遊戯王ARC-V 戦士の鼓動   作:ナタタク

91 / 145
第85話 見えない敵

「…お待ちしてましたよ、翔太さん」

「ああ。来てやったぜ、エリク」

自動ドアが開き、真っ暗な部屋の中に翔太が入ってくる。

廊下には数多くのディアボロの残骸があり、翔太が伊織と離れた後、どれだけディアボロと戦ったかがこれを見るだけで分かってしまう。

「ああ、来たぜ…。はっきりしてもらおうって思ってな」

「はっきりと…。かまいません。私もそのつもりであなたをここにお呼びしましたから」

デュエルディスクを操作し、部屋の中の電源を起動する。

照明がつき、同時に翔太が通った自動ドアが自動的に閉鎖される。

「この話は、あまり外で聞かせるものではありませんから…。私から言えること、それは…伊織さんの両親のことです」

「両親…?融合次元にいる本当の…か?」

「はい。単刀直入に言わせていただきますと、彼女には父親がいます。彼が今の彼女にとってのたった1人の肉親です」

「母親は…って聞くのは野暮か」

母親、という言葉を聞いたエリクは少し難しい表情を浮かべた。

先ほどのエリクの発言で、母親の方はもうこの世にいないことは分かっている。

もしかしたら、その話は地雷なのかもしれないと思い、質問を辞めた。

「おそらく、伊織さんはE・HEROデッキを使用していますね?」

エリク自身、伊織がそのデッキを使ったデュエルをしているのを見たことがないためか、確認するようにたずねてくる。

それを肯定するように、翔太が無言で首を縦に振ると、エリクは話を進める。

「あのデッキは本来、デュエルアカデミアの一般のデュエル戦士が使用するはずだったプロトタイプ。それがある理由で伊織さんもろともスタンダード次元へ飛ばされてしまい、その結果第2候補として試作されたアンティーク・ギアデッキが採用されることになりました」

「で、そのデッキと伊織に何の関係がある?あいつの親父が作った、ってことか?」

「結論から言うと、そういうことになります。そして、彼はアカデミアの命令で次元転移システムの開発を行っていました。そして、その際に起こった事故により、赤ん坊だった彼女はスタンダード次元へ飛ばされてしまったのです。プロトタイプのデッキ、そしていつか彼女がデュエルをする日のためにと用意したデュエルディスクと共に…」

「気の早い親父だな…」

赤ん坊だった伊織がデュエルディスクをつけてデュエルができるようになる日が来るとしたら、少なくとも小学生くらいの年齢でだろう。

それなのに、赤ん坊のうちに彼女のデュエルディスクを入手し、プレゼントするというのはどういう神経かと疑問に感じてしまう。

「あなたにこの話を聞かせたのはほかでもない。伊織さんをスタンダード次元へ戻し、ランサーズから抜けさせていただきたいのです」

「何…?」

「彼は…自分の娘がこの戦争に巻き込まれるのを望んでいません。ですから、伊織さんと最も距離が近いあなたに伝えるようにと命じられました」

「だとしたら、なんでシンクロ次元なんだ?単に警告するのなら、舞網チャンピオンシップでのアカデミアの攻撃の時に紛れ込めばいいだろう?」

「これでも、私はアカデミアの兵士ということになっています。その時にはすでにシンクロ次元での潜入任務を受けていたため、不可能な話です」

本当はそうではないと言いたげな、回りくどい発言をするエリクにイライラを募らせつつ、翔太はじっと彼の話を聞く。

ロジェの手先であるセルゲイが融合召喚を使ったこともあり、潜入任務の目的がロジェの監視、もしくは排除であることは予測できた。

だが、なぜ自分と伊織のことをその男が知っているのかがわからなかった。

話の続きを口にしようとしたエリクだが、急に表情を変え、車いすについているデュエルディスクを起動する。

「何のつもりだ?」

「翔太さん…予定が変わりました。あなたにはカードになってもらいます」

カードを引き、じっと翔太を見続けるエリクからプレッシャーを感じた翔太はそれにこたえるように、デュエルディスクを展開する。

どういうつもりかわからないが、そのプレッシャーから、本気で彼とデュエルをしなければ負けると本能が警告していた。

(ま…その方が好都合だけどな…)

手袋で隠れているが、翔太の左手の痣の光が赤く染まっている。

エリクのデッキに記憶の鉤となるカードが眠っているという証だ。

もちろん、その痣を与えた存在が嘘をついていなければ、という話ではあるが。

「アクションフィールドを用意しても結構ですよ。この体なので、アクションカードはすべてあなたの物になりますが」

「あいにく、俺はフェアーなデュエルしかしない。このままやらせてもらう」

「その言葉、後悔しないようにしてくださいね…」

「「デュエル!!」」

 

翔太

手札5

ライフ4000

 

エリク

手札5

ライフ4000

 

「俺の先攻。俺はモンスターを裏守備表示で召喚。ターンエンド」

 

翔太

手札5→4

ライフ4000

場 裏守備モンスター1

 

エリク

手札5

ライフ4000

場 なし

 

