近距離パワー型のじゃロリ狐っ娘守護霊   作:名無しの狐信者

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轟少年の決意なのじゃ

 騎馬戦のあとは一時間ほど昼休憩を挟み、最終種目を行うことになる。

 妾とイズクは食堂に行こうとしたが、何故か轟少年に呼び出された。

 

 そして人気ない通路で一対一で話すことになったのだけど、イズクはガタイは良いが小心者で凄く緊張している。

 

 ちなみに妾はいつも通りのマイペースなため、適当なところで丸くなってウトウトしながら話半分に聞いていた。

 

「あの、話って、……何?」

 

 轟少年は、そんなに良く喋るわけではない。

 どちらかと言えば、寡黙なタイプだ。

 

 なかなか口を開かずにいたので、イズクから先に話しかけた。

 

「早くしないと食堂凄い混みそうだし、……えっとぉ」

 

 しかし彼はイズクをじっと見ているだけで、なかなか呼び出した理由を言わなかった。

 

「……気圧された」

 

 彼はイズクから視線をそらして、今度は妾に顔を向ける。

 

「俺だけでなく、親父の炎も未熟だと。本能的に理解させられるぐらいには」

 

 轟少年はイズクではなく妾に、辿々しく話してくる。

 

「飯田も上鳴も八百万も、感じてなかった。

 あの場で、俺だけが気圧された」

 

 炎という発言でピンときた。

 会場を覆い尽くすほどの、火の幻影を作成したときのことだろう。

 

「炎の個性を持ち、邪王炎殺青龍波をこの目で見た俺だけ」

「それ……つまり、どういう?」

 

 妾だけでなく、イズクも困惑しているようだ。

 轟少年に率直に尋ねると、彼は弟子を真っ直ぐに見つめる。

 

「お前の師匠に、親父以上の何かを感じたってことだ」

 

 イズクの顔があからさまにひきつる。

 普通はナンバーツーヒーロー以上とは言わず、せいぜい同格程度に留めておくはずだ。

 

 しかし轟少年の中では、完全に妾が上でエンデヴァーが下という順位付けになっている。

 

 だが彼は元々、父親のことを嫌っていた。

 今も関係修復中で若干ギスギスしているため、家族仲を取り持った狐を贔屓目で見ている可能性もある。

 

「……緑谷。親父の隠し子か、何かか?」

 

 しかしこの発言に、妾もイズクも予想外すぎて唖然としてしまう。

 どういうことなのと困惑が広がる中で、轟少年はさらに言葉を続ける。

 

「どうなんだ?」

「違うよ! それは!

 って、もし本当に隠し子だったら、違うって言うに決まってるから!

 納得しないと思うけど!」

 

 緑谷家とエンデヴァーの繋がりは、妾が轟少年の育児放棄について追求するため、彼のヒーロー事務所に凸してから始まった。

 

 だが基本的に勢い任せの行き当たりばったりだし、深い意味があるわけではない。

 当然ながらそれ以前には影も形もなかったので、妾が知る限りではイズクが隠し子など有り得なかった。

 

「そもそも、逆に聞くけど、何で僕なんかにそんな!」

「どうやら、本当に違うようだな。変なことを聞いて、悪かった」

「えっ! あっ、いや……気にしないでよ!」

 

 轟少年は間違っていたことを謝罪し、イズクに小さく頭を下げる。

 そして本題に入り、おもむろに詳しい説明を始めた。

 

「俺の親父はエンデヴァー。知ってるだろ?

 万年ナンバーツーのヒーロー。

 お前の師匠が、ナンバーワンヒーローを越える何かを持ってるなら、……俺は」

 

 何だかとんでもないことを言い出した。

 

 ついでにどうやら、イズクではなく妾に用があるっぽい。

 だが自分はあんまり関わりたくはないし、これ以上弟子はいらない。

 同じ一年A組でクラスメイトなので、イズクに丸投げしたい心境であった。

 

「なおさら、勝たなきゃいけねえ」

 

 ヒーローというのは上昇志向の塊のようだ。

 轟家の教育方針は、妾が凸するまで色々アレだったので仕方ない。

 

 それに上を目指すのは別に悪いことではなく、きっとそれが轟少年なりの気合の入れ方なのだろう。

 

 

 

 やがてしばらくお互いに黙った状態が続き、轟少年は唐突に話題を変える。

 

 話はさっきので終わりだと思っていたのだが、まだ続くようだ。

 

「親父は極めて上昇志向の強い奴だった。

 ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せたが、それだけに生ける伝説のオールマイトが目障りで仕方なかったらしい」

 

 エンデヴァーの上昇志向のせいで、息子の教育がスパルタになった。

 ついでに轟家の家族関係が、ヒエッヒエになってしまったのを妾は知っている。

 事務所に凸したときに洗いざらい吐かせたので、今は地道に修復中であった。

 

「自分ではオールマイトを越えられねえ親父は、次の策に出た」

「何の話だよ。轟君。僕に何を言いたいんだ?」

 

