真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(真月)
「持っておいてくれ」
草薙の剣の鞘を私に渡して。
「ちょっと、外を収めてくる」
夫はそう言って、背中の翼を広げた。
「行ってらっしゃい」
そう言って、私は彼に手を振る。
まるっきし、夫を送り出す妻の感覚で。
「じゃ、後よろしく。君が外に出る頃には、外の戦争は終ってると思うよ」
そう言って、飛び出していった。
……後に残される。
マーラは用が済んだので引っ込めた。
ラーヴァナは居るけど、ただ居るだけだし。
話し相手でもなんでもない。
ここに居る人間は、私だけ。
はぁ、暇だなぁ。
このまま外に出てもいいけど。
夫の気遣いから考えたら、ゆっくり出た方がいいと思うし。
……出る前に、夫が放り出したハルペーを探しておくかな。一応。
草薙の剣を奪い取ることに夢中で、どこに捨てたか分かんないって言うんだよね。
まぁ、仕方ないんだけど。
元々、倒したガイア教徒幹部の五味山の遺品みたいなもんだし。
気持ち悪いといえば気持ち悪いんだけどね。なんだか、呪われそうで。
そういうものだから、別に見つからなくてもいいんだけど。
それにこれから必要にはならないはずだし。
そういう世界を作るんだから。
でも、一応探すかぁ……
で。
床を舐める様に目で確認して回っていたら。
否応にも……仮面ライダーサタンだった少女が身に着けていた鎧が目に入った。
彼女の肉体は炎の中に消えてしまったけど。
彼女の身に着けていた鎧だけが残ってる。
あの子は……
大破壊前の日本の、法の不備が原因でメシア教に入信したって言ってた。
あまりにも醜い罪を犯した自分の母親が相応の罰を受けず、のうのうと平気な顔で生きながらえる社会に絶望したって。
はっきり「そうだ」とは言ってなかったけど、おそらくそう。
……醜い社会、邪悪な国家。
彼女の日本の評はそう。
それについてはそれでいいと思う。
だけど。
私はあの社会が良かったの。
もう一回、同じ社会で暮らしたいの。
だから悪いけど、死んでもらうね。
一緒には居られないみたいだし。
そう、遺された鎧を見つめながら心で呟いていたら……
ぐるん、となんだか頭の中でひっくり返った感覚があって……
急激に気持ち悪くなって
一瞬トイレを探したけど、今は都庁は水道止まってるよなと気づいて
しょうがないから、ホールの隅で吐いてしまった。
「おえええええええ!!」
自分の吐瀉物が床に撒き散らされる。
後始末が頭を過ったけど。
それよりも……
(私、あの人の子どもを身籠ったのかもしれない……)
そっちの可能性を考えて。
ものすごく幸せな気持ちになると同時に。
自分たちの幸せのために人を1人殺めた直後に、新しい命を身籠る……
そこにとても深い業のようなものを感じてしまった。
★★★(忍)
「クルセイダーロードは俺が討ち取った! ラーヴァナも健在だ!」
外に飛び出して、草薙の剣を掲げつつ宣言した。
途端に全方向から銃弾やら魔法やらが飛んでくる。
だけど、俺はあえて避けなかった。
俺にどんな攻撃をしても一切通じないこと。
それが、クルセイダーロードの戦死を奴らに分からせる一番良い方法のはずだから。
「き、効いていないッ!?」
「ということは、まさかクルセイダーロード様は……!」
事情を理解できるやつらが、絶望の声を上げる。
だから
「軍を引くなら今のうちだ! ラーヴァナを倒せる可能性のあるお前ら唯一の勇者が、俺に倒されたんだからな!」
続けてこう言った。
「ラーヴァナは無傷では無い! ダメージを負っている! すぐには品川を攻めはしない! もう一度、戻って作戦を練り直せ!」
……メシア教徒の軍をこの場で全滅させるのは正直下策だと思うんだよね。
ここで負ければ家族も含めて全員殺されるか奴隷となれば、死に物狂いで挑んでくると思うし。
そうすると、被害がね……
あと、嫌な話だけど。
今後、ガイア教徒を制御可能な勢力で止めておくために、メシア教徒は居た方が良い。
俺たち今後の日本人のためには。
これで都庁編は終了。
次回からエピローグに入ります。