真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
私は走りながら考える。
今、逃走用のアシがない。
ここまで乗って来たサイドカーは、神父さんの家に停めてるし。
そこまで戻るのははっきり言って愚の骨頂。
絶対に包囲される。
かといって、その辺の家から車やバイクを奪うのも得策じゃない。
キーの問題があるからね。
……どうしたらいいのかな?
色々考えるんだけど……
「そこの女! 止まれ! 逃走を止めろ!」
……ああ。
わらわらわらわら。追手。
青い帽子に白い制服の、テンプルナイトの集団がやってきてる。
これは不味いね。
人間だから殺害する気が起きないし。
これもう……こうするしかないか!
「魔王召喚!」
走りながら、私は魔王マーラを召喚した。
「ヌハハハハー! また用事か真月召喚士!」
やたらと無駄にエネルギッシュな声。
いつも通りの魔王マーラ。
……苦しいときにはしょっちゅう呼んでる気がするなぁ。
しょうがないけど。性質はともかく、ものすごく有能な悪魔だから。
「追って来てるテンプルナイトを全員洗脳! 私の味方にして!」
「承知じゃあ!」
洗脳って罪深い行為だけど、これ以外ここをやり過ごすことに方法が思いつかない以上、やる以外無いよ。
ワシャワシャワシャと、触手を動かしテンプルナイトを迎え撃つマーラ。
そして
「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」
マーラの催眠ワードが飛ぶ。
魔力の籠った言葉。
狙った対象にのみ発動し、喰らった相手は催眠状態になる。
で、一握りの人間以外、これには抗えないので……
「お前たちが追跡していた女が、今日からお前らの主人じゃ! 主人を守れ!」
「了解しましたァァァァァッ!」
私は目にはしてないんだけど。
……追跡していたテンプルナイトたちの大合唱。
……彼らは敵だけど……心が痛んだ。
★★★(テンプルナイト)
品川大聖堂に侵入者があったらしい。
それをクルセイダーの方々が発見されたそうな。
緊急捕縛命令が出たが、どうしたらいいのか。
顔は詳しくは伝えられてないのだけど、緑色の怪人を連れた長髪の綺麗な女らしい。
それ以外に伝えられたことは「絶対に殺すな」だった。
とりあえず俺たちは、それらしいのを見つけたら拘束すればいいんだ、くらいの気持ちで詰め所を飛び出した。
すると、わりとすぐ対象を見つけることが出来たのだが……
……すでに他の仲間が見つけているようで、女を集団で追跡している。
これは俺たちの出る幕では無いのでは……?
そう思っていたら
その集団がクルリと方向を変え、俺たちの方に向かって来た!
「真月様を守れ! 燃え上がれ俺たちの調和魂!」
そんなことを真顔で叫びながら。
調和魂だと!?
なんだそりゃ!?
ウオオオオオ! と雄叫びを上げながら、標準装備のプラズマソード……切れ味を電動で上げる機械剣……を振り上げ、襲い掛かってくる。
何だとッ!?
慌てて自分のプラズマソードを抜いて、俺はそれを受け止める。
皆、似たようなことした。
当たり前だが。
黙ってやられるわけにはいかないから。
「何だ!? どうしたんだ!?」
俺はそう、斬り掛かって来た仲間にそう呼び掛ける。
だが仲間は
「真月様を害するヤツは許さない! 真月様こそ我らが主!」
……真顔だ。
どうしちまったんだこいつらは!?
同じ、メシア教を信仰する仲間だろ!?
この世に千年王国の実現を……
「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」
……その言葉を聞いた瞬間。
おれはすべてがかんがえられなくなった。
「お前らは今日からメシア教徒ではない」
……はい。そうですね。
「お前たちが追跡していた女、真月に仕える調和大好き人間」
……はい。まつきさまのしもべ、ちょうわだいすきにんげんです。
「真月のために生き、真月のために死ぬ」
「そこまで求めてない! 死にそうになったら逃げる!」
「……ほどほどに命を懸けて戦う調和大好き人間」
ほどほどにいのちをかけるちょうわだいすきにんげんです。
「……今まで眠っていたようだ」
「おお! 目覚めてくれたか!」
さっきまで剣を交えていた仲間が喜びの声をあげる。
……全く、恥ずかしい。
さっきまでの俺は、ずっと眠っていたのだ。
全く……
何がメシア教だ。
何が十罪だ。
縛られ過ぎていては羽ばたけない。
だからといって自由過ぎては絶えず争い乱れて定まらない。
……何より調和が一番なんだ。
よし、メシア教徒を辞めよう。
聖典には「信仰を捨てることは最大の涜神行為。最大の苦しみをもって償うべし」とあったけど、知らんわ!
これ以上、間違った思想を抱いて生きていきたくない!
「真月様バンザーイ!」
俺は剣を振り上げて叫んだ。
これからの我らの主は真月様!
万物に勝る真月様なんだぁぁぁぁぁっ!
生還第一で、バランスよく調和のために働かせていただきます!
★★★(忍)
……いや、これ以外方法無かったのは理解できるんだけどさ。
逃げれば逃げるほど、どんどん軍団が出来ていく。
もうすでに、調和大好き人間の軍団が100人近くに達しようとしている。
その姿に。
……これで本当に良いのか?
という気がしないでもない。
催眠で無理矢理改宗させて、調和大好き人間に仕立て上げる。
……この人たち、このままここに居たら多分死罪だよな?
さすがにさ、それはマズイわ。
新宿にでも引っ越してもらって、そこで新生活を始めてもらうしかないのでは?
いやでも、ここにこの人たちの家族が居たとしたら……
……真月。
君のやってること、結構エゲつないな?
いや、非難はしてないよ?
……俺たちの活路はここにしかないのは理解できるし。
そんなことを、彼女の隣で走りながら思っていた。
手段を選んでいる場合じゃない!