあ、はあ、はあ…」

襲い掛かるセキュリティを次々と倒した遊矢は最上階に到着し、扉の前で膝をつく。

そして、腹部から再び生じ始めた痛みを耐えるため、薬を注射する。

「この先に…ロジェと…柚子が…」

ゆっくりと立ち上がった遊矢は扉を開けると、そこには赤い絨毯で床が覆われた大部屋に出て、その先にある大きな扉の前にジャックの姿があった。

「ジャック…」

「ふん。エキシビションマッチ以来だな、榊遊矢」

「まさか…ジャックがロジェのほうについていたなんて…」

驚きを見せる遊矢はゆっくりとデュエルディスクを展開する。

彼の目はオッドアイに変化している。

(マスター…すっかり変わっちゃったね。僕を拾ってくれた時のマスターじゃなくなっちゃってる…)

遊矢のそばにナディが現れ、悲しそうな眼でジャックを見つめる。

「キングは勝つ戦いしかしない。勝たなければ、存在価値は認められない」

「そんな言葉でごまかすな、ジャック」

「ごまかす…だと?」

「ああ、そうだ。ジャック!あんたは自分で自分に嘘をついてる!」

遊矢の言葉に若干動揺を見せるジャックだが、すぐに表情を元に戻す。

自分が嘘をついていると面と向いて言った対戦相手は遊矢が初めてだった。

「ジャック…感じるんだ。あんたの心の中にある悲しみ…いや、諦めが…。何があんたにそんな感情を…」

「敵にそのようなことをべらべらと話すと思うか?」

ジャックもデュエルディスクを展開し、背後にあるドアのそばにあるリモコンとデュエルディスクを無線接続する。

「これで、俺を倒さない限り、ここから先へ行くことはできない」

「ジャック…」

「デュエルで知ってもらうぞ。お前の言う笑顔の限界を…」

「ジャック、俺が解放する…。あなたを、その牢獄から!!それを望んでいる俺の仲間のために!」

「「デュエル!!」」

 

ジャック

手札5

ライフ4000

 

遊矢

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻だ。俺は手札から《レッド・リゾネーター》を召喚」

 

レッド・リゾネーター レベル2 攻撃600(チューナー)

 

「このカードの召喚に成功したとき、手札からレベル4以下のモンスター1体を特殊召喚できる。俺は手札から《レッド・スプリンター》を特殊召喚する」

 

レッド・スプリンター レベル4 攻撃1700

 

「レベル4の《レッド・スプリンター》にレベル2の《レッド・リゾネーター》をチューニング!赤き魂、ここに1つとなる。王者の雄叫びに震撼せよ!シンクロ召喚!現れろ、《レッド・ワイバーン》!」

 

レッド・ワイバーン レベル6 攻撃2400

 

「俺はカードを3枚伏せ、ターンエンド!」

 

ジャック

手札5→0

ライフ4000

場 レッド・ワイバーン レベル6 攻撃2400

  伏せカード3

 

遊矢

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「俺のターン!」

 

遊矢

手札5→6

 

「俺はスケール1の《竜脈の魔術師》とスケール8の《時読みの魔術師》でペンデュラムスケールをセッティング!そして、《竜脈の魔術師》のペンデュラム効果発動!もう片方のペンデュラムゾーンに存在するカードが魔術師の場合、手札のペンデュラムカード1枚を墓地へ送ることで、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊できる!俺が破壊するのは、《レッド・ワイバーン》!ドラゴニック・ストリーム!!」

手札の《EMオッドアイズ・ミノタウロス》が墓地へ送られ、《竜脈の魔術師》が《レッド・ワイバーン》に向けて青い光を放つ。

光りはかまいたちに変化し、それを受けた《レッド・ワイバーン》の炎が消え、そのまま青い粒子となって消滅する。

(《レッド・ワイバーン》はシンクロ召喚されたこのカードよりも攻撃力の高いモンスターが存在するとき、1度だけフィールド上に存在する最も攻撃力の高いモンスター1体を破壊する効果がある。榊遊矢、それを避けるために…)

「更に俺は手札から《EMセカンドンキー》を召喚!」

 

EMセカンドンキー レベル4 攻撃1000

 

「このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからセカンドンキー以外のEM1体を墓地へ送る。でも、俺のペンデュラムゾーンにカードが2枚ある場合、手札に加えることができる。俺はデッキから《EMオッドアイズ・シンガー》を手札に加える!」

遊矢は手札にあるもう1枚のカードをじっと見る。

(マスター!)

