真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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ボディコニアンの言葉を考える。


05:もうひとつの道

★★★(真月)

 

 

 しかし……

 

 腕を組み、私は考えた。

 

 この子、このままここに置いておいていいのか?

 それを。

 

 この子は、人を食べたい衝動に耐えられる自信が無いんだと思う。

 だから幽閉を望んでいる。

 

 うん。

 気持ちは分かるかな。

 

 誰だって、人間を食べて殺人という重いものを背負うのは嫌に決まってる。

 おなかが減って仕方なかったの、で許されるわけがない。

 仮に他人が許したとしても、自分が許さない。

 あの子はそういう人なんだ。おそらく。

 

 そこは理解した。

 でも、だからと言って「大変だね、じゃあね」は違うよね。

 何かしてあげないと。

 

 ……ここで、ふとあのガイア教徒の夫婦のことが思い出された。

 

 そういえば、だよ?

 あの夫婦、夫の方が私と同様の悪魔使いだけど。

 

 頻繁に召喚しているの、霊獣コウだよね?

 

 ……コウって人間を好んで食べる悪魔なんだけど。

 あれ、どうしてるのかなぁ?

 

 やっぱり、コウに「人間を襲うな」って言ってるんだろうか?

 ……なんか、言ってない気がするんだけど。

 そんなことをすれば、人間に襲われたときにコウに指示の解除をしなきゃいけなくなるじゃん。

 

 じゃあ、コウが人間を食べても野放し?

 ……そんなわけないでしょ。あの夫婦に限って。

 

 だとすると、言わなくても人間を襲ってない、ってことにならない?

 と、すると……

 

 ここでさらに思い出されるのは、魔王マーラ。

 

 私の仲魔だけど、私と契約してからは、私に断りなく催眠術使ってないよね。

 女を玩具にして喜ぶ女の敵みたいな性根の悪魔の癖して。

 仲魔にするときに釘を差したような気はするけど、あんまりしっかり言ってなかったような気がするなぁ。

 

 契約するときにサインさせる同意書の文言を振り返ると「召喚者に絶対服従」とあるのみで、人間を傷つけるな、とは書かれてないんだよね。

 まあ、そうすると、対人で悪魔を使役できないという問題が出てくるからだと思うんだけど。

 

 ……以上のことを総合して考えた。

 その結果、私は……

 

「あのさ」

 

 彼女に切り出した。

 

「……はい?」

 

 何だろう? と言う感じで返事をする。

 私は言った。

 

「……私と悪魔召喚契約をしてみない? 多分、その食人衝動、だいぶ楽になると思う……」

 

 ……彼女の目を見て。

 

 

★★★(ボディコニアンの女)

 

 

 私は今は屍鬼ボディコニアン。

 生前の名前は長名フツコ。

 吉祥寺に住んでいた女子高生。

 

 だけど。

 私の名前がフツコだったせいで、私の人生は狂ってしまった。

 

 クーデターを起こした自衛隊幹部の男が、自分に反抗するレジスタンスのリーダーの名前が同じフツコだという理由で、都内に居住する全てのフツコを拘束しはじめたんだ。

 私もいきなり家に踏み込んできたチンピラ風の男たちに拘束されて、牢屋に入れられてしまった。

 

 私は付き合っていた彼氏がいたから、彼氏が助けに来てくれないかななんて、馬鹿みたいな夢を見たりもした。

 そんな夢、叶わなかったけど。

 

 そのまま、どうなってしまうんだろうと思っていたら。

 本物のフツコが捕まった、という話を聞いた。

 

 内心「やった!」って思ったのを覚えている。

 

 そこで私は言ったんだ。

 

「本物が捕まったんでしょ!? 釈放してよ!」

 

 最初、チンピラ風の男は「うるせえ! 黙れこのメスガキ!」って言って聞いてくれなかったんだけど。

 諦めずにギャンギャン言ってたら

 

「分かった分かった! お前の言う事も一理あるから、お前は出してやるよ。……有難く思えよ?」

 

 って言って。

 私だけ釈放された。

 

 嫌な話だけど、多分私が女子高生だったから、チンピラ風の男の下心を刺激したんじゃないかな?

 

「ありがとうございます。かっこいいお兄さん」

 

 そう、お礼を言って、私は家に帰るために収容所を飛び出した。

 どうやって帰ればいいんだろう?

