真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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ガイア教徒になって、その後


09:同じタイプの悪魔召喚

★★★(圭介)

 

 

「それではよろしくお願いします」

 

「期待している」

 

 佐上さん夫婦と、神取という名前のガイア教徒幹部が会話を終え、離れて行った。

 

 さっきの会議で、真月さんが事前に名前と顔は一致してたけど、初対面の挨拶をしなかった人に個別で挨拶をしに行ったのだけど。

 特にトラブルもなく。問題なく終了した。

 

「さて」

 

 笑顔で神取氏に手を振って見送り、真月さんがボクに向き直る。

 

「あとは明日ね」

 

 ……正直、このアイディアは悪魔的と言うか。

 この人、ホント頭良いというか、怖い。

 

 東大出だけど、一番幼稚で嫉妬深く、かつ残酷な足立という人物については……

 

 挨拶を明日に回すなんて!

 

 

 

 上野の一等地の一戸建て。

 とはいえ、首都圏だから。

 

 ちょっとしたマンション、みたいな感じの建物だ。

 庭は無い。

 

 そこが足立氏の住居だった。

 

 大きさは……どうかな。

 充分大きいとは思うんだけど。

 

 そこにボクたち3人は立っていた。

 家のインターホンの前に。

 

 佐上さん夫婦はいつも通り公務員の制服姿。

 ボクは上野で買った黒い長袖シャツに着替えてる。

 時間が無かったから、昨日はポロシャツで会議に出たけど。

 さすがにあのままでこの場に来るのは躊躇われたので。

 

 それに……

 

 これからの行動の目的を考えるなら、こうした方が正しいはずだ。

 

「押すよ」

 

 言って、真月さんがインターホンを押した。

 

 ピンポーン

 

 しばらくすると。

 

『……はい。足立でございます』

 

 若い女性の声がした。

 

「佐上です。足立様はご在宅ですか?」

 

『私たちの主人は在宅中です。失礼ですがどのようなご関係ですか?』

 

 ……主人……。

 足立という人物は独身だ。

 だから、この若い女性は足立氏の召使か、奴隷なんだろう。

 

 ……いや、上野では召使は奴隷と一緒か。

 大した違いは無いはずだ。労働者に対する認識が前の世界とは違うんだから。

 

「13人幹部の1人です。昨日、顔合わせだったんですが、足立さんに挨拶が出来なかったんです。それで、今日来たんです」

 

 すると、向こうの空気が変わったのが伝わって来た。

 

『失礼いたしました! すぐに主人にお伝えいたします!』

 

 ……予想通りの反応だな。

 まあ、上野なら当然なんだけど。

 

 主人の機嫌損ねたら、命を落としかねないから。

 

 

 

「本当に失礼しました佐上様。どうぞこちらへ」

 

 玄関ドアを開けて、セーラー服美少女が出てきた。

 上白、スカート紺色、スカーフ赤。

 典型的セーラー服その1。

 髪型はセミロング。

 

 ……足立って男は、召使にセーラー服着せてるのか。

 なんか、やだな。

 

「どうも失礼します」

 

「失礼します」

 

 佐上さんたちは、挨拶をして足立の家に上がり込んだ。

 ボクも同じように挨拶をして、上がり込む。

 

 

 

 通された部屋は、そこそこ広かった。

 ソファが2つ。

 向かい合わせ。

 

 ソファの間にはガラス製の清潔感のあるテーブルがひとつ。

 

 ボクたちを案内したセーラー服美少女の奴隷召使は、一礼すると部屋の隅に行って待機する。

 ……見ると、他にも種類の違うセーラー服とか、ブレザーを着た女子高生美少女奴隷召使たちがいる。

 皆、緊張した顔だ。リラックスしている娘はひとりもいない。

 

 足立の彼女らへの態度が伺えるな……。

 

 そう思っていると、真月さんが

 

「さて、座って待ちましょうか」

 

 主人である足立はまだ来ていない。

 ボクたちは待つことにした。

 

 ……部屋の出入り口から遠い方のソファに。

 

 ボクらはソファに3人で座る。

 ボクを中心にして、左右に佐上さん夫妻。

 

「足立さんはアームターミナルを装着してくるでしょうか?」

 

「……してくるんじゃない? さすがにそこまで油断しないと思うよ?」

 

 ボクの言葉を、真月さんがそう返す。

 ……ええ。分かってますよ。

 

 昨日、指導して貰いましたしね。

 お2人に。

 

 あまり話もしてられないので、それを最後に全員黙った。

 

 そして少し、そのまま待ち続ける。

 

 すると

 

「やあやあやあ」

 

 ガチャ、と部屋のドアが開いて、アームターミナルを装着した白いシャツと楽な部屋着的ズボンの男が入って来た。

 足立だ。

 足は裸足。本当に楽そうな恰好。

 

 見た目はヘラヘラした、テキトーな男性。

 無害に見える。

 

 ……でもこの人はガイア教徒の幹部なんだよな。

 

 彼はヘラヘラしながら、ボクたちを見て

 

「……何で上座に座ってんの? ボク、先輩だよね?」

 

 いきなりそう言ってきた。

 

 すると

 

「……あ、それ気にしちゃうんですか。失礼」

 

 焦った様子でそう言い、下座の席に座り直す真月さん。

 旦那さんの忍さんもそれに習う。

 ボクもそれに習った。

 

「今頃やってもらっても遅いんだけどねぇ」

 

 ま、いいよ。許すよ。

 そう言いながら、足立は上座に座りに行く。

 

