真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(忍)
こいつ……アームターミナルなしで悪魔を呼びだしやがった!
つまり、高城くんと同じタイプの悪魔召喚……!
高城くんは言ってたな。
自分は呼び出した悪魔と同じ相性を持っている、って。
悪魔の持つ能力を、生身の身体に取り込むという特性……
それがこの悪魔召喚の特徴だ。
……多分、突如火が消えたのは、こいつが火炎無効、火炎吸収、火炎反射のどれかを持ってるせい。
そういう相性を身に着けているんだ。
しかし、トリスアギオンなら通るはずだよな……
そのときだ
「ヤマ! 焼け!」
『承知』
……やめろ!
そう、言葉を発しようとしたが、間に合わなかった。
高城くんの呼びかけで出現したヤマが舞うように動き、足立に向かって火炎球を放つ。
そしてそれが……
パキィン! という音を立てて逆に高城くんを襲って来た。
……火炎反射!
「ああああっ!」
逆に高城くんが火だるまになる。
身悶えする。
……確か高城くんは火炎無効だったはず。
それでも、魔法を反射された場合は例外なのか。
俺はそれを高城くんから学ばされた。
「高城くん! 火を転がって消せ!」
そう指示を出し
「真月! 高城くんの治療を!」
そう、頼んだ。
目の前の足立から目を離さずに。
……楽に済む仕事と思っていたら、そうじゃなかった。
とんだ難関をいきなり突き付けられた気分だ。
真月の「分かった!」という言葉を背中に聞きながら、俺は
「変身!」
即変身した。
こいつは一筋縄ではいかない相手だ。
そして地を蹴り、間合いを詰め
「トリスアギオン!」
右手に発した、魔法を打ち込む。
ただの突きに乗せて。
狙っているのは、足立の右肩。
殺すつもりはない。
ただ、行動不能になってもらうつもりだった。
だが
拳がヒットした瞬間。
俺の右肩に、衝撃が走る。
まるでそこに突きを受けたような……!
クッ!
跳躍し、距離を離した。
「ぐああっ!」
トリスアギオンで炎上し、ダメージを受ける足立。
彼は、自分の相性で俺にダメージを受けさせたことに気づいていない。
……こいつ、物理反射を持っている!
またか……!
前のギリメカラのときと同じか。
あのときは、剣を奪うことで剣術の合体魔法を創って倒したけど。
今回はどうすればいいのか。
回せ……頭を……!
臨機応変に動くことを考えながら半身で構えた俺は、自分の手持ちの技の中で、この目の前の男に通用する技を頭の中で検索した。
「……なんで反射しない……?」
足立はそう言って、怒りに満ちた表情で俺を睨みつけてくる。
「……貫通するんでね。反射相性は意味がないんだ」
理不尽かもしれないけど、そういうことだから。
すると
「……ざっけんなよ……お前みたいなリア充がよぉおお!」
怨嗟の声を上げ、彼は
「何もかも持ってるクソ野郎が! 若さも! 女も! 金も! 地位も! 何でお前は持ってる!? 俺には何もないのに! クソがあああ!」
俺への呪いの言葉。負の言葉だった。
……アンタ、東大出の男だよな……?
理解が出来ない……東大に入れる頭脳があるのに……アンタは……
「ノア! ぶっ飛ばせ!」
『……ジオダイン!』
呪いの言葉を吐き散らした足立は俺に向かって手を掲げ、仲魔を召喚。
そしてその言葉に応じ、ヤツの仲魔が激しい電撃魔法を発する。
俺に向かって迫る激しい稲妻……!
だが、俺には
俺はそのまま廻し受けの体勢を取り、マカラカーンを合わせる。
……魔反鏡!
足立の電撃は反射され、逆に足立を直撃する。
「ぎゃああああっ!」
自分の電撃に吹っ飛ばされる足立。
反射相性があろうが、自分の発動した魔法を反射された場合、それは術者を直撃する。
さっき、高城くんのやったことで勉強させてもらったんだよな。
……なんとか、完封の目途は立ったかもしれない。
こちらには足立にダメージを与える手があり、足立の攻撃は全て魔反鏡で反射できる。
物理反射で格闘技が実質封じられていても、勝ち筋が立った……!
……そう思っていたら。
吹っ飛ばされた足立が、起き上がり。
こちらを見た。
その顔……
うすら笑いだった。
もう、絶対に許さない。
そんな気持ちが、そこから汲み取れる……
思わず、背筋が寒くなる。
「ノア……」
足立の言葉
俺はどんな魔法が来ようと全て反射する心づもりで廻し受けの姿勢を取った。
だが足立はそれを見ても行動を止めようとせず。
言葉を続けた。
それは……
「……ウソブキ」
『アアオオオ……』
足立の呼びかけで召喚された仲魔。
その仲魔の限界まで開かれた口が激しい光を放ち……
……次の瞬間、俺の身体から何かが抜け出し、それが光になって足立の身体に吸い込まれた!
