近距離パワー型のじゃロリ狐っ娘守護霊   作:名無しの狐信者

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他校との交流なのじゃ

 イズクの新しい必殺技は、山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)から何も変わっていない。

 ただ対象にダメージを与えて波紋を流し込むのが、拳ではなく蹴りでも行えるようになったのだ。

 

 今後は状況に合わせて拳だけでなく足技もバンバン使っていくため、ヒーローコスチュームもそれ相応の改良が必要になる。

 

 それはそれとして、イズクはモテる。

 麗日少女だけでなく発目明(はつめめい)少女に色々実験されて困っていた。

 

 だが将来的にトップヒーローになれば、女性ファンと触れ合うこともある。

 いつまでも初心な少年のままではいけないし、前世がオタクな妾はそういうのがさっぱりわからない。

 

 取りあえず二人共悪い子ではないので、応援だけして我関せずと暖かく見守るのだった。

 

 

 

 その後、必殺技だけでなくヒーローコスチュームも改良しつつ、教師と生徒の個人レッスンを行う。

 全国屈指の名門校だけはあり、授業のレベルが高い。

 

 オールマイトの指導もあるし、妾があれこれ世話を焼かなくて良いのは大変ありがたかった。

 

 かなりの詰め込み教育ではあるが、雄英高校のヒーロー科では当たり前らしい。

 プルスウルトラの精神で皆メキメキと実力を伸ばしていき、やがて仮免許試験の日を迎えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 当日は雄英高校からバスで向かい、仮免許取得試験会場国立多古場競技場で降りた。

 全国から集まってくるようで、あちこちに他校のバスが停車している。

 

 一年A組の生徒は、興奮と緊張が入り混じった落ち着かない雰囲気だ。

 そこに相澤先生が皆に激励の言葉をかけると、ヒーローを志す者たちの気持ちも引き締まる。

 

 そして円陣を組んで気合を入れたその瞬間、何だか知らないが他校の生徒が勝手に乱入してくる。

 

「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよ。イナサ」

 

 どうやら乱入してきたのはイナサ少年で、士傑高校から来たらしい。

 坊主頭を地面に叩きつけるほどの勢いで謝罪するのもおかしいが、東の雄英、西の士傑と日本でヒーローを目指すならこの二校が有名だ。

 しかも、互いにライバル視しているらしい。

 

 まあつまり、それだけ実力が高いのだ。

 仮免試験では油断ならない相手になるだろう。

 

(まあ、妾には関係ないがのう)

 

 自分はもうヒーロー免許を持っているし、イズクとは別扱いになっている。

 なので今回の仮免試験は一切手を貸さず、見物するつもりだ。

 

 その件について相澤先生が事前に確認を取ったところ、どうやら妾が参加するとイズクは反則からの一発退場のようだが、残当である。

 

 常闇少年とダークシャドウも、似たようなコンビだ。

 しかし彼らは免許は持っていないし、二人で一人の扱いで、合格して取得できる仮免も一つで理に適っている

 

 そういうことになったので、一切手を貸すつもりはない。

 取りあえず妾は日向ぼっこしながら、士傑高校とのやり取りをのんびり眺める。

 

「自分! 雄英高校大好きっす! 雄英の皆さんと競えるなんて! 光栄の極みっす!

 よろしくお願いしまーす!!!」

 

 しかし、色んな意味で騒がしい人だ。

 そう思っていると、彼の視線がこちらに向けられる。

 

「自分! お狐様の大ファンっす! サインいいっすか!」

「すまぬが、サインはしておらぬのじゃ」

「そうっすか! 残念っす! じゃあ! 握手いいっすか!」

「……それなら、まあ」

 

 やけにグイグイくる人だなと思いつつも、それぐらいなら良いかと承諾する。

 ここで会ったのも何かの縁だし、関東と関西は遠く離れているので仮免試験が終わったらもう会うことはないだろう。

 

 握手ならさっさと終わるしと、実体化して地面に足をつけて手を差し出すと、ガッチリ両手で握り返してくる。

 

「感激っす!」

「妾の握手など、大したものではあるまい」

「ねえねえ! 私も良い?」

「構わんよ」

 

 隣の女子生徒も興奮気味に握手を求めてきたので、こちらも気楽に手を差し出す。

 すると何故か、士傑高校の残りの生徒が一列に並びだした。

 

(何が何だかわからぬぞ!)

