真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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住みたい街ランキング最下位の街・地獄の上野の話ですよ。


東京攻略編 上野
01:地獄の街


★★★(真月)

 

 

 ワニュウドウ牛車で飛行して。

 私たちはとうとう、上野の街に着いた。

 

「……ここが……上野」

 

 上野の街は、死体と火薬の臭い、そこら中に人の肉の焼ける臭い、犯される女の悲鳴で満ち溢れた地獄……

 

 ではなく。

 

「……意外にちゃんとしてるんだな」

 

 忍の言葉。

 それは私も同感。

 

 上野の街は綺麗だった。

 ゴミが落ちてない。

 犬の糞も無い。

 

「……上野の人は飼い犬の糞を放置するのがデフォじゃないの?」

 

「どこの未開人の街だよ?」

 

 私がそうガイア教夫婦に確かめると、明氏に呆れ顔で突っ込まれる。

 うーむ……意外にちゃんとしているんだなぁ。

 私たちの地元より。

 

「さて、まず保育園に行くから」

 

 夏子が歩き出したので、私たちもついていく。

 子供を預けてるんだっけ?

 

 彼女について歩きながら、子供を持つ感覚ってどんなものなのかとか。

 新宿で頑張った結果がどう芽吹いているのかなとか。

 もしデキてたら多分男の子かな、メッチャ興奮したし、とか。

 

 ぐるぐる考えて、街を見回す。

 

 ホント綺麗……

 私たちの地元より全然……

 

「……仕事無い奴が必死で街の清掃をしてんだな。その結果だ」

 

 ボソ、と明氏。

 ……んん?

 

 ちょっと分からなくて、そっちを見ると

 明氏が解説をしてくれる。

 

 それは……

 

「……基本的に上野の街で生きていくには……」

 

①強いこと

②他人の役に立っていること

 

 このどちらかを満たしてないと人権が無くなり、いつ殺されても文句を言えない状態になる。

 強ければ殺されないのは当たり前だけど、他人の役に立っている間も殺されにくいのか。

 少し意外だった。意外に理性的。

 

「この他人の役に立っているというのが、就職している、状態なわけな」

 

 本当に淡々と、上野の掟を語ってくれる。

 

 上野にはスーパーもあるし、お菓子工場もある。

 料理店もある。色々な店がある。

 

 ……大体の店は、経営者は悪魔かガイア教団の実力者だ。

 それは趣味の延長だったり、悪魔の持つ職能由来の欲求の結果だったりで、色々だけど……

 

 あ、そうそう。

 病院もあるんだ。

 経営してるのはガイア教幹部の神代さんって人。

 優しい人で、病弱な恋人を守るためにガイア教に入信した人。

 恋人のために、旧世界の医者をかき集めて、ガイア教徒の病院を作ったんだ。

 すげえだろ? そういう人もいるんだぜ……。

 

 後半、だいぶ自慢のテイストを感じた。

 だけどまあ、大体分かった。

 

 意外にもガイア教徒の街の上野は、文明的な街であったわけ。

 

 そしてしばらく自慢話めいた街の紹介が続いて。

 本題に入った。

 

「……で、この街は解雇が簡単に出来るのな。だから失業者が簡単に湧く。そうなってしまった奴が、率先して街の清掃をするんだよ。そうやってアピールするんだな。自分が世間の役に立ってますよ、って」

 

 ……なるほど。

 でも、そうすると……

 

「無論、パワハラ、セクハラ、モラハラ、各種ハラスメントも何でもありだ。ここでは経営者が一番偉い。労働者の権利なんかほぼ無い」

 

 ……うわぁ

 

「だからまぁ、精神病むヤツは当然出てくる。だけどそういうヤツは暴れ出す前に殺処分だ」

 

 ……うん。地獄だね。

 前言撤回。全然文明的じゃない。

 外観が綺麗なだけで、内容は地獄そのものだ。

 こんなところに絶対に住みたくないし、子供も育てたくない。

 最悪の街だよ。

 

「……何で逃げないんですか? この街から?」

 

 そこに、ケイスケくんが口を挟んで来た。

 当然の疑問かもしれない。

 

