近距離パワー型のじゃロリ狐っ娘守護霊 作:名無しの狐信者
引子さんを説得し、イズクはワンフォーオールを継承した。
揉めに揉めたが、最終的にはめでたしめでたしでお祝いをして、喜びを分かち合う。
イズクが新しい力を手に入れたが、妾がやることは何も変わっていない。
弟子はヴィランをやっつけて人々を助け、ナンバーワンヒーローを目指す。
雄英高校の入学試験に合格することを目指すのだ。
それがイズクの目標で妾はサポートに徹するのだが、改めて考えてみてもやはりいつも通りだった。
しかし変化もあり、大きく違うのはオールマイトがイズクのトレーナーなことだ。
今では筋トレなどを色々と指導してくれるので、とても助かっている。
取りあえず器は既にできているので、髪の毛を飲んでワンフォーオールを継承した。
ただし胃腸で吸収されるまで少し時間がかかるため、その間にかかりつけ医の下に移動して波紋治療を行いつつ、今後のことについて相談した。
最新の医療と波紋を組み合わせれば、時間はかかるが肺だけでなく、胃も再生させられるかも知れない。
複雑骨折や壊死した細胞を蘇らせるだけでなく、死の淵からも蘇らせただけはある。
代わりに波紋治療を行う、イズクの負担が半端ではない。
なのでその辺りは要調整ということで、オールマイトにトレーニングメニューを考えてもらうのだった。
信頼できるヒーロー事務所の訓練場を借りて、初日ということで個性の慣らし運転を行う。
耐衝撃性に優れていて広々としたトレーニングルームだ。
しかし流石に超パワーには耐えられないので、個性の発動には気をつけないといけない。
「緑谷少年。準備はいいかな?」
「はい! お願いします!」
トレーニングルームは貸し切りで、事務所の人は秘密を知る数少ないヒーローらしい。
なので本日のオールマイトは、痩せこけたトゥルーフォームだ。
そして正面には運動着を着用し、筋骨隆々のイズクが少し緊張した状態で直立不動している。
何とも対象的な二人に思えた。
「ワンフォーオールを使う時は、尻の穴グッと引き締めて、心の中でこう叫べ!
スマッーシュ! ……とね!」
どうやらオールマイトは感覚派のようだ。
トレーニングメニュー表はしっかり書かれていたが、肝心の指導がこれではイズクも戸惑うだろう。
実際に彼は困った顔をして、チラチラこっちを見てくる。
妾は我関せずと邪魔にならないように隅っこで丸くなっていたが、流石に放ってはおけないので、ぐいーっと伸びをして口を開く。
「ワンフォーオールを簡単に説明すれば、生命エネルギーの源泉じゃ」
念話によって妾のイメージを直接送り込むと、イズクはなるほどと頷く。
「ゆえに、波紋を全身に走らせよ。
そして己の内にあるワンフォーオールに触れ、生命エネルギーを引き出すのじゃ」
イズクはもう個性因子を取り込み、ワンフォーオールを継承している。
いつでも生命エネルギーを引き出せる状態になっていた。
「しかしイズクは器を成したとはいえ、まだ未完成じゃ。
加減を誤れば、肉体は容易く崩壊するじゃろう」
ワンフォーオールは強力であるゆえに、扱いには気をつけなければいけない。
「出力調整は、くれぐれも慎重にな」
「わかりました! 師匠!」
波紋とは血液を通して体内の生命エネルギーを活性化させ、自在に操る技だ。
ワンフォーオールとの相性は、悪くないだろう。
「
イズクが呼吸を整えると、コオオオという効果音が背後に見えるようで、全身に以前よりも遥かに大きなオーラをまとわせている。
ちなみに
あくまでもワンフォーオールを制御する際の仮の名前であり、他にしっくり来るものがあれば、すぐに変更するだろう。
(妾としてはフルカウルがオールマイトに似て良さ気に思えるが、実際のところはイズク次第じゃな)
技名は使用者が気に入るかどうかで決まり、取りあえずは問題なく力を引き出せているようだ。
「師匠! どうでしょうか!」
妾はふむと一息吐き、オールマイトに視線を向ける。
「どうなのじゃ? オールマイトよ?」
「えっ!? ああ、そうだね!
どれぐらい、力を引き出せているか!