「モンスターを召喚してターン終了ですか…。消極的ですね。では…私のターン、ドロー」

 

エリク

手札5→6

 

「私は手札から魔法カード《レッドアイズ・インサイト》を発動。手札・デッキからレッドアイズモンスター1体を墓地へ送り、デッキからこのカード以外のレッドアイズ魔法・罠カード1枚を手札に加える。私はデッキから《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》を墓地へ送り、デッキから《真紅眼融合》を手札に加える」

「ちっ…いきなり融合魔法を…!」

「私は手札から魔法カード《真紅眼融合》を発動。手札・デッキ・フィールド上に存在する私のモンスターを素材にレッドアイズモンスターを融合召喚できる。私はデッキの《真紅眼の黒竜》と《真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード》を融合」

《真紅眼の黒竜》の背に、光沢のある黒い鉄の鎧を身にまとった《鉄の騎士ギア・フリード》がともに後方に現れた渦に飛び込んでいく。

「赤き瞳を持つ黒竜よ、黒竜より力を与えられし鉄騎士の力を宿し、その身に刃を纏え。融合召喚!現れろ、黒鉄の鎧纏いし真紅の竜、《真紅眼の黒刃竜》!」

赤黒い体を黒一色に染め上げ、その身を同じ色の鎧で纏った《真紅眼の黒竜》が渦の中から飛び出してくる。

 

真紅眼の黒刃竜 レベル7 攻撃2800

 

「バトルです。《真紅眼の黒刃竜》で裏守備モンスターを攻撃。黒炎刃」

咆哮した《真紅眼の黒刃竜》が口からドリルのような形をした黒炎弾を発射する。

それと同時に、墓地に落ちていた《真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード》がオーラとなってそのモンスターの身に宿る。

「《真紅眼の黒刃竜》の効果発動。レッドアイズモンスターが戦闘を行うとき、墓地に存在する戦士族モンスター1体を攻撃力200アップの装備カードとしてそのモンスターに装備させることができる」

 

真紅眼の黒刃竜 レベル7 攻撃2800→3000

 

攻撃力アップと同時に、大きくなった黒炎刃が裏守備モンスターを貫き、撃破した

 

裏守備モンスター

魔装楯タカモリ レベル4 守備2000(チューナー)

 

「これで、お前の攻撃できるモンスターはいないな…?」

「ええ、そうですが…何か?」

「俺は手札の《魔装画伯シャラク》の効果を発動。俺のフィールド上に存在する魔装モンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊されたターンのバトルフェイズ終了時、手札から特殊召喚できる」

五芒星が刻まれた黒が基調のフルフェイスの面をかぶり、筆を持った江戸時代の町人の着物姿の画伯が翔太のフィールドに現れる。

 

魔装画伯シャラク レベル4 攻撃1200

 

「そして、この効果で特殊召喚に成功したとき、このターン戦闘で破壊された魔装モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる。俺は墓地から《魔装楯タカモリ》を守備表示で特殊召喚する」

《魔装画伯シャラク》が和紙に《魔装楯タカモリ》の浮世絵を描くと、その絵の中からそのモンスターが飛び出してきた。

 

魔装楯タカモリ レベル4 守備2000(チューナー)

 

「なるほど…そのカードがあったから、あえて私が攻撃しやすいように…。ですが、私が複数モンスターを召喚し、一斉攻撃をしていたら、それでは通用しなかったでしょうね?」

「さあ…どうだろうな?仮にそのモンスターを5体用意したとしても、このターンしのぐ自信はあったぜ?」

ニッと笑いながら、大ぼらを吹くように翔太は言う。

嘘をついているというのは分かっているが、あまりにも堂々としていて、逆にすがすがしさを覚えてしまい、エリクは笑みを浮かべる。

「では…私はカードを2枚伏せて、ターンエンド」

 

翔太

手札4→3

ライフ4000

場 魔装画伯シャラク レベル4 攻撃1200

  魔装楯タカモリ(《魔装画伯シャラク》の影響下) レベル4 守備2000(チューナー)

 

エリク

手札6→3

ライフ4000

場 真紅眼の黒刃竜(《真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード》装備) レベル7 攻撃3000

  伏せカード2

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札3→4

 

「このカードは俺のフィールド上に存在する魔装モンスター1体の攻撃力を半分にすることで、手札から特殊召喚できる。《シャラク》の攻撃力を半分にし、《魔装鬼ストリゴイ》を特殊召喚」

《魔装画伯シャラク》の心臓に直接尻尾を突き刺し、血を吸った《魔装鬼ストリゴイ》は赤い目を光らせ、上空を舞う。

 

魔装画伯シャラク レベル4 攻撃1200→600

魔装鬼ストリゴイ レベル5 攻撃2100

 

「そして、俺はレベル4の《シャラク》にレベル4の《タカモリ》をチューニング。茨の園より生まれし稲妻の竜よ、空を振るわし、大地に鉄槌を。シンクロ召喚!現れろ、《魔装雷竜リンドヴルム》!」

 

魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000

 