「わかってる、ナディ!お前の力を貸してくれ!!俺はセッティング中の《竜脈の魔術師》と《時読みの魔術師》でペンデュラム召喚をする!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスター!《EMオッドアイズ・シンガー》!!」

 

EMオッドアイズ・シンガー レベル6 守備2500

 

「更に、このカードはペンデュラムゾーンに魔術師を2枚セッティングしている場合、手札・墓地から特殊召喚できる!いけ、《調律の魔術師》!」

「ハアーーー!!」

2体の魔術師の力を受けたナディがフィールドに飛び出し、ジャックと対峙する。

 

調律の魔術師 レベル1 攻撃0(チューナー)

 

「更に、《調律の魔術師》の効果発動!このカードの召喚・特殊召喚に成功したとき、俺は400ダメージを受け、相手は400ライフを回復する!」

「ええーい!」

ナディが持っている杖から放たれる波紋によって、ジャックと遊矢のライフが変動する。

そして、その波紋によって遊矢のオッドアイが彼の心の中を垣間見る。

 

遊矢

ライフ4000→3600

 

ジャック

ライフ4000→4400

 

「これは…」

コモンズの一画で寒さに耐えながら縮こまる少年の姿が目に浮かぶ。

髪形と顔立ちを見て、彼が幼いころのジャックだと気づいた。

そんな彼が柱の上にあるトップスの町を見上げていると、1枚のカードが落ちてくる。

幼いジャックはそれを手にする。

「このカード…なんて読むんだろう…?」

当時、文字が読めなかったジャックはすぐにそのカードが何なのかわからなかった。

(ありがと!!ボクを拾ってくれて!)

「うわあ!?!?」

急に背後に現れたナディを見て、ジャックはびっくりする。

これがジャックとナディの出会いだった。

 

この波紋で見えた光景はここまでだった。

遊矢はナディを見ると、彼女は遊矢に振り返り、首を縦に振る。

「俺はレベル6の《オッドアイズ・シンガー》にレベル1の《調律の魔術師》をチューニング!二色の眼の竜よ、怒りの業火で闇を焦がせ!シンクロ召喚!レベル7!大地を焼き尽くす業火の竜!《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》!!」

 

オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン レベル7 攻撃2500

 

「《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》の効果発動!このカードの特殊召喚に成功したとき、ペンデュラムゾーンに存在するペンデュラムモンスター1体を特殊召喚できる!俺は《竜脈の魔術師》を特殊召喚!バーニング・コール!」

 

竜脈の魔術師 レベル4 攻撃1800

 

3体のモンスターの攻撃力の合計はジャックのライフを上回った。

しかし、《オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン》は《竜脈の魔術師》を特殊召喚した代償として、攻撃が封じられている。

「いくぞ!《竜脈の魔術師》、《セカンドンキー》でダイレクトアタック!」

《EMセカンドンキー》のカバンから放たれた青い光を《竜脈の魔術師》の剣が受け止める。

青く光る剣を手に、《竜脈の魔術師》はジャックにとびかかる。

「ふんっ!永続罠《スクリーン・オブ・レッド》!このカードは相手モンスターの攻撃を封じる!」

ジャックの周囲を薄赤色の水晶の壁が覆う。

壁の周りを確認しても、ジャックの姿を見ることができないため、攻撃をあきらめて遊矢の元へ戻る。

(ダメだ…あの人の心に壁ができてる…!)

「くそ…でも、俺のターンはまだ終わっていない!俺はレベル4の《竜脈の魔術師》と《セカンドンキー》でオーバーレイ!漆黒の闇より愚鈍なる力に抗う反逆の牙!今、降臨せよ!エクシーズ召喚!現れろ!ランク4!《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン ランク4 攻撃2500

 

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

ジャック

手札0

ライフ4400

場 スクリーン・オブ・レッド(永続罠)

  伏せカード2

 

遊矢

手札6→0

ライフ3600

場 オッドアイズ・メテオバースト・ドラゴン レベル7 攻撃2500

  ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン(オーバーレイユニット2) ランク4 攻撃2500

  伏せカード1

  時読みの魔術師(赤) Pスケール8

 

「ふん…!少しは頭を使った動きを見せたようだな。だが、その程度でこのジャック・アトラスを倒せると思うな!俺のターン!」

 

ジャック

手札0→1

 

「俺は手札から魔法カード《逆境の宝札》を発動!俺のフィールド上にモンスターが存在せず、相手フィールド上に特殊召喚されたモンスターが存在するとき、デッキからカードを2枚ドローできる。そして、このカードは相手フィールド上にのみモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できる!来い、《バイス・ドラゴン》!ただし、この効果で特殊召喚されたこのカードの攻撃力・守備力は半分になる」

 

バイス・ドラゴン レベル5 攻撃2000→1000

 

「更に俺は手札から《レッド・スネーク》を召喚!」

 

レッド・スネーク レベル3 攻撃1300(チューナー)

 

「レベル5の《バイス・ドラゴン》にレベル3の《レッド・スネーク》をチューニング。王者の咆哮、今天地を揺るがす。唯一無二なる覇者の力をその身に刻むがいい!シンクロ召喚!荒ぶる魂、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》!」

前夜祭で遊矢を敗北へ陥れたあの竜がフィールドに現れる。

オッドアイズによって受けた左目の傷は残っており、じっと遊矢を見ている。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト レベル8 攻撃3000

 

(なんだ…あのドラゴン、悲しんでる…??)

