真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
01:放送局占拠を狙え
★★★(忍)
俺たちは走っていた。
俺は普段からロードワークをしているが、真月と高城くんはどうだろう?
真月は運動ができない女では無いのだけど、こういうときのダッシュ力、普段の走り込みがモノいうはずだから。
「ついてこれてるか!?」
2人に振り返らずに訊く。
すると
「大丈夫よ!」
「問題ないです!」
2人の返事には張りがあった。
ならばOK!
……正直、気づかいする余裕はほぼ無い。
休むという選択肢が無いからだ。
……何故か?
それは、周りが戦争をしているからだ。
テンプルナイトと天使の混成軍との。
「うあああああ!」
女の手で投げ飛ばされた上に、倒れ込んだところを頭を踏み砕かれ。
その寸前に上げた断末魔の叫びに余韻を持たせているテンプルナイト。
仲間があっけなく殺されたのに、士気を全く失わない。
軍用ライフルを構えて、発砲する。
数人のテンプルナイトによる一斉射撃だ。
だが
着弾したのか、肩や頭、手が僅かに揺れるものの
ダメージは受けていないようだ。
変わらず、冷酷そうな攻撃的な瞳で、テンプルナイトたちを睨め付ける。
女の名は橘千晶。
いつもはブランド物の高い服を着ているのだが。
今日は戦争に出るために、高級そうなジャージを着ていた。
そんなジャージ姿に、腰に動きを制限しないようなホルスターで、バカでかい拳銃を一丁下げている。
婚約者と自分の家族の命を悪魔に捧げて、人類の範疇を超えた肉体を手に入れた女。
明に聞いてた話はそれだけだったが……。
もっと大事なことを教えろよ! わざとか!?
実物の戦いぶりを見て、そう思わざるを得なかった。
まず、ライフル銃で撃たれても死なないじゃない。
効かない、が正しい!
まるでダメージを受けないのは、死なないとは表現しない!
そして素手で人体を引き裂ける馬鹿力。
それは聞いてはいたけれど。
もっと大事なことを伝え忘れている!
あの女、そんなフィジカルで合気道を達人レベルで修めてるだろうが!
さっきからテンプルナイトを片っ端から投げては踏み殺すことを続けているけど。
投げ方が明らかに合気道の小手返しだとか入り身投げだとか、四方投げだとか。
昔、稽古の一環で見た合気道のビデオで見たような技をやってる。
で、倒れた奴を片っ端から殺してる。
聞いた話だけど、合気道は技を掛けるのにほとんど力が要らないらしいな。
ということは、あの女がやったら、とんでもないことになるよな?
……常人があの女の手の届く範囲に入ったら、数秒で絶命する……。
それが永遠に続くってことだぞ?
力が要らないのレベルが、普通の合気道の使い手の要らないと違うってことだから。
技で全く消耗しない。
しかも本来両手でやるはずの技を片手でやるような暴挙を可能にしている。
メチャクチャ危ないやんけ!?
「……どうしたの? 正義と平等の戦士さん?」
ああ、ライフルであの女を撃ってる連中、焦ってる。
気持ちは分かるが……
彼女がダッと踏み込み。
連中の中に飛び込んで、片っ端から投げ落とし。
流れるような動きで、腰のホルスターからバカでかい拳銃を抜いて
倒れたヤツを射撃した。
ものすごい銃声と共に、着弾。
それと同時に、テンプルナイトたちの身体が爆ぜる。
弾丸の威力が段違いなんだ。
この戦争に出向く前、あの女は笑いながら「私以外がこの銃を撃ったら、腕が捥げるわね」と言ってたが。
ようはそのくらい反動がすごいんだろう。
あの女、拳銃の名前を「ドラム」なんて呼んで笑ってたけど。
それだけのことはあるってこどだな。
「メシア教のやつらは誤魔化しが好きなだけあって、要らない奴らばかりだわ!」
橘は哄笑しながら虐殺を続けていた。
「斬打印!」
彼がそう唱えながら指で立て一文字に印を切ると。
彼の眼前に迫っていた赤い鎧を着た天使が、縦に真っ二つに裂けた。
彼の名は神代浩司。
見るからにフィジカルエリートの金髪男性。
彼はそういう魔法使うことを伝えている家に生まれた男で。
病弱な恋人を、こんな大破壊後の世界で生き残らせるためにガイア教に入信したらしい。
彼は彼ですごい実力だ。
天使たちが彼を複数で襲う。
剣や槍を構え、殺到してくる。
「魔破斬打印!」
複雑な印を切り、呪文を発する。
同時に力の波動、いや斬撃が乱れ舞い。
天使たちが肉片に変わってマグネタイトに還っていく。
テンプルナイトたちが薙ぎ払われる。
短髪オールバックで、野性的なひとりのボクサーの前に。
上半身は裸で、白い短パン姿。
手にはグローブを嵌めている。
両手でファイティングポーズをとりつつ、テンプルナイトに突っ込んでいく。
そしてラッシュを繰り出すのだが……
パンチの射程が、腕の長さ以上になっている。
後で聞いた話によると、魔術的な方法でボクシングの技の性質を変えているらしい。
彼は「千烈突き」って名付けていた。
……彼に関しては、彼が自分のことをあまり話したがらないんだよな。だからあまり知らない。
だけど、少しだけ伺える言葉があった。
「世の中に正義があるっていうなら、何で親父を誰も助けへんかったんや!」
……詳しく聞くのが躊躇われたから真相は良く分からない。
でも、なんとなく想像は出来る。
多分、相当辛いことがあってガイア教に流れてきたんだろうな。
3人のガイア教最高幹部13人の一員がこの戦争に参加している。
というより、強いコマがその3つ。
他はただの処刑ライダー。
そんな軍団が、メシア教の軍団と戦っているのだ。
で、はっきり言って優勢。
この間に、俺たちは向かわないといけない。
万一の事態に対応するため。
この戦争が終わる前に。
この先の、東京タワーにある、メシア教放送局に。
……なんのために?
……戦況に悲観した連中が、自分たちで放送局を破壊する前に、そこをガイア教のものにするために、だ。
合気道警察が怖い。
千晶様に妙な設定を付け足しました。
かなり真3では好きなキャラだったんでねぇ。
まあ、性格極悪だから女キャラとして好きなわけじゃないんですけど。
悪の魅力と言うか……