 

 戒厳令で電車は止まってるし。

 そもそもここはどこなんだろう?

 

 そんなことを思いながら彷徨っていた。

 

 ……ヨシオ君。会いたいな。

 

 そんなことを、少しだけ想った。

 大好きな彼氏のことを。

 そのときに。

 

 核ミサイルが落ちてきて、私は衝撃と熱線で一度死んだ。

 

 

 

 ……次に気が付いたときは六本木だった。

 

 恐竜みたいな赤い化け物と、ガリガリに痩せた灰色の骸骨みたいな化け物が話し合って

 

「アリスの最初の友達はこのくらいでいいか」

 

 そんなことを言っていた。

 あとで彼らの名前が、魔王ベリアルと堕天使ネビロスであることを知ることになるんだけど、そのときは悪魔というもの自体を知らなかったんだ。

 

 そして。

 私は最初はアリスの遊びに付き合わされた。

 

 最初はお人形さん遊びみたいな、女の子らしいものだったんだけど。

 そのうちに、トランプで遊ぶようになった。

 どうやら、ゲームが好きな子みたいで。

 

 そして、それが麻雀になって

 

 最終的に、それが脱衣麻雀に進化するまでに、そう時間が掛からなかった。

 

「おねえちゃん、次に負けたら裸だよ」

 

 ニコニコしながら、アリスと言う子は言った。

 私にはこの子が悪魔に見えた。

 

 ……ヨシオ君は誠実な人で、結婚するまではキスまでって言ってたから。

 私はまだ、こういう形で他人に肌を晒したことが無かった。

 

 だからブラとショーツだけの姿にまで追い詰められて。

 次に負けたらどっちかを出さないといけなくなったとき

 

「裸になりたくありません! 勘弁してください!」

 

 って言ってしまった。

 アリスのお友達という、傀儡にあるまじき一言を。

 

 そこでベリアルとネビロスにバレたんだ。

 私が自由意志を残していることを。

 

「こいつはおかしい! 欠陥品だ!」

 

「アリスの友達として不適格!」

 

 ……そうして、牢屋に入れられて。

 ネビロスの魔力の支配下にあったおかげで抑えられていた食人衝動も出てきてしまった。

 

 狭い牢屋に押し込められて、食人衝動に耐える苦痛。

 地獄だった。

 

 ……一体、いつまでこんな地獄に耐えなければいけないの?

 

 ごくたまに、ここにも人が来る。

 何にも知らない外からの来訪者。

 

 そういう人が来たときに、私はこの街が死の街であることを伝えてきたんだけど。

 

「……君のその状態は、反魂香があれば救うことができる」

 

 前に、メシア教徒の男性が来てくれたとき。

 そんな話を聞いた。

 そのときは本当に嬉しかった。

 反魂香さえ手に入れば、この地獄から救われるんだ、と。

 

 そして今日。

 

 私は別の話を聞いたんだ。

 

「……私と悪魔召喚契約をしてみない? 多分、その食人衝動、だいぶ楽になると思う……」

 

 え……?

 

 そんな手も、あるの?

 

 反魂香で、天に昇ることだけが救われる道だと思ってたのに。

 

 言ったのは、レオタードみたいな鎧を着た、綺麗な女性。

 名前を佐上真月さんと言った。

 

 生前の私より年上の女性。22才、なんだって。

 

 そして説明してくれた。

 召喚契約を結ぶと、自動的に契約した仲魔は「契約者に迷惑を掛けるような衝動は抑えられるようになる」可能性があるらしい。

 そうなると、食人衝動が抑えられないわけがないと。

 そして実例も聞いた。

 ……それは確かに……納得するしかない。

 

 私は説明を聞き、納得してしまったので

 

「お願いします」

 

 そう言って、頭を下げた。

 ……もし効果が無いのであれば、彼らに殺してもらうのも良いかもね。

 そんなことを、考えながら。

 

 そして、契約同意書に、私の真の名の「長名フツコ」をサインをしたとき。

 本当に、食人衝動が耐えらえれるレベルにまで低下したことに気づいた。

 

 ああ……なんてこと……

 

 だから、言ったんだ。

 牢屋から出るときに。

 

「私は長名フツコ……よろしくお願いします」

 

 一礼をしながらね。




アリスは麻雀するものよ。そして麻雀は負けたら脱ぐものよ。(違う)
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