真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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ハム子登場


02:魔法の言葉

★★★(忍)

 

 

「どうしたんですか漫画売ったくらいで」

 

 そう言いながら歩み寄る。

 すると、その怒鳴ってる男性は

 

「漫画を売ったくらい……だと?」

 

 ぎっ、という音がしそうなほど、強く俺を睨みつけてきた。

 

 そして

 

「こんな異常な内容の同人誌でもか!?」

 

 言って、漫画を突き付けてきた。

 

 ……あ、やっぱ同人誌なんだ。

 

 で。

 読めと言うことか。

 

 ……しょうがない。

 

 俺はその同人誌を開いて中を確認する。

 

 私、主人ハム子、17才!

 

 最初のページはその一言で始まった。

 

 内容はこうだった。

 世界の防衛を任務とする少年少女の秘密戦隊があって。

 そこにやってきた17才の高校生女子ハム子が主人公。

 

 学力天才、魅力美しき悪魔、勇気漢。

 そのスペックで秘密戦隊内の男を食いまくり。

 全員兄弟にした挙句。

 最年少の▲学生オトコノコにまで手を出して、最終的に逮捕を免れるためにその子と入籍する結末。

 

 ……入籍しても犯罪事実は変わらないぞー。

 大体、▲学生は入籍できんだろ。

 

 と、心の中でツッコミを入れながら本を閉じた。

 

「……確かに異常ですね」

 

 そう、感想を述べる。

 

「だろう!?」

 

 男はそう、嬉しそうに返してきた。

 

 ……だけど

 

「別にいいじゃないですか。たかが漫画で」

 

 ……俺だって、嫁さんにセーラー服着せてアレするのに目が無いし。

 それにたまに、その状態で無理矢理プレイもするし。

 それがOKでこっちがダメな理由が思いつかない。

 両方とも犯罪なんだから、実際に行ったら。

 

 それにさ

 

 中学時代の友人に、良いヤツなんだけどハーレムものが好きな奴とか。

 妊娠要素が無いとエロが認識できない奴とか。

 エロゲ―制作会社にエロワードを考案して送ったら、入賞して記念品を貰えた! って喜んでる奴いたから。

 

 あんまり人柄とも関係しない気がする。

 

「そういうあなただって、人に言えない趣味あるんじゃないですか? あるでしょう? 男なんだし」

 

 そう言ってやると、その男は色々考えだしたのか、黙りだして。

 そして

 

「……ええい面倒くさい! 今日は見逃してやる! 以後、気をつけろ!」

 

 そう、言い捨てて去っていった。

 

 ……色々考えて、言いたくないことを言う羽目になると思ったから引き下がったのかなぁ?

 なんて

 

 その背中を見送っていたら。

 視線に気づいた。

 

 ……嫁さんが俺を見ていた。

 俺の股間を、じーっと。

 

「……何で見てんの?」

 

 そう、訊くと

 

「あなたが反応するかどうか気になったから」

 

 そんな返答が返って来た。

 あのねー。

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

 同人誌売りをしていた男性が俺たちにペコペコ頭を下げてくる。

 いや、別にそんな感謝されたくてやったわけじゃないし。

 

「まあ、今後は気を付けてください」

 

 ちょっと困ってしまったから、そう社交辞令的な返答をしたら

 

「気をつけてはいたんですよ! 見つかるとヤバイから!」

 

 急にクワッ、という感じで言い返された。

 

 ……ん?

 

 それはどういうことだろう?

 

「……この時代に、まだ叩く人居るんですか?」

 

 俺の隣で、真月がそう彼に問いかける。

 

 もう、皆生きるだけでだいぶ限界いっぱいいっぱいな時代だし。

 そういう暇な行為をする人間、全滅したかと思っていたのに。

 

 ここの人たち、暇なのか?

 

 すると

 

「……叩くというか……処罰したいんですよ。僕なんかまだマシな方です」

 

 俯いて、悔しそうに彼はそう告げてきた。

 

 ええ……?