「更に、このカードは俺のフィールド上に存在する魔装モンスター1体をリリースすることで、手札から特殊召喚できる。《ストリゴイ》をリリースし、《魔装鳥フェニックス》を特殊召喚」

《魔装鬼ストリゴイ》が自らの体を炎に変化させ、その姿を《魔装鳥フェニックス》へと変えていく。

 

魔装鳥フェニックス レベル7 攻撃2300

 

「そして、手札から魔法カード《魔装天啓》を発動。俺のエクストラデッキ・墓地に存在する魔装ペンデュラムモンスター2体を手札に加える。俺は《シャラク》と《ストリゴイ》をエクストラデッキから手札に加える。そして、俺はスケール3の《魔装画伯シャラク》とスケール8の《魔装鬼ストリゴイ》でペンデュラムスケールをセッティング」

一度はさらなる魔装モンスター召喚のための足場となった2体のペンデュラムモンスターが青い光の柱を生み出す。

そして、《魔装画伯シャラク》はその光の中で再び浮世絵を書き始めた。

「更に、《魔装画伯シャラク》のペンデュラム効果発動。このカードを発動したターン、もう片方のペンデュラムゾーンに魔装ペンデュラムカードが存在するとき、デッキから魔装モンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《魔装騎士ペイルライダー》を手札に加える」

《魔装騎士ペイルライダー》の浮世絵を完成させた《魔装画伯シャラク》の仮面の五芒星が光りはじめ、デッキから《魔装騎士ペイルライダー》が自動的に排出される。

 

魔装画伯シャラク

レベル4 攻撃1200 守備1400 闇属性 魔法使い族

【Pスケール:青3/赤3】

このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか発動できない。

(1):このカードはもう片方の自分のPゾーンに置かれているPモンスターが「魔装」モンスター以外の場合、墓地へ送られる。

(2):このカードを発動したターンのメインフェイズ時、もう片方の自分のPゾーンに「魔装」Pカードが存在するときにのみ発動できる。デッキから「魔装」Pモンスター1枚を手札に加える。この効果を発動したターン、自分は「魔装」モンスター以外のモンスターを召喚・特殊召喚できない。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分フィールド上に存在する「魔装」モンスターが相手モンスターの攻撃によって破壊された相手ターンのバトルフェイズ終了時に発動できる。このカードを手札から特殊召喚できる。

(2):この効果で特殊召喚に成功したとき、墓地に存在するこのターン戦闘で破壊された「魔装」モンスター1体を対象に発動する。そのモンスターを特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化される。

 

「そして、俺はレベル4から7のモンスターのペンデュラム召喚を行う!来たれ、時の果てに眠りし英雄の魂。漆黒の魂と契約し、封印から解き放たん!ペンデュラム召喚!現れろ、第4の騎士、《魔装騎士ペイルライダー》!」

 

魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

 

「そして、俺は手札から魔法カード《黙示録のラッパ》を発動。俺がペンデュラム召喚に成功したモンスターが《魔装騎士ペイルライダー》1体のみの場合、俺のフィールド上に存在するそいつ以外の魔装モンスターの数だけ、デッキからカードをドローできる。俺のフィールド上に存在するのは《魔装雷竜リンドヴルム》と《魔装鳥フェニックス》。よって、俺はデッキからカードを2枚ドローする」

 

黙示録のラッパ

通常魔法カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分がP召喚に成功したモンスターが「魔装騎士ペイルライダー」1体のみの場合に発動できる。自分フィールド上に存在するそのカード以外の「魔装」モンスターの数だけデッキからカードをドローする。

 

「バトルだ。《ペイルライダー》で《真紅眼の黒刃竜》を攻撃!」

「攻撃力の劣る《ペイルライダー》で攻撃…?裏がありますね?」

エリクの予想が正しいと言わんばかりに、青い光の柱の中から《魔装鬼ストリゴイ》が飛び出してきて、尻尾を《真紅眼の黒刃竜》の心臓に突き刺し、力を奪っていく。

「当然だ。《魔装鬼ストリゴイ》のペンデュラム効果。魔装騎士の攻撃宣言時、相手フィールド上に存在するモンスターの攻撃力・守備力を600ダウンさせる」

 

真紅眼の黒刃竜 レベル7 攻撃3000→2400

 

「クアトロ・デスブレイク!」

《魔装騎士ペイルライダー》がライフルを上空で立体機動をしながら、ライフルを発射する。

ライフル発射と同時に、血を吸う鬼は青い光の柱の中へ去っていき、残された赤い瞳のドラゴンはビームで打ち抜かれ、消滅する。

「く…だが、私は《真紅眼の黒刃竜》の効果発動…!このカードが破壊されたとき、このカードに装備されているモンスターを可能な限り特殊召喚できる。私は《真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード》を守備表示で特殊召喚」

消滅した《真紅眼の黒刃竜》のオーラがフィールドに残り、それが本来の姿を取り戻してエリクの盾となる。

 

真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード レベル4 守備1600

 

エリク

ライフ4000→3900

 