トレーニング機器を使って、確認してみようか!」
今のイズクは低出力のワンフォーオールを発動させている。
全身に緑色の電気のようなオーラがまとわせていた。
オールマイトが高性能なトレーニング機器の場所まで案内して、どのぐらい強化されているのかを測定するらしい。
だが彼はこちらを困った顔で見つめて、おもむろに口を開く。
「もしかして、私は教育が下手なのでは?」
イズクはナンバーワンが指導している。
けれど何故か不安そうに口を開くので、仕方ないなと妾はフォローを入れるために、少しだけ考えた。
「妾はワンフォーオールについて、殆ど知らぬ」
「殆ど知らなくても、あれだけ教えられたら大したものだよ」
ちょっとやそっとでは壊れないヒーロー用のパンチングマシーンで、イズクの右ストレートの威力を測定している。
それをしっかり確認しながら、オールマイトは妾と話を続ける。
「しかし妾は、イズクを指導する気はないぞ」
妾的には、のんびり日向ぼっこですやすや眠りたい。
いつも考えなしで動くので、場当たり的で適当な指導しかできない。
それでも直感で正解に辿り着くので、良くわかっていないが結果が出ているだけだ。
「うむ、やはりオールマイトに任せよう。
妾は後方で腕組みしておるだけで十分じゃ」
「後方で腕組みって何っ!?」
後方腕組師匠ポジは、基本的に見ているだけなので気楽でいい。
しかし内心を暴露するのは恥ずかしいので、オールマイトには伝えずにイズクの様子をのんびりと眺める。
「どうやら常時発動は、50パーセントが限界のようじゃな」
「くっ! 僕がもっと、体を鍛えていれば!」
イズクは汗をかきつつ、悔しそうに唇を噛んでいる。
50パーセントでも、かなり無理をしているようだ。
一応体は壊してないが疲労の蓄積速度が上がっており、発動し続ければすぐに動けなくなりそうである。
(ふむ、100パーセントも無理をすればいけるか)
ズームパンチという無茶な技があり、波紋で痛みを和らげていた。
なので治癒力を活性化させれば、100パーセントを引き出して肉体が壊れてもすぐに完治させられる。
しかし体力を大きく消耗するのは確実で、それではとても実用に耐えうるとは言えない。
やはり地道に筋トレを続けて、器を補強していくのが一番確実だろう。
「イズクは良くやっておる。
体を鍛え続ければ、いずれは100パーセントも自在に扱えよう」
そもそもイズクはまだ中学三年生だ。
そんな若さでオールマイトと同等の超パワーとか、規格外にも程がある。
ぶっちゃけ50パーセントでも大概なのだが、せっかくやる気になっているのに水を差すのも悪い。
なので妾は、ここでワンポイントアドバイスをする。
「それに現時点でも、100パーセントを扱う術はある。
そうじゃよな? オールマイト」
急に話題振られた形になったが、ここで彼にバトンタッチだ。
そうでなければナンバーワンヒーローではなく、妾がイズクを訓練することになってしまう。
なのでさり気なく、彼の後ろに隠れるように移動する。
続いて技を放つ直前だけ出力を急上昇させ、肉体への負荷を減らすというテクニックを、オールマイトにこっそり伝えた。
今は
取りあえず、あとは我関せずとばかりに離れた位置で丸くなる。
また何か質問があったり声がかかるまで、のんびりお昼寝をするのだった。
呼び出しがかかるまで一眠りしようとアクビをして丸くなり、静かに目を閉じる。
しかし今回はいつもの昼寝ではなく、いつの間にか妾は宙に浮いた瓦礫の上に乗っており、殺風景な謎の空間にいることに気づく。
正面には白い髪と緑の瞳が特徴的な青年がおり、ここは何処だろうとはてと首を傾げる妾に話しかけてくる。
「ごめんね。急に呼び出して」
「そうか、お前たちが妾を呼んだのじゃな」
正面の彼だけではなく、他の赤い椅子にも人が座っている。
その容姿や生命エネルギーの感覚から、オールマイトやイズクに力を貸している者たちだと判断する。
人数も輪郭があやふやなナンバーワンヒーローを入れれば、ピッタリ合っていた。
まあ彼らも、外からでは薄っすらとしかわからなかったのだが、多分間違いではないだろう。
「取りあえず立ち話もなんじゃし、妾も座らせてもらうぞ」
妾は背後に、自分用の椅子を実体化させる。
そして、よっこらしょと腰を下ろした。
ここでは霊体ではなく、彼らのように強制的に実体化するようだ。
冷たい土の上に座ったり、立ちっぱなしなのはあまりしたくなかった。
「そっ、そんなこともできるんだ」
「妾とお前たちでは、生命エネルギーの桁が違うのじゃ」
彼らは妾と似たような存在だが、それでもこっちのほうが圧倒的に強い。
その気になれば全員を取り込むことも可能だし、少し強引だが謎空間に干渉するぐらいチョロいものだ。
まあそんなことをすれば、当然個性としてのワンフォーオールは消えてしまい、イズクもオールマイトも大いに悲しむ。
何より代わりに自分が彼らの個性を修得することになり、なし崩し的に平和の象徴をやらされそうだ。
たとえワンフォーオールの意識を残すように調整したとしても、彼らの依代がイズクから妾に代わるのはマジ勘弁である。
のんびり日向ぼっこしている時間がなくなるのは、絶対にノウなのだ。
まあそんな考えはともかくとして、妾は単刀直入に尋ねる。
「用件があるなら、早く言うと良い。妾はのんびり昼寝をしたいのでな」
「ああ、うん、わかったよ」
まだ若干戸惑っているが、こっちに敵意はないことがわかったようだ。
彼らの代表として白い髪の青年は少し苦笑しながら、重要そうな話を妾に伝えるのだった。
以下、波紋使いの緑谷出久がワンフォーオールを継承したことによって生まれた、過去一でヤバい何か
・緑谷出久が波紋に目覚め、ワンフォーオールを100パーセント引き出し、対話によって協力関係を結んだ場合、歴代継承者のスタンドを呼び出せるようになる
・スタンドはヒロアカ世界では、個性を目に見える形で表現したもの
・ワンフォーオールは明確な意志があるため、狐と同じように射程距離内を自由に動ける
・現実ではオールマイトが生存していても、緑谷出久に受け継がせた方なら呼び出せる
しかし精神世界での対話が不可能なため、ジョジョのスタンドと同じようにイズクの意志で動かし、感覚も繋がっている
・各個性も継承者のスタンドが使用可能で、イズクの肉体への負担が減る
・最終的には緑谷出久と狐を含めて、ワンフォーオール歴代継承者を全員呼び出し、集団でラッシュを繰り出せる
ただし複数同時召喚には、類まれな素質や鍛錬が必要なため、修得の可能性は殆どない