真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
01:車椅子の男からの依頼
★★★(忍)
……何者だ?
アルゴスが騒がなかったから、悪い者ではないと思うんだけど……?
俺は目の前の、車椅子の初老紳士を観察した。
赤いスーツに、四角い眼鏡……スクエア眼鏡と言うんだっけ?
体型は中肉中背。太ってもいないし痩せてもいない男。
髪の毛の色は白。いや、銀髪なのか……?
口元には柔らかい笑みを湛えていて、非常に知的な印象を受ける。
そういう男性だった。
「えっと」
多分、初対面だよな?
第一声が「優秀そうな悪魔使いだね」だし。
じゃあ、訊くことは……
「どちら様ですか?」
……これくらいか。
自分にはこれくらいしか思いつかないんだわ。
訊くこと、という意味では。
すると
「私はスティーブン。悪魔召喚プログラムの開発者だ」
にこやかに、そう答えてきた。
え……?
いきなり、何を言ってるんだこの人?
悪魔召喚プログラムの開発者……?
言われて、真月が自分のアームターミナルと、腰にぶら下げているCOMPを見る。
彼は、続けた。
とても穏やかに。
「君は私が作った悪魔召喚プログラムを使ってるね」
真月を見つめながら。
その声音は紳士過ぎて、この声音であれば戦場でもこれだけで生き抜けるのではないかと錯覚するレベルだ。
そんな声で、言ったんだ。
「ちょっとアームターミナルを見てみたいんだが、良いかな?」
え……?
声はいい。
なんだか信用できる。
けど……
それはちょっと……ありえなくないか?
俺たちは、流石にこのスティーブンという男性の言葉を受け入れることに躊躇があった。
見せるということは、アームターミナルを外す必要があるから。
……無防備になるじゃん。
いや、まだCOMPがあるんだけどさ。
それでも……
「それはちょっと……難しいですかね」
真月がそんな言葉を絞り出す。
だよな……
「それは残念だ……どうしても無理かい?」
そしてスティーブンという男性はそのまま
「……佐上真月さん」
名前をいきなり呼んだんだ。
真月のフルネームを。
そこで真月が目を見開く。
驚いたのか。
「……何故私の名前を?」
彼は真月の名前を知っていた。
しかし、驚くのはそれだけではなかった。
「君の以前住んでいたY県Y市の邪教の館に、合体時の悪魔召喚契約の難度を緩和するプログラムを送ったのも、私だからね」
え……?
あのプログラムも、そうだったのか?
ある日、真月が合体に出向いたら、館の主が
「面白いプログラムが送られてきたんですが。使ってみませんか?」
と真月に言うので、詳しく話を聞いてみると
「仲魔の召喚時に制限をつけることで、召喚士本来の実力を上回る悪魔との契約が可能になるプログラムです」
で、その話を聞いた真月が、制限を全開乗せして契約に成功したのが……
女神ヘラ
なのだ。
まあ、無茶だとは言われてたわ。
館の主に。
呼び出すのに他の仲魔を全部下げないといけないし。
相当な時間制限もあるし、で。
あと、会話ができなくなる、とも言ってた。
まあ、真月はそんなことは別に気にしなくていいと無視をしていたが。
……まあ、そういう感じで
それでも真月はどうしてもヘラと契約したかったらしく、敢行した。
……そんなことのそもそもの発端のプログラムが、この紳士が送ったものだったなんて!
衝撃を受ける俺たち。
そんな俺たちにスティーブンという紳士は再び
「……少しアームターミナルを見せてくれ。悪いようにはしないから」
……なんだか。大丈夫な気がしてきた。
スティーブン氏にアームターミナルと、なんとCOMPまで渡してしまった。
一体何を考えているんだ。
そう言われても仕方ない。
……いや、なんか本当にそっちの方が大丈夫に思えてきたんだよね。
スティーブン氏は、どこから出したのか、ノートパソコンをその2つのコンピューターに接続し、中を見ている。
そして、キーをカチャカチャやってたんだけど。
パタン、とPCを閉じて。
こう言った。
「……君も東北にいたときとは比べ物にならならいほど技量が上がっている。そろそろ制限を外してもいい頃だ」
そして真月に向かってこう言う。
「……女神ヘラの制限を解除した。これでもう、ヘラは普通の仲魔として召喚可能だ」
「ホントですか!」
真月、口元に手を当ててそう言った。感極まったように。
……それはすごいな。
魔王マーラ、天津神イザナミに、そこに今度は女神ヘラが加わるわけか。
これは助かる。頼もしい。
「あと」
そしてスティーブン氏は、さらに話を続けてきた。
……とても素晴らしい話を。
「もし良ければ、仲魔のストック数を増やしてあげよう」
「是非お願いします!」
真月、即答だった。
……前に、仲魔のストック数の残り枠が足りなくなってきた、って言ってたしな。
だが。
タダで施してもらえるなんてのは甘い幻想で。
多くは何かを差し出すことで要求を叶えて貰うんだよな。
……だから、こう言われたよ。
「じゃあ悪いが、ここから行くことが出来る範囲に警視庁のビルがある。そこの最上階のメインコンピューターからメモリーボードを持ってきてくれないか?」
「メモリーボード?」
思わず復唱する俺。
それに対し
「そう。またの名をパワーメモリー」
……お使いを頼まれてしまった。
パワーメモリ―。
すぐ記録が消えるのよね。
俺のキョウジー。