もう一度、彼に燈を   作:myo-n

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存在しない記憶を思い出したので初投稿です。


簡易領域

「どっからでもかかってきなよ〜」

 

余裕綽々で挑発してくる五条。

 

「じゃあお言葉に甘えてっ!」

 

五条に近づいて術式無しの呪力強化だけで拳をぶつける。

 

「うっわ、いきなり顔殴りに来るとかほんとに女子ぃ?」

 

しかし、拳は五条の目の前で止まった。

一応は知っているけど、知らないふりをしておく。

 

「え、何これ」

 

五条の周りを適当に触るが、見えない壁に阻まれているような感触。

実際のところ感触はない。

でも止まっていると言うところが凄い気持ち悪い。

 

「教えてほしい〜?」

 

「まぁ、教えてくれるなら」

 

しょうがないなぁと五条は煽り気味に語り始める。

 

「まー難しいから君でも分かるように簡単に、とーーーっても簡単に説明すると……僕の周りにはバリアみたいな物があってね?どんな攻撃でも遅くなっていって僕に届くことはない」

 

プチン

 

「……」

 

「だーかーらー意味ないんだって」

 

五条の脛を執拗に蹴る。

当たらないのは分かっているけど何度でも蹴る。

お前の術式ぐらい知ってるっつの。

元からイラつく奴だったけど、なんか最初の頃と煽り具合違くない???

 

「はぁ……うっっざ」

 

「褒めても何も出ないよ〜」

 

大きく息を吐いて気持ちをリセットさせる。

ちょっと真面目に突破方法を考えようかな。

 

脳にだけ術式を回して考える時間を生み出す。

余裕しかなさそうな五条は術式を発動させてるのに気づいてもニヤニヤして仁王立ちしている。

 

まず、五条の術式は無限っていう意味わからない物を現実に持ってくる能力。

今あれを守ってるのはバリアっていうよりかは無限という概念そのもの。

自分の周りに無限を持ってきて自信に降りかかる危険物を永遠に遅くし続ける、まさに無敵モード。

 

さて……それを破るにはどうするべきか。

 

1、真っ向から術式を発動して無限に遅くなるよりも速く私の攻撃を加速させてバリアを突破する。

 

2、加速した動きで撹乱して死角から攻撃する

 

3、簡易領域の展開

 

1は圧倒的に呪力が足りないので無し。

2も良い線は行くと思うけど、それをするにはこの場所は狭いし遮蔽物も無いから不可能……

 

となると、3か。

シン・陰流と呼ばれる流派の独自の技術、自分だけの小規模な領域を作ることで敵の領域展開の必中効果を無くす技。

護身術みたいな物だけど、五条と私を隔てている無限という空間ごと自分の領域で上書きすれば、多分攻撃は通じるはず。

 

ただ……問題は私がシン・陰流の門下生じゃ無いから使い方を詳しく知らないことと2回目からは通じないという事。

純粋な呪力勝負になると五条には絶対勝てない。

だから不意打ちで動揺している一発しか当たらないだろう。

 

取り敢えず、ダメ元でやれるだけやってみるか……

一応領域展開(・・・・)はできるし簡易領域だけならいけるでしょ

 

術式を解く。

頭が少しだけ痛んできたが、問題はない。

 

「考え事は終わったか?」

 

「お陰様で」

 

「降参しない?」

 

「あんたに一発決めるまではしない」

 

「まーだ言ってんの?どんなに頑張っても無理なものは無理なんだよ〜」

 

子供染みた様子であっかんべーと挑発してくる。

 

あっったまきた、絶対殴ってやる。

 

「分かった、じゃあ次のも避けるなよ?????」

 

「気が済むまでどーぞー」

 

半歩引いて拳に呪力を込める。

重要なのは、タイミングだ。

 

何回か簡易領域を使っている所を見たことがある。

居合術のように後手に回る形で使っている人が殆どだったけど、それだと意味がない。

 

拳が無限に触れる直前に簡易領域を展開して最短で術式を破る。

 

集中……

 

今までにないくらいの集中。

それもこれも五条の顔面を殴り飛ばす為。

私は、やってみせる。

 

「シッ!!」

 

勢い良く拳を出す。

 

「無駄だってのに……、ん?」

 

さっきのパンチで大体の間合いは分かっている。

もう少しもう少し……

 

今!!ここ!!!

 

「簡易領域!!」

 

拳が無限に触れた瞬間、領域を自身の周りに少しだけ広げる。

少しだけ術式の抵抗があったけど、五条が油断しているからか難なく上書きする事ができた。

 

「はっ???ぶぇ────」

 

まさか破られるとは思ってなかったであろう無限バリアが破られて完全に面喰らった五条に拳が突き刺さる。

 

結界の壁まで叩きつけられる五条。

殴った感触的に、呪力でろくにガードしていなかった。

どうやらよっぽど舐められていたらしい。

 

近くまで寄って観察してみると、なんと気絶していた。

綺麗なお顔に赤黒いあざが出来上がっている。

 

あーすっきりした。

 

高らかにガッツポーズを決めていると、結界が解けて硝子が口笛を吹いて寄ってきた。

 

「派手に飛んだね〜。生きてる?」

 

「多分。どうしよこれ」

 

万が一の事を考えて呪力弱めにしておいてよかった。

普通なら骨が砕けてるレベルの防御力だったし。

 

「ん〜任せて」

 

驚きのあまり口が空いたままの夏油に固まっている夜蛾さん。

そんな中硝子は五条の所に駆け寄って手を当てる。

 

神秘的な光とかは特になかったけど、五条の顔のあざが引いていく。

反転術式って便利だなー。

 

ジロジロと見ていると硝子が、私が何が起きてるのか分からないと勘違いして説明してくれる。

 

「あぁ、今やってるのは反転術式って言って……。回復魔法みたいなやつ」

 

「へ、へぇ〜……凄いね!どうやってやるの??」

 

「んー、ひゅーっとやってひょいって感じ」

 

「……そっか」

 

安定の訳わかんない説明ありがとう。

何か死に際で呪力の核心掴んだとか昔五条が言ってたけど、一回死んだ(?)けど使えない私とは……

 

反転反転……今の呪力の流れを逆にしてみたりとかかなぁ?

でもさっきやった時気持ち悪かったし多分人それぞれ感覚が違うんだろう。

要検証、だね。

 

「ふーーー疲れた」

 

何はともあれ、目的は果たした。

生意気な夏油はしばに、もっと生意気な五条は殴り飛ばした。

どーせこの場にいても起きた五条が拗ねそうで面倒だし、退散しますか。

 

硝子にお願いして舞台の外に出る。

そしてようやく口を閉じた夏油の肩を叩いた。

 

「これに懲りたら2人とも反省するように。私は勉強してくるから五条君の世話よろしくー」

 

「…………はぁ、すまなかった。後は何とかしておくよ」

 

長いため息だが、夏油もやり過ぎたと思ってくれたのか潔く謝った。

 

私はルンルンで寮へと戻り、仮眠を少し取った後に術式フル活動して一晩で何とか遅れを取り戻しましたとさ。

 




原作の領域展延とはちょっと違います。
主人公ちゃんは領域を体に纏うのではなく自分の周りの空間を簡易領域で塗り替えて一時的に無限バリアにでっかい穴を開けただけです。
イメージは三輪ちゃんがやってた円形の簡易領域を瞬時に展開したみたいな感じです。
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