「なら俺は《魔装鳥フェニックス》で《ギア・フリード》を攻撃!」

《魔装鳥フェニックス》が口から火球を放つ。

火球を受けた《真紅眼の鉄騎士-ギア・フリード》は焼き尽くされ、消滅していく。

これで、エリクを守るモンスターはフィールドからいなくなった。

「更に《リンドヴルム》でダイレクトアタック!ライトニング・ストライク!」

《魔装雷竜リンドヴルム》が雷を纏い、エリクに向けて突撃する。

「《リンドヴルム》の効果発動!このカードが攻撃するとき、攻撃対象となったモンスターの攻撃力以下のモンスター、もしくは魔法・罠カード1体を破壊する。俺はお前の伏せカードを破壊する!」

突撃すると同時に、床から茨が出てきて、それがエリクの伏せカードを串刺しにする。

串刺しにされたそのカードは茨から発生した電撃を浴びる。

 

破壊された伏せカード

・鎖付き真紅眼牙

 

「ならば、私は罠カード《パワー・ウォール》を発動。私が相手モンスターの攻撃によって戦闘ダメージを受けるとき、ダメージ500ごとにデッキの上からカードを1枚墓地へ送ることで、戦闘ダメージを0にする」

エリクのデッキから6枚のカードが墓地へ送られ、透明な盾が《魔装雷竜リンドヴルム》の突撃からエリクを守る。

 

デッキから墓地へ送られたカード

・ライトパルサー・ドラゴン

・竜の霊廟

・攻撃の無力化

・王者の看破

・真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン

 

「防がれたか…。俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札4→1

ライフ4000

場 魔装雷竜リンドヴルム レベル8 攻撃3000

  魔装鳥フェニックス レベル7 攻撃2300

  魔装騎士ペイルライダー レベル7 攻撃2500

  伏せカード1

  魔装画伯シャラク(青) ペンデュラムスケール3

  魔装鬼ストリゴイ(赤) ペンデュラムスケール8

 

エリク

手札3

ライフ3900

場 なし

 

「私のターン、ドロー」

 

エリク

手札3→4

 

「私は手札から魔法カード《死竜蘇生》を発動。手札1枚を墓地へ送り、私かあなたの墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。私は《カーボネドン》を墓地へ送り、《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》を特殊召喚」

 

レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン レベル10 攻撃2800

 

死竜蘇生

通常魔法カード

(1):手札1枚を墓地へ送ることで発動できる。自分または相手の墓地に存在するドラゴン族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「そのドラゴンは…!」

《レッドアイズ・インサイト》の効果で墓地に仕掛けられたドラゴン族御用達のモンスター。

更に、追い討ちと言わんばかりに《カーボネドン》まで墓地に仕掛けられた。

ここからエリクによるドラゴン祭りが始まる。

「私は《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》の効果を発動。1ターンに1度、手札・墓地からドラゴン族モンスター1体を特殊召喚できる。私は墓地から《メテオ・ドラゴン》を特殊召喚」

 

真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン レベル6 攻撃1800

 

「更に墓地の《カーボネドン》の効果発動。墓地のこのカードを除外することで、手札・デッキからレベル7以下のドラゴン族通常モンスター1体を特殊召喚することができる。私はデッキから《真紅眼の黒竜》を特殊召喚」

 

真紅眼の黒竜 レベル7 攻撃2400

 

「更に、私は《メテオ・ドラゴン》を再度召喚し、デュエル効果を発動する」

「ちっ…通常召喚の権利をここで…!」

「このカードが存在する限り、このカード以外のレッドアイズモンスターは戦闘及びカード効果では破壊されない。これで、あなたは《メテオ・ドラゴン》を倒さない限り、ほかのレッドアイズモンスターを破壊できなくなりました。更に、私は手札の《黒鋼竜》の効果発動。このカードを攻撃力600アップの装備カード扱いにし、レッドアイズモンスター1体に装備する。私はこのカードを《メテオ・ドラゴン》に装備」

 

真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン レベル6 攻撃1800→2400

 

「更に、私の墓地に存在する闇属性モンスターが3体であるため、このカードは手札から特殊召喚できる。《ダーク・アームド・ドラゴン》を特殊召喚」

 

ダーク・アームド・ドラゴン レベル7 攻撃2800

 

「ちっ…」

《魔装雷竜リンドヴルム》が存在するため、バトルに対してはある程度抵抗できるのだが、《ダーク・アームド・ドラゴン》が現れたとなると話は別になる。

「《ダーク・アームド・ドラゴン》の効果発動。墓地の闇属性モンスター1体を除外することで、フィールド上のカード1枚を破壊できる。私は墓地の《真紅眼の鎧騎士-ギア・フリード》を除外し、《リンドヴルム》を破壊」

《ダーク・アームド・ドラゴン》の腹部の回転カッターが発射され、それが《魔装雷竜リンドヴルム》を襲う。

茨を召喚し、それを盾にしようとするが、刃によって次々と切り裂かれていき、ついには自身の体をそれで盾に真っ二つに両断されてしまった。

「更に私は墓地の《真紅眼の黒刃竜》を除外し、《魔装鬼ストリゴイ》を破壊」

休むことなく続けて発射された回転カッターが今度は《魔装鬼ストリゴイ》を切り裂く。

これで翔太はペンデュラム召喚を行えなくなっただけでなく、相手モンスターの弱体化もできなくなった。

「バトル。《真紅眼の黒竜》で《魔装鳥フェニックス》を攻撃。黒炎弾」

黒炎弾が発射され、それの直撃を受けた《魔装鳥フェニックス》が消滅する。

カード効果によって破壊されると次のターンに復活する不死鳥だが、戦闘破壊であっては意味がない。

 

