真・女神転生外伝 仮面ライダーアモン 作:XX(旧山川海のすけ)
★★★(アトラクナクア)
あのお嬢さん、一体何をやっているのでしょう?
死にかけた夫の前で、鞄の中身を空けたり、未装着のアームターミナルを弄ったり。
訳が分からないのですが……
まあ、放置しても大丈夫じゃないでしょうかね?
危険要素が見当たりませんし。
……と、思っていたら。
『警告。この機能は試作品です。成功率およそ30%。本当に使用しますか?』
いきなり電子音声が鳴りました。
意味不明です。
どこから聞こえたのかも気になりますけど、その内容。
試作品? 成功率30%? 何が?
私が理解に苦しんでると、お嬢さんはまだ何かしているようで。
……何をやっているんでしょうか?
いい加減、止めた方がいいのでは?
そんなことを、ふと考えていたときでした。
お嬢さんが、何か壺のようなものを持ち出してきて目の前に置き、さらにアームターミナルに何かを打ち込んだ瞬間。
『悪魔合体、実行します』
再び電子音声。
……え?
悪魔合体?
……ここで?
どうやって?
理解不能。
そう、私が混乱の淵に落とされたときでした。
お嬢さんの夫の身体が、消えた。
同時に壺みたいなものも、消えた。
それらは、粒子となり、空中に舞い上がって、塊になって明滅している……。
それを、胸の前で手を組んで、祈る形で何かを願っているお嬢さん。
何だ……?
何が起こってるんです……?
あの光の玉、今のうちに壊しておいた方がいいのでは……?
そう思い、ライフルの銃口を向けた瞬間
『悪魔合体、成功しました』
……その光の玉が破裂し、中から人影が現れたのです。
全体的なフォルムは、全身に緑色の金属製の軽装鎧を身に纏った戦士。
見た感じは、格闘を意識したデザインの金属鎧でした。
甲冑、というような感じではないですね。
その鎧。
ところどころに、蛇の意匠が施されたデザインで。
鱗っぽい表面処理もありました。
腰にはベルトが巻かれてますね。
バックルのデザインは、狼、蛇、梟をイメージしているようです。
そして。
顔の部分は、妙なヘルメット。
目の部分が大きくて。
黄色の色ガラスみたいなものが嵌ってあります。
口の部分が、牙の意匠でした。
まるで狼を意識したような、牙の意匠。
そして、額に翼を広げたような形の兜飾り。
その首には、深紅のマフラーが巻かれています。
最後に。
背中に翼が生えています。
猛禽類の翼に似ています。
……何なんですこれは?
何が起こったんです?
一体、何が起こったんですか……!?
★★★(真月)
……成功した。
成功したんだ……!
あとは……意識はどうなんだろうか……?
忍なの……?
私の旦那さんなの……?
私は変わってしまった彼の後ろ姿をじっと見つめた。
その立ち姿……確かに少し、変身ヒーローに見えなくもない。
ガイア教徒が「仮面ライダー」と表現したのも分かるかもしれない。
彼が、振り向いた。
息をのむ私。
もし今の彼が魔王に取り込まれていたら。
私は真っ先に殺される可能性がある。
だけど……
「……真月……ありがとう」
……彼の声だった。
そして私は理解する。
私の夫は、勝ったのだ。
魔王に意識を乗っ取られずに勝ち残り、仮面ライダーになったんだ……!
涙が、溢れた。
忍……
……嬉しい!
★★★(忍)
確か俺は、蜘蛛男にハチの巣にされて……
そのまま、意識を失っていた。
そのまま、殺されてしまうものと諦めていた。
だけど……
頭の中に、俺の無事を願って祈る真月が見えたような気がしたんだ……
そしたら
目覚めた。
何か、違うものになって。
一瞬、混乱する。
これは一体……?
すると
『……面白い。面白いぞ人間』
脳裏で誰かの声がした。
俺は尋ねる。
お前は誰だ?
と。
『……我は魔王アモン。魔界の侯爵』
声は続けた。
『よくぞ我にその魂を奪われずに耐え抜いた。褒めて遣わす』
……意識を乗っ取られる?
『そうだ。普通はそうなる。だがお前はそうはならなかった。これは誇るべきことだ……』
……なんとなく、分かった気がする。
多分、俺は真月を守りたかったんだ。
その意識で、悪魔合体による精神の競り合いに勝ち抜いて……
今、こうなったんだ。
大体、分かった。
俺は俺の中に住んでいる悪魔……魔王アモンにそう答えた。
アモンの満足そうな感情が伝わってくる。
超越存在にとってみれば、自分が負けたことも愉しみ、なのかもしれない。
面白い、という。
真月の気配。
俺にとっての幸せ。
それを背後から感じた。
振り返る。
居た。
だから俺は言ったんだ。
「……真月……ありがとう」
真月はその言葉で、分かってくれたみたいだった。
俺は俺のままだ、って。
……俺は思っていた。
この力なら、真月を守れる。
守っていける、って……
よし……!
俺は向き直る。
目の前の敵に。
こいつを……倒す!
次回、反撃