真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(圭介)
すごい、という他ない。
あっという間に、東京タワーのメシア教放送局の悪魔・大天使カズフェルを倒してしまった。
ほとんど勝負になっていなかった。
元々、おそらく忍さん単騎でも勝てる相手だったんだろう。
それを、ボク、真月さん、忍さんの3人がかりで、加えて策まで弄して挑んだんだ。
そりゃカズフェルに勝ち目ない。
害虫駆除かなにかのように、一方的に狩られるだけだ。
最期、意味不明の罵り文句を言うしかできなくなったカズフェルが、ちょっと哀れだった。
でも多分、おふたりにそのあたりのことを言ったら
「悪魔に同情するのはやめなさい」
って諭されるんだろうな。
……果たして間違ってるのはボクなんだろうか?
そこが少し気になる。
と、マグネタイトに分解して消えていくカズフェルを、睨み据えて立ち尽くしている忍さんを見ていたら。
大変なことに気づいた。
カズフェルが倒されたことを受け入れたのか、メシア教放送局のスタッフたちが再起動し始めて。
一斉に、放送機材を壊そうとしはじめたんだ。
パソコン類だとか、カメラだとかを床に叩きつけるための準備、またはモーションを取り始めた。
まずい! 止めなければ!
だけどどうすれば……?
頭の中でその手段を考えながら、カメラを床に叩きつけようとしているスタッフのひとりに飛びつこうとしたとき。
「ワシの言葉は否定できない! ワシから目を離せない!」
その言葉。
マーラの催眠魔法の、魔力の籠ったキーワード。
それが響いた瞬間、メシア教徒たちの目が虚ろになった。
動きも、止まる。
「……ふぅ。間に合ったわ」
その言葉と共に。
魔王マーラを引き連れた真月さんが、スタジオ入口から入って来た。
うにょろうにょろとマーラを連れて。
彼女は自分の旦那さんのところに行った。
「忍」
「楽に勝てたよ。ありがとう」
彼は変身を解いた。
すると彼女は
「ちょっとだけ衝撃魔法を喰らうかもしれないと思ったけど、距離があるから致命傷にはならないと思ったんだよね」
笑い交じり。
「あのねー」
そしてこっちは溜息混じり。
ハタから見てると微笑ましいけどさ。
ようは、一番カズフェルに憎まれている自分が背を向けて逃げ出したら、自分に意識が集中するだろうから、その隙に一気に畳みかけてくれると。
なぁんも言わなくても、そこは汲んでくれると。
そういう信頼があっての行動で。
実際にその通りになった。
でも、旦那さんとしては、多分複雑な気持ちなんだろうなぁ。
この人、お嫁さんものすごく大切にしてるし。
……ご飯は作らないけど。
外に出ると。
戦争の方も大体終わってた。
天使は皆殺し。
テンプルナイトは生き残りが捕虜になってるみたいだったけど。
「アナタたちは明日から上野の労働者よ」
ジャージ姿の、悪魔のような強者女性・橘千晶が、化け物拳銃を突き付けながらそう宣言していた。
労働者……上野では奴隷の同義語。
……どこで働かされるんだろうね。
上野に来た日に、コンビニの前で刺殺されていた男性を思い出してしまった。
★★★(真月)
13人会議がはじまった。
議題は「それぞれの戦果について。そして次の作戦について」
「テレビ局を押さえたわ」
橘千晶が戦果を報告した。
機材もスタジオもほぼ壊れずに入手できた。
上々の戦果と言っていいだろう。
「ご苦労。こっちも手塚作品を押さえた」
言って、桜井氏が円卓に単行本を1冊出してきた。
単行本は、漫画の単行本で。
鉄腕アトム。
……まあ、手塚先生と言えばそれかな。
ブラックジャックや火の鳥より確実に知名度あるし。
「……ねぇ」
ここで。
橘千晶が、円卓の上に組んだ両手を置いて、身を乗り出して。
「……連中、街頭テレビを壊したりはしないかしら?」
「しないと踏んでいる。我々が連中にとって致命的な内容の放送を開始しない限り」
彼女の言葉に、桜井氏がそう答える。
まぁ、そこは私も同感。
テレビを壊すのは最終手段だからね。
何せ、東京では今は作れないんだから。
「そっか」
その答えに、彼女は納得したらしく、身を椅子の背に預けて
「……面白そうだから、弱い人間を徹底的に排除する幼女向け番組ヨスガプリキュアでも作って流したらどうかなとか思ったけど、止めといた方が良さそうね」
そんな不道徳な内容の幼女番組を作らないでください。お願いしますから。
「さて、次は東京ディスティニーランドの方だが……」
桜井氏が会議を再開する。
東京ディスティニーランド。
東京ディスティニーランドは、 アメリカ以外で建設された最初のディスティニー・パーク
遊園地といえば、という質問で、真っ先に出てくる場所。
……中学の修学旅行で夫と一緒に回った思い出。
懐かしい。
あのときは制服で回った。
私は私服で回ったことは無い。
……今じゃどうやっても叶わない夢だ。
そんなことを思い、感傷にちょっと浸ってしまった。
「誰が行くわけ?」
橘千晶が話を切り出す。
そこは気になるよ。
……まあ、確定で私たちは行くことになるんだろうけど。
道義的に。
私たちの都合で、ガイア教徒を動かしてるんだしね。
「……そのことだが」
桜井氏は一拍置き
「まず佐上夫婦と高城圭介」
……だよね
そして、その後に続いたのは
「あと桃井夫婦に行ってもらおうと思う」
それが、ちょっと意外だった。
他の強い人じゃ無いのか、という
桃井さん夫婦、弱くは無いけど、最強ではないと思うから。
だからか
「……どういう選定基準? 最初は分かるけど、桃井さんを選んだ理由……」
橘千晶が選定に疑問があったらしく、訊く。
それに対し、桜井氏はこう答えたんだ。
「他の面子だと、手塚氏が仕事を拒否する可能性がある」
……そういう理由ですか。
こうして。
私たち夫婦と、桃井さん夫婦で東京ディスティニーランドに挑むことになった。
今回で東京タワー編終了です。
次回から東京ディスティニーランド編。