翔太

ライフ4000→3900

 

「更に《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》で《ペイルライダー》を攻撃」

《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》の口から黒い炎のブレスが放たれる。

炎に焼かれた《魔装騎士ペイルライダー》は道連れにするためにライフルを撃つが、ビームは黒い体に弾かれる。

「《メテオ・ドラゴン》の効果を受けた《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》は破壊されない」

「俺は手札の《魔装守衛ランマル》の効果発動。俺のフィールド上に存在する魔装騎士が破壊されるとき、代わりにこのカードを手札から墓地へ捨てることができる」

《魔装守衛ランマル》のソリッドビジョンから力を受けた《魔装騎士ペイルライダー》が自身を包む炎をビームの剣で切り払う。

「更に、この効果を発動したとき、俺のフィールド上に存在するモンスターが1体のみの時、デッキからカードを1枚ドローすることができる」

 

翔太

ライフ3900→3600

 

「なるほど…これでこのターンをしのぐ、ということですね?《ダーク・アームド・ドラゴン》で《ペイルライダー》を攻撃」

続けて《ダーク・アームド・ドラゴン》の黒い炎が宿った拳が《魔装騎士ペイルライダー》を襲う。

「永続罠《エヌルタの慈悲》を発動!1ターンに1度、魔装シンクロ・エクシーズ・融合モンスター、もしくは魔装騎士モンスターが相手モンスターを戦闘を行うとき、発生する相手への戦闘ダメージを倍にする」

「このタイミングでは無意味な効果…ということは、狙いは別の…」

《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》に守られていない《ダーク・アームド・ドラゴン》は《魔装騎士ペイルライダー》の効果で破壊されてしまうのは明白で、拳を受けると同時に胸部をビームで打ち抜かれ、相討ちという形で消滅する。

 

翔太

ライフ3600→3300

 

「《エヌルタの慈悲》は俺のフィールド上に魔装モンスターが存在しない場合、墓地へ送られる。そして、このカードが自身の効果で墓地へ送られたとき、デッキから魔装ペンデュラムモンスター1体を手札に加えることができる。俺はデッキから《魔装斬鬼ロクベエ》を手札に加える」

「そして、《メテオ・ドラゴン》でダイレクトアタック」

《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》の口から発射される黒い炎の岩石の直撃を受け、翔太の体が後方の閉鎖された自動ドアにたたきつけられる。

「グアア…グゥ…!!」

 

翔太

ライフ3300→900

 

「私はこれで、ターンエンド…(果たして、《エヌルタの慈悲》を見誤ったことがどう響いてくるか…)」

 

翔太

手札1→2(うち1枚《魔装斬鬼ロクベエ》)

ライフ900

場 魔装画伯シャラク(青) ペンデュラムスケール3

 

エリク

手札4→0

ライフ3900

場 レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン レベル10 攻撃2800

  真紅眼の黒竜 レベル7 攻撃2400

  真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン(《黒鋼竜》装備 効果モンスター扱い) レベル6 攻撃2400

 

危機は脱したものの、翔太のライフは一気に900まで減ってしまった。

有利な状況を展開するエリクだが、彼は翔太が手にした《魔装斬鬼ロクベエ》に注目する。

(《エヌルタの慈悲》の効果があれば、翔太さんはスケール8以上のペンデュラムモンスターを手札に加え、再び《ペイルライダー》や《ストリゴイ》を召喚し、守りを固めることもできた。しかし、手札に加えた《ロクベエ》のスケールは4…)

当然、スケール3と4の幅でペンデュラム召喚できるモンスターはいない。

侑斗が持っていた《霊獣の聖剣士-ユウ》のような特定の条件下でペンデュラムスケールを無視してペンデュラム召喚できるモンスターも翔太のデッキにはない。

「俺のターン!」

 

翔太

手札2→3

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

(伊織さん、これ以上は…)

傷だらけになり、荒くなった息を整えながら、伊織は《E・HEROセラフィム》でディアボロを1機撃破する。

しかし、いくら倒してもまた次のディアボロが現れ、ロボットとは違って疲れという概念のある人間が追い詰められるのは明白だ。

伊織も、疲労のせいで3つ前のディアボロを撃破したときからプレイミスを起こすようになっていた。

「大丈夫、大丈夫…。私はまだ…!あ、あれ…?」

自覚していなかった疲れが襲ってきたのか、伊織がフラリとした後でその場に座り込んでしまう。

立ち上がろうと足に力を入れるが、脳と心の命令に肉体が追い付かない。

「くうう…」

幸い、指と腕が動くため、伊織は必死にカードを手にする。

しかし、それと同時に伊織にゆっくりと近づいてきていたディアボロが足を止める。

「あ…あれ??」

伊織の周囲を包囲するディアボロが動きを止めていき、両目の光も消えていく。

何が起こったかわからない伊織は腕を使ってゆっくりとディアボロに這って近づいていく。

近づいても何も反応を見せておらず、デュエルディスクも電源が切れてしまっている。

「どうなってるんだろう…?」

ダメもとで伊織はディアボロのデッキを取って、中身を確認する。

当然のように、カードはすべて真っ白になっており、使い物にならなくなっていた。

 

