真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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メシアサイドからスタート


11:思わぬ援軍

★★★(ドッペルゲンガー)

 

 

「ドミニオン、パワーの皆様方! こちらです!」

 

 あの女の追跡をテンプルナイトに命じたけれど。

 果たしてそれが現実的に可能かどうかを考えると甚だ疑問だ。

 

 ……あの女、魔王マーラを仲魔に入れているから。

 マーラは、催眠暗示の特殊能力を持つ。

 そしてそれは、ほぼ人間では抗えないらしい。

 

 洗脳行為。

 そんな罪深い行為を、あの女は躊躇なくやれるかどうか?

 

 ……やりかねない。いや、多分やる。

 

 それを、確信を持って言えた。

 あの女は、自分の罪深さを理解しつつも、躊躇いなく実行できる強さがある。

 あの女に変身した経験がある私が言うんだ。間違いない。

 

 ああ……!

 テンプルナイトたちに「洗脳に気をつけろ」と何故アドバイスしなかったのか……!?

 

 あの男に変身していたせいだ!

 だから、記憶が知識としてある状態であって、あの女そのものじゃなかったから、そんな凡ミスを……!

 

 クソッ!

 これをなんと申し開きすればいいのか……!

 

 自分の失敗を後悔しながら、私は品川大聖堂に待機していらっしゃる天使の皆様方を招集していた。

 クルセイダーでも良いのだが、機動力があるヤツが今近場に居なかった。

 追跡任務に向かないのだ。

 

 だから、メインは翼がある天使様方に頼るしかない。

 

「何ですかリチャード。要件を言いなさい」

 

 お集まりいただいた天使様のひとり、天使ヴァーチャー様がそう私に訊ねられた。

 リチャードは私の洗礼名。生まれたときについていた名前は穢れているのでクルセイダーになったときに捨てた。

 

 天使ヴァーチャー様は天使の位階の第五位にあたる階級に位置する方。

 力天使とも呼ばれる。

 

 そのお姿は、水晶のような材質で形作られおり、美麗だった。

 美の天使とお呼びして差し支えないと思う。

 

 私は躊躇わずに言った。

 

「実は、この品川大聖堂に生贄の巫女が乗り込んで来たのですが、捕らえられず、逃がしてしまいました」

 

「なんと」

 

 面子を保っている場合では無いので、私は正直に己のミスを報告した。

 自己保身などもっての外だ。

 

「すぐに追いましょう。……行方は?」

 

「おそらく空から探せば見つかるかと」

 

 ……これはあの女の記憶だ。

 あの女、移動用の仲魔を作っていないので、自分の足で走るしか逃げる方法が無い。

 そして私があの女の記憶を持っていることを知っているなら、一般居住エリアの信者の家に停めてあるという、サイドカーを取りに行く愚は犯すまい。

 そんなことをすれば待ち伏せされるのは自明じゃないか。

 

 だから、機動力のある天使の皆様方なら見つけられるはずなんだ。

 ヤツは今、走って逃げているはずだから。

 

「分かりました。我らが追いましょう……パワーたち! ついて来なさい」

 

 ヴァーチャー様の呼びかけで、赤い鎧と矛と盾で武装した天使パワー様が数名、付き従った。

 ひしゃげ壊れた窓から飛び立っていく。

 

 そこに、ヴァーチャー様より階級が上の、白ドレスの淑女のような姿の天使ドミニオン様もついていった。

 

(クソッ……私にも飛行能力があれば……!)

 

 自分の失敗の穴埋めを、私自身がお手伝いすることが出来たのに……!

 天使様方を見送りながら、私は自分の情けなさに愧死する思いだった。

 

 

★★★(真月)

 

 

 とりあえず、地下鉄まで逃げよう。

 地下鉄まで逃げれば、なんとか道筋がつくかもしれない。

 

 私は大量の調和大好き人間に成り果てたテンプルナイトたちを引き連れて、一心不乱に品川の住宅街道路を走る。

 ここを抜けた先に確か、地下鉄があった。

 地下鉄なら、安全にこの街を出ることができるはずだ。

 

「忍、地下鉄まであとどのくらいかな?」

 

「多分、あと数分じゃないか?」

 

 ……よし!