オッドアイのせいか、前夜祭の時には感じなかった《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の感情を直感で気づいてしまう。

「《スカーライト》の効果発動!1ターンに1度、このカード以外の、このカードの攻撃力以下の特殊召喚された効果モンスターをすべて破壊し、破壊したモンスターの数×500のダメージを相手に与える!」

遊矢のフィールドに攻撃力3000を超えるモンスターはいない上に、どちらも特殊召喚されたモンスター。

この効果を受けると、遊矢のモンスターが全滅し、ダイレクトアタックのチャンスを与えてしまう。

「アブソリュート・パワー・フレイム!!」

《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》が拳を床に叩き込み、ひびが入り、砕けた床から灼熱の炎が吹きあがる。

遊矢の周囲の床も砕け、噴き出した炎によって2体のモンスターが焼き尽くされ、遊矢を強い熱気が襲う。

「ぐうう…!!」

 

遊矢

ライフ3600→2600

 

「そうだ…ジャック、それでいい…。お前の声を…お前の魂を…俺にぶつけろ!!」

遊矢を包む炎と共に、脳裏に再び光景が浮かぶ。

 

ナディを手に入れたジャックは1人、コモンズの廃棄物処理場やゴミ捨て場をあさり、カードを手に入れていた。

トップスはレアカードにこだわる反面、ステータスやレベル・レアリティが大したことのないカードをないがしろにしており、そのようなカードは捨てられていた。

それらのカードはコモンズにとっては貴重で、時にはそのカードで文字の読み書きの教材ともなっていた。

「見ろよ…あいつ、キングになるって豪語している奴だぜ?」

「馬鹿だろ?そんなカードだけで何になる?」

「おとなしくカードをギャングに売ればいいのに…」

カードを集め、ゴミ捨て場を出ていくジャックを周囲のコモンズの人々は異常だと思い、影口を叩き続けていた。

それは数年が過ぎ、Dホイールのパーツを集め、作っているときも変わりなかった。

 

「ジャックには…ナディ以外の仲間が…いなかった…?」

「キングの一撃の前に、ひれ伏すがいい!《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》で榊遊矢にダイレクトアタック!!灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング!!」

《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》が口から炎を放つ。

守る者のいない遊矢はその炎に包まれる。

「俺は罠カード《ショック・リボーン》を発動!俺が受ける戦闘ダメージを半分にする!ぐう…ああああ!!」

 

遊矢

ライフ2600→1100

 

「はあはあ…そして、墓地から受けたダメージ以下の攻撃力のモンスター1体を特殊召喚する!甦れ、《EMセカンドンキー》!!」

 

EMセカンドンキー レベル4 守備2000

 

「《セカンドンキー》の効果で、俺はデッキから《EMユニ》を墓地へ送る」

「どうにか罠カードの効果でしのいだようだが、その程度のモンスターで何ができる!?」

「その程度のモンスターを使いこなして…勝ち上がってきたんだろう、ジャック!!」

「何…!?」

「お前は…見捨てられたカードを集めて、見捨てられたパーツを集めて…デッキとDホイールを作り上げた…。そして…」

「…何の話をしている!?」

「そして、そのデッキを手に、たった1人でコモンズを制覇して、《レッド・デーモンズ》を…」

《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の攻撃を受けて、遊矢はジャックがこのカードを手に入れた経緯を知った。

デッキとDホイールを完成させたジャックは一匹オオカミとして、コモンズやシティのデュエリストと戦い続けた。

シティのデュエリストと戦う機会は裏の大会しかなかったが、シティへ出て戦わなければならないジャックにとってはよい成長の材料となった。

そして、当時コモンズ最強だったデュエリストを撃破したジャックは《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を手に入れた。

「土足で俺の…キングの心に入り込むな!道化が!!俺はこれでターンエンド!同時に、《スクリーン・オブ・レッド》の効果発動!維持コストとして、ライフを1000支払う!」

 

ジャック

手札0

ライフ4400→3400

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト(《レッド・スネーク》の影響下)レベル8 攻撃3000

  スクリーン・オブ・レッド(永続罠)

  伏せカード2

 