 既に知っている轟家の情報を、改めて妾たちに伝えているのだ。

 なのでそれは何か意味があるのかと、イズクが目の前の青年に尋ねる。

 

「個性婚、知ってるよな? 超常が起きてから、第二第三世代間で問題になったやつ。

 自身の個性をより強化して、子供に継がせるためだけに配偶者を選び、結婚を強いる」

 

 轟冷さんとは、確かに個性婚だった。

 しかしエンデヴァーは、彼女を心から愛している。

 

 なお、今は過去のやらかしで関係修復中なので、悲しいが別居という形になっていた。

 まだ家族としての付き合いができた引子さんや、イズクのほうが仲が良い有様である。

 

 中でも妾の好感度は天井知らずで上がり続けており、轟家を強引にぶっ壊して再構築した功労者として凄く頼りにされている。

 

 まあそれはそれとして少しずつ仲直りしているので、いつかは家族で一緒に暮らせるようになるだろう。

 

 妾はそんなことをぼんやりと考えながら、二人の会話に耳を傾ける。

 

「倫理観の欠落した前時代的発想。実績と金だけはある男だ。

 親父は母の親族を丸め込み、母の個性を手に入れた。

 俺をオールマイト以上のヒーローに育てることで、自身の欲求を満たそうとしていたんだ」

 

 確かにエンデヴァーは、以前はそう考えていた。

 今は考えを改めているのは、この場の全員が知っていることだ。

 

 何故そのことを話すのかわからず、弟子と一緒に首を傾げるばかりである。

 

「だからこそ緑谷。お前、狙われてるぞ」

「えっ!? 狙われてるって、だっ……誰に?」

 

 AFOに狙われているのは知っているので、今さら驚いたりはしない。

 しかし轟少年が言っているのは別の対象だと判断し、説明の続きを待つ。

 

「親父にだ。

 お前、俺の家に来たとき、冬美姉と話してただろ」

 

 その瞬間、妾は轟少年が何を言いたいのかを察した。

 そしてそれはイズクも同じであり、耐性のない弟子は顔を真っ赤にして大いに慌てる。

 

「たっ、確かに! 轟君のお姉さんとは、話してたけど!

 あっあれは社交辞令というか! ただの挨拶で!」

 

 轟冬美は長女で、今は二十二歳で小学校の教師をしている。

 母譲りの氷を操る個性を持っているが、訓練はしていないので一般人と殆ど変わらない。

 

「親父はそうは思わないってことだ。

 それに俺も、緑谷なら冬美姉を任せても良いと思ってる」

「轟君!? 何言っちゃってるの!?」

 

 イズクは絶叫して今度は青ざめ、妾に助けを求めるように見つめてくる。

 

 何気に轟少年は口下手ではあるが、嘘はつかない性格だ。

 弟子の人柄を認めていて、相思相愛ならエンデヴァーの意見に賛成なのだろう。

 つまり個性婚の欲求は薄れてはいるが、イズクなら轟ファミリーに迎え入れても良いと考えているのだ。

 

 弟子の感情を無視すれば、本当の家族になるというのは轟家の精神安定のためにも悪くない選択である。

 ただし、二人が相思相愛の仲ならという条件がつく。

 

 妾はふむと考えて、イズクに視線を向ける、

 

「妾は弟子の恋愛事情に口を出すつもりはない。

 じゃが、冬美姉の気持ちは確認したのか?

 それにイズクはまだ学生じゃし、その気がないのは今聞いたばかりじゃ」

 

 イズクは冬美嬢との交際に乗り気ではないため、もう少し慎重に進めるべきだ。

 

「……わかった。親父には、そう伝えておく」

 

 妾が口を挟むと、あっさり方針転換して拍子抜けする。

 冬美嬢の気持ちがどうなのかは不明だが、どうやらエンデヴァーの暴走のようだ。

 

 けどまあ何にせよ、イズクは優良物件でモテて当然である。

 

(麗日少女も大変じゃのう)

 

 雄英高校に入学してから、イズクはモテ期が到来したかのように、やたらと女子と縁ができた。

 中でも麗日少女とは、現状でもっとも仲が良い。

 

 妾は弟子が一生懸命考えて決めた相手なら素直に祝福するつもりだ。

 それはそれとして、轟少年の話はまだ終わっていないようだ。

 

「だが、俺は緑谷に勝つぞ。

 そして、お前の師匠にもだ。

 ……時間取らせたな」

 

 そう言って轟少年は背を向け、去っていった。

 しかしイズクは黙って見送ることなく、気合を入れて一歩踏み込む。

 

「僕は! 僕はずっと、師匠に助けられてきた! さっきだってそうだ!