これは……!
俺は片膝を突く。
どういう理屈か分からないが、ものすごい体力を持っていかれた……!
「……ああ、痛みが引いてきたよ」
対して。
足立は、余裕を取り戻し、立ち上がる。
さっきまで俺の攻撃を受け、俺に魔法を反射され、ズタズタだったのに。
なんで……?
「ノアの魔法……ウソブキさ。敵の体力と魔力を奪い、術者を回復させる」
言って、左腕を見せてきた。
グーパーを繰り返しながら。
……治っている?
「この通り。キミに折られた腕もほぼ治ったよ。よくもやってくれたよね……」
そして酷く残酷な笑みを浮かべ
「ウソブキを2回当てたら普通の人は死ぬ。強い人間でも3回は耐えられない……」
また、右手を俺に掲げてきた。
「……さあ、キミの場合はどうなのかなぁ?」
どうする……?
考えろ……!
俺の魔法でダメージは与えられる。
だが、魔力は無限では無いし、今のでだいぶ持っていかれた。
それに、ダメージを与えても、ヤツはウソブキで回復する……!
どうすれば……!?
そのときだった。
俺の目の前に、真月が来た。
腕を大きく広げて立ちながら……
★★★(足立)
アイツに2回目のウソブキを当ててやろうと手を掲げたときだ。
アイツの目の前に、アイツの嫁が飛び出してきた。
両手を大きく広げて、アイツを庇うように……
なんだ……アイツ、自分が盾になれば、旦那が攻撃されないと思っているのか?
このボクがそんな甘い奴だとでも思ってるのか?
……お笑いだな。
敵だったら、女でも殺すに決まってるだろう。
ここまでボクをコケにしておいて、そんな甘いことを考えているなんて……
やっぱアホだわ、お前。
ベリアルとネビロスを倒したのも、まぐれに決まって……
そこで、女の表情を見た。
そこで、ボクは自分が誤解していることに気づいてしまった。
見なければ、良かったのに。
ああ、こいつ……
別に旦那を助けようとしてるわけじゃないわ。
こいつ、旦那の命を1秒でも伸ばそうとしてるんだ。
……こいつ今、自分が死ぬことを覚悟しているもの。
こいつの顔は、そういう顔だ……。
ボクの場合はどうだったけ……
確か、権力を得て、警察が完全消滅して間もなくだ。
近隣の街から、可愛い少女を攫ってきて、制服を着せたんだ。
高校のとき、恋人が欲しかったからね。
で、その娘たちの中で、一番可愛い子を選んで、ベッドに引きずり込んだ。
だいぶ抵抗されたし、泣かれたし、好きな人が居るとか言われた気がする。
でも、ボクは王様気分だったから、無視した。
そして次の日。
目覚めると、その子がドアノブで首を吊って死んでた。
……その日から、ボクは不能になった。
ボクと関係を持つことは、自ら死を選ぶほど嫌な事……
それを分からされたから。
ボクと違って、こいつ……たった1秒でも、長生きして欲しいって想ってくれる女が要るんだな。
……そういうのって、実在するのか……
そっか……
そうか……
うらやましいな……
★★★(忍)
「クッ……」
突如、足立が自分の腕を下ろした。
え……?
俺は真月が俺を庇おうとしていることに気づき、絶望的な気分になったのに。
間違いなく真月が殺される、と確信して。
どういうことだ……?
「クウウウウウウ!」
そして
俺は気づいた。
……こいつ、泣いてる……!
その場にいる、誰もが動けなくなった。
どういうことなんだ……?
そしてしばらく、足立が声を殺して泣く姿を、俺たちはただ見守った。
やがて……
「……なぁ、ボクを殺しに来たのは何でだ? ボクの地位が欲しかったのか? この家とか?」
目じりを擦りながらそう、訊いてくる。
その問いに、真月が答えた。
「……あなたの席に、ウチのケイスケくんを座らせようと思ったの。ちょっとガイア教徒の最高幹部はメンツが黒すぎるから少し薄める意味合いで」
誤魔化しを交えず、正直に答えた。
ここで嘘を吐くのはいけない気がしたのか。
すると
「ハハ……昨日の顔合わせでそんなことを考えていたのか。笑えるねキミら……危なくてしょうがない人間だよ……」
愉快そうに笑う。
そして
「……いいよ。なんかもう、いいや。ボクの席も、この家も、皆あげるよ」
ひらひらと手を振り、足立は部屋を出ていく。
「ちょっと着替える時間頂戴ね。その後この家出ていくから」
そう、言い残して。
バタン。
ドアが閉じられる音が、やけに大きく、そして寂しく響いた気がした。
この決着はだいぶ迷いました。