近距離パワー型のじゃロリ狐っ娘守護霊 作:名無しの狐信者
雄英高校のジャージを着用してグラウンドに集合すると、今から個性把握テストを行うと言われた。
何でも自由な校風が売りらしく、最下位は除籍処分という、とんでも展開だ。
妾としてはイズクが除籍されたら、とても困る。
しかし一年A組のメンツをパッと見た感じ、波紋やワンフォーオールを封じても、普通に最下位は回避できそうだ。
「イズクよ。妾は手伝わぬぞ」
「そっ、そんな! 師匠!」
「妾が助力せずとも、イズクならば上位を取れよう」
「そっ、そう……かな?」
相変わらず自己評価が低いが、そこがイズクらしいと言える。
とにかくやってやれないわけでなく、妾は相澤先生に顔を向けて、はっきり伝えておく。
「妾は辞退させてもらうが、最下位を取らなければ問題なかろう?」
「そっ、……そうだな。まあ、いいんじゃないか」
若干顔が引きつっているように見える。
しかし取りあえずわかってもらえたようなので、妾は宙を漂いながら丸くなった。
空は晴れ渡っており、運動場には影になるような物もない。日光浴にはもってこいだ。
ウトウトしながら様子を眺めていると、まずは爆豪少年がお試しでボール投げをするようだ。
爆風を乗せて飛ばしたことで、とんでもない飛距離が出た。
こんな感じで進めていくのだと相澤先生が説明して、大体の流れがわかる。
そしてイズクたちは、各種目を順番に進めていくのだった。
五十メートル走は、ワンフォーオールを100パーセントの状態で使用して、スタートした瞬間にゴールしていた。
目にも留まらぬ速さとは、このことだろう。
今回は各種目ごとに休息時間がある。
その気になれば全部フルパワーでも、やってやれないことはない。
「おいこらデクゥ! お前いつの間に、新しい個性に目覚めやがった!」
「うわああっ! かっちゃん!?」
そう言えばワンフォーオールの調整するようになってから、いつも真っ直ぐ帰宅していた。
それに伴い、爆豪少年との戦闘訓練は行わなくなる。
元々個性禁止縛りをしていたが、それでも彼のことだ。
うっかり発動させてしまい、気づかれる可能性が高かったも知れない。
イズクに問い質しているが、今のところは暴力に発展してなかった。
相澤先生も静観の構えであり、止める気配はない。
しかしイズクはアタフタするばかりで要領を得ないため、今度は妾に顔を向けて大声を出す。
「おい! 狐女! 説明をしろ! 説明を!」
「……仕方ないのう」
アクビを噛み殺しながら、空中でぐいーっと伸びをする。
そして妾は爆豪少年を静かに見下ろした。
「イズクは妾の影響を受けて、新たな力に目覚めたのじゃ」
「ああん? じゃあ波紋と同じで、デクがこうなったのは狐女のせいかよ」
「そうとも言えるし、そうでないとも言えるのう」
本当はワンフォーオールを譲渡されたからだが、イズクが話す気がないなら今は黙っておく。
しかし妾が関わっているの間違いではない。
全てを話していないだけで、真実を言ってはいるのだ。
「実際のところは、妾にも良くわかっておらん。
もちろん、イズクもな」
ワンフォーオールの歴代継承者と話はしたが、全てが明らかになったわけではない。
長話は嫌いだし興味もないので簡潔にまとめてもらい、外に出て二人に伝えたのだ。
もっと詳しく知りたければイズクが彼らと話して、順番に個性を修得していくしかない。
わざわざ妾が関わるべきことでもないし、世界の命運など託されたくはなかった。
「本当に知らねえのかよ」
「影響を受けておるのは間違いない。
じゃが、妾は別に興味ないしのう」
「……ちっ! 本当に知らねえみたいだな!」
さっきからそう言っているのに、なかなか引き下がらない。
だがここで相澤先生が授業の再開を宣言したことで、爆豪少年が納得はできないが理解はしたようだ。
微妙な顔で引き下がり、個性把握テストに戻るのだった。
握力も立ち幅跳びも
それ以降のボール投げや残りの種目も高成績を取った。
二位以降と大差をつけて、イズクはトップを取ったのだった。
ちなみに最下位は除籍処分というのは嘘らしく、皆のやる気を高めるためにわざとそう言ったとのことだ。
妾としては、誰も欠けなくて良かったと内心で喜ぶ。
その後は特に大きなイベントもなく、教室に戻ってカリキュラムなどの書類を回収して解散する。
ウトウトしてたら個性把握テストが終わっていた。
今日も平和でのんびり日向ぼっこできたので、妾は何だか知らんがとにかく良しである。
ついでに帰り際に、飯田少年と麗日少女と友人になったのだった。
ちなみに根津校長には、帰る前に少しだけ寄り道だ。
イズクには聞かれないように気をつけて、内密に伝えておいた。
彼が内通者なのかは現時点では不明だ。
なので裏で糸を引いている敵に気づかれないように、慎重に調べを進めていくらしい。
そういうわけで妾の役目は終わり、のんびりした日常に戻る。
次の日の午前は必修科目として、英語などの授業を受ける。
前世と同じように、割と普通の高校生活に思えた。
だが妾がとても気になるのは昼は大食堂で、一流の料理を安価でいただけることだ。
味覚はイズクと共有しているので、彼の好物が優先される。
しかし、しょっちゅうこっちに尋ねてくる。
気遣いはありがたいが、余程変なものでなければ大体OKだ。
たまにキツネうどんや稲荷寿司などの油揚げ系が食べたくなるが、それ以外は好きにすれば良いと伝える。
ちなみに渡我少女も雄英高校で親しい女友達を作っているようで、食堂でばったり会って驚いた。
イズクと麗日少女と飯田少年は上級生なので緊張しているが、妾はいつも通りのマイペースである。
だがそれだけでは済まずに、何故かビッグ3と呼ばれるトップヒーローに最も近いという三人が現れて、紅一点である波動ねじれに滅茶苦茶懐かれた。
あれこれ質問されるだけでなく渡我少女と同じように、尻尾を触らせて欲しいと頼まれたのだ。
微妙な顔にはなったが悪人ではないと判断し、快くとはいかないが実体化して、触らせてあげたのだった。
そんなこんなで午後の授業であるヒーロー基礎学が始まり、オールマイトが普通に扉から入ってくる。
今日は戦闘訓練を行うらしく、コスチュームに着替えてグラウンドβに集合とのことだ。
イズクは入学前に要望を出していたので、緑色の狐耳がついた衣装である。
最初はオールマイトの金色の触覚だと考えていたら、否定されてそっちだと判明したのだ。
妾に無理に似せなくても良いと思いはするが、引子さんの入学祝いもある。
弟子がそれで良いなら、何も言うことはない。
それに他の生徒も、斬新なデザインばかりだ。
一人だけ浮いてるならちょっと恥ずかしいが、別にそういうことはないので良しとしておく。
とにかく市街地演習所で屋内戦を想定し、二対二でヒーローとヴィランに分かれて戦闘訓練を行う。
組み合わせや授業内容には興味がないのでウトウト昼寝していた。
イズクと麗日お茶子はヒーロー側、爆豪勝己と飯田天哉がヴィラン側で戦うらしく、その辺りはちゃんと狐耳で聞いていたのだった。