遊矢

手札0

ライフ1100

場 EMセカンドンキー レベル4 守備2000

  時読みの魔術師(赤) Pスケール8

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

遊矢

手札0→1

 

「…俺は《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》をペンデュラムスケールにセッティング。ターンエンド…。同時に、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》のペンデュラム効果発動!俺のターンのエンドフェイズ時に、このカードを破壊することで、デッキから攻撃力1500以下のペンデュラムモンスター1体を手札に加える。俺はデッキから《慧眼の魔術師》を手札に加える!」

 

ジャック

手札0

ライフ3400

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト(《レッド・スネーク》の影響下)レベル8 攻撃3000

  スクリーン・オブ・レッド(永続罠)

  伏せカード2

 

遊矢

手札1(《慧眼の魔術師))

ライフ1100

場 EMセカンドンキー レベル4 守備2000

  時読みの魔術師(赤) Pスケール8

 

「心に入り込んできてその程度か?結局…すべては無駄だ。奴らの満足するようなデュエルだけをしていればいいだけのことだ…」

「…?」

「俺のターン!」

 

ジャック

手札0→1

 

「俺は手札から魔法カード《ゴールド・オブ・レッド》を発動!俺のフィールド上にレッド・デーモンと名の付くシンクロモンスターが存在するとき、俺のフィールド上に存在するレッドと名の付くカード1枚を墓地へ送ることで、デッキからカードを2枚ドローできる。俺は《スクリーン・オブ・レッド》を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

ゴールド・オブ・レッド

通常魔法カード

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に「レッド・デーモン」Sモンスターが存在するときに発動できる。自分フィールド上に存在する「レッド」カード1枚を墓地へ送り、デッキからカードを2枚ドローする。

 

「そして、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果発動!奴の死にぞこないの獣を焼き尽くせ、アブソリュート・パワー・フレイム!!」

《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の拳によって召喚された炎が再び遊矢と彼のモンスターに襲い掛かる。

炎に包まれた《EMセカンドンキー》が消滅し、遊矢のライフが減る。

 

遊矢

ライフ1100→600

 

「《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》でダイレクトアタック!灼熱のクリムゾン・ヘル・バーニング!!」

立て続けの攻撃宣言したジャックに応えるように、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》が遊矢に向けて炎を放つ。

「俺は墓地の《EMユニ》の効果発動!」

「そのカードは…!?」

「このカードと墓地のEM1体を除外することで、俺が受ける戦闘ダメージを1度だけ0にする!」

《EMセカンドンキー》の効果で墓地へ送られた《EMユニ》が彼と力を合わせてバリアを展開し、遊矢を炎から守る。

炎の中で、キングとなったジャックの姿が映し出される。

 

コモンズの王者となり、更にトップスの王者に上り詰めたジャックは富と名声を手に入れた。

そして、そうなったとたんにトップスとコモンズのジャックの見る目が変わった。

ジャックを身の程知らずと馬鹿にし続けていたコモンズの人々はジャックをコモンズの理想の形と見なすようになり、中には彼に媚びる人々も現れた。

トップスの人々もジャックに媚びる人がいれば、昔から彼の才能に期待していたと嘯く金持ちや今までコモンズの人々と同様に人間扱いしてこなかった彼らがジャックに笑顔を見せる。

まるで勝ったから、お前を人間として扱ってやると言わんばかりに。

そして、デュエルの時にはジャックにより強いエンタメを要求してきた。

 

「これが…ジャックの、絶望…」

「俺はこれで、ターンエンド」

 

ジャック

手札2

ライフ3400

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト(《レッド・スネーク》の影響下)レベル8 攻撃3000

  伏せカード2

 

遊矢

手札1(《慧眼の魔術師))

ライフ600

場 時読みの魔術師(赤) Pスケール8

 

「…見たな、遊矢。俺の絶望を…」

ジャックの言葉に遊矢は何も言わずに首を縦に振る。

「キングとなったことで、俺が見たものは醜悪、トップスとコモンズの腐りきった姿だった…。コモンズの人間がキングとなったとしても、奴らは何も変わらない。ただ、むなしいだけだ」

