真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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おのぼりさんに東京は刺激が強すぎるんよね。


02:街の支配者

★★★(忍)

 

 

 危なかった……

 都会オーラにやられて、一瞬浮かれそうになった。

 これが東京の魔力ってやつか……

 

 俺は顎の汗を拭うような仕草をしてしまう。

 気持ち的にそんな気分になってしまったので。

 

 しかしでも……

 やっぱ、凄いのよな。

 

 建ってる建物のレベルが違うというか。

 何でここまで破壊されないで街並みが残っているのか。

 

「イザナミ様」

 

 そんなことを考えていると。

 真月がイザナミに何かを尋ねていた。

 

「なんじゃ?」」

 

「……当面、この街で気を付けるべきことは?」

 

 ……うん。

 それは俺も聞いておきたいかな。

 

「そうじゃなぁ……」

 

 顎に人差し指を当てた状態で、イザナミは注意点を列挙していった。

 それは……

 

①ここの食べ物飲み物を口にするな。その土地の食物を口にするという行為は、そこの住人になるという魔術的意味合いが発生する。

②他人と会話するときは、意味合いに気をつける。特に「許可」を出すときは注意が必要。

 

「……パッと思いつくのはこのくらいかのう……すまぬな」

 

 腕を組みつつ、イザナミ。

 特に気をつけるのは①らしい。

 ……なんとなく分かる気がする。本人の実体験か。

 

「いえ、充分です。ありがとうございますイザナミ様」

 

 頭を下げる真月。

 まあ、完璧ではないのかもしれないけど、意見はくれたわけだしね。

 ありがたや、ではあるわけで。

 

 俺も頭を下げた。

 

「何。このくらい何でも無いわ」

 

 イザナミはまんざらでもなさそうだった。

 

 

 

 まあ、とりあえずは情報収集だわ。

 

 俺たちは、ディスコに入っていった。

 他の街で六本木のことを聞いたとき、六本木のディスコはすごいらしい。いっぱい人がいるらしいと聞いていたので。

 

 入った。

 確かに大音量で音楽鳴ってて。

 

 うん。ちょっとうるさい。

 

 そう思った。

 真月も少しうるさいのか、顔をしかめている。

 

 ノリノリというわけではなかった俺たちふたり。

 

「……お前らこういうのは楽しまんのか?」

 

 そう言いながらイザナミ。

 何やら牛肉っぽい串焼きを食べている。

 

 ……その土地の食べ物を食べてはいけないのでは?

 

 そう思って見てたら

 

「我は良いんじゃ。厳密に言えば死んでる状態じゃからな」

 

 ムシャムシャムシャ。

 ……死人、いや死神だったら食をそんなに満喫しないで欲しいかも。

 

 

 

 ちなみにここ、フリードリンク、フリーフード制のディスコで。

 希望者は自由に酒や肉が貰えるのだが。

 

「ぷはー、美味いのう」

 

 ……幼女の姿のままで、ビールジョッキを干しているイザナミ。

 大破壊前の世界だったら大問題。

 

 さすがの真月も複雑な表情でイザナミを見る。

 いや、未成年では無いんだけどな。中の人的に。

 ただ、ビジュアル的に非常にマズい。

 

 ……まあ、気にしないでおこう。

 ここには幼女を補導する警官は存在しないし。

 

 踊り狂ってる人や、壁際のトークスペースで会話に勤しんでる人に話を聞いてみた。

 

「六本木は素晴らしい街よ! かつての幸せが全部ここにあるわ!」

 

「新宿のオザワの支配から逃げてきて正解! 税金も取られないしここは天国よ!」

 

「ここは赤と黒の二人の男性が支配しているの。その二人がこの街を復興させて、結界を張り、この素晴らしい街を作ってくれたのよ!」

 

「赤と黒の男性? ああ、赤伯爵と黒男爵のことね。赤伯爵は小太りのおっさん。黒男爵はガリガリのおっさん。で、ともに幼女趣味の変態。この一点でもうアレだよな」

 

「幼女?……ああ、あの二人な、金髪の外国人の幼女を自分たちの娘として可愛がっているんだよ。何なのかねぇ? 愛玩動物として人間の子供を飼ってるのかねあのペドたち? キモ」

 

 ……一部、散々なことを言われてる気がしたけど。

 まとめると……

 

 この街の権力者は赤伯爵と黒男爵という、二人の人物なんだな。

 次の目的地……銀座に行く方法を尋ねるなら、この二人に会うのが一番良さそうだ。

 

 さて……どうすれば会えるんだろうか?

 

「真月、君はどう思う?」

 

「そうねぇ……」

 

 ふたりでそういう風に、得た情報から今後の方針について話し合っている。

 そのときだった。

 

「やあ、キミらも旅行者、それともここに移住希望者かな?」

 

 ……やけにガタイのいい男に声を掛けられた。

 モジャモジャした黒髪と太い眉。高身長で筋肉質。

 一目で元スポーツマンだったんだな、というのが分かる体つき。

 顔は四角くて、特に顎が長方形と形容するのが良い感じの作り。

 そういう男だった。

 

 にこやかに、彼は続けた。

 

「俺は鴨志田って言うんだけど、キミらは?」

 

 ……鴨志田……

 なんか、昔オリンピックの金メダリストにそんな名前のヤツ居なかったっけ?

 ちょっと記憶が怪しいんだが。

 

 ……まぁ、今更どうでもいいか。

 過去の出来事なんてさ。

 

「あ、俺たちは夫婦で、佐上って言います。旅行者です。俺が忍でこっちが妻の」

 

「真月です」

 

 そしてふたりで頭を下げた。

 

 すると

 

「へぇ、綺麗な奥さんじゃん」

 

 ……ちょっとだけ不愉快になった。

 何でだ?

 

 褒められたのに。

 

 ……まあいいや。

 

「あなたは?」

 

 この人からも情報収集しとこう。

 何か分かるかもしれないし。

 

 すると

 

「俺は移住希望なんだよね。ここの住人になりたいんだよ。そのために……」

 

 じゃら、と彼は懐のポケットから何かを出してくる。それは……

 

「このヒランヤを、新宿に行って買ってきたんだ。これをあの子に差し出せば、この街の支配者に移住の件を取り次いで貰える」

 

 それは、六芒星のペンダント。

 俺たちが渋谷でメシア教徒夫婦に貰ったアレと同じものだった。

 

 ……なんかすごく嬉しそうに見える。

 よっぽど、ここの住人になりたいらしいな。

 

 分らんでもないけど。

 実態を知らないなら。

 

 ……止めた方がいいんだろうか?

 でもな……

 

 ここは死の街だから、移住は止めろ。

 それ、聞き入れて貰えるか?

 

 ……難しくないか?

 

 そう、思っていたら

 

「……相手はこんな大きな街を復興させ、結界まで張ってしまうような魔法使いなんです。会話するときは充分に気を付けてください。何か、とんでもない契約を結ばされそうになってないか? と」

 

 ……真月。

 嫁さんが、ナイスなアシストをしてくれた。

 ……うん。現状できる警告って、これが限界な気がするな。

 

「ハッハッハ! 大丈夫さ!」

 

 鴨志田氏はにこやかに笑ってそう言った。

 

 そして俺は。

 ゴメン。気を付けてくれ……そう思った。

 

 彼の去っていく背中を見守りながら。




鴨志田ならどうなっても誰からも文句でないよねえ
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