真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
私の相手は悪魔使い。
忍はもう1人のお坊さんと戦っている。
「よくもまあ、邪魔してくれたよね」
パンクの格好をした悪魔使いは、私に向かってそう憎々し気に言う。
「壺を渡してもらうよ」
私は会話する気が無いので、そう返した。
「そうはいかないねぇ」
言いながら、男はアームターミナルを操作した。
そして地面に出現する魔法陣。
光が噴き出して……
光が消えた後、そこに居たのは……
分厚い黄金色の全身鎧を身に纏い、剣と槍で武装した重戦士。
兜のせいで顔が見えず、どういう性格の人物なのかが見えない。
これは……?
「……オレの仲魔……虎の子の、軍神アレスだ……叩き潰してやるから覚悟しろ」
男は不敵にへへ、と笑う。
なるほど……
「そいつみたいな、強力な悪魔を仲魔にしたいから、壺を奪ってきたんだ?」
言いながら、私もアームターミナルを操作する。
『妖魔召喚』
『龍神召喚』
……ヴァルキリーとキヨヒメを追加。これで同時に召喚しているのは4体……。
「そうだ、と言いたいところだか、残念ながら違うんだなぁ」
私の仲魔が4体に増えたのを見ても、男は動じない。
それほど、呼び出した悪魔の実力に自信があるんだろうか。
「……というと?」
私の言葉に、にやつく男。
そして言ってきた。
「へへ……教えてやるよ……仮面ライダーを作るのさ」
……は?
目が点になった。
仮面ライダー?
……あの、大破壊前に男の子が大好きだった、あれ?
「えっと……正気?」
「何がだ?」
「話が全然繋がらないんだけど……」
ちなみに、これは素で聞いている。
時間稼ぎとかそういう意図は無かった。
本当に意味が分からなかったからなのだが……
「悪魔と人間を合体させるんだよ。人間に異形の力を取り込む……仮面ライダーみたいだろ?」
……続いて出た言葉に、私はさらにこれが正気の発言に思えなくなった。
「馬鹿げてる!」
私たちの師匠であるガラ吉さんに聞いている。
悪魔合体システムでは、人間と悪魔の合体も理論上可能だって。
そしてそれを実行すれば、人の身で悪魔の能力を手に入れることも可能だって。
ただ……
人間と悪魔との合体はほとんどの場合、失敗すると聞いているんだ。
理由は、悪魔の精神力の方が強すぎて、人間の精神が負けてしまい、取り込まれてしまうから。
だから絶対にやるべきではない、って。
なのに……それをやるって……
すると
「馬鹿だなぁ」
これだから女はよー、と続けて、男。
「……人間と悪魔の合体なんて、人体実験以外の何物でも無いから、そんなに数をこなしてるわけないでしょう?……ひょっとしたら成功率は30%くらいはあるかもしれないぜ?」
私を嘲笑いながら、男は続ける。
「でも、5人試して5人とも失敗したら、確率30%でも体感0%だわ。そういう数字のカラクリ、気づかねえかな? 気づかねえか。女だし」
ゲラゲラと笑いながら、男。
……
色々あるけど、いっこだけ予想がつくことがある。
多分、ガイア教団内で成功例が出たんだ。
だから、二匹目のどじょうを狙って、壺の悪魔を必要としているのか……
とすると、近いうちにガイア教徒が何かやるかもしれないね。
……まあ、いいや。今は。
今は、この戦いに集中しよう。
「ヴァルキリー! ハリティー! 前に出て!」
接近戦が得意な悪魔を前線に出して
「スセリビメ! キヨヒメ! 援護を!」
私の指示に従い、ヴァルキリーが剣、ハリティーが鉤爪で接近戦を仕掛け、その後方からスセリビメが氷の投げ槍で、キヨヒメが火炎放射で援護をする。
相手のアレスは、ヴァルキリーの空中攻撃を槍で払いのけ、ハリティーの鉤爪を鎧で躱し、スセリビメの氷の投げ槍を剣で薙ぎ払って撃ち落とし、キヨヒメの火炎放射を剣と槍を薙ぎ払う風圧で吹き飛ばした。
……さすがギリシャ神話の軍神だけあって、強い。
このままでは、私の布陣では不利かもしれない。
「どうだ俺のアレスのすごさは!? すげえだろ!?」
男は得意げだった。