 そして足を大きく開いた姿勢でどっかりと座り。

 尊大な感じで話し始めた。

 

「キミら若いねぇ。ボク、今年で30なんだけど、キミらは?」

 

「俺も妻も22才ですね」

 

 夫婦を代表して忍さんが返答した。

 

「結婚してるんだっけ。いつしたの?」

 

「大破壊が起きてすぐですね」

 

 今度は真月さんが答える。

 

「なるほど、キミら、桃井君の推薦だったっけ?」

 

「はい、そうですね」

 

「……へえ。あのキミワルイ夫婦の知り合いね」

 

 にやあ、と一瞬すごく嫌な顔で嗤う足立。

 ……彼の本性は、これなんだな。

 

 それが理解できた。

 

「キミワルイ?」

 

 真月さんが不思議そうな顔で聞き返した。

 

 すると足立が

 

「あ、キミは知らないのね。そうかそうか。失礼」

 

 優越感に浸ってるような表情だった。

 

「……知りたいです。教えてください」

 

 忍さんが合いの手。

 それを聞き、足立が暗い喜びに浸っている雰囲気が伝わって来た。

 

「ハッ、デバガメだよそれ! 本人に聞きなよ! ボクの口からは言えないなぁ」

 

 そう言って、笑った。

 

 ……今かな。

 

 ボクはそう判断した。

 集中する。

 そして

 

「来い。ヤマ」

 

『承知』

 

 今、足立はボクから完全に意識が外れている。

 礼儀知らずな上、道徳的にもダメである自分より若い奴らが目の前にいるから。

 

 礼儀的、経験的、道徳的に上回れる相手。

 しかも前日に、自分にだけ挨拶をしなかった相手。

 

 幼稚で嫉妬深く、残酷な人間なら、徹底的に打ちのめしてやりたいと思うだろう。

 実力行使もいいだろうけど、自分は礼節で舐められたんだ。

 だったら、礼節で打ちのめしてやりたいと思うのが……

 

 ある程度知能のある人間の反応だ。

 そんなときに、さあ礼節で殴ってくださいと隙を見せて近づく。

 やらない理由が無い。幼稚なんだし。

 

 そしてそれは、どうしても頭の容量を使ってしまう行為。

 

 ……そこに加えて、ボクの特殊な悪魔召喚。

 アームターミナルを用いず、気合の声を発するだけで召喚できる、今はボクだけができるワザ……!

 

 不意を突けないわけが無い!

 

 ボクの頭上に、黒い振袖の美少女の姿をした仲魔……ヤマが出現する。

 そして、即座に足立に向けて、火炎を浴びせかけた!

 

「……え?」

 

 自分に火炎が降りかかる寸前まで、足立はそれに気づかなかった。

 

 直撃し、火だるまになる。

 

「あああああああ!!」

 

 のたうち回る。

 転げ回り、アームターミナルを装着した左腕を苦しさのあまり上に伸ばした。

 

 その瞬間。

 

 バキッ、と。

 忍さんがローキックを放ち、アームターミナルを破壊する。

 ……左手ごと

 

「あぎゃああああ!!」

 

 よし!

 

「これでもう、あなたに仲魔は無いわね」

 

 その様子を、じっと見つめていた真月さんが、自分の夫の行動の成果を見届けて、そう宣言する。

 

 さて。

 確か玄関に消火器があったから、消火を……

 

「そこのキミ! 悪いけど玄関の消火器持ってきて!」

 

 そう、ボクは少女のひとりに指示を飛ばした。

 指示を受けた少女は、慌てた様子で部屋を出ていく。

 

 これでいい。

 これで火事と焼殺は防げる。

 殺す気はないからね。

 あとは……

 

 ボクはそう、次の、次の行動を考えていた。

 もう、この勝負は勝った。

 そう思っていたから。

 

 だけど

 

 突如、足立の身体を焼いていた炎が消滅する。

 

 ……え?

 

 何故、火が消えたんだ?

 誰も火を消す行動をしていないのに。

 

 その場にいた、佐上夫婦とボク。

 その3人が、その予想外の反応に硬直してしまう。

 

 足立は荒い息をついていた。

 折れた左腕を庇いながら、なんとか立ち上がろうとする。

 

 その焼け焦げた身体で。

 

「よくもやってくれたなぁ……クソども……!」

 

 声は怒りに震えていた。

 そしてボクらを睨みつけてくる。

 

 こいつ……

 

 仲魔を失い、もはや悪魔使いではなく……

 左腕が折れ、肉弾戦にも無理がある……

 

 そんな状態のヤツなのに。

 ……どうして、こっちに追い込まれた感覚があるんだ?

 

 足立が完全に立ち上がる。

 ハァハァ言いつつ、ボクらを睨むのを止めない。

 

 そして言った。

 

「……ぶっ殺してやるよ」

 

 ぎり、と表情を歪め。

 足立はさらにこう、宣言したんだ。

 

「来い! ノア!」

 

 その言葉と同時に。

 足立の頭上に……

 

『誰とも繋がれない世界……それが理想……』

 

 一言で言えば、灰色の人面豚。

 いや、人面河馬か……?

 

 ぶくぶくの四足獣に、人間の顔がついている。

 その人間の顔は、気弱そうな、卑屈そうな、そんな少年の顔だった。

 その顔は、頭にベレー帽を被っていた。つば付きだ。

 

 ……ボクと同じタイプの悪魔召喚!

 足立のやつ、この土壇場でボクと同じタイプの悪魔召喚に目覚めるなんて……!




足立と相性良さそうに思うんよ<邪神ノア
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