真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン   作:XX(旧山川海のすけ)

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表の話


04:死蠅の葬列

★★★(橘千晶)

 

 

「邪悪の徒め! 死ぬがいい」

 

 ワンパターン。

 もっと工夫は無いのかしら?

 

 プラズマソードで斬り掛かって来るテンプルナイトのひとりを、ろくに見ないで気配だけでその斬撃を躱す。

 

 無駄なのよね。

 私は規格外だから。

 

 死角から別のが斬り掛かって来たので。

 たった今斬撃を放って来たヤツを左手で投げながら、右手に持った愛用の特注拳銃ドラムで、ノールックで射殺する。

 高威力の拳銃なので、命中した頭はスイカみたいに吹っ飛んでしまう。

 

 頭を失ったテンプルナイトは、斬撃を放った姿勢から立ち上がったが、そこで力尽きたのか崩れ落ちて横倒しになる。

 

 ……なかなか面白い死に方ね。

 その目的意識。

 是非、奴隷として使ってあげたかったわ。

 

「橘千晶! 貴様に殺された人々の恨み、犯した悪行の報いを受けるがいい!」

 

 そうして、さっき片手で投げ飛ばした相手に止めを刺しているとき。

 次の敵が現れた。

 

 クルセイダー軍団。

 

 ありったけの戦力を投入しているのか。

 おそろしく数が多かった。

 

「一般のテンプルナイトは下がれ! こいつの相手は我々がする!」

 

 クルセイダーのひとり、亀怪人がそう周りに宣言する。

 

 ……面白いわ。

 

 他の面子は……

 

 竜怪人、白い虎怪人、鳥怪人……

 

 ははぁ……なんのクルセイダーか読めたわね。

 

 すると……

 

「我はゲンブ」

 

「スザク」

 

「ビャッコ」

 

「セイリュウ」

 

 ……だと思った。

 私はドラムのマガジンを交換する。

 

「……良いわ。来なさい。力の差というものを教えてあげるわ」

 

 言いながら、私は向こうでハニエルとヴィシュヌを相手している桃井さんたちに意識を向けた。

 

 そっちは任せたわよ。

 

 

★★★(明)

 

 

「ホホホホ、所謂ゾンビタイムでしょうか? 逃げ場はありませんよ」

 

 ……マニアックな言葉を知ってるな。この大天使。

 俺と夏子が最初のデートで観た映画のネタだぞ、それ。

 

 ハニエルは弓矢使いで、一度に数十本の矢を弓に番え、それを放ってくる。

 メチャクチャだ。そんなもん撃てるわけがない。

 

 なのに……

 

 何故かそれが正確無比に、俺を追い込むように飛んでくるんだ。

 

 立ち止まれない。

 スタミナがゴリゴリ減る。

 

 クソッ! 夏子を助けたいのに!

 

 夏子は、空中でヴィシュヌと戦っている。

 夏子は自発的に小林流とかいう拳法の道場に通ってるけど。

 腕前の上昇はどうだろうか……?

 

 少なくとも、アイツには確実に劣るのだけど。

 それでも、昔から運動のセンスの無い女では無かったはずだし。

 

「我が神罰を受けよ!」

 

 夏子はヴィシュヌが天を指差し、宣言した瞬間に空から落ちてきた雷に打たれた。

 ……確かベルゼブブは雷に耐性があったはずだが、あれは多分雷撃じゃ無いな。

 見た目が一緒なだけで多分別物だ。

 

 雷に打たれた夏子は、一瞬墜落しそうになるものの、すぐに羽ばたき直して空中戦に復帰する。

 だが苦しそうだ。

 

 空中で突きや蹴りを繰り出すが、ヴィシュヌには余裕がある。

 どうしたものか。

 

「……明ヨ。ワレの助力ハ不要カ?」

 

 ……メチャ久しぶりにこいつの声を聞いた気がする。

 霊獣コウ。

 

 一応こいつはキョウシの成れの果てだからな。

 会話はできるんだ。

 必要が無いからほとんど喋らないけどさ。

 

「こっちは良い。夏子のサポートを頼む」

 

「御意ダ」

 

 言って、俺の傍から夏子が空中戦をしている領域に向かって空中を駆けた。

 ……よし。

 

「シユウ! ハニエルを弓で攻撃してくれ! キュウキ! ハニエルに執拗に火炎魔法!」

 

 俺は指示を飛ばしながら、飛んで来た矢を風神剣で薙ぎ払い、打ち落とした。

 

 

★★★(夏子)

 

 

『……天罰か。厄介な』

 

 雷撃を吸収できるはずの私が、落雷攻撃を受けてダメージを負った。

 その事実に驚いていたら。

 

 ベルゼブブがそんなことを言った。

 

 ……天罰!?

 何それ?

 

『自分とスタンスの違う相手に、大きな痛手を与える魔法だ』

 

 ……傲慢な魔法ね。

 聞いた印象ではそれしか湧かないんだけど。

 

 納得はできる。

 インドの主神なのが本当だったら、こうもなるよね。

 だって私たち……どうしようもないほど、背いているもの。

 

 私は諦めず、構えを取った。

 そして右手を前に突き出した。

 

 あまり使いたく無いのよね。

 イメージが良くないから。

 

 ……でも、そんなこと言ってられない。

 

 魔力を集中する。

 

『……死蠅の葬列か』

 

 ベルゼブブの言葉に、私は「そうよ」と答える。

 ベルゼブブの最大魔法。

 呪殺属性の魔法だ。

 

 無数の蠅の姿をした魔力の塊を、相手にぶつけ相手の運気を極限まで下げる。

 喰らえば運気が極端に下がり、何かが起きて死亡する。

 

 この魔法はこれまで一回も使ってない。

 ただでさえ私は相手を死なせることに抵抗があるのに、この魔法はあまりにも死のイメージが強すぎる。

 

 ……ようは使う勇気が無かった。

 

 使うと私が取り返しのつかないくらい穢れそうな気がしたから。

 

 でも、そんなことは言ってられないし。

 ついでに言えば……相手は悪魔だ。人じゃない。

 

 ……人じゃ無いなら、使えるよッ!

 

「どうした……? もう終わりか?」

 

 さらにヴィシュヌが、天を指差す。

 

 天罰が来る……!

 

 私は覚悟を決めた。

 

 直後、空からの落雷。

 私を撃つ。ダメージに耐え、墜落を堪える。

 

 魔力の蓄積が足りていないから、まだ魔法は撃てない。

 撃てるようになるまで、耐えろ、私……!

 

「それそれ! 次だ!」

 

 そして、次の天罰を覚悟したとき。

 

 ヴィシュヌの死角から、火炎が押し寄せてきた。

 それは、霊獣コウのファイアブレスだった。

 

 すると

 

「アアアアアアッ!」

 

 ヴィシュヌが悲鳴をあげて、墜落する。

 

 地に落ちて、のたうつ。

 どうやら、火炎が弱点属性だったらしい。

 

 さらにコウが追撃をかける。

 ヴィシュヌはそれを間一髪で躱し、再び宙を舞う。

 

 ヴィシュヌはコウの攻撃……特にファイアブレスを警戒し、逃げ回る。

 

 ……そのまま、私はヴィシュヌを見ていたが。

 はたと、気づいた。

 

 ……今、ヴィシュヌの注意が私から外れている。

 

 だったら!

 

「いっけええええええ!」

 

 私は右手に十分に集中させた魔力を解放する。

 同時に。

 

 私の手から、数えきれないほどの数の蠅たちが出現し、ヴィシュヌを襲った。




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