なんでトレーナー、私達より走るのが速いの!?   作:マザーグース好きのクラウン

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読まなくても物語に支障はありません。



第零章 各話のおまけのようなもの

プロローグ

 

ただの世界観説明が大きいです。

沖野Tを見て、「思ったより物理法則とか無いなこの世界」とは思っていました。ならこんな突然変異がいても良かろう、と。

母親がウマ娘なのもその拍車をかけています。

 

駿川 たづなの独白

 

主テーマは「バイアスと人間性の美醜」です。

この物語は「独白」です。たづなさんの言葉を額面通りに受け取ってはいけません。

そもたづなさんは善意と調和、そして役割をこの上なく重んじます。そしてそれを持ち前の几帳面さと優秀さでソツなくこなす、言うなれば「母性の象徴」のような女性です。

こういうタイプの人間にとり、世界は即ち「家庭」です。

自分は自分の役割を。その人はその人の役割を。

それを守った上で皆仲良く、温かくいられることがこういう人の理想的な世界。

しかし残念ながら主人公はそうではありませんでした。

たづなさんはトレーナーという物を「ウマ娘を支え、一緒に走ることはできなくても導く大人」としての役割に当てはめます。

それに対し主人公はトレーナーという物を「人間の男が、最速のウマ娘と競う最も堅実且つ手っ取り早い手段」としてしか認識していません。

割とこの思考はタキオン等は顕著ですが、たづなさんはタキオン等は「自分が支えるべき生徒」という役割で見ることができるので受け入れられますが、主人公は無理です。同じ職員であり、同じたづなさんにとっての「大人」なはずの立場なので。

因みに理事長は主人公の性質に薄々気付いてますし、ルナちゃんは完全に気付いてます。しかし理事長は「前に進みそうだから」という直感、ルナちゃんはCBとかタキオンみたいなウマ娘にこそこういうヤツが必要だろうとOKスタンスです。

多分ルナちゃん辺りはそういうウマ娘じゃない子がまかり間違って主人公の担当ウマ娘になったらブチ切れますね。

話を戻すと、それぞれの「大人」の基準の違い等もありますが、兎に角たづなさんにとり主人公のようなタイプは嫌悪する相手です。

しかし主人公、ここで「ウマ娘より速い」とかいう特異点を持ってしまっています。

バイアスが働きます。たづなさんは一応それ自体は確かに感じている「嫉妬」という枠組みに嫌悪感などを押し込むことで、自分の「皆仲良くするべき」という思考を保持するためのバイアスをかけました。

しかしどう考えても嫉妬などではないので、心理的なコンプレックス状態に陥ります。

それでも。そんな嫌悪する相手でも心配はしてしまう。

結局どこまで行ってもたづなさんは善性の持ち主で、その善性こそがたづなさんのこの上なく美しい所だと思います。それが書けていたら幸いです。

 

「面白そう」か否か

 

主テーマは「傲慢、純粋の残酷性、優しさの残酷性」です。

主人公は当たり前ですが傲慢です。基本スタンスで人間を見下してます。「だって俺より遅いじゃんお前」です。これ自体が一種の評価主義になっているのですが、そこにギリギリ気付いていません。

そして、人間たるトレーナーがそれより種族として速い「ウマ娘」を導くとか何頭沸いた事言ってんの? という考えがある故、その悪感情がトレーナー達を「面白くない」とします。しかし言ってること自体は間違ってないのがまたタチが悪い所です。

「で、結局楽しめんの?」は主人公の唯一にして絶対の基準だったりします。分かり易いとこで言うなら「95点♤」のあの人ですね。

基本はこれ以外で物事を判断しないため、それ以外には興味も無い、視界にも映らない、関心も持たない。

「友人の死は辛くてもCMのアフリカの子達の死はほぼ関心も持たない」現象の極端な物ですね。

けれどこれには主人公も自覚があるし、本来の「トレーナー」にはそぐわないのもわかっています。

その罪滅ぼしにゼッケン1番の子に話しかけに行って、けれどやっぱり興味も持てないから「社会合わないなぁ」となる物だったりします。

 

「あのトレーナーさん、え、人間?」

 

主テーマは後書きで書いてるので、副テーマは「パラダイムシフトと会長のえげつなさ」です。

「知っているかどうか」。これだけでこの世は一変します。

「絶対OKしてもらえる」とわかっている告白に緊張なんてしないように。やり方を知らない、上手くいくかわからない、だからこそ努力は実るとは限らず、達成の実感も湧かず、前に進んでいるとも思えない。

これはある種のこの世の真理です。

それに気付けた女の子は、きっと「努力を意味ある物にするための努力」に目を向けるようになるでしょう。

案外それを与えた時点で、主人公はトレーナーをしっかりとやれていたりするんです。

会長はそれを知って内心でほくそ笑んでいます。

当たり前ですが会長は「走るのが速いトレーナー」の時点で主人公だと気付いてます。会長の性格と「全てのウマ娘の幸福」という理想を持っていて、特異な能力を持ったトレーナーである主人公を調べていないはずがありません。

しかし会話の流れで「ああ、この子は担当にはしないと振られてしまったんだな、けれどそれに気付いていないな」と察したからのこの返し。発言の通り、会長にとっては「得るものが多かった」会話だったわけです。

やっぱ会長バケモンだよなぁ、というのが伝わっていると嬉しいです。

 

邂逅

 

担当をアグネスタキオンとすることに決めた。それを越えることも、それ未満でもないお話。

狂える情熱と、身体を壊す才能を宿して、情動を切り捨てて己の為にと突き進んでいた少女が、初めての「仲間、友人、もしかするとその先の存在」を手に入れる、きっかけの物語。




……同じ餓えを持つ人が、せめて一つでも読めますように、という願いで公開していたのですが、ちょっと最高評価を付けられてしまうと応えない訳にも行かず。
前提条件である零章の「これを踏まえるとちょっと面白いかもよ!」みたいなものを以て感謝とさせてください。
……10個しか付けられない最高評価を、有難う御座います。
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