真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
「約束の精霊サラマンダー、納品しに来ました」
ラグの店の店主に、燃え盛る身体を持つ炎の蜥蜴……精霊サラマンダーを引き渡す。
「確かに……では、約束通り、指輪を作ってあげるよ。宝石出して。あと、彼女さん」
「嫁です」
宝石を出しながら、すかさず訂正する。
「んじゃお嫁さん……左手出して。薬指のサイズ測るから」
ん。
言わなくても婚約指輪の場合を想定してくれてる。
「……言わなくても婚約指輪設定でやってくれるんスね」
思わずそう洩らすと
「最近多いからね。世の中急に変わっちゃったし。結婚するタイミングと、指輪が用意できるタイミングが合わないカップル多いんだよ」
差し出された真月の左手薬指のサイズを測りながら、ラグの店の店主はそう言った。
なるほど……ウチだけじゃなかったんだな。
なんとなく、感慨深いものを感じてしまう。
「世の中物騒だから、いつ死んでしまうか分かんないしね。タイミングが合うのを待ってたら、命が無くなってました、じゃ笑えないよね」
全くだ。
測り終わったのか、色々と作業用の道具を出してくるラグの店の店主。
俺たちは作業が終わるのを待つつもりで近場の椅子に腰掛けたが。
「ああ、結構かかるからその間外に行った方が良いよ。何か他に用事無いの?」
店主にそう言われた。
いや、無いことは無いのよ。
でも
「どのくらいかかるんですか?」
一応訊く。
すると
「約2時間」
これでも早い方だからね?
色々と外注して時間短縮しているから。
……だそうで。
「分かりました」
その間に別のことをやろう。
俺たちはラグの店を後にする。
「ではよろしくお願いします」
「ああ。その間にお嫁さんの時季外れの婚約指輪、しっかり仕上げておくよ」
そのときが楽しみだ。
ラグの店の店主の言葉を聞いたとき。
俺はそう思った。
「方々で手を尽くして、なんとか二着手に入ったよ」
ジャンク屋。
ここに、頼んでいたものがあったんだ。
だいぶお金を積むことになったんだけど。
「メシア服、男女一着ずつ。サイズは合うと思うが、今ここで着てくれると助かる」
あとで文句言われても敵わんし。
そう言いたいんだろうな。
メシア服。男物と女物、1着ずつ。
それぞれ1万マッカ。
つまり日本円にして10万円ずつ。計20万円。
……スゲー出費だ。
京都勤務時代に貰った給料やら、こっちに来て悪魔相手に稼いだ額やらに多分響く。
でも、要るんだよな。
この服は。
……何故って、次の目的地にして終着点・品川は完全なるメシア教徒の街だから。
メシアであらざるものは存在自体許されない。
だから今までの格好では潜入自体ができないんだ。普通に考えて。
正面から乗り込んで、ぶっ潰すならそれでもいいけど、それはいくらなんでも無理だろう。
いくら強力な仲魔がいても、俺たちはそこまで自惚れてない。
「……どうかな?」
で、いつも通り。
奥の部屋を使わせてもらって、着替えた。
着替え直後のファッションショー。
……俺の嫁さんは、メシア服でも綺麗だった。
「うん。非常にイイ」
清楚、って感じ。
どこから見ても敬虔なメシア教徒の奥さん。
そういうと、嬉しそうに微笑む。
まあ、メシア教徒の実態は除く、という枕詞欲しいけどね。
あいつら、酷いののレベルが確実にガイア教徒以上だし。
「忍も特に問題ないね。これで大丈夫」
……俺の方も真月のお墨付きを貰った。
じゃ、これで大丈夫かな。
俺たちは力を尽くしてくれたジャンク屋に、代金を払った後にお礼を述べ、店を後にした。
再度、訪れたラグの店。
「おお。指輪、出来てるよ」
……喜びの言葉だ。
ラグの店主に、手渡される。
俺が。
出来立てのダイヤモンドリング。
「ケースが無いのは簡便な。……さあ、付けてあげなよ」
……はじめての……まともな贈り物。
思わず息を呑んでしまう。
「真月、左手を出して」
「はい……」
彼女がドキドキしているのが俺にも伝わってくる。
俺もそうだけど。
俺は彼女の細くて綺麗な薬指に。
出来上がったダイヤモンドリングを潜らせていく。
そして
ぴったりと、彼女の左手薬指にダイヤの指輪が嵌ったんだ。
「……」
彼女はそんな自分の指を見つめ。
顔を真っ赤にして。
そして、ほろり、と泣いてくれた。
「……なんだか、まともに一歩近づいた気がするね」
その言葉が、俺の胸に響き。
俺は思わず、彼女を抱き締めた。
「……絶対に品川で目的を果たそうな」
そしたら。
日本中が、今の京都と同じ状態になって、日本だけは復活できる。
前と同じ状態とはとても言えないだろうけど、人間の生活だけは取り戻せるはずだ。
「……目的を果たしたら、今度は京都で結婚指輪を買おうね」
俺の腕の中で、彼女はそう言った。
俺はその言葉に大きく頷いた。
これにて銀座編終了。
次回から品川編です。