「お前可愛いな! オレのオンナになるなら、殺さないでおいてやるぜ!?」
……調子に乗ったのか、そんなことを言ってきた。
それにどう答えるかなんて、決まってる。
「……お断りよ。タイプじゃない以前の問題で、私もう結婚してるんで。人妻なので」
次の打つ手は……
「ガイア教ではそんなもん関係ない! 強いものは何をやってもいいんだよお!」
アームターミナルにコマンドを打つ。
『全仲魔強制帰還』
打ち込むと同時に、全ての私の仲魔が足元に発生した魔法陣の中に消えていく。
「……? 諦めてオレのオンナになる覚悟を決めたのか?」
で、私は続けてこうコマンドを打つ。
『女神召喚』
同時。
出現する光の魔法陣。
そこから出現する、1体の女神……。
物憂げな表情の、白いローブを身に纏った美女。
……はい。私の勝ち。
「……何をするのかと思ったら、女悪魔を呼んだだけじゃねえか。そんなもん、オレのアレスの敵じゃねえ!」
男は焦っていたのか、不機嫌そうにそう言った。驚かせやがって、みたいな。
多分まだ、勝てると思ってるんだろう。
……全くおめでたいな。
「行けアレス! あの女悪魔を八つ裂きにしろ!」
全身鎧の重戦士が、両手に槍と剣を装備して突っ込んでくる。
私の召喚した女神は、それを冷たく見つめている。
気合を込めて私は言う。
「迎え撃ちなさい……」
アレスの横薙ぎの斬撃。
女神の首を狙って。
私は女神の名前を叫んだ。
「ヘラ!」
「……え?」
……私の召喚した女神は、自分の首を狙ってきた斬撃を素手で受け止めていた。
指、3本で。
アレスは諦めず、女神の腹部を槍で狙う。
……それも指3本で槍の穂先を摘ままれて、止められる。
「……なんで?」
「……ヘラはね、結婚と母性と貞節を司る女神で、大神ゼウスの正妻なのよ。だからね……」
理解不能に陥ってる男に、説明してやる。
「貞節を司る神が、レイプ被害に遭ったら笑えない冗談でしょう? つまりね、そんなものを司ってる以上、オリンポスの神々の中で、一番強くないといけないのよ」
ヘラとセックスできるとしたら、それは合意の場合のみ。
それを保証するのが、肉体的な最強。
つまり、ヘラはオリンポスの神々の中で最も強い女神なんだ。
実際、トロイア戦争での逸話では、武装したアルテミスを単身素手で制圧した話があるくらいだ。
「そ……そんな馬鹿な……!」
男は震えだす。
さてて……
私もグズグズしていられないんだ。
制限のある契約だからね。この女神とは。
「やりなさいヘラ! その悪魔を打ち倒せ!」
私は命令した。
同時にヘラが動き出す。
摘まんでいた刃を、そのまま粉々に打ち砕き、そのまま握った拳で、完全武装の重戦士にパンチを叩きこむ。
たまらず吹っ飛んだ重戦士に襲い掛かり、馬乗りになって拳で打ち据えていく。
一撃一撃で、鎧が砕け、血液が飛び散る。
「そういやアレスはヘラの息子だっけ? 息子がママに勝てるわけないよねぇぇぇ!?」
……私がこの強力な悪魔を仲魔にする際、かけた制限は……
①召喚時は単独召喚のみ。複数同時召喚は受け付けない。
②1日3分まで。それ以上の召喚は不可。
この2点。
色々面倒なんだけど、仕方ない。
正式な召喚をできるほどの実力が私にないわけだから。
それでも……
それを補ってあまりあるこの強さ。
3身合体を繰り返して、作成して良かったよ。
そして……
「ああ……」
アレスはもう、ピクリとも動かなくなり。
その身体が、マグネタイトへと還っていく。
空気に溶けて、消えていく……
勝負が、ついた……
『仲魔帰還』
用が済んだので、ヘラを引っ込める私。
そして
愛用の自動小銃を構えて
タタタッ
「あぐいっ!」
放心してた彼の足を撃ち
タタタタッ
「うげえっ!?」
そしてアームターミナルを撃った。
はい、これで彼の悪魔使いとしての積み重ねが消えた。
これで無力化完了。
急所を外して撃ったから、命に別状は無いよ。
「私の勝ちだね。お兄さん」
銃を下ろしながら。
私はそう言って微笑んだのだった。
ヘラは武闘派の女神です。マジで。
嫉妬深いところばかりイメージされますが。