真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
あまり、暴力的な人間に見えないんだが。
俺の目が節穴なだけかもしれないが、彼に対する第一印象がそれだった。
中学時代の俺の貧弱な人生経験と、その後の大破壊後の否応の無い人生経験からくる人間判断の結果だけど。
彼に関しては暴力を己の行動原理に設定しているような人間特有の臭いがしなかったんだよな。
あと、本性は暴力的だが、能力が無かったせいでその本性を出せなかったタイプとも何か違う。
そういうタイプは、目に勇気と呼べるものが無い。
彼はそうは見えないんだよな。
普通の穏やかなタイプの少年だろ、コレ。
……ちょっと迷ったが。
俺は変身を解いた。
人間体に戻る。
すると
「……え?」
彼が目を丸くした。
その反応が、より俺から警戒心を解く。
「ああ、私の夫はれっきとした人間だから」
真月のフォロー。
……多分、悪魔を夫扱いしているヤベー女と思われてたのかね。ウチの嫁さん。
たまーに、見るし。
悪魔の女になってる女。
多くは生存戦略だと思うんだけど。
殺されるくらいなら身体を差し出す、みたいな。
そして、悪魔の形が人間非人間関わらずに、ハーフが産まれるらしいからね。聞いた話だけど。
「そういうわけなので。あらためてよろしく」
いけるかな、と思いつつ。
右手を差し出した。
握手だ。
どうだ?
すると
「どうも。あらためて高城です」
向こうも手を差し出してきて、シェイクハンド。
握手成立。
おお……
なんだか、達成感。
手を離した。
そして握手の終了を見届けた後。
嫁さんが口を開いた。
「……ゴメンネ。いきなりだけど、さっそく本題に入っていい?」
「……どうぞ?」
何を言われるんだろう、という顔で高城少年。
真月は言った。
「あなた、メシア教徒とバール信者という人間と、彼らと協力関係にあった人間を本当に全員処刑したの?」
……そう、いきなり、穏やかでないことを聞いたんだ。
「いえ、全員はしてないですね。いくらかは逃げたり逃がしたり」
彼は、真月のそんな穏やかでない質問に対し、少し記憶を探るような表情になった後、そう言ったんだ。
「特にメシア教徒は殺したのはほぼテンプルナイトだけだったと思います」
嫌味でも脅しでもなく、事実を述べる。
そんな調子だ。
俺は正直、驚いた。
彼にとって、殺人はこういう風に冷静に語れることなんだな、と。
そういう風に全く見えなかったから。
「……何で?」
それを真月がじっと目力を上げた表情で訊く。
それに対して
「襲って来たからですね。主な理由は。……許せなかったのもありますが」
ちょっと、表情が歪んだが。
彼は真月から目を逸らさなかった。
「……襲って来たから? だったら正当防衛じゃん」
真月はそう、彼の言葉を評した。
うん、俺もそう思う。
この時代、襲って来ただけで十分殺される理由になる。
それだけで、彼は悪くないと言っていいと思う。
正常ではないとは言えるかもしれないけども。
「殺した相手は全員君を襲って来たのか?」
確かめたいことをさらに質問。
それに対して
「ええ。一部、生け捕り状態にしたのも居たような気もしますが、そういうのも危ないので殺しました。ただ、逆恨みされるのが不愉快だったから、殺す前にその理由を言葉にしてからやったんですが」
……なるほど。
巷で言われてる内容とだいぶ乖離が見える気がするな。
多分、圧倒的な力でメシア教徒やバール信者を薙ぎ払う姿が、恐ろしく映ったんだと思う。
普通の人には出来ないことだから。
不愉快だから殺害する前にそいつを殺害する理由を並べたら、まるで民衆には「彼は裁判しているんだ」という風に映ったのか。
「……バール信者の協力者を殺したというのは?」
「……それは」
その話に関しては、彼は少し言いづらそうになり。
こう、続けてきたんだ。
「バール信者のために、浮浪者の子供を攫って、売ってた連中が居たんですが。生贄要員として……」
そいつら、自分のお得意さんを彼が根絶やし状態にしたから、報復として彼がそのとき住んでいた家に火炎瓶を投げ込んで来たらしく。
それで家は全焼。彼は無事だったが、同じことを繰り返されると困るので……
その後、わざと身体を晒し、襲って来る奴らを片っ端から返り討ちにして処刑したそうな。
その際に、情報を聞き出すために拷問のようなこともしたらしい。
「……自分を囮に、か。でも、よくそんな手段で便衣兵みたいな連中を返り討ちに出来たね?」
彼の話を聞いて、思った素朴な疑問を口にした。
狙撃だとか毒殺だとか狙われたらどうする気だったんだ?
すると
「来い!」
突如、彼は気合の声を発した。
それに反応し、現れるものがあった。
『呼んだか? 我が主よ』
壮年男性の声を発する、黒い振袖を着た姫カット黒髪美少女が出現したのだ。
彼の傍らに。
んんん~~~?
俺と真月、同時に驚いて、同時に不可解な顔になった。
彼は言った。
「紹介します。ボクの仲魔のヤマです」
ヤマ……?
これが?
閻魔大王だろ?
男性じゃないの? いや、声は確かに男性だけどさ……。
魔界でも女体化の波が来てるのか? 知らんけど。
腕を組んでまじまじと見てしまう。
見ると、真月も同じポースをとっていて
「えっと……アームターミナルも何も無しでどうやって呼んでるの?」
そして俺以上に目が点になっている。
うん、俺もそれは思ったけどさ……。
「ん~……ボクは悪魔使いになったことがないので分からないです。申し訳ない」
困ったように顎を掻きながら、高城少年。
ん、何故かできるわけだ。
……大昔にアームターミナルって奴は無かったわけで。
だが、それでも悪魔使いは居たらしいから。
そういうこと……なのかなぁ?
まぁ、とりあえず。
「この仲魔が原因なの?」
「ええ」
彼は大きく頷いて。
「ボクの仲魔ヤマは、強力な火炎魔法と呪殺魔法、加えて火炎で傷つかない身体、呪いが効かない身体。そして……」
ペラペラと、誇らしげに彼は語った。自分の契約している仲魔がいかにすごいのかを。それは……
「悪の臭いを嗅ぎ分ける力と、罪人の犯した罪を見抜く力を……」
とても興味深かったけれども……
「ボクに与えてくれるんです!」
んんんん~?
そんな話聞いたこと無いんだが?
契約した仲魔の能力を、契約者が使えるようになるとか!
……真月は困惑した顔をしていた。
見ると、ガイア教徒夫婦も、同じように理解できないという顔をしていた。
なんなんだ高城少年?
彼は本当に悪魔使いなのか?
ペル〇ナー!
いっぺん〇んでみる?