「俺は手札から魔法カード《ペンデュラム・ホルト》を発動。エクストラデッキにペンデュラムモンスターが3体以上表向きで存在するとき、デッキからカードを2枚ドローする。ただし、このカードを発動したターン、俺はペンデュラム召喚を行えない」

 

ペンデュラム・ホルト(漫画オリカ・調整)

通常魔法カード

このカード名のカードは1ターンに1度しか発動できない。

(1):自分のEXデッキの表側表示のPモンスターの数が3体以上の場合に発動できる。デッキからカードを2枚ドローする。このカードを発動したターン、自分はP召喚を行えない。

 

「更に俺は手札から魔法カード《エクストラ・フュージョン》を発動。エクストラデッキのモンスターを素材に融合召喚を行う。俺が融合素材にするのは《魔装騎炎ブリュンヒルデ》と《魔装騎士ホワイトライダー》。滅びの炎纏いし美しき死神よ、第1の騎士よ、魔導の力によりて、今1つとならん。融合召喚!炎の聖女、《魔装聖女ジャンヌ》!このカードの攻撃力は融合素材にした魔装モンスターの元々の攻撃力の合計になる!」

 

魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃5900

 

「攻撃力5900…しかし、《メテオ・ドラゴン》の効果でこのカード以外のレッドアイズは戦闘及びカード効果では破壊されません」

「で…《メテオ・ドラゴン》を攻撃しろと?そういうリクエストには答えられないな」

翔太の言葉にさすがに自分の思う通りに行動はとらないなと思いながら、エリクは笑みを浮かべる。

《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》に装備されている《黒鋼竜》はフィールドから墓地へ送られたとき、デッキからレッドアイズと名の付くカードを1枚手札に加える効果がある。

それを利用して、再び《真紅眼融合》を手札に加えられてしまう可能性がある。

攻撃力が5900の《魔装聖女ジャンヌ》を破壊するようなモンスターを召喚されてしまう可能性が大きい。

「だから、お前にダメージを与えることを優先する!俺は《魔装聖女ジャンヌ》で《真紅眼の黒竜》を攻撃!」

炎に包まれた刀身の片手剣を手にした《魔装聖女ジャンヌ》が《真紅眼の黒竜》に切りかかる。

攻撃そのものは、突然現れた黒い炎の楯に阻まれたものの、攻撃の余波はエリクに届いている。

 

エリク

ライフ3900→1400

 

「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンド」

 

翔太

手札4→2(うち1枚《魔装斬鬼ロクベエ》)

ライフ900

場 魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃5900

  伏せカード2

  魔装画伯シャラク(青) ペンデュラムスケール3

 

エリク

手札0

ライフ1400

場 レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン レベル10 攻撃2800

  真紅眼の黒竜 レベル7 攻撃2400

  真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン(《黒鋼竜》装備 効果モンスター扱い) レベル6 攻撃2400

 

「私のターン、ドロー」

 

エリク

手札0→1

 

「私は手札から魔法カード《七星の宝刀》を発動。手札・フィールドに存在するレベル7のモンスター1体を除外し、デッキからカードを2枚ドローする」

《真紅眼の黒竜》がフィールドから姿を消し、エリクの手に2枚のカードが加わる。

それを見たエリクはフッと笑みを浮かべ、まずは《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》に目を向ける。

「《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》の効果発動。墓地から《ライトパルサー・ドラゴン》を特殊召喚」

 

ライトパルサー・ドラゴン レベル6 攻撃2500

 

「更に私は手札から魔法カード《ミニマム・ガッツ》を発動。自分フィールド上に存在するモンスター1体をリリースし、相手フィールド上に存在するモンスター1体の攻撃力をターン終了時まで0にする」

「何!?」

《ライトパルサー・ドラゴン》が光の球体となって、《魔装聖女ジャンヌ》に向けて飛んでいく。

炎の聖女はやむなく剣でそれを受け止めると、光の球体はその刀身を砕いた後で消滅してしまった。

 

魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃5900→0

 

「よりによってそのカードを引くかよ…!?」

「運は私に味方した、ということでしょう。《レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》で《魔装聖女ジャンヌ》を攻撃」

《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》の炎のブレスが《魔装聖女ジャンヌ》を襲う。

このモンスターだけではない、残り1体のレッドアイズの攻撃を受けたとしても、翔太のライフが0になってしまう。

「罠発動!《アイギスの盾》!俺のフィールド上に存在する魔装モンスターが攻撃対象となったとき、デッキからカードを1枚ドローし、バトルフェイズを終了させる!」

五芒星が刻まれ、外周に黄色いラインのある鋼の盾が聖女の目の前に召喚され、彼女はそれで炎を受け止める。

そして、翔太は効果によりカードをドローする。

(こいつは…!)

