真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(とある親子)
廃墟を必死で逃げていた。
ちょっと、この子を連れて来て、ここの湧き水の汲み方を教えたかっただけなのに。
甘かった。
自分はなんて愚かだったのか。
病気を癒す神聖な湧き水……
あの、日本が壊れた日から、日本の各地にこういう「実用的効果のあるパワースポット」が出現するようになった。
こういうのが無ければ、もっとたくさんの人が亡くなっていたかもしれない。
この地域住民で、身体を壊したらここの湧き水を汲んで飲む。
それだけで、ちょっとした病気程度なら全快した。
だから、私が居なくなることがあったとしても、この子にはそのことを教えておかなければ。
親としての使命感で、やってきたのだけど。
順番を待つのが嫌だったので、禁止されている夕刻にここを訪れたのだ。
夕刻にここに来ると、帰りは夜になる可能性が高い。
夜は、悪魔が湧きやすい。
だから禁止なのに。
最近は悪魔出現の話をあまり聞かないので、油断してた。
きっと、帰りに悪魔が出るようなことにはならないだろう、って。
そしたら、襲われてしまった。
「ガハハハハ! 女ぁ! そのガキは置いて行けぇ!」
ドスドスドスと、大股で走って追いかけてくる悪魔。
ざんばら髪の長髪で、緑色の体色。
筋肉が発達した巨漢。
手にはナタを持っており、口には牙を生やしていた。
「お母さん! ぼくもう走れないよぉ!」
「お願い、走って! でないと死んでしまうわ!」
手を引っ張ってる息子が、泣きながら訴えるが、どうしようもない。
全て私が悪いのだけど、この子を抱えて走れば、きっと今以上にスピードが落ちる。
だから、このままでいくしか……
そのとき。
よそ見をしていたのが良くなかったのか
私は躓いて、転んでしまう。
……しまった!
血の気が引く。
「お母さん!」
倒れた私を助け起こそうとする息子。
私は言った。
「すぐに逃げなさい! 全力で走るの!」
私があの悪魔の餌食になっている間にこの子だけでも逃がさないと!
「嫌だ!」
なのに、この子は言う事を聞いてくれない。
どうして……!?
いつもは聞き分けの良い良い子なのに!
「早く逃げてよ! お願いよ!」
頼み方が哀願になる。
気にしてる余裕なんて無かった。
「お母さん! お母さん!」
だけど、逃げてくれない。
そこに
「……早速、ガキの肉をいただくかね」
追いついてきた屈強な緑色の悪魔が、私の息子の頭を掴んだ。
心臓が止まりそうになった。
そして、反射的に叫んでいた。
「やめてえええええええ!!」
その瞬間だった。
……突然、悪魔が塵になって消滅したのだ。
……え?
どうなってるの……?
何が起こったの?
……ひょっとして……
助かった……の?
★★★(ガラ吉)
僕はガラ吉。
職業は悪魔使い。
大破壊が起きてから、2年程度弟子と同居してた時期があったけど。
色々あって、今は自由気ままな独り暮らし。
回って来る依頼をこなして、日々穏やかに過ごしている。
そして今日も、その「回ってくる依頼」をこなしていたんだが……
正直、ちょっとヤバイ。
「ルオオオオオ!」
僕の仲魔である妖鬼オンギョウキが、襲って来る悪魔を一刀両断する。
彼の武器である大鎌と斧を掛け合わせたような奇妙な武器で。
妖鬼オンギョウキ……黒く、屈強な男の姿をした、仮面の鬼。
着ている衣装は忍者を彷彿とさせる。
彼は今、4体に分身して周囲の悪魔を狩りまくっていた。
悪魔……妖獣ワンプを。
クトゥルフ神話系の妖獣で、主に人の死体を媒介にして発生する妖獣。
唾液に病原菌を持っており、噛まれると厄介な病気に感染する。
……この世界ではそれはほぼ死と同義。
治すのが極めて難しい病気なのだから。
発生元も最悪だが、見た目も悍ましいの一言。
顔面は目玉の無い豚。そして豚のくせに牙を生やしている。
そしてやけに細い胴体を持ち。
蜘蛛のような足を9本も生やして、先端がヤモリのようになっている。
気持ち悪い見た目だ。正視に耐えない。
……なんでも、ちょっと前にここで暴力団同士の抗争があり、その死体の処理がいい加減だったようだ。
ちゃんと火葬にしないから!
死体を放置するとゾンビになることもあるが、たまにコイツも湧くんだよ!
殺し合いするのは勝手だけど、迷惑を考えてくれ!
オンギョウキは頑張ってくれているけど、如何せん数が多い。
「ミキャアアアア!」
聞くに堪えない変な鳴き声をあげつつ、オンギョウキたちに群がるワンプたち。
……病気になったりしないよな? 悪魔だし。
そう、思うんだけど。
それ以前に何度も言うけど、数が多過ぎる。
不味いな……
ノートパソコンを抱えた僕は、戦いの邪魔にならない位置取りに心を配りながら、焦りを強める。
どうしよう……オンギョウキだけじゃ無理か?
何か他の仲魔は……
そのときだった。
あれほどいたワンプたちが、次々に消滅していったのだ。
マグネタイトに分解していってる。
死んでないはずなのに。
……え?
気が付くと、僕の仲魔のオンギョウキ以外の全ての悪魔が消えていた。
どうなってんの……?
そのとき……
ふと、数カ月前にお別れをした弟子たちの顔を思い出してしまった……
彼ら、今は何をしているんだろうか……
空を、見上げた。
すっかり陽が落ちて、暗くなりつつある空を。
こういう、ギリギリで最後の仕込みが間に合って、災厄が全て消えてしまう展開好きなんで書けて良かったです。
(一例:のび太と鉄人兵団のラスト)