真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
テレビ局を乗っ取るために、東京タワーを占拠する!
そのために投入された戦力、その数5!
私たち、ケイスケくん、橘千晶、神代浩司、そして和久井啓太。
これだけ投入すれば確実に取れるよね。
そしてこれをやってる間に、国会図書館に桜井直哉と狭間偉出夫が手塚作品を探しに行ってる。
手際よくいけてるよ。
……あの3人、メチャメチャ強い。
実力主義のサバイバル組織で、最高幹部になるだけのことはあるというか。
首尾よく日本が復活できる運びになったら、彼らと国交を持たないといけないわけだけど。
……絶対に国防の備えは忘れないように。
これだけは、しっかり伝えていかないとね。
「ここは通さんぞガイアの手先め!」
門番のテンプルナイトが2名、門の前に居て。
それを予想していた私は、当然のことながらアームターミナルにコマンドを打ち込んでいた。
『魔王召喚』
★★★(メシア教徒AD)
外の様子が気になる。
ガイア教徒が外の東京タワー警備隊相手に戦闘行為を続けている。
これはどうするべきなのか?
……ここの機材の破壊を視野に入れるべきでは?
ふと、そんなことを考えてしまう。
それが取り返しのつかない選択肢であることを理解してはいるが。
もう、作れないからな。
東京で、この施設を。
でも……
このままではガイア教徒にここの施設を奪われる。
そちらの方が不味いのでは……?
どうしよう……?
指示が欲しい。
私はスタジオの中央に一人立っている少女を振り返る。
このスタジオのニュースキャスターである和江さんだ。
和江さんは未成年の少女だが、男以上に肝の据わっている女性だ。
メシア服が良く似合っている。
セミロングの黒髪と、ほっそりとした可憐な姿。
守らなければ、と思ってしまう。
だけど、芯が強い。
彼女から弱音を聞いたことはただの一度も無いから。
「ADさん」
和江さんが私に声を掛けてきた。
ハイ! と返事をしてしまう。
緊張してしまう。慣れない。
「申し訳ないですが、外を見てきてくださいますか?」
……外。危険だ。
だけど、やらないわけにはいかないんだ。
「ハイ!」
私は駆け出した。
エレベーターで下に降り、警備のテンプルナイトたちに確認をする……。
そのつもりで、エレベーターを確認した。
え……?
エレベーターが、上がって来る……?
これは……どういう……
私は動けなくなった。
そしてその場で固まっていたら。
エレベーターがこの30階に到達した。
扉が開く。
そこには……
虚ろな目をしたテンプルナイトが2名、乗り込んでいた。
え……?
どう対処したらいいかが分からず、固まってしまう。
彼らは……
フラフラと、スタジオに向かって歩いていく。
どうしよう……?
様子が変だ……
止めるべきなのか……?
どうなんだ……?
そんな風に迷っていたら
「メシア教放送局に告ぐ!」
いきなりだ。
テンプルナイトが大音声でそう叫んだんだ。
声は続く。
「テレビ中継の準備をしろ! テレビの前でお前たちのくだらない宗教の薄汚さを指摘して論破してやる!」
「負けるのが怖いなら今すぐテレビ機材を破壊して逃げるがいい! 負ける戦いを避けるのは賢明な判断だ!」
……テンプルナイトたちは交互に大声を出した。
これは……一体何なんだ?
あまりの出来事に、私は動けなくなっていたら。
「ADさん!」
和江さんの声。
その声には……凄まじい怒りが籠っていた。
私の背が寒くなる。
和江さんがここまで怒るなんて……!
私はスタジオに戻りながら、彼女が次に言うことを予想していた。
おそらくは……
「今すぐ放送準備をお願いします。悪鬼たちを迎え撃ちます」
その顔には静かで、激しい怒りが込められた瞳。
和江さんはそう宣言した。
★★★(真月)
「真月、エレベーターで本当に行くのか?」
夫がそう訊いてくる。
不安そう。
まあ、分かるよ。
待ち伏せが怖いからね。
でも、おそらく大丈夫。
「そのために、挑発したから」
連中が逃げること、機材を壊すことに抵抗を覚えるように、メッセンジャーを送ったんだ。
上手くいってるといいけど。
……戻って来たエレベーターが、血で汚れてたらアウトよね……
そんなことを頭の片隅で考えて
チーン、って感じでまた1階にエレベーターが返って来た。
開く。
おお……
「……大丈夫そうですね」
ケイスケくんが中を確認する。
血では汚れていなかった。
3人でエレベーターに乗り込む。
箱が、ぐんぐん上昇していく。
「……悪を感じたら教えますね」
ケイスケくんが私にそう告げる。
……分かった。そのときは即座にマーラを再召喚するよ。
マーラだったら色々対処できるしね。
性質は兎も角、ホント超使える魔王。
そしてエレベーターが、最上階の30階に到着した。
……やっぱ速いね。エレベーター。
ドアが開いた。外に出る。
外は、2部屋しかなかった。スタッフの控室っぽい部屋と
テレビ放送のスタジオ。
そっちは明かりがついていたので、私は堂々と正面から乗り込む。
中には数人の人間がいた。
そこには……
「あなたが佐上真月さん……? 名前だけはよく知ってるわ。あなたのニュースはこの間放送したから。品川大聖堂に入り込み、品川を大混乱させた……。教えてあげるわ……あなたが洗脳したテンプルナイトたちは、皆己を恥じて髪を剃り丸坊主にしたのよ」
いつかのテレビ放送で見た、メシア服姿のニュース読み少女もいた。
セミロングの髪の、可憐な少女だ。