「…私はカードを1枚伏せ、ターンエンド。《ミニマム・ガッツ》の効果は消えますが、《ジャンヌ》の攻撃力は戻りません」

 

翔太

手札2→3(うち1枚《魔装斬鬼ロクベエ)

ライフ900

場 魔装聖女ジャンヌ レベル8 攻撃0

  伏せカード1

  魔装画伯シャラク(青) ペンデュラムスケール3

 

エリク

手札1→0

ライフ1400

場 レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン レベル10 攻撃2800

  真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン(《黒鋼竜》装備 効果モンスター扱い) レベル6 攻撃2400

  伏せカード1

 

アイギスの盾

通常罠カード

(1):自分フィールド上に存在する「魔装」モンスターが攻撃対象となったときに発動できる。デッキからカードを1枚ドローし、バトルフェイズを終了する。

 

「俺のターン!」

 

翔太

手札3→4

 

「俺は空いたペンデュラムスケールにスケール4の《魔装斬鬼ロクベエ》をセッティング。そして、このカードは俺の手札・墓地に存在する魔装騎士1体を除外することで、手札から特殊召喚できる。俺は墓地の《ホワイトライダー》を除外し、《魔装騎士ケントゥリア》を特殊召喚」

 

魔装騎士ケントゥリア レベル2 攻撃300(チューナー)

 

「ペンデュラムチューナー…無属性とは…」

「とっておきを見せてやるよ…。俺はペンデュラムゾーンに存在するレベル4の《シャラク》と《ロクベエ》にレベル2の《ケントゥリア》をチューニング!」

ペンデュラムスケールを生み出していた2体のモンスターを2つの透明なチューニングリングが包んでいく。

「死者と生者を整理せし漆黒の力、今こそ惰生をむさぼりし魂を無へ落とせ!ペンデュラムシンクロ!!現れろ、魂を無へ導く者、《魔装騎士HADES》!」

 

魔装騎士HADES レベル10 攻撃3000

 

召喚された《魔装騎士HADES》が指を鳴らすと、彼の背後にマグマでできた巨大な蛇が現れ、その蛇が2体のモンスターをにらみつける。

「《HADES》…。死者が赴く場所、もしくは冥府の神。なるほど、黙示録の四騎士から派生したモンスターとしてはふさわしい名前だ」

「そんな余裕をかましている場合かよ。俺は《HADES》の効果を発動!このカードのシンクロ召喚に成功したとき、フィールド上に存在するカードを3枚まで破壊できる。俺は《メテオ・ドラゴン》と《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》、そして伏せカードを破壊する!」

炎の蛇が大きく口を開き、エリクのフィールドに向けて突っ込んでいく。

《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》は上空へ飛んで回避したが、伏せカードと《真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン》が飲み込まれていく。

飲み込まれたそれらはそのまま炎で焼き尽くされていき、炎の蛇は姿を消していった。

 

破壊された伏せカード

・レッドアイズ・バーン

 

「おいおい、伏せカードはブラフかよ。もしくは引き分けでも狙っていたのか?」

「最悪の場合は、ですがね。《黒鋼竜》がフィールドから墓地へ送られたことにより、効果を発動。私はデッキから《真紅眼融合》を手札に加える」

「俺は手札から《魔装獣ユニコーン》を召喚」

 

魔装獣ユニコーン レベル4 攻撃1600

 

「このカードは魔装騎士の装備カードとなることができ、装備モンスターの攻撃力は1000アップする」

《魔装獣ユニコーン》の背中に乗った《魔装騎士HADES》が上空から落ちてきた巨大な鎌を手にし、《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》をじっと見る。

鎌の刀身はまるで鏡のように輝いており、その黒い竜の顔が映っている。

 

魔装騎士HADES レベル10 攻撃3000→4000

 

エリクは目を閉じ、潔く攻撃を受ける決心をする。

「バトルだ。《HADES》で《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》を攻撃!」

《魔装獣ユニコーン》が嘶くと、まっすぐ《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》に向けて突っ込んでいく。

《魔装騎士HADES》の大鎌は《レッドアイズ・ダークネスメタル・ドラゴン》の胴体と頭を切り離し、その頭部は床に転げ落ちた。

「《ユニコーン》を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊したとき、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える」

 

エリク

ライフ1400→1200→0

 

ソリッドビジョンが消滅するとともに、翔太の頭に激痛が発生する。

「ぐ…!?ま、またか…!?!?」

視界が白く染まり、やがてそれは真っ暗な石造りの空間へと変化していく。

そこでは青いタコかイカをかぶったかのような髪形の男がオレンジ色の髪の男とデュエルをしていた。

時代が違うのか、使っているのはカードではなく石板ではあるが。

オレンジの男のフィールドには頭に紫色の杖が横に刺さっているかのような形をした、ギリシャ神話に登場するラミアのような姿のゴーレムがいて、青の男のフィールドには水色で杖を持った巨人がいる。