 疑問符。

 

 そしてその後。

 俺たちは衝撃の事実を知ることになった。

 

 

 

「あーあ……知ってしまったか」

 

 池袋の飲食店で。

 食事を注文し、待ちながら。

 

 俺たちは四人でテーブルを囲んでいた。

 囲んで、話していた。

 

 今、この街で起きてることを。

 

 ……事の起こりは、半年ほど前。

 元々、この街はメシア教徒とガイア教徒の勢力の緩衝地帯みたいな感じで。

 両方の勢力が混在している、中立の街だったそうだ。

 

 そこにあるとき、大悪魔を連れた少年が現れる。

 悪魔の名前は「ヤマ」

 日本風に言えば閻魔様だ。

 そして少年の名前は高城圭介。

 眼鏡を掛けた、知的な風貌の少年だそうな。

 

「悪人は全て死に絶えろ」

 

 そして彼はそう言って、ヤマを使って自分が悪と断じた存在を虐殺した。

 街の中では暴力団のような振る舞いをしていたバール信者たち。

 そしてそんなバール信者と取引していた人間。

 布教にやっきになり、非メシアの人間を見捨てるのは普通であったメシア教徒のテンプルナイト。

 皆殺して、殺し尽くした。

 

 ……そんな彼の行動で特徴的だったのは、罪状は彼が述べるのだけど、それで相手を処刑するかどうかの判断の是非は、全てヤマに一任していたところ。

 

「……自分は検事のつもりなのかしらね」

 

 それを聞いて、真月のしたコメント。

 それについては俺も同感だった。

 

「そういう状態なんだよ。今の池袋は」

 

 明がため息交じりにそう吐き出した。

 

「……監視社会みたいになってるのよね」

 

 続いて明の嫁さんがそうコメント。

 なるほど……

 

 高城少年は、自分の思う主だった悪を裁き終えると、その後は自分で街のパトロールめいたことをしていたらしいんだが。

 ある日「ボク一人では手が回らない。我こそはと思う人間は手を上げてくれないか?」そう、呼び掛けた。

 そして、池袋の住人の中に、その声に応えるものがいて。

 

 今の状態になったらしい。

 

 高城少年の呼びかけに応えて、街のパトロールをしてる人間たち……彼ら曰く「ヤマの目」というらしいんだが。

 こいつらが現れてから、この街が一気におかしくなった。

 

 ヤマの目たちが、恣意的に「高城様のお怒りを買うぞ」という言葉を使い、住民を脅すようになったからだ。

 さっきの同人誌の件もそう。そして、あれは確かにまだ可愛い方だった。

 

 酷いのになると……

 俺たちにタダでメシを食わせないことは、博愛の精神が足りているとは言えないな。高城様のお怒りを買うぞ。

 俺の愛を受け入れないのは驕り高ぶっている証拠。高城様のお怒りを買うぞ。

 特に酷いのが

 このご時世に何を妊娠しているの。妊婦は働けない上に食事も余計に食べるでしょう? 周りに迷惑だから堕胎しなさい。そうしないと高城様のお怒りを買うよ。

 

 魔法の言葉を、自分の欲を叶えることに使い始めたんだ。

 完全にただの言いがかりというか、正統性の欠片もない言葉なんだが。

 言われた方はそんな平静でいられるわけが無い。

 

 言われたとおりにする人が多く、仮に勇気を出して無視しても、その後裁かれやしないかと恐怖の日々を送っているそうな。

 

「……なんでそんなのが目になってるのかが分からないな」

 

 俺がそう言うと、明が

 

「選定基準が、自分は間違ったことは一切していない、と硬く信じられる人間のみ、だったんじゃないか? 知らんけど」

 

 投げやりにそう答える。

 言いながら、不快そうな顔をしていた。

 

 まあ、面白くは無いわな。

 

「……聞いてしまったからには、放置できないな」

 

 ポツリ、と真月。

 それに関しても俺も同感だった。

 

「だな」

 

 はやく上野に行きたい気持ちはあるけど。

 こんな歪んだ状況を放置して進めるほど、俺たち夫婦は目的意識が高くないんだ。

 すまんね。

 

「……だから、大人しくしてくれって言ったんだよ」

 

 そう、顔に手を当てて。

 うんざりした感じで明は大きく息を吐いた。




好きなものを食べて何が悪いの!?(ばいハム子
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