 僕は……師匠に助けられて、ここにいる!」

 

 イズクは顔をあげて、真っ直ぐに轟少年を見つめて大声で叫ぶ。

 

「恐れ知らずの笑顔で人々を助ける! 最高のヒーロー! お狐様!」

「のじゃあっ!?」

 

 急に名前を出されたので、無視することはできずに思わず飛び起きてしまった。

 弟子はたまに妾が小っ恥ずかしくなるような、純粋な好意や憧れをぶつけてくるのだ。

 

 表情は辛うじて平静を装いつつも、内心では恥ずかしすぎて転げ回っている。

 

「師匠のようになりたい! そのためには、一番になるぐらい強くなきゃいけない!

 キミに比べたら、些細な動機かも知れない!

 でも! 僕だって負けられない!」

 

 弟子の師匠への信頼度が天元突破してて、色んな意味でヤバい。

 

 しかし、後方腕組みポジを止めるつもりはない。

 けどできれば雄英高校の教師であるプロヒーローたちが、より優れた指導者として活躍して分散化や、もしくはイズクは妾が育てた的なポジションへの移行が望まれる。

 

 これなら過去の実績は保証されているし、師匠が引っ張り出されることは稀なのだ。

 

(しかし、何か知らんうちに全部月島さんのおかげ状態になっとる)

 

 いつの間に弟子の中で、妾の存在がとんでもなく大きくなっている。

 何かもう色んな意味で羞恥のあまり転げ回りそうだが、それはそれとしてイズクの主張はヒートアップしていく。

 

「僕を助けてくれた師匠に、応えるためにも!

 さっき受けた宣戦布告! 改めて僕からも! 僕もキミに勝つ!」

「お狐様の信頼には応えたいのは、俺も同じだ! 勝つぞ!」

 

 今の発言を聞いた轟少年まで、妾の名前を出してきた。

 マジでどういうことなの状態だが、二人は以心伝心で互いにわかっているようだ。

 

 大声で笑いあったあとに、一緒に仲良く大食堂に向かうのだった。




他者から見た現時点のお狐様の評価。
キャラが多すぎて収拾がつかないので全員ではありません。

イズク
無個性でもヒーローになれると力強く肯定し、助力してくれる一番の理解者。
憧れの師匠であり最高のヒーローとして、とても尊敬している。
将来は受けた恩を返して師匠の名に恥じないほどの、トップヒーローになるのが夢。
三年以上も一緒にいるので依存したり激重感情を抱いているが、師弟愛なのが不幸中の幸い。

爆豪少年
お狐様のことはオールマイトと同じように尊敬したり憧れているが、内心ではデクのことを心底羨ましがっている。
表向きは正直になれなくても、狐が爆豪少年の面倒も見たり構ったりするので、原作よりは浄化されている。

引子さん
息子の面倒を見て心身共に気配りをしてくれるだけでなく、凶悪なヴィランから恐れ知らずの笑顔で、怪我一つさせることなくイズクを守り抜いてくれる。
テレビの向こうのプロヒーローたちよりも遥かに頼りになるし、家事も積極的に手伝ってくれるので、家族の一員として非常に信頼している。
機械の扱いは苦手だが、そこがまた可愛い小さなお母さんポジでもある。

渡我少女
恩人であり、何より可愛い。狐グッズを集めるのが趣味になった。
ことあるごとに触ろうとする。好き。

オールマイト
体を治療したのも継承したのもイズクだが、残り火になってヒーロー引退間近から復帰できたのも、全てはお狐様のおかげだと多大な恩を感じている。
ヒーロー適性もかなり高いと判断しており、頼りになる仲間や相棒的な存在。

相澤先生
ヒーローとしての実力は高くて非常に頼りになるが、たびたびやらかすので心配で目が離せない。
それにイズクは生徒なので危険な目に遭わせるのも心苦しく、最近は胃薬が手放せない。

エンデヴァー
事務所に凸からの鉄拳制裁による苦手意識はあるが、言ってることは正論で家族関係も修復してくれたので何も言えない。
どうにも頭が上がらない母親のような狐だが、心底助かっていて恩にも感じている。

死柄木弔
計画を台無しにされたのでオールマイトと同じぐらい、殺したいほど憎んでいる。

AFO
TSした与一も可愛いですね。

大多数の雄英生徒
とても頼りになって面倒見の良いプロヒーロー、または師匠、もしくは教師

大多数の国民
お狐様? 誰それ? ふーん、新しいヒーローなの?

大多数のヴィラン
お狐様なんて知らんし、どうせ他のプロヒーローと同じだろ? つまり、オールマイト以下ってことだ。俺が倒してやんよ。

大多数のプロヒーロー
お狐様? ああ、知ってる知ってる。
知名度はないけど実力はあるし、いつかはトップ10入りするんじゃないかな。

公安
とても助けられていて大変ありがたいのは間違いないが、たびたびやらかすので調整作業で胃がやられる職員は多い。
しかし公安やヒーロー事務所に取り込もうとすると、様々な団体や狐自身の反発等が容易に予想できるため、狐信者たちが対応に四苦八苦している。

狐信者スレ民たち
お狐様可愛いヤッター!
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