真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(クルセイダーロード)
東京タワーを占拠されて数日。
テレビには全く何の反応もない。
……正直、この品川のテレビ、あと渋谷のテレビの電源コードを抜いておきたかったのだが。
新宿のアルタの大画面が止められない。
そして品川と渋谷のテレビのコードを抜くと、ガイア教徒が何かしら放送をはじめたときに気づくことが出来なくなる。
どうせ完全にガイア教徒の有害放送を止めることはできないのであれば。
放置しておいた方が良いだろう。
何かあっても電源を落とせば問題ないのだし。
そう思い、気晴らしで品川大聖堂の外に出た。
ちょうど休憩時間だったから。
……平穏だ。
人々が皆、神の正義のもとで正しく生きている。
これこそが理想社会。
「クルセイダーロード様、こんにちは」
笑顔のメシア服少女が近づいてくる。
「ああ、君は……確か小石川……」
「理枝です。クルセイダーロード様」
ああ、そうだった。
確か、自分はテンプルナイトを目指していると、前にこっそり私に教えてくれた子だ。
ショートヘアの良く似合う、勝気な子。
テンプルナイトに向いていると思う。
正義の心も強い子だから。
「今日はお散歩ですか?」
「ああ。最近気が滅入ることが続いていてね」
そう、溜息を吐きたい気分でぼやく。
ぼやいても仕方ないのだが、しょうがない。
奪われた東京タワー。
取り戻せるなら取り戻したいが。
ひょっとしたら、そのためにこちらが軍を組織した場合。
その戦力の空白を突いて、この品川を攻めるつもりかもしれない。
だから危なくて、安易に奪還部隊を編成できない。
もどかしくて、辛い。
だから溜息が出る。
「そうなんですか……偉い方々は大変なんですね」
心配そうな顔で同情してくれる。
本当に優しい子だ。
そのときだ。
人々の騒めきと歓声が聞こえてきた。
こんな風な。
「おおっ、スゲーぞアニメだ!」
「見ろ見ろ!」
「なんか映ってる!」
……?
何か、騒がしい。
気になったので行ってみる。
小走りで。
理枝も、私に続く。
行ってみると……
「シーターよ! 我の妻になれ! でなければお前を明日の朝、我の贄とする」
「……きっとラーマ様が私を助けに来てくださいます。そのとき、あなたのの悪行は終わるのです」
……アニメが放送されていた。皆がそれに釘付けだ。
テレビ画面の中で、複数の腕と頭部を持った青白い魔人が、美しい姫を脅していた。
姫の方は、なんだかインド風の衣装を身に着けていて、とても綺麗だった。
……絵柄はちょっと古かったけれども、私には抵抗が無かった。
ここにいるメシア教徒も同様のようだ。
気になったので、思わず見入ってしまう。
話の筋はこうだった。
人間以外には絶対に誰にも殺されないという特殊魔法を自分に掛けた悪魔の王を倒すために、神が自らを人間として転生させ、その悪魔の王を討つ。
……なんとも熱い展開だ。私は大好きだった。そういうのは。
だから思わずじっくり見て、楽しんだ。
人間を侮り、唯一の弱点にまで指定して、その結果が仇となり、敗北する。
悪鬼の最期としてはこれ以上ないカタルシス。
すごいなこの作品。
浄化の日の前の作品だろうか?
脚本は誰が書いていたのだろうか?
エンディング後のスタッフロールが楽しみで、テレビの前から動けなかった。
「グアアアアッ! この我が、くだらない人間に! そんな! そんなぁぁぁっ!」
ラーマ王子の必殺の剣に、全ての腕を斬り飛ばされ、最後斬首されるラーヴァナの断末魔。
素晴らしい声優の演技だった。誰が声を当ててるのか?
ラーマ王子は炭治〇の声だというのは気づいたのだけど。
ラーヴァナは誰だろう……?
これもスタッフロールだな。
そして見ていたら。
ラーマ―王子に助け出されたシーター姫が、抱き合ってENDとなった。
おお……良い作品だった。
手を叩いてしまう。
そしてスタッフロール……
え? 脚本は手塚先生?
ホントに?
そしてラーヴァナの声は……キント〇スキーの人?
なるほど……重量級のキャラだしなぁ……
ううむ……最初から見てなかったのが悔やまれる。
もう一回、最初から放送しないかなぁ?
そう思っていたら……
ジャジャーン、と音が鳴り
リンホラっぽいOPテーマが鳴り、画面にデカデカと「ラーマーヤナ」と表示される。
……再放送!
私は見入った。
……結局それが5回ほど続いただろうか。
1時間番組が計5回。
体感30分。
気がつくと5時間経っていた。
私は青くなった。
とっくの昔に休憩時間なんて終わっている!
……今日の予定が全部メチャクチャになってしまった!
絶望する。
これは責任ある立場としてあり得ない。
困った。どう申し開きすれば……
「……クルセイダーロード様?」
横にずっと居てくれた理枝が、私を気遣ってくれる。
それはありがたかったが……
こんな姿を見せるのは、正直気が引けて……
そのときだった。
ブン、とアニメのスタッフロールの後に画面が変わった。
6回目の再放送はせずに、だ。
そこに映し出されていたのは、ロングヘアの女。
どうみてもブランドものの服に身を包んだ、性格の歪んでそうな顔の美女だった。
その女は言ったのだ。
「ハァイ……存分に、インドの英雄譚を楽しんだかしら? そんなあなたたちに私たちガイア教徒からのプレゼント」
酷く嫌な笑みを浮かべつつ。
続けた言葉に、私は戦慄した。
「これから三日後、都庁で召喚儀式を行い、魔王ラーヴァナを呼び出すわ。……無敵のラーヴァナをね。そして品川を直接攻めるから」
……目が本気だ。
この女、嘘を吐いてない。
「今から最後の自由の時間を楽しんでおきなさい。その後、あなたたちは上野で下働きをして人生を終えるのよ」
せせら笑いながら、テレビの中の女はそう宣戦布告した。
ラーヴァナを召喚して我々の品川を攻めるという。
……なん……だと?
あの……人間以外絶対に倒せない魔王を、か……?
今回でTDL編は最終回。
次から決戦である都庁編です。