シンクロ次元が腐っていることは遊矢も分かっていた。

トップスからの解放を望みながらも、強い存在が登場しなければ何もできず、彼らにすがることしかできないコモンズ。

勝利したことを言い訳にして富と特権を当たり前のように享受し、自らは守られて当然と考えるトップス。

シンクロ次元の歪みは救いようがないほどに深かった。

それはこの次元に来て数カ月の遊矢にもよくわかる。

「所詮、奴らはその程度の存在。たとえ救ったとしても、何も変わらない。そんな奴らのために戦う必要はあるというのか?」

ジャックはトップスのためにも、コモンズのためにも戦おうという気持ちにはなれなかった。

彼らのために戦ったとしても、彼らの醜さをまた思い知るだけ。

それならばと、ロジェの企みに乗った。

生き残るため、そしてトップスとコモンズに復讐するため。

「でも…でも、違う!!」

「違う、だと…?」

「それだけが…その歪みだけが、彼らのすべてじゃない!!」

しかし、遊矢は思い出す。

サムやクロウ、彼に世話になっている子供たち、シンジ、徳松、227…。

彼らはある時は自分を助け、敵として現れたとしても、自分に道を示したし、自分なりの意地を見せたりもした。

歪みを知りながらも、彼らの存在がそれだけがシンクロ次元ではないということを教えてくれた。

「俺は…少なくても、俺はクロウやシンジといった、俺を助けてくれた人、そして仲間や待っていてくれている人たちのために戦っている!そして、ジャックの心の中に残っている炎をよみがえらせるために!」

「俺の心に…だと??」

「そうだ!そして、ジャックの先には柚子が…俺が守りたい人がいる!そのためにも…負けるわけにはいかないんだ!俺のターン!!」

 

遊矢

手札1→2

 

「俺はスケール5の《慧眼の魔術師》をペンデュラムスケールにセッティング!そして、モンスター効果発動!もう片方のペンデュラムゾーンに存在するカードがEM、または魔術師の場合、このカードを破壊し、デッキからEMまたは魔術師と名の付くペンデュラムモンスター1体をセッティングできる!俺はスケール1の《星読みの魔術師》をペンデュラムスケールにセッティング!」

《慧眼の魔術師》が姿を消し、《星読みの魔術師》が青い光の柱に入る。

遊矢が初めてペンデュラム召喚を成功させた2体が彼とナディに目を向け、互いにうなずく。

「今一度揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスター!《EMオッドアイズ・シンガー》《慧眼の魔術師》《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!」

一気に3体のモンスターが現れ、ジャックの《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》と対峙する。

 

EMオッドアイズ・シンガー レベル6 守備2500

慧眼の魔術師 レベル4 攻撃1500

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500

 

「さらに俺は手札から魔法カード《ペンデュラム・トレジャー》を発動!俺のフィールド上にペンデュラムモンスターが3体以上存在し、それらモンスターの攻撃力が相手フィールド上に存在する最も攻撃力の低いモンスター以下のとき、デッキからカードを2枚ドローする!」

 

ペンデュラム・トレジャー

通常魔法カード

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上にPモンスターが3体以上存在し、これらのモンスターの攻撃力が相手フィールド上に存在する最も攻撃力の低いモンスターよりも低い場合にのみ発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。

 

「そして、俺は《オッドアイズ・シンガー》の効果発動!墓地から《EMオッドアイズ・ミノタウロス》を特殊召喚する!」

《EMオッドアイズ・シンガー》の歌声と共に遊矢のデュエルディスクが光り、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》と同じ2色の目を持つ、青い髪があるミノタウロスが斧を手にして現れる。

 

EMオッドアイズ・ミノタウロス レベル4 攻撃1200

 

「更に俺は手札から魔法カード《死者蘇生》を発動!その効果で俺はジャックの墓地から《レッド・ワイバーン》を特殊召喚する!」

「何!?俺の墓地のモンスターを…!?」

遊矢のフィールド上に1ターン目はジャックのそばにいた《レッド・ワイバーン》が現れる。

 

レッド・ワイバーン レベル6 攻撃2400

 

「だが、《レッド・ワイバーン》の効果はシンクロ召喚されていなければ使えん!!」

「違う、ジャック!俺が狙っているのはその先だ!!俺はレベル6の《レッド・ワイバーン》にレベル4の《慧眼の魔術師》をチューニング!」

「何!?チューナーモンスターではない《慧眼の魔術師》でチューニングだと!?」

遊矢のペンデュラムが一瞬青く輝き、それと同じ色の4つのチューニングリングへと《慧眼の魔術師》の姿が変わる。

そして、その中を《レッド・ワイバーン》は通る。

「平穏なる時の彼方から、あまねく世界に光を放ち、蘇れ!シンクロ召喚!現れろ、レベル10!《涅槃の超魔導剣士》!!」

部屋中が青い光に包まれる中、青い袈裟と銀色の鎧が融合したような重装な防具と帽子を着用し、手には両手でしか扱えなさそうな大剣を右手1本でつかんだ剣士が現れる。

《クリアウィング・ファスト・ドラゴン》と同じペンデュラムシンクロモンスターが誕生した瞬間だった。

 

涅槃の超魔導剣士 レベル10 攻撃3300

 

