近距離パワー型のじゃロリ狐っ娘守護霊   作:名無しの狐信者

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インターン
雄英高校のビッグ3なのじゃ


 雄英高校に帰ってきた妾とイズクは、何故か爆豪少年に呼び出された。

 その際に、オールマイトからワンフォーオールを受け取ったことがバレたが、特に何も起きない。

 

 爆豪少年のターゲットは、いつの間にかイズクでもオールマイトでもなく、何故か妾に切り替わっていた。

 挑んでも返り討ちに遭うのは確定だが、それでも諦める気はないという決意表明をされる。

 

 目標とするヒーローが変化したことで、何だか妙な方向に進んでいるようが気がするが、妾は困惑しつつも当人同士の問題だしとスルーを決め込む。

 

 そもそも、どうしてこうなったと頭を抱えてばかりだ。

 脳筋の自分に解決策がわかるはずもなく、ただちに影響がなければ良いだろう。

 

 幸いイズクと爆豪少年は、喧嘩するとかそんなこともない。

 弟子は師匠と並び立つ、幼馴染は狐女を越えると、同じ方向を見てはいるが微妙に異なることが判明する。

 

 今回はそんな互いの目標を確認したことで、ほんの少しだけイズクと爆豪少年の距離が近づいたような気がしたのだった。

 

 

 

 なお、毎度のように妾を出汁に使わないで欲しい。

 しかし、二人の心の中でオールマイトよりも大きな存在になっていた事実は、今さら変えようがない。

 

 マジでどうしてこうなったと、子猫のように頭を抱えてミーミー泣き叫びたい気分だ。

 

 とにかくオールマイトも呼んで、ワンフォーオールに関して爆豪少年に説明をしてもらうのだった。

 

 

 

 ナンバーワンヒーローが引退してから半月が経ったが、テレビは毎日のように社会不安を煽るような報道ばかりだ。

 大勢の人たちがオールマイトが抜けた状況を不安に思っているので、気持ちはわからなくもない。

 

 だが繰り上げでナンバーワンに収まった、新しいトップヒーロー。

 エンデヴァーと、どうしても比べてしまうのだ。

 なので余計に、本当に大丈夫なのかと心配になる。

 

 彼は万人受けするようなヒーローではないし、実力もオールマイトと比べて劣っている。

 もちろん、だからと言って弱いわけではない。

 ヴィランの捕縛や事件や事故の解決能力は、トップクラスだ。

 

 それでも比べられるのが平和の象徴では、どうあっても減点対象にしかならない。

 妾だったらマジ勘弁だし、そもそもヒーロー活動をする気もない。

 

 

 

 しかし弟子は別で、将来の目標はプロヒーローだ。

 そして次はヒーローインターンを行うようで、詳しく説明すると職場体験の本格版である。

 

 妾はのんびり日向ぼっこしていたので、殆ど右から左だが少しは理解できた。

 相澤先生が一年A組の教室で真面目に説明し、やがて廊下の扉に視線を向ける。

 

「職場体験と、どういう違いがあるのか。

 直に経験した人間から、話してもらう。心して聞くように」

 

 そのように声をかけて教室に入ってきたのは、三人の生徒だった。

 

「現雄英生の中でもトップに君臨する、三年生三名。

 通称、ビッグ3の皆だ」

 

 ビッグ3は、男子二人に女子一人で成り立っている。

 妾も体育祭に向けての居残り訓練で、飛び入り参加してきた彼らを、一方的にボコボコにした。

 なので、何となく知ってはいる。

 

 ただその時は大勢の生徒に混じっていたし、あまり印象には残っていない。

 あと、イズクは頑張ったけど、多勢に無勢で普通に負けた。

 後半は毎回のように、弟子を庇いながらの防衛戦である。

 

 まあそれはそれとして、今回はヒーローインターンについてのお話だ。

 別に戦いに来たわけではないし、雄英高校の中でもっともプロヒーローに近い人たちである。

 きっとためになる話が聞けるだろう。

 

 改めて三人に自己紹介してもらったあと、散々滑り倒した通形ミリオ少年が教壇に立つ。

 そして何やら品定めをするように一年A組の生徒たちを眺めて、少し考えたあとに大声で叫ぶ。

 

「キミたちまとめて! 俺と戦ってみようよ!」

 

 この発言には一年A組の皆も驚いてしまう。

 

「俺達の経験を、その身で経験したほうが合理的でしょう?」

 

 相澤先生に通形少年が尋ねると、何故か二つ返事で許可されたのだった。

 

 

 