 

 さらに傑物学園の生徒や教師も集まってきて、何故か握手会場のようになってくる。

 

(確かに許可はしたがのう)

 

 幸い人数はそこまで多くはないので、これ以上人が増えるまえにさっさと済ませることにした。

 

 やがて一通り終わったので、これ以上やってられるかと、すぐに霊体化して空に逃げる。

 満足して会場に入っていく彼らを、溜息を吐きながら見送った。

 

 

 

 ちなみに夜嵐イナサ少年は、昨年度の推薦入試をトップの成績で合格したにも関わらず、何故か入学を辞退したらしい。

 

 つまり強敵ということで、仮免試験の難易度急上昇なのであった。

 

 

 

 その後はコスチュームに着替えてから説明会を受けるのだが、全国から集まってきただけあって物凄く人が多い。

 どうやら千五百四十人も居るようなので、ヒーロー飽和社会と言うだけのことはある。

 

 そして仕事が忙しくてろくに寝られていない目良善見(めらよくみる)さんが、前に立って順番に説明していく。

 

 長いので簡単にまとめると、一次は勝ち抜きの試験だ。

 さらに事件発生からの解決までのスピードを競う目的なのか、先着百名を通過である。ぶっちゃけ、かなり厳しい。

 

 少し前の試験では合格者は五割程だったようだが、ヒーロー殺しステインの逮捕以降は世間の求める評価が厳しくなっている。

 必然的に、仮免試験の難易度も上がるということだ。

 

 それはそれとして具体的な内容は三つのターゲットを体の見える位置に取りつけて、六つのボールを携帯する。

 ターゲットにボールを当てたら発光し、三つ当てられたら失格になってしまう。

 そして二人失格にさせた受験者は合格して、次の試験に進むことができる。

 

 

 

 簡潔に説明を終えたあとは天井が割れて、試験会場全体が見渡せるようになった。

 とんでもなく広くて様々な地形があり、各々の個性を活かせる場所を使って勝ち抜くことを推奨される。

 

 すぐに試験が始まるので作戦会議は短いが、それでもイズクはすぐに皆に声をかけた。

 

「皆! あまり離れず! 塊で動こう!」

 

 互いの手の内を知っているので、チームプレイが有利だ。

 概ね賛同を得られたが、爆豪少年と轟少年は離脱を宣言する。

 

「ふざけろ! 俺の個性は集団行動向きじゃねえんだよ! やってられるか!」

「俺も抜けさせてもらう! 大所帯じゃ、かえって力が発揮できねえ!」

 

 確かに彼らの個性はとても強力だ。

 しかしその分だけ威力を加減するのが難しく、集団戦闘では味方を巻き込みかねない。

 一対多数のほうが本領を発揮できるだろうし、言っていることは間違ってはいなかった。

 

(じゃが、大丈夫かのう?)

 

 切島少年は爆豪少年を追って離脱したが、それでもイズクは残ったメンバーをまとめ上げて、共に仮免試験に挑む。

 

(雄英体育祭で手の内はバレておる。いくら広範囲攻撃が得意とはいえ、単独行動は悪手じゃ。

 しかしあの頃よりも、各々が大きく成長しておるのもまた事実)

 

 他の受験生は、雄英高校と戦うために対策や作戦を練っているだろう。

 

 しかし、こちらも体育祭より大きく成長している。

 彼らの予想を越えていれば、逆にねじ伏せることも可能だろう。

 それでも不利な戦いを強いられるのは確実なので、先の展開が全く読めない。

 

「第一次試験! スタート!」

 

 やがて試験開始の合図が流れて、いよいよ始まった。

 

 急ぎ岩山のエリアに向かっていたイズクたちの前に立ち塞がるのは、傑物学園の受験生たちだ。

 

 彼らは先に陣取って地の利を得たうえで、こちらに向けて一斉にボールを投げてくる。

 

波紋疾走(オーバードライブ)! 40パーセント!」

 

 もはや呼吸と同じように、少し意識すれば瞬時にスイッチを切り替えるようになった。

 イズクは肉体の負担を考えて波紋疾走(オーバードライブ)に入り、恐らく一次試験終了まで活動が可能な、限界ギリギリの出力を発揮する。

 

「そして! 師匠直伝! 波紋乱渦疾走(トルネーディオーバードライブ)ーッ!!!」

 

 続いて、生命エネルギーのオーラを放出しながら跳躍した。

 そして錐揉み回転をしながら必殺の蹴りを放つ。

 

 原作ではツェペリさんの技で、ヘドロヴィラン事件で妾のやらかしを見ている。

 イズクが使えてもおかしくはない。

 

 他に使い道があるのか微妙ではあるが、師匠の知識や技術を何でも知って再現したがる弟子だ。

 一見すると役に立たなさそうなモノでも、厳しい修行をして頑張って覚えるのだ。

 

 それはともかく普通に蹴って吹き飛ばせば良いのに、まさか土壇場でそっちを選ぶとは思わなかった。

 

 加減しているとはいえ、ワンフォーオールの効果もある。

 凄まじい竜巻が発生して、イズクや仲間たちを狙ったボールは、一つ残らずあらぬ方向に飛んでいった。

 

 それは良いのだが、師匠直伝は恥ずかしいので止めてもらいたい。

 ぶっちゃけ使い所に困る技だし、以降は使うこともないだろうと気持ちを切り替える。

 

 なお、他の雄英生徒も負けていない。

 各々の個性を使って、その後も次々に飛んでくるボールを迎撃していくのだった。

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