「なんだ…このシンクロモンスターは…!?」

目の前に現れた未知のモンスターにジャックは心を奪われる。

それはまるで初めて《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を見たときのような気分だった。

「このカードは今の俺の精いっぱいの答え…。俺の進化の途上のカードだ!」

「進化の途上だと…?榊遊矢…」

「そうだ!俺はこれからも進化を続けていく!みんなと一緒に!!《涅槃の超魔導剣士》はペンデュラム召喚したペンデュラムモンスターをチューナーの代わりに素材にすることができる!そして、そのモンスターを素材にシンクロ召喚に成功したとき、墓地のカード1枚を手札に加えることができる。俺は墓地の《ペンデュラム・トレジャー》を手札に加える!バトルだ!《涅槃の超魔導剣士》で《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を攻撃!トゥルース・スカーヴァティ!!」

《涅槃の超魔導剣士》の大剣の刀身が青く染まっていく。

そして、青い魔力を宿したその刃と《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》のブレスがぶつかり合う。

「さらに、《オッドアイズ・ミノタウロス》の効果発動!俺のフィールド上に存在するペンデュラムモンスターが開いてモンスターと戦闘を行うとき、ダメージ計算時のみ相手モンスターの攻撃力を俺のフィールド上に存在するEM、オッドアイズの数×100ダウンさせる!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト レベル8 攻撃3000→2700

 

(なんだ…この熱は…!?)

攻撃がぶつかり合った瞬間、ジャックは胸に何か熱いものを感じ始めていた。

体のすべてを焼き尽くしてしまうと思ってしまうほどの熱を。

(それは、あなたがもともと持っていたものだよ)

「これが…」

(思い出して、初めてあのドラゴンを召喚した時のことを…)

ナディの言葉により、ジャックは彼女が言うその時のことを思い出す。

トップスでプロデュエリストとデュエルを繰り広げていたとき、ジャックは初めて《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を破壊されてしまったことがあった。

そのとき、ジャックの中にある勝ちたいという思いが爆発的に強くなり、その時にあるドラゴンを召喚し、勝利を収めた。

(まさか、これほど熱いものだったとは…。だからか、キングとなってから胸の中が冷たいと思えたのは…)

《涅槃の超魔導剣士》の大剣が競り勝ち、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を真っ二つに切りたく。

切り裂かれた傷だらけのドラゴンの体は炎に包まれて消滅していった。

 

ジャック

ライフ3400→2800

 

「《涅槃の超魔導剣士》の効果発動!このカードが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、相手ライフを半分にする!」

 

ジャック

ライフ2800→1400

 

ジャックの魂の象徴、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》がペンデュラムシンクロモンスターによって撃破され、同時にライフも逆転される。

そして、ほかにも遊矢のフィールドには攻撃可能なモンスターが残っており、それらのモンスターの攻撃により、勝負が決まってしまう。

「…俺は《レッド・デーモンズ・スカーライト》の素材となった《レッド・スネーク》の効果を使い、戦闘で破壊された《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》を特殊召喚する」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト レベル8 攻撃3000

 

「俺は…カードを1枚伏せて、ターンエンド!」

 

ジャック

手札2

ライフ1400

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト(《レッド・スネーク》の影響下)レベル8 攻撃3000

  伏せカード2

 

遊矢

手札2→1(《ペンデュラム・トレジャー》)

ライフ600

場 涅槃の超魔導剣士 レベル10 攻撃3300

  EMオッドアイズ・シンガー レベル6 守備2500

  EMオッドアイズ・ミノタウロス レベル4 攻撃1200

  オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500

  伏せカード1

  星読みの魔術師(青) Pスケール1

  時読みの魔術師(赤) Pスケール8

 

「榊遊矢…礼を言うぞ」

「えっ…?」

「今の攻撃の瞬間、俺はずっと忘れていたものを取り戻すことができた…。冷たくなった心に、キングを目指していたころに確かにあった熱を…」

晴れやかな表情を見せながら、ジャックは本心で遊矢に語る。

そんな彼を見たナディは嬉しそうに笑っていた。

「その礼はこのターンで返す!受け取れ、遊矢!取り戻した俺の魂、バーニングソウルを!!俺のターン!!」

 

ジャック

手札2→3

 

「俺は手札から魔法カード《手札抹殺》を発動!その効果で俺たちは手札をすべて捨て、捨てた枚数分だけカードをドローする!これで貴様の《ペンデュラム・トレジャー》は失われる!」

「くっ…!」

ペンデュラム召喚主体の遊矢のデッキでは重要な手札補充カードの1枚である《ペンデュラム・トレジャー》が墓地へ落ちていく。

そして、2人は捨てた枚数分カードをドローする。

 

手札から墓地へ送られたカード

ジャック

・バリア・リゾネーター

・ミラー・リゾネーター

 