 そういうことで思う存分に暴れられるコンクリート作りの体育館っぽい場所に移動して、呑気に準備運動をする通形ミリオ少年vs一年A組がやり合うことになる。

 まだ本気で戦うとは思っていない生徒がおずおずと尋ねるが、本当にやるらしい。

 

 ただやり過ぎるとヒーローを諦めかねないため、他の二人は一年A組の皆の身を案じているようだ。

 

 それに対して肝心の少年少女は、成り行きとはいえプロヒーローだけでなく、ヴィランとの実戦を経験している。

 何より自分たちはそんなに弱くないので、心配無用だと豪語した。

 

 そういう意味でも元気いっぱいだ。

 通形(とおがた)少年も感化されて気合十分である。

 

 相澤先生は良い機会なのでしっかり揉んでもらえと、一年A組が勝つとは全く思っていない。

 

 やがて勝負は始まり、皆は一斉に通形少年に襲いかかるが、攻撃は避けられ、床をすり抜けて一気に回り込んで、後衛から順番に全てが一撃で沈められていく。

 

 この時点で実力差は明らかのようで、相澤先生が状況を観察しながら呟きを漏らす。

 

通形(とおがた)ミリオ。あの男は俺の知る限り、もっともナンバーワンに近い男だ。

 ……プロも含めてな。お狐様は除くが」

 

 相澤先生の発言を狐耳で聞き、どれだけ妾は特例なのかと心の中でツッコミを入れた。

 一尾のセーフモードでもオールマイトと並び立てるし、実力的にはそうかも知れない。

 だが自分にナンバーワンが務まるとは思えないし、そもそもやる気もなかった。

 

 なので名前こそヒーロービルボードチャートJPに登録しているが、そういった活動は一切していないので幽霊部員的な扱いである。

 

 そういうことで、相澤先生が言うように、やる気十分の通形(とおがた)少年が不確定要素の妾を除いたうえで、ナンバーワンに一番近いというのは至極正しい評価なのだ。

 

 

 

 そんなことをのんびり考えていると、最初に遠距離が壊滅しただけでなく、いつの間にやらイズクも含めて近距離が得意な生徒たちまで、全員ノックアウトされてしまう。

 

 後方腕組み師匠ポジの妾としては、弟子を鍛えてくれるなら手間が省けて何よりだ。

 

「お狐様! もし良ければ、手合わせしてもらえないかな!」

 

 気を失わないまでも戦闘不能になった一年A組たちの中心で、通形少年が妾を見ながら頼み事をしてくる。

 

「面倒じゃから嫌じゃ。雄英高校教師にでも頼むのじゃな」

「残念! この流れなら、挑戦を受けてくれると思ったんだけどな!」

 

 彼と手合わせしてくれる教師は他にもいるだろう。

 面倒だから、はっきりと断った。

 

「でも、ちょっとぐらいなら良いよね!」

 

 通形少年も納得してくれたと思ったのだが、どうやら耳が遠いようだ。

 透過の個性で地面に沈んだのを見て、こっちが幽体でも関係なく殴りかかってきそうだと思った。

 

 妾は渋々実体化し、大きな溜息を吐く。

 

「まあ、良かろう。どうせ、すぐに終わるしのう」

 

 妾は浮遊を解除して地面に両足をつけて、感覚を研ぎ澄ます。

 やがて背後に浮き上がって不意を突こうとした通形少年を感知し、振り向きもせずに尻尾で叩き落とした。

 

「ぐはあっ!?」

 

 勢い良く吹き飛んでいく通形少年だが、透過の個性を使う時間もなくコンクリートに叩きつけられた。

 手加減したので死にはしないし、最悪でも脱臼や骨がヒビが入るぐらいだ。

 

 そもそもヒーローを志す者は頑丈なので、多分大丈夫だろう。

 

「では、妾は日向ぼっこに戻る。次は受けぬぞ」

「おっ、お手合わせ! あっ、……ありがとう、ございました!」

「なかなか良い不意打ちじゃったぞ。妾でなければ、成功していたであろう」

 

 妾は0.1秒あれば隙を突けるので、大抵の不意打ちは対応できる。

 だがそんなヒーローやヴィランがそういるはずもないので、よろけながらも起き上がってお礼を言う通形少年は、ナンバーワンに一番近いという言葉に嘘はないのだろう。

 

 そしてビッグ3の残り二名も羨ましそうな顔をしていることから、これ以上面倒を見させられたら堪らない。

 妾はさっさと霊体化して、日向ぼっこに戻るのだった。

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