その少女は今、敵意を燃やした視線で私を睨みつけている。
多分、相当迫力があるのかもしれない。
「一瞬でも悍ましい信仰から逃れられたんだから感謝すべきじゃ無いかな?」
そっか。
あのときのテンプルナイト、丸坊主で済んだんだ。
殺されなくて良かったね。本当に。
「……悍ましいですって……? メシア教のどこが悍ましいのよ!?」
「悍ましいじゃない。布教で勧誘者の家族の絆を破壊して、メシアと非メシアで分断する。まさに邪教よ」
まあ、とりあえず。
大破壊前に、彼女らのやり方で許せないと思った部分を挙げていく。
正直、中継可能状態でこのスタジオに来れた段階で目的は果たしているし。
勝ち負けはどうでもいいんだけど。
この際だから、彼女らに言いたいことを言っていこう。
「他の家族もメシアになれば分断は生まれない! 分断を生んでいるのはメシア教を国教にしない旧世界の政府よ!」
「そういうのを他責って言うのよ。その汚い口を拭う癖をいい加減止めたら?」
汚い口、という言葉に、彼女はだいぶ強く引っかかったようで。
「汚い口とはなによ! 薄汚れた旧世界の政府の飼い犬のくせに!」
「古ければ汚れもするわよ。そのくらいのことも理解できないなんて、やっぱ卑しい教義のゴミ宗教を信じる人間は一味違うわね」
私がそう言い放つと、彼女は怒りで口が利けなくなったようで、ぶるぶる震え
「卑しいだと!? ふざけるな邪悪な異教徒め!」
少女は目が釣り上がっている。
……もう少しまともに議論できるかと思ったけど、無理かぁ……
言葉もだいぶ乱れてるし。
私は、どの辺が卑しいのかを教えてあげようと思った。
「……あなたたち、熱心に布教するわよね。普通の人に」
「それがどうしたッ?」
怒り心頭の少女に、私は続けて。
極めて冷静な声で。
「……なんで?」
「メシア教を広めなければならないからよ! そんなこともわからないのかッ!?」
それは答えになってない。
だから
「だから、なんで?」
……さすがに気づいたのか。
彼女は言った。
「メシア教が一番正しい宗教だからだ!」
「宗教で正しいって何を根拠に決めるの?」
すぐさま返すと、少女は硬直した。
そして数瞬後。
「……し、真に幸せになる方法を説いてるかどうかよッ!」
……ちょっとは考えたんだよね?
考えて、それかぁ……
私の中で、道筋がまとまる。
それに沿って、私は口を開く。
「その根拠だと、メシア教の正当性、他の宗教の信徒で真に幸せになった人間が居たら破綻するわよね?」
そう言って
「私、とーっても幸せ。大破壊が起きて、生活は苦しくなったところもあったけど、それでもずーっと幸せよ」
そう笑顔で言い、隣にいる夫の腕をとった。
その様子を見た少女は、嫌な笑みを浮かべた。
「お前の幸せは妄想だ。それは獣欲。ケダモノと同じ。真の幸せでは無い。違うと言うなら根拠をあげてみろ。お前の大好きな!」
……ムカっとするけど。
私は抑えた。そうくることは予想していたからね。
だから、笑顔で言ってやった。
「その通り。根拠は無いわね。でも、それはあなたも同じよね? 違う?」
「……!」
少女からの返事は無かった。
……そう。
人の幸せに明確な根拠なんてあるわけがない。
そんなのは全部心の問題だからだ。
そこから来る答え。
「だからね……」
ほぼトドメになると思いながら、言ってやった。
「あなたたちの宗教は、前提条件として他の宗教の人間が不幸であれと願ってる宗教なのね。そうでないと布教の正当性がなくなるものね」
少女は黙っている。私は続ける。
「他人の不幸を願う宗教……これが卑しくなくてなんなの?」
そこまで言い切って。
何か返って来るかと思ったけど。
……ない。
はい。おしまい。
……これ、東京中に中継されているのかな?
一応、カメラは回ってるみたいに見えるけど。
私は、周囲でカメラを構えているメシア服の人間数人を見やった。
……でもまあ、別にどうでもいいんだけどね。
メシア教徒を否定するためにテレビ放送局を乗っ取りに来たわけじゃないし。
すると……
「ところで……あなたはこのまま戦い続けて何をしようっていうの?」
少女は俯いたまま、突然話し始めた。
……精神の安定を失ってしまったのか?
それをちょっと疑ったけど。
「別に戦い続けるつもりはないんだけど、目的を果たしたら、日常に還るし」
そう。
草薙の剣を取り戻したら。
私は夫と平和な国で、平和な家庭を築くんだ。
そしたら彼女は
「その目的のために……悪魔と悪魔を戦わせるなんて悪魔より恐ろしい人ね」
彼女は顏を上げた。
その顔は……微笑んでいた。
目は全く笑っていなかったけど。
「あなたは主を降臨させるための大切な生贄の巫女……だった。でも、もはやこれまでね……」
彼女がそう言ったとき。
ふわ……と彼女の身体が浮かび上がる。
「あなたはあまりにも害がある……もう、生かしてはおけない」
そして……
私たちの見ている前で、少女は変わっていく。
肌の色が青く変わり、髪の色が緑色に変わっていく。
腕が伸び、脚が縮んでいく。
そして着用していたメシア服が弾け飛び、大きな黄金の翼が6枚、現れる。
最後に、少女のものから男性のものに変化した右手に、1本のロングソードが握られて。
バサッ、と大きく羽ばたいたとき。
そこには、下半身の無い男性の上半身に、背中に黄金の翼を6枚備え、右手にロングソードを握る、1体の天使が居た。
天使はその瞳の無い緑色の目で私を見下ろし、こう宣言する。
「これ以上神に逆らう事は……このカズフェルが許さん!」
大天使カズフェルが現れた!
実際の東京タワーは30階も無いんよね。