遊矢

・ペンデュラム・トレジャー

 

「更に俺は罠カード《スカーレッド・カーペット》を発動!俺のフィールド上にドラゴン族シンクロモンスターが存在するとき、墓地のリゾネーターを2体まで特殊召喚できる。俺は《バリア・リゾネーター》と《ミラー・リゾネーター》を特殊召喚!」

 

バリア・リゾネーター レベル1 攻撃300(チューナー)

ミラー・リゾネーター レベル1 攻撃0(チューナー)

 

2体のリゾネーターが登場すると同時に、ジャックは拳を左胸に当てる。

その拳からは炎が吹きあがり、同時に彼の目が赤く染まる。

「今こそ見せる!ジャック・アトラスがキングとして、存在する証を!!俺はレベル8の《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》にレベル1の《バリア・リゾネーター》と《ミラー・リゾネーター》をダブルチューニング!!」

「ダブルチューニング!?」

2体のリゾネーターが炎のチューニングリングに変わり、その中に傷だらけのドラゴンが飛び込んでいく。

炎の中で、今までの強敵から受けてきた傷が消えていき、真紅の鎧を纏う。

かつて、ジャックを絶体絶命の窮地から救った、燃え盛る魂のドラゴン。

「王者と悪魔、今ここに交わる。赤き竜の魂に触れ、天地創造の雄たけびをあげよ!シンクロ召喚!現れろ!レベル10、《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃3500

 

「ジャック…」

このドラゴンを召喚せずとも、ジャックは《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》の効果によって遊矢のモンスターを破壊し、そのまま勝利する道を選ぶことができたはずだ。

だが、自分の闘志宿る心に従ったジャックにとってはそのような勝利では不満足だった。

「見るがいい、遊矢!!我が魂の炎を!!《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》の効果!俺のメインフェイズ1に1度、このカード以外のモンスターの攻撃を不能にする代わりにこのカード以外のフィールド上のカードをすべて破壊する!アブソリュート・パワー・インフェルノ!!」

全身に炎を宿した《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》が叫び声をあげ、同時に炎が全周囲に向けて飛んでいく。

何かに触れた瞬間、爆発的に膨張するその炎に触れたモンスターは次々と焼き尽くされていく。

「ぐうう…これが、ジャックの魂…だけど、俺も負けるわけにはいかないんだ!俺は罠カード《ホーリーライフバリアー》を発動!手札1枚を捨て、相手から受けるすべてのダメージを0にする!」

 

手札から墓地へ送られたカード

・EMガンバッター

 

フィールドから墓地へ送られた伏せカード

・強化蘇生

・ショック・ウェーブ

 

「更に、破壊された《涅槃の超魔導剣士》はペンデュラムゾーンに置くことができる!」

「ふっ…《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》は1ターンに1度、バトルフェイズ中に魔法・罠カードが発動したとき、その発動を無効にし、破壊する効果を持つ。だが、このタイミングで発動されては防ぐことはできん。俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

ジャック

手札3→2

ライフ1400

場 レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃3500

  伏せカード1

 

遊矢

手札1→0

ライフ600

場 涅槃の超魔導剣士(赤) Pスケール8

 

「さあ来い、榊遊矢!!次は貴様がさらなる進化を見せる時だ!」

「俺の…ターン!!!」

 

遊矢

手札0→1

 

「俺は空いているペンデュラムゾーンにスケール2の《EMペンデュラム・マジシャン》をセッティング!これで俺はレベル3から7までのモンスターを同時に召喚可能!揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!ペンデュラム召喚!現れろ、俺のモンスター!《EMオッドアイズ・シンガー》《EMオッドアイズ・ミノタウロス》《竜脈の魔術師》《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》!!」

 

EMオッドアイズ・シンガー レベル6 攻撃400

EMオッドアイズ・ミノタウロス レベル4 攻撃1200

竜脈の魔術師 レベル4 攻撃1800

オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン レベル7 攻撃2500

 

「《ペンデュラム・マジシャン》の効果発動!俺のフィールド上に存在するEMの攻撃力をターン終了時まで1000アップさせる!」

 

EMオッドアイズ・シンガー レベル6 攻撃400→1400

EMオッドアイズ・ミノタウロス レベル4 攻撃1200→2200

 

「更に、《EMオッドアイズ・シンガー》の効果発動!墓地から《慧眼の魔術師》を特殊召喚する!」

 

慧眼の魔術師 レベル4 攻撃1000

 

