真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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物理無効にどう立ち向かう?


10:火でぶ

✭★★(忍)

 

 

 やっぱり、完全には入らなかった……。

 アリオクの脇腹にトリスインパクトを入れた。

 入れたんだけど……

 

「ヌオオオオオオ!!」

 

 アリオクの身体が燃える。

 燃え上がる。

 

 ……これは

 

『これはただのトリスアギオンだな。トリスインパクトの入り方じゃない』

 

 ……だよな。

 アモンの分析に俺も頷くしかない。

 

 ものの見事に、鎧通しが「やってないこと」になっている。

 

「ヌオオオオ!! 熱い! おのれぇ!」

 

 炎上しながら、アリオクがその掌をこちらに向けてくる。

 魔法を使う気か?

 

 なら……

 

『マズイ! アリオクは氷結魔法を使う!』

 

 ……サンキュッ!

 アモンの警告もあって、速やかに……

 

「凍り付けぇ!」

 

 アリオクの手から吹雪が放出される。

 されるのだが……

 

「ンナッ!?」

 

 ピキイン、という金属質の音が鳴り、吹雪が反射する。

 

 俺の合体魔法「魔反鏡」

 

 俺は魔力の籠った廻し受けを油断なく行った。

 

 吹雪のダメージが、そのままアリオクに跳ね返る!

 

 ……アリオクはかなりダメージを受けている!

 これは……!

 

「トリスアギオンを入れ続ければ……」

 

 勝てる! 一撃必殺でなくても!

 そう、思って希望を……

 

 持ったとき

 

 アリオクの身体が輝く。

 え……?

 

「アリオク! 今、癒すから!」

 

「かたじけない!」

 

 上空に別の悪魔がいた。

 鬼の角のついた仮面を被った、有翼の全裸の女。

 騎獣として、深紅の大蛇に乗っている。

 

 そんな悪魔が、翳した掌をアリオクに向けている。

 

『あの悪魔、アリオクを回復している!』

 

 なんだ……と?

 

 

✭★★(真月)

 

 

 あの男、あの女悪魔を差し向けた……!

 つまりあの男は、ひとりで私に挑んでくるつもりなの……?

 

「さて」

 

 男は、ダラリと下げた手に刃の湾曲した変なナイフを下げ。

 私を見る。

 

 そして言った。

 

「……アンタ、非処女か」

 

 ……ゾッとする。

 

 ……また変態。

 変態ばっかり私の傍に来る……。

 

 まともな男、夫しかいない……

 まあ、それで何も問題ないんだけど。

 

「キキキ、キモッ!」

 

「言ってろ。すぐ言う気が無くなるよ」

 

 男は笑った。

 男はトントン、とナイフで肩を叩きながら

 

「アンタ、恋人は居るのかな?」

 

 ……答えたくない質問だ。

 これまで何度も異常者と向き合って、私は知ってしまったのだ。

 

 こういう手合いの、こういう質問はろくでもないと。

 

 だけど……

 

(い……言えないッ!)

 

 恋人は居ない、なんて言えない!

 勿論、居るとも言えないッ!

 

 だったら……!

 

「マーラ! アイツに衝撃魔法!」

 

「承知!」

 

 マーラが触手を男に向ける。

 放たれる衝撃魔法。

 

「イザナミ様!」

 

 一緒にイザナミ様にも雷撃魔法をお願いしようとしたら……

 

「……イザナミ様?」

 

 イザナミ様は、停止していた。

 停止していたんだけど……

 

「お……」

 

 再起動して……

 

「おのれええええええ!」

 

 怒りの叫び。

 同時に、腕を縦横無尽に動かして

 

 地面から大量の細い腕が出現し、男に伸びる。

 

「ハハハハハッ!」

 

 男は衝撃魔法と、幾千の呪言の触手を、その足で駆け抜け、走り抜いて、躱す。

 イザナミ様……?

 

「アイツじゃ! アイツが、我が領域で狼藉しおったんじゃあああああ!!」

 

 ……なんですって!?

 

 

★★★(忍)

 

 

 俺は臨機応変に動けるように、腰を落とし。

 半身で構えて、考える。

 

 トリスインパクトが入らない。

 物理部分が入らないから、成立しないんだ。

 

 ならばトリスアギオンを連続で入れれば、となると。

 それはあの、女悪魔が回復を入れてくる。

 

 ……そうすると。

 

 やはり、トリスインパクトを完全に入れることが最適解、ということになる。

 どうすればいいのか……

 

 そして、アリオクも動かない。

 

 魔法を使ってくるかと思ったけど、やってこないんだ。

 睨み合いだ。

 

 ……多分、魔反鏡をやったから、警戒してるんだろう。

 氷結魔法を使ったら反射される、って。

 

 あいつは魔法を使えない……

 

 そして俺は物理が通らないから、技が使えない。

 魔法の連打も無駄……

 

 全ては魔法は通るけど、物理が通らないから。

 物理さえ通れば、魔法の増強が発生し、おそらく一撃で倒せる。

 

 物理さえ……物理さえ通ったらな……

 

 ……ん?