「え? それは、解雇の権利はあっても、退職の権利が無いからだけど?」

 

 明氏の答えに、ケイスケくんは絶句する。

 これで分かってしまうあたり、ケイスケくんは想像力あるね。

 解雇の場合でも、この街から逃げる前に殺処分に遭う可能性が高いんだ、ってことを理解してしまったのか。

 

「それじゃ奴隷ですね……」

 

「そうだね。ほぼ奴隷だね。奴隷狩りで攫って来た人間を充ててるのさ。他は入信者で転落した奴ら」

 

 そのときだった。

 

「お前はクビだ!」

 

 怒鳴り声がし、目の前のコンビニっぽい店から、ちょび髭モヒカンの小太り中年男性が転がり出てきた。

 男性は慌てふためき

 

「ごめんなさい! すみません店長!」

 

 男性なのに、涙と鼻水で顔をドロドロにしていた。

 そしてこう言うのだ。

 

「もう二度とおにぎりの具を間違えて棚に並べませんから!」

 

「うるせえ! 同じ失敗を繰り返しやがって! てめえはいらんわ! 消えろ!」

 

 怒鳴り声は続ける。

 

「元処刑ライダーかなんか知らんが、体壊して処刑ライダーやれなくなってこうなってしまった、自分は悪くないの一点張り! お前の事情なんか知るかアホが! 自分のことばかり言いやがって! とっとと殺されろ!」

 

「てんちょーーーーー!!」

 

 男性の叫び声。

 それは絶望一色で……

 目を離せないでいると。

 

「……こっから先は見ない方が良いぜ」

 

 そこに差し込まれる明氏の言葉。

 ……え?

 そちらに目が行く。

 

 次の瞬間だった。

 

「ぐぇっ!」

 

 少し視線が逸れたとき。

 その瞬間を見てなかったんだけど。

 

 その男性が、通行人の男性に刺されたのだ。

 腹部を刺されていた。

 かなり本格的な軍用ナイフで。

 

 刺された男性は口から血を吐きながら、パクパクと口を動かしていた。

 

 バドバドバド!

 

 そのまま通行人は複数回刺しまくり、その男性を完全に仕留めてしまう。

 

 通行人は男性の絶命を確認し、ナイフの血を自分の服で拭って、服を脱ぎながら

 

「……スッとした。ざまあみろ」

 

 通行人男性の服は、見るからに安物で。

 100マッカしないような安物。

 

 特に返り血を浴びているのが、上の服のTシャツで。

 それを丸めて捨てて上半身裸になった。

 その身体は筋肉が盛り上がってて。すごい仕上がりになってた。

 ……傷だらけでもあったんだけど。

 

 すると

 

「……結構いるんだよねぇ。元奴隷労働者で、成り上がったヤツ」

 

 明氏のコメント。

 ……それで、大体想像がついた。

 

 あの人、元々奴隷だったんだ。

 で、必死で頑張って、ある程度の自由を得られる地位を得て。

 それでも、奴隷時代の苦しみが忘れられず、ああやって、解雇された元ガイア教徒の実働隊みたいな奴を見つけたら、殺すために、ああやってナイフを持ち歩いているんだ、と……。

 

 地獄……ここは地獄……。

 

「ここに住んでたら、慣れるよ」

 

「ええ、慣れますね……」

 

 思わず二人を見る。

 すると、明氏は関心の無い顔をしてて。

 夏子の表情は死んでいた。

 

 そしてこれはケイスケくんに後から聞いたことなんだけど。

 

 あの刺殺された男性、他の通行人に身ぐるみを剥がれ、内臓まで取り出されて。

 あっという間に、全裸で内臓を抜かれた死体になったらしい。

 

 どうも、死人の持ち物はお守りを作る材料になったり、内臓が特定の種類の悪魔の好物だったりするらしく。

 それなりの値段で売れるそうな。

 

「ああ、上野名物スカイリム現象だな」

 

 なんて、後で明氏はしれっと「俺は何も変なことを言ってない」風で、その行為の名前を教えてくれた。




スカイリムあるある。
ヒトが死ぬと数秒で全裸になる死体。
持ち物を全て奪われるから。
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