「それがどうした!?貴様が召喚したモンスターはいずれも《レッド・デーモンズ・タイラント》よりも攻撃力が低い!そのモンスターたちで何を見せてくれる!?」

「見せられるさ、みんなの力を!!」

「それでいい、もっと俺を熱くして見せろ!俺は罠カード《スカーレッド・フォース》を発動!俺のフィールド上に存在するレベル10以上のレッド・デーモンシンクロモンスターの攻撃力を俺の墓地に存在するチューナー1体につき、800ポイントアップする!更に、その効果を受けたモンスターはこのターン、戦闘及びカード効果では破壊されない!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃3500→6700

 

スカーレッド・フォース

通常罠カード

このカード名の効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上にレベル10以上の「レッド・デーモン」Sモンスターが存在する場合にのみ発動できる。そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで、自分の墓地に存在するチューナーの数×800アップする。また、その効果を受けたモンスターはターン終了時まで戦闘・効果では破壊されない。

 

「バトルだ!《EMオッドアイズ・シンガー》で《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》を攻撃!!」

《EMオッドアイズ・シンガー》が歌いはじめ、歌と同時に発生する波紋が《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》に襲い掛かる。

「無駄だ!攻撃力1400の《オッドアイズ・シンガー》では…!?!?」

歌い続ける《EMオッドアイズ・シンガー》の体が《涅槃の超魔導剣士》の大剣に宿っていたのと同じ光に包まれている。

彼女だけではなく、遊矢のモンスターすべてが同じ光を宿していた。

「《涅槃の超魔導剣士》のペンデュラム効果発動!俺のペンデュラムモンスターが攻撃するとき、そのモンスターは戦闘では破壊されず、俺が受ける戦闘ダメージも0になる!更に、ペンデュラムモンスターが攻撃したダメージステップ終了時、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力をターン終了時までそのモンスターの攻撃力分ダウンさせる!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃6700→5300

 

「何!?」

「行け、《オッドアイズ・ミノタウロス》!!《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》を攻撃しろ!!」

《EMオッドアイズ・ミノタウロス》が持っている斧をブーメランのように投げつける。

回転して襲い掛かる斧を受けた《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》の鎧にひびが入る。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃5300→3100

 

「《竜脈の魔術師》と《慧眼の魔術師》で攻撃!!」

続いて《慧眼の魔術師》の魔力を受けた剣を手にした《竜脈の魔術師》が切りかかる。

剣を炎を宿した拳で受け止めた《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》の体が青いオーラで包まれていき、《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》に後を託すために《竜脈の魔術師》は後退する。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント レベル10 攻撃3100→2100→300

 

「なんと…《レッド・デーモンズ・タイラント》の攻撃力が…」

「俺の思いを受け取れ、ジャック!!《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》で《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》を攻撃!!螺旋のスカーヴァティ・バーストォ!!!」

《オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン》の口から青い螺旋するブレスが放たれる。

ブレスで貫かれた《レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント》はどこか満足げな表情を浮かべると、静かに消滅していった。

 

ジャック

ライフ1400→0

 

「ふっ…榊、遊矢…」

「…残念だよ、ジャック。できれば、もっと違う形でデュエルをしたかった…」

確かにジャックとのデュエルは楽しかった。

だが、本来ならばこのようなデュエルは大勢の観客の中で、娯楽としてやるべきこと。

このような形になってしまったことが遊矢にとって唯一の悔いだった。

「ふっ…こうして長い間デュエルをしていると、どこか自分の限界というものを感じてしまうものだ…。お前のように、諦めさえしなければ…」

「俺だって、そんなに強いわけじゃないよ。けど…こんな俺を支えてくれる、立ち上がらせてくれる仲間がいた。みんなが…もちろん、ジャックもいたから、俺は戦えるんだ」

「そうか…俺も、そういう仲間と出会えれば…な…」

ゆっくりと起き上がったジャックはゆっくりと遊矢に右手を差し出す。

それにこたえて、遊矢が握手をしようとしたとき、ジャックの背後の扉が開いた。

「…!!離れろ!!」

何かを察知したジャックは遊矢の腕をつかみ、放り投げる。

そして、振り返ると同時にジャックの腹部に大きな拳が叩き込まれた。

「うわあ!?ジャック…!!」

壁に衝突し、痛みに耐えながらジャックを見た遊矢の目に入ったのは、ジャックに攻撃するセルゲイの姿だった。

「貴様…どういう了見でこのような馬鹿な真似をする…。キングとそのライバルの間に水を差すなぁ!!」

ジャックの体をつかんだセルゲイは彼を扉のそばの壁に叩き込む。

セルゲイの手から離れたジャックの体はゆっくりと横に倒れた。

「お前は…!!うう…!?」

薬が切れたのか、それともずっと前に切れていて、ジャックとのデュエルが夢中になって忘れていたのか、痛みがよみがえる。

歯を食いしばり、痛みに耐えながら注射をする遊矢の足元に《レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト》のカードが落ちていた。

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