真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
「ウェーン!」
嫁さんに完全敗北してしまい。
実力を思い知らされた幼女。
筐体から離れて、立って独り泣いている。
びえええええ、って感じで。
そんな幼女に
「負けて泣いているうちは強くなんてなれないわね」
嫁さんはそう、言い放った。
全く慰めようともしない。
それが影響したのか
「おねえちゃん、メチャクチャ強い……」
なんとか泣き止みながら、アリスは顏を上げ、そう言った。
嫁さんの、真月の実力を認めたということか。
その言葉に。
嫁さんは大きく頷いた。
「……他人の強さを認め、上には上がいると、慢心しないこと。これが強くなる秘訣なのよ」
その割には君、しょっちゅう舐めプするよね。
まあ、格ゲーのときだけだけど。
「……私、もっと強くなりたい。おねえちゃん、私とお友達になってくれる?」
「ええ、いいわ」
にっこり笑うと、真月はアリスに歩み寄り、手を差し出した。
それをアリスが握り返す。
握手。
友情の成立。
その、象徴的光景。
「……じゃあ早速、特訓しましょうか」
「とっくん……?」
握手を終えた後。
真月はそう、アリスに話しかける。
真月の言葉に、首を傾げるアリス。
真月は続ける。
大真面目に。
「強くなるには戦わないと駄目。自分が勝てる相手だとか、同じ相手とばかり戦っていてはテクの上昇は見込めないわ。……ところでこれだけの筐体、どこで揃えたのかは知ってるの?」
「……黒おじさんが、秋葉原に行って買ってきてくれたの」
アリスが必死で思い出しながらした発言に、真月は大きく頷きながら。
「じゃあ、秋葉原に行ってみましょうか」
そう、切り出した。
するとアリスは思案顔になって
「……でも、勝手に外の世界に行ってはいけないって黒おじさんと赤おじさんが……」
「それは一人で出て行ってはいけないって意味でしょう? 大丈夫よ。お姉さんが一緒に行くんだし」
にこやかに、しかもすかさず考える時間を潰すような、鮮やかな話術。
……これは特に、真月みたいな綺麗な女がやるから余計に効果あるんだろうな。
男がこれをやったら、怪しさとそこから来る恐怖でなかなか上手くいかないだろ。
「そっか! じゃあ大丈夫だね!」
満面の笑みのアリス。
全然大丈夫じゃないんだが。
……将来子供が出来たときは「どんな人が相手であっても、知らない大人の言う事は無視しなさい」と教えなきゃだめなのかね。
少しだけ、俺は恐怖を覚えた。
「それじゃあ、秋葉原に出発よ!」
言って、歩き出す真月。
その後ろをついていくアリス。
俺と、あとイザナミとフツコ、そしてアルゴスもそれに続いて行った。
「アリスちゃんは、外の世界に行くのははじめて?」
「うん。初めてだよ!」
先頭で、アリスと真月がにこやかに会話している。
……さて。
そんな俺たち一行が、街の出入り口まで近づいたとき。
「お嬢様、外に出られてはいけません!」
黒服たちが集まって来た。
……前情報だと、これ、全部ゾンビなんだよな。
ならば
「真月! 先に行け!」
「分かった!」
俺の一言で、真月はアリスの手を引いて出入り口にダッシュする。
他の仲魔たちも後に続く。
そして俺は
「変身!」
……仮面ライダーに変身して、同時に地を蹴り、黒服たちにトリスアギオンを叩き込んでいった。
ゾンビなら、火炎攻撃に弱いはずだから。
すると
「ヒアアアアアア!」
次々に火柱になり、倒れて、炭火していく。
そして
どいつもこいつも、仲間がやられたのに怯えた様子もなく、注意を呼び掛ける様子もない。
……やっぱり、そういうことなんだな。
ほんの少しだけ、万万が一情報が間違っていたらどうしようと思うところがあったんだけど。
もう、確信を持ててしまった。
だから
「燃えろ!」
俺は右腕からメギドフレイムをまき散らし。
その場にいたゾンビたちを一掃した。
★★★(アリス)
おねえちゃんが必死で走っている。
そして私は手を繋いで一緒に走っている。
私はいくら走っても疲れない身体だけど。
おねえちゃんは違うはずだから。
死んでからにすれば良かったのに。
言いそびれちゃったな。
……しかし、ここはどこだろう?
六本木の門を抜けて、はじめて外に出たけど。
道路を走って、階段を降りて。
今、じめじめした地下道を走っている。
ホントここ、どこだろう?
★★★(ネビロス)
……何てことだ!
門番が、何者かに全滅させられた!
まずい!
アリスが六本木の外に出てしまう!
あの子は六本木の外では数分しか命が持たない!
その前に止めなければ!
……死んでしまっても、また蘇生させればいいのではないか?
前に、ベリアルにそんなことを言われたことがある。
アリスが前に「どうしても外に出たい」と言い出したときに。
だが、私は言ったんだ。
蘇生して蘇るアリスは、今のアリスとはまた違う別のアリスだ。
アリスは元々、名も知らない白人の少女の死体に、私が足りない部品を足して作り出したアンデッドだったという事を忘れるな!
