真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
その後、街を見て回った。
その過程でまた処刑場を見たときは、嫌な気分になった。
まだ、処刑が続いていたから。
凌遅刑何日なんだろうな?
その間、死ねないわけだ。
金網で囲われた場所で、特にメシア教らしい装飾品は無かった。
江戸時代の公開処刑場を、現代の建材で作った感じだろうか。
……まあ、江戸時代の日本は凌遅刑なんか中国から輸入しなかったんだけどな。
真月が言ってたが。
悲鳴を上げる受刑者を、観客が罵声を浴びせながら眺めて愉しんでた。
……これだけで、俺はもう彼らとの話し合いは諦めている。
真月には彼らの心の動きは説明したがね。
メカニズムが理解できることと、分かり合えるかは違う。
……彼らにとって、俺たちは自分たちの善性を確かめさせてくれる生贄だ。
仮に改宗したところで、今度は「信仰成分不良」の問題で厳しい差別を受ける。
話し合いの余地が無い相手だ。
「あまり見るのは止しておこう」
「うん……」
悲鳴を背中に聞きながら、街を見ることに戻る。
買い物をする場所があるのか。
学校はあるのか。
託児所があるのか。
結論から言うと、買い物をする場所は無かった。
学校と託児所はあったけど。
あと、図書館もあった。
「……店が無いな」
「無いね……」
これはどういうことだ?
……と思っていたら。
『生活物資配給所』
という建物を見つけた。
……ということは、このあたりは買い物をするという概念が無くて、住民は生活物資を配給で得てるのか……。
徹底した管理社会って感じだ。
「あ、あそこにメシア教教会がある!」
真月が側車から指をさす。
その指し示す先に、確かに西洋の教会に似た大きな建物があった。
「そういやさ」
サイドカーを駐車場に駐車しながら。
俺は真月に話しかけた。
「ん?」
サイドカーから降りつつ、彼女は聞いてくれる。
「メイガス、って地位のメシア教徒は品川大聖堂に入れるみたいだな」
「……そうだね」
思い出すのも嫌な気分になるけど。
有用な情報は無視できない。
あの受刑者の旦那はメイガスで、あの受刑者は元々品川大聖堂に住んでた。
つまり、メイガスと関係できれば品川大聖堂に入り込むことが出来る。
メイガスってどういう地位の人間なんだろうか?
「なあ、メイガスってどういう地位の人間だと思う? いや、偉いとかそういうのじゃなしに」
「んーと」
こういうのは嫁さんに相談するに限る。
こういうことを考えるのすごく得意な人間だし。
「一般女性を見初めて妻にして改宗させたんだよね?」
ということは……
彼女はそう呟いて。
「……多分だけど、説法をしてる人間じゃないのかな? 非メシアと関わり合いになる可能性があるなら、それが一番しっくりくるような……」
なるほど。
そう思って頷きつつ、俺たちはメシア教会に足を踏み入れた。
メシア教教会の中は、荘厳な感じの造りにはなっていた。
これがメシア教でなければ、手放しで褒めたと思う。
全体的なイメージはやはりキリスト教だろうか。
中央に、十字架に似たデザインの紋章が掲げられている。
……ちなみに人は今、いなかった。
無人だ。
「……ここで説法でもするのかね?」
正面に台があるし。
両脇に多人数が腰掛ける椅子があるし。
……いかにも、だよな。
すると
「今日は礼拝の日ではないはずですが。何か御用ですか?」
青と白のカラーの法衣を着た男性が歩いてきた。
多分、メシア教の神父だな。
「私たち夫婦、ここに引っ越してきて日が浅くて」
真月がそう、にこやかな感じで応える。
「ちょっと、これからの生活を構築するために見て回ってるんです」
俺がそう続けると、真月は周囲をキョロキョロと見回した。
ん……?
……当然だけど、今の真月はアームターミナルを装着していない。
目立つから。
その代わりに、COMPはしっかり持っていた。
「おや、ひょっとして最近入信された方かな?」
「ええ、まぁ」
……真月が俺から離れ、神父の背後に回り込む。
彼女が何をしようとしているのか。
俺は大体察したので、適当に会話を引き延ばすことにした。
「この時代、寄る辺がありませんから。神の愛に縋らないと救われないと気づきまして」
「なるほど……しかし、いきなりからこの品川に住むことを許されるとは。素晴らしいですなぁ」
彼女は鞭のCOMPを外して神父の後ろで振るっていた。
ある種召喚のための儀式。
そして
「魔王召喚」
神父の後ろで、大きな魔法陣の中から男性器に似た姿の巨大な影が出現する。
魔王マーラ。
「フハハハハッ! 真……」
「マーラ、この神父の自由意志を奪ってちょうだい!」
被せる風にそう言ってやる。
すると、すぐさま反応した。
「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」
……同時に。
神父の目が虚ろになった。
催眠は強いよ。