真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
これがメシアの心意気。
★★★(真月)
東京タワーのニュース読み少女は悪魔だった。
大天使カズフェル……
外にいる奴らとは位階の違う天使。
「神に献身する機会を拒絶するのみならず、数々の涜神行為……許せぬ! 地獄に送ってくれる!」
カズフェルはそう言い放つと、左手をこちらに向ける。
……あ、これは
魔法が来る!
私は
「魔法!」
そう一言短く言い、横に飛ぶ。
予想通り、左手から波動……おそらく衝撃魔法が発射された。
スタジオの床が凹む。
くるりと一回転し、そのまま走り続ける。
「佐上真月! 穢れた女め!」
自分が着地したあたりに、さっきと同じ魔法が着弾した感覚があった。
私は走り続ける。
カズフェルは怒り狂ってるみたい。
ま、当然か。
こいつらの信仰を完膚なきまでに叩いてやったからね。
だけど
「呪われるがいい!」
着弾のたび、衝撃音が鳴る。
……あまり長引かせるとこのスタジオの機材を壊してしまうな。
私は立ち止まる。
そしてカズフェルを見上げる。
「……観念したか罪人め」
カズフェルの言葉に、私は
「……たーんじゅん」
そう一言。
「……単純?」
私に向けて手を向けながら
「そう。単純」
言いつつ。
私は腰に下げている、新兵器を手に取った。
……先日その効果を確かめた「合体剣・ハルぺー」
ヘルメスの俊敏性を得られる武器、らしいけど……
私はそれを手に取り、走り出した。
このスタジオの出入り口に向かって。
★★★(カズフェル)
あの女が、くるりと背を向けて。
スタジオの出口に向かって走り出した。
逃げるつもりか!?
それに気づいて、私は衝撃魔法を撃とうと左手を構えるが……
そこで、ハタと気づく。
あの女、走る前に「単純」と口にした。
……ちょっと待て。
本当にこの選択でいいのか?
疑念が湧く。
あの女、クルセイダーロードを撃退し、品川大聖堂に侵入したんだぞ?
その女が、こういう逃げ方をするのか?
まっすぐ……かなり速いが、まっすぐだ。
狙い撃ちにするのには、何も問題ない。
迷う……迷うが……
私は思考を切り替える。
魔法は止めだ。
この状況は明らかに魔法を誘っている。
ならば、別の手段で攻めればいい。
私は右手の剣を振り上げて、6枚の翼を大きく羽ばたかせた。
――切り裂いてやる!
その瞬間だった。
死角から火球が飛んできた。
それを気配で察し、羽ばたき急上昇して、躱す。
そちらを見ると、眼鏡黒づくめの大人しそうな少年が、悪魔を召喚していたのだ。
黒髪の振袖の少女……
「もう一度だ! ヤマ!」
『承知だ』
さらに火球が飛んで来た。
――マズい!
火炎はマズい!
私は羽ばたき身を翻す。
そこで自分は致命的な間違いをしていることに気づいた。
いきなり来たのだ。
衝撃が。
叩きつけるような衝撃。
飛行状態が維持できなくなり、スタジオの床に叩きつけられる。
そうだ……
こいつら、3人で来たんだ。
私の背後に回り込み、上から浴びせるような蹴り技を叩き込んで来た。
首を捩じってそれを確認したとき、私は
「こんなことをして恐ろしくないのか!? これ以上神に歯向かうのはやめろ!」
そんな言葉を口走っていた。
話には聞いていた、魔王との合体に耐え、人間の自我を残した悪魔人間。
それが見下ろしていたのだ。
緑色の甲冑に全身を包んだ戦士。
それは、私の言葉に答えずに
急降下して、私の右腕を踏み砕く。
「グアアアッ!」
私の手から零れた剣。
それをこいつは拾って。
腰を落として、下段斜めの構えを取る。
なんなのだ、あれは?
この国の武術か?
し、知らん!
情報が無い!
そして私はここで決定的なことを悟った。
……3人の中でこいつが一番ヤバくて、こいつには1対1でも勝てない!
だから、口をついて出た
「卑怯だぞ! 1人で来い! 卑劣な背教者め!」
そこで、ようやくこいつが口を開いた。
「メシア教徒でない者に、背教者……お前たちの思い上がりがよく伝わるよ」
声は穏やかで、落ち着いていて……
「この国から出ていけ。……薄汚い悪魔が」
背筋が、凍った。
必死で身体を動かした。
右腕が破壊されていたが。
可能な限りに身体を動かし、翼を動かし。
舞い上がる。
羽ばたき、逃げる。
――逃げなければ!
私は大天使。有象無象の下級天使では無いッ!
勝てない戦いをするのは違うッ!
私は、私はそんなッ!
「メギドスラッシュ!」
その声を背後で聞いたとき。
高熱のエネルギーが私の背中から胸を突き抜けた。
私には下半身が無い。
だから、身体が普通の天使よりも軽い。
だが私は今、それ以上に軽くなった気がした。
自分の身体を見下ろした。
……自分の胸に真一文字の亀裂があり。
そこから炎が噴き出そうとしている。
……これが……究極合体魔法!
私の身体がずれていく。
ずれ落ちようとしている。
手で押さえようとおもったが右手が動かない。
気が付いた。
右腕も一緒に斬られている。
翼も……
飛行状態も維持できなくなり
落ちていくとき。
私はふたつになり……
そのまま、燃え上がった。
……熱い!
熱い熱い熱い!
「お前たち呪われるぞッ! 必ず後悔するぞッ!」
もう私は動けなかった。
スタジオの床に落下し、激しく炎上する。
燃えながら、私は
「魔王の力を得た悪魔の化身ッ! その悪魔と番う汚れた女ッ! 地獄に堕ちろッ!」
最期の瞬間まで無事だった左手の指を突き付けながら
「この外道があああああああああ!」
――そして私の意識は完全に炎に呑み込まれた。
正義だったら3人でも許される