名前だって、我々が勝手につけたんじゃないか!
普通のアンデッドには生前があるが、アリスには無い!
アリスはある意味、生まれたときからアンデッドなんだよ!
そんなアリスは、今が唯一の存在! そこから蘇生したとしたら、それは別の存在になる!
ベリアルはそれで納得してくれた。
そして一緒に「外の世界は危険だから連れていけない。ましてやひとりでなんてもっての外」の一点張りで、その我侭だけは諦めさせるのに協力してくれた。
なのに
今、その禁が破られようとしている!
どこの誰だ!?
絶対に許さん!
……私はベリアルに念話を飛ばした。
『……なんだネビロスよ』
すぐさま返信がある。
私は言った。
『大変だ! アリスが六本木を出てしまう!』
『……なんだと!?』
ベリアルの動揺と、焦りと、恐怖が伝わってくる。
私はそれを理解しつつ、こう言った。
『すぐに私が追いかける! 何か不都合が起きるかもしれないが、後のことはよろしく頼むぞ!』
……あまりグダグダ念話している時間など無い!
私はそこで念話を切り。
行動を開始した。
……結界、解除!
★★★(真月)
この地下鉄、向こう側の入口に行くのに、それなりに時間が掛かるから。
そこがポイントなんだよね。
……結構走った。
まだまだ走れるけど、しんどくはある。
でも、今は頑張らないと。
「おねえちゃん」
手を繋いでいるアリスが私にそう話しかけてくる。
「なぁに?」
私は応える。
彼女はこう言ってきた。
「生きてるって辛いよね? 病気になるし。寿命があるし」
……うん、それはそうね。
病気になるのはしんどいし、寿命がいつ来るのか全く怖くないかといえば、嘘よ。
でもね……
「辛いかもしれないけど、死んだ状態よりは生きてる方が良いに決まってるでしょ」
先に言っておいた。
この街の実態を考えて、この後にどういう言葉が続くのか、軽く予想できたから。
そう、答えると
「……それじゃ私と本当のお友達になれない」
そう、納得できなさそうな声音で彼女は言った。
だから
「何もかも一緒でないと友達になれないなんてのは、子供の考えよ」
そう言ってあげた。
彼女は目を丸くしていた。
そういう発想がなかったんだろうか。
……なかったんだろうね。
と。
「……出口よ。ここから先は、六本木じゃない」
私は、私たちは階段を駆け上がり……
その先に
「……そうはさせませんよ。人間ども。よくもやってくれましたね」
階段を上がった先に。
悪魔たちが居た。
赤いローブを身に纏った、灰色の骸骨みたいに痩せた男性。
……こいつが堕天使ネビロスか。
フツコの話からすると。
「貴様たち……絶対に許さぬぞ」
そしてこちら。
これもまあ、来るよね。
それは予想していた。
万一相方が自分が行かなかったせいで死んだとしたら、後悔してもし切れないもんね。
分かるから、その気持ち!
見た目は人型に成型し、直立歩行をしている人面の赤い恐竜。身長は4メートルくらい。
手には三又の矛を持ち、背中には恐竜の背びれみたいな2枚の翼を生やしている。
こいつが多分、魔王ベリアル。
フツコの話では、筋肉モリモリだったということだったけど。
今の彼は、ガリガリに見えた。
……多分、縛りを破った反動だ。
縛りをすることで、大幅な強化を図っていたんだ。
縛りが成立しない場所では、逆に大幅な弱体化がかかる。
当然、予想ができることだよね。
「……アリスのために、破壊された六本木を復興させ、人々の魂を集め、アリスの活力と街の繁栄を維持し……どれだけの苦労を重ねてきたか、あなたたちには分からないのですか?」
ネビロスがそんなことを言ってきた。
だから私は
「人間界でやって欲しいことじゃないのよ。魔界で一人でやって欲しいな。迷惑だから」
そう、きっぱりと言った。
そんなの知ったことでは無い。
何であなたたちの真実の愛とやらのために、私たちの幸せを差し出さないといけないの?
……あなたたちさえ来なければ、私と忍は今頃普通に家庭を持つ夢が持てる世界で生きていけていたんだッ!
「迷惑だと……? 我らの愛が、アリスへの真の愛が迷惑だと言うのか貴様……? くだらぬ、同じ種族間で憎み合い、ときには肉親でも蔑み合うような愚かな生き物の分際で」
「そんな愚かな生き物の信仰や命を何より欲しがる害虫の分際で吠えるわね。それに生憎、私の世界ではそういう争いは無縁なの。だから私は……」
ここで、そっとイザナミ様に左手を差し出す。
意図を理解したイザナミ様が、私の身体からマグネタイトを吸い出していく。
「あなたたちを、排除するッ!」
そう、宣言すると同時に。
私はアリスの手を握っていた右手を離し、アームターミナルにコマンドを打ち込んだ。
『魔王召喚』
こっちにだって守りたいものがある。