「消えろ!…!!」

青の男がオレンジの男の名前を大声で叫ぶが、案の定というべきか、その声だけ翔太の耳には聞こえなくなっている。

巨人の杖による一撃が決まり、オレンジの男は敗北し、あおむけで床に倒れる。

「妹の…民たちの、貴様に殺されたすべての者たちの仇だ!!」

「ふざけんじゃねえ…ふざけんじゃねえぞ!?てめえに負ける道理がどこにある!?俺には…負けれねえ理由があるんだよ!!」

「前に言っていたな、…。俺の心に宿るやさしさと正義が弱点だと。だが…それが俺に力を与えた。そして、俺のもだえ苦しむ姿見たさに策謀を重ねたことが、俺の怒りを爆発させ、貴様を自滅への道へ突き進ませた!」

「…!!てめえだけは、てめえだけは…!?!?な、なんだ!?なんだこれは!?」

なおも食い下がろうとオレンジの男は剣を手にし、青の男を殺そうとするが、剣を持つ手が透明な細い手に捕まれ、さらに複数の手がその腕をつかんで彼の腕の骨をバキバキと折っていく。

「うわああああ!?!?な、なんだ…!なんだお前ら!?!?」

「俺にはわかるぜ、…。死んでいった奴らが貴様に復讐したいとな」

翔太はオレンジの男を襲う手の正体を見る。

その透明な手の先には人型の亡霊がいて、右腕だけでは飽き足らず、左腕や頭など、その手は全身にまで及んでいた。

そして、その腕は骨を折り、肉を引き裂いていく。

「ガアアアアア!!許さねえ、…!!地獄へ落ちたとしても、何度生まれ変わったとしても、てめえだけは絶対殺してやる、殺してやるぜ、…!!!」

オレンジの男の声を聞くことなく、青の男はその場を後にしていく。

その空間は男の断末魔の声に包み込まれていき、その場にはそれが人間かどうかわからないほどに木っ端みじんとなった遺体だけが残っていた。

「これが彼の末路…。このまま冥界でおとなしくしていればよかったのに」

翔太の隣に石倉純也の小さいころそっくりな姿の少年が現れ、その遺体をじっと見つめている。

その声は翔太の耳に聞こえた「思い出してはいけない」という声とそっくりだった。

「お前かよ、俺にこれ以上思い出すなって言ったのは」

「そう…。あいつは信用できないから…」

「で、誰なんだよお前は」

「僕?僕は…もう1人のあなただ」

「もう1人の俺…?おい、それはどういう!?!?」

少年に問い詰めようとするが、彼は姿を消し、同時に翔太はその空間の中から消えていく。

(ちっ…てめえに自由になり資格はねえぞ!?あいつは…俺の所有物なんだぜ?)

誰もいなくなった空間の中で、声だけが響いた。

 

「…太君、翔太君!!」

「伊織…??」

「翔太君!!ああ、よかった!!」

目を開いた翔太の目には涙をためた伊織の姿があり、彼が目覚めたのを見た彼女は思いっきり抱き着いてきた。

「よかった!!翔太君、ここで見つけたときには倒れてて、息もしてなくて…」

「…記憶の鍵を手に入れたからな。それより、あいつは…エリクは…!?」

伊織から解放された翔太は即座に彼のことを尋ねる。

今いる場所は翔太がエリクとデュエルをした場所であり、彼の姿はどこにもない。

「わからない…。ついた時には翔太君が倒れてて、エリクさんの姿はどこにも…。それから、ディアボロも動かなくなっちゃって」

「あいつを倒したことで、停止したのか?それとも…」

翔太はエリクがいた場所をじっと見る。

チームオーファンのボスを名乗っていた彼とのデュエルは確かに勝った。

しかし、彼は自分が記憶を取り戻す間に行方不明となり、ディアボロ達は動きを止めた。

そして、記憶の中で出会った少年。

謎が、ただ謎だけが翔太の中に残った。

そんな翔太と伊織のデュエルディスクに通信が入る。

(秋山翔太と永瀬伊織、聞こえているか?)

「ようやくか…。シンクロ次元では初めて声を聞くな、ボス」

皮肉交じりに声の主である零児を呼ぶ翔太。

別行動をさせ、このような事態になっても何も指示を出さない零児に対して、文句の一つは言いたくなる。

(君たちシェイドとランサーズのおかげで、セキュリティ及びアカデミアの撃退に成功した。その際、コモンズやトップスからも協力者がいた。住民やこの次元のデュエリストの中には犠牲者も出たが、まずはこの次元を守り抜けたことは大きな成果だ)

「そっか…勝ったんだ…よかった…」

混沌を極めたシンクロ次元での戦いに勝利できたことにほっとする伊織。

零児が言うように犠牲者、つまりはカードにされてしまった人々がいることを考えると素直には喜べないが。

(だが、残念な知らせがある。榊遊矢のことだが…)

「…ええ!?遊矢君が!?」

「くそっ…!!」

零児からの言葉を聞いた伊織と翔太は言葉を失った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。