 

 そこで、俺に閃きがあった。

 

 そうだ……魔法は通るんだよ。

 そして……

 

 トリスインパクトの増強のメカニズムは、トリスアギオンの相性貫通の特性と、鎧通しの打撃衝撃貫通の特性が重なるということなのだ。

 その「重なる」ということの意味合いが、トリスインパクトを生んでいる。

 

 つまり……

 

『……何が言いたいんだ?』

 

 ……アモンに突っ込まれた。

 仕方ないので、俺の思考をアモンに『見せた』

 すると……

 

『なるほどな……それはイケるかもしれん』

 

 アモンからの笑いを含んだ声。

 アモンからの、お墨付き。

 

『やってみろ』

 

 ……おうさ!

 

 

✭★★(アリオク)

 

 

 グヌヌヌ……ワシが動けんとは……

 

 しかし……

 アイツも動けないのは一緒。

 

 今はこう、睨み合えば。

 双方動くことが出来ないなら、事態が悪い方向に動くこともない。

 

 しかし、前進することも……!

 

 そう、思った時に。

 

 ヤツがダッと踏み切って、ワシの間合いに踏み込んでくる。

 この瞬間なら、あの妙な技で跳ね返せないのではと思い、手を掲げると

 

 一瞬早く、奴がワシの間合いに踏み切んで、ワシの腹に蹴りを入れてきたのだ。

 横蹴りだ。足刀蹴りか?

 そしてそのまま、連続で蹴りを入れてくる。

 恐ろしい速さで。

 ……これは前蹴りか?しかし……

 

 ……無論、全く意味は無い。

 これは一体……?

 

 まあ、この隙に氷結魔法を喰らわせれば……!

 

 そう思い、手を翳そうとしたとき。

 

 ワシは、自分の腹の口が、少し「くぱあ」したように感じた……

 

 その、瞬間だった。

 

「トリスインパクト!」

 

 裂帛の気合と共に踏み込んで。

 ヤツが燃える拳をワシの腹部の口に叩き込んで来たのは。

 

 全く警戒していなかったので、まともに喰らってしまう。

 一瞬、息が詰まった。

 背中にまで貫通する衝撃。

 

 ……くッ

 

 だ、だが!

 

 ただの火炎魔法、耐えられる!

 肉を斬らせて骨を断つじゃあ!

 

 このまま、ワシの氷結魔法を食らわせて……

 

 そのときじゃった。

 

 ワシの身体が、ヤツの拳が当たった個所を中心にひび割れていくのに気づいたのは……

 

「な……なんじゃと?」

 

 馬鹿な……なんでこんなことに……さっきは耐えられたのに……!

 

 ひび割れがどんどん広がっていく。

 そして、その割れ目から

 

「……火!?」

 

 火……炎が噴き出している!

 なんでじゃ!? なんでパンチ一発……

 

「で……」

 

 ひび割れがワシの全身を覆い、そこから炎が噴き出してくる。

 ワシの終末の炎が……!

 

「ぶぅぅ!!」

 

 次の瞬間。

 ワシの身体は木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

 

✭★★(忍)

 

 

 ……魔法は通る。

 それがカギだった。

 

 だったら……

 

 物理攻撃無効を無効化する魔法を、トリスインパクトに組み込めばいい。

 それだけの話。

 

 種明かしすれば、単純な問題だ。

 

 ヤツは肥満体。

 肥満体は物理攻撃が効かない身体なのは宇宙の法則で決まってるが、その場合、蹴り続けると「物理攻撃無効が消滅する」という伝説がある。

 俺はそれを魔法に組み込んだんだ。

 

『……素晴らしい機転だったぞ。神話や伝説を魔法に組み込むのは基本中の基本だ。だがそこからこういう発想をするとは。……感心した』

 

 ……少し照れ臭い。

 だけど。

 

 ……これで、敵の魔王の一角を倒した。

 

 真月! 今、助けに行く!

 

 俺は、爆発四散した魔王アリオクをそのままに、次の場所へと向かう……。




連続で蹴れば物理無効は外れるもんです。
異論は無いよね?
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