真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
勝った……!
とんでもない相手だった。
ボロボロの状態で倒れている男。
そういえば、名前はなんだっけ?
聞くの忘れてたけど。
まぁ、それよりも
……今のうちに、完全無力化しないと。
私は銃を拾って、男の左腕を撃ち抜く。
アームターミナルを壊すために。
……元々、弾切れになったから捨てたんじゃないからね。
これ。
銃を捨てることによって、敵が正面から接近しやすくなるようにしよう。
そういう意図だから。
タタタ、という軽い音と一緒に、男のアームターミナルは破壊された。
……よし。これでもうこいつは悪魔を呼ぶことが出来ない。
そのときだった。
「ひーでーぶー!」
野太い叫びと
大爆発の音。
……あっちも決着ついたんだ。
さすが忍。さすがは私の夫。
妻として鼻が高い。
……後は……。
悪魔は契約書が全部消えてしまうと契約解除になり、フリーになる。
で、通常契約書はアームターミナルやCOMPの中にあるんだけど。
こいつが自分の契約書のバックアップを残してない保証は無い。
なんか、相当強い男だったしね。
上級のガイア教徒なら、バックアップを疑った方が良いよねやっぱ。
忍が1体悪魔を倒して、私が今この男を倒した。
そうすると、あと1体悪魔が残ってるはずなんだけど。
それは……
ざっと見回す。
ここは戦場。余計な動きは命取りだ。
いないな……どこだ……?
すると
「真月」
足音と、接近してくる緑の仮面ライダー。
私の夫の忍。その変身体。
「そっちも倒したんだ。……もう1体は?」
「ちょっと分からない……気が付いたら居なくなっていた」
困惑気味の夫の言葉。
そっか……どこに消えたんだろう。
私は少し不安になっていた。
「真月」
「え?」
呼ばれた。
呼ばれたから、振り返る。
すると。
ギュッと。抱っこされてしまう。
正面から。
そして言われた。
「……かなりギリギリの戦いだったみたいだね。やめて欲しいな。ホント」
……ありがと。
心配してくれて、嬉しかった。
それに。
戦略上やむなくだけど。
あなた以外の男の抱擁を受けてしまったし。
上書きして欲しかったから。
ありがとう……
でもちょっと、身体が鎧化してるから、少し痛い。
そして。
次の日の昼頃。
「ありがとうございました! 渋谷の街はあなたたちのお陰で救われたんです!」
いつぞやのメシア教の夫婦の奥さんの方が、しきりに頭を下げて私に礼を言ってくる。
あの後、攻めてきたガイア教徒のうち、処刑ライダーを全員調和大好き人間にした後。
全員この街の回復道場勤務にして。
あの、黒コートの男……後で話を聞いたら、ガイア教団幹部の13人のひとり、五味山という名前らしい……これを武器を取り上げ、猿轡を噛まし、手錠を掛けた状態で引き渡した。
こいつはこの街の裁判を受けさせられるみたいだ。
結果は……あまり考えたくないけど。
(死刑だよね……)
それを想像すると、本来私が戦いの中で果たすはずだった役割を、この街の人に押し付けている気になるので……
とても、気分が沈んでしまう……。
そんな私をよそに
「これをどうぞ。これが私たちの気持ちです」
メシア教夫婦の旦那さんの方が、そう言って……
六芒星のペンダントを差し出してきた。
「これは?」
「ヒランヤ。……以前、新宿で買い求めたお守りですが、良かったら」
えっと
「いいんですか? 今は軽々しく新宿に行くのは難しいと思うんですけど」
「ええ、いいんです。恩人に渡せるものはこのくらいですし異教の人」
「ええっと」
……別に。
あの五味山という男から奪い取った短剣貰ってるから、お礼は充分貰ってるんだけどな。
私は、腰に鞭と一緒に吊るしている、変な形のナイフを見つめる。
多分このナイフ、合体剣なんだよな。
13人幹部が振るってたナイフだし。形が変だし。
……ちょっと調べてみたいけど。
どこか調べることのできるとこ、あるかな?
……あと、言い忘れてたけど。
この夫婦に六本木までの正確な地図も貰った。
だからまあ、この街に居る理由は、今は全く無いんだよね。
だからこれ、お見送りなの。
「それでは。色々ありがとうございました」
サイドカーに乗り込む私たち。
忍は単車部分。私は側車部分。
そして車を発進させた。
エンジン音。
聞き慣れたそれを発しながら、サイドカーは荒野を走っていく。
しばらく無言で走り続け。
私は彼に問うたんだ。
「……渋谷の街のメシア教徒は、そんなに変じゃ無かったね」
「まあ、ちょっと説教臭いのが嫌だったけど」
そうなんだよね……
腹立つ人たちではあったけど。
私たちが「邪悪な存在だ」と断言するような、おかしい人では無かったんだ。
でも……
「目的を忘れたらいけないよね」
「だな」
私たちには、私たちの都合がある。
それを諦める気は、少しもない。
六本木を目指して、出発。