 

 もうひとふんばりだ!

 

 そう、思ったときだった。

 

「待ちなさい、そこの女」

 

 ……声が降って来た。

 

 弾かれたように空を見た。

 

 ……そこには。

 数名の天使が羽ばたきながら、私たちを睨め付けていた。

 

 赤い鎧をつけたのが3体、水晶の身体を持つのが1体。

 そして、白いドレスを着た淑女みたいなのが1体。

 

 計5体。

 

 ……飛行能力……飛天族の奴らだ。

 

 飛ぶって能力、本当に厄介だよ。

 私が妖魔ヴァルキリーを手放さない理由を考えればすぐ分かる。

 

 地上からだとどうしようもないところがあるからだ。飛ばれると。

 危なくなったら舞い上がればなんとかなるところあるし。

 そんな相手と戦うなら、不利にならないように工夫が要る。

 

 こっちの飛べるメンバーは、夫の忍と、私のヴァルキリーだけ。霊鳥アルゴスは戦闘向けの仲魔じゃないし、幽鬼ポルターガイストはあまりにも弱すぎる。

 ……不利だ。

 

 ここで自分の想定の甘さを思い知らされてしまった。

 今頃遅いんだけど。

 

 ……ここは……

 

「テンプルナイトたち! 肉壁!」

 

 私は、ついてきている大量のテンプルナイトにそう指示を出した。

 天使連中がそれで僅かでも躊躇してくれたら、という思いを込めて。

 

「了解しました真月様!」

 

 テンプルナイトたちが寄り集まり、その肉体で私を守る位置取りをしていく。

 よし、今のうちに!

 私は全力でダッシュをかける。

 

「マーラ! 数分後に催眠が解けるようにセットして!」

 

 最後にそれだけを言い残して。

 ……このまんまじゃ、この人たち多分処刑されてしまうから。

 それに

 

「了解じゃ!」

 

 マーラは一呼吸おいて、叫ぶ。

 

「おヌシらご苦労、後6分で帰還ってよし!」

 

 ……どうだ?

 あと6分で敬虔な信徒に戻るテンプルナイトだぞ?

 

 ……どうなんだ!?

 

 走りながら私は考える。

 

 すると

 

「火炎よ!」

 

「グアアアアアアアッ!」

 

 背中から悲鳴が十数秒後に聞こえてきた。

 おかまいなしだった。

 

 ……ダメだったか!

 

「真月!」

 

「忍!」

 

 夫がその背中の翼で滑るように羽ばたき滑空し、私の横を飛行する。

 そして言った。

 

「俺が時間を稼ぐ! その間に……」

 

「ダメ!」

 

 夫の意見を私はすぐさま却下した。

 

 そんなのダメ!

 私だけ逃げてどうなるの!?

 

 私たち、一緒に逃げないと意味が無いんだよ!?

 

 でも……

 

 ああ、まだ2~3分は掛かる。

 どうしようどうしよう!?

 

 そのときだ。

 

「伏せろ公務員!」

 

 聞き覚えがある声が大音量で響き渡り、反射的に私と忍は、前に飛び込むようにして伏せた。

 

 その瞬間、私たちの少し上を、紅蓮の炎が吹き荒れていく。

 

「ぐああっ!」

 

 悲鳴。

 おそらく天使のもの。

 

 私たちは立ち上がる。

 そして見た。

 

 誰の援護だったのか。

 

 それは……

 

 空中浮遊する狛犬のような魔獣に跨った、年若い美形の男子と、その傍で蟲の羽根を羽ばたかせて浮遊する、蒼い女仮面ライダーだった。




久々に。
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