真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

109 / 211
いつから勘違いしていた?


07:虎の尾を踏んだことに気づかなかったよ

★★★(アスタルテ)

 

 

「何故お前がここに居る!?」

 

 確か魔王アモンは少し前に、人間の手で封印されたという話を聞いた。

 その後の話は聞いていない。

 解放されたなら、そういう情報が魔界にも届くはずだ……!

 

 すると、この異形の魔王は

 

「何故って……ここの精神の持ち主と今一体化しているからよ」

 

 そんなことも分からないのか? とでもいう風に。

 アモンは私に言ってのけた。

 

 ……え?

 

 今、何と言った?

 

「一体化?」

 

「ああ、悪魔合体した。我と、この精神の持ち主が」

 

 そして我が負け、この男は悪魔人間に変化した。

 そう、楽しそうに言う。

 

 ……悪魔人間?

 

 この男、魔王に精神力で上回り、自我を残したっていうの……?

 

 そんな……ありえない……!

 

 確かにそういうことは理論上可能だという話は、太古の昔からある。

 偉大な宗教家が神掛かり的な力を持っていたのも、実は理由はそうなのだ。

 

 彼らは悪魔との合体に耐え、そういう力を手に入れた。

 

 だが、そんな事例はほぼ無い。

 奇跡に近い例外中の例外……!

 

「……お前も見ただろう? この男が魔王アリオクを打撃で倒すのを」

 

 アモンの言葉。

 ……確かに見た。

 意味が分からなかった。

 

 何か、特殊な未知の魔法を使ったんだとしか。

 だが、それが悪魔人間のみが使えるという「究極合体魔法」だなんて、普通考えない!

 

 ……てっきり、人間どもの開発した妙な技術で作られた、ただの改造人間だと思っていた。

 あの、緑色の戦士の姿は。

 

「お」

 

 ここで、アモンが何かに気づいた声を出す。

 私の後ろだ。

 

 ……見た

 

「ひっ……」

 

 ……あの、緑色の戦士がいた。

 明らかに、私への敵意を燃え上がらせながら。

 

 

 

 マズイ……!

 悪魔と合体した人間の力は、総合力で決まるという。

 この男が合体した悪魔は魔王。

 普通の悪魔じゃない。

 それに、この男自体も、普通の男じゃない。

 精神力だけじゃない、技量がおかしい!

 

 おそらく、愛する女の愛を得るために、文字通り死ぬほどの鍛錬を積んで来たんだろう。

 それが全部技に反映されている!

 

 魔王と武術の達人が合体して生まれた悪魔人間……!

 

 ……結論からすると、私ではこの男に勝つことはできない!

 

 だから……

 

「ま、待て! 私は女だぞ!? 女を殺すのは武闘家の恥じゃないのか!?」

 

 胸に手を当てて、思いついた言葉をそのまま口にする。

 

「……ああ、お前のことはそもそも女としては見ておらんから無理だなそれは。こいつは悪魔は敵だと思ってるから、男も女も無いぞ」

 

 アモンが、横から口を挟んでくる。

 文字通り、横になりながら、完全に他人事の調子で。

 

 戦士は足を踏み出す。私に向かって。

 

 そ、そんな……!

 

 だ、だったら!

 

「分かった! 私がお前の使い魔になってやる! 新しい仲魔だ! 魔王だぞ私は!? 必ずお前の役に……!」

 

「……それも無駄だな。ここは深層心理の世界で、理性的な行動は取れんわ。こいつはただのお前への怒りの化身だしな」

 

 ふあああ、と欠伸交じりにアモンは言った。

 

 いやだ……いやだ……

 

「いやあああああああ!!」

 

 私が悲鳴をあげた瞬間。

 戦士が一気に踏み込んで来た。

 

 そして燃え上がる右拳で、私の腹部を抉り込むように突き。

 

「ぐえ!」

 

 私は身体を折って、突き抜ける衝撃に動けなくなり。

 

 次に燃え上がる左足で、そのまま横から私の右肩を蹴り飛ばした。

 

 ……その衝撃も、突き抜ける!

 

「あぎゃああああああ!!」

 

 私は吹っ飛ばされ、地に落ちて悶えた。

 

 そこに

 

「おお……! すごいな。蹴りでも鎧通しが出来るようになったのか。面白いな、人間……!」

 

 アモンは私の様を見て、感心した声を出す。

 く、くそ……! よくも……ッ!

 

 なんとか……なんとか逆転の目は……?

 

 その瞬間

 

「あああああ?」

 

 身体が、燃え上がるような感覚に包まれる。

 馬鹿な!? どうして……?

 

 私の腹と、右肩が熱い!!

 

「……今のが究極合体魔法だ。この男が名付けたのがトリスインパクト。まぁ、発声が無いから幾分か減衰はしてるハズだが……まぁ、助からんよ」

 

 ……2発喰らったからな。

 そう、無情に言ってのけるアモン。

 

 ……そんな! そんなぁぁ!

 

 どんどん熱さが広がっていく……

 

 ここで。

 私の意識が途切れ……

 

 私は精神世界から、現実世界に戻って来た。

 私の身体は燃え上がり続けている。

 魔法の炎のためか。館には全く何の影響も与えない。

 

 ……私の眼下では、佐上忍が何の問題も起きてないような顔で、寝息を立てている。

 

 ……こいつにさえ手を出さなければ、私は死ななくて済んだのに……!

 

 こみ上げる後悔。

 負の感情。

 

 私は泣いた。

 震えた。

 

 そして

 

 ち……

 

「ちくしょおおおおおおおおお!!」

 

 それが、私の最期の言葉になった。

 

 次の瞬間、私は一瞬の閃光になり、消えた。

 

 

★★★(忍)

 

 

 朝起きると。

 あのクソ女がどっかに消えていた。

 ……どこに行ったんだ?

 

「留井さん、どこに行ったんだろうね?」

 

 出発の準備をしながら、真月が俺に言った。

 テングに聞いてもヤクシニーに聞いても、その他の悪魔に聞いても誰も知らないという。

 

 ……あの女はクズだ。

 だけど、だからといって、死んで良いわけじゃない。

 

 どこに行ったんだろう?

 心配だ……

 

「……この屋敷って、空間を魔術的に歪めて作ったんだっけ?」

 

「確か、そういう話だったよな」

 

 そんな話をテングから聞いたような。

 

「……裂け目に呑み込まれたのかな?」

 

 ……ありえる。

 だとしたら、可哀想だ。

 

 人の死に方じゃない気がする。

 

 ……俺はその場合を考え、彼女のために祈ることにした。

 

「さあ、行こうか」

 

 祈りを終えて、俺はバイクに跨る。

 バイクに連結されている側車に、真月が乗り込み。

 

「OK、出して」

 

 今日は、快晴。

 絶好のツーリング日和。

 

 ……まあ、ツーリングじゃ無いんだけど。

 

 俺は運転に集中モードに移行し、エンジンをスタートさせ。

 六本木に向けて、出発した。




主人公に気づかれずに魔王アスタルテは退場。

四天王の館編終了。次回から六本木編です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。