夜蛾さんによる軟禁という名の説得の末に、私は呪術高専に転入する事になった。
前回は死ぬほど渋ったけど、今回はトントン拍子で話を進めたので夜蛾さんも結構驚いていた。
ちなみに渋った理由としては夜蛾さんによる呪術師のリスクの説明が死ぬほど怖かったからだ。
任務によっては死ぬ事もザラにあるわ、悪質な呪詛師に捕まって生殺しにされることもあるわ、全国各地を飛び回らないといけないとか、2回目でも普通に入りたくないと思う。
まぁ、希望すれば普通に就職も出来るんだろうけど在学中でも普通に死ぬ事はあるからなぁ……
「さて……荷造りはこれぐらいでいいかな?」
自室でボストンバックぐらいの鞄に荷物をまとめる。
服と生活用品さえあれば事足りるので凄い楽だった。
10年前の自分の部屋を見てみると、あのアイドルとかにハマっていたなぁとか懐かしくなってくる。
前回はグッズとか詰め込みすぎて何回かに分けて郵送する羽目になったんだっけ。
「ん?誰からだろ」
知らない番号から電話がかかっている。
もしかしたら高専関係者かも。
久しぶりのガラケー操作に手こずっていると電話が切れてしまったので、こちらから掛け直す。
スマホが恋しい……
『もしもし聞こえるかい?夏油だけども、今時間ある?』
「え、何で番号知ってるの」
前回は夏油がイケメンだったから連絡先を交換したけど、今回はしていない。
なんなら交換どころか携帯持ってる事すら教えてないはずだけど。
ストーカーか?
『ちょっと夜蛾先生に頼んでね。そんな事より、今から時間空いてるかい?』
「ストーカーかよ」
『人聞きの悪い事を言わないでくれ。ちゃんと用事があるんだからさ』
私には無いです(論破)
とはいえ、邪険にするのも可哀想なので用件だけ聞く事にしよう。
「用件次第かな」
『ちょっと僕とお茶しない?』
凄い甘ったるい声で誘ってきた。
冗談でもタチが悪い。
「しない、それだけなら切るよ」
『ごめんごめん、冗談さ。今夜君ん家の近くの中学校で任務があるから見学していかないかい?』
こいつやっぱりストーカーだ。
何で私の家を知ってるんだ。
こっわ……
色々な感情を込めたため息がでる。
「はぁぁぁ………取り敢えず行くけど、言いたい事あるから」
『OK、じゃあ1時間後に校門前に集合で』
電話が切れると、携帯をベットに向かって投げつけた。
「はぁ……帰ったらまたお風呂入らないとなぁ」
寝巻きから高校のジャージに着替えてあったかいコーヒーを飲んでから
行くとしますか……
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「おーいこっちこっち」
冷える体をさすりながら手を振っている夏油の所に行く。
まだ11月なのにこの寒さは勘弁してほしいよ。
「どうも、こんばんは。ストーカーの夏油君???」
「あはは……すまないね。どうしても君に私達呪術師を見てもらいたかったんだよ」
どうやらあまりにもすんなり入学しようとした私への彼なりの気遣いらしい。
だがいくらなんでも住所はダメでしょ。
「夜蛾さんから一通りの説明は受けたってば」
「それでも君は一度見ておいた方がいい。一度入ってしまえばそう簡単には抜けられないからね」
100%ありがた迷惑なんですけど。
この寒い夜にほんとやめてほしい。
あったかいお布団に包まれたいんだよ私は。
「すぐる〜、その娘誰〜?」
暗がりから出てくる銀髪。
あぁそういえばこの頃はまだ2人一緒に活動していたんだっけ。
「転入希望(仮)の子さ。日向さん、こいつは五条悟。僕のクラスメイトだよ」
五条悟。
こいつには今まで良い意味でも悪い意味でも迷惑をかけられた。
性格は最悪、無駄にくそイケメンなのが腹立たしい。
「初めまして……日向です」
「へぇ〜……転入、ねぇ」
サングラスを外して私の事をじっと見てくる。
顔だけはイケメンなんだよなぁ。
青く澄んでいる瞳に整いすぎた顔、銀色がかっている髪。
それぞれがポイント高いから全部合わさると破壊力がキツイ……
あんまり見つめられるので、フイと顔を逸らして夏油を間に挟む。
「あれ?なんか怒ってる?」
「初対面の人の顔をジロジロ見つめるものじゃないよ、悟」
「そういうもんか?」
「あぁ、そういうものだ」
「そっか。ま、よろしくな〜」
こうして私の楽しい楽しい事前授業が始まる。
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